(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1波長を発する前記第1放射体および第2波長を発する前記第2放射体の少なくとも一方は、ケーブルを介して生理的指標センサハウジングに接続されている、請求項1に記載の生理的指標センサ。
第1波長を発する前記第1放射体および第2波長を発する前記第2放射体の少なくとも一方は、ケーブルを介して生理的指標センサハウジングに接続されている、請求項9に記載の生理的指標センサ。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様では、適切な電源を備えた生理的指標(PI)センサは、約660±10nmおよび約850±10nmのLED放射体を使用するよう構成される。これらの2つの波長領域は、経験的に、660±10nmの光から生成され同時に取得される信号強度に対して、850±10nmの光からの各光信号強度の最も顕著な相違(divergence)を生じることが見出されている。例えば窒素ガスを短時間呼吸することによって誘発される可能性のあるような、皮膚組織の不十分な酸素供給の場合、皮膚組織を通り拡散した後の660±10nmの光からの光信号強度は、同様に皮膚組織を通り拡散した後の850±10nmの光からの信号よりも、より迅速に強度が減少することが見出されている。逆に、例えば純粋な酸素を短時間呼吸することによって誘発される可能性があるような、皮膚組織の酸素必要性および許容範囲(tolerance)に対する過剰な組織酸素供給の存在は、660±10nmの光から同時に生成され取得された信号と比較して、850±10nmの光からの漸進的で独自に相違する光信号を生成し、850±10nmの光からの光信号強度が660±10nmの光からの信号よりもより迅速に強度が減少することが分かっており、これはおそらく、呼吸ガスにおいて増加した酸素割合の摂取、または長期間の運動活動の終了時などに、皮膚内の反応性酸素種(ROS)の化学反応生成物の存在が次第に増加することに対応する。同様の、しかしながら典型的にはそれほど顕著ではないフォトニック反応が、上に列挙した光の中心波長の両側のスペクトル領域内に存在することが分かっており、また上述の仕様は、単なる例示であり、排他的なものではなく、関連する一般概念を例示するために提供したものであることに留意されたい。開示されるPI信号は、皮膚または血液における酸素の直接的な測定値ではないことにも留意すべきである。むしろ、それは、皮膚組織への現在の酸素配送率(oxygen delivery rate)が、皮膚組織の現在の順化での好気性エネルギー変換のために皮膚組織によって必要とされるものよりも小さいか、ちょうど良いか、または大きいかの指標として開示される。
【0005】
本開示の別の態様では、別に、選択された2つ以上の光の波長が、遠くに離れて位置した広帯域の白熱灯から、特定波長バンドパスフィルタ処理を使用して得ることができ、あるいは、遠くに離れて位置するLEDもしくはレーザから、光ファイバを用いて皮膚表面に照明光を伝送することによって得ることができる。さらに、被験者の皮膚を通り拡散した光は、被験者の皮膚表面から遠くに離れて位置する検出器へ光ファイバによって搬送することができる。代替案は、照明のためにフィルタ処理されていない広帯域光源の使用であり、光ファイバによって皮膚に広帯域光を搬送して、その皮膚拡散光を別個の光ファイバによって特定波長の検出および分析用の分光計へ戻すことで行う。これらの別のアプローチは、とりわけ、研究目的のために、または皮膚表面が水に浸されている場合、あるいは電気配線によるアクセスができない場合に、有効に使用されてもよい。
【0006】
本開示の別の態様は、モニタリングされている生理的に関するものの校正、データ計算、および表示の方法である。現在使用されている生体測定のほとんどはスカラーであり、つまりそれらは、連続的な数値スケールとして校正され、計算され、表示される。一方、最近発見されたPI信号は、中央数値領域(central numeric value region)を一意的に有することが観測され、両側に異なる識別可能な信号偏差パターン(signal deviation patterns)を有する。慣例により、中央領域(central region)の中心(middle)は、「PIゼロ」として開示され、数値的に、一方の識別可能な一つの偏差パターンが次第に負になり、他方の偏差パターンが次第に正になる。計算されたPI情報は、皮膚内の特定の分子の存在または濃度を同定または測定する手段としてではなく、指標として開示されている。したがって、PI値の数値変化率は、最初には、既存の電子部品ならびにソフトウェア制御および計算方法を使用して許容可能な数値分析を提供するように定義されていた。また、皮膚の色素沈着の程度、使用される波長に対する皮膚組織の不透明度の範囲、および場合によっては実用的な生体情報計器を作製するために適合(accommodate)しなければならない他の正常な変化において、必然的な幅広い変化を調整(accommodate)する必要性があることが実験的観測により見出されている。
【0007】
正規化処理も開示され、それにより初期PIゼロ値が確立され、PI値計算の分析が最適化される。この処理は、ソフトウェアの制御下で、安静時のユーザの皮膚の所望の表面にセンサが固定された状態で、アナログ−デジタル(A/D)変換器へのセンサ信号のデジタルカウントが最大A/Dカウントの約80%の出力値をもたらすまで、660±10nm(赤色)LEDへの電力を段階的に上昇させることから始まる。そして赤色LEDの電力レベルは、制御メモリに記憶される。そして850±10nm(IR:赤外線)LEDへの電力は、その検出されたA/Dカウントが、固定された電力レベルで赤色LEDによって生成されたA/Dカウントよりも僅かに小さい(すなわち、赤外線LED電力レベルステップは上記A/Dカウントよりも小さい)ものであるまで段階的に上昇され、赤外線LED電力レベルは、制御メモリに記憶される。そして、これらの波長の各々での交互の信号サンプルが1秒間隔で取得され、1分間にわたるA/Dカウントの平均差が計算される。この平均されたオフセット値は、その後、固定バイアスオフセットとして使用するために制御メモリに格納され、赤外線サンプル(IR sample)のA/Dカウント値が固定バイアスオフセットを差し引いて、赤色サンプルのA/Dカウント値から減算されるとき、開始PI値はゼロである。その後の測定および計算は、例えばユーザが、運動を行う場合に、PI値を計算する際に固定バイアスを使用し続ける。
【0008】
開示された生理的センサ(physiologic sensors)は、2波長のまたは複数波長のフォトニック信号変動によって、皮膚または他の身体組織における嫌気的(すなわち解糖)エネルギー変換代謝の分子反応中間体の蓄積を検出するように構成可能である。皮膚または外科的に露出した内臓に配置されたセンサからの検出信号は、好気性(すなわち解糖+クレブスサイクル)エネルギー変換代謝に関する過剰な組織酸素配送率の指標として、つまり最小限の損傷でエネルギー変換を行うため、重要な内部器官組織の必要な酸素を満たすのに必要な組織酸素配送率で、安全性の限界を超えないものの代理的あるいは直接的な妥当性の指標として、使用することもできる。
【0009】
本開示の別の態様は、過剰な高反応性酸素フリーラジカル原子(例えばO
−)、または、自発的な化学反応により皮膚における組織および細胞の脂質、タンパク質、ならびにDNA分子と結合する分子(例えばO
2−およびOH
−、H
2O
2、NOなど、反応性酸素種つまりROSとも呼ばれる)に起因する、皮膚における分子反応生成物の蓄積であると考えられるものを、2波長または複数波長のフォトニック信号変動によって検出するように構成されたフォトニック生理的センサに関する。未熟児などの一部の場合において、現在公開されている研究では、脳、目、および腸における過剰なROSの蓄積を防止する必要性がますます強調されている。開示されるPIモニタリング方法は、重要器官組織におけるそのようなROSの過剰蓄積を検出するための迅速に応答し非侵襲的な代理指標(surrogate index)として提示される。
【0010】
開示されるフォトニックセンサは、非侵襲的であり、機械的、電子的、電磁気的、および光学的な信号ノイズの共通の源(ソース)による影響が最小限のものである。さらに開示されるセンサは、モニタリングされている組織内の重要な生理学的変化を検出するために適時に応答するよう構成可能である。開示されるセンサは、呼吸ガスにおける酸素割合を自動調節するためフィードバック制御信号を提供するように使用され、外科手術麻酔および重大な医療の間の組織低酸素または高酸素のいずれかによる重要臓器(vital organ)の損傷を防止するのに役立つであろう。さらに、開示されるセンサは、多種多様な外来患者医療のおよび非医療の応用例に関して大人および子供における使用に互換性がある様々な快適で着用可能な形式で具現化することができる。そのような様々な実施形態のユーザは、いくつかの必要な例に関し、すべての年齢およびサイズ、および病状のすべてのレベルでの医学的および外科的な患者、ならびにアスリートおよび危険度の高い職業の労働者を含んでもよい。少なくともいくつかの構成および応用例において、センサは、例えば、肺機能の指標として動脈ヘモグロビン/酸素飽和度をモニターすることも重要であるところの、肺疾患に罹患した新生児への使用に関するような、補助反射率パルスオキシメータ(SpO
2)センサ(adjunct reflectance pulse oximeter sensor)機能も提供するように構成可能である。そのような幼児専用の形式は、新生児集中治療における使用と互換可能であるように作製することができ、幼児の胸部および腹部に配置される心電図(ECG)の接点に取り付けられ一体化される。
【0011】
開示されるセンサは、また、放射された光がセンサハウジング内で発光体から光検出器に直接に短絡(シャント:shunting)するのを防止するよう構成することもできる。いくつかの構成では、経験的に導出された横方向のオフセット距離が、発光体および検出器要素用の開口部間に適用される。光ファイバ構成では、光ファイバは、別個のシースおよび開口部を介して皮膚表面の隣接領域を照明するようにしてもよい。外科的に露出された内臓器への適用は、同様に、照明および検出開口部が様々な構成において配置された状態で、光ファイバを使用してもよい。光ファイバは、研究用、または外科的もしくは医療モニタリング目的のために固形臓器内に一時的に埋め込まれてもよく、その露出端は、受信されたフォトニック信号を最適化するために様々な構成において配列される。
【0012】
本開示のさらに別の態様は、血液灌流分布の病理学的敗血症誘発炎症異常誘発の発症の初期指標として、つまりより重要な身体組織の切迫した循環不全の代用指標として、全身循環性細菌内毒素に対する異常な皮膚微小循環調節および/または皮膚組織代謝応答を、2波長または複数波長のフォトニック信号の変動によって検出するよう構成される光学式生理的センサに関する。
【0013】
