特許第6948243号(P6948243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948243
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】信号機認識装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20210930BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210930BHJP
【FI】
   G08G1/09 D
   G06T7/00 650A
   G06T7/00 300E
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-240777(P2017-240777)
(22)【出願日】2017年12月15日
(65)【公開番号】特開2019-109602(P2019-109602A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2020年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 賢治
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 祐也
(72)【発明者】
【氏名】李 栄篤
(72)【発明者】
【氏名】村山 純哉
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/116922(WO,A1)
【文献】 特開2007−257303(JP,A)
【文献】 特開2009−043068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方を撮像した撮像画像から高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出部と、
前記高輝度領域から円領域を抽出する円領域抽出部と、
前記円領域から所定の範囲内で低輝度領域を抽出する低輝度領域抽出部と、
前記円領域と前記低輝度領域の相対位置及び相対サイズに基づいて、信号機領域を抽出する信号機領域抽出部と、
前記信号機領域に基づいて、信号機の点灯状態を判断する信号機点灯状態判断部と、を備え、
前記低輝度領域のサイズは、該低輝度領域に外接する矩形領域の面積に対する、該低輝度領域の面積の割合とする、ことを特徴とする信号機認識装置。
【請求項2】
前記信号機領域の中の前記円領域に基づいて、前記信号機までの距離を算出する距離算出部を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の信号機認識装置。
【請求項3】
前記信号機点灯状態判断部は、複数の前記撮像画像に基づいて、前記信号機の点灯状態を判断する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の信号機認識装置。
【請求項4】
前記信号機点灯状態判断部は、色情報に基づいて、前記信号機の点灯状態を判断する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の信号機認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号機認識装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、信号機認識装置は、撮像装置によって撮像された撮像画像から、色情報を用いて、信号機の点灯状態を認識することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5407920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の信号機認識装置は、予め定められた信号機の各点灯色の色情報を、撮像画像から抽出して、信号機の点灯状態を認識するため、例えば白とび等により、撮像画像に適正な色が反映されていない場合、信号機の点灯状態を判断することができない、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、色情報以外の情報も参照し、信号機の点灯状態を判断することができる信号機認