(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸入ジョイントは、前記狭隘部との間に設けられて液体のごみ粒子を濾過するフラットフィルタを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁ポンプ。
【背景技術】
【0002】
従来から、管状のシリンダに内装されたプランジャを、電磁コイルで発生させた磁力の周期的な変化により軸心方向に往復動させて、液体を吸入及び吐出するように構成された電磁ポンプが知られている。この種の電磁ポンプは、例えば、暖房や給湯等に用いられる燃焼装置の配管に付設され、燃焼装置の外部に設置された燃料タンクに貯蔵された灯油等の液体燃料を、燃焼装置の内部に設けられた油タンクに供給する。
【0003】
石油給湯器、温水ルームヒータ用ボイラ、及び石油温風機といった、比較的、燃料を多く消費する燃焼装置では、一般的に、液体燃料を貯蔵する燃料タンクが屋外に設置され、配管を通じて、屋内外の燃焼装置に液体燃料が供給される。また、暖房機器の使用が多い寒冷地では、屋内に設置される石油ファンヒータ(例えば、FF式石油ファンヒータ)等においても、上記燃焼装置と同様に、屋外の燃料タンクから配管を通じて燃焼装置の油タンクに液体燃料を供給するものが多い。供給方法としては、燃焼装置に対して屋外の燃料タンクが高位置に設置されている場合、又は屋外の燃料タンクが低位置にされる場合でも一旦オイルリフターで高所タンクへ給油された後に、燃焼装置内に設置されたオイルレベラのタンクへ供給される。また、屋外の燃料タンクが低位置の場合には、オイルリフターに代わって、汲み上げ用の電磁ポンプが使われ、燃焼装置内の油タンクに直接給油される(例えば、特許文献1の
図4参照)。上記電磁ポンプは、上記配管途中に設けられ、燃焼装置の油タンクに設けられた液面位センサの検知信号に基づいて制御装置から出力された駆動パルス信号に従って駆動する。
【0004】
図6に示すように、屋外に設置された燃料タンク111から電磁ポンプ101で液体燃料Lfを燃焼装置110の油タンク110Tへ供給する場合、燃料タンク111の油面LSが、電磁ポンプ101の設置位置よりも高くなることにより、電磁ポンプ101に順(プラス)方向のヘッド圧がかかる、いわゆるプラスヘッド配置となることがある。通常、電磁ポンプの吐出口には、電磁ポンプの停止時に、電磁ポンプから液体燃料が燃焼装置側に流出することを防止する逆止弁が設けられている。しかし、逆止弁は、プランジャの往復動で押し出された液体燃料を吐出できるように強くは付勢されていない。一方、燃料タンク111の油面LSは2m以上になることもあり、電磁ポンプ101には高いヘッド圧がかかり得る。そのため、電磁ポンプが停止しているとき、ヘッド圧によって液体燃料が逆止弁をすり抜けて流出し、燃焼装置の油タンクから溢れ出ることがある。
【0005】
そこで、燃料吐出部内に流体の逆流を規制する逆止弁を設けると共に、プランジャの吸入側端部にプランジャを吐出方向に付勢するバネを設け、プランジャの吐出側端部に、駆動パルス信号が停止された状態で、上記ばねの付勢力で吐出側の燃料通過孔を閉止する閉止弁体を設けた電磁ポンプがある(例えば、特許文献1の
図1参照)。この電磁ポンプによれば、バネの付勢力と共に液体燃料のヘッド圧が閉止弁体に加わって、燃料通過孔を成す閉止弁座に閉止弁体を強く押圧するので、プラスヘッド配置となった電磁ポンプの停止中でも、液体燃料の流出を効果的に抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
