【実施例】
【0072】
実施例1.一般式1のシクロブチル(S)−2−{[(2R,3R,4R,5R)−5−(3,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−3−ヒドロキシ−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロパノエートのプロドラッグ、ならびにその立体異性体01.1および1.2のための合成プロトコール(スキーム1)。
【0073】
【化16】
【0074】
ジクロロメタン(300ml)中のN−Boc−L−アラニン(4:15.5g、81.9mmol)の溶液に、DCC(16.9g、81.9mmol)を0℃で添加し、5分後、シクロブタノール(3:5.6g、78.0mmol)およびDMAP(2.0g、16.4mmol)で添加した。混合物をそのまま室温で一晩撹拌し、真空中で蒸発させ、残留物を酢酸エチル(300ml)で処理した。残留物をろ過して分離し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液をクエン酸の5%溶液(2×100ml)、NaHCO
3飽和溶液(2×100ml)、およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で蒸発させ、19.6g(98%)の(S)−シクロブチル2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート(5)を白色の粉末として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6)δ 7.22 (d, J=7.2 Hz, 0.85H), 6.87 (m, 0.15H), 4.89 (p, J=7.2 Hz, 1H), 3.94 (m, 1H), 2.26 (m, 2H), 1.98 (m, 2H), 1.74 (m, 1H), 1.59 (m, 1H), 1.38 (s, 7.5H), 1.34 (brs, 1.5H), 1.22 (d, J=7.2Hz, 3H)。
【0075】
ジオキサン(50ml)中の化合物5(19.6g、80.6mmol)の溶液に、ジオキサン中のHCl(230ml、3M)を添加し、混合物をそのまま一晩撹拌し、真空中で蒸発させた。残留物をエーテル(400ml)で処理し、一晩撹拌した。残留物をろ過して分離し、エーテルで洗浄し、真空中で乾燥させて、14.1g(97%)の(S)−シクロブチル2−アミノ−プロパノエート塩酸塩(6)を白色の粉末として得た。
1H NMR(400MHz, DMSO-d
6)δ8.56 (brs, 3H), 5.00 (p, J=7.6 Hz, 1H), 4.02 (q, J=7.2 Hz, 1H), 2.31 (m, 2H), 2.07 (m, 2H), 1.78 (m, 1H), 1.62 (m, 1H), 1.41 (d, J=7.2 Hz, 3H)。
【0076】
ジクロロリン酸フェニル(16.9g、80.2mmol)を、ジクロロメタン(214ml)中の化合物6(14.4g、80.2mmol)の溶液に添加した。混合物を−75〜70℃に冷却し、ジクロロメタン(16ml)中のトリエチルアミン(16.2g、160.4mmol)の溶液を、温度を−75〜70℃に維持しながら一滴ずつ添加した。混合物を−70℃で30分撹拌し、次いで−20℃に加熱した。ジクロロメタン(105ml)中のペンタフルオロフェノール(14.6g、79.4mmol)の溶液を−20〜10℃で添加し、次いでジクロロメタン(8ml)中のトリエチルアミン(8.1g、80.2mmol)の溶液を一滴ずつ添加し、混合物をそのまま室温で一晩撹拌した。混合物を真空中で蒸発させ、酢酸エチル(500ml)および水(500ml)を添加し、有機層を分離し、5%NaHCO
3溶液、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(200ml、6:1)を残留物に添加し、混合物をそのまま一晩撹拌させた。得られた残留物をろ過して分離し、6:1のヘキサン/酢酸エチル混合物(50ml)で洗浄し、風乾させ、16.7gのシクロブチル(S)−2−((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(2)を得た。
【0077】
得られた生成物(2)をヘキサン/酢酸エチル(4:1)混合物(500ml)から再結晶させて、13.8g(37%)のシクロブチル(S)−2−((S)−(ペルフルオロフェノキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(2.1)を白色のばらばらの粉末として得た。
1H NMR (300MHz, DMSO-d
6)δ 7.42 (m, 2H), 7.24 (m, 3H), 6.87 (dd, J
1=14.1 Hz, J
2=10.2 Hz, 1H), 4.87 (p, J=7.5 Hz, 1H), 3.94 (m, 1H), 2.23 (m, 2H), 1.94 (m, 2H), 1.71 (m, 1H), 1.58 (m, 1H), 1.27 (d, J=7.2 Hz, 3H)。式2.1の化合物の再結晶中にヘキサン/酢酸エチルの混合物(6:1)で洗浄した後に残った全溶液を真空中で蒸発させ、ヘキサンから3回再結晶させて、シクロブチル(S)−2−((R)−(ペルフルオロフェノキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(2.2)を白色のばらばらの粉末として得た。
