(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類乾燥機に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1および
図2に例示する洗濯乾燥機1は、衣類の洗濯機能と乾燥機能を備えたいわゆるドラム式の洗濯乾燥機であり、乾燥行程においては衣類を乾燥する衣類乾燥機としても機能する。洗濯乾燥機1の本体を構成する筐体2は、ほぼ矩形の箱状をなしていて、前面部2aがやや前下がりの傾斜状に形成されている。前面部2aには、ほぼ円形状に開口する洗濯物出入口3が形成されている。また、前面部2aには、洗濯物出入口3を開閉する扉4が回動可能に設けられている。扉4の裏面には、例えばガラス材料などにより構成される突出部5が設けられており、扉4が洗濯物出入口3を閉じた状態では、突出部5が洗濯物出入口3内に入り込んだ状態となる。
【0010】
筐体2内には、図示しないサスペンションを介して水槽6が弾性的に支持されている。水槽6は、その前面がほぼ円形状に開口し、且つ、後面が閉塞された有底円筒状をなしている。そして、水槽6は、その軸線方向を前後方向に指向させ、且つ、やや前上がりの傾斜状態に配置されている。水槽6の前面開口部は、蛇腹状のべローズ7を介して洗濯物出入口3に接続されている。水槽6は、衣類などの洗濯物を乾燥させる乾燥行程時には、乾燥室の一例として機能する。
【0011】
水槽6内には、回転槽の一例であるドラム8が回転可能に配設されている。このドラム8も、水槽6と同様に、その前面にほぼ円形状に開口する開口部を有し、且つ、後面が閉塞された有底円筒状をなしている。そして、ドラム8も、水槽6と同様に、その軸線方向を前後方向に指向させ、且つ、やや前上がりの傾斜状態に配置されている。ドラム8の周壁部および後壁部には多数の孔8aが形成されている。これらの孔8aは、洗い行程時やすすぎ行程時には水が通る通水孔として機能し、乾燥行程時には乾燥風が通る通風孔として機能する。
【0012】
水槽6の背部にはドラムモータ9が設けられていて、ドラム8は、このドラムモータ9により回転軸8bを介して回転駆動される。なお、ドラム8の内周面には、当該ドラム8内に収容された衣類をかき上げるための図示しない複数のバッフルが設けられている。衣類などの洗濯物は、洗濯物出入口3、水槽6の開口部、およびドラム8の開口部を通してドラム8内に出し入れ可能に収容される。ドラム8内に収容されている衣類は、ドラム8の回転に伴いバッフルによりかき上げられて落下することを繰り返す。
【0013】
水槽6には、1つの空気吹出口11と、複数、この場合、3つの空気吹込口12a,12b,12cが設けられている。空気吹出口11は、この場合、水槽6の周壁面の前部の上部において上向きに設けられている。一方、複数の空気吹込口12a,12b,12cは、何れも、水槽6の背面において後向きに設けられている。空気吹出口11の上部には、振動吸収可能に蛇腹状に形成された接続ダクト15を介して空気吹出ダクト16の前端部が接続されている。空気吹出ダクト16の途中部には、リントフィルタ17が着脱可能に取り付けられる。リントフィルタ17は、水槽6内から空気吹出口11を通して空気吹出ダクト16内に吹き出された空気に含まれるリントなどの異物を捕獲する。
【0014】
空気吹出ダクト16は、接続ダクト15から後方へ向けて延びた後、下方に向きを変え、その下端部が、振動吸収可能に蛇腹状に形成された接続ダクト18を介して、筐体2内の後方下部において水槽6よりも下方に設けられたヒートポンプユニット19のユニットケース20の上流側に接続されている。ユニットケース20は、ヒートポンプユニット19の外殻を構成するものである。ユニットケース20は、水槽6を弾性支持する図示しないサスペンションの後方において、洗濯乾燥機1の横方向に沿って、つまり、水平方向に沿って延びている。また、ユニットケース20の下流側には、振動吸収可能に蛇腹状に形成された接続ダクト21を介して空気吹込ダクト22の一端部が接続されている。空気吹込ダクト22の他端部は、上方へ延びていて、その先端部が複数、この場合、3つに分岐して分岐ダクト23a,23b,23cを構成している。そして、分岐ダクト23aは、空気吹込口12aに接続され、分岐ダクト23bは、空気吹込口12bに接続され、分岐ダクト23cは、空気吹込口12cに接続されている。