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の信号機認識装置は、車両前方を撮像した撮像画像から高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出部と、前記高輝度領域から円領域を抽出する円領域抽出部と、前記円領域から所定の範囲内で低輝度領域を抽出する低輝度領域抽出部と、前記円領域と前記低輝度領域に基づいて、信号機の点灯状態を判断する信号機点灯状態判断部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された本発明の信号機認識装置は、色情報以外の情報も参照し、信号機の点灯状態を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の信号機認識装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施例1の信号機認識処理を示すフローチャートである。
図3】実施例1の信号機認識処理のステップS1の輝度画像の取得を説明する説明図である。
図4】実施例1の信号機認識処理のステップS3の高輝度領域の抽出を説明する説明図である。
図5】実施例1の信号機認識処理のステップS4の円領域の抽出を説明する説明図である。
図6】実施例1の信号機認識処理のステップS5の理論値との比較を説明する説明図である。
図7】実施例1の信号機認識処理のステップS6の低輝度領域の抽出を説明する説明図である。
図8】実施例1の信号機認識処理のステップS7の信号機領域の抽出処理の結果を説明する説明図である。
図9】実施例1の信号機認識処理のステップS7の信号機領域の抽出処理を説明する説明図である。
図10】実施例1の信号機認識処理のステップS7の信号機領域の抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
図11】実施例1の信号機認識処理のステップS8の信号機の点灯状態の判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
図12】実施例2の信号機認識装置を説明する説明図である。
図13】実施例3の信号機認識装置を説明する説明図である。
図14】実施例4の信号機認識装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示による信号機認識装置を実現する実施形態を、図面に示す実施例1〜実施例4に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
実施例1における信号機認識装置は、車両に搭載され、撮像された車両の前方画像から信号機の点灯状態等を認識する装置に適用した例を説明する。
【0011】
[信号機認識装置の構成]
図1は、実施例1の信号機認識装置の構成を示すブロック図である。以下、図1に基づいて、実施例1の信号機認識装置の構成を説明する。
【0012】
信号機認識装置1は、図1に示すように、撮像装置2と、カメラECU(Electronic Control Unit)10と、表示装置3と、車両制御ECU4と、を備える。
【0013】
撮像装置2は、車両のフロントガラス付近の車室内に取り付けられ、車両の前方を撮像し、撮像画像から画像データを生成する。撮像装置2は、例えば、モノクロ画像を撮像するCCDカメラとする。撮像装置2は、カメラECU10の画像入力部11に接続される。
【0014】
カメラECU10は、画像入力部11と、信号機認識部20と、認識結果出力部12と、を備える。
【0015】
画像入力部11は、信号機認識部20に接続される。
【0016】
信号機認識部20は、認識結果出力部12に接続される。信号機認識部20は、記憶部21と、高輝度領域抽出部22と、円領域抽出部23と、理論値比較部24と、低輝度領域抽出部25と、信号機領域抽出部26と、信号機点灯状態判断部27と、距離算出部28と、を備える。
【0017】
記憶部21には、車両に取り付けられた撮像装置2の取付位置の情報と、撮像装置2のレンズ歪み情報及びセンササイズに関する情報と、信号機の一般的な高さの情報と、信号機の信号灯の一般的な大きさの情報と、画像における信号灯の位置する領域の閾値L等が予め記憶される。
【0018】
画像における信号灯の位置する領域の閾値Lとは、信号機の一般的な高さ情報と、信号灯の一般的な大きさの情報と、から割り出され、信号灯が位置すると推定される領域を示す。すなわち、閾値Lは、信号灯が位置する妥当な範囲を示す。