暖房機の使用環境の多様化により、高いヘッド圧に対応した電磁ポンプの要望がある。しかしながら、プラスヘッド圧が高くなると、電磁ポンプに恒常的にかかるヘッド圧によって、プランジャの往復動位置が吐出方向に移動し、電磁ポンプの駆動時にも、プランジャ端部に設けた閉止弁体が、燃料通過孔を構成する閉止弁座に衝突することがある。一般的な電磁ポンプは、商用交流電流(50Hz又は60Hz)を半波整流した駆動パルス信号に従って駆動するので、プランジャは毎秒50回又は60回の往復動をする。その往復動の度に閉止弁体が閉止弁座に衝突すると、ユーザに不快感を与える振動音が発生する虞がある。特に、石油ファンヒータは、寝室等で用いられるので、それに用いられ得る電磁ポンプにおいては、振動音の発生が少なく優れた静音性が求められる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、プラスヘッド配置において、液体燃料の流出を効果的に抑制すると共に、駆動時における振動音の発生が少なく静音性に優れた電磁ポンプ及びそれを用いた燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、吸入管から吐出管へ液体を供給する
駆動電圧DC24Vの電磁ポンプであって、吸入管に接続される吸入ジョイントと、吐出管に接続される吐出ジョイントと、前記吸入ジョイントと前記吐出ジョイントとの間に配設された管状のシリンダと、前記シリンダの外側に配設され間欠的に磁力を発生させる電磁コイルと、前記シリンダの内側に配設され前記電磁コイルが発生させた磁力により軸心方向に往復動するプランジャと、前記プランジャを前記吐出ジョイント側に付勢する付勢部と、を備え、前記プランジャは、前記吸入ジョイント側の端部に設けられて流体を吸引させる吸入逆止弁部と、前記吐出ジョイント側の端部に設けられて前記電磁コイルによる前記プランジャの駆動が停止したときに前記吐出ジョイントへの液体の流れを抑制する閉止弁と、を有し、前記シリンダの吐出ジョイント側の端部には、前記閉止弁と対になる閉止弁座が設けられ、前記シリンダの吸入ジョイント側の端部には、前記プランジャに流れる液体を律速する狭隘部が設けられ、前記吐出ジョイントは、吐出される液体の流量を制御するオリフィス部を有し、前記狭隘部の通路面積は、前記シリンダの
通路面積の4/100以下であり、前記オリフィス部の通路面積より小さいことを特徴とする。
【0012】
上記電磁ポンプにおいて、前記狭隘部は、前記付勢部の受け座と一体的に構成されていることが好ましい。
【0013】
上記電磁ポンプにおいて、前記吸入ジョイントは、前記狭隘部との間に設けられて液体のごみ粒子を濾過するフラットフィルタを有することが好ましい。
【0014】
上記電磁ポンプにおいて、前記電磁コイルは、制御装置から出力された駆動パルス信号で駆動し、前記駆動パルス信号は、直流矩形波であることが好ましい。
【0015】
上記電磁ポンプにおいて、前記駆動パルス信号の周波数は、商用周波数の約数の倍数以外であることが好ましい。
【0016】
上記電磁ポンプは、燃焼装置に使用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シリンダの吸入側端部に狭隘部が設けられているので、シリンダ内に流れる液体が律速され、シリンダ内にかかるヘッド圧が低減されるので、電磁ポンプ自体に、プラスヘッド配置によるヘッド圧が恒常的にかかっても、シリンダ内のヘッド圧は抑えられ、プランジャの往復動位置が吐出方向に移動することもない。従って、電磁ポンプの駆動時に、閉止弁が、シリンダの吐出ジョイント側の端部に設けられた閉止弁座と衝突することもなく、駆動時における振動音の発生が少なく静音性に優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る電磁ポンプについて、
