特許第6948266号(P6948266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パーデュー・リサーチ・ファウンデーションの特許一覧 ▶ オウヤン, ゼンの特許一覧 ▶ レン, ユエの特許一覧 ▶ ワン, シャオの特許一覧

特許6948266プローブ、システム、カートリッジ、およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948266
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】プローブ、システム、カートリッジ、およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/04 20060101AFI20210930BHJP
   H01J 49/26 20060101ALI20210930BHJP
   H01J 49/10 20060101ALI20210930BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20210930BHJP
【FI】
   H01J49/04
   H01J49/26
   H01J49/10
   G01N27/62 F
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-559786(P2017-559786)
(86)(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公表番号】特表2018-506839(P2018-506839A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】US2016017010
(87)【国際公開番号】WO2016127177
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2019年1月9日
(31)【優先権主張番号】62/112,799
(32)【優先日】2015年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/211,268
(32)【優先日】2015年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598063203
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(73)【特許権者】
【識別番号】516043373
【氏名又は名称】オウヤン, ゼン
(73)【特許権者】
【識別番号】517274925
【氏名又は名称】レン, ユエ
(73)【特許権者】
【識別番号】517274936
【氏名又は名称】ワン, シャオ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン, ゼン
(72)【発明者】
【氏名】レン, ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シャオ
【審査官】 大門 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−228915(JP,A)
【文献】 特開2005−055316(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/120411(WO,A1)
【文献】 特開2005−190767(JP,A)
【文献】 特開平11−142372(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/087866(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/04
H01J 49/26
H01J 49/10
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを保持しそして質量分析計とインターフェースをとるように構成されたプローブであって、前記プローブは、多孔性材料であって、前記多孔性材料の遠位部分内に切り込みを備える多孔性材料と、前記多孔性材料の前記切り込みに挿入された平滑にされた遠位端を備える中空部材とを備える、プローブ。
【請求項2】
前記中空部材は、毛細管チューブである、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記多孔性材料は、紙である、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記中空部材は、前記多孔性材料の遠位端を越えて延在する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
前記平滑にされた遠位端が、前記中空部材の前記遠位端を燃焼させることにより得られる、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記多孔性材料はさらに、内部標準として、または学誘導体化のために、学物質を備える、請求項1に記載のプローブ。
【請求項7】
カートリッジであって、
開放遠位端を伴う筐体と、
前記筐体内に位置するプローブであって、前記プローブはサンプルを保持しそして質量分析計とインターフェースをとるように構成され、前記プローブは、多孔性材料であって、前記多孔性材料の遠位部分内に切り込みを備える多孔性材料と、前記多孔性材料の前記切り込みに挿入された平滑にされた遠位端を備える中空部材とを備え、前記筐体の開放遠位端に動作可能に整合される、プローブと、
を備える、カートリッジ。
【請求項8】
前記筐体は、サンプルが前記プローブに導入され得るように、前記プローブの多孔性材料に対する開口部を備える、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記筐体は、電場が前記プローブに印加され得るように、電極のための結合部を備える、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記筐体の開放遠位端から延在する複数の突起をさらに備える、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項11】
溶媒リザーバをさらに備える、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
カートリッジであって、
筐体と、
前記筐体内に位置するプローブのアレイであって、前記プローブのそれぞれは、サンプルを保持しそして質量分析計とインターフェースをとるように構成され、前記プローブのそれぞれは、多孔性材料であって、前記多孔性材料の遠位部分内に切り込みを備える多孔性材料と、前記多孔性材料の前記切り込みに挿入された平滑にされた遠位端を備える中空部材とを備える、プローブのアレイと、を備える、カートリッジ。
【請求項13】
システムであって、
サンプルを保持しそして質量分析計とインターフェースをとるように構成されたプローブであって、前記プローブは、多孔性材料であって、前記多孔性材料の遠位部分内に切り込みを備える多孔性材料と、前記多孔性材料の前記切り込みに挿入された平滑にされた遠位端を備える中空部材とを備える、プローブと、
前記多孔性材料に結合される電極と、
質量分析計と、
を備える、システム。
【請求項14】
前記質量分析計は、ベンチトップ質量分析計または小型質量分析計である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記質量分析計は、カーテンガスを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記中空部材は、毛細管チューブである、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記多孔性材料は、セルロースベースの材料である、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