【0019】
高輝度領域抽出部22は、輝度画像から周囲の画素より明るい高輝度領域を抽出する。円領域抽出部23は、輝度画像の高輝度領域から、ハフ変換等により円領域を抽出する。理論値比較部24は、輝度画像の円領域から、信号灯が位置する妥当な範囲に存在しない領域にある円領域を除外し、残った円領域を理論比較領域とする。低輝度領域抽出部25は、輝度画像50の理論比較領域から所定の範囲内で、周囲の画素より暗い低輝度領域を抽出する。
【0020】
信号機領域抽出部26は、理論比較領域と低輝度領域との相対位置及び相対サイズに基づいて、信号機領域を抽出する。信号機点灯状態判断部27は、信号機領域の中の理論比較領域と、低輝度領域と、に基づいて、信号機領域の点灯状態を判断する。距離算出部28は、信号機領域の中の理論比較領域に基づいて、信号機までの距離を算出する。
【0021】
認識結果出力部12は、表示装置3と車両制御ECU4に接続される。表示装置3は、メータ表示画面やナビ画面等で構成される。車両制御ECU4は、車両のステアリングやブレーキ等を制御する。
【0022】
撮像装置2が撮像した撮像画像の画像データは、画像入力部11を介して、信号機認識部20に入力される。信号機認識部20は、画像データに基づいて後述する信号機認識処理を実行する。信号機認識部20による処理情報は、認識結果出力部12を介して、表示装置3と車両制御ECU4に出力され、運転の支援のために用いられる。例えば、信号機の点灯状態を認識し、点灯状態が赤信号の場合に、車両を信号機の手前で停止させる。
【0023】
次に、作用を説明する。
[信号機認識処理]
図2は、実施例1の信号機認識処理を示すフローチャートである。図3は、実施例1の信号機認識処理のステップS1の輝度画像の取得を説明する説明図である。図4は、実施例1の信号機認識処理のステップS3の高輝度領域の抽出を説明する説明図である。図5は、実施例1の信号機認識処理のステップS4の円領域の抽出を説明する説明図である。図6は、実施例1の信号機認識処理のステップS5の理論値との比較を説明する説明図である。図7は、実施例1の信号機認識処理のステップS6の低輝度領域の抽出を説明する説明図である。図8は、実施例1の信号機認識処理のステップS7の信号機領域の抽出処理の結果を説明する説明図である。以下、図2図8に基づいて、実施例1の信号機認識処理を説明する。
【0024】
ステップS1では、信号機認識部20が、撮像装置2から画像入力部11を介して入力された画像データから、図3に示すような撮像画像としての輝度画像50を取得する。
【0025】
ステップS2では、信号機認識部20が、記憶部21に記憶された撮像装置2の取付位置の情報や、撮像装置2のレンズ歪み情報等から、輝度画像50に対してレンズ歪みを補正し、歪みのない画像を作成する。
【0026】
ステップS3では、図4に示すように、信号機認識部20の高輝度領域抽出部22が、レンズ歪みの補正がされた輝度画像50から、周囲の画素より明るい高輝度領域A1,A2,A3,A4,A5を抽出する。
【0027】
ステップS4では、図5に示すように、信号機認識部20の円領域抽出部23が、輝度画像50の高輝度領域A1,A2,A3,A4,A5から、ハフ変換等により、外縁領域が円形である円領域B2,B3,B4,B5を抽出する。
【0028】
ステップS5では、図6に示すように、信号機認識部20の理論値比較部24が、輝度画像50の円領域B2,B3,B4,B5から、閾値Lの領域に属している理論比較領域(円領域の一例)C2,C5を抽出する。すなわち、ステップS5では、信号灯が位置する妥当な範囲に、明らかに存在しない領域にある円領域B3,B4を除外する(図5参照)。
【0029】
ステップS6では、図7に示すように、信号機認識部20の低輝度領域抽出部25が、輝度画像50の理論比較領域(円領域の一例)C2,C5から所定の範囲内で、周囲の画素より暗い低輝度領域D2,D5を抽出する。
【0030】
ステップS7では、信号機認識部20の信号機領域抽出部26が、後述する信号機領域の抽出処理を実行する。この信号機領域の抽出処理では、理論比較領域(円領域の一例)C2,C5と低輝度領域D2,D5との相対位置及び相対サイズに基づいて、図8に示すように、信号機領域E2を抽出する。
【0031】