1H NMR(300MHz, DMSO-d
6)δ7.42 (m, 2H), 7.26 (m, 3H), 6.85 (dd, J
1=13.8 Hz, J
2=10.2 Hz, 1H), 4.88 (p, J=7.5 Hz, 1H), 3.95 (m, 1H), 2.24 (m, 2H), 1.93 (m, 2H), 1.72 (m, 1H), 1.59 (m, 1H), 1.28 (d, J=6.9 Hz, 3H)。
【0078】
THF(165ml)中のtert−ブチル(2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−3−イル炭酸塩(7:5g、13.9mmol)の溶液に、THF(31.3ml、31.3mmol)中のtert−ブチルマグネシウムクロリドの1M溶液を、アルゴン下、0℃で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。THF(30ml)中の式2.1の化合物の溶液(7.8g、16/7mmol)を、シリンジを使用して0〜5℃で添加し、混合物をアルゴン下で24時間撹拌した。メタノール(10ml)の添加のとき、混合物を真空中で蒸発させた。残留物を500mlの酢酸エチル中に溶解させ、クエン酸の5%溶液、NaHCO
3の5%溶液で洗浄した、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。残留物を、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチル(1:2)を使用するシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけて、5.89g(66%)のシクロブチル(S)−2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−3−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(8.1)を無色の凝固した発泡体のような外観で得た。LC-MS (ESI) 642 (M+H)
+。
【0079】
同様に、シクロブチル(S)−2−((((2R,3R,4R,5R)−3−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(8)を、中間体7および2から開始して調製し(収量:52%、LC-MS (ESI) 642 (M+H)
+)、シクロブチル(S)−2−((R)−(((2R,3R,4R,5R)−3−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(8.2)を、中間体7および2.2から開始して調製した(収量:59%、LC-MS (ESI) 642 (M+H)
+)。
【0080】
ジクロロメタン(60ml)中の式8.1の化合物(4.45g、6.9mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(60ml)を0℃で添加した。混合物を室温で15時間撹拌し、真空中で蒸発させ、250mlのDCM中に溶解させ、300mlの5%NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で蒸発させ、酢酸エチルおよびメチル−tert−ブチルエーテル(1:1)の混合物から再結晶させ、2.7g(71%)のシクロブチル(S)−2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−3−ヒドロキシ−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(1.1)を白色の結晶質として得た。LC-MS (ESI) 542 (M+H)
+。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6 )δ 11.51 (brs, 1H), 7.56 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.23 (m, 2H), 7.19 (m, 1H), 6.03 (m, 2H), 5.84 (d, J=6.8 Hz, 1H), 5.55 (dd, J
1=8.0 Hz, J
2=1.2 Hz, 1H), 4.85 (p, J=7.2 Hz, 1H), 4.37 (m, 1H), 4.27 (m, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.83 (m, 2H), 2.23 (m, 2H), 1.95 (m, 2H), 1.71 (m, 1H), 1.56 (m, 1H), 1.25 (d, J=22.8 Hz, 3H), 1.23 (d, J=6.8 Hz, 3H)。
【0081】
様々な溶媒からの式1.1のプロドラッグの再結晶により、多結晶または結晶形態が生じる。したがって、酢酸エチルとメチル−tert−ブチルエーテルとの混合物(1:1)、エタノール、酢酸エチル、および酢酸と水との混合物からの再結晶により、a=28.1056(8)A、b=16.8998(4)A、およびc=5.25380(12)Aの単位格子パラメーターを有する斜方晶相、ならびにa=16.2770(6)A、b=16.9117(8)A、c=5.20429(15)A、およびβ=117.822(2)°の単位格子パラメーターを有する単斜晶相を本質的に含む多結晶形態のプロドラッグ1.1を得た。
【0082】