サンプルを解析するための方法であって、
サンプルを保持しそして質量分析計とインターフェースをとるように構成されたプローブを提供するステップであって、前記プローブは、多孔性材料であって、前記多孔性材料の遠位部分内に切り込みを備える多孔性材料と、前記多孔性材料の前記切り込みに挿入された平滑にされた遠位端を備える中空部材とを備える、ステップと、
サンプルを前記多孔性材料に接触させるステップと、
前記中空部材の遠位端から排出される、前記プローブからの前記サンプルのイオンを発生させるステップと、
前記イオンを解析するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記発生させるステップは、溶媒および電場を前記プローブに印加するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記解析するステップは、前記イオンを質量分析計の中に導入するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記質量分析計は、ベンチトップ質量分析計または小型質量分析計である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記サンプルは、生物学的サンプルである、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2015年2月6日に出願された米国仮出願第62/112,799号および2015年8月28日に出願された同第62/211,268号の利益およびそれらに対する優先権を主張する。上記仮出願の各々の内容は、それら全体が参考として本明細書に援用される。
【0002】
政府支援
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられた第GM106016号の下で政府支援によって成された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、概して、プローブ、システム、カートリッジ、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
紙スプレーは、複合サンプルの直接質量分析解析のために開発された。これは、商業用実験室規模質量分析計ならびに小型質量分析計上でのサンプル解析のために実装されている。その開発以来、一連の固有の利点が、種々の用途を通して、紙スプレーに関して示されている。例えば、紙スプレーを実装することは、容易である。鋭い先端部を伴う三角形紙担体が、サンプル担体として使用され、液体サンプルが、乾燥血液スポット(DBS)等の乾燥サンプルスポットを形成するように堆積される。直接サンプル採取イオン化が、担体を溶媒で湿潤させ、約4000Vの高電圧を印加することによって行われる。溶媒は、検体をサンプルスポットから溶出し、スプレーイオン化が、担体の先端部において発生され、質量分析解析のための検体イオンを生成する。紙スプレーはまた、使い捨てサンプルカートリッジの設計のために好適であって、これは、質量分析を使用した臨床、特に、ポイントオブケア(point−of−care)(POC)解析のための周囲イオン化を実装するために重要である。使い捨てサンプルカートリッジを使用した商業用アフターマーケット紙スプレー源が、開発され、臨床用途において使用されている。
【0005】
しかしながら、紙スプレーには、ある限界がある。紙スプレーは、カーテンガスを利用する質量分析計(例えば、Sciex器具)と良好にインターフェースをとらない。紙スプレーはまた、小型質量分析計ともインターフェースをとる際に問題を有する。また、紙スプレープローブの鋭い先端部は、プローブの性能に直接影響を及ぼし、打抜き等の紙担体を加工するための大量生産プロセスは、鋭い先端部を紙から作製するために、非一貫性問題を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カーテンガスを採用する質量分析計および小型質量分析計と良好にインターフェースをとる、プローブを提供する。本発明の側面は、紙毛細管スプレーのための中空部材(例えば、毛細管放出体)を多孔性担体(例えば、紙担体)に追加することによって達成される。本明細書のデータは、本発明のプローブが直接質量分析解析の感度および再現性に有意な正の影響を及ぼすことを示す。紙毛細管デバイスは、幾何学形状、毛細管放出体に対する処理、ならびにサンプル配置方法に起因する影響のために加工され、特徴付けられた。その解析性能はまた、小型イオントラップ質量分析計を使用して、血液中のサンプル解析(血液サンプル中の治療用薬物の解析およびシタグリプチン(JANUVIA)の定量化等)のためにも特徴付けられている。
【0007】
ある側面では、本発明は、多孔性材料と、多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを含む、プローブを提供する。ある実施形態では、中空部材は、多孔性材料の遠位端を越えて延在する。多数の異なるタイプの中空部材が、本発明のプローブと併用されることができる。例示的中空部材は、毛細管チューブである。同様に、多数のタイプの多孔性材料が、本発明のプローブと併用されることができる。例示的多孔性材料は、濾紙等の紙である。ある実施形態では、多孔性材料は、材料の遠位部分内に切り込みを含み、中空部材が、切り込み内に嵌合する。ある実施形態では、中空部材の遠位端は、平滑にされる。
【0008】
本発明の別の側面は、開放遠位端を伴う筐体と、筐体内に位置するプローブとを含む、カートリッジを提供する。プローブは、多孔性材料と、多孔性材料の遠位部分に結合され、筐体の開放遠位端に動作可能に整合される、中空部材とを含む。筐体は、多数の付加的特徴を有してもよい。例えば、筐体は、サンプルがプローブに導入され得るように、プローブの多孔性材料に対する開口部を含んでもよい。筐体はまた、電場がプローブに印加され得るように、電極のための結合部を含んでもよい。ある実施形態では、筐体は、筐体の開放遠位端から延在する複数の突起を含む。ある実施形態では、筐体は、溶媒リザーバを含む。
【0009】
本発明の別の側面は、多孔性材料と、多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを含む、プローブと、多孔性材料に結合される電極と、質量分析計とを含む、システムを提供する。任意のタイプの質量分析計が、本発明のシステムと併用されることができる。例えば、質量分析計は、ベンチトップ質量分析計または小型質量分析計であってもよい。質量分析計は、カーテンガスを含んでもよい。
【0010】
本発明の別の側面は、サンプルを解析するための方法を提供する。本方法は、多孔性材料と、多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを含む、プローブを提供するステップと、サンプルを多孔性材料に接触させるステップと、中空部材の遠位端から排出される、プローブからのサンプルのイオンを発生させるステップと、イオンを解析するステップとを伴ってもよい。発生させるステップは、溶媒および電場をプローブに印加するステップを含んでもよい。ある実施形態では、溶媒は、使用される必要はなく、サンプルのイオンを発生させるためのプローブに印加される電場のみで十分である。ある実施形態では、解析するステップは、イオンをベンチトップ質量分析計または小型質量分析計等の質量分析計の中に導入するステップを含む。本発明の方法は、生物学的サンプル等の任意のサンプルを解析するために使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1のパネルA−Eは、システムの例示的設計である。
