特許第6948296号(P6948296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6948296傾斜面上作業用装置及び太陽光発電所に適用される場合の掃除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948296
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】傾斜面上作業用装置及び太陽光発電所に適用される場合の掃除方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20210930BHJP
   A47L 11/38 20060101ALI20210930BHJP
   H02S 40/10 20140101ALI20210930BHJP
   A47L 9/28 20060101ALN20210930BHJP
【FI】
   B08B1/04
   A47L11/38
   H02S40/10
   !A47L9/28 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-154133(P2018-154133)
(22)【出願日】2018年8月20日
(65)【公開番号】特開2019-34306(P2019-34306A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2018年8月20日
【審判番号】不服2020-10455(P2020-10455/J1)
【審判請求日】2020年7月28日
(31)【優先権主張番号】201710720195.0
(32)【優先日】2017年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲しん▼
【合議体】
【審判長】 佐々木 芳枝
【審判官】 小川 恭司
【審判官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−139792(JP,A)
【文献】 特開2010−155308(JP,A)
【文献】 特開平11−220003(JP,A)
【文献】 特開2014−232795(JP,A)
【文献】 特表2008−503762(JP,A)
【文献】 特開平7−284745(JP,A)
【文献】 特開平7−265827(JP,A)
【文献】 特開昭64−21511(JP,A)
【文献】 特開昭62−288910(JP,A)
【文献】 特開昭60−259388(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第3392124(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103926253(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/199198(WO,A1)
【文献】 特開2010−155308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜面に作業を行う作業ロボットと、追従車と、前記作業ロボットと前記追従車とを接続するケーブルとを有し、
前記作業ロボットと前記追従車とは、互いの位置を獲得するための測位システムを有し、
前記追従車は、前記測位システムにより獲得した前記作業ロボットの位置を識別しながら、前記作業ロボットに追従して自動的に移動することができ、
動力源は、前記追従車に設けられ、前記ケーブルを介して前記作業ロボットによる作業に対して継続的に動力を提供し、
前記追従車は、フレームと取り外し可能な部分とを含み、
前記取り外し可能な部分は、電池パック、制御用回路基板、原料箱のうち、少なくとも1つを含み、
前記追従車には、前記傾斜面の周縁を検出可能な周縁検出装置が設置され、
前記傾斜面は、太陽電池モジュールアレイの傾斜表面であり、
前記周縁検出装置は、2組の物体感知センサを含み、
各組の前記物体感知センサは、それぞれ2つの物体感知センサを含み、
前記追従車に設置された前記周縁検出装置は、前記太陽電池モジュールアレイの周縁を検出し、
1組における2つの前記物体感知センサは、前記太陽電池モジュールアレイの周縁の上下両側に位置し、1つの前記物体感知センサが前記太陽電池モジュールアレイを検出でき、もう1つの前記物体感知センサが前記太陽電池モジュールアレイを検出できない場合、前記周縁検出装置が正常使用状態であり、
