特許第6948240号(P6948240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイホン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000002
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000003
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000004
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000005
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000006
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000007
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000008
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000009
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000010
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000011
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000012
  • 特許6948240-ナースコールシステム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948240
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20210930BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
   H04M9/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-231730(P2017-231730)
(22)【出願日】2017年12月1日
(65)【公開番号】特開2019-97864(P2019-97864A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 将規
(72)【発明者】
【氏名】葛原 偉民
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔悟
【審査官】 松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−220806(JP,A)
【文献】 特開2016−077522(JP,A)
【文献】 特開2010−232758(JP,A)
【文献】 特開平10−290821(JP,A)
【文献】 特開2006−230892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール子機と、
ナースコール親機と、
医療従事者が携帯する携帯端末と、
前記ナースコール子機、前記ナースコール親機、および前記携帯端末の間の通信を制御するナースコール制御機と、
前記ナースコール子機、前記ナースコール親機、および前記携帯端末の間の通話を制御する構内交換機と、
を備え、
前記ナースコール子機から前記携帯端末に向けて前記構内交換機を介して通話路を形成するための呼出信号が発信されたとき、
前記携帯端末は、前記ナースコール制御機から前記呼出信号と関連する患者の患者情報を受信して当該患者情報を用いて呼出画面を生成し、前記携帯端末の表示部に表示されている画面の一部に、前記呼出画面を重ねて表示する、
ナースコールシステム。
【請求項2】
前記患者情報は、患者氏名、病室番号およびベッド番号である、
請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記携帯端末の表示部に表示されている画面は、電子カルテである、
請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記表示部に表示された呼出画面に対して所定の動作を行うことにより、前記呼出画面を前記ナースコール子機との通話を選択可能な通話操作画面に切り替えて表示する
請求項1から3のいずれかに記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記表示部に表示された呼出画面に対して所定の動作を行うことにより、前記通話路を維持した状態で、前記呼出画面を非表示とすることができる、