【0015】
ここで、洗濯乾燥機1は、接続ダクト15、空気吹出ダクト16、接続ダクト18、ヒートポンプユニット19のユニットケース20、接続ダクト21、および、空気吹込ダクト22により、水槽6の1つの空気吹出口11と複数の空気吹込口12a,12b,12cとの間を連通接続する循環風路30を構成している。この循環風路30は、水槽6の外部であって、且つ、筐体2の内部において、一端部である上流側が1つの空気吹出口11に接続され、他端部である下流側が複数の空気吹込口12a,12b,12cにそれぞれ接続されている。即ち、本実施形態に係る洗濯乾燥機1は、1つの循環風路30、換言すれば、1つの循環系統を有しつつ、その循環風路30の下流部が複数に分岐して複数の空気吹込口12a,12b,12cにそれぞれ接続された構成となっている。換言すれば、本実施形態に係る洗濯乾燥機1が備える循環系統は、循環風路30への空気の入口である空気吹出口11が1つであるのに対し、循環風路30からの空気の出口である空気吹込口12a,12b,12cが複数である構成となっている。
【0016】
図3に例示するように、ヒートポンプユニット19に備えられるヒートポンプ41は、圧縮機42、凝縮器43、絞り器44、蒸発器45を冷媒管46によりサイクル接続して冷凍サイクルを構成している。このうち、熱交換器を構成する凝縮器43および蒸発器45は、循環風路30の一部を構成するユニットケース20の内部に配置されている。また、循環風路30内には、循環送風機51が備えられている。循環送風機51は、ファン52をファンモータ53によって回転駆動することにより、水槽6内の空気を、空気吹出口11から循環風路30内に吹き出させ、この循環風路30を通して複数の空気吹込口12a,12b,12cから水槽6内に吹き込ませるように循環させる。即ち、この循環送風機51が駆動されることにより、水槽6内の空気は、1つの空気吹出口11から循環風路30内に導入されて、空気吹出口11側である上流側から空気吹込口12a,12b,12c側である下流側に向かって流れる。
【0017】
そして、ユニットケース20内において、蒸発器45は、水槽6の空気吹出口11側、つまり、循環風路30の上流側に配置されている。一方、凝縮器43は、水槽6の空気吹込口12a,12b,12c側、つまり、循環風路30の下流側に配置されている。即ち、循環風路30内において、凝縮器43は、蒸発器45よりも下流側に配置されている。蒸発器45は、除湿手段の一例であり、循環風路30内を空気吹出口11側から空気吹込口12a,12b,12c側、つまり、上流側から下流側に向かって流れる空気を冷却して除湿する除湿手段として機能する。一方、凝縮器43は、加熱手段の一例であり、循環風路30内を空気吹出口11側から空気吹込口12a,12b,12c側、つまり、上流側から下流側に向かって流れる空気を加熱する加熱手段として機能する。
【0018】
図4に例示するように、本実施形態では、複数の空気吹込口12a,12b,12cは、水槽6を構成する複数の面のうち同一の面、この場合、背面に設けられている。また、複数の空気吹込口12a,12b,12cは、水槽6の背面において、相互に異なる高さ位置に設けられている。本実施形態では、空気吹込口12a,12b,12cは、何れも、水槽6の径方向外側に向かうほど水槽6の周方向に沿う寸法が長くなる形状、いわゆる扇形に開口する吸込口となっている。また、複数の空気吹込口12a,12b,12cは、水槽6の周方向に沿って同一の円周上に配列されている。
【0019】
また、本実施形態では、空気吹込口12aの最下端部HaLは、空気吹込口12bの最上端部HbUよりも高く、空気吹込口12bの最下端部HbLは、空気吹込口12cの最上端部HcUよりも高く、空気吹込口12cの最上端部HcUは、空気吹込口12aの最下端部HaLおよび空気吹込口12bの最下端部HbLよりも低くなっている。即ち、本実施形態では、空気吹込口12aは、その全体が空気吹込口12bおよび空気吹込口12cの全体よりも高い位置に設けられており、空気吹込口12bは、その全体が空気吹込口12cの全体よりも高い位置に設けられており、空気吹込口12cは、その全体が空気吹込口12aおよび空気吹込口12bの全体よりも低い位置に設けられている。