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の電磁ポンプ1は、暖房や給湯等に用いられる燃焼装置、ここでは、屋内に設置される石油ファンヒータ10の配管(吸入管10A、吐出管10B)に付設される。電磁ポンプ1は、石油ファンヒータ10に組み込まれており、屋外に設置された燃料タンク11に貯蔵された灯油等の液体燃料Lfを、吸入管10Aと接続された送油管12を介して、石油ファンヒータ10の内部に設けられた油タンク10Tに供給する。燃料タンク11の油面LSは、電磁ポンプ1の設置位置よりも高く、電磁ポンプ1に順(プラス)方向のヘッド圧(プラスヘッド圧)がかかる配置となっている。
【0020】
石油ファンヒータ10は、油タンク10T内に設けられて供給された液体燃料Lfの液面位を検知するセンサ10Sと、センサ10Sが検知した液面位が所定値よりも低くなると、電磁ポンプ1に向けて駆動パルス信号を出力する制御装置10Cと、を有する。電磁ポンプ1は、制御装置10Cから受信した駆動パルス信号に従って駆動し、液体燃料Lfの液面位が所定値になるまで液体燃料Lfを供給する。油タンク10Tには、燃焼部(不図示)へ液体燃料Lfを供給する別途の電磁ポンプ10Pが設けられている。なお、電磁ポンプ1は、上記電磁ポンプ10Pに適用することもできる。
【0021】
図2に示すように、電磁ポンプ1は、吸入管10A(
図1参照)に接続される吸入ジョイント2と、吐出管10Bに接続される吐出ジョイント3と、吸入ジョイント2と吐出ジョイント3との間に配設された管状のシリンダ4と、シリンダ4の外側に配設され制御装置10Cから受信した駆動パルスに従って間欠的に磁力を発生させる電磁コイル5と、シリンダ4の内側に配設され電磁コイル5が発生させた磁力により軸心方向に往復動するプランジャ6と、を備える。
【0022】
吸入ジョイント2は、シリンダ4の下端部に外嵌される吸入筒21を主体とする。吸入筒21は、上部に形成された大径部21a及びその下部に一体形成された小径部21bから成る二段構造とされ、大径部21a及び小径部21bを上下方向に貫通する貫通孔22を有する。小径部21bの外周には、吸入管10Aを接続するための雄ねじが形成されている。小径部21bの下端は、吸入管10Aを当接液密にし易いように、丸みを帯びた先細り形状となっている(
図3(a)(b)も参照)。
【0023】
貫通孔22は、大径部21aを貫通する上円筒孔22aと、小径部21bを貫通し、大径部21aよりも小径の下円筒孔22bと、大径部21aと小径部21bとを繋ぐ円錐孔22cと、大径部21aの頂面から円形に凹設されたリング嵌合部22dと、を有する。大径部21aの上円筒孔22aに、シリンダ4が嵌挿される。リング嵌合部22dには、ゴム等の弾性材料からなる環状シール部材22eが嵌め込まれ、環状シール部材22eを介して吸入ジョイント2とシリンダ4とが互いに連結される。
【0024】
吐出ジョイント3は、シリンダ4の上端部に外嵌されて接続される吐出筒31を主体とする。吐出筒31の外径は、吸入筒21の外径よりも小さくなるように構成されている。吐出筒31は、下部に形成された大径部31a及びその上部に一体形成された小径部31bから成る二段構造とされ、大径部31a及び小径部31bを上下方向に貫通する貫通孔32を有する。小径部31bの外周には、吐出管10Bを接続するための雄ねじが形成されている。小径部31bの上端は、吐出管10Bを当接液密にし易いように、丸みを帯びた先細り形状となっている。
【0025】
貫通孔32は、大径部31aを貫通する下円筒孔32aと、小径部31bを貫通し、大径部31aよりも小径の上円筒孔32bと、大径部21aの底面から円形に凹設されたリング嵌合部32cと、を有する。大径部31aの下円筒孔32aに、シリンダ4が嵌挿される。リング嵌合部32cには、環状シール部材32dが嵌め込まれ、環状シール部材32dを介して吐出ジョイント3とシリンダ4とが互いに連結される。
【0026】