請求項1から3のいずれかに記載のナースコールシステム。
【請求項6】
前記ナースコール制御機および前記携帯端末と通信可能に接続されるとともに、前記ナースコール子機から呼び出されたことを示す着信画面を生成することが可能な電話帳サーバ、
を備え、
前記電話帳サーバは、前記ナースコール制御機から前記呼出信号と関連する患者の患者情報を受信して当該患者情報を用いて着信画面を生成し、
前記携帯端末は、前記表示部に呼出画面が表示されてから所定時間経過した後に、前記呼出画面を前記着信画面に切り替えて表示し、
前記着信画面は、前記呼出画面よりも詳細な患者情報を含む
請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項7】
前記表示部に表示されている前記画面に対して所定の動作を行うことにより前記呼出画面を再表示することができる、請求項5に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者等が医療従事者を呼び出すためのナースコールシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入院患者が、その患者自身が利用するベッドに設置されたナースコール子機を用いて、ナースステーションに設置されたナースコール親機や担当の医療従事者(医師や看護師等)が携帯する携帯端末を呼び出すことが可能なナースコールシステムがある。
【0003】
病院内に、例えば所定の周波数帯を利用したローカル通信網が構築されている。ナースコール子機からの呼出信号は、交換機及びローカル通信網を介して、呼出先の医療従事者が携帯する携帯端末に通知され、携帯端末側で着信を許可した後に、患者と医療従事者間で通話が可能となる。
【0004】
携帯端末は、ナースコール子機からの呼出信号を受信すると、その表示部に、表示画面として、ナースコール子機の子機IDおよび患者氏名等を含んだ呼出画面を表示する(例えば、特許文献1参照)。例えば、携帯端末の表示部に表示された電子カルテを操作中であっても、呼出信号を受信すると、表示画面が、電子カルテから呼出画面に切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−171191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のナースコールシステムの構成では、ナースコール子機からの呼び出しに対して確実に対応できるように、担当の医療従事者以外の医療従事者が携帯する携帯端末にも呼出信号が通知されるように設定されている。そのため、ナースコール子機からの呼出信号を受信する頻度が高くなり、そのたびに携帯端末の表示画面が自動的に呼出画面に切り替わることになる。例えば、既に携帯端末の表示部に表示されている電子カルテの操作を優先したい場合であっても、呼出信号を受信すると呼出画面に切り替わるため、電子カルテの操作を続けることができない。このように、従来のナースコールシステムの構成では、携帯端末が呼出信号を受信した際の利便性に改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、ナースコール子機からの呼出信号を受信した際の携帯端末の利便性を向上させることが可能なナースコールシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のナースコールシステムは、
ナースコール子機と、
ナースコール親機と、
医療従事者が携帯する携帯端末と、
前記ナースコール子機、前記ナースコール親機、および前記携帯端末の間の通信を制御するナースコール制御機と、
前記ナースコール子機、前記ナースコール親機、および前記携帯端末の間の通話を制御する構内交換機と、
を備え、
前記ナースコール子機から前記携帯端末に向けて前記構内交換機を介して通話路を形成するための呼出信号が発信されたとき、
前記携帯端末は、前記ナースコール制御機から前記呼出信号と関連する患者の患者情報を受信して当該患者情報を用いて呼出画面を生成し、前記携帯端末の表示部に表示されている画面の一部に、前記呼出画面を重ねて表示する、
ナースコールシステム。
【0009】
上記構成によれば、例えば、患者がナースコール子機を用いてナースコールしたとき、医療従事者が携帯する携帯端末では、構内交換機を介して送信されてきた呼出信号により呼出動作が行われるとともに、呼出画面が携帯端末の表示部に表示されている画面の一部に重ねて表示される。このため、呼出し直前まで見ていた画面を見ながら、患者情報を確認できるため、ナースコール子機からの呼出信号を受信した際の携帯端末の利便性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記患者情報は、患者氏名、病室番号およびベッド番号である。
