(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車両に搭載される照明装置に対する小型化の要求に応えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第一の態様は、車両に搭載される照明装置であって、
光源と、
前記光源の点消灯を制御可能に構成されている制御回路と、
前記光源と前記制御回路を支持している基板と、
前記光源から出射された光が通過する透光カバーと結合されるように構成されており、前記基板を支持しており、貫通穴を有している導電性のハウジングと、
前記ハウジングの外側に配置された第一部分、および少なくとも一部が前記貫通穴内に配置された絶縁性の第二部分を備えている給電コネクタと、
前記第二部分に保持されており、かつ前記基板に結合されて前記制御回路と電気的に接続されている導電端子と、
を備えている。
【0007】
上記の構成においては、基板が光源と制御回路の双方を支持している。発光に伴って発熱する光源から制御回路を保護するために、光源を支持する部材と制御回路を支持する部材を別にすることが一般的な技術的アプローチである。しかしながら、上記の構成においては、導電性のハウジングが、基板を支持している。導電性材料は比較的高い熱伝導率を有する傾向にある。また、ハウジングは、光源から出射された光が通過する透光カバーと結合される構成を有することにより大きな放熱面積を確保できる。換言すると、ハウジング自体をヒートシンクとして利用できる。したがって、光源と制御回路が基板を共有することにより、照明装置に対する小型化の要求に応えつつも、光源から発生した熱を効率よく放散できる。
【0008】
また、上記の構成においては、給電コネクタは、第一部分と第二部分を備えている。第一部分は、ハウジングの外側に配置されている。第二部分の少なくとも一部は、絶縁性であり、ハウジングの貫通穴内に配置されている。第二部分に保持された導電端子は、基板に結合され、制御回路と電気的に接続されている。これにより、基板と給電コネクタを電気的に接続する配線を省略できる。したがって、このような構成によっても、車両に搭載される照明装置に対する小型化の要求に応えることができる。
【0009】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記ハウジングは、複数の放熱板が一体成型されたワンピースの金属部材であり、
前記ハウジングは、前記灯室に連通する通気部を有している。
【0010】
このような構成によれば、ハウジングのヒートシンクとしての機能をより向上できる。したがって、車両に搭載される照明装置に対する小型化の要求に応えつつ、光源の発光に伴い発生する熱の放散性をより向上できる。熱の放散性を高めるためには、複数の放熱板の数が多い方がよい。小型化のために限られた領域内に多くの放熱板を形成することにより各放熱板が薄くなっても、ハウジングが金属製のワンピース部材であるため、各放熱板の剛性を確保できる。したがって、上記の効果に加え、外力による放熱構造の変形や破損の可能性を抑制できる。
【0011】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記給電コネクタの一部は、前記基板に対して機械的に締結されている。
【0012】
このような構成によれば、給電コネクタが基板により堅固に支持される。これにより、例えば、給電コネクタの第二部分がハウジングの貫通穴内に配置されるときなどに第二部分に対して加わる外力から、導電端子と基板の結合を保護できる。したがって、車両に搭載される照明装置に対する小型化の要求に応えつつ、導電端子と制御回路の接続信頼性を向上できる。
【0013】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記第二部分と前記貫通穴の内壁の間に配置された封止部材を備えている。
【0014】
このような構成によれば、第二部分と貫通穴の内壁の間に生じる隙間が、封止部材により封止される。これにより、水分や埃が貫通穴を通じて灯室内に侵入することを防止できる。したがって、車両に搭載される照明装置に対する小型化の要求に応えつつ、灯室内の構成を水分や埃から保護できる。
【0015】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記貫通穴の内壁は、当該貫通穴の延びる方向に対して傾斜している。
【0016】
このような構成によれば、ハウジングの成形時に使用される金型の型抜きが容易になる。これにより、歩留まりが向上し、製造コストの抑制に寄与する。したがって、車両に搭載される照明装置の小型化に対する要求に応えつつ、製造コストを抑制できる。特に上記の封止部材を併用することにより、傾斜する貫通穴の内壁に対向する第二部分の形状に要求される寸法精度が緩和され、製造コストをさらに抑制できる。