本開示の別の態様は、例えば、全身脱水、外傷による失血、外科手術中の失血などによるような、ここでは通常の救命自律神経系反射反応が皮膚の灌流を犠牲にして重要な器官の灌流を維持しようとする、不十分な全身循環量負荷に対する皮膚微小循環および/または皮膚組織代謝応答を、重要器官組織の潅流に関する代理指標として、2波長または複数波長のフォトニック信号の変動によって検出するよう構成される拡散光学生理的センサに関する。
【0014】
例えば、心不全および/または慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む慢性進行性疾患の漸進的悪化を検出するために、連続的に着用可能であるように構成された生理的センサもまた開示される。その結果、入院または再入院が危機的に避けられなくなるまで気付かずに徐々に進行する代わりに、費用対効果の高い外来診療を可能にする程度に十分に早く、差し迫った危険が検出可能である。
【0015】
約600nmと約950nmとの間の上方傾斜スペクトル感度を有する「青色強調」NIR(近赤外)PINフォトダイオード、あるいは同等の代替物を使用する、生理的センサおよび/または血液オキシメータセンサが開示される。さらに、そのようなセンサパッケージは、センサパッケージ内での光短絡(light shunting)を減少させるために、金属、または、可視光から近赤外(NIR)波長までを不透明とする、光放射体と光検出器との間の遮光物を含むことができる。さらに、そのようなセンサは、放射体と検出器との間に5mmから9mmの横方向の間隔で光学的に透明な化合物を詰めた開口部を有して構成することができる。いくつかの構成において、センサは、下記に限定しないが、成人の胸部または腕部、または幼児患者の胸部、腹部、もしくは四肢などの特定の皮膚表面へ適用するために、および、内臓器官表面、あるいは外科手術中および/または外科手術後の固形器官組織内への一時的移植へ適用するために設計することができる。
【0016】
本開示のさらなる態様は、身体活動に起因する生理的負荷の程度を、2波長または複数波長のフォトニック信号変動によって検出するように構成可能な生理的センサを含む。身体活動は、大まかに2つに分けることができる。つまり(1)嫌気性、これは急速な開始、例えば重量挙げおよび短距離走などの短時間で行う高負荷身体運動、を提供可能である、および(2)好気性、これはマラソンなどの長時間ではあるが比較的強度の低い連続的な体動を支持可能である。一つまたは他のタイプの活動のために訓練され、実行されるアスリートは、狭く定義された、実績が特定されたタイプのトレーニングおよび調整運動セッションが有効であることが分かっている。この例には、解糖によるアデノシン三リン酸(ATP)の生成に必要な酵素系の上方調整(up-regulation)を刺激することが見出されている、間欠的な完全回復を伴う、短期的に複数回の高い運動強度を必要とする嫌気性パフォーマンスを含む。一方、長距離ランナーは、好気的なエネルギー変換に使用する脂肪を変換するために必要な酵素システムを上方調整(up-regulate)するために、短期的な嫌気性代謝を避け、長期的な、完全な有酸素運動か最も有効であることが知られている。PI信号が発見されるまで、運動中に運動選手が主に嫌気性、好気性のエネルギー変換化学反応を使用している場合に、便利で客観的な着用可能な感知方法は存在しなかった。
【0017】
別の実施形態は、PIおよび反射率SpO
2センサ機能の両方を統合してもよく、ここでは、これらの2つの生体測定は、それぞれ、多くの有用な応用例において、高度に関連し、関連付けられ、補足的な情報を提供する。この統合された形式では、未熟児の胸部および腹部での使用のように、SpO
2モニタ機能は、酸素を得るため肺の妥当性(adequacy)の指標を主に提供し、計算されたPI値は、血液によって脳およびその他の重要な内臓への酸素供給に関する代理として、皮膚組織酸素供給(skin tissue oxygenation)の指標を提供する。既存のSpO
2モニタは、SpO
2値の正確な計算を一時的に妨げるセンサ動作誘発性光信号アーチファクトによって容易に支障を来すことがよく知られており、このことは、次に、誤った警報を発するかもしれず、あるいはまた、現実の警報状態の間に警報を起動しないかもしれない。一方、PIセンサは、皮膚組織レベルでの酸素配送における変化に、より迅速に応答し、センサ動作により生信号値において生ずる変化のタンデムパターンによるセンサ動作誘発性信号アーチファクトに対して本質的に影響を受けない。したがって、PI値は、バックアップの指標を提供するために安全で効果的に信頼でき、センサ動作に伴う現実のSpO
2警報状態を見逃すことを防止することができる。
【0018】
開示されるセンサは、また、放出光の最適波長を適用し、光検出器の最適なスペクトル感度応答プロファイルを選択するよう構成することもできる。さらに、開示されるセンサは、これらの技術分野における、既存の能力、および将来の予想される進歩にしたがって、コンピュータ制御、コンピュータデータ処理、コンピュータデータ記憶、および有線もしくは無線データ通信を有するように構成可能である。
【0019】
開示されるセンサは、照明光の2つ以上の波長での、皮膚の色素沈着、厚さ、およびスペクトル光学濃度の自然変動を調整(accommodate)するように自動的に初期化されるよう構成可能である。
【0020】
開示されるセンサはまた、呼吸ガスにおける酸素割合の調和を導くようにフィードバック信号を提供するよう構成可能であり、典型的には、酸素を窒素ガスと混合することによって大気より低い酸素割合で治療を開始し、組織の必要性および許容レベルを超える過剰な酸素を重要な器官組織に最初に供給することを回避する。この新しい手段によって、未熟児、ならびに低酸素血症および/または虚血ストレスから蘇生した患者は、重要な器官組織への酸素過剰供給からの不注意的損傷から保護され得る。さらに、PI信号の特定の変化パターンが必要性を示す場合、開示されるセンサは、非侵襲的な応用例(applications)において、内部の重要器官の代用として皮膚の酸素必要性および許容範囲に応じて、呼吸ガスにおける酸素割合を自動的に漸増するコマンドを発するのに使用することができる。最後に、外科的に露出された内臓への表面適用と共に、または固形臓器に直接に挿入された光ファイバ光誘導と共に、PI信号は、血液灌流を介して配送された酸素についての重要器官組織における必要性および許容範囲に対する直接的でリアルタイム表示の、以前には利用できなかった手段として、開示されている。
【0021】
本開示の一態様は、生理的指標センサ(physiologic index sensors)に関する。適切なセンサは、第1波長を発する第1手段であって、第1波長を発する第1手段が650nmから670nmの第1目標波長を発するよう構成可能である、第1手段と、第2波長を発する第2手段であって、第2波長を発する第2手段が840nmから860nmの第2目標波長を発するよう構成可能である、第2手段と、第1波長を発するための第1手段および第2波長を発するための第2手段から光学的に分離された検出手段と、検出手段からの入力を受け入れるように構成されるプロセッサ手段と、を備える。いくつかの構成では、生理的指標センサは、データ送信手段をさらに備える。さらに、生理的指標センサは、酸素配送および好気性エネルギー変換の一つまたは複数の指標を決定するように構成することができる。第1開口部および第2開口部を有するハウジング手段を設けることができる。本開示の範囲から逸脱することなく、追加の開口部を設けることができる。さらに、一つまたは複数の開口部を光学的に透明な材料で充填することができる。生理的指標センサを、腕あるいは胸など、ユーザに固定するよう構成された固定手段を設けることができる。一つまたは複数の導電性の皮膚接触接着手段を設けることができる。いくつかの構成において、第1波長を発する第1手段および第2波長を発する第2手段のうちの少なくとも一つは、ケーブルを介して生理的指標センサハウジングに接続される。さらに、第1波長を発する第1手段および第2波長を発する第2手段の少なくとも一つは、皮膚へのおよび皮膚からの光搬送用の光ファイバケーブルを使用する、フィルタ処理されていない広帯域光源であり、検出手段は、分光計であり、生理的指標を計算するために使用される分光計によって選択された波長強度値が得られる。
【0022】
本開示の別の態様は、生理的指標センサに関する。センサは、第1波長を発する第1放射体であって、第1波長を発する第1放射体が650nmから670nmの第1目標波長を発するよう構成可能である、第1放射体と、第2波長を発する第2放射体であって、第2波長を発する第2放射体が840nmから860nmの第2目標波長を発するよう構成可能である、第2放射体と、第1放射体および第2放射体から光学的に分離される検出器と、検出器からの入力を受け入れるよう構成されたプロセッサと、を備えることができる。生理的指標センサは、データ送信器をさらに備えることができる。さらに、生理的指標センサは、酸素配送および好気性エネルギー変換の一つまたは複数の指標を決定するように構成することができる。2つ以上の開口部を有するハウジングを設けることができる。一つまたは複数の開口部を光学的に透明な材料で充填することができる。固定部は、生理的指標センサを、腕あるいは胸など、ユーザに固定するように構成することができる。一つまたは複数の導電性の皮膚接触接着パッドを設けることもできる。さらに、第1波長を発する第1放射体および第2波長を発する第2放射体の少なくとも一つは、ケーブルを介して生理的指標センサハウジングに接続される。いくつかの構成では、第1波長を発する第1放射体および第2波長を発する第2放射体の少なくとも一つは、フィルタ処理されていない広帯域光源であり、2つ以上の波長強度値は、生理的指標値を計算するために使用される分光計によって選択される。
【0023】
本開示のさらに別の態様は、生理的指標センサに関し、該生理的指標センサは、ユーザの胸または腕に係合するように適合されたハウジングであって、第1開口部および第2開口部を有するハウジングと、第1放射体であって、第1放射体が第1開口部を介して650nmから670nmの第1波長を発するよう構成可能である、第1放射体と、第2放射体であって、第2放射体が第2波長を発するよう構成可能であり、840nmから860nmの第2目標波長を発するよう構成可能である、第2放射体と、ハウジング内に配置される検出器であって、検出器がハウジング内で第1放射体および第2放射体から光学的に分離され第2開口部に隣接する、検出器と、検出器からの入力を受け入れるよう構成されたプロセッサと、を備える。生理的指標センサは、データ送信器をさらに備えることができる。さらに、生理的指標センサは、酸素配送および好気性エネルギー変換の一つまたは複数の指標を決定するように構成される。光学的に透明な材料で充填することができる2つ以上の開口部を設けることができる。生理的指標センサを、ユーザの腕あるいは胸など、ユーザに固定するように構成した固定部を設けることができる。いくつかの構成において、第1波長を発する第1放射体および第2波長を発する第2放射体のうちの少なくとも一つは、ケーブルを介して生理的指標センサハウジングに接続される。さらに、第1波長を発する第1放射体および第2波長を発する第2放射体の少なくとも一つは、フィルタ処理されていない広帯域光源であり、2つ以上の波長強度値が、生理的指標値を計算するために使用される分光計によって選択される。
