特許第6948230号(P6948230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6948230-発炎筒の処理方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948230
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】発炎筒の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/00 20060101AFI20210930BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20210930BHJP
   C04B 7/38 20060101ALI20210930BHJP
   C04B 7/44 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   B09B3/00 303Z
   B09B5/00 ZZAB
   C04B7/38
   C04B7/44
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-219733(P2017-219733)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2019-89026(P2019-89026A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】竹本 智典
(72)【発明者】
【氏名】中村 充志
(72)【発明者】
【氏名】石田 泰之
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−121826(JP,A)
【文献】 特開2002−348154(JP,A)
【文献】 特開2001−194099(JP,A)
【文献】 特開平06−008247(JP,A)
【文献】 特表2008−506615(JP,A)
【文献】 米国特許第05098285(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
B09B 5/00
C04B 7/38
C04B 7/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
の樹脂製の外装部材を除去した後、セメントキルン排ガスから除塵するバグフィルタ又はプレヒータに投入し、150℃以上900℃以下で加熱処理することを特徴とする発筒の処理方法。
【請求項2】
発炎筒を200℃以上500℃以下で焙焼した後、セメントキルンの窯尻もしくは窯前、仮焼炉又はセメントキルン排ガスを冷却する冷却塔に投入して加熱処理することを特徴とする発炎筒の処理方法。
【請求項3】
前記発筒又は前記樹脂製の外装部材を除去した後の発筒に、引火性のない液体又は50%以上の水分を含有する汚泥を混合した後に加熱処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の発筒の処理方法。
【請求項4】
前記汚泥は、建設発生土、下水汚泥、家畜糞尿、食品残渣及び焼酎粕から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項に記載の発筒の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や船舶等に装備され、使用期限が過ぎた発筒を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筒は、自動車や船舶等に装備されているが、使用期限があり、これを過ぎた発筒は、自動車や船舶の点検時に整備事業者に回収された後、焼却処理施設に搬送されて処理されている(非特許文献1参照)。焼却処理施設に搬送された発筒は、そのまま焼却処理されるか、樹脂製の外装容器が取り外されてリサイクルされる一方、火薬部と紙筒部のみが焼却処理されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】使用済み自動車からの廃発炎筒処理システムについて(日本保安火筒工業会、http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004358/pdf/030#05#02.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発筒の処理方法によると、外装容器はリサイクルされていたが、さらに火薬や紙筒部もリサイクルできれば好ましい。また、発筒の運搬量や貯蔵量は法律で制限され、安全性を考慮すると、早急に処理又は安定化させる必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、発筒全体のリサイクルを可能としつつ、発筒を迅速に処理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、発筒の処理方法であって、発の樹脂製の外装部材を除去した後、セメントキルン排ガスから除塵するバグフィルタ又はプレヒータに投入し、150℃以上900℃以下で加熱処理することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、発筒をセメント製造用燃料又は原料としてリサイクルしながら、迅速に処理することができる。また、樹脂の固着を防止しつつ、発炎筒を処理することができる。
【0008】
また、本発明は、発炎筒の処理方法であって、発炎筒を200℃以上500℃以下で焙焼した後、セメントキルンの窯尻もしくは窯前、仮焼炉又はセメントキルン排ガスを冷却する冷却塔に投入して加熱処理することができる。本発明によれば、発炎筒をセメント製造用燃料又は原料としてリサイクルしながら、迅速に処理することができる。また、発煙性を消失させる安定化処理を行った後、発炎筒を処理することができる。
【0009】
前記発筒又は前記樹脂製の外装部材を除去した後の発筒に、引火性のない液体又は50%以上の水分を含有する汚泥を混合した後に加熱処理することができる。これにより、各部位における発筒の発火開始時間を調整すると共に、発煙を抑制することができる。また、前記汚泥は、建設発生土、下水汚泥、家畜糞尿、食品残渣及び焼酎粕から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、発筒全体をリサイクルしながら、発筒を迅速に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る発筒の処理方法を実施するセメント製造装置の一例を示す全体構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について、図1を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る発筒の処理方法を実施するセメント製造装置の一例を示し、このセメント製造装置1は、セメント製造に一般的に用いられるものであって、セメント焼成装置11と、セメント原料工程3を構成する各装置(原料粉砕ミル等)と、廃熱ボイラー2、バグフィルタ4、排気ファン5、煙突6等で構成される。セメント焼成装置11は、セメントキルン14と、プレヒータ12と、仮焼炉13と、クリンカクーラー15等で構成される。尚、クリンカクーラー15の下流側のセメント粉砕装置等については記載を省略している。