【0017】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記光源から出射された光の少なくとも一部を通過させる投影レンズと、
前記投影レンズを保持し、前記光源に対する位置が固定されたホルダと、
前記投影レンズと前記ホルダの一方に設けられ、前記投影レンズの光軸と交差する向きに延びる軸部と、
前記投影レンズと前記ホルダの他方に設けられ、回動を許容するように前記軸部を保持する軸保持部と、
前記軸部を中心に前記ホルダに対し前記投影レンズを回動させる調整機構と、
を備えている。
【0018】
このような構成によれば、ホルダに保持された投影レンズを直接回動させて投影レンズの光軸の基準位置調整を行なえる。投影レンズは、ハウジングと比較して小さく軽い部品であるため、光軸調整に係る機構の大型化を回避しつつ、投影レンズの姿勢を効率的に変更できる。したがって、投影レンズとその光軸調整を行なう機構を備えつつも、車両に搭載される照明装置に対する小型化の要求に応えることができる。
【0019】
この場合、上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記調整機構は、
その一部が前記ハウジングの外側で回転操作可能とされているスクリューと、
前記スクリューの回転を、前記軸部を中心に前記投影レンズを回動させる力に変換するジョイントと、
を備えており、
前記スクリューは、前記ハウジングの一部を貫通して延びている。
【0020】
このような構成によれば、ハウジングにより区画される灯室内の空きスペースを効率的に利用して調整機構を配置できる。したがって、投影レンズとその光軸調整を行なう機構を備えつつも、車両に搭載される照明装置に対するさらなる小型化の要求に応えることができる。
【0021】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第二の態様は、車両に搭載される照明装置であって、
光源と、
投影レンズと、
前記投影レンズを支持している第一支持部材と、
前記第一支持部材を支持している第二支持部材と、
前記光源、前記投影レンズ、前記第一支持部材、および前記第二支持部材を収容する灯室の一部を区画するハウジングと、
前記第一支持部材に設けられ、前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクタと、
前記第一支持部材と前記第二支持部材の一方に設けられ、前記投影レンズの光軸と交差する向きに延びている軸部と、
前記第一支持部材と前記第二支持部材の他方に設けられ、回動を許容するように前記軸部を保持している軸保持部と、
前記第一支持部材を、前記第二支持部材に対して前記軸部を中心に回動させる調整機構と、
を備えている。
【0022】
灯室内に投影レンズを備える構成の場合、製品組立時における誤差や車両への組付け精度のばらつきに起因して、投影レンズの光軸の基準位置に所定の仕様からの誤差が生ずることがある。このような場合、所望の配光パターンが得られないことがあるため、誤差を解消するための調整機構を設けたいというニーズがある。しかしながら、調整機構を追加的に設けることにより、照明装置の大型化が避けられない。
【0023】
投影レンズの光軸の基準位置を変更するためには、最終的に投影レンズの位置あるいは姿勢を変更する必要がある。このような変更を可能にするための機構をどのように配置するかが考慮される。例えば、灯室を区画するハウジング自体の姿勢を変化させる構成が考えられる。発明者らは、投影レンズと当該投影レンズを支持する部材の一方に軸部を、他方に当該軸部の回動を許容する軸保持部を設け、調整機構の操作により投影レンズを回動させる構成の着想を得た。投影レンズは、ハウジングと比較して小さく軽い部品であるため、調整に係る機構の大型化を回避しつつ、投影レンズの姿勢を効率的に変更できる。
【0024】
しかしながら、この場合、投影レンズの回動に伴って、投影レンズの光軸とリフレクタの相対位置が変化する。発明者らは、投影レンズの光軸とリフレクタの相対位置の変化が、形成される配光パターンの周縁部における歪みの原因になりうることを突き止めた。
【0025】
発明者らは、さらなる検討の結果、投影レンズが支持される第一支持部材と当該第一支持部材が支持される第二支持部材の一方に軸部を、他方に当該軸部の回動を許容する軸保持部を設け、リフレクタを第一支持部材に設ける構成の着想を得た。回動されるのは、ハウジングと比較して小さく軽い部品である投影レンズを支持する第一支持部材である。よって、この場合においても、回動を実現するための機構が大掛かりになることを引き続き抑制できる。これにより、投影レンズとその光軸調整を行なう調整機構を備えつつも、照明装置の大型化を抑制できる。さらに、調整機構による投影レンズの光軸の変位に追随するようにリフレクタが変位するため、両者の相対位置が変化しない。したがって、形成される配光パターンの歪みを抑制できる。
【0026】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
調整機構は、
