(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
実施の形態
図1は、本実施形態に係る注文管理システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、注文管理システム1は、注文管理サーバ(注文管理装置)10と、注文受付端末20と、キッチンモニター(調理支援端末)30を含んでいる。注文管理サーバ10と、注文受付端末20およびキッチンモニター30は、通信ネットワークNを介して接続される。通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。また、注文受付端末20は複数含まれていてもよい。
【0013】
本実施形態では、注文管理システム1は、来店した利用客をテーブルに案内した後、接客係が注文を受けて注文内容を厨房の調理係に伝え、料理が出来たら接客係がテーブルまで料理を運ぶ、という流れで料理を提供する飲食店等で使用される。また、本実施形態では、注文管理サーバ10は1つの飲食店における注文を管理するが、注文管理サーバ10は、複数の飲食店で用いられる注文受付端末20およびキッチンモニター30と通信することで、各店舗における注文を管理するようにしてもよい。
【0014】
注文管理サーバ10は、飲食店の接客係が注文受付端末20を介して入力する利用客の注文情報を管理する。注文管理サーバ10は、汎用的なコンピュータであり、1台のコンピュータで構成されていてもよいし、通信ネットワークN上に分散する複数のコンピュータから構成されていてもよい。注文管理サーバ10は、制御装置(着手期限算出部、注文情報表示部)11と、外部記憶装置12を備えている。制御装置11は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。制御装置11は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。
【0015】
外部記憶装置12は、ハードディスクドライブ等である。外部記憶装置12は、注文管理テーブルDB1を備えている。注文管理テーブルDB1には、接客係が利用客から受け付けた注文内容が登録されている。具体的には、例えば1レコードに、注文番号「010」、テーブル番号「01」、メニュー名(商品)「皿うどん」、数量「2」、ステータス「未済」、注文受付時刻「13:00」、着手期限「13:15」、完了時刻「13:25」などの情報が記録されている。ステータスは、注文が受け付けられてから調理が完了するまでは「未済」であり、調理が完了すると「完了」となる。注文受付時刻は、接客係が注文を受けて注文受付端末20に注文を入力した時刻である。完了時刻は、調理が完了し、調理係がキッチンモニター30を操作して完了の操作を行った時刻である。
【0016】
注文受付端末20は、接客係が利用客からの注文を入力する際に使用する携帯端末であり、専用端末の他、タブレット端末、スマートフォン、ノートPC(Personal Computer)など、通信ネットワークNを介して注文管理サーバ10とデータの授受が可能なあらゆる端末装置を利用することができる。
図1に示すように、注文受付端末20は、プロセッサ201、各種操作ボタンやタッチパネルなどの入力装置202、液晶ディスプレイなどの表示装置203、通信ネットワークNに接続するための通信インタフェース204、ディスクドライブまたは半導体メモリ(ROM、RAMなど)などの記憶装置205を備えている。記憶装置205には、オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、各種データ等が格納される。また、記憶装置205には、プロセッサ201が実行することにより、注文管理サーバ10と連携して注文管理を行うためのコンピュータプログラムが記憶されている。
【0017】
キッチンモニター30は、厨房の調理係が注文の内容や調理の進捗状況を確認したり、調理が完了した際にステータスを更新したりする際に使用する端末である。キッチンモニター30は、専用端末の他、タブレット端末、スマートフォン、ノートPC(Personal Computer)など、通信ネットワークNを介して注文管理サーバ10とデータの授受が可能なあらゆる端末装置を利用することができる。
図1に示すように、キッチンモニター30は、プロセッサ301、各種操作ボタンやタッチパネルなどの入力装置302、液晶ディスプレイなどの表示装置303、通信ネットワークNに接続するための通信インタフェース304、ディスクドライブまたは半導体メモリ(ROM、RAMなど)などの記憶装置305を備えている。記憶装置305には、オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、各種データ等が格納される。また、記憶装置305には、プロセッサ301が実行することにより、注文管理サーバ10と連携して注文管理を行うためのコンピュータプログラムが記憶されている。表示装置303には、注文管理テーブルDB1に記憶されている注文内容が表示される。
【0018】
次に、本実施形態による注文受付から料理提供完了までの流れについて、
