(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948377
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】写真判定型の時間的画像からレースのゴールの瞬間の画像を表示するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20210930BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20210930BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20210930BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20210930BHJP
G03B 41/00 20210101ALI20210930BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20210930BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20210930BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20210930BHJP
【FI】
H04N7/18 T
A63B71/06 M
A63B69/00 A
G03B15/00 U
G03B15/00 H
G03B15/00 M
G03B41/00
H04N5/232 290
G06T7/60 180B
G06T7/00 660B
H04N5/232 930
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-221932(P2019-221932)
(22)【出願日】2019年12月9日
(65)【公開番号】特開2020-96356(P2020-96356A)
(43)【公開日】2020年6月18日
【審査請求日】2019年12月9日
(31)【優先権主張番号】18212068.3
(32)【優先日】2018年12月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511103672
【氏名又は名称】スイスタイミング・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ブロンドー
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・リシャール
【審査官】
鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−300994(JP,A)
【文献】
特表2002−511718(JP,A)
【文献】
特開2011−229140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
A63B 71/06
A63B 69/00
G03B 15/00
G03B 41/00
H04N 5/232
G06T 7/60
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間画像(20、30)を、同一のゴールの写真判定型の時間的画像(10)から表示するための方法(1)であって、前記方法(1)は、少なくとも1つのビデオカメラ(44、45)と表示装置(43)を備える表示システム(40)によって実施され、前記方法は、
−第1の規定の周波数で、レースのゴールライン(19)の第1のシリーズの一次元の瞬間画像を取得すること(2)であって、前記一次元は前記ゴールライン(19)に沿って実質的に延びることと、
−第2の規定の周波数で、前記同一のゴールライン(19)の瞬間画像である二次元画像(20、30)の第2のシリーズを同時に取得すること(3)であって、第1の空間次元は前記ゴールライン(19)に沿って実質的に延びることと、第2の空間次元は前記レースの方向に実質的に延びることと、
−前記写真判定型の時間的画像(10)を前記第1のシリーズの瞬間画像から形成すること(6)であって、前記第1のシリーズの前記瞬間画像は取得順に並列であり、それによって前記時間的画像(10)の横座標(11)は時間次元を示し、前記横座標(11)の各点は前記ゴールライン(19)の任意の瞬間に対応することと、
−前記時間的画像(10)の瞬間(15、22)を選択すること(7)と、
−前記第2のシリーズの二次元画像(20、30)を分析すること(8)であって、前記第2のシリーズの前記二次元画像は前記選択された瞬間(15、22)に相関し、少なくとも1つの距離(21、23、24)を測定することと、