その一部が前記ハウジングの外側において回転操作可能とされているスクリューと、
前記スクリューの回転を、前記軸部を中心に前記第一支持部材を回動させる力に変換するジョイントと、
を備えている。
【0027】
この場合、上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記ジョイントは、前記第一支持部材と一体に成形されている。
【0028】
このような構成によれば、照明装置の大型化を抑制できるのみならず、部品点数を削減できる。第一支持部材とジョイントを別体として構成する場合は、照明装置の大型化を抑制できるのみならず、各部材の成形容易性を向上できる。
【0029】
上記の照明装置は、前記光源の点消灯を制御する回路を含む回路基板を備えるように構成されうる。
この場合、当該照明装置は、以下のように構成されうる。
前記スクリューは、前記ハウジングの一部を貫通して延びており、
前記回路基板の少なくとも一部は、前記灯室内において前記スクリューが延びている空間に配置されている。
【0030】
このような構成によれば、スクリューを設けることにより必要となる空間を有効に活用し、ハウジングの大型化を抑制できる。したがって、投影レンズとその光軸調整を行なう調整機構を備えつつも、照明装置の大型化をより抑制できる。
【0031】
この場合、上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記スクリューは、車両の前後方向に延びており、
前記回路基板は、その主面の少なくとも一部が前記スクリューに対向するように配置されていることが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、ハウジングの寸法を特に上下左右方向について小さくできる。照明装置に対する小型化の要求は、前後方向についてよりも上下方向についての方が厳しいことが一般的である。したがって、投影レンズとその光軸調整を行なう調整機構を備えつつも、そのような小型化の要求に対応できる。
【0033】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記光源の光出射面は、前記投影レンズに対向している。
【0034】
このような構成によれば光源と投影レンズの距離を短くできる。したがって、投影レンズとその光軸調整を行なう調整機構を備えつつも、照明装置の大型化をより抑制できる。
【0035】
上記の照明装置は、以下のように構成されうる。
前記軸部は、第一軸部と第二軸部を含んでおり、
前記軸保持部は、前記第一軸部を保持する第一軸保持部と、前記第二軸部を保持する第二軸保持部を含んでおり、
前記第一軸部および前記第一軸保持部の第一組合せと、前記第二軸部および前記第二保持部の第二組合せの少なくとも一方は、当該組合せを構成する軸部と軸保持部の少なくとも一方が、前記投影レンズを前記光軸に沿う方向から見て当該投影レンズの外形の内側に配置されている。
【0036】
このような構成によれば、特に軸部の回動中心線に沿う方向について、照明装置の大型化をより抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
添付の図面を参照しつつ、本発明に係る実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。以降の説明に用いる「右」および「左」は、運転席から見た左右の方向を示している。
【0039】
図1は、一実施形態に係るフォグランプ1(照明装置の一例)を右前上方から見た外観を示す斜視図である。フォグランプ1は、ハウジング2と透光カバー3を備えている。
図2は、透光カバー3のみを断面視としたフォグランプ1を上方から見た状態を示している。透光カバー3は、ハウジング2に装着されて灯室4を区画している。換言すると、ハウジング2は、透光カバー3と結合されることにより灯室4を区画するように構成されている。ここで「結合」とは、係合、嵌合、接着、溶着などの手段を含む意味である。
【0040】
ハウジング2は、金属により形成されている。すなわち、ハウジング2は、導電性である。ハウジング2は、背板21と支持テーブル22を備えている。背板21は、車両への設置時において占有面積を最小限にするために円板形状を呈している。支持テーブル22は、背板21の前方に設けられており、灯室4内に収容されている。
【0041】
フォグランプ1は、投影レンズ5、レンズホルダ6、および光源ユニット7を備えている。投影レンズ5、レンズホルダ6、および光源ユニット7は、灯室4内に収容されている。
【0042】
図3は、
図1に示した状態から透光カバー3を取り外したフォグランプ1の一部を右前上方から見た斜視図である。
図4は、
図3に示した状態から投影レンズ5を取り外したフォグランプ1の一部を右前上方から見た斜視図である。
図5は、
図4に示した状態からレンズホルダ6を取り外したフォグランプ1の一部を右前上方から見た斜視図である。
【0043】