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0019】
まず、接客係が、注文受付端末20を操作して利用客からの注文を入力する(ステップS101)。例えば、入力装置202のタッチパネルを操作してテーブル番号ボタンを入力し、さらに、タッチパネルに表示されたメニューボタンを操作して料理(メニュー名)と、数量を入力する。
【0020】
入力された内容は、注文管理サーバ10に送信される(ステップS102)。注文管理サーバ10は、受信した注文内容を注文管理テーブルDB1に登録する(ステップS103)。例えば、テーブル02において、「生ビール中ジョッキ、数量:3」、「枝豆、数量:1」、「牡蠣フライ、数量:1」を受け付けた場合、注文管理テーブルDB1に、(注文番号「001」、テーブル番号「02」、メニュー名「生ビール中ジョッキ」、数量「3」、ステータス「未済」、注文受付時刻「18:00」、着手期限「−」、完了時刻「−」)、(注文番号「002」、テーブル番号「02」、メニュー名「枝豆」、数量「1」、ステータス「未済」、注文受付時刻「18:00」、着手期限「−」、完了時刻「−」)、(注文番号「003」、テーブル番号「02」、メニュー名「牡蠣フライ」、数量「1」、ステータス「未済」、注文受付時刻「18:00」、着手期限「−」、完了時刻「−」)、の3レコードが登録される。
【0021】
次に、注文管理サーバ10は、新規に登録された注文について、それぞれ着手期限を算出し、注文管理テーブルDB1に登録する(ステップS104)。着手期限は、各メニューについて、注文を受けてから調理完了までにかかった時間(提供時間)の過去データに基づいて算出する。算出方法の詳細については後述する。
【0022】
注文管理サーバ10は、注文管理テーブルDB1に登録されている注文の情報をキッチンモニター30に表示する(ステップS105)。
図3は、キッチンモニター30に表示される注文内容表示画面を例示する図である。
図3に示すように、テーブル毎の注文内容(メニューと数量)が一覧で表示されている。また、既に調理が完了しているメニューについては、メニュー名の左に「完了」と表示されている。
【0023】
また、各テーブルの注文は、着手期限が早い順に表示されている。さらに、着手期限までの残り時間に応じて、着手を急ぐべき注文(図中、メニュー名の左に「◎」と表示されているもの。例えば、着手期限を経過している注文)、そろそろ着手すべき注文(図中、メニュー名の左に「○」と表示されているもの。例えば、着手期限まで5分以内の注文)、着手を急がなくてもよい注文(図中、メニュー名の左に何も表示されていないもの。例えば、着手期限まで5分以上の注文)が表示分けされている。
【0024】
例えば、
図3の例では、テーブル07の注文については、1番目に表示されている「イカしゅうまい」は既に着手期限が過ぎており、「◎」が表示されている。また、2番目に表示されている「辛子れんこん」は着手期限まで5分を切っているため「○」が表示されており、「だし巻き卵」は着手期限まで5分以上あるため何も表示されていない。
【0025】
厨房の調理係は、キッチンモニター30を見ながら、「◎」の付いたメニューがある場合にはそれらに優先して着手する。「◎」の付いたメニューが完了したら、「○」が付いているメニュー、続いて何も付いていないメニューというように、上から順に着手していくことが推奨される。なお、注文内容表示画面の表示方法は
図3に示すものに限定されない。例えば、「◎」や「○」を表示する代わりに、メニュー名を色分けして表示するようにしてもよい。また、完了したメニューについては、画面から削除するようにしてもよい。
【0026】
調理係は、1つのメニューの調理が完了したら(ステップS106:YES)。キッチンモニター30のタッチパネルを操作して、当該メニューを「完了」のステータスに更新する操作を行う(ステップS107)。
【0027】
注文管理サーバ10は、キッチンモニター30でステータスの更新操作が行われた注文について、注文管理テーブルDB1該当レコードのステータスを「完了」に更新する。また、完了時刻に、ステータスの更新時刻を登録する(ステップS108)。
【0028】
次に、本実施形態によるメニューの着手期限の算出方法について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
注文管理サーバ10は、あるメニュー(例えば、だし巻き卵)について、注文管理テーブルDB1に登録されている過去データから、当該メニューの注文レコードを抽出する(ステップS201)。
【0030】
注文管理サーバ10は、抽出した各レコードの注文受付時刻から完了時刻までの時間(提供時間)を算出する(ステップS202)。
図5は、過去データから算出した提供時間の分布を例示する図である。
【0031】
注文管理サーバ10は、提供時間が例えば分布の上位80%(第1割合)に含まれるもののうち最も長い時間(
図5のT1)を許容範囲の提供時間(調理終了期限)とする(ステップS203)。調理終了期限は、過去のデータから考えて、比較的繁忙な時間帯であっても実現可能な平均的な提供時間であり、また、利用客からクレームが出ないと考えられる許容範囲内の提供時間である。
【0032】