−前記分析された二次元画像(20、30)を前記測定された1または複数の距離(21、23、24)とともに表示すること(9)と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法(1)であって、前記時間的画像(10)は前記瞬間(15、22)を選択するために表示されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法(1)であって、取得時間は前記2つのシリーズの画像の取得中に測定され、時間は前記2つのシリーズの各画像に起因することを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記2つのシリーズの画像の時間相関(5)のステップは、前記第2のシリーズの各二次元画像(20、30)が時間的に最も近い前記第1のシリーズの一次元画像と相関するように実施されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記第2のシリーズの画像(20、30)は前記第1のシリーズの単一の画像と相関していることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記第1のシリーズの各画像は前記第2のシリーズの異なる画像(20、30)と相関し、それによって、前記時間的画像(10)の各瞬間(15、22)は前記第2のシリーズの画像の1つの二次元画像と相関していることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記第2の空間次元は、前記第1の空間次元に垂直に向けられることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記瞬間(15、22)は前記時間的画像(10)の点を選択することによって選択され、前記選択された二次元画像は前記時間的画像(10)の前記選択された点の前記横座標(11)と相関していることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記第1および第2の周波数は等しいことを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記二次元画像(20、30)は分析され、二人(16、18)またはそれ以上の競技者間の前記距離(21)を測定することを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記二次元画像(20、30)は分析され、前記ゴールライン(19)と1または複数の競技者(16、18)との間の前記距離(23、24)を測定することを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法(1)であって、前記第1の周波数は毎秒500から30,000画像の範囲内に含まれ、前記第2の周波数は毎秒50から5,000画像の範囲内に含まれることを特徴とする、方法。
【請求項13】
具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間画像(20、30)を、同一のゴールの写真判定型の時間的画像(10)から表示するためのシステム(40)であって、前記システムは、
−第1の規定の周波数で、前記レースのゴールライン(19)の第1のシリーズの一次元の瞬間画像を取得するための取得ユニット(41)であって、前記一次元は前記ゴールラインに沿って延び、前記取得ユニット(41)はまた、第2の規定の周波数で、前記同一のゴールライン(19)の瞬間画像である二次元画像の第2のシリーズを同時に取得するように構成され、第1の空間次元は前記ゴールライン(19)に向けられ、第2の空間次元は前記レースの方向に向けられる取得ユニット(41)と、
−前記写真判定型の時間的画像(10)を前記第1のシリーズの瞬間画像から形成するように構成される制御ユニット(42)であって、前記第1のシリーズの前記瞬間画像は取得順に並列であり、それによって前記時間的画像の横座標は時間次元を示し、前記横座標(11)の各点は前記ゴールライン(19)の任意の瞬間に対応し、前記制御ユニット(42)はまた、前記第2のシリーズの二次元画像(20、30)を分析するように構成され、前記第2のシリーズの前記二次元画像(20、30)は時間的画像の選択された瞬間(15、22)に相関し、少なくとも1つの距離を測定することを特徴とする制御ユニット(42)と、
−前記分析された二次元画像(20、30)を前記測定された1または複数の距離(21、23、24)とともに表示するための表示ユニット(43)と、
含むことを特徴とする、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステム(30)であって、前記制御ユニット(42)は前記2つのシリーズの画像が取得される取得時間を測定するためのユニット(46)を含み、前記制御ユニット(42)は取得時間を前記2つのシリーズの画像の各画像に起因させ、時間的に前記2つのシリーズの画像を相関させるように構成され、それによって前記画像の第2のシリーズの各二次元画像(20、30)は、時間的に最も近い前記第1のシリーズの一次元画像と相関することを特徴とする、システム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載のシステム(30)であって、前記取得ユニット(41)は、前記第1のシリーズの画像を取得するように構成される第1のカメラ(44)と、前記第2のシリーズの画像を取得するように構成される第2のカメラ(45)とを含み、前記2つのカメラ(44、45)は前記ゴールライン(19)の軸に沿って延びることを特徴とする、システム。
【請求項16】
請求項13から請求項15のいずれか一項に記載のシステム(30)であって、前記表示ユニットは(43)は画面(47)を備えることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真判定型の時間的画像から、具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間の画像を表示するための方法に関する。
【0002】