【0020】
本実施形態によれば、洗濯乾燥機1は、複数の空気吹込口12a,12b,12cを、何れも、水槽6を構成する複数の面のうちの同一の面、この場合、背面に設けている。この構成によれば、循環風路30から供給される温風を複数の空気吹込口12a,12b,12cから水槽6内に吹き込ませることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。特に、本実施形態に係る洗濯乾燥機1は、ドラム8の軸線方向が前上がりに傾斜した構成であるので、水分を含む衣類が、その重量によりドラム8の背面側に偏りやすい。本実施形態によれば、複数の空気吹込口12a,12b,12cは、何れも、水槽6の背面に設けられている。そのため、水分を含む衣類が偏りやすい背面側から温風を供給することができ、ドラム8内の衣類を一層効率良く乾燥することができる。
【0021】
ここで、本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、循環風路30の数つまり水槽6内の空気を循環するための循環系統の数は1つとしつつ、その循環風路30の下流部を複数に分岐させて水槽6の複数の空気吹込口12a,12b,12cに接続する構成とした。即ち、水槽6に複数の空気吹込口12a,12b,12cを設けつつも、循環風路30の数は1つのままとした。よって、空気吹込口の数と同じ数だけ循環風路を設ける従来の構成とは異なり、構成の複雑化を回避しつつも水槽6の同一面に複数の空気吹込口12a,12b,12cを設けることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。
【0022】
さらに、本実施形態によれば、水槽6の同一面、この場合、背面において複数の空気吹込口12a,12b,12cが設けられている高さが相互に異なっている。この構成によれば、水槽6内に異なる高さから広範囲に渡って温風を供給することができ、ドラム8内の衣類を一層効率良く乾燥することができる。
【0023】
(第2実施形態)
図5に例示するように、本実施形態に係る水槽6の背面には、複数、この場合、3つの空気吹込口212a,212b,212cが設けられている。これら空気吹込口212a,212b,212cは、何れも、水槽6の上側の部分、少なくとも、ドラム8の回転軸8bよりも上側の部分に設けられており、且つ、水槽6の背面に設けられている溢水口201よりも高い位置に設けられている。また、空気吹込口212a,212b,212cは、何れも、上述した空気吹込口12a,12b,12cと同様に、いわゆる扇形に開口する吸込口となっている。また、複数の空気吹込口212a,212b,212cは、水槽6の周方向に沿って同一の円周上に配列されている。また、複数の空気吹込口212a,212b,212cは、水槽6の径方向に沿う相互に異なる直線上にそれぞれ配列されている。
【0024】
また、水槽6の上方向を12時の方向D1とした場合、空気吹込口212aの左端部は10時の方向つまり水槽6の上方向から左に概ね60度程度傾斜した方向D2に沿っており、空気吹込口212cの右端部は2時の方向つまり水槽6の上方向から右に概ね60度程度傾斜した方向D3に沿っている。即ち、複数の空気吹込口212a,212b,212cは、水槽6の上方向D1を中心として左右に概ね60度程度傾斜した範囲内に収まるように集中して配置されている。
【0025】
溢水口201は、水槽6内の水位が所定水位HW、つまり、溢水口201が設けられている高さの水位を超える場合に、当該水槽6内の水を排出するための開口である。この溢水口201により、水槽6内の水位が所定水位HWを超えてしまうことが防止される。
【0026】