ジメチルスルホキシドと水との混合物からの式1.1のプロドラッグの再結晶により、a=28.1056(8)A、b=16.8998(4)A、およびc=5.25380(12)Aの単位格子パラメーターを有する斜方晶相からなる白色の結晶質を得た。
【0083】
結晶形態および多結晶形態は、pH2およびpH7で、0.18から0.25mg/mlに変化させた様々な溶媒からの再結晶の後に、類似の溶解性値を有する。例外は、ジメチルスルホキシドからの再結晶から得られた多結晶のサンプルであり、その溶解性は、よりわずかに高く、0.63からの0.67mg/mlに変化している(表1)。
【0084】
【表1】
【0085】
同様に、シクロブチル(S)−2−((((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−3−ヒドロキシ−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(1)(収量:58%;LC-MS (ESI) 542 (M+H)
+、およびシクロブチル(S)−2−((R)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−3−ヒドロキシ−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(1.2)(収量:64%;LC-MS (ESI) 542 (M+H)
+。
1H NMR (300MHz, DMSO-d
6)δ 11.53 (brs, 1H), 7.56 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.19 (m, 3H), 6.08 (m, 2H), 5.91 (d, J=6.3 Hz, 1H), 5.57 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.85 (p, J=7.5 Hz, 1H), 4.41 (m, 1H), 4.27 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 3.79 (m, 2H), 2.23 (m, 2H), 1.94 (m, 2H), 1.70 (m, 1H), 1.56 (m, 1H), 1.24 (d, J=23.4 Hz, 3H), 1.21 (d, J=6.0 Hz, 3H)を調製した。
【0086】
実施例2.式A2のシクロプロピル(S)−2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−3−ヒドロキシ−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエートのプロドラッグのための合成プロトコール(スキーム2)。
【0087】
【化17】
【0088】
シクロプロピルアミン(9:4.06ml、58.8mmol)およびBoc−L−アラニン(22.2g、58.8mmol)を250mlのクロロホルム中に溶解させ、亜硝酸イソアミル(7.9ml、58.8mmol)を氷で冷却しながら添加した。混合物を冷却しながら16時間撹拌し、乾燥するまで蒸発させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(1:8の酢酸エチル:ヘキサンで溶出)にかけて、7.68g(57%)の式10のシクロプロピルエステルと式11のアリルエーテルとの比率1:4の混合物(
1H NMRデータに基づく)を得た。得られたエステル10とエーテル11との混合物を、120mlのアセトニトリル中に溶解させ、その後すぐにトリフェニルホスフィン(446mg、1.7mmol)およびPd(PPh
3)
4(984mg、0.85mmol)をアルゴン下で添加した。溶液を氷で冷却し、アセトニトリル(30ml)中のピロリジン(2.49g、35mmol)の溶液で希釈した。アルゴン下で混合物を0〜4℃で16時間撹拌し、乾燥するまで蒸発させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(1:8の酢酸エチル:ヘキサンで溶出)にかけて、1.38gの(S)−シクロプロピル2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート(15)を得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz)δ 5.04 (br.s., 1H), 4.26 (m, 1H), 4.19 (m, 1H), 1.46 (с, 9H), 1.37 (d, J=7.2 Hz, 3H), 0.74 (m, 4H)。
【0089】
10mlのジオキサン中の式12の化合物(3.5g、15.3mmol)の溶液に、20mlのジオキサン中の3MのHCl溶液を添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、乾燥するまで蒸発させて、2.53gの(S)−シクロプロピル2−アミノ−プロパノエート塩酸塩(13)を得た。
1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz)δ 8,65 (br.s., 3H), 4,19 (m, 1H), 3,99 (к, J=6.9 Hz, 1H), 1.39 (d, J=6.9 Hz, 3H), 0.73 (m, 4H)。
【0090】