本発明はまた、前述の方法を実施するために、写真判定型の時間的画像から、具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間の画像を表示するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
陸上短距離、サイクリング、クロスカントリースキーまたはスピードスケート競技などのレーススポーツの試合において、または馬術競技中に、競技者の順位を決めるために画像を用いることは既知である。特に、競技者が非常に近い場合に、競技者の順位を決定するために画像を用いることは既知である。これらの画像は、通常「写真判定」画像と呼ばれる。これらの画像は、ゴールラインに沿って画像の縦座標に空間次元を有し、画像の横座標に時間次元を有するという特徴を有する。したがって、画像の各垂直断面は任意の瞬間のゴールラインを表す。この時間次元によって、競技者がゴールラインに到達した順序を明確にすることができる。競技者がゴールラインに到達した瞬間は、選手の体または装具の一部によって決定される。要件はスポーツによって異なる。たとえば、陸上短距離レースでは、ゴールの瞬間は、選手の胸部の一部がゴールラインを越えるときである。スピードスケートまたはクロスカントリースキーレースでは、ゴールの瞬間はスケートまたは足がゴールラインに到達するときである。競技者が一群となってゴールすることも多いため、写真判定画像には高精度が求められる。
【0004】
写真判定画像を形成するために、ゴールラインの画像を、たとえば毎秒1000から10,000画像など、毎秒大量に撮ることができるカメラを備える撮影システムが用いられる。一般に、カメラが撮る画像はゴールラインを中心とする。つまり、カメラが撮る画像はゴールラインの垂直断面である。断面は、たとえば一画素の幅を有する。写真判定画像を得るために、垂直断面は撮影の時間的順序で互いに並列である。したがって、ゴールラインの画像は時間に応じて得られる。
【0005】
ただし、写真判定画像は、任意の瞬間の競技者間の距離を決定することはできない。実際に、競技者は、ゴールラインに到達するときに画像に表されるだけである。そのため、任意の瞬間の競技者間の距離を決定または表示することはできない。写真判定画像では、競技者間の空間は、時間的な差を表し、空間的距離を表すわけではない。したがって、最初の競技者がゴールを越えるとき、または二人の競技者がゴールで非常に近い場合は、第1の競技者と後続の競技者との間の空間的距離を知ることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、レースのゴールにおける競技者間の距離を示す画像を取得することができる方法を提示することによって前述の欠点を克服することである。画像は写真判定画像と相関している。
【0007】
そのために、本発明は、同一のゴールの写真判定型の時間的画像から、具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間の画像を表示するための方法に関する。本方法は、少なくとも1つのビデオカメラおよび表示装置を備える表示システムによって実施される。
【0008】
本方法は以下のステップを含むことを特徴とする。
−第1の規定の周波数でレースのゴールラインの第1のシリーズの一次元瞬間画像を取得することであって、空間次元はゴールラインに沿って実質的に延びることと、
−第2の規定の周波数で、同一のゴールラインの二次元瞬間画像の第2のシリーズを同時に取得することであって、第1の空間次元はゴールラインに沿って延び、第2の空間次元はレースの方向に向けられることと、
−写真判定型の時間的画像を第1のシリーズの瞬間画像から形成することであって、画像は取得順に並列であり、それによって時間的画像の横座標は時間次元を示し、横座標の各点はゴールラインの任意の瞬間に対応することと、
−時間的画像の瞬間を選択することと、
−第2のシリーズの二次元画像を分析することであって、画像は選択された瞬間に相関し、少なくとも1つの距離を測定することと、
−分析された二次元画像を測定された1または複数の距離とともに表示すること。
【0009】
本方法の特定の実施形態は従属請求項2から12に画成する。
【0010】
本方法によれば、瞬間を一般的な写真判定画像から選択することによって、二次元画像を写真判定画像から表示することが可能である。実際に、写真判定画像の瞬間は、ゴールラインの空間的画像に相関している。それによって、これらの瞬間と競技者間の差を示す画像とを関係付けることが可能である。
【0011】
さらに、画像処理ソフトウェアを用いると、二次元画像上で競技者間の距離を測定することが可能である。競技者間の差の距離を算出し、表示された画像上に表すことも可能である。
【0012】
たとえば、競技者間の距離を表す空間的画像は、写真判定画像の瞬間を選択することによって表示できる。
【0013】
本方法は、たとえば、レースを画面で見ている観客が競技者間の差、またはゴールラインと1または複数の競技者との間の差を実感できるという有利点を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、時間的写真判定画像は瞬間を選択するために表示される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、取得時間は2つのシリーズの画像を取得している間に測定され、時間は両シリーズの各画像に起因する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、2つのシリーズの画像の時間相関のステップは、第2のシリーズの画像の各二次元画像が時間的に最も近い第1のシリーズの一次元画像と相関するように実施される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2のシリーズの画像は時間的に最も近い第1のシリーズの単一の画像と相関している。