【0024】
本開示のさらに別の態様は、生物学的パラメータを検出する方法に関する。適切な方法は、患者の腕または胸部と接触して生理的指標センサを配置するステップと;ここで生理的指標センサは、第1波長を発する第1放射体であって、第1波長を発する第1放射体が650nmから670nmの第1目標波長を発するよう構成される、第1放射体と、第2波長を発する第2放射体であって、第2波長を発する第2放射体が840nmから860nmの第2目標波長を発するよう構成される、第2放射体と、第1放射体および第2放射体から光学的に分離される検出器と、検出器からの入力を受け入れるように構成されたプロセッサとを備える、電源により生理的指標センサに電力を供給するステップと、第1波長における光を放出するステップおよび第2波長における光を放出するステップと、組織を通る拡散光を検出するステップと、拡散光によって生成された検出信号を分析するステップと、を備える。追加のステップは、患者への酸素配送の指標を決定するステップと、生理的指標センサからのデータを第2の装置へ伝送するステップと、組織における過剰酸素レベルを検出するステップと、の一つまたは複数を含むことができる。
【0025】
本開示の別の態様は、通信システムに関し、該通信システムは、患者の腕または胸部と接触する生理的指標センサであって、生理的指標センサが、第1波長を発する第1放射体であって、650nmから670nmの第1目標波長を発するように構成可能である第1放射体と、第2波長を発する第2放射体であって、840nmから860nmの第2目標波長を発するように構成可能である第2放射体と、第1放射体および第2放射体から光学的に分離される検出器と、検出器からの入力を受け入れるように構成されたプロセッサと、を備える生理的指標センサと、生理的指標センサに電力を供給するため生理的指標センサと通信する電源と、サーバ・コンピュータ・システムと、ネットワークを介して生理的指標センサからの測定値(measurement)の送信を可能にするためのサーバ・コンピュータ・システムにおける測定モジュールと、測定値に関するメッセージを作成し、API統合ネットワークを介して既定の受領者ユーザ名を有する受領者にそのメッセージを送信するための生理的指標センサの少なくとも一つに接続されるAPIエンジン、あるいは生理学的パラメータを検出するためのシステムおよび生理的指標センサの少なくとも一つに接続されて測定値に関するSMSメッセージを作成し、ネットワークを介して既定の測定値受領者電話番号を有する受領者装置にSMSメッセージを送信するSMSエンジン、あるいは生理的指標センサの少なくとも一つに接続され、測定値に関する電子メールメッセージを生成し、その電子メールメッセージを、ネットワークを介して既定の受領者電子メールアドレスを有する受領者電子メールに送信する電子メールエンジン、の少なくとも一つと、を備える。さらに、生理的指標センサ・サーバ・データベースにおいて測定値を格納するための記憶モジュールをサーバ・コンピュータ・システムに設けることができる。いくつかの構成において、生理的指標センサは、携帯電話ネットワークまたはインターネットネットワークの少なくとも一つを介してサーバ・コンピュータ・システムに接続可能であり、測定値受領者電子デバイスにおけるブラウザが、サーバ・コンピュータ・システムにおけるインターフェースを検索するために使用される。さらに、サーバ・コンピュータ・システムにおいてインターフェースを設けることができ、該インターフェースは、モバイルデバイスにおけるアプリケーションによって検索可能である。サーバ・コンピュータ・システムは、測定値受領者モバイルデバイスからの応答を受け入れるために携帯電話ネットワークを介して接続可能とすることができる。測定値受領者モバイルデバイスに格納する、ダウンロード可能なアプリケーションを設けることができ、ダウンロード可能なアプリケーションは、応答および測定値受領者電話番号IDを、携帯電話ネットワークを介してサーバ・コンピュータ・システムに送信し、サーバ・コンピュータ・システムは、測定値受領者電話番号IDを利用して、応答をSMS測定値に関連付ける。
【0026】
本開示のさらに別の態様は、生理的指標を取得する方法に関し、該方法は、生理的指標センサを配置するステップと、ここで生理的指標センサは、第1波長を発する第1放射体であって、650nmから670nmの第1目標波長を発するよう構成可能である第1放射体と、第2波長を発する第2放射体であって、840nmから860nmの第2目標波長を発するよう構成可能である第2放射体と、第1放射体および第2放射体から光学的に分離された検出器と、検出器からの入力を受け入れるように構成されたプロセッサと、を有する、電源によって生理的指標センサに電力を供給するステップと、得られる信号強度がセンサシステムのA/D変換器の最大カウント限界の約80%になるまで、第1目標波長光源の電力レベルを調整するステップと、第1目標波長光源電力レベルを制御メモリに記録してロックするステップと、得られる信号強度が第1目標波長光源によって生成される信号強度よりも小さくなるまで第2目標波長光源の電力レベルを調整するステップと、第2目標波長光源電力レベルを制御メモリに記録してロックするステップと、それぞれのロックされた第1および第2目標波長光源電力レベルを使用して、第1および第2目標波長で1秒に1回、センサ部位で、スペクトル光学密度をサンプリングするステップと、第1目標波長信号強度から第2目標波長信号強度を差し引いた平均差を計算するステップと、その平均差を制御メモリに記録してロックするステップと、を備える。いくつかの構成において、本方法は、第1目標波長信号強度から第2目標波長信号強度を差し引いた平均差を計算するステップを、1分間にわたって行うことを含む。さらに、皮膚色素沈着における自然なまたは異常な変化、および皮膚組織のスペクトル光学密度における自然なまたは異常な変化、の一つまたは複数を調整する(accommodate)するために、初期化処理が使用可能である。いくつかの方法において、本方法は、時間的に近接して照明されないバックグラウンド信号を差し引いた第1および第2目標波長信号のそれぞれをサンプリングするステップと、生理的指標値を生成するために、記録されたバイアスオフセット値を加えた第2目標波長信号強度値を第1目標波長信号強度値から減算するステップと、を含むことができる。さらに、サンプリングするステップおよび減算するステップを繰り返すことができる。生理的指標値の表示および記録は、1秒あるいはそれを超える秒の時間ベース(a one, or more second timed basis)において、行うことができる。本方法は、開始酸素割合レベルを15%酸素に設定するステップと、酸素割合を1%ずつ(by 1%)増加させるステップと、酸素割合の変化について15秒間生理的指標をモニタリングするステップと、第2目標波長信号強度値が減少せず、酸素割合における1%増加に応じて第1目標波長信号強度が増加する場合、呼吸ガスの酸素割合を1%によって増加するようにフィードバック制御コマンドを生成するステップと、をさらに備えることができる。本方法は、以下の少なくとも一つによって、つまり、第2目標波長信号強度が減少し、第1目標波長信号強度が呼吸ガスにおける酸素割合の1%による増加に応じて増加しない場合、呼吸ガス割合を1%ずつ減少して、生理的指標を1分間モニタリングすること、第1目標波長信号強度が呼吸ガスにおける酸素割合の1%による減少に応じて減少する場合、呼吸ガスの酸素割合を1%により増加すること、ならびに、第2目標波長信号強度が減少せず、第1目標波長信号強度が呼吸ガスにおける酸素割合の1%による増加に応じて増加しない場合、被験者の生理的指標「ゼロ」状態が達成され、その結果、第2目標波長信号強度を差し引いた第1目標波長信号強度の1秒当たり1回のサンプルのオフセットを1分間平均すること、制御メニューにおける新しいバイアスオフセット値を記録およびロックすること、および生理的指標「ゼロ」がリセットされたことを示すこと、によって、上記モニタリングと応答コマンドサイクルとを繰り返すステップをさらに備えることができる。
[参照による編入]
【0027】
個々の刊行物、特許、または特許出願が、参考によって編入されるべきように具体的および個別に示されているように、本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。参考文献には、例えば、Scharfによる1998年11月3日に発行された米国特許第5,830,137 A 「Green Light Pulse Oximeter」、Mendelsonによる2004年10月5日に発行された米国特許第6,801,799 B2 「Pulse Oximeter and Method of Operation」、 Westbrookによる2010年4月6日に発行された米国特許第7,691,067 B2 「Method for Measuring Central Venous Pressure or Respiratory Effort」、 Turcottによる2010年6月15日に発行された米国特許第7,738,935 B1 「Methods and Devices for Reduction of Motion-Induced Noise in Pulse Oximetry」、 Scharfによる2011年12月6日に発行された米国特許第8,073,516 B2 「Separating Motion from Cardiac Signals Using Second Order Derivative of the Photo-Plethysmogram and Fast Fourier Transforms」、 Porgesによる2012年3月13日に発行された米国特許第8,133,176 B2 「Method and Circuit for Indicating Quality and Accuracy of Physiological Measurements」、 Campbellによる2013年1月1日に発行された米国特許第8,346,327 B2 「Method for Identification of Sensor Site by Local Skin Spectrum Data」、 Finarovによる2006年1月12日に公開された米国特許出願公開第2006/0009685 A1 「Device and Method for Non-Invasive Optical Measurements」、 Shklarskiによる2008年8月29日に公開された米国特許出願公開第2008/0208009 A1 「Wearable Device, System and Method for Measuring Vital Parameters」、 Debreczenyによる2008年4月3日に公開された米国特許出願公開第2008/0081966 A1 