吐出ジョイント3は、プランジャ6で吸引した液体(液体燃料Lf)を、小径部31bの上円筒孔32bへ吐出する吐出逆止弁部33を有する。吐出逆止弁部33は、下円筒孔32a及び上円筒孔32bにわたって内嵌される弁ホルダ33aと、弁ホルダ33a内の小径部31b側に内装される円柱状の吐出弁33bと、弁ホルダ33a内の大径部31a側に内嵌され吐出弁33bを受ける吐出弁座33cと、吐出弁33bを吐出弁座33c側に付勢する吐出弁スプリング33dと、を有する。
【0027】
また、吐出ジョイント3は、小径部31bの上端に、吐出される液体の流量を制御するオリフィス部34を有する。オリフィス部34は、中央に設けられた細管34aと、細管34aから下円筒孔32aに向けて広がるように形成された下円錐孔34bと、吐出ジョイント3上端部に向けて広がるように形成された上円錐孔34cと、を有する。
【0028】
電磁コイル5は、非磁性体から成るコイルボビン51に導電性を有する線材を巻き付けて形成される。コイルボビン51は、線材が巻き付けされる軸心と、その上下端に夫々設けられた鍔部と、を有する。コイルボビン51は、シリンダ4との間に隙間が形成されるように、その内径寸法が、シリンダ4の外径寸法より若干大きくなるよう設定される。
【0029】
コイルボビン51とシリンダ4との間の隙間には、上部及び下部から夫々リング状の磁性体52、53が嵌め込まれることで、プランジャ6と共に、その内部が磁路となるように形成されている。各磁性体52、53の位置及び長さ寸法は、シリンダ4に外嵌された状態で各先端部が所定の長さだけ離間するように設定され、プランジャ6は、その下端が上記磁性体53の上端から所定寸法離間した位置となるように設定されている。これにより、電磁コイル5に通電されると、プランジャ6を下方移動させるための磁束が生成される。
【0030】
各磁性体52、53には、側面視でコ字状の磁性材料から成るヨーク54が外嵌されている。ヨーク54は、外部磁路を形成し、電磁ポンプ1の構造材の一部として機能する(
図3(a)も参照)。ヨーク54は、上下に対峙する一対の水平板部54aと、一側面でこれら水平板部54aに架設された鉛直板部54bと、を有する。上下の水平板部54aの中央位置には、磁性体52、53に夫々外嵌される貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、磁性体52、53を介してシリンダ4が嵌挿される。また、磁性体52、53の相反する周縁部には、夫々フランジ52a、53aが設けられ、ヨーク54は、これら上下のフランジ52a、53aによって挟持される。
【0031】
電磁コイル5の外周のうち、ヨーク54の鉛直板部54bを除く4面には、電磁コイル5がシリンダ4を軸として回転しないように、回り止め部55が取り付けられている(
図3(a)乃至(c)も参照)。回り止め部55は、上側の水平板部54aの上部に所定の隙間を介して配される上部止板55aと、下側の水平板部54aの下部に所定の隙間を介して配される下部止板55bと、鉛直板部54bの隣り合う2鉛直面に配される側面板部55cと、を有する。下部止板55bが、水平に配置された板状の取付金具55dとビスで連結され、電磁ポンプ1は取付金具55dを介して石油ファンヒータ10の所定位置に取り付けられる。
【0032】
コイルボビン51の上方の鍔部には、外方に向かって突設された端子台56aが設けられている。この端子台56aには、2本の接続端子56bが設けられ、これらの接続端子56bには、制御装置10Cから出力される駆動パルス信号を伝送するためのリード線が接続される。各接続端子56bには、コイルボビン51に巻き付けられた線材の両端末が夫々接続され、受信した駆動パルス信号に従って、電磁コイル5が間欠的に励磁される。
【0033】