前記周縁検出装置が正常使用状態であるか否かによって前記追従車と前記太陽電池モジュールアレイの周縁との位置関係を判断し、前記位置関係に基づいて、前記太陽電池モジュールアレイの周縁を境界として移動できるように、前記追従車の方向及び移動軌跡を調整する
ことを特徴とする傾斜面上作業用装置。
【請求項2】
前記作業ロボットは、前記傾斜面に対して所定の作業軌跡に沿って自動的に移動することができるように、方向センサ及び周縁検出センサを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜面上作業用装置。
【請求項3】
前記作業ロボットには、作業が完了した後に提示信号を発生する信号指示器が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜面上作業用装置。
【請求項4】
前記作業ロボットと前記追従車との間の前記ケーブルは、さらにリード管を含み、
前記追従車には、作業に必要な原料を提供するための原料箱が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜面上作業用装置。
【請求項5】
前記追従車には、撮像ヘッド及び画像処理システムが取り付けられ、
前記撮像ヘッドが前記傾斜面及びその周縁の画像を撮影し、撮影された画像がリアルタイムに画像処理システムに伝送され解析処理で処理されて、画像における傾斜面の下の周縁の画素座標が獲得されることによって、前記傾斜面の下の周縁に対する前記追従車の位置及び方向を判断し、
これに基づいて、前記追従車の位置及び方向を調整し、前記傾斜面の周縁にほぼ沿う前記追従車の移動を確保する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載の傾斜面上作業用装置。
【請求項6】
1つ又は複数の太陽電池モジュールを接合してなる1つの又は複数の太陽電池モジュールアレイを有する太陽光発電所の掃除方法であって、
前記太陽光発電所の掃除方法は、前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載の傾斜面上作業用装置を用い、前記傾斜面が前記太陽電池モジュールアレイの表面であり、前記作業が掃除作業であり、前記作業ロボットが掃除ロボットであり、
前記掃除ロボット及び前記追従車を前記太陽光発電所の現場に搬送する第1ステップと、
人手で前記掃除ロボットを掃除待ちの前記太陽電池モジュールアレイに設置し、前記ケーブルを介して前記掃除ロボットと前記追従車とを接続し、当該太陽電池モジュールアレイに対して自動的に掃除を行うように前記掃除ロボットを駆動し、前記追従車は、その上に設置された周縁検出装置のガイドにより位置及び方向を調整しながら、前記太陽電池モジュールアレイの周縁に沿って前記掃除ロボットに追従して自動的に移動する第2ステップと、
前記掃除ロボットが所定の掃除軌跡に沿って前記太陽電池モジュールアレイの表面に対して自動的に掃除を行い、掃除が完了した後、完了提示信号を発生する第3ステップと、
人手で前記掃除ロボットをその他の掃除待ちの太陽電池モジュールアレイに搬送し、第2ステップと第3ステップを繰り返して実施する第4ステップと、を含む
ことを特徴とする太陽光発電所の掃除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜面に対して作業を行うロボット分野に属し、例えば太陽光発電所に適用されるものの技術分野に属し、特に傾斜面上作業用装置及び太陽光発電所に適用される場合の掃除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の傾斜面(地面のような水平面となす角が鈍角、直角又は鋭角である)に対して特殊な作業を行う必要がある場合がある。例えば、傾斜状に設置された太陽電池モジュールアレイに対して掃除を行う場合がある。太陽電池モジュールが露出された場合、粉塵が太陽電池モジュールに付着し、太陽光の有効照射を妨げるので、光電変換効率に非常に影響を及ぼす。そして、照射のばらつきで一部が過熱になるので、ホットスポットが形成され、ひいては太陽電池モジュールを破壊する場合がある。大気に粉塵が多く含まれているので、掃除を行っても、短期間内に太陽電池モジュールに再び粉塵が付着する。このため、太陽電池モジュールに対して頻繁に掃除を行う必要がある。
【0003】