【0012】
図2図2のパネルA−Dは、1つを上回るスプレー放出体を伴うシステムおよび/または3次元サンプル担体を伴うシステムの例示的設計である。
【0013】
図3図3は、図1のパネルBに示されるもののようなデバイスおよび商業用TSQ質量分析計を使用したウシ血液中のコカインの解析を示す、グラフである。
【0014】
図4図4は、図1のパネルAに示されるもののようなデバイスおよびデスクトップMini 12質量分析計を使用したメタノール中のコカインおよびベラパミルの解析を示す、グラフである。
【0015】
図5図5は、図1のパネルBに示されるもののようなデバイスおよびデスクトップMini 12質量分析計を使用したウシ血液中のコカインの解析を示す、グラフである。
【0016】
図6図6のパネルAは、乾燥血液スポットの解析のために、紙毛細管スプレーを使用するステップの概略を示す。差込図は、紙毛細管担体および紙毛細管担体を加工する方法の写真を示す。図6のパネルBは、毛細管を分裂された紙担体の中に挿入するステップの側面図を示す。図6のパネルCは、紙担体の途中に作製された切り込みの中に埋設される毛細管を示す。
【0017】
図7図7のパネルAは、元の毛細管の写真である。図7のパネルBは、燃焼された毛細管の写真である。図7のパネルC−Dは、それぞれ、100ng/mLメタンフェタミンを含有する3μLウシ全血を紙担体上に堆積させることによって調製された、乾燥血液スポットの解析を示す。図7のパネルCは、MS/MS遷移m/z150→91に関する抽出されたイオンクロノグラムを示す。図7のパネルDは、元の毛細管および燃焼された毛細管を用いて記録されたMS/MSスペクトルを示す。
【0018】
図8図8のパネルAは、10mm毛細管を紙担体上で使用して記録されたイオンクロノグラムであって、ウシ全血中のベラパミル100ng/mLに関するSRM解析m/z455→165を示す。図8のパネルBは、3mm毛細管を紙担体上で使用して記録されたイオンクロノグラムであって、ウシ全血中のアミトリプチン100ng/mLに関するSRM解析m/z278→233を示す。各DBSは、3μL血液サンプルを用いて調製された。
【0019】
図9図9のパネルA−Cは、紙担体および紙毛細管デバイスの放出先端部の写真である。図9のパネルD−Fは、QTrap 4000を使用したイマチニブのMS/MS解析を示す。図9のパネルG−Iは、Mini 12を使用したアミトリプチンのMS/MS解析を示す。図9のパネルDおよびGに関しては、Grade 1紙スプレーが、担体である。図9のパネルEおよびHに関しては、ET 31紙スプレーが、担体である。図9のパネルFおよびIに関しては、紙毛細管デバイス(3mm放出体)が、使用される。50ng/mLにおけるMeOH:HO(9:1、v:v)中のイマチニブおよび20ng/mLにおけるMeOH:HO(9:1、v:v)中のアミトリプチン。
【0020】
図10図10のパネルA−Bは、2つの異なるサンプル堆積方法を使用して、血液中200ng/mLのアミトリプチンに関するSRM遷移m/z278→233を伴うQTrap 4000を使用して記録されたイオンクロノグラムを示す。図10のパネルAは、中心にスポットされたサンプルを示し、図10のパネルBは、縁間堆積を伴うサンプルを示す。3μL血液サンプルが、DBSを調製するために使用された。図10のパネルCは、Mini 12および紙毛細管スプレーを使用して確立された、ウシ全血中のシタグリプチンの較正曲線を示し、MS/MSは、前駆体イオンとしてm/z408を用い、断片イオンm/z235の強度が使用された。差込図は、範囲10〜500ng/mLに関する線形性を示す。
【0021】
図11図11のパネルAは、POC MSシステムのための例示的使い捨て解析キットを示す。図11のパネルBは、紙スプレーから紙毛細管スプレーへの使用へのサンプルカートリッジのための設計の変化を示す。図11のパネルCは、紙毛細管スプレーおよびMini 12を使用した血液中のJanuvia(シタグリプチン)の解析を示す。図11のパネルD−Fは、単純動作における定量化のためにISを組み込むための提案される方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、概して、中空本体(部材)および遠位先端部を有するスプレー放出体からのスプレーイオン化を伴う、多孔性材料上に装填されたサンプルの解析のためのプローブ、カートリッジ、システム、および方法に関する。中空本体を伴うスプレー放出体の一実施例は、毛細管である。例示的設計は、図1−2に示される。紙等の多孔性材料が、サンプル担体として使用されることができる。石英ガラス毛細管(i.d.49μm、i.d.150μm)等の中空毛細管が、サンプル担体と結合される(例えば、その中に挿入される)ことができる。抽出溶媒が、サンプル担体上に適用されることができ、高電圧が、湿潤された担体に印加されることができる。溶媒は、サンプル担体を通して毛細管に向かって吸い上げられ、堆積されたサンプル中の検体を抽出し、それらを毛細管の中に搬送することができる。スプレーイオン化が、スプレー放出体の遠位先端部において生じ得、イオンが、生成される。イオンは、質量解析のために生成されてもよい。異なる内径および外径のスプレー放出体が、スプレーイオン化を最適化するために使用されることができる。スプレー放出体は、ガラス、石英、Teflon(登録商標)、金属、シリカ、プラスチック、または任意の他の非伝導性もしくは伝導性材料から作製されてもよい。
【0023】
サンプル担体は、図1のパネルA−Eおよび図2のパネルA−Dに図示されるように、任意の形状であってもよい。概して、鋭い角が、サンプル担体から除去され、サンプル担体からのスプレーの誘発を低減させるが、しかしながら、サンプル担体は、角を有してもよい。サンプル担体は、多孔性材料を備える。ポリジメチルシロキサン(PDMS)膜、濾紙、セルロースベースの製品、綿、ゲル、植物組織(例えば、葉または種)等の任意の多孔性材料が、担体として使用されてもよい。
【0024】
例示的担体は、例えば、Ouyang et al.(米国特許第8,859,956号)に説明されており、そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。ある実施形態では、多孔性材料は、任意のセルロースベースの材料である。他の実施形態では、多孔性材料は、綿、リネン、羊毛、合成織物、またはガラスマイクロファイバから作製されるガラスマイクロファイバ濾紙等の非金属多孔性材料である。ある実施形態では、担体は、植物、果実、もしくは野菜の葉、外皮、もしくは樹皮、植物、果実、もしくは野菜の果肉、または種等の植物組織である。さらに他の実施形態では、多孔性材料は、紙である。紙の利点として、コスト(紙は、安価である)と、完全に商業化されており、その物理的および化学特性が調節されることができることと、粒子状物質(細胞および粉塵)を液体サンプルから濾過することができることと、容易に成形される(例えば、裁断、裂開、または折畳が容易である)ことと、液体が毛細管作用下でその中を流動することと(例えば、外部ポンプおよび/または電力供給源を用いずに)、使い捨てであることとが、挙げられる。ある実施形態では、プローブは、溶媒流から離散されて保たれる(すなわち、分離または分断される)。代わりに、サンプルが、多孔性材料上にスポットされるか、または多孔性材料が、湿潤され、サンプルを含有する表面を綿棒で採取するために使用されるかのいずれかとなる。
【0025】