【0011】
上記構成によれば、携帯端末を携帯する医療従事者は、呼出画面に含まれる患者氏名、病室番号およびベッド番号の患者情報を確認し、呼出への応答の要否を判断することができる。
【0012】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記携帯端末の表示部に表示されている画面は、電子カルテである。
【0013】
上記構成によれば、携帯端末を携帯する医療従事者は、呼出し直前まで見ていた電子カルテを見ながら、患者情報を確認できるため、ナースコール子機からの呼出信号を受信した際の携帯端末の利便性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記表示部に表示された呼出画面に対して所定の動作を行うことにより、前記ナースコール子機と通話可能になる。
【0015】
上記構成によれば、携帯端末を携帯する医療従事者は、呼出への応答が必要な場合には、所定の動作でナースコール子機と通話することが出来る。
【0016】
また、本発明のナースコールシステムは、
前記表示部に表示された呼出画面に対して所定の動作を行うことにより、前記呼出画面を非表示とすることができる。
【0017】
上記構成によれば、携帯端末を携帯する医療従事者は、呼出し直前まで見ていた画面の確認を優先すべき場合には、所定の動作を行うことにより、呼出画面を非表示とし、確認すべき画面を広く表示することができる。
【0018】
また、本発明のナースコールシステムは、
前記ナースコール制御機および前記携帯端末と通信可能に接続されるとともに、前記ナースコール子機から呼び出されたことを示す着信画面を生成することが可能な電話帳サーバ、
を備え、
前記電話帳サーバは、前記ナースコール制御機から前記呼出信号と関連する患者の患者情報を受信して当該患者情報を用いて着信画面を生成し、
前記携帯端末は、前記表示部に呼出画面が表示されてから所定時間経過した後に、前記呼出画面を前記着信画面に切り替えて表示する。
【0019】
上記構成によれば、携帯端末を携帯する医療従事者は、呼出画面よりも詳細な患者情報を含む着信画面を確認し、呼出への応答の要否を判断することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のナースコールシステムによれば、ナースコール子機からの呼出信号を受信した際の携帯端末の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るナースコールシステムの構成図である。
図2】ナースコール制御機の機能ブロック図である。
図3】患者情報テーブルの一例を示す図である。
図4】携帯端末の機能ブロック図である。
図5】(a)は携帯端末の表示画面に表示されている電子カルテの一例を示す図であり、(b)は前記(a)の電子カルテが表示された状態でナースコールがされたときに携帯端末に表示される着信アイコンの一例を示す図であり、(c)は前記(b)の着信アイコンが表示された状態から所定時間経過したときに携帯端末に電子カルテの一部に重ねて表示される呼出画面の一例を示す図である。
図6】(a)はナースコールに対して応答するための操作の一例であり、図5(c)の呼出画面を下方向にスワイプ操作することにより通話操作画面に切り替える一例を示す図であり、(b)は携帯端末の表示画面に表示される通話操作画面の一例を示す図である。
図7】(a)はナースコールに対して応答するための操作の別の例であり、図5(c)の呼出画面を下方向にスワイプ操作することにより応答選択画面に切り替える一例を示す図であり、(b)は携帯端末の表示画面に表示される応答選択画面の一例であり、内線操作項目をタップ操作することにより通話操作画面に切り替える一例を示す図であり、(c)は携帯端末の表示画面に表示される通話操作画面の一例を示す図である。
図8】(a)は呼出画面を非表示とするための操作の一例であり、図5(c)の呼出画面を上方向にスワイプ操作することにより呼出画面を非表示とする一例を示す図であり、(b)は呼出画面が非表示とされた携帯端末の表示画面の一例を示す図である。
図9】(a)は本発明の変形例を示す図であり、電子カルテの一部に重ねて表示された呼出画面の一例であり、(b)は前記(a)の呼出画面が表示された状態から所定時間経過したときに携帯端末の表示画面に切り替え表示される着信画面の一例を示す図である。
図10図9の本発明の変形例に係るナースコールシステムの構成図である。
図11】電話帳サーバの機能ブロック図である。