本実施形態によっても、複数の空気吹込口212a,212b,212cから水槽6内の広範囲に渡って温風を吹き込ませることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。また、第1実施形態と同様に、空気吹込口212a,212b,212cを複数設けつつも循環風路30を1つのままとすることができ、構成の複雑化を回避することができる。また、水槽6内の水が溢水口201の高さを超えて複数の空気吹込口212a,212b,212cから循環風路30内に流れ込んでしまうことを回避することができる。
【0027】
(第3実施形態)
図6に例示するように、本実施形態に係る水槽6の背面には、複数、この場合、3つの空気吹込口312a,312b,312cが設けられている。これら空気吹込口312a,312b,312cは、何れも、水槽6の上側の部分、少なくとも、ドラム8の回転軸8bよりも上側の部分に設けられており、且つ、水槽6の背面に設けられている溢水口301よりも高い位置に設けられている。また、空気吹込口312a,312b,312cは、何れもほぼ矩形に開口する吸込口となっている。また、複数の空気吹込口312a,312b,312cは、水槽6の径方向に沿う同一の直線状に配列されている。また、複数の空気吹込口312a,312b,312cは、水槽6の周方向に沿って相互に異なる円周上にそれぞれ配置されている。
【0028】
本実施形態によっても、複数の空気吹込口312a,312b,312cから水槽6内の広範囲に渡って温風を吹き込ませることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。また、第1実施形態と同様に、空気吹込口312a,312b,312cを複数設けつつも循環風路30を1つのままとすることができ、構成の複雑化を回避することができる。また、水槽6内の水が溢水口301の高さを超えて複数の空気吹込口312a,312b,312cから循環風路30内に流れ込んでしまうことを回避することができる。
【0029】
(第4実施形態)
図7に例示するように、本実施形態に係る水槽6の背面には、複数、この場合、3つの空気吹込口412a,412b,412cが設けられている。これら空気吹込口412a,412b,412cは、何れも、水槽6の上側の部分、少なくとも、ドラム8の回転軸8bよりも上側の部分に設けられており、且つ、水槽6の背面に設けられている溢水口401よりも高い位置に設けられている。また、空気吹込口412a,412b,412cは、何れも、上述した空気吹込口12a,12b,12cと同様に、いわゆる扇形に開口する吸込口となっている。即ち、空気吹込口412a,412b,412cは、上述した空気吹込口312a,312b,312cを、それぞれ水槽6の周方向に沿って円弧状に延ばしたような開口形状となっている。
【0030】
本実施形態では、空気吹込口412a,412b,412cは、さらに、水槽6の径方向外側に配置されている空気吹込口ほど水槽6の周方向に沿う寸法が大きくなっており、これにより、水槽6の径方向外側に配置されている空気吹込口ほど開口面積が大きくなった構成となっている。即ち、本実施形態では、空気吹込口412bの開口面積は空気吹込口412cの開口面積よりも大きく、空気吹込口412aの開口面積は空気吹込口412bの開口面積よりも大きくなっている。また、複数の空気吹込口412a,412b,412cは、水槽6の径方向に沿う同一の直線状に配列されている。また、複数の空気吹込口412a,412b,412cは、水槽6の周方向に沿って相互に異なる円周上にそれぞれ配置されている。
【0031】
本実施形態によっても、複数の空気吹込口412a,412b,412cから水槽6内の広範囲に渡って温風を吹き込ませることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。また、第1実施形態と同様に、空気吹込口412a,412b,412cを複数設けつつも循環風路30を1つのままとすることができ、構成の複雑化を回避することができる。また、水槽6内の水が溢水口401の高さを超えて複数の空気吹込口412a,412b,412cから循環風路30内に流れ込んでしまうことを回避することができる。
【0032】
(第5実施形態)