図5に示されるように、光源ユニット7は、基板71、光源72、および制御回路73を備えている。基板71は、ハウジング2の支持テーブル22の前面に装着されている。換言すると、ハウジング2は、基板71を支持している。光源72は、基板71の前面に配置されている。制御回路73は、基板71上に形成されている。制御回路73は、光源72の点消灯を制御するように構成されている。具体的には、制御回路73は、定電流制御回路または定電圧制御回路を含んでいる。すなわち、基板71は、光源72と制御回路73を支持している。
【0044】
光源72は、複数個の半導体発光素子により構成されている。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL素子などが挙げられる。発光素子の数は仕様に応じて適宜に定められる。また、光源72としてランプ光源(放電灯やハロゲンバルブなど)を用いてもよい。
【0045】
図6は、フォグランプ1の一部を左後下方から見た外観を示す斜視図である。フォグランプ1は、コネクタユニット8(給電コネクタの一例)を備えている。コネクタユニット8は、第一コネクタハウジング81を備えている。第一コネクタハウジング81は、ハウジング2の背板21の後方に配置されている。換言すると、第一コネクタハウジング81は、灯室4の外側に配置されている。第一コネクタハウジング81は、絶縁性の材料から形成されている。第一コネクタハウジング81は、一対の導電端子81aを備えている。一対の導電端子81aは、図示しない外部電源と電気的に接続されるように構成されている。例えば、一対の導電端子81aの一方は給電端子であり、他方は接地端子である。
【0046】
図7は、
図6に示した状態から第一コネクタハウジング81を取り外したフォグランプ1の一部を左後下方から見た斜視図である。コネクタユニット8は、第二コネクタハウジング82を備えている。
図8は、第二コネクタハウジング82の外観を右前下方から見た斜視図である。第二コネクタハウジング82は、接続部82a、端子保持部82b、および一対の導電端子82cを備えている。接続部82aと端子保持部82bは、絶縁性の材料から形成されている。一対の導電端子82cは、端子保持部82bに保持されている。例えば、一対の導電端子82cの一方は給電端子であり、他方は接地端子である。
【0047】
上記の構成を有するコネクタユニット8を光源ユニット7に装着する手順について説明する。
図9は、基板71を右後下方から見た斜視図である。基板71には、一対の端子穴71aが形成されている。一対の端子穴71aは、基板71を貫通している。次に、
図10に示されるように、基板71の背面に第二コネクタハウジング82が装着される。このとき、第二コネクタハウジング82における一対の導電端子82cが、一対の端子穴71aに挿入される。
【0048】
これにより、
図5に示されるように、一対の導電端子82cの先端は、基板71の前面より突出する。一対の導電端子82cにはんだ付けがなされることにより、一対の導電端子82cは、基板71に結合される。すなわち、第二コネクタハウジング82が基板71に対して固定される。また、一対の導電端子82cは、制御回路73と電気的に接続される。すなわち、一対の導電端子82cは、制御回路73を介して光源72と電気的に接続される。
【0049】
図11に示されるように、ハウジング2の背板21には、貫通穴23が形成されている。基板71に対して固定された第二コネクタハウジング82を、背板21の前方から貫通穴23に挿入することにより、
図7に示した状態が得られる。このとき、第二コネクタハウジング82の接続部82aは、背板21の後方に配置される。すなわち、接続部82a(給電コネクタの第一部分の一例)は、ハウジング2の外側に配置される。第二コネクタハウジング82の端子保持部82bの一部(給電コネクタの第二部分の一例)は、貫通穴23内に配置される。
【0050】
次に、
図6に示したように、第二コネクタハウジング82の後方から第一コネクタハウジング81が装着される。このとき、第一コネクタハウジング81が保持する一対の導電端子81aと第二コネクタハウジング82が保持する一対の導電端子82cが電気的に接続される。これにより、外部電源から光源72に至る給電経路が形成される。
【0051】
本実施形態においては、基板71が光源72と制御回路73の双方を支持している。発光に伴って発熱する光源から制御回路を保護するために、光源を支持する部材と制御回路を支持する部材を別にすることが一般的な技術的アプローチである。しかしながら、本実施形態においては、導電性のハウジング2が、基板71を支持している。導電性材料は比較的高い熱伝導率を有する傾向にある。また、ハウジング2は、光源72から出射された光が通過する透光カバー3と結合される構成を有することにより大きな放熱面積を確保できる。換言すると、ハウジング2自体をヒートシンクとして利用できる。したがって、光源72と制御回路73が基板71を共有することにより、フォグランプ1に対する小型化の要求に応えつつも、光源72から発生した熱を効率よく放散できる。