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1のシリーズの各画像は異なる第2のシリーズの画像と相関し、それによって時間的写真判定画像の各瞬間は第2のシリーズの画像の二次元画像と相関している。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2の空間次元は第1の次元に垂直に向けられる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、瞬間は時間的写真判定画像上で点を選択することによって選択される。選択された二次元画像は時間的画像で選択された点の横座標と相関している。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1および第2の周波数は等しい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、二次元画像を分析して、2人以上の競技者の間の距離を決定する。
【0023】
本発明の特定の技術的特徴によれば、二次元画像を分析して、ゴールラインと1または複数の競技者との間の距離を決定する。
【0024】
本発明の特定の技術的特徴によれば、第1の周波数は毎秒500から30,000画像の範囲内に含まれる。
【0025】
本発明の特定の技術的特徴によれば、第2の周波数は毎秒50から5,000画像の範囲内に含まれる。
【0026】
本発明はまた、同一のゴールの写真判定型の時間的写真判定画像から、具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間の画像を表示するためのシステムに関する。
【0027】
そのために、本システムは、
−第1の規定の周波数で、第1のシリーズのレースのゴールラインの一次元瞬間画像を取得するための取得ユニットであって、空間次元はゴールラインに沿って延び、取得ユニットはまた、第2の規定の周波数で、第2のシリーズの同一のゴールラインの二次元瞬間画像を同時に取得するように構成され、第1の空間次元はゴールラインに向けられ、第2の空間次元はレースの方向に向けられる取得ユニットと、
−時間的写真判定の画像を第1のシリーズの瞬間画像から形成するように構成される制御ユニットであって、画像は取得順に並列であり、それによって時間的画像の横座標は時間次元を示し、横座標の各点はゴールラインの任意の瞬間に対応し、制御ユニットはまた、第2のシリーズの二次元画像を分析するように構成され、画像は選択された瞬間に相関し、少なくとも1つの距離を測定することを特徴とする制御ユニットと、
−前記分析された二次元画像を測定された1または複数の距離とともに表示するための表示ユニットと、
を含む。
【0028】
本方法の特定の実施形態は、従属請求項13〜16に画定される。
【0029】
本発明の特定の実施形態によれば、制御ユニットは2つのシリーズの画像が取得される取得時間を測定するためのユニットを含む。制御ユニットは取得時間を両シリーズの各画像に起因させ、時間的に前記2つのシリーズの画像を相関させるように構成される。それによって第2のシリーズの画像の各二次元画像は、時間的に最も近い第1のシリーズの一次元画像と相関する。
【0030】
本発明の特定の実施形態によれば、取得ユニットは、第1のシリーズの画像を取得するように構成される第1のカメラと、第2のシリーズの画像を取得するように構成される第2のカメラとを含む。2つのカメラはゴールラインの軸に沿って配向される。
【0031】
本発明の特定の実施形態によれば、表示ユニットは画面を含む。
【0032】
本発明による表示方法およびシステムの目的、有利点および特徴は、図によって例示される少なくとも1つの非限定実施形態の以下の説明によって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】陸上競技のゴールの写真判定型の時間的画像の概略図である。
【
図3】時間的画像の第1の瞬間に相関している第1の二次元画像の概略図である。
【
図4】時間的画像の第2の瞬間に相関している第2の二次元画像の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明によれば、本方法によって、時間的写真判定画像と二次元画像との相関が可能となる。それによって、たとえば競技者間、または1または複数の競技者とゴールラインとの間のレースのゴール時の距離の差を算出することができる。前述の本方法は、たとえば、陸上、クロスカントリースキー、スピードスケートまたはサイクリングレース、または馬術競技に関する。本方法は少なくとも1つのビデオカメラと表示装置を備える映像取得および表示システムによって実施される。
【0035】
図1において、本発明による方法1は、具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間画像を、同一のゴールラインの時間的写真判定画像から表示するための方法である。
【0036】
本方法は、第1の規定の周波数でレースのゴールラインの第1のシリーズの一次元瞬間画像を取得すること2からなる第1のステップを含む。空間次元はゴールラインに沿って延びる。現在の写真判定カメラは、たとえば、毎秒500から30,000画像の範囲内に含まれる第1の周波数を提供可能である。
【0037】