「Symmetric LED Array for Pulse Oximetry」、 McLaughlinによる2010年12月23日に公開された米国特許出願公開第2010/0324390 A1 「Measurement of Oxygen Saturation of Blood Haemoglobin」、 Jornod による2011年3月3日に公開された米国特許出願公開第2011/0054336 A1 「Method and Device for Measuring the Pulse by Means of Light Waves with Two Wavelengths」、 Bechtelによる2013年11月28日に公開された米国特許出願公開第2013/0317331 A1 「Monte Carlo and Iterative Methods for Determination of Tissue Oxygen Saturation」、 Basuによる2015年2月26日に公開された米国特許出願公開第2015/0057511 A1 「Sensor and Method for Continuous Health Monitoring」、 Frixによる2015年1月8日に公開された米国特許出願公開第2015/0011854 A1 「Continuous Transdermal Monitoring System and Method」、 Chuによる2013年11月14日に公開された米国特許出願公開第2013/0303921 A1 「System and Method for Measurement of Physiological Data with Light Modulation」、 Wegerichによる2014年9月18日に公開された米国特許出願公開第2014/0275888 A1 「Wearable Wireless Multisensor Health Monitor with Heat Photoplethysmograph」、 Hatchによる2015年11月5日に公開された国際公開第2015/168235 A1 「Physiological Sensors, Systems, Kits and Methods Therefor」、 National Eye Institute, https://nei.nih.gov/health/rop/rop による「Facts About Retinopathy of Prematurity」、 Azizbeigi, K.等による「Antioxidant enzymes and oxidative stress adaptation to exercise training: Comparison of endurance, resistance, and concurrent training in untrained males.」, J. 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【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【0030】
本開示は、組織代謝の化学現象における変化に関連することが分かっているスペクトル光学密度変動をモニタリングする、光学的に効率的な組織光拡散/吸収モードセンサを提供する。これらのセンサは、生理的指標(Physiology Index:PI)を決定するために、すべての年齢およびサイズの被験者に使用することができる。当業者には理解されるように、開示されるセンサは、血液オキシメータ装置ではなく、例えば、センサ設置場所で2つ以上の波長の光が組織を通過するときに、哺乳類の皮膚組織の代謝化学に関するスペクトルフォトニック反応を検出するよう構成されるセンサである。実験データは、これらのセンサ応答が、明らかに皮膚内のエネルギー変換代謝関連分子の蓄積に起因することを示している。2つの異なる応答段階、すなわち、(1)皮膚組織における細胞内酸素のレベルが好気性エネルギー変換代謝のために十分でない場合(負のPI値)、および(2)過剰なROSと組織構成分子との間の潜在的に有害な、自発的な化学反応につながる過剰な細胞内酸素がある場合(正のPI値)、が検出されている。これらの2つの相反する信号応答段階の間には、完全に順化された好気性組織エネルギー変換代謝に対応する「正常な」組織エネルギー変換代謝状態がある(すなわち、PIゼロ)。実験的な負荷試験は、課された変化の間に、例えば、呼吸空気の酸素割合を増加または減少させること、および、皮膚組織のエネルギー変換代謝の状態を明らかにするPIセンサ信号応答に対応することとの間に、強い状況相関関係を示している。
【0031】
当業者には理解されるように、透過(指先)および反射率(皮膚の平坦表面)の両方のSpO
2センサは、肺におけるガス交換機能を評価するのに有用な、ヘモグロビン−酸素飽和割合の連続したスカラー測定値を生成する。しかしながら、透過(transmission)も反射率(reflectance)のSpO
2も、照らされた皮膚組織が完全に順化しリアルタイムで正常な好気性代謝を受けている場合、または皮膚組織があまりにも少なすぎる、あるいはあまりにも多すぎる酸素を供給された場合、明らかにすることができない。
【0032】
開示されるセンサ設計は、被験者の上腕においてアームバンドで適所に保持される、あるいは胸部において接着剤もしくは胸部ストラップで適所に保持される、簡便な配置のために構成可能である。これらの位置は、センサ動作−生成アーチファクトの可能性を低減する。検出器へのハウジング内の放出光のシャント(shunting)を防止するために、光放射体と光検出器との間に、センサハウジング内で金属製光バリアを設けることができる。発光ダイオード(LED)光放射体開口部とフォトダイオードセンサ開口部との間の横方向の間隔は、5mmから9mmの間とすることができる。好適な実施形態では、2つのLEDが、例えば、約660nmおよび約850nmの中心波長を有する、光検出器として設けられ、「青色強調(blue enhanced)」シリコンフォトダイオードが光検出器として設けられる。
【0033】
LED光は、2つ以上の波長のそれぞれにおいて個々におよび周期的に生成されて、例えば、1秒間隔で得られる成分信号サンプルを提供してもよい。各波長の信号サンプルは、その全持続時間が約5ミリ秒とすることができる、生成光のない非常に短い介在期間を有する複数の非常に短いLED照明の迅速連続物(rapid sequence)をさらに備えることができる。この処理により、フォトダイオードセンサは、各波長における正味の平均信号値、すなわち、平均化された回路ノイズと環境光サンプルとのそれぞれ合成された影響の少ない合計平均照明信号を検出することができる。PI値の計算は、時間的に近接する正味赤色信号値(time-adjacent net red signal value)からIRサンプルの正味信号値を減算することによって達成可能である。
【0034】
幼児集中治療モニタリングセンサの実施形態では、PIセンサ機能は、補助反射率SpO
2モニタリング機能と一体化することができる。この組合せセンサは、複数の電極皮膚接点と電子増幅とを使用した補助心電図(ECG)信号検出システムとさらに統合され、また臨床評価のために一緒にグラフィック表示することができる。検出されたECG信号のR波は、心拍数および心拍間隔を表示およびさらなる分析のために計算するためにタイミングトリガパルスを電子的に生成するために使用することもできる。幼児モニタリングシステムの初期化および校正サイクルは、R波トリガパルスから、連続的な光電容積脈波(PPG)の以下の「トラフ」および「ピーク」までのそれぞれの時間遅延を決定することを含むこともできる。これらの時間間隔が決定されると、その後のIR信号および赤色信号のサンプリングは、各心臓サイクル(heart cycle:拍動の1サイクル)の「トラフ」および「ピーク」の時間間隔でのみ起こり得る。したがって、幼児集中治療モニタリングの実施形態では、PIおよびSpO
2値の両方を、心臓サイクルごとにこれらの2つの信号サンプルから連続的に計算することができる。
【0035】
図1Aは、皮膚接触側から見たセンサ100を示す。センサ100は、平面および円形形状を有するPIセンサである。他の形状も、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。第1LED101および第2LED101’は、第1のハウジング開口部102を通して被験者の皮膚に光を搬送することができる。第1LEDおよび第2LEDは別々に起動される。当業者には理解されるように、各LEDは、別個の開口部を有することができるが、図示のような単一の開口部を使用することもできる。シリコンフォトダイオード103は、第2のハウジング開口部104を通して見ることができる。センサ100のハウジングは、皮膚接触板110と、側壁112とを有する。接続ケーブル120を設けることができる。あるいはまたセンサ100は、別の装置と無線通信することができる。
【0036】
図1Bは、光学生理的センサの一実施形態を示すために皮膚接触開口板110が取り外されたセンサ100を示す。2つのLED101,101’は、第1のハウジング開口部102の下に取り付けられている。シリコンフォトダイオード103は、第2のハウジング開口部104の下に取り付けられている。図示のように、第1のハウジング開口部102は、第2のハウジング開口部104よりも小さい面積を有する。さらに、8mmの中心間オフセットが、皮膚接触開口板110における第1のハウジング開口部102と第2のハウジング開口部104との間に設けることができる。この開口板は、例えば、金属を含む、任意の適切な材料で作製することができる。開口部を充填する光媒体の実施形態は、Epo−Tek P/N 301−2などの、光学的に透明なエポキシ材である。
図1Bの図は、内部光学素子と、放射体と検出器との間の内部光伝送を遮断するよう配置された内部光学バリア105を示す。内部光学バリア105は、円形の内壁として構成されている。しかしながら他のバリア形状が、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。さらに、センサを動作させるための電力は、内部電源(バッテリなど)または外部電源を介してセンサ100に供給することができる。
【0037】
図1Cは、センサの内部キャビティ内にLEDが取り付けられたセンサ100の断面図である。
【0038】
図2Aおよび
図2Bは、本開示によるセンサを使用した最初の実験からのグラフ記録を示す。この記録は、660nm 201および810nm 202 LED光を用いて記録されたDC(ランニング平均または非拍動性)信号強度測定値が、以下のように血液ヘモグロビン−酸素飽和度の減少と一致して一貫して一意的に変化することを示し、(1)約660nmの拡散光信号値201(赤色)光は、(2)約810nm(IR:赤外線)の拡散光信号値202とは相違し、すなわち、赤色信号強度値は、低酸素負荷とともにIR信号の検出された強度値応答に対して減少する。開示されたPI値は、正味の赤色信号値から正味のIR信号値を差し引くことによって導き出すことができる。したがって、非再呼吸性顔面マスクを介して窒素(N