図12】(a)はナースコールがされていないときの電話帳サーバの一例を示す図であり、(b)はナースコールがされているときの電話帳サーバの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ナースコールシステム1は、ナースコール子機2と、廊下灯3と、カメラ4と、ナースコール親機5と、携帯端末6と、ナースコール制御機7と、構内交換機8と、ローカル用基地局9と、オーダリングシステム10と、管理サーバ11とを備えている。
【0023】
ナースコール子機2は伝送線L1を介して廊下灯3に接続されており、カメラ4は伝送線L2を介して廊下灯3に接続されている。ローカル用基地局9は、伝送線L3を介して構内交換機8に接続されている。また、各部は、ネットワークN(本例では、LAN:Local Area Network)を介して通信可能に接続されるとともに、必要に応じてハブ(HUB)15により分配されて接続されている。
【0024】
ナースコール子機2は、病室内の病床(ベッド)毎に設置されており、プレート子機21と、プレート子機21に着脱可能な握り子機22とを備えている。プレート子機21は、医療従事者を呼び出すための呼出ボタンと、通話するためのマイク及びスピーカとを有する。握り子機22は、医療従事者を呼び出すための呼出ボタンを有する。ナースコール子機2は、ネットワークN上で用いられる個別の子機番号(子機ID)を有する。
【0025】
廊下灯3は、例えば各病室の出入口付近に設置されており、ナースコール子機2を操作した患者の氏名、ベッド番号等の患者情報を表示する液晶表示部31と、ナースコール子機2から呼び出しが発せられたことを報知する表示ランプ32とを備えている。患者の氏名、病室番号、ベッド番号等の情報は、各ナースコール子機2の子機IDと対応付けて廊下灯3の記憶部(図示省略)に記憶されている。廊下灯3は、ナースコール子機2から送出された呼出信号をネットワークNを介してナースコール制御機7へ送信する。
【0026】
カメラ4は、各ベッドにいる患者の状態(様子)を撮影するためのものであり、病室内の例えばベッド毎に設置されている。各カメラ4は、それぞれのカメラを特定することが可能なIPアドレス(Internet Protocolアドレス:接続先情報の一例)を有する。
【0027】
ナースコール親機5は、ナースステーション等に設置されており、ナースコール子機2からの呼び出しに応答可能に構成されている。ナースコール親機5は、呼び出しに応答するためのハンドセット51と、患者情報が表示される小型モニタ52と、各患者の詳細情報が一覧表示される大型モニタ53とを備えている。
【0028】
携帯端末6(本例では、携帯端末6a〜6e)は、医療従事者(例えば看護師、医師等)が業務に使用するために携帯する端末である。携帯端末6としては、例えばタッチパネル式の表示画面63を有するとともに、無線通信(例えば、「WiFi」)可能なスマートフォン等が用いられる。携帯端末6は、ネットワークN上で用いられる個別の携帯番号(携帯端末ID)を有する。
【0029】
携帯端末6は、病院内に構築されたローカル通信網(ネットワークN)を介して携帯端末6とナースコール子機2とを通話可能に接続する通話モードを有する。この通話モードでは、ローカル用基地局9を介して無線通信により構内交換機8と携帯端末6とを接続し、上記携帯端末IDを用いて携帯端末6とナースコール子機2間の通話が可能になる。また、さらに、携帯端末6は、病院内に設置されたルータ(図示省略)を介して無線通信により携帯端末6とカメラ4とを通信可能に接続する通信モードを有する。また、携帯端末6は、病院内に設置されたルータ(図示省略)を介して無線通信により携帯端末6とナースコール制御機7とを通信可能に接続する通信モードを有する。さらに、携帯端末6は、ローカル通信網を介してインターネットに接続する通信モードを有する。
【0030】
ナースコール制御機7は、ナースコール子機2と各機器間の通信を制御する。例えば、ナースコール制御機7は、ナースコール子機2からナースコールが発信された際に、ナースコール子機2とナースコール親機5との間の通信、およびナースコール子機2と携帯端末6との間の通信を制御する。また、ナースコール制御機7は、携帯端末6から患者の電子カルテの要求信号が発信された際に、ナースコール制御機7と携帯端末6との間の通信を制御する。
【0031】
構内交換機8(例えば、PBX:Private Branch Exchange)は、ナースコール子機2と携帯端末6との通話接続や、ナースコール親機5と携帯端末6との通話接続等を管理するための機器であり、病院内の共用部等に設置されている。ローカル用基地局9は、携帯端末6との間で無線通信を行うためのアンテナであり、病院内に所定の間隔で設置されている。
【0032】