−70℃に冷却した50mlのジクロロメタン中の式13の化合物((2.53g、15.3mmol)およびジクロロリン酸フェニル(3.23g、15.3mmol)の溶液に、10mlのジクロロメタン中のトリエチルアミン(4.26ml、30.6mmol)の溶液を一滴ずつ添加した。次いで反応混合物の温度を−10℃に上昇させ、事前に調製した15mlのジクロロメタン中のペンタフルオロフェノール(2.82g、15.3mmol)およびトリエチルアミン(2.13ml、15.3mmol)の混合物を一滴ずつ添加した。添加が完了したら、反応混合物を室温で12時間撹拌し、次いで蒸発させ、残留物を、50mlのベンゼンで処理した。残留物をろ過して分離し、15mlのベンゼンで洗浄した。ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させた。1:4の酢酸エチル:ヘキサンの混合物を物質1g当たり8mlの速度で残留物に添加し、得られた混合物を16時間力強く撹拌した。残留物をろ過して分離し、1:4の酢酸エチル:ヘキサンの混合物から再結晶させ、1.02g(14%)の(S)−シクロプロピル2−((S)−(ペルフルオロフェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(14)を得た。LC-MS (ESI) 452 (M+H)
+。
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz)δ 7.38 (m, 2H), 7.26 (m, 3H), 4.7 (m, 1H), 3.96 (m, 1H), 1.46 (d, J=7.2 Hz, 3H), 0.74 (m, 4H)。
【0091】
25mlの氷で冷却した乾燥THF中のtert−ブチル(2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−3−イル炭酸塩(820mg、1.85mmol)の溶液に、THF(4ml、0.4mmol)中のt−BuMgClの1M溶液を一滴ずつ添加した。冷却を終わらせ、反応混合物を室温で0.5時間撹拌し、次いで氷で再度冷却し、THF中の式14の化合物(1.02g、2.18mmol)の溶液を一滴ずつ添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、次いで飽和塩化アンモニウム溶液で処理した。有機相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過して、約1.16gの(S)−シクロプロピル2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−3−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(15)を得て、これを次の段階にそのまま使用した。LC-MS (ESI) 628 (M+H)
+。
【0092】
20mlのジクロロメタン中の式15の化合物(約1.16g、1.85mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(20ml)を氷で冷却しながら添加した。反応混合物を3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をジクロロメタン中に溶解させ、水で希釈し、炭酸水素ナトリウムで中和した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)にかけ、酢酸エチル:MTBEの混合物から再結晶させ、505mgの式A2の(S)−シクロプロピル2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−3−ヒドロキシ−4−メチル−4−フルオロ−テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)−(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(52%)を得た。LC-MS (ESI) 528 (M+H)
+。
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz)δ 11.24 (b.s., 1H), 7.56 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.20 (m, 3H), 6.05 (m, 2H), 5.86 (m, 1H), 5.54 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.36 (m, 1H), 4.23 (m, 1H), 4.02 (m, 2H), 3.82 (m, 2H), 1.25 (d, J=22.2 Hz, 3H), 1.21 (d, J=6.6 Hz, 3H), 0.66 (m, 2H), 0.57 (m, 2H)。
【0093】
実施例3.錠剤の形態の医薬組成物の調製
デンプン(500mg)、すりつぶしたラクトース(800mg)、タルク(200mg)、および1500mgの式1.1のプロドラッグを一緒に混合し、棒状にプレスした。得られた棒状物を顆粒状に粉砕し、篩にかけて、14〜16メッシュの顆粒を収集した。このようにして得られた顆粒を、好適な形態を有するそれぞれ重さ400または800mgの錠剤に成形した。
【0094】
実施例4.カプセルの形態の医薬組成物の調製
式1.1のプロドラッグをラクトース粉末と1:1の比率で慎重に混合した。得られた粉末状の混合物を、好適なサイズを有するゼラチンカプセルに、各カプセル中に200または400mgのいずれかで充填した。
【0095】