2)希釈空気を短時間呼吸することによって誘発される進行性組織低酸素症の間、PI値は、直ちに、例えば、5から10秒以内に、徐々に負の値に減少し、呼吸ガスを空気に戻すと、最初に校正された「PIゼロ」ベースラインに迅速に戻る。
【0039】
図2Aは、
図2Bのグラフによって示された生信号のピークおよびトラフ値に基づく、計算されたSpO
2 200のグラフである。注目すべきは、センサ動作の影響を評価するために、センサと被験者の皮膚との動きによって故意に妨害された非常に不規則なSpO
2トレース204である。使用されたSpO
2計算式および変換係数は、2000年1月に医療機器業界で広く知られていたものと同じであった。
【0040】
図3Aは、成人被験者10におけるセンサの2つの適切な位置を示す。被験者10の上腕に腕センサ310を配置することは、便利で快適であり、被験者の手首および手を自由にする。胸部センサ320は、被験者10の胸部12に配置することができ、皮膚接触電極ステッカならびに対応する電子回路およびソフトウェアの使用によってECG心拍数の検出との統合の可能性をもたらす。
【0041】
図3Bは、ヒト皮膚30の皮下36までの解剖学的構造と、センサ300に隣接する皮膚の模式図とを示す。センサ300は、表皮32を通り光38を真皮34内に拡散させ、光は皮下36の上方の様々な組織要素および細胞化学処理と主に相互作用する。対照的に、反射率SpO
2は、皮膚細動脈40を流れる血液によって生成される非常に微妙な拍動性の光信号変動を選択的に検出し、この現象を利用して、動脈血ヘモグロビン酸素飽和度に対応する出力値を生成する。これと比較して、開示されるセンサは、放射体開口部302から表皮32および真皮34を通って拡散した非拍動性のバルク光(bulk light)を検出する。検出器開口部304を介してフォトダイオードセンサ303によって検出されるように、この組織空間のスペクトル光学密度の変化は、本明細書で開示される出力PI信号の基礎となる。
【0042】
図4は、早産の新生児に使用するのに適したセンサ400の別の実施形態を示す。この構成では、2つのセンサ410、415が使用される。使用時には、新生児の右上前胸部に第1センサ415が配置され、新生児の左下腹部に第2センサ410が配置される。これらの2つのセンサ410、415には、4−リードECG、胸部音、および皮膚温度測定システム420,420’のうちの一つまたは複数をまとめて備える他の接触部が一体化され、ヘッドボードに取り付けられたインターフェース回路に接続ケーブル430を介して接続される。
【0043】
図5は、センサシステムの一実施形態を概略的に示す。固定中心波長LEDを使用することで可能なものよりも詳細に、開示された基礎をなす生体測定現象を調べるために、広帯域石英タングステンハロゲン(QTH)ランプ光源520(HL-2000-HP-FHSA, Ocean Optics)は、光ファイバケーブル510(Thorlabs)により被験者の皮膚12に連結される。皮膚12を通って拡散した光は、光検出および信号分析のために、第2光ファイバケーブル510’によって受光され、分光計530(Flame-S-USB, Ocean Optics)に搬送される。ランプシャッターを作動させ、分光計の動作パラメータを設定し、サンプリングされ分析される波長強度値を選択して、PI値の連続的な読み取りおよび記録を行うために、Lab VIEW(National Instruments)ソフトウェアがコンピュータ560で使用された。この分光計システムでの記録は、LED光ベースのプロトタイプのPIセンサと並行して、非常によく似たパターンの応答を生成し、以前および現在の観察結果を確認および検証し、PI信号の基礎が皮膚のスペクトル光学密度の再現性のある変化と密接に関連していることを実証した。
【0044】
図6Aおよび
図6Bは、
図5の分光計システムの光ファイバインターフェース構成要素の皮膚接触面を示す。2つの開口部602、604は、光を皮膚の中へおよび皮膚からそれぞれ伝えるために透明なエポキシ材で充填することができる。一方の開口部602は、皮膚を照らし、他方の開口部604は、被験者の皮膚を通って拡散した光を受け取る。
【0045】
図6Cは、開口部の一つの光軸を通る切断図であり、光ファイバ620の端部に接触している銀被覆ミラー610(Edmund Optics)を示している。90°の反射光は、8mmの中心間隔で配置される、それぞれのハウジング開口部を通って投射され、または受光される。
【0046】
図7Aは、非再呼吸性顔面マスクを介して被験者に配送された窒素ガスを用いた低酸素負荷試験の記録である。試験の間、被験者の指先を介して、医療用送信パルスオキシメータ(Masimo Radical 7)で、SpO
2 710を記録した。被験者の上腕に配置された開示されるLED光ベースのPIセンサは、トレース720のPI値を生成した。注目すべきは、窒素ガスの呼吸へのSpO
2モニタの応答において、約45秒の遅延712が存在することである。比較すると、PI信号値は、10秒以内に変化し始めた。PI信号はまた、SpO
2モニタの応答前にベースラインに戻ったことを記録した。
【0047】
図7Bは、
図7AのPI値が計算された生PIデータの線グラフである。850nmの信号線734は、全体にわたって660nmの信号線732よりも変化が少ない。PI値の計算の基礎となるのは、それらの相対的な動きである。両方のトレースに重ね合わされるものは、被験者の正常な呼吸に関連する変動730である。データサンプルは、1秒間隔で採取されることから、心臓サイクルに誘発される脈動の出現は見られない。
【0048】
図8Aは、非再呼吸性顔面マスクを介して被験者に配送される医療用酸素ガスを使用する高酸素負荷試験の記録である。低酸素負荷と同様に、PI値810は、10秒以内に変化し始めるが、この場合、記録期間を超えて高い値にとどまる。
図8Bは、
図8AのPI値が計算された生PIデータの線グラフである。850nmのトレース820は、より一定の660nmのトレース824に比べて急激に減少する傾向とともに迅速に応答する。どちらのトレースも、呼吸に起因する変動822を示している。
【0049】
図9Aは、心拍数モニタ(Garmin)910およびSmO
2モニタ(Moxy)920、930を用いた運動セッションの組み合わせ記録である。心拍数は、被験者が発した増加した力(increased effort)の3つの、3分の出来事(episodes)に応答して上昇するように見える。また、セッションの過程にわたり自転車エクササイズに波長を合わした(dialed)ベースライン動作負荷をより緩やかに増加することによる、ベースラインにおける心拍数の増加傾向が存在する。下側のMoxyのトレース930は、上肢の筋肉の動作負荷を示し、筋肉組織内の動脈、毛細管、および静脈血のヘモグロビン酸素飽和度の組み合わせとして提示する。重動作期間中に筋肉が多くの酸素を引き出すことは明らかである。上側のMoxyのトレース920は、上腕の筋肉の動作負荷を示しており、これはある程度一致しているが、脚の筋肉の場合よりもそれほど激しく影響されていない。
【0050】
図9Bは、PI値940の同時記録である。最初の6分間は、好気性であるように見えるが、第1および第2のスプリント(sprints)の発現は、PIセンサが被験者の他の上腕に配置されているので、一般化された身体ストレスとして明確に検出される。興味深いことに、運動セッションが約20分の時点を経過すると、PIベースラインにおいて上昇傾向950が一貫して観察される。第3のスプリントがより高い心拍数を生成した場合でも、PI傾向は、ベースラインPIゼロのすぐ下に降下し、次いで、運動が中断されても強い上昇傾向960を再開する。
【0051】
図10Aは、純酸素1010を吸入した状態の短時間の負荷1000に続く拡張観察を記録したPIセンサシステムのPIセンサ記録である。
【0052】
図10Bは、分光計システム1020によって並列に生成された記録である。この並列記録試験は、正のPI値がどれくらいの間、持続するかを調査するために実施され、ベースラインへ戻る傾向の始まりをみなすことに、15分が十分ではないことを明確に示している。分光計によって記録された、明らかに「ノイズの多い」トレースにもかかわらず、PI値の傾向の基本的な特徴が両方の記録に見られ、少なくとも2つの異なる装置の設定でPI信号が矛盾なく得ることができることが確認される。
【0053】
図11は、拡張された有酸素運動の自転車セッションの分光計システムで取得した運動PI記録1110であり、PI値の傾向がどれだけ高くなるかを調べるために、運動を突然停止した。この記録は、アスリートが持続可能な動作レベルを一貫して保てるよう求められたため、極端な負のPI傾向ピークを示していない。
【0054】
図12は、記録された3つのPIデータの段階(phases)の相互関係を示す。典型的には、通常の健康的な人間は、安静時に、定義上「ゼロ」のPIを有する。安静時の連続記録は、立位または5分間までのゆっくりとした歩行などの中程度の活動中に±5点で変動することが観察されている。PIはまた、机の前に座ってコンピュータで2時間の仕事をしている間にも記録され、その結果は、2時間後に20と30との間までのPI値の漸進的な正のドリフトの反復パターンが存在することを示した。これは、立ったり歩いたりすることで元のベースラインにすばやく戻ることが期待される。
【0055】
身体活動の開始から数秒以内では、PI値の傾向は、通常、負であり、その下降率は、運動レベルに依存する。運動が続くと、特に、過度の運動を間欠的に行うと、PIデータは、漸進的な正のPIベースライン値の傾向を一貫して示しており、これは、被験者によっては、20から30分の運動後に200の範囲に上昇する可能性がある。30分の過度な運動の後に、突発的に運動を止めると、PI値がさらに増加する。約40までのPI値の正の傾向は、酸素の吸入でも見られる。運動の終わりおよび酸素呼吸後での正の傾向は、以前のPIゼロレベルへの戻り率を示すために十分長く記録されていない(わずか15分)。
【0056】
図13は、PIセンサソフトウェアの初期化処理の概要である。各被験者および所定の被験者における各適用部位は、皮膚の色素沈着およびスペクトル光学密度に差があると予想される。これらのばらつきは、センサにその人の真のPIゼロを中心とするために、調整(accommodated)される必要がある。その処理は、1310で始まり、生成された生信号強度をセンサA/D1322変換器カウント範囲の約80%にする電力レベルまで、赤色LED電力1320を増加させる。その80%値は、センサの分解能を最適化し、これまでに記録された赤色信号強度の潜在的な増加を受け入れる(accommodates)。一旦、赤色LED電力レベルが決定され制御メモリに記録されると、赤色LED電力はロックされ(1324)、IR LED電力レベルは、同様に調整され(1326)、ロックされた電力レベルで、赤色LEDにより検出された信号強度値未満になり(1328)、IR LED電力レベルが、制御メモリに記録およびロックされる(1330)。