また、電磁ポンプ1は、プランジャ6を軸心方向に往復動させる付勢部41(スプリング)を有する。付勢部41は、シリンダ4に内装され、プランジャ6の底部と、シリンダ4の下端に設けられた狭隘部7(詳細については後述する)との間に圧縮状態で配置され、プランジャ6を上方(吐出ジョイント3側)に向けて押圧する。
【0034】
プランジャ6は、液体を流動させるための略円筒状に形成されており、その外径がシリンダ4の内径より若干小さめに設定される。その内部の吸入ジョイント2側の端部には、プランジャ6の下方移動時に開弁し、上方移動時に閉止し、吸入ジョイント2側から流体を吸引し、吐出ジョイント3側へ流動させる吸入逆止弁部61が設けられている。吸入逆止弁部61は、プランジャ6内の吸入ジョイント2側の位置に内装される円柱状の吸入弁61aと、プランジャ6の下端部に内嵌され吸入弁61aの受け座となる吸入弁座61bと、吸入弁61aを吸入弁座61b側に付勢する吸入弁スプリング61cと、を有する。吸入弁座61bの下端部には、付勢部41(スプリング)の上端部が保持されている。
【0035】
また、プランジャ6は、吐出ジョイント3側の端部に設けられ、電磁コイル5によるプランジャ6の駆動が停止したとき、吐出ジョイント3への液体の流れを抑制する閉止弁62aを有する。シリンダ4内の吐出ジョイント3側の端部には、吐出弁座33cの下面に当接するように、閉止弁座62bが設けられている。閉止弁62aは、その内部に側面断面視でT字形状となるように形成されたT字流路を有し、T字流路の上部開口は夫々外周方向に開口している。閉止弁座62bは、貫通孔を有する円筒部材であり、その外周において吐出ジョイント3の下円筒孔32aに内嵌される中太部と、閉止弁62aを受ける下細部と、吐出弁座33cと当接する上細部と、を有する。閉止弁座62bは、上細部が弁ホルダ33aに内嵌され、中太部が弁ホルダ33a及びシリンダ4の各縁部によって挟持されることで、吐出ジョイント3の下円筒孔32a内に保持される。
【0036】
また、電磁ポンプ1は、シリンダ4の吸入ジョイント2側の端部に設けられ、プランジャ6に流れる液体の流量を抑制する狭隘部7を有する。狭隘部7は、吸入ジョイント2の上円筒孔22aに内嵌され、その上端部がシリンダ4の下縁部に当接している。狭隘部7は、中央に設けられた細管71と、細管71から吸入ジョイント2の円錐孔22cに向けて広がるように形成された下円錐孔72と、シリンダ4内に向けて広がるように形成された上円錐孔73と、を有する。上円錐孔73の上部開口は、下円錐孔72の下部開口よりも小さくなるよう設定されている。
【0037】
また、狭隘部7の上面には、上円錐孔73の上部開口の周縁が突出した鉢状部74が設けられており、この鉢状部74の外周が、付勢部41(スプリング)の下端部を保持する受け座となる。すなわち、狭隘部7は、付勢部41の受け座と一体的に構成されている。こうすることで、部材が簡略化され、製造、組み立てが容易になり、生産性を向上させることができる。
【0038】
吸入ジョイント2は、狭隘部7との間に設けられ、液体のごみ粒子を濾過するフラットフィルタ8を有する。フラットフィルタ8の外寸は、吸入ジョイント2の上円筒孔22aに内寸に対応するよう設定され、また、フラットフィルタ8の濾過部分は、狭隘部7の下円錐孔72の下部開口に対応するよう設定される。従来は、吸入ジョイント2に筒状フィルタを内装していたが、吸入ジョイント2が大型化する問題があり、石油ファンヒータ10といった製品自体に組み込まれる電磁ポンプは小型化が求められている。筒状フィルタはゴミや粉塵の濾過性能は高いものの、必ずしも電磁ポンプ1に内装されている必要はない。本実施形態では、液体の吸入方向と直交するように、フラットフィルタ8を設けることで、簡易な構成で一定の濾過性能を確保すると共に、電磁ポンプ1を小型化することができる。なお、従来の筒状フィルタは、