図8に例示するように、本実施形態に係る水槽6の背面には、複数、この場合、3つの空気吹込口512a,512b,512cが設けられている。これら空気吹込口512a,512b,512cは、何れも、水槽6の上側の部分、少なくとも、ドラム8の回転軸8bよりも上側の部分に設けられており、且つ、水槽6の背面に設けられている溢水口501よりも高い位置に設けられている。また、空気吹込口512a,512b,512cは、何れも、水槽6の径方向に沿って直線状に延びるほぼ矩形に開口する吸込口となっている。また、複数の空気吹込口512a,512b,512cは、水槽6の径方向に沿う相互に異なる直線上にそれぞれ配置されている。
【0033】
本実施形態によっても、複数の空気吹込口512a,512b,512cから水槽6内の広範囲に渡って温風を吹き込ませることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。また、第1実施形態と同様に、空気吹込口512a,512b,512cを複数設けつつも循環風路30を1つのままとすることができ、構成の複雑化を回避することができる。また、水槽6内の水が溢水口501の高さを超えて複数の空気吹込口512a,512b,512cから循環風路30内に流れ込んでしまうことを回避することができる。
【0034】
(第6実施形態)
図9に例示するように、本実施形態に係る水槽6の背面には、複数、この場合、3つの空気吹込口612a,612b,612cが設けられている。これら空気吹込口612a,612b,612cは、何れも、水槽6の上側の部分、少なくとも、ドラム8の回転軸8bよりも上側の部分に設けられており、且つ、水槽6の背面に設けられている溢水口601よりも高い位置に設けられている。空気吹込口612a,612b,612cは、上述した空気吹込口512a,512b,512cを、それぞれ扇形に拡張したような開口形状となっている。
【0035】
本実施形態では、空気吹込口612a,612b,612cは、さらに、水槽6の径方向外側に向かうほど水槽6の周方向に沿う寸法が長くなっており、これにより、水槽6の径方向外側に向かうほど開口寸法が大きくなった構成となっている。即ち、本実施形態では、空気吹込口612a,612b,612cは、何れも、内側よりも外側の方が開口寸法が大きい形状、いわゆる扇形の形状となっている。また、複数の空気吹込口612a,612b,612cは、水槽6の径方向に沿う相互に異なる直線上にそれぞれ配置されている。また、複数の空気吹込口612a,612b,612cは、水槽6の周方向に沿う同一の円周上に配置されている。
【0036】
本実施形態によっても、複数の空気吹込口612a,612b,612cから水槽6内の広範囲に渡って温風を吹き込ませることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。また、第1実施形態と同様に、空気吹込口612a,612b,612cを複数設けつつも循環風路30を1つのままとすることができ、構成の複雑化を回避することができる。また、水槽6内の水が溢水口601の高さを超えて複数の空気吹込口612a,612b,612cから循環風路30内に流れ込んでしまうことを回避することができる。
【0037】
(第7実施形態)
図10に例示するように、本実施形態に係る水槽6の背面には、複数、この場合、3つの空気吹込口712a,712b,712cが設けられている。これら空気吹込口712a,712b,712cは、何れも、水槽6の上側の部分、少なくとも、ドラム8の回転軸8bよりも上側の部分に設けられており、且つ、水槽6の背面に設けられている溢水口701よりも高い位置に設けられている。また、空気吹込口712a,712b,712cは、何れも、上述した空気吹込口12a,12b,12cと同様に、いわゆる扇形に開口する吸込口となっている。また、複数の空気吹込口712a,712b,712cは、水槽6の周方向に沿う相互に異なる円周上にそれぞれ配置されている。また、複数の空気吹込口712a,712b,712cは、水槽6の径方向に沿う相互に異なる直線上に配列されている。
【0038】
また、複数の空気吹込口712a,712b,712cは、その開口面積が相互に異なっており、この場合、水槽6の径方向外側に設けられている空気吸込口ほど開口面積が大きくなった構成となっている。また、複数の空気吹込口712a,712b,712cは、ドラム8の回転に伴い当該ドラム8内においてかき上げられて落下する衣類の軌跡Lに沿うように配列されている。