【0057】
最後に、PIセンサを作動する前に、赤色およびIRサンプルを1秒間隔で取得して(1340)、最初の1分間にわたる平均強度オフセット値を決定する。次いで、平均信号オフセットバイアス(赤色強度−IR強度=オフセットバイアス)が計算され(1350)、後続のPI値の計算に使用するために制御メモリに格納される(1360)。これらの強度サンプルのすべてには、センサ回路のノイズ/バイアスと、センサに達するかもしれない周囲光との組み合わせである周囲信号強度すなわちバックグラウンドの検出および減算も含まれる。
【0058】
実行処理1370は、初期化処理が完了した後、通常は1分に数秒で実行される。実行1370が開始された後、赤色LEDおよびIR LEDが1秒間隔でサンプリングされ(1372)、赤色マイナスIRオフセットが決定され(1374)、生理的指標が計算される(1380)。
【0059】
図14は、胎生期に組織への非常に低い酸素配送率(oxygen delivery rate)に十分に順応して生まれた、早産児または障害児(distressed infants)などの被験者の呼吸酸素割合を調節するために使用する例示的なアルゴリズムについて概説する。また、脳卒中、溺水、窒息、心臓発作、または呼吸器停止もしくは心停止などの長期の虚血性または低酸素症の状態から蘇生した他の重篤な患者への使用を意図している。これらの事例のすべてにおいて、皮膚を含む患者の身体全体が、通常の酸素順化レベルよりも低いレベルで支持療法を受け始めると仮定する。新生児の場合、このレベルは、子宮内胎児発育遅延(IUGR)などの長期の中程度のストレスによって、または分娩に伴う短期間の重度のストレスによって、さらに低下する可能性のある、その前の胎児状態であろう。非新生児では、低い酸素順化レベルは、自然適応反射、自律神経系による生命維持反応、ならびに神経および内分泌調節下での心血管系の結果であり、恐らく、細胞内抗酸化物質生成および/または再生の下方調整(down-regulation)に付随して起こる。
【0060】
有害ではない組織酸素配送率により開始するために、大気(20.8%)より低い酸素割合のいくつかの値が必要とされると思われる。この開始点は、最終的には、経験的に決定され、新たな専門知識および判断がこの能力を用いて働く臨床医に求められることになる。説明のために、酸素混合アルゴリズムは、15%で開始され(1410)、次にPIを一時的にゼロにする(1412)。そこから、酸素は、PIセンサの応答に応じて1%の増分で増加する(1414)。今までの記録は、開始5秒で一貫性のある応答を示し、15秒で十分に確立されているので、適切な間隔は15秒であり(1416)、これは混合メカニズムを更新するための反復間隔として使用することができる。最初の15秒サイクルごとに、酸素混合をさらに1%増加させる必要性が試験される。このサイクルは、IR強度値が減少し始める時点で(1416)、皮膚における高酸素症の発症を示す時点まで続く。その時点にて、酸素混合物は1%減少され(1430)、1分後にPI値が見直され(1432)、1%増加する必要があるかどうかを確認する。したがって、本システムは、患者の必要性に合わせて減少または増加する必要性を調べながら、酸素割合を±1%サイクル(cycle)する傾向がある。
【0061】
この処理が実行されると、被験者の実際のPIがゼロに達したことを示す、酸素割合の1%変化に応答して赤色強度値およびIR強度値のいずれも変化しない点が生じる(1434)。その時点で、赤色マイナスIRオフセットを平均化する1分周期が実行され、新しいオフセット値を取得(1422、1424、1426)し、更新されたPIゼロを確立する。この「再ゼロ調整」処理は、現在の酸素混合およびその時点までのPIデータ値の傾向の連続性(sequence)と共に、システムディスプレイによって示される。必要とされる酸素割合の最大レベルについては仮定されておらず、その割合が皮膚組織の過酸素状態に至らないようにするか、または患者を皮膚組織の低酸素状態にするということだけである。最終的に、臨床医は、提案されたアルゴリズムがいつ患者の正常なPIゼロを確立したかを判断する必要がある。
【0062】
動作
皮膚に最初に配置されると、開示されるセンサ制御装置は、初期自動測距プロトコルを実行する。この初期自動測距プロトコルは、両方の波長での信号レベルを決定し、次に、放射体の電力および検出器の増幅器利得における一つまたは複数の増分ステップにおいて調整し、アナログ−デジタル(A/D)変換の分解能を最大にする。最適化は、2つのLED電力レベル、および対応する光検出器の増幅器利得が、A/D変換器の最大カウント限界の約80%に近づくが、それを超えない拡散光DCデジタル数値を生成するときに達成される。この初期化処理は、A/D変換の分解能を最大にし、したがって、各患者に関して計算されたPI(全ユーザ)およびSpO
2(幼児のみ)の値の精度を最適化し、皮膚の厚さおよび色素沈着の差を補うのに役立ち、信号のオーバーヘッド範囲(overhead range)を期待される応答に調整する。
【0063】
幼児集中治療モニタの実施形態において、完全PPG信号は、同時に得られた心臓周期由来のR波タイミングトリガパルスの発生から「トラフ」および「ピーク」PPG変曲点までのタイミングに関して分析される。各適用部位、およびモニタされている各被験者は、誘導されたR波トリガパルスと、その次のPPG光信号の「トラフ」および「ピーク」との間に固有の時間遅延を有する可能性が高い。この時間間隔における変動は、被験者の心臓とセンサ部位との間の動脈パルス伝導経路の固有の長さおよび弾性に起因する。自動調整が完了し、「トラフ」および「ピーク」サンプル時間間隔が決定されると、LED電力レベル、検出器増幅利得レベル、およびサンプリング時間間隔が、制御ソフトウェアにおいてカスタマイズされた計算パラメータとして記録およびロックされる。その後、計算されたオキシメトリ(酸素測定)が取得および表示され、2つのDCレベル間の数値差が、警報状態を確認するために、計算されたオキシメトリと連続的に相互に関連付けられる。
【0064】
追加の安全機能がPI分析によって有効にされてもよい。モニタリング中の幼児が泣いているときに一般的に起こるような、有効なオキシメータアンサンブル平均サンプルタイミングトリガが得られない場合には、PI値は、デフォルト時間に基づいてサンプリングすることができる。1秒間に1回など、クロック時間に基づいた拡散光レベルの取得は、PI分析および適切な警報生成のために十分で適正なデータを提供する。さらに、穏やかな睡眠中などの、心拍数およびオキシメトリ値が安定している状況では、デフォルト時間モードはまた、バッテリ供給器における重要なセンサ電力節約オプションとしても使用することができる。
【0065】
新生児の胸部および/または腹部に使用するためのプロトタイプの反射パルスオキシメータの誘導低酸素負荷試験中に、予期せぬ信号応答が認められた。その後の研究により、この最初の観察が確認および改善され、医療およびヒト生理学の研究の両方において、関連性の高い新しい用途の可能性が明らかになった。以下の説明は、これらの分野がヒトの生理学および病理学の研究に適用されるように、生化学およびフォトニクスの現在の知識を適用する。この方法、観察、提案される説明は、科学および医学部の学生で、その後、健康および疾患におけるヒトの生理的を観察し、関わり合う学生に、親しみやすく合理的である。
【0066】
2つの主要な現象が作用しているように見える。第1に、皮膚組織のエネルギー代謝は、PIを計算するために使用されるフォトニック信号における変動の主な原因であると思われる。この代謝化学における変化を引き起こす可能性のある因子は、結果として生じるフォトニック反応を明らかに引き起こし、皮膚に配送される血液の酸素含有量に直接関連する。この血中酸素含有量は、現在、パルスオキシメトリ(SpO
2)によって定期的にモニタリングされており、SpO
2を低下させるために窒素で希釈された空気を呼吸する、あるいは、空気を呼吸することによって生じる血液酸素飽和度を超えるように純酸素を呼吸することによって変更でき、表示されたデータを観察する。
【0067】
第2の現象は、動脈血酸素含有量とは無関係であるように見え、身体的な運動あるいは仕事などのストレスへの正常な適応の結果としての、および病気あるいは怪我に関した処理による病理学的な正常な適応の結果としての、皮膚組織への血液灌流の自律神経系の調節に関する。この神経系による血液灌流調節は、皮膚における細胞レベルでのエネルギー変換代謝の処理に影響する。この影響は、不十分な酸素(すなわち、皮膚組織低酸素)、または過剰酸素(すなわち、皮膚組織高酸素)が存在するかどうかに依存する、異なる分子の明らかな蓄積に起因して、センサによって一意的に検出される。
【0068】
この新しいPIデータの潜在的に重要な臨床値のいくつかの領域は、病理学的劣化処理の開始時に皮膚の血液灌流を減少させることが知られている病的状態に関する。外傷または手術中の血液損失などによる、血液ポンプ能力が低下し循環血液量が低下する心不全のような状態は、自律神経系に、生命防御反射反応として皮膚の血液灌流を制限させる。この反射は、全身の血圧を維持するのに役立ち、脳および心臓などのより重要な臓器への必要量を優先的に供給するように血流を保全する。おそらく、血液媒介感染または敗血症の発症の最も初期の兆候は、皮膚への血液灌流の減少であり、血液中の細菌毒素と、結果として生じる免疫系応答との組み合わせが主要な血管の弛緩および血圧低下を引き起こすことから、全身の血圧を維持する反射応答として再び使用される。最後に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含むいくつかの慢性的な健康状態があり、これらは、漸進的な速度で悪化する傾向があり、患者は、進行するストレスを見分けられず、大いに頑張ることだけが命を守り健康を回復するかもしれないまで、必要な援助を得ることを先延ばしにする可能性がある。これらの状態のすべては、状態が悲惨になる前に必要な介入の開始を知らせるために、最も初期の病理学的変化を示す非常に敏感で便利な装着型センサを必要とし、それにより、生活の質を向上させ、医療費のコストおよびヘルスケアの複雑さを軽減する。SpO
2モニタリング技術は、現在、「着用可能」ではなく、あるいは便利ではなく、敗血症および低血液量の早期に見られる皮膚灌流反射応答を適切に検出せず、心不全およびCOPDの悪化を早期に検出するのにあまり有用ではない。
【0069】
また、SpO
2モニタリングは、有害である組織レベルで潜在的に有害な過剰酸素を検出しない。酸素の分圧が上昇した呼吸ガスは、中枢神経系に酸素毒性をもたらし、発作を引き起こすことがある。これが誤って起こる可能性のある職業、レクリエーション、および医療行為には、宇宙飛行士、高高度のパイロット、スキューバダイバー、高圧酸素療法を受けている患者などがある。
【0070】