ステップS8では、信号機認識部20の信号機点灯状態判断部27が、後述する点灯状態の判断処理を実行する。この点灯状態の判断処理では、信号機領域E2の中の理論比較領域(円領域の一例)C2と、低輝度領域D2と、に基づいて、信号機領域E2の点灯状態を判断する。すなわち、信号機領域E2が、赤信号、黄信号、青信号の何れかであるかを決定する。信号機領域E2の点灯状態の情報は、認識結果出力部12に送信される。
【0032】
ステップS9では、信号機認識部20の距離算出部28が、信号機領域E2の中の理論比較領域(円領域の一例)C2に基づいて、信号機までの距離を算出する。すなわち、距離算出部28が、輝度画像50における信号機の高さと信号灯の大きさから、実空間における車両と信号機との相対距離を算出する。車両と信号機との相対距離の情報は、認識結果出力部12に送信される。以上のステップにより、信号認識処理を終了する。
【0033】
[信号機領域の抽出処理]
図9は、実施例1の信号機認識処理のステップS7の信号機領域の抽出処理を説明する説明図である。図10は、実施例1の信号機認識処理のステップS7の信号機領域の抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。以下、図9及び図10に基づいて、実施例1の信号機領域の抽出処理について説明する。
【0034】
信号機領域の抽出処理(図2のステップS7)では、高輝度領域Mと低輝度領域Nの相対位置と相対サイズとから決定された3つのパターンT1,T2,T3に該当するか否かを判断する。まず、各パターンT1,T2,T3について説明する。
【0035】
パターンT1では、図9(a)に示すように、高輝度領域Mの右側に低輝度領域Nが存在し、高輝度領域Mと低輝度領域Nの高さ方向の位置が揃っている。パターンT1では、高輝度領域Mの幅方向の大きさをdとし、信号機の点灯部分のぼやけにより高輝度領域Mと低輝度領域Nの抽出位置に発生する誤差を許容する為のパラメータをαとすると、低輝度領域Nの幅方向の大きさは、2d+αとなる。すなわち、パターンT1では、低輝度領域Nの幅方向の大きさが、高輝度領域Mの幅方向の大きさの2倍強となる。パターンT1では、低輝度領域Nの高さ方向の大きさが、高輝度領域Mの高さ方向の大きさと略同じ大きさなる。
【0036】
パターンT2では、図9(b)に示すように、高輝度領域Mの両側に低輝度領域Nが存在し、高輝度領域Mと低輝度領域Nの高さ方向の位置が揃っている。パターンT2では、高輝度領域Mの幅方向の大きさをdとし、信号機の点灯部分のぼやけにより高輝度領域Mと低輝度領域Nの抽出位置に発生する誤差を許容する為のパラメータをβとすると、右側の低輝度領域Nの幅方向の大きさは、d+βとなり、左側の低輝度領域Nの幅方向の大きさは、d+βとなる。すなわち、パターンT2では、低輝度領域Nの幅方向の大きさが、高輝度領域Mの幅方向の大きさの2倍強となる。パターンT2では、低輝度領域Nの高さ方向の大きさが、高輝度領域Mの高さ方向の大きさと略同じ大きさなる。
【0037】
パターンT3では、図9(c)に示すように、高輝度領域Mの左側に低輝度領域Nが存在し、高輝度領域Mと低輝度領域Nの高さ方向の位置が揃っている。パターンT3では、高輝度領域Mの幅方向の大きさをdとし、信号機の点灯部分のぼやけにより高輝度領域Mと低輝度領域Nの抽出位置に発生する誤差を許容する為のパラメータをαとすると、低輝度領域Nの幅方向の大きさは、2d+αとなる。すなわち、パターンT3では、低輝度領域Nの幅方向の大きさが、高輝度領域Mの幅方向の大きさの2倍強となる。パターンT3では、低輝度領域Nの高さ方向の大きさが、高輝度領域Mの高さ方向の大きさと略同じ大きさなる。
【0038】
次に、信号機領域の抽出処理を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップS11では、信号機認識部20の信号機領域抽出部26が、理論比較領域(円領域の一例)C2,C5とその近傍にある低輝度領域D2,D5との組み合わせが、3つのパターンT1,T2,T3の何れかに該当するか否かを判断する。
【0039】
理論比較領域(円領域の一例)C2,C5とその近傍にある低輝度領域D2,D5との組み合わせが、3つのパターンT1,T2,T3の何れかに該当すると判断した場合(ステップS11でYES)、信号機認識部20は、理論比較領域(円領域の一例)C2とその近傍にある低輝度領域D2との組み合わせを信号機領域E2と判断し(ステップS12、図9参照)、信号機領域の抽出処理を終了する。
【0040】