現在、太陽光発電所の掃除作業は、主として人手による掃除方式で行われている。しかしながら、人手による掃除が数多くのデメリット(例えば、人件費が大きい、掃除効率が低い、掃除品質が不安定、太陽電池板を損傷しやすい、など)を有するので、人手による掃除に代わって徐々にロボットで掃除を行うようになってきている。現在の軌道式ロボット掃除装置を例として、その作業工程は、以下のようになる。まず、2人以上の作業者が、ロボットを1つの太陽電池モジュールアレイに取り付ける。その後、ロボットが太陽電池モジュールアレイの横方向に沿って移動するとともに、ロボットの掃除ユニットがロボットの軌道に沿って上下移動することによって、太陽電池モジュールアレイに対するスキャン式掃除を実現した。なお、1つの太陽電池モジュールアレイに対する掃除が完了した後、2人以上の作業者により、ロボットを取り外しその他の太陽電池モジュールアレイに取り付ける必要がある。上記の作業方法において、以下の問題がある。
【0004】
(1)このような軌道式の掃除ロボットは、体積が大きく、重量が重いので、着脱作業が複雑になり、1人の作業者で行われることができなく、2人以上の作業者が必要となる。また、作業者の体力と作業経験に対する要求が高い。さらに、着脱作業に必要な時間が長い。
【0005】
(2)太陽光発電所における太陽電池モジュールアレイは、数多くあるとともに、互いに独立になっている。このため、作業者が頻繁に掃除ロボットを搬送する必要があり、即ち作業者がロボットの着脱作業を繰り返して行う必要があるので、掃除の効率が著しく低下した。
【0006】
上記の問題を解決するために、技術者は、太陽電池モジュールアレイごとに1つの軌道式ロボットを取り付ける解決案をさらに提出した。当該ロボットの作業方法は上記のロボットと同様であるが、軌道式ロボットが常に太陽電池モジュールアレイに取り付けられ、一回の装着で済むところが相違している。このような方法は、高頻度、高効果の掃除を実現できるので、太陽電池モジュールが何時でも清潔状態になっていることを確保でき、大幅に発電効率を向上させた。しかしながら、以下の問題がある。太陽光発電所においてモジュールアレイが数多く存在し、モジュールアレイごとにロボットを取り付けると、数多くのロボットが必要となる。数多くの巨大なロボットを広い発電所に設置する場合、大量な事前設置作業が必要となり、コストが大きくなるとともに、大量な管理、メンテナンスの作業も必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、太陽光発電所の掃除装置及びその掃除方法を例として、コストが低く、着脱しやすく、管理及びメンテナンスが便利な傾斜面上作業用装置及びその方法を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、傾斜面上作業用装置を提供する。傾斜面上作業用装置は、傾斜面に作業を行う作業ロボットと、追従車と、作業ロボットと追従車とを接続するケーブルとを有し、作業ロボットと追従車とは、互いの位置を獲得するための測位システムを有し、追従車は、作業ロボットの位置を識別しながら、作業ロボットに追従して自動的に移動することができ、動力源は、追従車に設けられ、ケーブルを介して作業ロボットによる作業に対して継続的に動力を提供する。
【0009】
太陽光発電所に対する掃除を例として、本発明は、1つ又は複数の太陽電池モジュールを接合してなる1つ又は複数の太陽電池モジュールアレイを有する太陽光発電所の掃除装置を提供する。太陽光発電所の掃除装置は、各太陽電池モジュールアレイにおいて掃除を行う掃除ロボットと、追従車と、掃除ロボットと追従車とを接続するケーブルとを有し、掃除ロボットと追従車とは、互いの位置を獲得するための測位システムを有し、追従車は、掃除ロボットの位置を識別しながら、掃除ロボットに追従して自動的に移動することができ、動力源は、追従車に設けられ、ケーブルを介して掃除ロボットによる掃除作業に対して継続的に動力を提供する。
【0010】
さらに、作業ロボットは、傾斜面に対して所定の作業軌跡に沿って自動的に移動することができるように、方向センサ及び周縁検出センサを有する。
【0011】
さらに、作業ロボットには、作業が完了した後提示信号を発生する信号指示器が設けられている。
【0012】
さらに、作業ロボットと追従車との間のケーブルは、リード管を含み、追従車には、作業に必要な原料を提供するための原料箱が設けられている。
【0013】
さらに、追従車は、フレームと取り外し可能な部分とを含む。
【0014】
さらに、追従車には、傾斜面の周縁を検出可能な周縁検出装置が設置されている。
【0015】
具体的には、傾斜面は、太陽電池モジュールアレイの傾斜表面であり、追従車に設置された周縁検出装置は、太陽電池モジュールアレイの周縁を検出することができる。
【0016】
さらに、周縁検出装置は、2組の物体感知センサを含む。
【0017】
さらに、各組の物体感知センサは、それぞれ2つの物体感知センサを含む。