【0052】
また、本実施形態においては、給電用のコネクタユニット8は、絶縁性の第二コネクタハウジング82を備えている。第二コネクタハウジング82は、接続部82aと端子保持部82bを有している。接続部82aは、ハウジング2の外側に配置されている。端子保持部82bの一部は、ハウジング2の貫通穴23内に配置されている。端子保持部82bに保持された一対の導電端子82cは、基板71に結合され、制御回路73と電気的に接続されている。これにより、基板71とコネクタユニット8を電気的に接続する配線を省略できる。したがって、このような構成によっても、フォグランプ1に対する小型化の要求に応えることができる。
【0053】
なお、一対の導電端子82cを基板71と結合できれば、第二コネクタハウジング82の端子保持部82bの全体がハウジング2の貫通穴23内に配置されてもよい。
【0054】
図11に示されるように、ハウジング2は、複数の放熱板24を備えている。複数の放熱板24は、背板21の後面に設けられており、上下方向に延びている。すなわち、複数の放熱板24は、灯室4の外側に配置されている。複数の放熱板24と背板21は一体成型されている。すなわち、ハウジング2は、金属製のワンピース部材である。
【0055】
また、ハウジング2は、通気部25を有している。通気部25は、灯室4に連通するとともに、ハウジング2の後方へ開口する通気路を形成している。
図6に示されるように、ハウジング2は、通気性キャップ26を備えている。通気性キャップ26は、通気部25を覆うように装着される。これにより、通気部25を通じて水分や埃が灯室4に進入することを防止できる。
【0056】
このような構成によれば、ハウジング2のヒートシンクとしての機能をより向上できる。したがって、フォグランプ1に対する小型化の要求に応えつつ、光源72の発光に伴い発生する熱の放散性をより向上できる。熱の放散性を高めるためには、複数の放熱板24の数が多い方がよい。小型化のために限られた領域内に多くの放熱板24を形成することにより各放熱板24が薄くなっても、ハウジング2が金属製のワンピース部材であるため、各放熱板24の剛性を確保できる。したがって、上記の効果に加え、外力による放熱構造の変形や破損の可能性を抑制できる。
【0057】
図8に示されるように、第二コネクタハウジング82は、一対の係合突起82dを備えている。一対の係合突起82dは、端子保持部82bの先端部に形成されている。他方、
図9に示されるように、基板71は、一対の係合穴71bを有している。一対の係合穴71bは、基板71を貫通している。
【0058】
図10に示したように第二コネクタハウジング82が基板71に装着されると、
図5に示されるように、一対の係合突起82dが一対の係合穴71bと係合する。これにより、第二コネクタハウジング82(コネクタの一部の一例)は、基板71に対して機械的に締結される。
【0059】
このような構成によれば、第二コネクタハウジング82が基板71に装着された後(例えば、
図7に示したように、貫通穴23に接続部82aを通過させるとき)に第二コネクタハウジング82に対して加わる外力から一対の導電端子82cと基板71の結合を保護できる。したがって、フォグランプ1に対する小型化の要求に応えつつ、一対の導電端子82cと制御回路73の接続信頼性を向上できる。
【0060】
図12に示されるように、第二コネクタハウジング82が基板71に装着された後、封止部材83が端子保持部82bの周囲に装着されうる。封止部材83の例としては、弾性を有するOリングやガスケットが挙げられる。この場合、
図7に示したように端子保持部82bが貫通穴23内に配置された状態において、封止部材83は、端子保持部82bと貫通穴23の内壁23a(
図11参照)の間に配置される。
【0061】
このような構成によれば、端子保持部82bと貫通穴23の内壁23aの間に生じる隙間が、封止部材83により封止される。これにより、水分や埃が貫通穴23を通じて灯室4内に侵入することを防止できる。したがって、フォグランプ1に対する小型化の要求に応えつつ、灯室4内の構成を水分や埃から保護できる。
【0062】
図11に示されるように、ハウジング2の貫通穴23は、外側開口部23bと内側開口部23cを有している。外側開口部23bと内側開口部23cは、内壁23aにより接続されている。外側開口部23bは、背板21の背面、すなわち灯室4の外側に開口している。内側開口部23cは、背板21の前面、すなわち灯室4の内側に開口している。内側開口部23cは、外側開口部23bよりも大きい。すなわち、内壁23aは、貫通穴23の延びる方向に対して傾斜している。
【0063】
このような構成によれば、ハウジング2の成形時に使用される金型の型抜きが容易になる。これにより、歩留まりが向上し、製造コストの抑制に寄与する。したがって、フォグランプ1の小型化に対する要求に応えつつ、製造コストを抑制できる。特に