一方、理論比較領域(円領域の一例)C5とその近傍にある低輝度領域D5との組み合わせが、3つのパターンT1,T2,T3の何れかに該当しないと判断した場合(ステップS11でNO)、信号機認識部20は、理論比較領域(円領域の一例)C5とその近傍にある低輝度領域D5との組み合わせを信号機領域でないと判断し(ステップS13)、信号機領域の抽出処理を終了する。
【0041】
[点灯状態の判断処理]
図11は、実施例1の信号機認識処理のステップS8の信号機の点灯状態の判断処理の処理手順を示すフローチャートである。以下、図11に基づいて、実施例1の点灯状態の判断処理について説明する。
【0042】
点灯状態の判断処理(図2のステップS8)では、信号機認識部20の信号機点灯状態判断部27が、信号機領域E2に対して、理論比較領域(円領域の一例)が、その近傍にある低輝度領域の左側に有るか否かを判断する(ステップS21)。信号機領域E2に対して、理論比較領域(円領域の一例)が、その近傍にある低輝度領域の左側に有ると判断した場合(ステップS21でYES)、信号機認識部20は、信号機領域E2を青信号が点灯している状態であると判断し(ステップS22)、点灯状態の判断処理を終了する。
【0043】
一方、理論比較領域(円領域の一例)が、その近傍にある低輝度領域の左側にないと判断した場合(ステップS21でNO)、信号機認識部20は、信号機領域E2に対して、理論比較領域(円領域の一例)が、その近傍にある低輝度領域の右側に有るか否かを判断する(ステップS23)。信号機領域E2に対して、理論比較領域(円領域の一例)が、その近傍にある低輝度領域の右側に有ると判断した場合(ステップS23でYES)、信号機認識部20は、信号機領域E2を赤信号が点灯している状態であると判断し(ステップS24)、点灯状態の判断処理を終了する。
【0044】
一方、信号機領域E2に対して、理論比較領域(円領域の一例)が、その近傍にある低輝度領域の右側にないと判断した場合(ステップS23でNO)、信号機認識部20は、信号機領域E2を黄信号が点灯している状態であると判断し(ステップS25)、点灯状態の判断処理を終了する。
【0045】
次に、実施例1の信号機認識装置における効果を説明する。
【0046】
実施例1の信号機認識装置1は、車両前方を撮像した撮像画像(輝度画像50)から高輝度領域A1〜A5を抽出する高輝度領域抽出部22と、高輝度領域A1〜A5から円領域B2〜B5を抽出する円領域抽出部23と、円領域B2〜B5から所定の範囲内で低輝度領域D2,D5を抽出する低輝度領域抽出部25と、円領域B2〜B5と低輝度領域D2,D5に基づいて、信号機の点灯状態を判断する信号機点灯状態判断部27と、を備える(図1)。
【0047】
これにより、輝度情報から、信号機の点灯状態を判断することができる。そのため、例えば白とび等により、撮像画像に適正な色が反映されない場合であっても、信号機の点灯状態を判断することができる。また、モノクロ画像を撮像する撮像装置を使用できるので、コスト削減を図れる。
【0048】
例えば、予め定められた信号機の各点灯色の色情報を、撮像画像から抽出して、信号機の点灯状態を認識する信号機認識装置の場合、白とび等により、撮像画像に適正な色が反映されない場合、信号機の点灯状態を判断することができないという問題が生じるが、実施例1の信号機認識装置1は、このような問題を解決する。
【0049】
実施例1の信号機認識装置1では、円領域B2〜B5と低輝度領域D2,D5の相対位置及び相対サイズに基づいて、信号機領域E2を抽出する信号機領域抽出部26を有し、信号機点灯状態判断部27は、信号機領域E2に基づいて、信号機の点灯状態を判断する(図1)。
【0050】
これにより、信号機点灯状態判断部27は、信号機を認識してから、信号機の点灯状態を判断することができる。そのため、信号機の点灯状態の判断の信頼性が向上する。
【0051】
実施例1の信号機認識装置1は、信号機領域E2の中の円領域B2に基づいて、信号機までの距離を算出する距離算出部28を備える(図1)。
【0052】
これにより、実空間における車両から信号機までの距離を算出することができる。その結果、カーナビやスマートフォン等の外部装置に依存しないで、信号機の位置を算出することができる。
【0053】
例えば、事前に、交通インフラやマップ情報から、信号機の位置・状態を取得する信号機認識装置の場合、カーナビやスマートフォンといった外部装置を必要とし、外部装置の結果に依存した認識性能となってしまうという問題が生じるが、実施例1の信号機認識装置1では、このような問題を解決する。