【0039】
本実施形態によっても、複数の空気吹込口712a,712b,712cから水槽6内の広範囲に渡って温風を吹き込ませることができ、ドラム8内の衣類を効率良く乾燥することができる。また、第1実施形態と同様に、空気吹込口712a,712b,712cを複数設けつつも循環風路30を1つのままとすることができ、構成の複雑化を回避することができる。また、水槽6内の水が溢水口701の高さを超えて複数の空気吹込口712a,712b,712cから循環風路30内に流れ込んでしまうことを回避することができる。また、本実施形態によれば、複数の空気吹込口712a,712b,712cがドラム8内における衣類の落下軌跡Lに沿って配列されているので、ドラム8内においてかき上げられて落下する衣類に対し、その落下軌跡Lに合わせるようにして複数の空気吹込口712a,712b,712cから効率良く温風を吹き出すことができ、衣類の乾燥を一層効率良く行うことができる。
【0040】
(第8実施形態)
本実施形態は、水槽6内の衣類の乾燥状態に基づいて、水槽6内に空気を吹き出す空気吹込口を切り替え可能に構成した実施形態である。即ち、
図11に例示するように、水槽6の背面には、複数、この場合、3つの空気吹込口12a,12b,12cが相互に異なる高さ位置に設けられており、これら空気吹込口12a,12b,12cには、それぞれ、分岐ダクト23a,23b,23cが接続されている。本実施形態では、複数の空気吹込口12a,12b,12cは、何れも、水槽6の上側の部分、少なくとも、ドラム8の回転軸8bよりも上側の部分に設けられている。
【0041】
一方、扉4の突出部5は、その上部に傾斜面5aを備えている。この傾斜面5aは、扉4が洗濯物出入口3を閉じた状態において、前方から後方に向けて下降するように傾斜している。そして、この傾斜面5aには、複数、この場合、空気吹込口12a,12b,12cの数に対応して3つの湿度センサ100a,100b,100cが設けられている。湿度センサ100a,100b,100cは、乾燥状態検出手段の一例であり、本実施形態では、水槽6内の湿度に基づいて水槽6内の衣類の乾燥状態を検知する。
図12に例示するように、これら湿度センサ100a,100b,100cは、傾斜面5aの左右方向のほぼ中央部において、上下方向に沿って直線状に配列されている。
【0042】
図13に例示するように、傾斜面5aには、当該傾斜面5aを貫通する複数、この場合、空気吹込口12a,12b,12cの数に対応して3つの孔部5bが設けられており、湿度センサ100a,100b,100cは、それぞれ孔部5bに嵌め込まれている。湿度センサ100a,100b,100cは、傾斜面5aの裏面側に設けられる基板101に実装されている。
図12に例示するフレキシブル電源ケーブル102は、一端部が基板101に接続され、他端部が扉4の周端部に沿った後、扉4を回動可能に支持するヒンジ部4aを通して洗濯乾燥機1の電源系統に接続されている。これにより、湿度センサ100a,100b,100cには、フレキシブル電源ケーブル102を介して電源が供給されるようになっている。
【0043】
本実施形態では、湿度センサ100a,100b,100cは、例えばBlueTooth(登録商標)などの無線通信により検知信号を出力する構成となっている。なお、湿度センサ100a,100b,100cは、有線通信により検知信号を出力する構成としてもよい。
【0044】
図14に例示する制御装置200は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、ドラムモータ9、圧縮機42、循環送風機51、図示しない給水弁や排水弁などの駆動を制御することにより、洗濯乾燥機1の動作全般を制御する。制御装置200は、制御手段の一例である。また、この制御装置200には、上述した湿度センサ100a,100b,100cが無線通信可能に接続される。また、この制御装置200には、切替手段の一例であるダンパ300a,300b,300cが接続されている。ダンパ300a,300b,300cは、例えば、循環風路30内においてヒートポンプユニット19と複数の空気吹込口12a,12b,12cとの間に設けられるものであり、本実施形態では、分岐ダクト23a,23b,23cの内部にそれぞれ設けられている。