特定の実施形態では、多孔性材料は、濾紙である。例示的濾紙として、セルロース濾紙、無灰濾紙、ニトロセルロース紙、ガラスマイクロファイバ濾紙、およびポリエチレン紙が挙げられる。任意の細孔サイズを有する濾紙が、使用されてもよい。例示的細孔サイズとして、Grade 1(1μm)、Grade 2(8μm)、Grade 595(4−7μm)、およびGrade 6(3μm)が挙げられ、細孔サイズは、スプレー材料の内側の液体の輸送に影響を及ぼすだけではなく、また、先端部におけるテイラー円錐(Taylor cone)の形成にも影響を及ぼし得る。最適細孔サイズは、安定したテイラー円錐を発生させ、液体蒸発を低減させるであろう。濾紙の細孔サイズもまた、濾過における重要なパラメータであって、すなわち、紙は、ライン上の前処理デバイスとして作用する。低nm範囲内の細孔サイズを伴う、再生セルロースの市販の限外濾過膜は、1,000Da程度の小さい粒子を保持するように設計される。限外濾過膜は、1,000Da〜100,000Daの範囲の分子量カットオフを伴って、商業的に得られることができる。
【0026】
他の実施形態では、多孔性材料は、マイクロチャネルを多孔性材料内に生成する、または本発明のプローブにおいて使用するための材料の特性を向上させるように処理される。例えば、紙は、パターン化されたシラン化プロセスを受け、マイクロチャネルまたは構造を紙上に生成してもよい。そのようなプロセスは、例えば、紙の表面をトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル−l−トリクロロシランに暴露し、紙のシラン化をもたらすことを伴う。他の実施形態では、ソフトリソグラフィプロセスが、マイクロチャネルを多孔性材料内に生成する、または本発明のプローブとして使用するための材料の特性を向上させるために使用される。他の実施形態では、疎水性捕捉領域が、低親水性化合物を事前濃縮するために紙内に作成される。
【0027】
疎水性領域は、フォトリソグラフィ、印刷方法、またはプラズマ処理を使用して、200〜1000μmの側方特徴を伴う親水性チャネルを画定することによって、紙上にパターン化されてもよい。Martinez et al.(Angew. Chem. Int. Ed. 2007,46,1318−1320)、Martinez et al.(Proc. Natl Acad. Sci. USA2008,105,19606−19611)、Abe et al.(Anal. Chem. 2008,80,6928−6934)、Bruzewicz et al.(Anal. Chem. 2008,80,3387−3392)、Martinez et al.(Lab Chip 2008,8,2146−2150)、およびLi et al.(Anal. Chem. 2008,80,9131−9134)(そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。そのような紙ベースのデバイス上に装填される液体サンプルは、毛細管作用によって駆動され、親水性チャネルに沿って進行することができる。
【0028】
修飾された表面の別の用途は、表面および溶液とのその異なる親和性に従って、化合物を分離または濃縮させることである。いくつかの化合物は、好ましくは、表面上に吸収される一方、マトリクス内の他の化学物質は、水相内に留まることを好む。洗浄を通して、サンプルマトリクスは、除去されることができる一方、目的の化合物は、表面上に留まる。目的の化合物は、他の高親和性溶媒によって、後の時点で表面から除去されることができる。プロセスの繰り返しは、脱塩に役立ち、また、元のサンプルを濃縮させる。
【0029】
ある実施形態では、化学物質が、多孔性材料に適用され、多孔性材料の化学特性を修飾する。例えば、化学物質は、異なる化学特性を伴うサンプル成分の差次的保持を可能にするように適用されることができる。加えて、化学物質は、塩およびマトリクス効果を最小限にするように適用されることができる。他の実施形態では、酸性または塩基性化合物が、多孔性材料に添加され、スポットする際に、サンプルのpHを調節する。pHの調節は、特に、血液等の生物学的流体の改良された解析のために有用であり得る。加えて、化学物質は、選択された検体のライン上での化学誘導体化を可能にするように適用され、例えば、効率的エレクトロスプレーイオン化のために、非極性化合物を塩に変換することができる。
【0030】
ある実施形態では、多孔性材料を修飾するために適用される化学物質は、内部標準である。内部標準は、定量的解析のための内部標準を提供するために、材料の中に組み込まれ、溶媒流の間、既知の割合で放出されることができる。他の実施形態では、多孔性材料は、質量スペクトル解析に先立って目的の検体の事前分離および事前濃縮を可能にする、化学物質で修飾される。
【0031】
ある実施形態では、多孔性材料は、溶媒の連続流等、溶媒流とは別々に保たれる(すなわち、分離または分断される)。代わりに、サンプルは、多孔性材料上にスポットされるか、またはサンプルを含む表面からその上に綿棒で塗布されるかのいずれかとなる。別々の量の抽出溶媒が、プローブ筐体のポートの中に導入され、担体上のサンプルと相互作用し、1つまたはそれを上回る検体を担体から抽出する。電圧源が、プローブ筐体に動作可能に結合され、電圧を抽出検体を含む溶媒に印加し、続いて質量解析される、検体のイオンを生成する。サンプルは、別個の溶媒流の必要なく、多孔性材料/担体から抽出される。
【0032】
溶媒が、多孔性材料に適用され、分離/抽出およびイオン化を補助する。質量分析解析と互換性がある、任意の溶媒が、使用されてもよい。特定の実施形態では、好ましい溶媒は、エレクトロスプレーイオン化のためにも使用されるものであろう。
【0033】
例示的溶媒として、水、メタノール、アセトニトリル、およびテトラヒドロフラン(THF)の組み合わせが挙げられる。有機物含有量(メタノール、アセトニトリル等と水の割合)、pH、および揮発性塩(例えば、酢酸アンモニウム)は、解析されるべきサンプルに応じて変動されてもよい。例えば、薬物であるイマチニブのような塩基性分子は、より低いpHでより効率的に抽出およびイオン化される。イオン化可能な基を伴わないが、いくつかのカルボニル基を伴う、シロリムスのような分子は、付加物形成に起因して、溶媒中のアンモニウム塩とより良好にイオン化する。
【0034】
図1のパネルB−Cは、サンプル担体の2つの代替設計を示す。図1のパネルD−Eは、2つの例示的設計の断面図を示す。毛細管は、サンプル担体の中に、またはサンプル担体の2つの層間に挿入されることができる。図2のパネルAは、平面形状の単一サンプル担体とともに含まれる複数の毛細管噴霧器を伴う、構成を示す。図2のパネルBは、円筒形担体を伴う、構成を示す。図2のパネルCは、円錐形状の担体を伴う、構成を示す。図2のパネルDは、複数のスプレー放出体と接続されるサンプル担体の実施例を示す。図3は、図1のパネルBに示されるもののようなデバイスおよび商業用TSQ質量分析計を使用したウシ血液中のコカインの解析を示す。図4は、図1のパネルAに示されるもののようなデバイスおよびデスクトップMini 12質量分析計を使用したメタノール中のコカインおよびベラパミルの解析を示す。図5は、図1のパネルBに示されるもののようなデバイスおよびデスクトップMini 12質量分析計を使用したウシ血液中のコカインの解析を示す。
【0035】
さらなる実施形態では、デバイスは、直接サンプル採取イオン化のためのサンプル担体と統合される、噴霧器を備えてもよい。サンプル担体は、多孔性であることができる。噴霧器は、中空毛細管または中実先端部であることができる。他の側面では、流体サンプルはまた、毛細管効果によって、毛細管の遠位端から直接採取されることができる。担体は、湿潤され、スプレーイオン化を発生させるために要求される高電圧のための導体としての役割を果たすことができる。他の側面では、毛細管のコーティングは、除去され、光が通過し、それによって、光化学反応が毛細管の内側の溶液中で行われることを可能にすることができる。他の側面では、複数のスプレー放出体が、サンプル担体に結合されることができる。複数のスプレー放出体は、サンプル担体の同一側にあってもよい、またはサンプル担体の異なる側で結合されてもよく、いくつかは、噴霧器として作用する一方、その他は、サンプル、溶媒、および試薬を担体に輸送するためのチャネルとして動作する。他の側面では、サンプル担体は、被覆またはシールされ、抽出溶媒の蒸発を防止することができる。