【0018】
さらに、追従車には、撮像ヘッド及び画像処理システムが取り付けられ、前記撮像ヘッドが傾斜面及びその周縁の画像を撮影し、撮影された画像がリアルタイムに画像処理システムに伝送され解析処理で処理されて、画像における傾斜面の下の周縁の画素座標が獲得されることによって、傾斜面の下の周縁に対する追従車の位置及び方向を判断し、これに基づいて、追従車の位置及び方向を調整し、傾斜面の周縁にほぼ沿う追従車の移動を確保する。
【0019】
本発明は、さらに複数の太陽電池モジュールを接合してなる1つ又は複数の太陽電池モジュールアレイを有する太陽光発電所の掃除方法を提供する。太陽光発電所の掃除方法は、傾斜面上作業用装置を用い、傾斜面が太陽電池モジュールアレイの表面であり、作業が掃除作業であり、作業ロボットが掃除ロボットであるようなものとなり、
掃除ロボット及び追従車を太陽光発電所の現場に搬送する第1ステップと、
人手で掃除ロボットを掃除待ちの太陽電池モジュールアレイに設置し、ケーブルを介して掃除ロボットと追従車とを接続し、当該太陽電池モジュールアレイに対して自動的に掃除を行うように掃除ロボットを駆動し、追従車が掃除ロボットに追従して自動的に移動する第2ステップと、
掃除ロボットが所定の掃除軌跡に沿って太陽電池モジュールアレイの表面に対して自動的に掃除を行い、掃除が完了した後、完了提示信号を発生する第3ステップと、
人手で掃除ロボットをその他の掃除待ちの太陽電池モジュールアレイに搬送し、第2ステップと第3ステップを繰り返して実施する第4ステップと、を含む。
【0020】
本発明は、さらに複数の太陽電池モジュールを接合してなる1つ又は複数の太陽電池モジュールアレイを有する太陽光発電所の掃除方法を提供する。太陽光発電所の掃除方法は、傾斜面上作業用装置を用い、傾斜面が太陽電池モジュールアレイの表面であり、作業が掃除作業であり、作業ロボットが掃除ロボットであるようなものとなり、
掃除ロボット及び追従車を太陽光発電所の現場に搬送する第1ステップと、
人手で掃除ロボットを掃除待ちの太陽電池モジュールアレイに設置し、ケーブルを介して掃除ロボットと追従車とを接続し、当該太陽電池モジュールアレイに対して自動的に掃除を行うように掃除ロボットを駆動し、追従車は、その上に設置された周縁検出装置のガイドにより位置及び方向を調整しながら、太陽電池モジュールアレイの周縁に沿って掃除ロボットに追従して自動的に移動する第2ステップと、
掃除ロボットが所定の掃除軌跡に沿って太陽電池モジュールアレイの表面に対して自動的に掃除を行い、掃除が完了した後、完了提示信号を発生する第3ステップと、
人手で掃除ロボットをその他の掃除待ちの太陽電池モジュールアレイに搬送し、第2ステップと第3ステップを繰り返して実施する第4ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本発明の傾斜面上作業用装置及び太陽光発電所に適用される場合の掃除方法は、以下のメリットを有する。
(1)掃除ロボット及び追従車は、その重量及び体積が小さく、作業者は1人で同時に持ち上げることができる。取り付ける作業は、作業者が掃除ロボットを太陽電池モジュールアレイに設置し、掃除ロボット及び追従車の電源を起動することによって済む。掃除が完了した後、作業者が掃除ロボットを取り外して、その他の太陽電池モジュールアレイに設置する。取り付け、取り外し及び搬送の作業は、作業者の体力及び技に対する要求が極めて低い。
(2)取り付け及び取り外しが容易のため、掃除装置(掃除ロボット及び追従車)は、異なる太陽電池モジュールアレイに容易に適用される。このようにして、太陽電池モジュールアレイごとに掃除装置を用意する必要がなく、装置の使用台数を大幅に低減することができる。
(3)掃除装置の使用台数が低減されたが、掃除装置が異なる太陽電池モジュールアレイに容易に適用できるので、頻繁に掃除する目的を実現することができる。
(4)掃除装置の数量が低減されるので、発電所は、掃除システムを導入するための初期費用を大幅に低減することができる。
(5)掃除装置の数量が低減されるので、管理及びメンテナンス作業も大幅に低減された。例えば、作業者は、掃除装置を集めて点検、日常の電池の充電等の作業を容易に行うことができる。
(6)追従車は、取り外し可能な部分を有するので、搬送及び運送することが便利になり、追従車が搬送される場合の負担を軽減することができ、太陽光発電所の掃除作業を効率よく実施することに寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の傾斜面上作業装置の好ましい第1実施例の側面図である。
図2図1における追従車の正面図である。