図12に示した封止部材83を併用することにより、傾斜する貫通穴23の内壁23aに対向する第二コネクタハウジング82の端子保持部82bの形状に要求される寸法精度が緩和され、製造コストをさらに抑制できる。
【0064】
ハウジング2を成形する金型の仕様に応じて、外側開口部23bが内側開口部23cより大きくなるように、貫通穴23の内壁23aが傾斜する構成とされうる。
【0065】
図4に示されるように、レンズホルダ6は、光源ユニット7の基板71の前面に固定されている。すなわち、レンズホルダ6は、光源72に対する位置が固定されている。
図3に示されるように、レンズホルダ6は、投影レンズ5を支持している。光源72から出射された光の少なくとも一部は、投影レンズ5を通過する。投影レンズ5を通過した光は、透光カバー3を通過して、フォグランプ1の前方を照明する。
【0066】
次に
図4と
図13を参照しつつ、投影レンズ5がレンズホルダ6に保持される構造について説明する。
図13は、投影レンズ5を左後下方から見た外観を示す斜視図である。
【0067】
図13に示されるように、投影レンズ5は、右軸部51と左軸部52を備えている。右軸部51は、投影レンズ5の右側部に配置されている。右軸部51は、半球形状を呈するように形成されており、球面が右方を向いている。左軸部52は、投影レンズ5の左側部に配置されている。左軸部52は、半球形状を呈するように形成されており、球面が左方を向いている。右軸部51と左軸部52の中心同士を結ぶ軸線Aは、投影レンズ5の光軸Bと直交する向きに延びている。すなわち、右軸部51と左軸部52は、投影レンズ5の光軸Bと交差する向きに延びている。
【0068】
図4に示されるように、レンズホルダ6は、右軸保持部61と左軸保持部62を備えている。右軸保持部61と左軸保持部62は、レンズホルダ6の前面に設けられている。
【0069】
右軸保持部61は、周壁61a、一対の突起61b、および湾曲受け面61cを備えている。周壁61aは、レンズホルダ6の前面より前方に突出し、半円弧状に延びている。当該半円弧は、左方に開いている。一対の突起61bの各々は、周壁61aの前端部より半円弧の内側へ向かってオーバーハングするように延びている。一対の突起61bの各々は後方へ幾らかの撓み変形が可能とされている。湾曲受け面61cは、周壁61aが描く半円弧の内側に配置され、一対の突起61bと対向している。湾曲受け面61cは、右軸部51の半球面に沿う形状を有している。
【0070】
左軸保持部62は、周壁62a、一対の突起62b、および湾曲受け面62cを備えている。周壁62aは、レンズホルダ6の前面より前方に突出し、半円弧状に延びている。当該半円弧は、右方に開いている。一対の突起62bの各々は、周壁62aの前端部より半円弧の内側へ向かってオーバーハングするように延びている。一対の突起62bの各々は後方へ幾らかの撓み変形が可能とされている。湾曲受け面62cは、周壁62aが描く半円弧の内側に配置され、一対の突起62bと対向している。同図においては一対の突起62bに隠れているが、湾曲受け面62cは、湾曲受け面61cと左右対称で、左軸部52の半球面に沿う形状を有している。
【0071】
上記のような構成を有する投影レンズ5とレンズホルダ6は、
図3に示されるように結合される。このとき、投影レンズ5の右軸部51は、レンズホルダ6の右軸保持部61に保持される。投影レンズ5の左軸部52は、レンズホルダ6の左軸保持部62に保持される。
【0072】
具体的には、右軸部51が右軸保持部61に押し付けられることにより、右軸部51が一対の突起61bを後方に変形させつつ、周壁61aに囲まれた領域に進入する。右軸部51の半球面の一部が湾曲受け面61cに接すると、一対の突起61bは元の位置に復帰し、右軸部51が前方へ抜けることを防止する。これにより、右軸部51は、周壁61aに囲まれた領域内で、
図13に示した軸線Aに直交する面内で回動可能とされる。
【0073】
同様に、左軸部52が左軸保持部62に押し付けられることにより、左軸部52が一対の突起62bを後方に変形させつつ、周壁62aに囲まれた領域に進入する。左軸部52の半球面の一部が湾曲受け面62cに接すると、一対の突起62bは元の位置に復帰し、左軸部52が前方へ抜けることを防止する。これにより、左軸部52は、周壁62aに囲まれた領域内で、
図13に示した軸線Aに直交する面内で回動可能とされる。
【0074】
図5と
図6に示されるように、フォグランプ1は、調整機構9を備えている。調整機構9は、ヘッド部91と軸部92を備えている。
図6に示されるように、ヘッド部91は、ハウジング2の背板21の後面における複数の放熱板24の下方に配置されている。すなわち、ヘッド部91は、ハウジング2の外側に配置されている。ヘッド部91は、所定の工具により回転操作可能とされている。軸部92は、背板21を貫通して灯室4内に延びている。軸部92の外周面にはネジ溝が形成されている。
【0075】