サンプルカートリッジおよびキット
【0036】
提案されるPOC MSシステムによるMS用途に対する革新は、看護師および医師等の化学解析の訓練を受けていない人員によるシステムの使用の容易性に依拠する。開発されるべき小型イオントラップ質量分析計は、多様性があって、広範囲の用途のために適用可能であるものであるが、特殊サンプル採取キットが、動作のための特殊ユーザインターフェースとともに、エンドユーザにとって動作を単純にするために重要である。図11のパネルAは、例示的サンプルカートリッジを示す。カートリッジは、開放遠位端を伴う筐体を含む。本発明のプローブは、筐体内に位置する。プローブは、多孔性材料と、多孔性材料の遠位部分に結合され、筐体の開放遠位端に動作可能に整合される、中空部材とを含む。筐体は、多数の付加的特徴を有してもよい。例えば、筐体は、サンプルがプローブに導入され得るように、プローブの多孔性材料に対する開口部を含んでもよい。筐体はまた、電場がプローブに印加され得るように、電極のための結合部を含んでもよい。ある実施形態では、筐体は、筐体の開放遠位端から延在する複数の突起を含む。ある実施形態では、筐体は、溶媒リザーバを含む。筐体についての例示的詳細は、例えば、PCT/US12/40513号に説明されており、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0037】
例示的サンプル採取キット内の構成要素は、図11のパネルAに示される。これは、サンプルカートリッジと、サンプル採取毛細管と、溶媒の小瓶とを有する。サンプル採取毛細管は、毛細管効果を通して、毛細管の体積によって細かく制御される量において、生体流体サンプルを採取するために使用されることができる。本タイプの毛細管は、5、10、15μL等の種々の体積のために、医療レベルで利用可能である(Drummond Scientific Company(Broomall, PA))。これは、特に、針で指を刺して血液サンプルを採取するために好適である。サンプルは、次いで、サンプルカートリッジ上に堆積され、直ちに解析される、または乾燥させられ、後の解析のための乾燥サンプルスポットを形成することができる。
【0038】
抽出/スプレー溶媒は、目薬のために使用されるものに類似する、小瓶内に提供されることができる。少量の溶媒は、単に、手によって瓶を圧搾することによって、比較的に一貫して堆積されることができる。紙スプレーの以前の試験では、溶媒量の変動に起因する感度または定量化予見に及ぼす悪影響は、内部標準が抽出/スプレー溶媒を通して組み込まれない限り、観察されなかった。供給のための瓶詰めされた溶媒とカートリッジおよび毛細管の併用は、製造目的のために、特殊キットを作製する柔軟性を改良する。メタノール、アセチルニトリル、酢酸エチル、ならびに他の溶媒および試薬とのその組み合わせ等、異なる用途のために使用される溶媒は、最適化された処方を用いて生成され、標的解析のための最良性能のために提供されることができる。サンプルカートリッジおよびサンプル採取毛細管は、同一パッケージ内に包装されることができる一方、瓶詰めされた溶媒は、別個に提供されることができ、複数のカートリッジ/毛細管パッケージと併用されることができる。代替として、1回限りの使用のための小型溶媒キットが、提供されることができ、これは、カートリッジおよび毛細管とともに同一パッケージ内に含まれることができる。
【0039】
サンプルカートリッジのために、挿入された融合毛細管を伴う紙担体が、使用される(図11のパネルB)。以前の試験では、紙スプレープローブのための先端部の鋭さおよび紙担体の厚さは、スプレープロセスの脱溶媒和に有意な影響を及ぼすことが見出され、これは、商業用質量分析計と併用するためにはあまり問題ではないが、あまり塞がれていない大気圧インターフェースを伴う小型システムにとって問題となる。0.18mm厚のWhatman Grade 1等の薄い紙は、0.5mm厚のWhatman ET 31と比較して、Mini 12に関して少なくとも5倍高い感度を提供することが見出された。しかしながら、薄い紙は、湿潤されると、力学的に軟質となり、カートリッジの組立のために好適ではない。また、紙担体の鋭い先端部の加工は、産業用大量生産プロセスにとって課題のままであることが認識されている。引き出された鋭いガラス先端部を抽出スプレーにおけるように使用すると、ナノESIのためのイオン化の効率が、保証されるが、抽出スプレーのための解析プロトコルは、紙スプレーほどユーザフレンドリーではない。
【0040】
本発明のプローブは、ガラススプレー先端部と周囲イオン化のための紙担体を組み合わせる。150/50μm o.d./i.d.および10mm長の石英ガラス毛細管のコーティングは、燃焼によって剥がされた。毛細管は、次いで、スプレー先端部としての役割を果たすET 31担体の中に挿入された。本設計は、紙スプレーにおけるサンプル清掃プロセスおよび抽出スプレーにおける鋭いスプレー先端部を用いた改良されたイオン化効率を利用する。以下のデータは、Grade 1担体と等しい感度が得られたことを示す。Mini 12を使用した血液サンプル中のシタグリプチン(JANUVIA, Merck & Co. Inc.との共同研究)の解析では、3ng/mLのLODおよび10ng/mLのLOQが、得られた。
小型質量分析計
【0041】
ある実施形態では、質量分析計は、小型質量分析計である。例示的小型質量分析計は、例えば、Gao et al.(Z. Anal. Chem, 2006,78,5994−6002)に説明されており、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。数千ワットの電力を伴う実験室規模の器具のために使用されるポンプシステムと比較して、小型質量分析計は、概して、Gao et al.に説明されるシステムのための5L/分(0.3m/時間)膜ポンプおよびllL/秒ターボポンプのみを伴う18Wポンプシステム等、より小さいポンプシステムを有する。他の例示的小型質量分析計は、例えば、Gao et al.(Anal. Chem., 80:7198−7205,2008)、Hou et al.(Anal. Chem., 83:1857−1861,2011)、およびSokol et al.(Int. J. Mass Spectrom., 2011,306,187−195)に説明されており、そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。小型質量分析計はまた、例えば、Xu et al.(JALA, 2010,15,433−439)、Ouyang et al.(Anal. Chem., 2009,81,2421−2425)、Ouyang et al.(Ann. Rev. Anal. Chem., 2009,2,187−214)、Sanders et al.(Euro. J. Mass Spectrom., 2009,16,11−20)、Gao et al.(Anal. Chem., 2006,78(17),5994−6002)、Mulligan et al.(Chem. Com., 2006,1709−1711)、およびFico et al.(Anal. Chem., 2007,79,8076−8082)にも説明されており、そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
非連続大気圧インターフェース
【0042】
ある実施形態では、本発明のシステムは、非連続インターフェースを具備し、これは、特に、小型質量分析計を用いる場合に有用である。例示的非連続インターフェースは、例えば、Ouyang et al.(米国特許第8,304,718号)に説明されており、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