同時に、第2のステップにおいて、本方法は、第2の規定の周波数で、同一のゴールラインの二次元瞬間画像の第2のシリーズを取得すること3からなる。画像において、第1の空間次元はゴールラインに沿って延び、第2の空間次元はレースの方向に向けられる。好ましくは、第2の空間次元は第1の次元に垂直に向けられる。現在の二次元カメラは、たとえば、毎秒50から5,000画像の範囲内に含まれる第2の周波数を提供可能である。
【0038】
また、同時に、第3のステップでは、2つのシリーズの画像の取得中に取得時間を計測する4。たとえば、この時間は2つのシリーズの画像の取得周波数によって計測される。したがって、時間は2つのシリーズの各画像に起因する。その結果として、画像は取得された瞬間によって時間順に順位を付けられてもよい。
【0039】
次に、第4のステップは、第2のシリーズの画像の二次元画像が第1のシリーズの一次元画像に対応するように、2つのシリーズの画像の時間相関5からなる。つまり、各画像に起因する時間によって、第1のシリーズの画像と第2のシリーズの画像との間に時間的関係ができる。一方では、画像は各シリーズ内で互いに関して整理され、他方では、画像はシリーズ間で相関される。相関は時間的に最も第1のシリーズの画像に近い第2のシリーズの画像を選択することによって実施される。
【0040】
第1の周波数が第2の周波数より高いとき、二次元画像は一次元画像より少ない。このような事例では、1つの二次元画像と相関している複数の一次元画像があってもよい。
【0041】
特定の実施形態によれば、第1のシリーズの一次元画像と同じくらい多くの第2のシリーズの二次元画像を得るために、第1および第2の周波数は等しい。したがって、第1のシリーズの各画像は第2のシリーズの画像と相関している。本実施形態では、2つの型の画像、特に二次元画像に対するカメラの取得能力に基づいて、同一周波数を選択する。
【0042】
第5のステップの機能は、第1のシリーズの瞬間画像から写真判定型の時間的画像を形成すること6である。そのために、画像は取得の順に互いに並列である。したがって、時間的画像の横座標は時間次元を表す。時間的画像の横座標の各点はゴールラインの任意の瞬間に対応する。相関の結果として、時間的写真判定画像の各瞬間は結果的に第2のシリーズの二次元画像と相関している。
【0043】
第6のステップ7では、時間的画像の瞬間を選択する。好ましい実施形態では、時間的写真判定画像は瞬間を選択するために表示される7。写真判定画像上の点がこの目的のために選択される。この点の横座標は対応する瞬間を提供し、それによって選択された点の横座標と相関している二次元画像が選択可能となる。たとえば、第2の競技者または複数の後続する競技者との間の距離の差を確立するために、第1の競技者がゴールラインに到達する瞬間が選択される。
【0044】
第7のステップで、第2のシリーズから画像を選択後、画像を分析し8、少なくとも所望する距離を測定する。画像分析ソフトウェアを用いて、この距離を測定可能である。二次元画像を分析し、ゴールラインと1または複数の競技者との間の距離を測定する。本ソフトウェアは好ましくは、二次元画像からの距離を算出可能なように、レース前に校正される。
【0045】
第8のステップは、選択され、分析された二次元画像を測定した1または複数の距離を表示することによって、表示すること9からなる。画像は、たとえば、テレビ画面上に表示され、第1の競技者と後続する競技者との間の空間的距離を示す。同時に時間的写真判定画像を示して、競技者のゴールの順序を示すことも可能である。
【0046】
本方法によって時間的写真判定画像から、距離の差を示す画像を算出し、表示することが容易となる。
【0047】
図2は、本方法によるゴールラインの第1のシリーズの一次元画像から得た時間的写真判定画像10を示す。画像の横座標11はゴールライン上で経過する時間を表すため、この画像は「時間的な」画像と呼ばれる。時間的画像10の横座標11は、結果的に時間次元を表し、縦座標12はゴールラインの空間次元を表す。時間的画像の横座標11の各点はゴールラインの任意の瞬間に対応する。したがって、走者13がゴールラインに到達する瞬間14を観察することができる。実際に、走者13がレースのゴールラインに到着するとき、写真中の各走者13は瞬間14で表される。これらの瞬間は縦座標11に垂直で、走者13を通過する線によって決定される。したがって、画像10の横座標11上の2つの走者13間の差は時間的な差であり、空間的距離の差ではない。
【0048】
前述の本発明によって、たとえば画像10の第1の瞬間15を選択する。第1の瞬間15は、第1の走者15がゴールラインを越える瞬間に対応する。本例では、第1の走者と第2の走者との間の距離は、この瞬間15と相関している第2のシリーズの相関画像で表示することが望ましい。
【0049】
図3は、
図2の時間的画像10で選択された第1の瞬間と相関している第2のシリーズの画像を示す。瞬間画像20は走者13のゴールを示し、特に第1の走者16がゴールライン19上にいて、第2の走者18がその次にいるところを示す。画像20によって、レースのこの瞬間において、第1の走者16と第2の走者18との間の距離21を分析して算出することが可能となる。事前校正した画像分析ソフトウェアは、二人の走者間の距離21を計測し、ここでは2.23mである。この画像20は次に、測定結果とともに表示され、走者16、18間の空間的距離21を示す。距離21は図中、両方向の矢印によって表される。
【0050】
たとえば、
図2の時間的画像10の第2の瞬間22が選択される場合、