実施例5.筋肉内、腹膜内、または皮下注射のための組成物の形態の医薬組成物の調製
式1.1のプロドラッグ(500mg)を、クロロブタノール(300ml)、プロピレングリコール(2ml)、および注射可能な水と混合した。得られた溶液をろ過し、5mlアンプルに入れ、シールした。
【0096】
実施例6.式1.1およびA2のプロドラッグならびにソバルディ(登録商標)に関する抗HCV活性および細胞傷害性の評価
プロドラッグを含む試験された組成物の抗ウイルス活性を、HCVレプリコンで安定してトランスフェクトされたHuh7ヒト肝細胞癌細胞株を使用して評価した。完全培養培地(1×DMEM、セルグロ(Cellgro);カタログ番号10−013−CV)中の細胞懸濁液を、細胞7500個/ウェルの最終密度で96−ウェルプレート(50μl/ウェル)に移した。試験したプロドラッグの連続希釈液を、完全培地中の20nMから開始して11の濃度点と3倍の増加量での新しい200倍の汎用のDMSO溶液から調製し、2連で使用した。細胞をプレーティングしてから最短で4時間後、50μlのプロドラッグ連続希釈液を、各ウェルに添加した。最終的なプロドラッグ濃度は、10nMから0.1pMまで変動し、DMSOの濃度は0.5%であった。細胞を含むプレートを、加湿した5%CO
2下で、37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション完了後、プレートをさかさまにして培地を除去し、それを慎重に振盪した。100μlの1:1のアセトン:メタノール溶液を用いて1分間にわたり細胞を固定し、リン酸緩衝液(PBS)で3回洗浄し、PBS中の10%ウシ胎児血清(FBS)(150μl/ウェル)を使用して室温で1時間ブロックした。細胞をPBSで3回洗浄し、アフィニティーバイオリージェント(Affinity BioReagents)(カタログ番号MA1−080)を使用して、抗NS5B HCV抗体(100μl/ウェル)と共に37℃で2時間インキュベートし、10%FBS−PBSで全溶液(1mg/ml)を1:4000の比率で希釈した。細胞をPBSで3回洗浄し、各プレートにつきクエン酸/リン酸緩衝液(12ml)中に溶解させた1つのOPDタブレットを使用してOPD溶液(100μl/ウェル)により展開し、そこに、暗所で、室温で30分間、5μlの30%H
2O
2を添加した。2NのH
2SO
4(100μl/ウェル)によって反応を止め、多機能リーダーVictor
3V1420(パーキンエルマー(Perkin Elmer))を使用してOD490を測定した。試験したプロドラッグのEC
50値を、GraphPad Prizmソフトウェアを使用してプロットした活性曲線から測定した。新規の式1.1のプロドラッグは、1b(gT1b)HCV遺伝子型に対して、EC
50=15.0〜27.0nMおよびEC
90=128.0nMを有し;ソバルディ(登録商標)は、EC
50=45〜170nMおよびEC
90=590nMを有し;式A1のシクロヘキシルエステルは、EC
90=250.0nMを有し;式A2のシクロプロピルエステルは、EC
90=73.0nMおよびEC
90=410.0nM(表1а)を有する。結果として、新規の式1.1のプロドラッグの活性は、ソバルディ(登録商標)の活性の3倍より高く、式A1の化合物の活性の2倍であり、式A2の化合物の活性より3倍高い。
【0097】
【表1a】
【0098】
試験したプロドラッグを含む組成物の細胞傷害性を、同じ細胞株Huh7で、ATPLiteキット(パーキンエルマー、米国ボストン)を製造元の説明書に従って使用して、同時に評価した。完全培養培地(1×DMEM、セルグロ);カタログ番号10−013−CV)中の細胞懸濁液を、細胞7500個/ウェルの最終密度で、黒色の壁と透明な底を有する96−ウェルプレートに移した(50μl/ウェル)。細胞をプレーティングしてから18時間後、薬物連続希釈液(50μl/ウェル)を添加した。細胞を含むプレートを、加湿した5%CO
2雰囲気中で、37℃で4日インキュベートした。次いで細胞をPBS(200μl/ウェル)で2回洗浄し、溶解緩衝液(50μl/ウェル)を添加することによって溶解させた。全ての試薬をATPLiteキットから採用した。振盪機で5分撹拌した後、基質を添加した(50μl/ウェル)。追加の5分のインキュベーション後、プレートを暗所で10分間維持し、多機能リーダーVictor
3V1420(パーキンエルマー)を使用してウェル中の発光を測定した。試験したプロドラッグのCC
50値を、GraphPad Prizmソフトウェアを使用してプロットした細胞傷害性曲線から測定した。特定には、新規の式1.1のプロドラッグに関して、細胞傷害性はCC
50>100μM(表1a)であり、治療域(治療指数TI=EC
50/CC
50)は、TI>6000.0であることが見出された。
【0099】
実施例7.化合物の動態学的溶解性の評価。
方法の原理。試験した化合物をDMSO中に溶解させて、10mM濃度にし、次いで水性溶媒(リン酸緩衝液、水、または異なるpH値の万能緩衝液)中に注ぎ、濃度を200μMに下げた。得られた溶液を96−ウェルフィルタープレート(ミリポア(Millipore)のマルチスクリーン溶解性フィルタープレート(MultiScreen Solubility Filter Plate))に入れ、振盪機で、室温で1時間インキュベートし、残留物を真空中でろ過して分離した。分光光度計で、化合物の吸収スペクトルを、240〜400nmの範囲で、10nmの増加量で記録した。溶解性の定量的な推測のために、40%アセトニトリルを含む標準溶液(0〜200μM)の検量線を使用した。推測された濃度の範囲は3〜200μMであった。試験手順を2連で実行した。