定量化
【0043】
製品開発の主要な目的は、必須の定質的および定量的性能を保持しながら、MS技術を使用して単純解析を可能にすることである。周囲イオン化および小型MSシステムの開発における以前の経験に基づいて、内部標準の組み込みは、生産開発のための長期的利点であると考えられる。A/IS比率のMRM(多反応監視)測定は、実験室規模[39]および小型MSシステムの両方にとって、高定量化精度を得るための堅固かつ有効な方法であることが証明されている。しかしながら、POC MS製品開発のために、ISを組み込むための実験技法および手順は、POC手順のために好適な単純方法によって完全に取って代わられる必要がある。
【0044】
一実施形態では、紙担体上への内部標準(IS)の事前印刷が、カートリッジを製造するときに行われることができ、したがって、ISは、生体流体サンプルが堆積されるとき、その中に混合されることができる。サンプル体積は、毛細管体積によって制御される。以前の研究では、13%を上回るRSDが、得られた。しかしながら、また、ISおよび生体流体サンプルの堆積の非一貫性は、定量化結果に有意な悪影響を及ぼし得ることも見出された。インクジェット印刷は、既知の量のIS化合物を紙担体上の狭い帯域内に堆積させるために使用されることができ、これは、堆積されるべき生体流体サンプルによって完全に被覆されることができる。これは、再現性を有意に改良することが予期される。
【0045】
ISでコーティングされたサンプル採取毛細管は、単純手順を用いて定量化を行うための別のアプローチである。毛細管壁の内側のISコーティングは、毛細管を毛細管効果を通してIS溶液で充填し、次いで、溶液を乾燥させることによって調製される。ISは、同様に毛細管効果によって充填されたサンプルの中に混合される。本方法の非常に有意な利点は、伴われるIS溶液および生体流体サンプルの量が常時同一であるため、毛細管体積の正確な制御が、定量化のための高い一貫性を得るのに必要とされないことである。これは、大量生産のための著しい簡略化を表す。データは、5%を上回るRSDが1μL程度の少量の血液および尿サンプルに関して得られたことを示す。ISでコーティングされた毛細管は、空気または乾燥された窒素で充填されたプラスチックバッグ内に詰められ、1〜20週間、室温および低温の両方において保管されることができる。
【0046】
前述の2つの方法に加え、直接検体抽出を行うための別の方法は、スラグ流マイクロ抽出(第PCT/US15/13649号、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)の使用を伴い、その後、カートリッジを使用したスプレーイオン化が続く(図11のパネルF)。本方法は、2つの潜在的利点を有する。検体の即時抽出は、血液中のヒドララジン等の湿潤生体流体における反応に起因して不安定である、検体を保存することに役立つ。また、ISの組み込みは、抽出を用いて行われることができる。以前の研究では、メタンフェタミン−d8が、メタンフェタミン尿の定量化のために、抽出溶媒である酢酸エチルの中に事前に添加された。ISおよび検体は両方とも、同じ分配係数に基づいて、2つの位相間に再分布された。したがって、抽出溶媒に関して測定されたその比率は、尿サンプル中のメタンフェタミンの元の濃度を定量化するために使用されることができる。
参照による組み込み
【0047】
特許、特許出願、特許公開、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ等、他の文書の参照および引用が、本開示全体を通して成されている。全てのそのような文書は、あらゆる目的のために、その全体が、本明細書に参照することによって本明細書に組み込まれる。
均等物
【0048】
本明細書に示され、説明されるものに加えて、本発明の種々の修正および多くのそのさらなる実施形態が、本明細書に引用される科学的および特許文献の参照を含む、本書の全容から、当業者に明白となるであろう。本明細書における主題は、その種々の実施形態およびその均等物における、本発明の実施に適合され得る、重要な情報、例示、および指針を含有する。
【実施例】
【0049】
異なる商業用質量分析計および手製小型質量分析計上への紙スプレーの適用の際、ある一連の要因が紙スプレーMS解析の性能に有意に影響を及ぼし得ることが観察された。全体的最良性能は、TSQ(Thermo Scientific、San Jose, CA, USA)等の加熱された毛細管を使用した質量分析計を用いる場合に観察された。カーテンガスを用いるQTrap 4000(Sciex(Concord, Ontario, Canada))に関して、スプレーは、紙上の溶媒を乾燥させるカーテンガスに起因して、あまり安定せず、かつ短い持続時間であることが見出された。0.5mm厚のWhatman ET 31紙(Whatman International Ltd(Maidstone, ENG))が、商業用紙スプレーカートリッジ内の担体のために使用された。しかしながら、Mini 12質量分析計を用いて紙スプレーを適用するとき、0.18mm厚のWhatman Grade 1紙が、ET 31よりはるかに優れた感度を提供することが見出された。担体の厚さは、スプレー先端部の鋭さに影響を及ぼし、したがって、より大きい液滴が、スプレーの間、より厚い担体を用いて形成される。Mini 12上にあまり高度ではないインターフェース、すなわち、加熱された毛細管またはカーテンガスを伴わない非連続大気圧インターフェース(DAPI)を用いる場合、脱溶媒和は、あまり効率的ではなく、感度は、ET 31を紙スプレーのための担体として使用したMS解析に関して有意に低下する。残念ながら、Grade 1等の薄い紙担体は、湿潤されると、非常に軟質となり、したがって、カートリッジ内で使用されることができない。また、打抜き等の紙担体を加工するための大量生産プロセスは、鋭い先端部を紙から作製するための非一貫性問題を有することが見出されている。
【0050】
以前の研究では、Mini 12を使用して血液サンプル中の治療用薬物を解析するために、抽出スプレーを使用して、改良された感度および定量化精度を達成した。乾燥血液スポットを伴う紙細片が、スプレーのために引き出された先端部を伴うナノESIチューブの中に挿入され、そこで、検体が、チューブ内の溶媒の中に抽出され、引き出された先端部を通してスプレーイオン化された。抽出スプレーは、高速サンプル清掃、その後の良好に成形された先端部を用いたスプレーイオン化を利用する実施例である。しかしながら、カートリッジ設計のための抽出スプレー自体の実装は、解析プロトコルの複雑性を表す。紙スプレーに関して観察される問題を解決し、小型MSシステムのための満足のゆく性能を伴う使い捨てカートリッジを開発することを目的として、直接サンプル採取イオン化のための紙担体に取って代わるための紙毛細管デバイス(図6のパネルA)を開発した。体系的特徴付けが、元の紙スプレーと比較して、単純デバイスに関して実施された。
実施例1:方法
【0051】
全化学物質は、Sigma−Aldrich(St. Louis, MO, USA)から購入された。ウシ全血は、Innovative Research(Novi, MI, USA)から購入された。紙担体を作製するために使用されるクロマトグラフィ紙(Grade 1およびET 31)は、Whatman(Whatman International Ltd(Maidstone, ENG)から購入された。紙毛細管スプレーのための石英ガラス管類(O.D.130μm、I.D.50μm)は、Molex Inc.(Lisle, IL, USA)から購入された。MS解析は、カーテンガスを使用する大気圧インターフェース(API)を具備するQTrap 4000質量分析計(Applied Biosystems(Toronto, CA))と、非連続大気圧インターフェースを伴う手製小型質量分析計であるMini 12とを使用して行われた。