オーダリングシステム10は、患者情報、医師が作成するカルテ(電子カルテ)や患者の処方等の入力を行うためのシステムであり、例えば病院内に設置されている。また、オーダリングシステム10は、ローカル通信網を介して管理サーバ11と通信可能に接続され、オーダリングシステム10にて作成された情報は、管理サーバ11に記憶される。電子カルテは、患者の治療の経過を記録したものであり、患者の住所、氏名、性別及び年齢、病名及び主要症状、治療方法(処方及び処置)、診療の年月日、等の情報を記録したものである。なお、オーダリングシステム10は、病院外に設けられ、インターネットを介して管理サーバ11と通信可能に接続されるようにしてもよい。
【0033】
管理サーバ11は、患者の情報、携帯端末の情報、医療従事者の情報等を含む病院に関する最新の情報を一括して管理するサーバである。
【0034】
次に、ナースコール制御機7の機能について図2図3を参照して説明する。
図2に示すように、ナースコール制御機7は、制御機CPU71と、制御機CPU71に接続された記憶部72、及び制御機インターフェース回路(以下、インターフェース回路を「I/F」と称す)73とを備えている。
【0035】
記憶部72には、入院患者に関連する情報が記憶された患者情報テーブル72aおよび入院患者に関連する電子カルテの情報が記憶された電子カルテ記憶部72bが設けられている。患者情報テーブル72aは、例えば図3に示すように、患者の氏名、診療科目、救護区分、担当看護師(看護師ID)、担当チームの看護師(看護チームID)、カメラ4の撮影映像等の患者情報をナースコール子機の子機IDと対応付けて記憶する。なお、患者情報テーブル72aの各情報は、例えば、管理サーバ11の情報が更新されるたびに管理サーバ11から送信されて最新の情報へと更新される。また、電子カルテ記憶部72bの電子カルテの情報は、例えば、管理サーバ11の電子カルテの情報が更新されるたびに管理サーバ11から送信されて最新の情報へと更新される。なお、ナースコール制御機7をオーダリングシステム10とローカル通信網を介して通信可能に接続し、オーダリングシステム10から入力される電子カルテの情報を電子カルテ記憶部72bに記憶してもよい。
【0036】
制御機CPU71は、例えば記憶部72に記憶される情報の送受信等の管理、ナースコール子機2からのナースコールに対するナースコール親機5及び所定の携帯端末6への接続処理等を行う。制御機I/F73は、ネットワークNとの信号伝送路を形成するための通信部を構成する。
【0037】
また、制御機CPU71は、携帯端末6から無線通信を介して電子カルテの要求信号を受信すると、要求信号に含まれる患者に対応する電子カルテの情報を電子カルテ記憶部72bから読み出し、読み出した電子カルテ情報を無線通信を介して携帯端末6へ送信する。
【0038】
次に、携帯端末6の機能について図4を参照して説明する。
図4に示すように、携帯端末6は、携帯CPU61と、携帯CPU61に接続された携帯アプリケーション62、表示画面63、携帯I/F64とを備えている。
【0039】
携帯アプリケーション62には、携帯端末6の処理を行うためのアプリケーションがインストールされている。例えば、ナースコールを知らせる呼出信号を携帯端末6が受信したとき、所定の操作に基づいて、携帯端末6をカメラ4の撮影映像にアクセスさせるアプリケーションがインストールされている。また、携帯端末6に対して所定の入力操作がなされたとき、ナースコール制御機7から電子カルテの情報を取得するアプリケーションがインストールされている。
【0040】
携帯CPU61は、携帯アプリケーション62にインストールされているアプリケーションに基づいて、携帯端末6の各部の動作を制御する。携帯I/F64は、構内交換機8と信号伝送路を形成するための通信部を構成している。
【0041】
次に、携帯端末の表示画面に電子カルテを表示している状態で、ナースコールがあった場合のナースコールシステム1の動作の一例を説明する。
例えば、図5(a)に示すように、携帯端末の表示画面に電子カルテを表示している状態で、内科フロアにおける101号室のベッド番号1に入院している患者(「矢部裕之」)からナースコールがあった場合、ナースコールシステム1は以下のように動作する。
【0042】
医療従事者を呼び出すための呼出信号(ナースコール信号)が伝送線L1を介してナースコール子機2から廊下灯3へ送信される。廊下灯3は、呼出操作が行われたナースコール子機2を識別し、記憶部に記憶されている患者情報を参照して、識別したナースコール子機2の子機IDを呼出信号に付加する。本例では、101号室の番号1のベッドに設置されているナースコール子機2の子機IDは「101−1」に設定されている。子機ID付きの呼出信号は、ネットワークNを介して、廊下灯3からナースコール制御機7に送信される。
【0043】