図13に示されるように、投影レンズ5は、連結部53とジョイント54を備えている。連結部53は、投影レンズ5の下部と一体成型されており、当該下部より下方に延びている。ジョイント54は、連結部53に装着されている。ジョイント54には貫通穴54aが形成されている。貫通穴54aの内周面にはネジ溝が形成されている。
【0076】
図3に示されるように、調整機構9の軸部92は、ジョイント54の貫通穴54aに挿入される。このとき、軸部92の外周面に形成されたネジ溝と貫通穴54aの内周面に形成されたネジ溝が螺合する。所定の工具により調整機構9のヘッド部91が回転操作されると、軸部92とジョイント54の螺合位置が変化する。これにより、ジョイント54が前後方向に変位する。
【0077】
図14Aから
図14Cは、調整機構9の動作に伴う投影レンズ5の動きを説明するための左側面図である。
図14Aは初期状態を示している。
【0078】
この状態から調整機構9のヘッド部91が後方から見て反時計回りに回転されると、ジョイント54は前方に変位する。これに伴い、投影レンズ5の連結部53が前方に押される。このとき、投影レンズ5の右軸部51と左軸部52が、それぞれレンズホルダ6の右軸保持部61と左軸保持部62内で左方から見て時計回りに回動する。投影レンズ5は、投影レンズ5に支持されているため、
図14Bに示されるように、投影レンズ5の光軸Bが上方に傾く。
【0079】
他方、調整機構9のヘッド部91が後方から見て時計回りに回転されると、ジョイント54は後方に変位する。これに伴い、投影レンズ5の連結部53が後方に引かれる。このとき、投影レンズ5の右軸部51と左軸部52が、それぞれレンズホルダ6の右軸保持部61と左軸保持部62内で左方から見て反時計回りに回動する。投影レンズ5は、投影レンズ5に支持されているため、
図14Cに示されるように、投影レンズ5の光軸Bが下方に傾く。
【0080】
すなわち、調整機構9のヘッド部91が回転操作されることにより軸部92が回転し、ジョイント54により軸部92の回転が投影レンズ5を回動させる力に変換される。これにより、調整機構9の回転操作を通じて、投影レンズ5の光軸Bの上下方向に係る基準位置が調節されうる。
【0081】
このような構成によれば、レンズホルダ6に保持された投影レンズ5を直接回動させて投影レンズ5の光軸Bの基準位置調整を行なえる。投影レンズ5は、ハウジング2と比較して小さく軽い部品であるため、光軸調整に係る機構の大型化を回避しつつ、投影レンズ5の姿勢を効率的に変更できる。したがって、投影レンズ5とその光軸調整を行なう機構を備えつつも、フォグランプ1に対する小型化の要求に応えることができる。
【0082】
図15は、一実施形態に係るフォグランプ101(照明装置の一例)を左前上方から見た外観を示す斜視図である。フォグランプ101は、ハウジング102と透光カバー103を備えている。
図16は、透光カバー103のみを断面視としたフォグランプ101を上方から見た状態を示している。透光カバー103は、ハウジング102に装着されて灯室104を区画している。
【0083】
ハウジング102は、背板102a、支持テーブル102b、および複数の放熱板102cを備えている。背板102aは、車両への設置時において占有面積を最小限にするために円板形状を呈している。支持テーブル102bは、背板102aの前方に設けられており、灯室104内に収容されている。複数の放熱板102cは、背板102aの後面に設けられており、上下方向に延びている。すなわち、複数の放熱板102cは、灯室104の外側に配置されている。背板102a、支持テーブル102b、および複数の放熱板102cは、金属などの熱伝導性の高い材料により一体成型されている。すなわち、ハウジング102は、灯室104の一部を区画するとともに、ヒートシンクを兼ねている。
【0084】
図2に示されるように、フォグランプ101は、投影レンズ105、第一支持部材106、第二支持部材107、および光源ユニット108を備えている。投影レンズ105、第一支持部材106、第二支持部材107、および光源ユニット108は、灯室104内に収容されている。
【0085】
図17は、
図1に示した状態から透光カバー103を取り外したフォグランプ101の一部を左前上方から見た斜視図である。
図18は、
図17に示した状態から投影レンズ105を取り外したフォグランプ101の一部を左前上方から見た斜視図である。
図19は、
図18に示した状態から第一支持部材106を取り外したフォグランプ101の一部を左前上方から見た斜視図である。
図20は、
図19に示した状態から第二支持部材107を取り外したフォグランプ101の一部を左前下方から見た斜視図である。
【0086】
図20に示されるように、光源ユニット108は、支持基板108a、光源108b、および第一コネクタ108cを備えている。支持基板108aは、ハウジング102の支持テーブル102bの前面に装着されている。光源108bと第一コネクタ108cは、支持基板108aの前面に配置されている。支持基板108aには図示しない回路配線が形成されており、光源108bと第一コネクタ108cを電気的に接続している。