【実施例2】
【0054】
まず、構成と作用を説明する。
図12は、実施例2の信号機認識装置を説明する説明図である。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0055】
実施例2の信号機認識装置は、信号機領域抽出部26による信号機領域の抽出処理が異なる点で、実施例1の信号機認識装置と異なる。
【0056】
実施例2の信号機領域の抽出処理では、高輝度領域Mと低輝度領域Nの相対位置と相対サイズから決定された3つのパターンU1,U2,U3に該当するか否かを判断する。
【0057】
パターンU1では、図12(a)に示すように、高輝度領域Mの右側に低輝度領域Nが存在する。低輝度領域Nのサイズは、低輝度領域Nに外接する矩形の面積(外接矩形面積)Naとする。外接矩形面積Naに対する、低輝度領域Nの面積の割合が、所定の割合以上の場合、パターンU1に該当する。
【0058】
パターンU2では、図12(b)に示すように、高輝度領域Mの両側に低輝度領域Nが存在する。低輝度領域Nのサイズは、低輝度領域Nに外接する矩形の面積(外接矩形面積)Naとする。外接矩形面積Naに対する、低輝度領域Nの面積の割合が、所定の割合以上の場合、パターンU2に該当する。
【0059】
パターンU3では、図12(c)に示すように、高輝度領域Mの左側に低輝度領域Nが存在する。低輝度領域Nのサイズは、低輝度領域Nに外接する矩形の面積(外接矩形面積)Naとする。外接矩形面積Naに対する、低輝度領域Nの面積の割合が、所定の割合以上の場合、パターンU3に該当する。
【0060】
次に、実施例2の信号機認識装置における効果を説明する。
【0061】
これに対して、実施例2の信号機認識装置では、低輝度領域D2,D5のサイズを、低輝度領域D2,D5に外接する矩形領域の面積に対する、低輝度領域D2,D5の面積の割合とする(図12)。
【0062】
これにより、撮像した画像にノイズが含まれた場合でも、信頼性の低い低輝度領域を、信号機領域から除外することができる。そのため、信号機認識装置1は、信頼性の高い低輝度領域を使用して、信号機領域を抽出することができる。
【0063】
ところで、低輝度の画素は、画像のぼけや、遠方における信号機画像の解像度低下により、画素がかけることが想定される。このようなかけた画像を低輝度領域と認識してしまうと、信号機の存在しない領域を信号機領域と判定してしまう、という問題が生じるが、実施例2の信号機認識装置では、このような問題を解決する。なお、実施例2のこの他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるため、説明を省略する。
【実施例3】
【0064】
まず、構成と作用を説明する。
図13は、実施例3の信号機認識装置を説明する説明図である。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0065】
実施例3の信号機認識装置は、信号機点灯状態判断部27が複数の撮像画像を使用する点で、実施例1の信号機認識装置と異なる。
【0066】
図13に示すように、例えば、時刻tに撮像した撮像画像150aと、時刻t+1に撮像した撮像画像150bと、時刻t+2に撮像した撮像画像150cと、を使用する。
【0067】
各撮像画像150a,150b,150cは、信号機認識処理が実行され、信号機領域の点灯状態の情報と、車両から信号機までの距離の情報と、が記憶部21に記憶される。
【0068】
信号機点灯状態判断部27は、記憶部21に記憶されたこれらの情報に基づいて、信号機領域の点灯状態を判断する。例えば、時刻tに撮像した撮像画像150aの信号機領域の点灯状態の情報が、赤信号であり、時刻t+1に撮像した撮像画像150bの信号機領域の点灯状態の情報が、得られなくて、時刻t+2に撮像した撮像画像150cの信号機領域の点灯状態の情報が、赤信号であった場合、信号機点灯状態判断部27は、信号機領域の点灯状態の情報を赤信号と判断する。
【0069】
信号機点灯状態判断部27は、記憶部21に記憶されたこれらの情報に基づいて、警報や制御を異ならせても良い。例えば、時刻t〜t+2において、ブレーキを何段階かに分けてかけても良い。また、時刻t〜t+2において、徐々に警告を大きく表示するようにしても良い。
【0070】