図1に示した送油管12のいずれかの箇所に設けられていてもよい。
【0039】
上記のように構成された電磁ポンプ1の動作について、
図4(a)(b)を参照して説明する。まず、制御装置10C(
図4参照)が電磁ポンプ1に向けて駆動パルス信号を出力すると、駆動パルス信号のオンタイミングで電磁コイル5が励磁されて、磁性体52、53間に磁束が発生する。プランジャ6は、磁気吸引力を受けて、付勢部41の付勢力に抗して下降し、閉止弁62aが閉止弁座62bから離れる。このとき、シリンダ4上方における閉止弁座62b及びプランジャ6の吸入弁61a上端で挟まれた空間(以下、ポンプ室40A(
図4(b)参照))が略真空状態となる。一方、シリンダ4下方におけるプランジャ6下端及び狭隘部7で挟まれた空間40Bが高圧になるので、吸入弁61aは、吸入弁スプリング61cの付勢力に抗して吸入弁座61bから離れ、シリンダ4下方の液体が、吸入弁座61bの貫通孔を介してポンプ室40Aに供給される。
【0040】
一方、駆動パルス信号のオフタイミングでは、電磁コイル5からの磁束が消えると、付勢部41の付勢力によって、プランジャ6が下死点から上方に向かって押し上げられる(
図4(a)参照)。このとき、シリンダ4上方のポンプ室40A内が昇圧され、吸入弁61aは吸入弁座に着座し閉止する。吐出弁33bは上方に押圧され、吐出弁スプリング33dの付勢力に抗して、吐出弁33bが吐出弁座33cから離れ、液体は、オリフィス部34から吐出管10B(
図1参照)へ吐出される。
【0041】
駆動パルス信号の周波数(オン・オフタイミング)及び付勢部41の付勢力は、オフタイミングでプランジャ6が上動して、閉止弁62aが閉止弁座62bに当接する前に、次のオンタイミングに切り替わって、プランジャ6が上死点から下動に転じるように、調整される。従って、電磁ポンプ1の通常駆動において、プランジャ6の上端にある閉止弁62aは、閉止弁座62bに衝突することなく上下動し、所定流量の液体を吐出管10Bへ吐出することができる。
【0042】
本実施形態において、制御装置10Cから出力され電磁コイルが受信する駆動パルス信号は、直流矩形波であることが好ましい。従来の電磁ポンプは、商用周波数60又は50Hzの正弦波を半波整流した駆動パルス信号が用いられてきた。しかしながら、この場合、脈動による振動音、弁の開閉による衝突音が大きく、静音性に問題があった。これに対して、本実施形態では、駆動パルス信号を、直流矩形波とすることで、要求される流量と振動音等の低減を考慮しながら、任意の周波数及びパルス幅を設定することができる。
【0043】
また、上記駆動パルス信号の周波数は、商用周波数の約数の倍数以外であることが好ましい。電磁ポンプ1が設置される機器(石油ファンヒータ10)には、ファン等の他の動作機器が複数、組み込まれており、それらには商用周波数の60又は50Hzで駆動されることが多い。そのため、電磁ポンプを商用周波数と同じか、又はその約数の倍数の周波数で駆動させると、他の動作機器、更には筺体、配管等との間で共振が起こり、騒音の原因になることがあった。これに対して、本実施形態では、商用周波数の約数の倍数以外の周波数で駆動制御することで、60又h50Hzの周波数で駆動する他の機器との共振を避け、共振による騒音の発生を抑制することができる。例えば、電圧はDC24V、周波数は23Hz、パルス幅は10msとなる。
【0044】
本実施形態の電磁ポンプ1によれば、シリンダ4の吸入側端部に狭隘部7が設けられているので、シリンダ4内に流れる液体が律速され、シリンダ4内にかかるヘッド圧が低減される。そのため、電磁ポンプ1自体に、通常よりも高いプラスヘッド配置によるヘッド圧が恒常的にかかっても、シリンダ4内のヘッド圧は抑えられ、プランジャ6の往復動位置が吐出方向に移動することもない。従って、電磁ポンプの駆動時に、閉止弁62aが閉止弁座62bに衝突することもなく、駆動時における振動音の発生が少なく静音性に優れた電磁ポンプ1を得ることができる。また、狭隘部7は、他の流通経路よりも液体の通路面積が小さいので、シリンダ4への液体の吸入流を律速すると共に、電磁ポンプ1からの吐出流を律速することができ、電磁ポンプ1の吐出流量の精度を向上させることができる。