【0052】
紙スプレーのために、スプレー担体が、紙を底辺6mmおよび高さ10mmの三角形に裁断することによって調製された。ワニ口クリップ(alligator clipper)が、紙スプレーの間、紙担体を保持するために使用され、3.5kVのdc電圧が、クリップに印加された。特定されない場合、25μLおよび70μLの溶出溶媒が、それぞれ、Grade 1(0.18mm厚)およびET 31(0.5mm厚)担体を伴う紙スプレーのために使用された。紙毛細管デバイスを加工するために、50μm i.d.および150μm o.d.の石英ガラス管類が、セラミックカッタを使用して短い片に切断された。毛細管は、次いで、ET 31(0.5mm厚)紙担体の中に挿入され、長さ約3mmが紙内に埋設された。
実施例2:本発明のプローブを使用したサンプル解析
【0053】
図6のパネルAは、本発明のシステムを示す。本システムは、多孔性材料と、中空部材(例えば、中空毛細管)とを含む、プローブを含む。プローブは、多孔性材料を介して電極に結合され、プローブは、中空部材から小型質量分析計等の質量分析計に排出される、イオンを発生させる。本発明の紙毛細管デバイスは、2つの異なる方法で加工され得る。紙担体は、毛細管が挿入されるために、剃刀を使用して側面から分裂され得る(図6のパネルB)、または切り込みが、ET 31紙担体の途中に作製されることができ、次いで、毛細管は、切り込みの中に押し込まれ、埋設されることができる(図6のパネルC)。性能上の有意な差異は、これらの2つの方法によって作製されたデバイス間で観察されなかった。しかしながら、後者の方法が、デバイスの大量生産のためにより好適であり得る。
【0054】
裁断後の毛細管の端部は、顕微鏡を用いて撮影された写真(図7のパネルA)とともに示されるように、鋭いマイクロ先端部を伴う不規則形状を有することが予期された。これらのマイクロ先端部は、分裂スプレーを生じさせ得る。たばこ用ライタが、毛細管を燃焼し、ポリアミドコーティングを除去し、かつ各毛細管の端部における縁を平滑にするために使用された(図7のパネルB)。紙毛細管デバイスは、元の毛細管および燃焼された毛細管の両方を使用して作製され、3mm延在される放出体を伴う。それらは、濃度100ng/mLにおけるメタンフェタミンを含有するウシ全血サンプルの解析のために使用された。解析毎に、3μL血液サンプルが、紙担体上に堆積され、乾燥され、DBSを形成した。70μLのMeOH:HO(9:1、v:v)が、次いで、抽出/スプレー溶媒として適用された。QTrap 4000が、[M+H]m/z150を前駆体イオンとして用いてMS/MS解析を行うために使用された。特徴的断片イオンm/z91に関するイオンクロノグラムが、図7のパネルCに示されるように抽出された。平均化されたMS/MSスペクトルもまた、比較のために図7のパネルD−Eに示される。3倍高い信号強度が、燃焼された毛細管放出体の使用に関して得られた。元の毛細管を伴う粗い縁は、分裂スプレーを生じさせ得、これは、スプレー電流(spray current)を不安定かつ低強度にする。ポリイミドコーティングが除去されると、毛細管の外径は、約20μm減少し、これはまた、スプレーの間、より小さい液滴を生成することに役立ち、最終的には、イオン信号を改良することに役立つ。
【0055】
担体からの毛細管放出体の延在による影響もまた、調査された。2つの紙毛細管デバイスが、作製され、一方は、放出体長3mmを伴い、他方は、10mmを伴った。それぞれ、3μL血液サンプルの堆積によって作製された、紙担体上の乾燥血液スポット中の治療用薬物化合物の解析のために、それらの間で比較が行われた。100μLのMeOH:HO(9:1、v:v)が、解析毎に紙担体上に適用され、大気圧インターフェースにカーテンガスを伴うQTrap 4000が、MS解析のために使用された。図8のパネルAは、m/z465→165のSRM(単一イオン監視)を使用した100ng/mLベラパミルの解析のために記録されたイオンクロノグラムを示し、10mm放出体を伴う紙毛細管デバイスが、使用された。パルス状パターンが、継続的に記録されるイオン信号に関して観察された。パルスの幅は、スプレーの1分時の12秒から6分時の20秒までより広くなった。しかしながら、これは、3mmの放出体が使用されたときには観察されなかった。SRMm/z278→233を使用して100ng/mLアミトリプチンの解析のために記録された例示的イオンクロノグラムは、図8のパネルBに示される。10mm放出体を用いて観察されるパルス状スプレーパターンは、放出体先端部における溶媒の消費が紙担体を通して吸い上げられる溶媒の供給を上回ることを示唆する。放出体の長い延在は、短い放出体を用いる直接紙スプレーまたは紙毛細管スプレーに関して保持された溶媒送達の平衡を崩す。また、加熱された毛細管を有するが、入口にカーテンガスを有していない、TSQを使用して、10mm放出体を伴う担体も試験した。驚くことに、パルス状パターンは、観察されず、これは、カーテンガスによって促進されるより高速の消費が非連続スプレーに寄与したという仮説を支持する。
【0056】
担体上の放出体の最適化後、イオン化効率の比較が、Grade 1(0.18mm厚、図9のパネルA)、ET 31(0.5mm厚、図9のパネルB)、および3mmの燃焼された放出体を伴う紙毛細管デバイス(図9のパネルC)を用いて紙スプレー間で行われた。治療用薬物を含有するスプレー溶媒MeOH:HO(9:1、v:v)が、担体上に堆積され、高電圧が、印加され、スプレーイオン化を発生させた。解析毎に使用される溶媒の量は、Grade 1紙スプレー担体に関しては25μLであったが、ET 31紙スプレー担体および紙毛細管デバイスに関しては70μLであって、また、より厚いET 31紙も担体として使用される。最初の比較は、QTrap 4000を使用して行われ、50ng/mLでスプレー溶媒中に添加されたイマチニブを解析した。前駆体イオンm/z494を用いたMS/MS解析は、Grade 1紙スプレー担体(図9のパネルD)および紙毛細管デバイス(図9のパネルF)に関する断片ピークが類似強度を示したが、強度は、ET 31紙スプレー担体(図9のパネルE)について50分の1であった。類似現象は、Mini 12を使用した20ng/mLにおけるアミトリプチンの解析に関しても観察された(図9のパネルG−I)。ET 31を用いた紙スプレーに関して得られた強度は、Grade 1紙スプレーまたは紙毛細管スプレーに関するものをはるかに下回る。厚い紙担体と毛細管放出体の組み合わせは、カートリッジ設計のための優れた方略を表す。ET 31を紙担体として使用すると、より多いサンプル装填量が、Grade 1等のより薄い担体よりも使用され得る。しかしながら、紙の厚さに関連する乏しいイオン化効率は、ここでは毛細管放出体を用いて解決されることができる。紙毛細管スプレーの体系的特徴付けの間、検体イオンに関して監視される信号強度が、平均強度の改良にもかかわらず、走査毎に有意に変動することに気付いた。サンプル堆積の方法が、検体信号の安定性に予想外の影響を及ぼすことが分かった。図10のパネルAに示されるように、血液サンプルは、紙スプレーに関して行われるように、元々は、紙担体の中心に堆積され、DBSを形成した。しかしながら、走査間信号変動は、紙スプレーよりはるかに深刻であった。QTrap 4000を使用したウシ全血中のアミトリプチン100ng/mLのSRM解析に関して記録された例示的イオンクロノグラムは、図10のパネルAに示される。100μLのMeOH:HO(9:1、v:v)が、検体抽出およびスプレーイオン化のために、紙担体上に適用された。断片化遷移m/z278→233が、監視された。対照的に、サンプルが縁間帯域の形態で堆積されると、検体信号の安定性は、有意に改良された(図10のパネルB)。抽出溶媒が、三角形紙担体の底辺に適用され、先端部に向かって吸い上げられた。したがって、全溶媒は、縁間帯域内に堆積された場合、血液サンプルを通過するように強いる。これは、毛細管放出体に到達するスプレー溶媒中の検体の濃度の一貫性を改良するであろう。