次に、実施例3の信号機認識装置における効果を説明する。
【0071】
実施例3の信号機認識装置では、信号機点灯状態判断部27は、複数の撮像画像(輝度画像50)に基づいて、信号機の点灯状態を判断する(図13)。
【0072】
これにより、信号機点灯状態判断部27による信号機の点灯状態の判断を、信頼性のあるものとすることができる。そのため、誤った判断をした場合に、誤って警報や制御をしてしまうことを防止することができる。なお、実施例3のこの他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるため、説明を省略する。
【実施例4】
【0073】
まず、構成と作用を説明する。
図14は、実施例4の信号機認識装置を説明する説明図である。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0074】
実施例4の信号機認識装置は、信号機点灯状態判断部27が色情報に基づいて判断する点で、実施例1の信号機認識装置と異なる。
【0075】
撮像装置2は、例えば、カラー画像を撮像するCCDカメラとする。実施例1のステップS1,ステップS2の替わりに、実施例4では、ステップS101〜ステップS103の処理を実行する。また、実施例1のステップS8とステップS9との間に、実施例4ではステップS110の処理が実行される。
【0076】
ステップS101では、信号機認識部20が、撮像装置2から画像入力部11を介して入力された画像データから、カラー画像を取得する。
【0077】
ステップS102では、信号機認識部20が、記憶部21に記憶された撮像装置2の取付位置の情報や、撮像装置2のレンズの種類の情報等から、カラー画像に対してレンズ歪みの補正を実行する。
【0078】
ステップS103では、信号機認識部20が、カラー画像から輝度情報のみの画像を生成する。
【0079】
ステップS110では、信号機認識部20の信号機点灯状態判断部27が、ステップS109で決定した信号機領域E2の点灯状態の情報に対して、決定した点灯状態に対応する色情報を有する画素の集合が存在するか否かを検証する。ここで、決定した点灯状態に対応する色情報を有する画素の集合が存在している場合、信号機点灯状態判断部27が、ステップS109で決定した信号機領域E2の点灯状態を決定する。
【0080】
次に、実施例4の信号機認識装置における効果を説明する。
【0081】
実施例4の信号機認識装置では、信号機点灯状態判断部27は、色情報に基づいて、信号機の点灯状態を判断する(図14)。
【0082】
これにより、信号機の点灯状態の検出精度の信頼性を向上させることができる。
【0083】
以上、本開示の信号機認識装置を実施例1〜実施例4に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成とフローチャートについては、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、各実施例の組み合わせ、設計の変更や追加等は許容される。
【0084】
実施例1〜実施例3では、撮像装置として、モノクロ画像を撮像するCCDカメラとする例を説明した。しかし、撮像装置としては、撮像した画像から輝度画像を取得できるものであれば良く、カラー画像を撮像するものであっても良い。
【0085】
実施例1〜実施例4では、信号機の信号灯を、左側に高輝度領域がある場合を青信号とし、右側に高輝度領域がある場合を赤信号とし、その他の場合を黄信号とする例を示した。しかし、信号機の信号灯としては、異なる並びであっても良いし、異なる色であっても良い。
【0086】
実施例1〜実施例4では、本発明の信号機認識装置を横型の信号機を検出する信号機認識装置とする例を示した。しかし、本発明の信号機認識装置としては、縦型の信号機を検出する信号機認識装置とすることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 信号機認識装置
22 高輝度領域抽出部
23 円領域抽出部
25 低輝度領域抽出部
26 信号機領域抽出部
27 信号機点灯状態判断部
28 距離算出部
50 輝度画像(撮像画像の一例)
A1,A2,A3,A4,A5 高輝度領域
B2,B3,B4,B5 円領域
D2,D5 低輝度領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14