【0045】
また、電磁ポンプ1は、吸入口に狭隘部7を、吐出口にオリフィス部34を設けているので、それらの細管の口径を調整することで、吸入流及び吐出流を夫々律速することができ、プランジャ6の往復動が安定し、プランジャ6端部に設けた閉止弁62aが閉止弁座62bに衝突することを効果的に抑制することができる。
【0046】
更に詳述すると、吐出口に設けられるオリフィス部34の通路面積及びその精度は、電磁ポンプ1の吐出流量精度を制御する目的で、プランジャ6の摺動抵抗、吸入逆止弁部61、吐出逆止弁部33の閉止性能、及び付勢部41(スプリング荷重)のバラツキ等といった、吐出口となるオリフィス部34に至るまでのバラツキを吸収し、シリンダ4内から吐出される液体を律速させて電磁ポンプの吐出流量の調整と精度を得られるように設定される。一方、吸入口に設けされる狭隘部7は、プラスヘッド配置によるヘッド圧が設置条件によって様々となる場合に、その影響を吸収するように、シリンダ4内に流入する液体を律速させて、狭隘部7によってプランジャ6にプラスヘッド圧が直接かからないように設定される。なお、本実施形態では、狭隘部7を別構成としているので、ヘッド圧が設置条件によって異なる場合でも、通路面積が異なる狭隘部7を適宜に交換することで対応することができる。
【0047】
本件出願人らが行った実験によれば、狭隘部7の細管71の通路面積は、シリンダ4の通路面積の4/100以下であることが好ましい。なお、ここでいうシリンダ4の通路面積は、シリンダ4の内径に基づく面積であり、付勢部41やプランジャ6等が内装により狭められる面積を含まないものとする。狭隘部7の細管71の通路面積を、シリンダ4の通路面積の4/100以下とすることで、シリンダ4内にかかるヘッド圧を低減し、プランジャ6の往復動位置を吐出方向に移動させないという効果を現実的に得ることができる。なお、例えば、図示した構成において、吸入ジョイント2の下円筒孔22bの内径は、シリンダ4(上円筒孔22a)の内径よりも小さくなっているので、下円筒孔22bは、広義には狭隘部に相当し得るが、本実施形態における狭隘部には含まれない。
【0048】
また、実験によれば、狭隘部7の細管71の通路面積は、オリフィス部34の細管の通路面積より小さくなるように設定されることが好ましい。プラスヘッド配置において、吸入側にある狭隘部7を、吐出側にあるオリフィス部34よりも小径にすることで、プランジャ6の下動時に、シリンダ4下方空間にある流体燃料の一部が、吸入ジョイント2側へ逆流することを抑制できるので、シリンダ4上方のポンプ室内への液体の流入を助成し、要求流量を確保し易くすることができる。
【0049】
制御装置10Cから電磁コイル5へ出力される駆動パルス信号が停止されると、プランジャ6は、付勢部41の付勢力によって上動し、閉止弁62aが閉止弁座62bに当接して、液体の流路が閉止される(
図2参照)。また、吐出弁33bが、吐出弁スプリング33dの付勢力により吐出弁座33cに押圧されるので、吐出ジョイント3内部において、液体の流路は、二重に閉止された状態となる。しかも、狭隘部7及び閉止弁62aにより、プラスヘッド配置によるヘッド圧は、吐出ジョイント3の吐出弁33bにまでは影響しないので、吐出弁スプリング33dの付勢力は必要最低限であっても、液体が、吐出弁33bをすり抜けて流出することはなく、石油ファンヒータ10(燃焼装置)の油タンク10T(
図1参照)から溢れ出ることもない。