次に、注文管理サーバ10は、提供時間が例えば上位25%(第2割合)に含まれるもののうち最も長い時間(
図5のT2)をベストエフォートの提供時間とする(ステップS204)。ベストエフォートの提供時間は、過去のデータから考えてかなり早く料理を提供できた際の提供時間であり、注文受付後、即座に調理に着手できた場合の提供時間であると考えられる。すなわち、ベストエフォートの提供時間は、実際に調理にかかった時間(着手してから完了までにかかった時間)とほぼ等しいと考えられる。
【0033】
注文管理サーバ10は、調理終了期限からベストエフォートの提供時間を差し引いた値に基づいて着手期限を算出する(ステップS205)。すなわち、本実施形態では、注文を受けてから料理を提供するまでにかけてもよい許容範囲の提供時間(調理終了期限)を設定し、調理自体にかかると予想される時間(ベストエフォートの提供時間)を考慮して、着手期限を逆算している。
【0034】
例えば、だし巻き卵については調理終了期限が30分、ベストエフォートの提供時間が15分であれば、だし巻き卵の着手期限は注文から15分後である。一方、トマトサラダについては調理終了期限が30分、ベストエフォートの提供時間が5分であれば、トマトサラダの着手期限は注文から25分後である。すなわち、例えば、17:30にだし巻き卵とトマトサラダの注文を受けた場合、だし巻き卵の着手期限は17:45、トマトサラダの着手期限は17:55なので、キッチンモニター30には、だし巻き卵の方が上に表示される。このように、調理係はだし巻き卵の調理に先に着手することが推奨される。特に混雑時などには、トマトサラダのようなすぐに提供できるもの(調理時間が短いもの)から先に着手しがちであるが、そのように進めていると、だし巻き卵のようなある程度調理に時間のかかるメニューが大幅に遅れる原因となる。本実施形態のように、調理時間を考慮して着手期限を逆算し、着手期限の近いメニューから順に表示することで、特定のメニューが大幅に遅れ、利用客からクレームが出ることを避けることができる。
【0035】
なお、調理終了期限と、ベストエフォートの提供時間については、各メニューについてあらかじめ算出して登録しておくことにより、注文を受けた際には、登録されている値を用いて即座に着手期限を算出することがきる。また、調理終了期限とベストエフォートの提供時間は定期的(例えば、1か月に1度)に見直し、更新するようにしてもよい。
【0036】
また、過去データを用いて算出された調理終了期限とベストエフォートの提供時間は、実際の店舗の混雑状況や人手に応じて、管理者等が調整できるようにしてもよい。また、使用する過去データの期間を指定できるようにしてもよい(例えば、1年以内のデータ)。さらに、他の支店等の過去データも用いることができるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、注文を受けた時点で、各メニューの着手期限を算出し、キッチンモニター30には、着手期限の到来が早い順に表示するようにした。これにより、調理係は、すべてのメニューについて、極端な遅れが生じないように、適切なタイミングで調理に着手することができる。また、着手期限を過ぎているメニューや、着手期限が間近に迫ったメニューなどが分かるように表示することにより、時間配分や人員の割り当てなどを適切に行うことができる。
【0038】
また、着手期限は、注文受付から完了までにかかった提供時間の過去データを利用して算出するようにした。注文受付時刻は、接客係が注文端末20を操作して注文を入力する際に自動的に登録される時刻であり、完了時刻は、調理係がキッチンモニター30を操作して調理完了の操作をした際に自動的に登録される時刻である。このように、通常の作業で必ず行われる操作によって記録されるデータを元に着手期限を算出できるので、従業者にデータ収集のための余計な負担をかけずに、確実にデータを収集することができる。
【0039】
また、着手期限は、例えば、過去のデータから得られた許容範囲の提供時間(調理終了期限)から、ベストエフォートの提供時間(調理自体に要した時間とほぼ同じ)を差し引いた時間から求めることができる。これにより、利用客からクレームが出ない許容範囲の時間内に調理が完了するように逆算した着手期限を提示することができる。
【0040】
許容範囲の提供時間は、過去データのうち時間がかかりすぎと考えられるデータを除いたもの(例えば上位80%のデータ)の中で、最も長い時間とすることができる。また、ベストエフォートの提供時間は、過去データのうちかなり早く対応できた際のデータ(例えば上位25%のデータ)の中で最も長い時間とすることができる。このように設定することで、注文受付時刻と完了時刻のデータを集めるだけで、効率的に精度よく着手期限を算出することができる。
【0041】
なお、上記の実施形態では、完了時刻は、調理係が調理完了のタイミングでキッチンモニター30を操作した時刻としているが、接客係が完成した料理をテーブルに運んだタイミングを採用するようにしてもよい。この場合には、接客係が、料理を運んだ際に注文受付端末20を操作して当該メニューを「完了」のステータスに更新する操作を行う。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。