子機ID付きの呼出信号を受信したナースコール制御機7の制御機CPU71は、付加されている子機IDを読み取り、子機IDと患者情報テーブル72a(図3参照)とを照合する。制御機CPU71は、患者情報テーブル72aにおいて、子機ID「101−1」に対応付けられている患者情報の中から、例えば患者氏名「矢部裕之」と携帯端末ID「1003.1007.1009」を選択する。そして、制御機CPU71は、呼出信号にナースコール子機2の内線番号(図12参照)を付加したものと、上記選択した患者氏名および携帯端末IDとを構内交換機8へ送信する。なお、本例において内線番号は、子機IDの先頭に「99」を付加した番号、例えば「99101−1」のように形成されている。
【0044】
構内交換機8は、受信した携帯端末ID(「1003.1007.1009」)に基づいて送信先の携帯端末(本例では、携帯端末6a〜6eの中の携帯端末6a〜6cとする)を特定する。構内交換機8は、内線番号付きの呼出信号と患者氏名とを、ローカル用基地局9を介して、携帯端末6a〜6cへ向けて送信する。
【0045】
ナースコール制御機7から構内交換機8を介して内線番号付きの呼出信号と患者氏名とを受信した携帯端末6a〜6cでは、呼出音が出力されるとともに、例えば図5(b)に示すような着信を示すアイコン65が表示画面の上端部に表示される。そして、所定時間(例えば、数秒)経過後、患者情報、例えば、病室番号、ベッド番号および患者氏名を含む呼出画面66が電子カルテの一部に重ねて表示される(図5(c))。
【0046】
携帯端末6a〜6cを携帯する医療従事者は、図6(a)に示すように、呼出画面66を所定の操作、例えば、スワイプ操作やクリック操作することにより(図では下方向のスワイプ操作)、表示画面が、通話操作画面に切り替わる(図6(b))。この状態で、医療従事者は、応答ボタン67を押すことでナースコールを行った患者「矢部裕之」と通話可能になる。なお、内線操作以外の操作(例えば、ある機能の設定操作)がある場合には、通話操作画面に切り替わる前に、内線操作およびその他の操作を選択する応答選択画面を表示し、内線操作項目を所定の操作、例えば、タップ操作することにより、通話操作画面に切り替わる設定としてもよい(図7(a)〜(c)参照)。
【0047】
一方、呼出画面66を非表示とする場合には、図8(a)に示すように、呼出画面66を所定の操作、例えば、スワイプ操作やクリック操作することにより(図では上方向のスワイプ操作)、図8(b)に示すように、呼出画面が非表示となり、表示画面には、着信アイコン65および電子カルテのみを表示した状態となる。なお、所定の操作ではなく、所定時間経過すると自動的に呼出画面66が非表示となる設定としてもよい。また、所定の操作、例えば、着信アイコンをクリック操作することにより、呼出画面を再表示する設定としてもよい。
【0048】
図6(b)において、患者との通話が終了して終話操作がなされると、表示画面は、呼び出し前の状態、すなわち、電子カルテのみを表示した状態となる(図5(a))。なお、他の携帯端末によりナースコールに対して応答がなされた場合にも、呼び出しは終了する。
【0049】
(変形例)
上記実施形態の呼出画面は、患者情報として、病室番号、ベッド番号、患者氏名を表示するものであるが、図9(b)に示すように、より詳しい患者情報を含む着信画面68を表示することも可能である。
図10に示すように、変形例のナースコールシステム100は、電話帳サーバ12が設けられていることが上記実施形態と異なる。第1実施形態と同一要素及び同様な工程については、その詳しい説明を省略し、異なる要素及び工程のみを以下に説明する。
【0050】
電話帳サーバ12は、ローカル通信網を介してナースコール制御機7と通信可能に接続されているサーバであり、例えば病院内に設置されている。また、電話帳サーバ12は、無線通信により携帯端末6と通信可能に接続されている。電話帳サーバ12は、ナースコール子機2からナースコールが発信されたことを示す着信画面を生成する。なお、電話帳サーバは、病院外に設けられていて、インターネットを介してナースコール制御機と通信可能に接続されるようにしてもよい。
【0051】
携帯端末6は、病院内に設置されたルータ(図示省略)を介して無線通信により携帯端末6と電話帳サーバ12とを通信可能に接続する通信モードを有する。また、携帯アプリケーション62(図4参照)には、例えば、ナースコールを知らせる呼出信号を携帯端末6が受信したとき、携帯端末6を電話帳サーバ12の着信画面にアクセスさせるアプリケーションがインストールされている。携帯I/F64は、電話帳サーバ12と信号伝送路を形成するための通信部を構成している。
【0052】
ナースコール制御機7は、ナースコール子機2からナースコールが発信された際に、ナースコール制御機7と電話帳サーバ12との間の通信を制御する。