【0050】
本発明の第2の実施形態に係る電磁ポンプについて、
図5を参照して説明する。本実施形態の電磁ポンプ1は、吸入ジョイント2が、第1吸入ジョイント2A及び第2吸入ジョイント2Bから構成されている。また、狭隘部7Aが、第1吸入ジョイント2Aと一体化されている。シリンダ4、プランジャ6及び吐出ジョイント3等の他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0051】
第1吸入ジョイント2Aは、第1吸入筒21Aを主体とし、上部に形成された大径部21a、中部に一体形成された中径部21c、及び下部に一体形成された小径部21bから成る三段構造とされる。狭隘部7Aは、大径部21aを貫通する上円筒孔22aと、中径部21c及び小径部21bを貫通する下円筒孔22bとの間に形成される。大径部21aの頂面には円形のリング嵌合部22dが凹設され、このリング嵌合部22dには、環状シール部材22eが嵌め込まれて、環状シール部材22eを介して第1吸入ジョイント2Aとシリンダ4とが互いに連結される。中径部21cの大径部21a側外周には、第2吸入ジョイント2Bと連結するための凹溝部23が形成されている。
【0052】
第2吸入ジョイント2Bは、第2吸入筒21Bを主体とし、上部に形成された大径部21d及びその下部に一体形成された小径部21eから成る二段構造とされる。また、第2吸入ジョイント2Bは、大径部21dを貫通する上円筒孔22fと、小径部21eを貫通して大径部21dよりも小径の下円筒孔22gと、大径部21dと小径部21eとを繋ぐ円錐孔22hと、を有する。上円筒孔22fは、第1吸入ジョイント2Aの凹溝部23に設けられた環状シール部材22iを介して第1吸入ジョイント2Aの中径部21cに外嵌される。
【0053】
上円筒孔22fには、筒状フィルタ8Aが内装される。筒状フィルタ8Aは、上面が開口した有底の筒状体81と、この筒状体81の内に設けられたメッシュ材82とから成る。筒状体81はメッシュ材82を保持できればよく、その側周面及び底面には複数の液体流入開口(不図示)が形成されている。上記のように構成された筒状フィルタ8Aは、第1吸入ジョイント2Aの小径部21bに外嵌される。従って、第2吸入ジョイント2Bの上円筒孔22fに流入した液体は、筒状フィルタ8Aを通過する際に濾過されて、第1吸入ジョイント2Aの下円筒孔22bに流入する。
【0054】
本実施形態によれば、狭隘部7Aが、第1吸入ジョイント2Aと一体化されているので、狭隘部7が別構成であった第1の実施形態に比べて、電磁ポンプ1の組み立て工程が簡略化され、生産性を向上させることができる。また、第2吸入ジョイント2Bに筒状フィルタ8Aを設けたので、フラットフィルタ8を設けた第1の実施形態に比べて、濾過性能を向上させることができる。
【0055】
本発明は、シリンダ4内へのプラスヘッド配置におけるヘッド圧の影響を低減する効果を現実的に得られる意味において、狭隘部7をシリンダ4の吸入側に設けたものであれば、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。また、本発明は、プラスヘッド配置において好適に採用され得るが、電磁ポンプ1の設置位置が、燃料タンクの油面よりも高くなることにより、電磁ポンプに逆(マイナス)方向圧がかかる、いわゆるマイナスヘッド配置、又は燃料タンクの油面と同等で、ヘッド圧がかからない条件でも過不足なく採用される。なお、上記実施形態では、燃焼装置として、屋内に設置される石油ファンヒータを例示したが、例えば、屋外に設置する石油給湯器、温水ルームヒータ用ボイラ等であってもよい。更には、電磁ポンプ1は、燃焼装置に限らず、配管を用いて液体を供給する種々の機器に採用され得る。また、電磁ポンプ1により供給される液体は、灯油等の液体燃料以外の液体であってもよい。