図4の相関二次元画像30が得られる。本例では、第1の走者16がゴールライン21に到達する直前の第2の瞬間が選択される。最初の二人の走者16、18とゴールライン19との間の距離が算出される。第1の走者はゴールラインから0.97mであり、第2の走者はゴールラインから3.31mである。この画像30は次に、前述の方法によって示される距離とともに表示される。
【0051】
本発明はまた、具体的にはスポーツ分野のレースのゴールの瞬間画像を表示するためのシステムに関する。瞬間画像は少なくとも1つの距離の差を示す。システムは、特に前述の方法を実施するために適切である。システムによって、写真判定画像を二次元画像に相関させることが可能となる。さらに、二次元画像を時間的写真判定画像から選択することが可能となる。
【0052】
図5において、システム40は、取得ユニット41と、制御ユニット42と、表示ユニット43とを備える。
【0053】
好ましい実施形態では、取得ユニット41は、第1の規定の周波数で、第1のシリーズの画像を取得するように構成される第1のカメラ44と、第2の規定の周波数で、第2のシリーズの画像を取得するように構成される第2のカメラ45とを含む。2つのカメラ44および45はゴールラインの軸に沿って配向され、レースのゴールの画像を得る。
【0054】
第1のカメラ44は、レースのゴールラインの一次元瞬間画像を撮るように構成される。空間次元はゴールラインに沿って延びる。このタイプのカメラは通常写真判定画像を形成するために用いられる。第1のカメラ44は、たとえば、毎秒500から30,000画像の範囲内に含まれる第1の周波数を有する。第1のカメラ44は第1のシリーズの一次元画像を制御ユニット42に送信し、制御ユニット42は時間的写真判定画像を形成する。
【0055】
第2のカメラ45は、第2のシリーズの同一のゴールラインの二次元瞬間画像を取得するように構成される。第1の空間次元はゴールラインに向けられ、第2の空間次元はレースの方向に向けられる。第2のカメラ45は二次元画像を制御ユニット42に送信する。第2のカメラ45は、たとえば、毎秒50から30,000画像の範囲内に含まれる第2の周波数を有する。
【0056】
制御ユニット42は、2つのシリーズの画像を取得する取得時間を測定するためのユニット46を含む。特に、レースのゴールで、第1および第2のシリーズは同時に取得される。時間測定ユニット46によって、制御ユニット42は、取得時間を本方法による2つのシリーズの画像の各画像に起因させるように構成される。さらに、制御ユニット42は、カメラ44、45の画像取得周波数を画成する。制御ユニット42は周波数をカメラ44、45に送信する。周波数は各カメラ44、45の取得能力によって選択される。
【0057】
取得時間を各画像に起因させることによって、制御ユニット42は時間的に2つのシリーズの画像を相関させることができる。したがって、第2のシリーズの画像の二次元画像は第1のシリーズの一次元画像と相関している。第1のシリーズの画像は、時間的に最も近い第2のシリーズの画像と相関している。好ましくは、第1のシリーズの各画像は第2のシリーズの1つの画像と相関している。
【0058】
制御ユニット42はまた、時間的写真判定画像を第1のシリーズの瞬間画像から形成するように構成される。画像は取得順に並列であり、それによって時間的画像の横座標は時間次元を示し、横座標の各点はゴールラインの任意の瞬間に対応する。
【0059】
制御ユニット42はまた、第2のシリーズの二次元画像を分析し、走者間の距離、またはゴールライン1とまたは複数の走者との間の距離を測定するように構成される。瞬間が時間的画像上で選択されると、制御ユニットはこの瞬間と相関している二次元画像を分析する。様々な実施形態によれば、算出が必要な距離、つまり、走者間の距離か、またはゴールラインと1または複数の走者との間の距離かは事前に規定される。次に、制御ユニットは分析された画像を表示ユニット43に送信する。
【0060】
制御ユニット42はまた、時間的画像を表示し、個人、たとえば審判/レフリー/ジャッジまたはテレビのプロデューサが瞬間および算出対象の距離を選択できる機能を有していてもよい。したがって、本方法によって瞬間を選択するために、個人は画面に表示されている画像上の点をクリックする。点の横座標は、その点に相関している二次元画像を決定する。さらに、個人はまた、画像分析ソフトウェアによって算出される距離を画像上で選択してもよい。そのために、制御ユニット42は、前記個人がアクセス可能な画面(不図示)を備える。
【0061】
表示ユニット43は、分析された二次元画像を測定された1または複数の距離とともに表示するための画面47を含む。表示ユニット43はまた、たとえばテレビまたはインターネットなどで、特にスポーツイベントでの再送信などの事例において、分析された画像(不図示)を送信し1または複数の遠隔画面に表示させるための手段を備えていてもよい。
【0062】
当然のことながら、本発明は図を参照して説明した実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱せずに変形を考案しえる。特に、第1および第2の画像取得周波数の値は2種類のカメラの技術能力の向上によって可能になる場合は、さらに高い値を選択しえる。
【符号の説明】
【0063】
10 :画像
11 :横座標
12 :縦座標
13 :走者
14 :瞬間
19 :ゴールライン
21 :距離
30 :画像
40 :システム
41 :取得ユニット
42 :制御ユニット
43 :表示ユニット
44 :第1のカメラ
45 :第2のカメラ
46 :時間測定ユニット
47 :画面