図3図1の平面図である。
図4】本発明の傾斜面上作業装置の第2実施例の平面図である。
図5図4の側面部分拡大図である。
図6】本発明の傾斜面上作業装置の第3実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明が解決する技術問題、技術案及び有益な効果をより明瞭にするために、図面及び実施例を参照しながら、本発明をより詳しく説明する。以下に説明する具体的な実施例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0024】
本発明に係る傾斜面上作業用装置は、傾斜面に作業を行う作業ロボットと、追従車と、作業ロボットと追従車とを接続するケーブルとを有する。作業ロボットと追従車とは、互いの位置を獲得するための測位システムを有する。前記追従車は、作業ロボットの位置を識別しながら、作業ロボットに追従して自動的に移動することができる。動力源は、前記追従車に設けられ、ケーブルを介して作業ロボットによる作業に対して継続的に動力を提供する。以下、太陽電池モジュールアレイを例として、本発明の作業装置及びその適用方法を具体的に説明する。
【0025】
図1の本発明を用いて太陽光発電所に対して掃除を行う好ましい実施例を参照する。前記太陽光発電所は、1つ又は複数の太陽電池モジュールを配列してなる1つ又は複数の太陽電池モジュールアレイAを含み、太陽電池モジュールアレイAの表面が太陽の方向に向かう傾斜状になるように構成されている。前記太陽光発電所の掃除装置は、各太陽電池モジュールアレイに対して掃除を行う掃除ロボット1と、追従車2と、掃除ロボット1と追従車2とを接続するケーブル3とを有する。
掃除ロボット1の前後には、円筒形状の掃除用ブラシ8、9が回転可能に取り付けられ、図示しないモータにより回転駆動される。また、追従車2の4つの駆動輪は速度の差異を制御することによって追従車2の方向を自由に変換可能としている。
【0026】
掃除ロボット1と追従車2とは、互いの位置を獲得するための測位システムを有する。図3に示すように、測位システムは、無線距離測定信号ユニット4を含む。前記追従車2には2つの無線距離測定信号ユニット4が設けられ、前記掃除ロボット1には1つの無線距離測定信号ユニット5が設けられている。無線距離測定信号ユニットは、互いに通信することができ、その間の距離も検出することができる。このため、前記追従車2は、掃除ロボット1の位置を識別しながら、掃除ロボット1に追従して自動的に移動することができる。追従車2には、方向センサが設けられ、方向センサの信号を利用して直線運動の方向を確保する。掃除ロボット1の前後両側に、例えば回転可能なブラシ等の掃除具がそれぞれ設けられている。
【0027】
動力源は、前記追従車2に設けられ、ケーブルを介して掃除ロボット1の掃除作業に継続的に動力を提供する。例えば、大容量の電池は、追従車2に載置され、ケーブル3を介して掃除ロボット1に継続的に電力を提供する。
【0028】
前記掃除ロボット1には、方向センサと周縁検出センサとが設けられている。掃除ロボット1は、方向センサの信号を利用して運動軌跡の方向を確保するとともに、周縁検出センサによって太陽電池モジュールアレイAの側周縁を検出するようになる。このため、前記掃除ロボット1は、太陽電池モジュールアレイAにおいて所定の掃除軌跡(図3における点線)に沿って自動的に移動でき、太陽電池モジュールアレイから落下しないようになる。掃除ロボット1が太陽電池モジュールアレイAの末端に移動したときに、掃除ロボット1の周縁検出センサが、短期間内に太陽電池モジュールアレイAの側周縁Lで複数回誘発される。この場合、掃除が完了したと判断できる。また、前記掃除ロボット1には、提示信号を発生する信号指示器が設けられている。
【0029】
図3に示すように、追従車2には2つの無線距離測定信号ユニット4が設けられ、2つの無線距離測定信号ユニット4の間の距離をL1とする。また、掃除ロボット1には1つの距離測定信号ユニット5が設けられている。3つの距離測定信号ユニットは、互いに通信しながら、互いの間の距離を検出することができる。この場合、掃除ロボット1の距離測定信号ユニット5と追従車2の2つの無線距離測定信号ユニット4との間の検出された2つの距離をそれぞれL2とL3とする。このようにして、掃除ロボット1と追従車2とにより、既知辺長の三角形を構成することができる。当該三角形に基づいて、掃除ロボット1と追従車2との相対位置を確定することができるので、追従車2は、掃除ロボット1に追従して自動的に移動する追従機能を実現した。
【0030】