【0100】
較正標準の調製。較正標準を、40%アセトニトリルを含む緩衝液で希釈したDMSO中の50倍ストック溶液から調製し、これを添加して、較正サンプル中の試験した化合物の十分な溶解を確認した。0、3.125、12.5、50、100、および200μMの濃度を有する6つの標準サンプルを、UV96−ウェルプレートのウェル中で、4μlの対応するDMSO中の50×ストック溶液を196μlの40%アセトニトリルを含む緩衝液に添加することによって調製した。全てのポイントにおけるDMSOの濃度は一定であり、2%(v/v)に等しかった。
【0101】
検量線をプロットするために、UVプレートの光学スペクトルを、250〜400nmの波長範囲で、10nmの増加量で記録した。各化合物のスペクトルデータに基づいて、以下の基準を満たす波長を選択した:
−最小化合物濃度について、OD>0.1(AU);
−最大化合物濃度について、OD<2.0。
【0102】
各化合物につき、選択された波長におけるODで検量線を濃度の関数としてプロットした。
化合物の動態学的溶解性の評価。溶解性を、マルチスクリーン溶解性(ミリポア社)フィルタープレートで以下のように評価した:
・マルチスクリーン溶解性フィルタープレートの各ウェルに、196μlの緩衝液(アセトニトリル非含有)および4μlのDMSO中の10mM化合物または4μlのDMSO(ブランクマトリックスのため)を添加した。振盪機(400rpm)でプレートを室温で1時間インキュベートした。
【0103】
・得られた溶液を、真空(10インチHg)を用いてフィルタープレートでろ過して、U型の底を有するポリプロピレンプレートに分離した。
・U型の底を有するプレートから、ろ液(120μl/ウェル)を新しいUVプレートに移し、そこにアセトニトリル(80μl/ウェル)を添加した。
【0104】
・各化合物につき、得られた溶液の予め選択された波長に対する光学密度を測定した。
計算。ろ液中の最終的な化合物濃度を以下の通りコンピューターで計算した:
C
filtrate=(ろ液のOD
λ−ブランクのOD
λ)/傾き×1.67。
【0105】
式中、
ろ液のOD
λは、選択された波長でのろ液の光学密度であり;
ブランクのOD
λは、ブランクマトリックスのODであり;
傾きは、検量線の勾配であり;
1.67は、アセトニトリルで希釈したろ液の希釈係数である。
【0106】
この発見は、表1に示される。
実施例8.プロドラッグサンプルのX線粉末相分析
全ての回折パターンを、ピーカブー式の設定で、銅陽極X線チューブ、およびGe(111)モノクロメーター(CuKo^)、およびLynxEye位置検出型検出器を備えた、ブルカーのD8アドバンス・バリオ(Advance Vario)回折計で記録した。ショット範囲は、サンプル5では3〜90°26であり、他のサンプルでは5.7〜90°26であり、増加量は0.01°26であった。ブルカーのTopas5ソフトウェア[ブルカーTOPAS5使用者マニュアル−カールスルーエ、ドイツ:ブルカーAXS社(Bruker AXS GmbH)、2015]を使用して分析を行った。
【0107】
酢酸エチルとメチル−tert−ブチルエーテルとの混合物(1:1)、エタノール、酢酸エチル、および酢酸と水との混合物からの式1.1の化合物の再結晶により得られたサンプルは、多結晶形態を有していた。これらのサンプルのX線粉末相分析から、それらの定性的な相構造の類似性およびそれらの相関係における有意ではない差が解明された。サンプルは、以下の単位格子パラメーター:a=28.1056(8)A、b=16.8998(4)A、およびc=5.25380(12)Aを有する斜方晶相を含んでいた。系統的な消滅分析から、P2
12
12
1の空間群を仮定することが可能である。2495.45(11)A
3の単位格子体積は、特許請求された組成物およびZ’=1に対応する。またサンプルは、以下の単位格子パラメーター:a=16.2770(6)A、b=16.9117(8)A、c=5.20429(15)A、β=117.822(2)°を有する単斜晶相も含む。系統的な消滅分析から、P2
1の空間群を仮定することが可能である。1266.98(9)A
3の単位格子体積は、特許請求された組成物およびZ’=1に対応する。積分ピーク強度の比較に基づく相関係の評価は、単斜晶相の含量が30から50%に変動していることを示唆する。
【0108】
ジメチルスルホキシドと水との混合物からの式1.1の化合物の再結晶により得られたサンプルは、結晶形態の白色物質である。X線粉末分析データによれば、前記形態のサンプルは、単一相であり、以下の単位格子パラメーター:a=28.1056(8)A、b=16.8998(4)A、c=5.25380(12)Aを有する斜方晶相からなる。系統的な消滅分析から、P2
12
12
1の空間群を仮定することが可能である。2495.45(11)A
3の単位格子体積は、特許請求された組成物およびZ’=1に対応する。
【0109】
実施例9.式1.1のプロドラッグを含む組成物の生物学的なマトリックスにおける安定性の評価
式1.1のプロドラッグ(試験した化合物)を含む最初の組成物を、DMSO中10mMの濃度で調製した。前記組成物から、100倍の使用溶液を、1:1の体積比のアセトニトリル:水の混合物中100μMの濃度で調製した。
【0110】