不十分または過剰な組織酸素によって引き起こされるか、または悪化する可能性のある病理はまた、妊娠約30週より早く生まれた未熟児にとって大きな懸念事項である。損傷は、網膜剥離およびその結果生じる視力の低下および全盲、脳出血、腸壊死および穿孔、脳性麻痺、ならびに最も一般的には、動脈管の適時かつ完全な閉鎖の失敗を含み、その結果、更なる組み合わせの合併症および生命リスクをもたらす。出生前には、胎児の血液酸素飽和度、およびその結果として生じる組織の酸素レベルは、健全な満期の新生児、小児、および成人のそれと比較して一貫して非常に低い。胎児ヘモグロビンによる酸素輸送の効率が高いため、胎児は、実際にはこの低い組織酸素レベルで成長し、早期に生まれない限り、成長を続け正常に発達し、不十分な酸素配送に関連する損傷のリスクを最小限に抑える。集中治療の現在の実務は、血液ガスサンプリングおよびSpO
2モニタリングによって示されるように、血液ヘモグロビン飽和に従い呼吸酸素混合物を調節することであり、組織酸素供給が組織の必要量よりも少ないかまたは多いかを示すことができない。したがって、血液酸素モニタリングのみでは、潜在的に有害に高い(すなわち、胎児よりも高い)組織酸素レベルを検出することはできず、したがって、現在、十分に避けることはできない。肺表面活性剤の即時投与および早期肺疾患の適切な人工呼吸器治療を使用する現在の新生児蘇生プロトコルは、胎児の胎盤から呼吸への幼児の早期移行中に過剰な組織酸素配送のリスクを実際に増加させている。急速に正常化された肺機能では、呼吸ガスの酸素レベルを補助通気または自発呼吸のいずれかで大気レベル(20.8%)に制限しても、胎児中の比較的低い組織酸素配送と比較して、過剰な組織酸素配送のために生体組織損傷の受け入れがたい高いリスクが存在するかもしれない。したがって、胎児から空気呼吸の生活に移行するとき、自動調節と合わされて、蘇生のため呼吸ガスにおいて最初に大気酸素割合よりも低い組織酸素配送の適切さについての正確で連続的なモニタリング、およびこれらの非常に脆弱な幼児の早期管理に関する組み合わされた必要性が存在する。重要な器官用の代理の指標として、酸素についての皮膚組織代謝の必要性に関連して皮膚組織レベルの酸素代謝状態を継続的に知ることは、長く認識されてきており、重要ではあるが、未熟児健康管理の必要性に合わなかった。本明細書で説明するPIセンサは、この重要な情報の潜在的に実行可能な源を提供する。出生直後の未熟児の皮膚に適用したとき、PIセンサの「PIゼロ発見」アルゴリズムは、約15%などの、大気の酸素割合未満で開始する、呼吸ガス混合における酸素/窒素混合の自動調節を誘導するように使用可能である。次に、PIゼロに達するまで、呼吸ガスの酸素割合において周期的な小さなステップ増加を行うことができ、重要器官への酸素配送の代理として、呼吸ガスの酸素割合を連続的および自動的に調節して、皮膚組織の酸素供給を維持し、PI値をほぼゼロに維持する。したがって、個々の未熟児患者は、肺が十分に成長して治癒するにつれて、大気または必要であればより高い酸素割合を呼吸し、その後、大気中の酸素レベルに合わせるために、独自の自動化された適応のスケジュール上で客観的に管理することができる。究極の目標は、これらの幼児の非常に壊れ易い未熟な脳、腸、および血管組織への、不十分または過剰な酸素配送のいずれかによって引き起こされる可能性のある壊滅的な損傷の発生を減らすことである。
【0071】
開示される主題の態様によるシステムおよび方法は、様々なコンピュータおよびコンピュータシステム、通信デバイス、ネットワーク、ならびに/または、動作用のデジタル/論理デバイスを利用してもよい。それぞれは、適切なコンピュータデバイスを利用して構成することができ、それは、何らかの記憶デバイスにロードされ、および/またはフェッチされ、次いで、コンピュータデバイスに、本開示の主題の態様による方法を実行させる命令を実行させるように製造可能である。
【0072】
コンピュータデバイスは、モバイル電話、スマートフォンおよび携帯電話などのモバイルユーザデバイス、iPhone(登録商標)、タブレット、およびラップトップなどのパーソナルデジタルアシスタント(PDA)を含むが、これらに限定されない。少なくともいくつかの構成では、ユーザは、インターネットなどのネットワークを介してブラウザアプリケーションを実行して、スクリーンディスプレイなどのデジタルコンテンツを閲覧し、対話することができる。ディスプレイは、例えば、コンピュータデバイスからのデータを視覚的に提示することを可能にするインターフェースを含む。アクセスは、他の形態のコンピュータおよび/または通信ネットワークを介するか、またはその一部を介することができる。ユーザは、例えば、ウェブサイトまたはウェブサイトのウェブページ上に位置するアプリケーションおよびデータならびに他のコンテンツにアクセスするために、ウェブブラウザにアクセスすることができる。
【0073】
適切なコンピュータデバイスは、例えば、スタンドアロンコンピュータ処理ユニット(CPU)などのロジックおよび他のコンピューティングオペレーション、またはマイクロコントローラのようなハードワイヤードロジック、またはその両方の組み合わせを実行するプロセッサを含むことができ、そのオペレーティングシステムによる命令、ならびに方法のステップ、または処理の要素を実行するための命令を実行することができる。ユーザのコンピュータデバイスは、コンピュータデバイスのネットワークの一部であってもよく、開示する主題の方法は、おそらく異なる物理的な場所で、開示される方法を実行するために共同または対話する、ネットワークに関連付けられた異なるコンピュータデバイスによって実行されてもよい。例えば、ユーザのポータブルコンピュータデバイスは、単独で、またはインターネット上のサーバなどのリモートコンピュータデバイスと連携して、アプリケーションを実行してもよい。本出願の目的のために、「コンピュータデバイス」という用語は、上述した論理回路、通信デバイス、およびデジタル処理能力、またはこれらの組み合わせのいずれか、およびすべてを含む。
【0074】
開示する主題の特定の実施形態は、ソフトウェアを実行するコンピュータデバイス上で実行することができる方法のステップとして例示目的で記載されている。コンピュータデバイスに提供することができるソフトウェアプログラムコード/命令、または少なくとも命令を実行する際にコンピュータデバイスによって実行される機能および動作の簡潔な記述が含まれる。いくつかの可能な代替実施形態は、同時に発生するか、もしくはほぼ同時に発生する、または別の順序で起こるか、もしくはまったく発生しないことを含む、順序を外れて生じる機能、機能性、および動作を含んでもよい。開示する主題の態様は、例えば、コンピュータデバイスのアレイもしくはネットワークで、インターネットを含む、相互接続されたネットワークを介してなど、互いに、少なくとも部分的に、共同設置もしくは遠隔設置された、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアもしくはそれらの任意の組み合わせで並列的または連続的に実行してもよい。
【0075】
命令は、コンピュータデバイス内の、またはコンピュータデバイスと通信するか、もしくはコンピュータデバイスにアクセス可能な、適切な「機械可読媒体」に格納してもよい。本出願で使用されるように、機械可読媒体は、有形の記憶装置であり、命令は、非一時的な方法で格納される。同時に、動作中、命令は、例えば、遠隔記憶装置から通信リンクを介してコンピュータデバイスに送られる際に、ある時点で一時的なものでもよい。しかしながら、機械可読媒体が有形で非一時的である場合、命令は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、または磁気もしくは光学ディスク記憶デバイスなどのメモリ記憶装置、アレイおよび/または、例えば、プロセッサ集積回路上に存在するローカルキャッシュメモリを形成してもよい組み合わせ、例えば、コンピュータデバイスのプロセッサ用の筐体内に収容される、ローカルメインメモリ、ローカル電子もしくはディスクハードドライブ、またはネットワークを介してアクセスされるローカルサーバもしくはリモートサーバに接続されるリモート記憶位置などの、メモリ記憶デバイスに、少なくともある期間、記憶される。このように格納されると、ソフトウェアは「機械可読媒体」を構成し、これは有形であり、命令を非一時的な形で格納する。したがって、少なくとも、関連するコンピュータデバイス上で実行するための命令を格納する機械可読媒体は、コンピュータデバイスのプロセッサによる命令の実行時に、および命令がコンピュータデバイスによるその後のアクセスのために記憶される場合に、「有形」および「非一時的」である。
【実施例】
【0076】
敗血症
開示される技術の用途の別の例は、PIゼロの連続的な再評価および調整のための代替処理に関する。開示される装置および方法の多くの潜在的に有用な用途は、モニタリングされる被験者が健常な安静状態にない場合に開始する。例えば、早期敗血症の患者を病院の救急部門で診る場合、皮膚への血液灌流の有意な病理学的減少が既に存在する可能性があり、その結果、皮膚組織の状態が、人の以前の嫌気的範囲、すなわち、負のPI値内にある。示された異常な生理学的条件を単に使用してPIゼロを設定するだけでは、その人の以前の健康で安静なPIゼロに対してPIゼロの不確定な負の偏差が生じる。効果的な治療が行われ、患者の生理学的状態が正常な健康状態に戻るとき、負のPI値と正のPI値との間の遷移、すなわちPIゼロは、患者の真の正常レベルで安定するまで、上方に移動するだろう。この遷移の動きを連続的にモニタリングし順応させるために、「PIゼロ発見(finding PI zero)」アルゴリズムを適用することができ、これにより、赤色およびIR強度信号の相対的変化を用いて、現在のPI値が遷移(transition)を横切るとき、すなわち実際のPIゼロ、を繰り返し判定する。例えば、IR信号が変化しないが、赤色信号が効果的な治療の結果として値が次第に増加する場合、被験者は依然として負のPI範囲にあるが、PIゼロに近づいている。生理学的状態が正常に向かって改善し続けると、新しいPIゼロは、「赤色信号値が安定してくると、IR信号値が減少し始める」のように定義されるだろう。この遷移が検出されるとき、固定バイアス値が赤色信号値とIR信号値との間の現在のオフセットに更新され、計算されたPI値が更新されたゼロになるだろう。
【0077】
未熟児
別の例として、出生の直前の、早産の新生児は、約10%の低さから約60%の高さまでの範囲の、はるかに低い胎児の血中酸素飽和度に完全に順応し、空気呼吸生活中の組織への最終的な酸素配送率に比べて、対応する比較的低い胎児組織酸素配送率を有するだろう。現在の医療行為は、新生児の動脈血およびパルスオキシメトリ(SpO
2)測定値の「血液ガス」(SaO