前記掃除ロボット1と追従車2との間のケーブル3は、さらにリード管を含む。前記追従車には、例えば水、洗浄剤等の掃除用原料を掃除ロボットへ提供するための掃除に必要な原料箱が設けられている。
【0031】
追従車2は、容易に搬送されるために、その体積及び重量をできる限り小さく設計する必要がある。追従車2が小さく設計されると(例えば、車輪が小さい、車体が小さい、モータのパワーが小さい)、追従車2の走行性能、障害物を跨ぐ性能、駆動性能等に影響を及ぼす。しかし、通常、太陽光発電所は砂漠、耕地に建設されるので、地面が平らではなく、大量の凹凸が存在している。このような地面を移動する場合、追従車2の走行性能、障害物を跨ぐ性能、駆動性能等に関する要望が非常に高い。無論、追従車2のフレームがより高く、車輪がより大きく、モータのパワーがより大きくなると、複雑な道路における走行性能がより強くなるが、フレームの重量及び体積も大きくなるので、作業者の日常のメンテナンス作業に不利である。例えば、作業者が毎日追従車2を集めて充電する必要があるので、追従車2が大きく重くなれば、この作業の実施が困難となる。
【0032】
上記の問題を解決するために、本発明は、図2に示すように、追従車2が分割式に設計される。本発明のその他の実施例として、前記追従車2は、フレーム6及び取り外し可能な部分7を有する。前記取り外し可能な部分7は、電池、及び/又は制御器、及び/又は原料箱等を含む。フレーム6は、道路の状態によって高く、大きく、重く設計されることができ、長期に太陽光発電所に置かれる。取り外し可能な部分7は、メンテナンスする必要がある部品又は特別にメンテナンス及び保護する必要がある部分(例えば、電池パック、制御用回路基板、原料箱等)である。電池に対する日常の充電を例として、作業者は、電池パックを含む取り外し可能な部分を取り外して充電センターに集めて充電すれば済むので、作業者に対する負担を大幅に軽減した。
上記実施例において、方向センサの信号に応じて太陽電池モジュールアレイに沿う追従車の直線運動方向を保持する。このような方法において以下の問題が存在しているので、追従車と太陽電池モジュールアレイとの衝突が発生する原因となる。
(1)方向センサが不安定になるとき、大きな誤差が発生しやすくなる。例えば、磁気を利用するコンパス式のセンサは、周囲の磁気の干渉を受けやすい。加速度変化を利用する方向センサにおいて、累積誤差が発生しやすい。
(2)方向センサによって追従車の直線運動を保持することができるが、例えばアーチ状配列のような太陽電池モジュールアレイの非直線配列に対応することができない。
【0033】
本発明は、さらに1つの好ましい技術案を提供する。追従車2には、太陽電池モジュールアレイAの周縁を検出できる周縁検出装置が取り付けられている。前記周縁検出装置は、センササポータを介して追従車2に固定されている。よく理解させるために、ここで1つの周縁検出装置の技術案を詳しく説明する。前記周縁検出装置は、上方及び下方に設置される2つの物体感知センサからなる2組の物体感知センサを含む。追従車は、周縁検出装置によって太陽電池モジュールアレイとの相対的な位置関係を獲得することができるので、スムーズに太陽電池モジュールアレイに沿って移動することができる。
【0034】
図4に示すように、周縁検出装置は、4つの物体感知センサを含む。物体感知センサG1、G2、G3、G4は、2つの物体感知センサからなる2組に分けられ、それぞれ追従車2の両側のセンササポータに取り付けられる。図5は、物体感知センサと太陽電池モジュールアレイAの周縁との位置関係を示す部分拡大模式図である。前記周縁検出装置が正常使用状態にある場合、上方に位置する物体感知センサが、傾斜面の真上に位置して傾斜面を感知することができ、下方に位置する物体感知センサが、傾斜面の外側に位置して傾斜面を感知することができないようになる。物体感知センサは、太陽電池モジュールアレイAの周縁の上下両側に位置し、即ち、1つの物体感知センサが太陽電池モジュールを検出でき、もう一つの物体感知センサが太陽電池モジュールを検出できない状態になっている。4つの物体感知センサにより太陽電池モジュールを検出できるか否かによって、追従車2と太陽電池モジュールアレイAの周縁との位置関係を判断し、この位置関係に基づいて、太陽電池モジュールアレイAの周縁を境界として移動できるように、追従車2の方向及び移動軌跡を調整する。例えば、物体感知センサG1とG3により太陽電池モジュールを検出でき、物体感知センサG2とG4により太陽電池モジュールを検出できなかった場合、追従車2と太陽電池モジュールアレイAの周縁との互いの位置関係がよく保たれていると示す。