【0014】
セメントキルン14は、セメントキルン14へ焼成対象物としてのセメント原料や発筒を供給するための窯尻の投入口14aと、微粉炭等の化石燃料を噴出してセメントキルン14内への供給物を焼成するための窯前のバーナ14bを備える。
【0015】
仮焼炉13は、微粉炭等の化石燃料を噴出するバーナ(不図示)と、発筒の投入口13aとを備える。仮焼炉13には、流動床式、流動層式、噴流層式等種々の型式があるが、いずれの型式でも用いることができる。
【0016】
プレヒータ12は、サイクロンが4段にわたって配列され、最上段サイクロン12aの入口ガスダクトにセメント原料Rや発筒が供給され、最下段サイクロン12bの原料出口部に連結されたシュート12cがセメントキルン14の投入口14aに接続される。尚、サイクロンの段数は4段に限定されない。また、最上段サイクロン12a以外の各サイクロンの入口ガスダクトや、各サイクロンの原料シュート等に発筒の供給口を設けることもできる。
【0017】
廃熱ボイラー2は、プレヒータ12の排ガスGを利用して蒸気を発生させて発電に利用する。また、バグフィルタ4は、セメント原料工程3を通過した排ガスから除塵するために設けられる。尚、セメント製造装置によっては、廃熱ボイラー2を設けずに調湿塔を設けたり、セメント原料工程3において乾燥粉砕を同時に行う原料粉砕ミルを用いたり、原料を乾燥させるためのドライヤを設け、その後乾燥原料を粉砕する装置を設けるなど種々の形態があるが、いずれの形態においても本発明に係る発筒の処理方法を実施することができる。
【0018】
次に、上記構成を有するセメント製造装置1における発筒の処理について、図1を参照しながら説明する。
【0019】
筒は、樹脂製の外装部材と、外装部材の内部に設けられた紙筒と、紙筒の内部に充填された火薬等で構成される。発筒の火薬の主成分は、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム等である。
【0020】
このような発筒を上述したセメント製造装置1により処理する方法として、本発明には複数の態様があるが、共通していることは、発筒をセメント製造装置の150℃以上となる部位(高温部)に投入して加熱処理することである。これは、上記火薬の主成分のうち、最も分解開始温度の低い過塩素酸アンモニウムの分解開始温度が150℃であるため、少なくともこの温度以上の高温部で処理することにより、火薬の主成分の一つである過塩素酸アンモニウムを分解処理することができる。以下に、発筒の処理方法の各態様について説明する。
【0021】
(態様1)
上記高温部としてセメントキルン14又は仮焼炉13を選択し、発筒を900℃以上で加熱処理することができる。セメントキルン14で発筒を処理する場合には、発筒を窯尻の投入口14aに投入して900℃以上で所定時間加熱して加熱処理を行う。仮焼炉13で処理する場合には、発筒を投入口13aから仮焼炉13内に投入する。この温度では、発筒の外装部材、紙筒及び火薬のすべてが燃焼し、発筒全体をセメント焼成工程における補助燃料及び原料として有効利用することができる。
【0022】
(態様2)
上記高温部としてバグフィルタ4又はプレヒータ12を選択し、外装部材を除去した発筒をバグフィルタ4又はプレヒータ12に投入し、150℃〜900℃で加熱処理することができる。このように、外装部材を予め除去しておくことで、セメントキルン14や仮焼炉13よりも低温であるバグフィルタ4やプレヒータ12内においても外装部材の固着を防止しつつ、発筒を処理することができる。
【0023】
(態様3)
上記高温部としてセメントキルン14の窯尻もしくは窯前、又は仮焼炉13を選択し、発筒を200℃〜500℃で焙焼した後、窯尻の投入口14a、窯前のバーナ14b又は仮焼炉13の投入口13aに投入して加熱処理することができる。これにより、発煙性を消失させる安定化処理を行った後、発筒を燃料として有効利用することができる。
【0024】
上記各態様で発筒を加熱処理した後、残存する発筒由来の灰分については、ストロンチウムやカリウム等を含んでいるが、この灰分はそのままセメント原料として有効利用することができる。
【0025】
尚、高温部内における発筒の発火開始時間の調整を行うと共に、発煙を抑制するために、発筒又は外装部材を除去した後の発筒に、引火性のない液体又は50%以上の水分を含有する汚泥を混合した後に加熱処理又は焙焼することができる。ここで使用される汚泥としては、建設発生土、下水汚泥、家畜糞尿、食品残渣及び焼酎粕のうち少なくとも一つを含むものとすることができる。特に、汚泥を混合した後に焙焼した場合には、発煙の恐れもないうえに品位の高い燃料を得ることができる。
【0026】
また、セメントキルン14等に一度に多量の発筒が投入されると、急激な発煙が発生し、運転が不安定になる場合がある。このような場合には、横桟付きのベルトコンベアやスキップコンベア等を用いて少量ずつ、連続的に発筒を投入することにより、セメントキルン14等の内部における急激な発煙を防止することができる。
【0027】
さらに、上記実施の形態では、普通セメント等を製造する一般的なセメント製造装置の場合について説明したが、エコセメントの製造装置を用いてもよく、その場合には、セメントキルンの窯尻の他に、セメントキルン排ガスを冷却する冷却塔に投入してもよい。
【0028】
尚、発筒は発火物となるため保管に注意を要し、法令上の規制を受けている。そこで、使用済み発筒は、発火や落下に対処した専用の廃棄、運搬箱に回収され、一定の量以下となるように収集される。保管量が定められた量以下になるように保管や運搬がなされるように管理され、これを超える場合には許可を受けた火薬保管施設に保管される。セメント工場が火薬保管施設を有しない場合、専用の廃棄、運搬箱にICタグ、バーコード、QRコード(登録商標)等の識別システムを利用して保管量の管理をすればよい。すなわち、工場の入り口とセメントキルン14等に投入される投入口にICタグ、バーコード、QRコード等の読み取り機を設置し、工場内の保管量が一定以下となった場合に、運搬業者が次の専用の廃棄、運搬箱を工場に納入すればよい。
【符号の説明】
【0029】
1 セメント製造装置
2 廃熱ボイラー
3 セメント原料工程
4 バグフィルタ
5 排気ファン
6 煙突
11 セメント焼成装置
12 プレヒータ
12a 最上段サイクロン
12b 最下段サイクロン
12c シュート
13 仮焼炉
13a 投入口
14 セメントキルン
14a 投入口
14b バーナ
15 クリンカクーラー
G 排ガス
R セメント原料
図1