【0053】
次に、電話帳サーバ12の機能について図11図12を参照して説明する。
図11に示すように、電話帳サーバ12は、サーバCPU101と、サーバCPU101に接続された電話帳テーブル102、着信画面生成部103、着信画面記録部104、及びサーバI/F105とを備えている。
【0054】
電話帳テーブル102には、例えば図12(a)に示すように、ナースコール制御機7の支配下にある、すなわちナースコール制御機7によって制御されている各ナースコール子機2の内線番号のみが登録されている。そして、ナースコール子機2からナースコールが発信されたタイミングで、例えば図12(b)に示すように、電話帳テーブル102には、そのナースコール子機2の内線番号に関連する患者の患者情報が内線番号に対応付けて記録される。また、例えば、電話帳テーブル102に記録された患者情報は、そのナースコールによる通話が終了した際に電話帳テーブル102から消去される。
【0055】
着信画面生成部103は、ナースコール子機2からナースコールが発信されたことを示す着信画面を上記電話帳テーブル102に記録された患者情報をもとにして生成する。
着信画面記録部104は、着信画面生成部103で生成された着信画面が記録される。また、着信画面記録部104は、記録される着信画面に接続するための接続先情報、例えば着信画面にアクセス可能となるURL情報(IPアドレス)がその着信画面と対応付けて記憶される。着信画面記録部104に記録された着信画面及びその接続先情報は、そのナースコールによる通話が終了した際に着信画面記録部104から消去される。
【0056】
サーバCPU101は、例えばナースコール制御機7との間の通信処理、及び携帯端末6との間の通信処理等を行う。サーバI/F105は、ネットワークN、及びルータとの信号伝送路を形成するための通信部を構成している。
【0057】
次に、携帯端末の表示画面に電子カルテを表示している状態で、ナースコールがあった場合のナースコールシステム100の動作の一例を説明する。
内科フロアにおける101号室のベッド番号1に入院している患者(「矢部裕之」)からナースコールがあった場合、医療従事者を呼び出すための呼出信号(ナースコール信号)が伝送線L1を介してナースコール子機2から廊下灯3へ送信され、ネットワークNを介して、廊下灯3からナースコール子機ID付きの呼出信号がナースコール制御機7へ送信される。
【0058】
ナースコール制御機7の制御機CPU71は、子機ID「101−1」に対応付けられている患者情報の中から、患者氏名および携帯端末IDとを選択し、呼出信号にナースコール子機2の内線番号(図12参照)を付加したものと、上記選択した患者氏名および携帯端末IDとを構内交換機8へ送信する。構内交換機8は、受信した携帯端末IDに基づいて送信先の携帯端末を特定する。構内交換機8は、内線番号付きの呼出信号と患者氏名とを、ローカル用基地局9を介して、携帯端末6a〜6cへ向けて送信する。
【0059】
また、制御機CPU71は、子機ID「101−1」に対応付けられている患者情報の中から、着信画面を生成するために用いられる患者情報を選択する。そして、制御機CPU71は、呼出信号にナースコール子機2の内線番号を付加したものと、上記選択した患者情報とを電話帳サーバ12へ送信する。
【0060】
電話帳サーバ12のサーバCPU101は、受信したナースコール子機2の内線番号を識別し、電話帳テーブル102に登録されている内線番号(図12(a)参照)に対応付けて、受信した患者情報を電話帳テーブル102に記録する(図12(b)参照)。
【0061】
電話帳サーバ12の着信画面生成部103は、電話帳テーブル102に記録された患者情報(図12(b)参照)をもとにして着信画面を生成する。生成された着信画面は、当該着信画面にアクセス可能なURL情報(IPアドレス)と共に着信画面記録部104に記録される。
【0062】
サーバCPU101は、呼出信号にナースコール子機2の内線番号を付加したものと、上記着信画面にアクセス可能なURL情報とを携帯端末6a〜6eへ向けて送信する。
【0063】
ナースコール制御機7から内線番号付きの呼出信号と患者氏名とを受信した携帯端末6a〜6cでは、呼出音が出力されるとともに、例えば図5(b)に示すような着信を示すアイコン65が表示画面の上端部に表示される。そして、所定時間経過後、病室番号、ベッド番号および患者氏名を含む呼出画面66が電子カルテの一部に重ねて表示される(図5(c)、図9(a)参照)。
【0064】