これに対して、物体感知センサG1のみが太陽電池モジュールを検出でき、物体感知センサG3、G2とG4が太陽電池モジュールを検出できなかった場合、太陽電池モジュールアレイAの周縁に対して追従車が凄く傾斜していると示すので、追従車2と太陽電池モジュールアレイAの周縁との互いの位置関係がよくなるように追従車2の方向を調整する必要がある。追従車2にこのような周縁検出装置が取り付けられると、クローズループ制御システムが形成され、外部の干渉(例えば、地面が平らではないこと、太陽電池板アレイが直線に配列されていないこと、追従車の車輪の間に差動が存在すること等)が存在しても、追従車2が太陽電池モジュールアレイAの周縁に沿ってうまく移動できる。そして、追従車2と掃除ロボット1には、両者の距離Lを検出できる無線距離測定信号ユニット4と5がそれぞれ設けられている。追従車2は、両者の間に適切な距離を保つように、距離Lに基づいて移動する。これによって、ケーブル3が引っ張られないことを確保する。掃除ロボット1の前後両側に、例えば回転可能なブラシ等の掃除具がそれぞれ設けられている。
【0035】
本発明の第3実施例において、周縁検出装置は、画像処理技術により実現できる。図6に示すように、追従車2には撮像ヘッドが取り付けられている。撮像ヘッドは、太陽電池モジュールアレイA及びその周縁の画像を撮影する。撮影された画像が適切な画像処理システムによる解析処理(例えば、太陽電池モジュールの周縁の色、又は太陽電池モジュールと地面との色変化を利用)で処理されて、画像における太陽電池モジュールアレイAの下の周縁の画素座標が獲得されることによって、下の周縁に対する追従車2の位置及び方向を判断できる。これに基づいて、追従車2の位置及び方向を調整し、ほぼ太陽電池モジュールアレイAの周縁に沿う追従車2の移動を確保する。
【0036】
本発明の太陽光発電所の掃除方法は、前記太陽光発電所の掃除装置を用いるものであり、掃除ロボット1と、追従車2又は追従車の取り外し可能な部分とを太陽光発電所の現場に搬送する第1ステップと、人手で掃除ロボット1を掃除待ちの太陽電池モジュールアレイAに設置し、ケーブル3を介して掃除ロボット1と追従車2とを接続し、当該太陽電池モジュールアレイAに対して自動的に掃除を行うように掃除ロボット1を駆動し、追従車2が掃除ロボット1に追従して自動的に移動する第2ステップと、掃除ロボット1が所定の掃除軌跡に沿って太陽電池モジュールアレイAに対して自動的に掃除を行い、完了した後、信号指示器が完了提示信号を発生する第3ステップと、人手で掃除ロボット1をその他の掃除待ちの太陽電池モジュールアレイAに搬送し、第2ステップと第3ステップを繰り返して実施する第4ステップとを含む。
【0037】
上記方法によって、1人の作業者は、複数の掃除装置を同時に見守り及び操作することができる。実際の操作実験から分かるように、1人の作業者が、30台〜50台の掃除装置を同時に操作及び管理することができる。作業者は、掃除ロボット1の設置及び太陽電池モジュールアレイAの間の掃除ロボットの搬送を担当する。掃除ロボット1が設置された後、掃除ロボット1及び追従車2が自動的に掃除を行う。1つの太陽電池モジュールアレイAの掃除が完了した後、掃除ロボット1が作業者に対して提示信号を発生し、この場合、作業者により掃除ロボット1を次の太陽電池モジュールアレイAに搬送し、引き続き掃除を行うようになる。
【0038】
本発明の太陽光発電所の掃除方法は、前記太陽光発電所の掃除装置を用いるものであり、掃除ロボット1と、追従車2又は追従車の取り外し可能な部分とを太陽光発電所の現場に搬送する第1ステップと、人手で掃除ロボット1を掃除待ちの太陽電池モジュールアレイAに設置し、ケーブル3を介して掃除ロボット1と追従車2とを接続し、当該太陽電池モジュールアレイAに対して自動的に掃除を行うように掃除ロボット1を駆動し、追従車2は、その上に設置された周縁検出装置のガイドにより移動方向を調整しながら、太陽電池モジュールアレイの周縁に沿って掃除ロボット1に追従して自動的に移動する第2ステップと、掃除ロボット1が所定の掃除軌跡に沿って太陽電池モジュールアレイAに対して自動的に掃除を行い、完了した後、信号指示器が完了提示信号を発生する第3ステップと、人手で掃除ロボット1をその他の掃除待ちの太陽電池モジュールアレイAに搬送し、第2ステップと第3ステップを繰り返して実施する第4ステップとを含む。
【0039】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨及び原則に基づいて行われた全ての変更、均等的置き換え及び改良等は、本発明の保護範囲内に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6