a)S9画分における安定性。反応混合物を、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4、BD Gentest)で250μlの合計最終容量で調製し、1mMのNADPH四ナトリウム塩(AppliChem)、7mMのグルコース−6−リン酸ナトリウム塩(シグマ)、1.5U/mlのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(シグマ)、3.3mMのMgCl
2(シグマ)、5mMのウリジン−5−二リン酸塩−グルクロン酸三ナトリウム塩(UDPGluA、シグマ)、および1μMの試験した化合物(これらは最終濃度である)を入れた。ヒト肝臓S9画分(BD Gentest)の懸濁液を添加することによって代謝反応を開始させたところ、タンパク質の最終濃度は1mg/mlであった。Vortemp56振盪機において400rpmで撹拌しながら、反応混合物を37℃でインキュベートした。特定のインターバル(0、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間)の後、30μlのサンプルを採取し、採取したサンプルに内部標準を含む冷たいアセトニトリル(180μl)を添加することによって反応を止めた。タンパク質を氷上に15分置いた。次いでサンプルを3000rpmで10分遠心分離し、分析のために上清(150μl)をサンプリングした。インキュベーションを2連で実行し、各サンプルを2回測定した。
【0111】
b)人工胃および腸液中での安定性。最終濃度1μMの式1.1のプロドラッグを含む試験した組成物を、人工胃液(0.7%v/vのHCl中0.2%NaCl)および人工腸液(0.05MのKH
2PO
4、pH6.75)中でインキュベートした。Vortemp56振盪インキュベーター中、37℃で、300回転/分の速度で撹拌しながらインキュベーションを実行した。特定のインターバル(0、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間)の後、30μlのサンプルを採取し、採取したサンプルに内部標準を含む冷たいアセトニトリル(180μl)を添加することによって反応を止めた。次いでサンプルを3000回転/分で10分遠心分離し、分析のために上清(150μl)をサンプリングした。インキュベーションを2連で実行し、各サンプルを2回測定した。
【0112】
c)血漿中の安定性。1μMの最終濃度の試験した化合物をプールしたヒト血漿中でインキュベートした(イノベーティブリサーチ(Innovative Research))。Vortemp56振盪インキュベーター中、37℃で、300回転/分の速度で撹拌しながらインキュベーションを実行した。特定のインターバル(0、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間)の後、30μlのサンプルを採取し、採取したサンプルに内部標準を含む冷たいアセトニトリル(180μl)を添加することによって反応を止めた。次いでサンプルを3000回転/分で10分遠心分離し、分析のために上清(150μl)をサンプリングした。インキュベーションを2連で実行し、各サンプルを2回測定した。
【0113】
サンプル分析。試験したプロドラッグそれぞれにつき開発したHPLC−MS/MS技術を使用してサンプルを分析した。ここでクロマトグラフシステム1290インフィニティII(Infinity II)(アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies))をタンデム質量分析計QTRAP5500(AB Sciex)と組み合わせた。質量分光分析検出のための条件を開発するとき、アセトニトリル−水の混合物(1:1)中の試験した化合物の溶液を、100ng/mlの濃度で、シリンジポンプを使用して質量分析計に直接注入し、エレクトロスプレーイオン化をポジティブイオンモードで行った。総イオン電流モード(MS1)でのスキャニングは、各化合物につき分子状のイオンの同定を可能にし、ベースの生成物イオンをMS2モードで記録した。次いで、最大感度を達成するために、MS/MS技術をMRMモードで最適化した。定量的なクロマトグラム処理において、最も強いMRM移動を分析物および内部標準に使用した。水中0.1%ギ酸およびアセトニトリル中0.1%ギ酸からなる移動相中におけるYMC Triart C18カラム(50×2mm、1.9μm)での直線状勾配溶出クロマトグラフィーを用いて分離を行った。内部標準としてトルブタミド(フルカ(Fluka))を使用した。
【0114】
コンピューターによる計算。生物学的なマトリックス中でインキュベートする間の、抗ウイルス性組成物における試験したプロドラッグの消滅の速度論から、半減期(T
1/2)を見出した。コンピューターによる計算は、内部標準シグナルに正規化した、試験サンプル中の化合物ごとのクロマトグラフピーク面積の値に基づいてなされた。logで正規化したクロマトグラフピーク面積の時間に対する直線的な依存関係から、消滅速度定数を計算した(kは、直線部分の傾きである)。次いで半減期が、T
1/2=0.693/kであることを見出した。式1.1のプロドラッグ、式A1の化合物、およびソバルディ(登録商標)は、ヒト胃液中(T
1/2SGF=12.7〜17時間)、ヒト腸液中(T
1/2SIF>20時間)、およびヒト血漿中(T
1/2HPL>24時間)で同等の安定性を有していたことが具体的に発見された(表2)。同時に、式1.1のプロドラッグは、より高活発でヒト肝臓ミクロソームS9画分によって代謝され、T
1/2HS9=0.05時間の半減期を有するが、そのプロトタイプであるソバルディ(登録商標)は、T
1/2HS9=0.57時間を有し、式A1のシクロヘキシルエステルは、T