【0045】
制御装置200は、ダンパ300a,300b,300cの開閉動作を制御することにより、水槽6内に空気を吹き出す空気吹込口12a,12b,12cを切り替える。即ち、制御装置200は、ダンパ300aを開き、且つ、ダンパ300b,300cを閉じることにより、水槽6内に空気を吹き出す空気吹込口を空気吹込口12aに切り替えることが可能である。また、制御装置200は、ダンパ300bを開き、且つ、ダンパ300a,300cを閉じることにより、水槽6内に空気を吹き出す空気吹込口を空気吹込口12bに切り替えることが可能である。また、制御装置200は、ダンパ300cを開き、且つ、ダンパ300a,300bを閉じることにより、水槽6内に空気を吹き出す空気吹込口を空気吹込口12cに切り替えることが可能である。
【0046】
次に、制御装置200による制御内容の一例について説明する。制御装置200は、水槽6内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する場合には、ヒートポンプユニット19の圧縮機42を駆動するとともに、循環送風機51を駆動する。これにより、循環風路30を通して水槽6内に温風が供給されるようになる。また、制御装置200は、ドラムモータ9を駆動することによりドラム8を回転させる。これにより、ドラム8内の衣類の乾燥が進められる。
【0047】
図15に例示するように、この乾燥運転の開始時において、制御装置200は、ダンパ300aを開き、且つ、ダンパ300b,300cを閉じる。これにより、乾燥運転の初期おいては、空気吹込口12aから水槽6内に温風が吹き込まれるようになる。水槽6内に温風が吹き込まれることにより、衣類に含まれる水分の蒸発が始まり、これに伴い、
図15に例示するように、水槽6内の湿度、より正確には相対湿度が上昇する。そして、さらに乾燥時間の経過に伴い衣類の乾燥が進行すると、循環風路30を通した空気の循環の過程で湿気を含んだ空気がヒートポンプユニット19の除湿器45により除湿されるから水槽6内の相対湿度が徐々に低下していく。
【0048】
ここで、乾燥運転の初期においては、上述した通り、空気吹込口12aから水槽6内に温風が吹き込まれる。よって、空気吹込口12aに対応する湿度センサ100aの周辺における乾燥が、湿度センサ100b,100cの周辺における乾燥よりも促進される。そのため、空気吹込口12aに対応する湿度センサ100aが検知する相対湿度Haの低下が最も大きく、次いで、湿度センサ100aに最も近い湿度センサ100bが検知する相対湿度Hb、および、その次に近い湿度センサ100cが検知する相対湿度Hcが相対湿度Haに追従するようにして低下していく。
【0049】
そして、制御装置200は、湿度センサ100aが検知する相対湿度Haが所定の基準湿度Hkまで低下すると、第1切り替え動作を実行する。この第1切り替え動作では、制御装置200は、ダンパ300bを開き、且つ、ダンパ300a,300cを閉じる。即ち、制御装置200は、水槽6内に温風を吹き込ませる空気吹込口を空気吹込口12aから空気吹込口12bに切り替える。これにより、空気吹込口12bから水槽6内に温風が吹き込まれるようになる。なお、この空気吹込口の切り替えにより、湿度センサ100bおよびその周辺領域に対し急激に温風が供給されるようになる。そのため、湿度センサ100bが検知する相対湿度Hbは、急激に下降するようになる。一方で、湿度センサ100aおよびその周辺部分に対しては、供給される温風が急激に減少するようになる。そのため、湿度センサ100aが検知する相対湿度Haは、その低下が鈍化する。
【0050】