また、電話帳サーバ12から内線番号付きの呼出信号と着信画面にアクセス可能なURL情報とを受信した携帯端末6a〜6eは、当該内線番号が上記構内交換機8を介してナースコール子機2から受信した内線番号と一致しているか判別する。本例では、チームナース体制で携帯端末6a〜6cがナースコール子機2から内線番号を受信しており、その内線番号は「99101−1」で一致すると判別される。内線番号が一致すると判別した携帯端末6a〜6cは、呼出画面66を表示して所定時間経過後、URL情報に基づいて、電話帳サーバ12の着信画面にアクセスする。これにより、携帯端末6a〜6cの表示部には、呼出画面66が重ねて表示された電子カルテの画面から、例えば図9(b)に示すような着信画面68に切り替わって表示される。なお、着信画面への切り替わりは、所定の動作、例えば、呼出画面をクリック操作すると、着信画面に切り替わる設定としてもよい。
【0065】
電話帳テーブル102及び着信画面記録部104の各情報は、患者との通話が終了して終話処理がなされると消去される。
【0066】
上記構成のナースコールシステム1によれば、患者がナースコール子機2を用いてナースコールしたとき、医療従事者が携帯する携帯端末6では、構内交換機8を介して送信されてきた呼出信号により呼出動作が行われるとともに、患者情報を含む呼出画面66が携帯端末6の表示部に表示されている電子カルテの一部に重ねて表示される。このため、呼び出し直前まで見ていた電子カルテを見ながら、患者情報を確認できるため、ナースコール子機2からの呼出信号を受信した際の携帯端末6の利便性を向上させることができる。
【0067】
また、患者情報として、患者氏名、病室番号およびベッド番号が表示される。このため、医療従事者は、呼出画面66に含まれる患者氏名、病室番号およびベッド番号の患者情報を確認し、呼び出しへの応答の要否を判断することができる。
【0068】
また、表示部に表示された呼出画面66に対して所定の操作、例えば、スワイプ操作やクリック操作することによりナースコール子機3と通話可能になる。このため、医療従事者は、呼び出しへの応答が必要な場合には、ナースコール子機3と通話することが出来る。
【0069】
また、表示部に表示された呼出画面66に対して所定の操作、例えば、スワイプ操作やクリック操作することにより呼出画面66を非表示とすることができる。このため、医療従事者は、呼び出し直前まで見ていた電子カルテの確認を優先すべき場合には、呼出画面66を非表示とし、電子カルテの表示領域を広くすることができる。
【0070】
また、電話帳サーバ12は、ナースコール制御機7の記憶部72から呼出信号と関連する患者の患者情報を受信して当該患者情報を用いて着信画面68を生成する。この着信画面68は、呼出画面66より詳細な患者情報を含む。このため、医療従事者は、より詳細な患者情報を確認し、呼び出しへの応答の要否を判断することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0072】
上記形態では、携帯端末6に電子カルテを表示している状態でナースコールからの呼び出しを受けた場合について説明したが、電子カルテではなく、例えば、インターネットに接続して所定の情報を表示している状態の時にナースコールからの呼び出しを受けた場合にも適用可能である。
【0073】
また、上記形態では、携帯端末6に着信画面68を表示させる場合、携帯端末6がURL情報に基づいて電話帳サーバ12の着信画面にアクセスしているが、例えば、生成した着信画面を電話帳サーバ12から携帯端末6へ送信し、患者との通話が終了するまで、あるいは所定時間が経過するまで携帯端末6の記憶部に記憶しておくようにしてもよい。
【0074】
また、上記形態では、携帯端末6は電子カルテの情報をナースコール制御機7の電子カルテ記憶部72bから取得しているが、例えば、携帯端末6は無線通信により管理サーバ11と通信可能に接続され、無線通信を介して管理サーバ11から電子カルテの情報を取得しておくようにしてもよい。
【0075】
また、上記形態では、ナースコールからの呼出信号を受信する場合について説明したが、それ以外の呼出信号、例えば、スタッフコールからの呼出信号を受信する場合にも適用可能である。この場合、携帯端末6は、呼出種別(ナースコール、スタッフコール、等)に応じて、着信アイコン等を色分けして表示しても良い。
【符号の説明】
【0076】
1、100:ナースコールシステム、2:ナースコール子機、3:廊下灯、4:カメラ、5:ナースコール親機、6(6a〜6e):携帯端末、7:ナースコール制御機、8:構内交換機、9:ローカル用基地局、10:オーダリングシステム、11:管理サーバ、12:電話帳サーバ、65:着信アイコン、66:呼出画面、67:応答ボタン、68:着信画面、72a:患者情報テーブル、72b:電子カルテ記憶部、102:電話帳テーブル、103:着信画面生成部、104:着信画面記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12