1/2HS9=1.4時間を有し(表2)、これは、式1.1のプロドラッグが、ソバルディ(登録商標)より11倍速く、式A1の化合物より28倍速くヒト肝臓ミクロソームS9画分で代謝されることを意味する。
【0115】
【表2】
【0116】
実施例10.ラット肝臓における式1.1のプロドラッグおよびソバルディ(登録商標)を含む組成物の薬物動態(PK)研究
ラットへの投与のための式1.1のプロドラッグおよびソバルディ(登録商標)を含む組成物の調製
試験した組成物を50mg/kgの用量で投与した。この目的を達成するために、組成物を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の0.5%溶液中、式1.1のプロドラッグまたはソバルディ(登録商標)を5.0mg/mlの濃度で調製して、そこに以下のようにして5%エタノールを添加した。式1.1のプロドラッグまたはソバルディ(登録商標)の重さを量った部分に、適切な量のHPMCを添加し、混合物を乳鉢で乾式粉砕し、その後、適量の蒸留水中5%エタノールを一部ずつ徐々に添加し、混合物を慎重に撹拌して、胃内投与に好適な懸濁液を得た。
【0117】
式1.1のプロドラッグおよびソバルディ(登録商標)を含む組成物の動物への投与。血漿および肝臓サンプルの調製。スプラギー・ダーレー(Sprague Dawley)ラットで研究を行った。ラットを、選択されたタイムポイント(1、2、4、6、8、10、12、16、および24時間)に基づき6つのグループに分割した。ラットの体重を量り、所定体積の式1.1のプロドラッグまたはソバルディ(登録商標)を含む組成物を、フィーディングチューブを介して胃内投与した。特定のグループの動物への投与間のインターバル中に、肝臓および血液のサンプルを採取した。投与してから適切な期間がたった後、ラットをCO
2吸入によって安楽死させた。安楽死の直後、動物を迅速に切開し、その肝臓の上葉を切り取り、瞬間的に液体窒素中に入れた。次いで凍結した肝臓断片を、液体窒素で冷却したラベルを付けた試験管に移した。実験の最後までサンプルを液体窒素中で維持し、次いで−80℃の超低温冷凍庫に入れた。
【0118】
サンプルの調製。重さ約1gの肝臓サンプルを、液体窒素で冷却しながら乳鉢で粉砕した。得られた粉末に、3倍体積のメタノールおよびEDTAを含む70%メタノールを注ぎ、オムニビーズラプター24(Omni Bead Ruptor)ホモジナイザーを使用して、6.3m/秒の速度で、45秒で2回(10秒のインターバルを入れて)ホモジナイズした。このようにして得られたホモジネート360μlに、PSI−7409およびH027−4261(または実験サンプルのケースではメタノール)を含む10倍標準溶液40μlおよび内部標準溶液(5−ブロモウリジン三リン酸塩)100μlを25ng/mlの濃度で添加した。撹拌し遠心分離した後、400μlの上清を、メタノール−水の混合物(1:1)中1%ギ酸溶液400μlで希釈した。次いで、ウォーターズ(Waters)のオアシスワックス(Oasis WAX)カートリッジを使用して固相抽出を実行した。得られた生成物をメタノール中5%のアンモニア溶液800μlで溶出させ、溶出液を蒸発させ、メタノール200μl中に再溶解させた。
【0119】
HPLC−MS/MS分析条件。HPLC−MS/MS技術を使用してサンプルを分析した。ここでHPLCシステムであるアジレント1290インフィニティIIをAB Sciex QTrap 5500質量分析計と組み合わせた。サーモハイパーカーボ(Thermo Hypercarb)カラム(50×3mm、5μm)で分離を行った。0.5%アンモニウムを含む25mM酢酸アンモニウム溶液を、移動相A(MPA)として使用し、0.5%アンモニウムを含む水−イソプロパノール−アセトニトリルの混合物(1:1:3)中の25mM酢酸アンモニウム溶液を、移動相B(MPB)として使用した。勾配モード:5%MPBを0〜0.3分;50%MPBを3〜3.4分;5%MPBを3.6〜4.5分で分離を実行した。PSI−7409およびH027−4261をMRMモードで記録したところ、イオン移動はそれぞれ499/159および410/150であった。
【0120】
薬物動態分析。「肝臓濃度−時間」データの薬物動態分析を、非コンパートメント技術によって、フェニックス(Phoenix)(商標)WinNonlin(登録商標)6.3(ファーサイト社(Pharsight Corp.))およびGraphPad Prizmソフトウェアを使用して実行した。以下の薬物動態パラメーター:肝臓中の最大濃度(C
max)およびその達成時間(T
max)、半減期(T
1/2)、およびPK曲線下面積(AUC
0−t、AUC
0−inf)をコンピューターで計算した。表3に結果を示す。表3からわかるように、ラット肝臓における式1.1のプロドラッグの代謝の結果生じる三リン酸塩PSI−7409の濃度およびAUC
24hは、それぞれC
max=3224.0ng/gおよびAUC
24h=30487.0ng・時間/gであるが、類似の代謝を示すソバルディ(登録商標)は、C
max=1934.0ng/gおよびAUC
24h=16796.0ng・時間/gを有し、式A1のシクロヘキシルエステルは、C
max=557ng/gおよびAUC
24h=6484.0ng・時間/gを有する(表3)。これは、新規の式1.1のプロドラッグは、その望ましい三リン酸塩PSI−7409(薬物)への肝臓代謝において、ソバルディ(登録商標)と比較してほぼ2倍、式A1のシクロヘキシルエステルと比較して4.7倍、より有効であることを示唆する。
【0121】
【表3】