そして、制御装置200は、湿度センサ100bが検知する相対湿度Hbが所定の基準湿度Hkまで低下すると、第2切り替え動作を実行する。この第2切り替え動作では、制御装置200は、ダンパ300cを開き、且つ、ダンパ300a,300bを閉じる。即ち、制御装置200は、水槽6内に温風を吹き込ませる空気吹込口を空気吹込口12bから空気吹込口12cに切り替える。これにより、空気吹込口12cから水槽6内に温風が吹き込まれるようになる。なお、この空気吹込口の切り替えにより、湿度センサ100cおよびその周辺領域に対し急激に温風が向かうようになる。そのため、湿度センサ100cが検知する相対湿度Hcは、急激に下降するようになる。一方で、湿度センサ100bおよびその周辺部分に対しては、供給される温風が急激に減少するようになる。そのため、湿度センサ100bが検知する相対湿度Hbは、その低下が鈍化する。
【0051】
なお、上述の制御において、所定の基準湿度Hkは、適宜変更して設定することができる。本実施形態では、例えば、ドラム8内の衣類の乾燥率が概ね30パーセント程度、つまり、衣類に含まれる水分が乾燥開始時の概ね30パーセント程度まで低下した状態における水槽6内の相対湿度の値が設定されている。
【0052】
乾燥運転の初期においては、ドラム8内の衣類は湿気を多く含んでいることから、ドラム8の内周面側に偏り、ドラム8の中心部には殆ど衣類が存在しない状態となる傾向がある。そして、乾燥運転の進行に伴い、衣類に含まれる湿気が徐々に減少していき、軽くなった衣類がドラム8の中心部にも行き渡るようになる傾向がある。
【0053】
本実施形態によれば、乾燥運転の初期においては、水槽6の背面の最も上部つまりドラム8の内周面に対向する位置に存在する空気吹込口12aを開き、且つ、他の空気吹込口12b,12cを閉じることにより、ドラム8の内周面およびその周辺部分に集中的に温風を供給することができる。よって、乾燥運転の初期においてドラム8の内周面に偏る傾向がある湿気を多く含む衣類を効率良く乾燥することができる。そして、本実施形態によれば、乾燥運転の進行に伴い、水槽6内に温風を吹き込ませる空気吹込口を、より中心部側に存在する空気吹込口12b,12cに順に切り替えていく。これにより、乾燥運転の進行に伴いドラム8の中心部にも行き渡るようになった衣類にも温風を供給することができ、衣類を効率良く乾燥することができる。
【0054】
以上の通り、本実施形態によれば、乾燥運転の進行に応じて、換言すれば、ドラム8内の衣類の乾燥状態の変化に応じて、水槽6内に温風を吹き込ませる空気吹込口を切り替えるように構成した。これにより、衣類の乾燥状態に応じた態様により水槽6内に温風を供給することができ、乾燥運転の初期から終了までの全体にわたって、衣類の乾燥を効率良く行うことができる。
【0055】
(その他の実施形態)
本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように拡張または変形することができる。例えば、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせて実施することができる。
【0056】
また、水槽6において複数の空気吹込口を設ける面は、背面に限られるものではなく、例えば、水槽6の前面や側周面などであってもよい。なお、この場合も、複数の空気吹込口は、水槽6の同一面に設ける構成とする。また、乾燥状態検出手段は、湿度センサ100a,100b,100cに限られるものではなく、例えば、水槽6内の温度を検出する温度センサであってもよい。また、乾燥状態検出手段として、湿度センサおよび温度センサの双方を備える構成としてもよい。
【0057】
また、水槽6の一面に複数の空気吸込口を設けることに伴い、当該水槽6の一面にドラムモータ9を設けることが困難となる場合には、ドラムモータ9を水槽6から離れた位置に設け、当該ドラムモータ9が発生する回転力を、例えばベルトなどを含んで構成される伝達機構によりドラム8の回転軸8bに伝達する構成とするとよい。
【0058】
また、本実施形態は、回転槽の回転軸が水平方向または傾斜方向に延びるいわゆるドラム式の洗濯乾燥機に限られるものではなく、回転槽の回転軸が垂直方向となるいわゆる縦軸型の洗濯乾燥機にも適用することができる。また、本実施形態は、洗濯機能を有しない純粋な衣類乾燥機にも適用することができる。
【0059】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。