2)測定値を使用して、出生後の未熟児の初期ケアの間、呼吸ガスにおける酸素割合混合を導く。Clark電極センサを用いた皮膚組織の酸素圧(oxygen tension)のモニタリングもまた、未熟児の医療において酸素供給を導くために許容された方法である。最近では、赤外光の使用により、脳への血液灌流および酸素配送の適切さの指標として、幼児の脳深部の動脈血液、毛細血管血液、および静脈血液の組み合わせのヘモグロビン/酸素飽和度の非侵襲的測定が可能になっている。これらの計器の使用および関連する現行の実務に関する指針の前提は、低血中酸素(低酸素血症)および結果として生じる低組織酸素レベル(組織低酸素)が、未熟児が遭遇する独特で壊滅的な重要器官の組織損傷の根本原因であるということである。しかしながら、現在の研究文献は、これらの組織において起こる初期損傷が、後毛細管小静脈を覆う内皮細胞に対するものであると報告している。また最近報告されたことは、これらの損傷は、比較的過剰な酸素配送率の突然の発現に直接関連しているということである。これらの細静脈内皮細胞の死滅および崩壊は、血液凝固を引き起こし、それぞれの毛細血管を通る血流の閉塞をもたらし、最終的には、それらの毛細管による供給を受ける組織の死をもたらす。残念なことに、血液酸素測定値は、酸素配送率がこれらの非常に敏感な内皮細胞の許容レベルを超えるときを示すことができない。肺表面活性剤を使用した即時治療の結果として、正常な肺機能が急速に確立されたと仮定すると、通常の20.8%酸素割合空気を呼吸することは、幼児の動脈血酸素飽和度を80%より上に、さらには90%に達することが一様に観測されており、これは、胎盤からの胎児の血液でこれまで生じていたものよりもはるかに高い。この状況を悪化させることは、妊娠約30週未満の幼児において、グルタチオンなどの組織保護性抗酸化物質の生成が低くなることが知られている。したがって、適切な組織抗酸化物質の保護が不十分であると、これらの幼児は、出生前の胎児環境期間と比較して、これらの器官が急速に酸素含有量の高い血液で灌流されたときに、脳、腸、および目の微小血管内皮への高酸素損傷を受ける危険がある。PI信号が発見されるまで、酸素を安全に利用するために、それらの現在の必要性および容量に関連して、組織が、十分な酸素よりも少ない量、適切な酸素の量、またはあまりに多くの酸素の量を、受け取っているときを検出する方法は存在しなかった。
【0078】
新生児
未熟児と同様の例において、全妊娠期間(full gestation)の幼児の初期PIゼロもまた、幼児の組織が空気呼吸生活の、より高い酸素利用可能性に適応する時間を有するようになるように、遷移するよりも低い血液酸素レベルで開始することが予想される。誕生における様々な合併症で苦しんでいる満期出産児の場合、幼児の呼吸ガスは、15%などの準大気酸素割合でより安全に開始することができる。次に、幼児の組織酸素必要量および酸素許容範囲は徐々に増加するので、PIモニタは、重要な器官の酸素必要性および許容範囲の代理指標を提供することができる。この適応の初期エビデンスは、赤色信号強度が安定したIR信号強度に比べて減少し始めるときに見られることが予想され、赤色信号が安定を維持し、IR信号レベルが減少し始め、すなわち新たなPIゼロを識別するまで、呼吸空気中の酸素割合を増加させる必要があることを示している。そして、新しい固定オフセット値が確立され、この更新されたPIゼロを定義する。これらの決定および呼吸ガス酸素割合変化は、本質的に、幼児の動脈血ヘモグロビン/酸素飽和レベルとは無関係であることに留意されたい。血液酸素測定は、酸素輸送手段としての肺および血液の効率にのみ関連し、重要な器官組織が酸素を安全かつ効果的に供給されているかどうかを具体的に示すことはできない。組織損傷、特に、過剰な組織酸素配送率によって引き起こされる組織損傷は、新生児の重要な器官で起こり、血液中では起こらない。開示されるPIモニタリング装置および方法は、本明細書に開示される呼吸酸素割合のPIモニタリング可能調節と相まって、血液酸素測定基準に基づくアドバイスと比較して潜在的により安全でより効果的な初期治療処理を提示する。
【0079】
運動
本開示のさらに別の態様は、2波長または複数波長のフォトニック信号変動を使用して、筋肉活動によって示される全身生理的負荷に関する代理指標として、レクリエーション運動、減量運動、アスレチックトレーニングおよびパフォーマンス、または職業労働などで生じるような、筋肉運動に応じた皮膚微小循環および/または皮膚組織代謝化学反応を検出するよう構成される生理的センサに関する。さらに、開示されるセンサは、力学的作業出力の程度と仕事期間との組み合わせに明らかに関連する疲労の発現率を示すと考えられる、観察されたPI信号ベースラインシフト応答パターンを示すよう構成することができる。アスレチックトレーニング、一般的な健康維持、損傷または外科手術後のリハビリ、および肥満の体重減少のために設計された運動療法に関する現在の研究は、運動が所望の目的を達成する際に安全で効果的であるように、各個人用に正確に設計される運動セッション用の必要性を提唱する。開示されるPIセンサによって提供される新しい生理学的情報は、安全性および性能目標を達成するための個々の運動療法を最適化するのに役立つ。一例として、不安定な健康状態にある300ポンドの人のために設計された体重減少を目的とした運動療法の初期段階では、重い体重を支える関節を傷つけたり、心臓発作を引き起こしたりしないように、最初に衝撃が少ない運動を使用し心臓にかかるストレスを最小限に抑える必要がある。しかしながら、同時に、運動療法は、一般的な健康状態を適度に改善し、時間、努力、感情的ストレス、および経済的コストにおける人の投資の結果として、蓄積体脂肪の効率的な損失率を達成する必要がある。そのような人に関する作業負荷の進行、運動セッションの継続時間、およびセッションの繰り返しのタイミングもまた、個々の好みに適応する必要があり、持続できないリスクがある。今日のセラピスト/トレーナーは、組織レベル生理学の客観的な測定値に関する、必要でしかし不足している、経験に基づく専門家の意見の代わりになければならない。理論的には、現在の研究データに基づいて、体重減少運動療法のために、主な燃料源としての貯蔵された体脂肪を使用することは、疲労するまで複数の単純な激しい運動を行うよりもむしろ、純粋な有酸素レベルの運動を必要とする。最後に、運動療法は、エネルギー変換のために体脂肪を使用するのに必要な組織酵素系の生産を上方調整(up-regulate)する生体信号を生成する必要がある。さらに、その刺激された増加を十分に生かすために、次の出来事(episode)の前に十分な休息および回復時間をとる必要がある。現在、午前中に起床したときの、ベースライン休息心拍数への復帰、およびベースライン心拍変動への復帰が、運動からの回復を測定するために使用される。これらの母集団統計で生成された指標は、心臓の健康状態を反映するかもしれないが、新たに発見されたPI信号は、身体全体のこの処理の代理指標として、エネルギー変換化学の客観的で、潜在的により関連性の高い、個別化された見識(view)を提供する。各人の十分な回復期間は、一例として、次回の運動セッションでのPI値疲労傾向率を評価することによって決定することができ、より迅速なPIベースライン上昇は、回復が不十分であることを示す。PI信号が発見されるまでは、人間が、(1)好気性方法(aerobic window)内での運動をしていること、(2)各運動セッションの終わりに、脂肪利用酵素処理を上方調整する有効な生体信号が生成されること、(3)別のセッションの前に十分な回復時間が経過していること、を示す便利で非侵襲的で客観的な方法はなかった。
【0080】
低体温
本開示のさらに別の態様では、拡散光生理的センサが記述され、該センサは、2波長または多波長のフォトニック信号変動によって、低温暴露からの低体温などの有害な状態に対する皮膚微小循環および/または皮膚組織化学反応、過度の環境温度/湿度暴露からの進行性温熱症、または麻酔薬もしくは他の薬理学的もしくは他の潜在的にもしくは実際に有毒な薬剤が体内に導入された場合などの注入もしくは摂取された薬理学的化学物質に対する有害反応、ならびにそのような状態からの回復中の影響および反応を、重要な器官組織を保護する反射応答の代理指標として検出する。
【0081】
組織不全症
本開示のさらなる態様には、再灌流された組織への循環血液によって配送される酸素の量が、組織で一時的に減少し徐々に回復する、配送される酸素を利用する能力を超えないことをモニタリングするために、2つまたは複数波長のフォトニック信号変動によって、無血手術領域を達成するために整形外科手術の間に意図的に使用されるか、または一時的に灌流が過小であるかもしくは灌流されていない身体の部分または器官に血液灌流が戻った場合に起こるような組織虚血後の再灌流中の組織微小循環および/または組織化学反応応答を検出し、それにより、治療を最適化するのに役立つよう構成可能な生理的センサを含む。関連する例は、中枢神経系虚血性脳卒中からの蘇生および回復、および窒息、溺死、心臓および/または呼吸停止による低酸素血症の持続性発症後の蘇生を含む。現在の治療は、しばしば、脳の代謝を遅らせるために、誘導全身冷却(induced total body cooling)、もしくは低体温および/または薬理学的に誘発された昏睡の期間を含む。低体温および昏睡療法の顕著な成功は、他の因子の中でも、脳において最も敏感な組織が、より低い酸素レベルで比較的長期間生き残ることができるが、通常のSpO
2および灌流レベルでの酸素の配送を利用し許容するそれらの能力を上方調節する時間が必要であることを示す。例えば、骨、筋肉、および皮膚などのあまり重要ではない身体組織は、酸素供給低下をより容易に許容することから、心臓をモニタリングすることにより、患者のSpO
2を約30分間で65から70%の範囲に低下させるように、呼吸ガスの酸素割合は、徐々に下げることができる。このことは、運動中にPIセンサデータを記録することによって記録されているとき、皮膚が低レベルの酸素供給に順応することを可能にする。この皮膚順応プロセスは、また、より高い標高での生活に適応することの通常プロセスの一部でもある。この順応が起こることから、「PIゼロ発見」アルゴリズムは、より低いSpO
2レベルでのPIゼロを再確立するだろう。そのとき、皮膚は、より重要な臓器への灌流緩衝として働くことから、呼吸ガスにおける酸素割合の段階的な上方調整を誘導するのに使用されるPIセンサにより、それはより重要な器官の代用としてモニタリングすることができる。理論的には、皮膚よりも重要な器官が酸素量を増やす必要がある場合には、運動および敗血症ショックの際にそうであるように、自律神経系がこれらのより重要な器官に皮膚灌流を流用させるので、皮膚は、より嫌気的になるだろう。したがって、PI値がさらに負になり、より重要な器官への灌流流用を示すとき、呼吸酸素割合を増加させて、PI値をゼロに戻すことができ、このサイクルは、人が大気中の酸素割合を呼吸するまで繰り返される。
【0082】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、そのような実施形態が単なる例示目的であることは、当業者には明らかである。本発明から逸脱することなく、当業者には数多くの変形、変更、および置換が可能である。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に利用することができることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、それにより、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物がカバーされることが意図される。