【0057】
スプレー安定性が改良された状態で、紙毛細管スプレーの定量的性能が、Mini 12を使用して、血液中のシタグリプチン(JANUVIA)の解析のために評価された。10、50、100、500、1000、および2000ng/mLにおいてウシ全血中にシタグリプチンを伴うサンプルが、較正曲線を確立するために調製された。3μLの血液サンプルが、各DBSを担体上に調製するために使用され、75μLのMeOH:HO(9:1、v:v)が、解析毎の抽出およびスプレー溶媒として使用された。プロトン化されたイオンm/z408を前駆体として用いたMS/MS解析が、行われ、断片イオンm/z235のイオン強度が、濃度の関数としてプロットされ、図10のパネルCに示されるように、較正曲線を確立した。線形範囲は、シタグリプチンの治療濃度域(therapeutic window)(16〜200ng/mL)を十分に網羅し、25%を上回るRSDが達成された。
【0058】
MS解析をPOC用途において適用するための最終解決策は、直接サンプル採取デバイスと小型システムの組み合わせに依存するであろう。周囲イオン化のために好適な使い捨てサンプルカートリッジの開発は、MS解析を単純プロトコルを用いて行うための有望な方向である。紙毛細管スプレーは、単純サンプル採取および高速検体抽出のために、紙スプレーの特徴を受け継ぐが、また、従来のナノESIのためのようなガラス放出体からのスプレーに関する高イオン化効率および再現性も利用する。本研究は、大気圧インターフェースを伴う小型MSシステムを使用して生体流体サンプルを解析するための有望な解決策を使い捨てサンプルカートリッジの将来的設計に提供する。
実施例3:本発明のプローブを使用した化合物の解析
【0059】
ここで、図1のパネルBにおけるものに類似するデバイスおよびTSQ質量分析計(Thermo Scientific(San Jose, CA))を使用したウシ血液中のコカイン50ng/mLの解析を示す、図3を参照する。0.4mm厚のWhatman 31ET紙が、台形形状の担体を作製するために使用された。8mmの石英ガラス毛細管(49μm i.d.および150μm o.d.)が、深度約3mmまで担体の中に挿入された。5μLの血液サンプルが、紙担体上に装填され、乾燥血液スポットを形成した。30μLのメタノールが、検体抽出およびスプレーイオン化のために担体上に適用された。3000Vが、印加され、スプレーを誘発した。a)SRM遷移m/z304〜182を用いて記録された、抽出イオンクロノグラム。b)前駆体m/z304のMS/MSスペクトル。
【0060】
ここで、図1のパネルAのものに類似するデバイスおよびMini 12質量分析計を使用したメタノール溶液中のコカイン10ng/mLおよびベラパミル30ng/mlの解析を示す、図4を参照する。0.4mm厚のWhatman 31ET紙が、台形形状の担体を作製するために使用された。8mmの石英ガラス毛細管(49μm i.d.および150μm o.d.)が、深度約2mmまで担体の中に挿入された。15μLのサンプルが、紙担体上に装填された。3000Vが、印加され、スプレーを誘発した。二重ノッチSWIFT波形態が、印加され、前駆体イオンm/z304およびm/z455の両方を単離した。すなわち、二重周波数AC信号が、印加され、CIDのために両前駆体を励起した。MS/MSスペクトルが、記録された。
【0061】
ここで、図1のパネルBのものに類似するデバイスおよびMini 12質量分析計を使用したウシ血液中のコカイン50ng/mLの解析を示す、図5を参照する。0.4mm厚のWhatman 31ET紙が、台形形状の担体を作製するために使用された。8mmの石英ガラス毛細管(49μm i.d.および150μm o.d.)が、深度約2mmまで担体の中に挿入された。5μLの血液サンプルが、紙担体上に装填され、乾燥血液スポットを形成した。30μLのメタノールが、検体抽出およびスプレーイオン化のために担体上に適用された。3000Vが、印加され、スプレーを誘発した。図は、前駆体m/z304のMS/MSスペクトルを示す。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
多孔性材料と、前記多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを備える、プローブ。
(項2)
前記中空部材は、毛細管チューブである、上記項1に記載のプローブ。
(項3)
前記多孔性材料は、紙である、上記項1に記載のプローブ。
(項4)
前記中空部材は、前記多孔性材料の遠位端を越えて延在する、上記項1に記載のプローブ。
(項5)
前記中空部材の遠位端は、平滑にされる、上記項1に記載のプローブ。
(項6)
前記多孔性材料はさらに、内部標準として、またはライン上での化学誘導体化のために、1つまたはそれを上回る化学物質を備える、上記項1に記載のプローブ。
(項7)
カートリッジであって、
開放遠位端を伴う筐体と、
前記筐体内に位置するプローブであって、前記多孔性材料と、前記多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを備え、前記筐体の開放遠位端に動作可能に整合される、プローブと、
を備える、カートリッジ。
(項8)
前記筐体は、サンプルが前記プローブに導入され得るように、前記プローブの多孔性材料に対する開口部を備える、上記項7に記載のカートリッジ。
(項9)
前記筐体は、電場が前記プローブに印加され得るように、電極のための結合部を備える、上記項8に記載のカートリッジ。
(項10)
前記筐体の開放遠位端から延在する複数の突起をさらに備える、上記項8に記載のカートリッジ。
(項11)
溶媒リザーバをさらに備える、上記項10に記載のカートリッジ。
(項12)
カートリッジであって、
筐体と、
前記筐体内に位置するプローブのアレイであって、前記プローブのそれぞれは、多孔性材料と、前記多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを備える、プローブのアレイと、
を備える、カートリッジ。
(項13)
システムであって、
多孔性材料と、前記多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを備える、プローブと、
前記多孔性材料に結合される電極と、
質量分析計と、
を備える、システム。
(項14)
前記質量分析計は、ベンチトップ質量分析計または小型質量分析計である、上記項13に記載のシステム。
(項15)
前記質量分析計は、カーテンガスを備える、上記項13に記載のシステム。
(項16)
前記中空部材は、毛細管チューブである、上記項13に記載のシステム。
(項17)
前記多孔性材料は、セルロースベースの材料である、上記項18に記載のシステム。
(項18)
サンプルを解析するための方法であって、
多孔性材料と、前記多孔性材料の遠位部分に結合される中空部材とを備える、プローブを提供するステップと、
サンプルを前記多孔性材料に接触させるステップと、
前記中空部材の遠位端から排出される、前記プローブからの前記サンプルのイオンを発生させるステップと、
前記イオンを解析するステップと、
を含む、方法。
(項19)
前記発生させるステップは、溶媒および電場を前記プローブに印加するステップを含む、上記項18に記載の方法。
(項20)
前記解析するステップは、前記イオンを質量分析計の中に導入するステップを含む、上記項18に記載の方法。
(項21)
前記質量分析計は、ベンチトップ質量分析計または小型質量分析計である、上記項19に記載の方法。
(項22)
前記サンプルは、生物学的サンプルである、上記項18に記載の方法。
図1
図2a)】
図2b)】
図2c)】
図2d)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11