【0087】
本実施形態においては、光源108bは複数個の半導体発光素子により構成されている。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL素子などが挙げられる。発光素子の数は仕様に応じて適宜に定められる。また、光源108bとしてランプ光源(放電灯やハロゲンバルブなど)を用いてもよい。
【0088】
光源ユニット108は、駆動回路基板108dと第二コネクタ108eをさらに備えている。駆動回路基板108dは、光源108bの点消灯を制御する光源駆動回路を備えている。第二コネクタ108eは、当該回路と電気的に接続されている。駆動回路基板108dは、ハウジング102の支持テーブル102bの下面に装着されている。
【0089】
図21は、フォグランプ101の一部を左後下方から見た外観を示す斜視図である。
図20と
図21に示されるように、フォグランプ101は、配線ユニット109を備えている。配線ユニット109は、外部コネクタ109a、第一内部コネクタ109b、第二内部コネクタ109c、第三内部コネクタ109d、第一接続線109e、第二接続線109f、および封止部材109gを備えている。
【0090】
外部コネクタ109aは、灯室104の外側に配置されている。外部コネクタ109aは、フォグランプ101が搭載される車両が備える電源または統合制御部と電力供給可能または通信可能に接続された相手側コネクタ(図示せず)と接続可能に構成されている。第一内部コネクタ109bは、第一接続線109eを介して外部コネクタ109aと通信可能に接続されている。第一内部コネクタ109bは、駆動回路基板108dに設けられた第二コネクタ108eに接続される。電源より供給された電力または統合制御部より送信された制御信号は、外部コネクタ109a、第一内部コネクタ109b、および第二コネクタ108eを介して、駆動回路基板108dが備える光源駆動回路に入力される。
【0091】
第一接続線109eは、封止部材109gを貫通して延びている。封止部材109gは、支持テーブル102bおよび複数の放熱板102cの下方において背板102aに形成された貫通孔に嵌入されている。
【0092】
第二内部コネクタ109cと第三内部コネクタ109dは、第二接続線109fを介して電力供給可能または通信可能に接続されている。第二内部コネクタ109cは、駆動回路基板108dに設けられた第二コネクタ108eに接続される。
図20に示されるように、第三内部コネクタ109dは、支持基板108aに設けられた第一コネクタ108cに接続される。駆動回路基板108dの光源駆動回路から出力された制御信号は、第二内部コネクタ109c、第三内部コネクタ109d、および第一コネクタ108cを介して、光源108bに入力される。これにより、光源108bが所望の点消灯動作を行なう。
【0093】
図19に示されるように、第二支持部材107は、光源ユニット108の支持基板108aの前面に固定されている。
図18に示されるように、第二支持部材107は、第一支持部材106を支持している。
図17に示されるように、第一支持部材106は、投影レンズ105を支持している。
【0094】
次に
図22と
図23を参照しつつ、第一支持部材106が第二支持部材107に支持される構造について説明する。
図22は、投影レンズ105を支持している第一支持部材106を左後下方から見た外観を示す斜視図である。投影レンズ105は、第一支持部材106の前部に固定される。すなわち、投影レンズ105と第一支持部材106の相対位置は変化しない。
図23は、第二支持部材107を左前下方から見た外観を示す斜視図である。
【0095】
図22に示されるように、第一支持部材106は、右軸部106aと左軸部106bを備えている。右軸部106aは、第一支持部材106の右側部に配置されている。右軸部106aは、半球形状を呈するように形成されており、球面が右方を向いている。左軸部106bは、第一支持部材106の左側部に配置されている。左軸部106bは、半球形状を呈するように形成されており、球面が左方を向いている。右軸部106aと左軸部106bの中心同士を結ぶ軸線Cは、投影レンズ105の光軸Dと直交する向きに延びている。すなわち、右軸部106aと左軸部106bは、投影レンズ105の光軸Dと交差するする向きに延びている。
【0096】
図23に示されるように、第二支持部材107は、右軸保持部107aと左軸保持部107bを備えている。右軸保持部107aと左軸保持部107bは、第二支持部材107の前面に設けられている。
【0097】
右軸保持部107aは、周壁107a1、一対の突起107a2、および湾曲受け面107a3を備えている。周壁107a1は、第二支持部材107の前面より前方に突出し、半円弧状に延びている。当該半円弧は、左方に開いている。一対の突起107a2の各々は、周壁107a1の前端部より半円弧の内側へ向かってオーバーハングするように延びている。一対の突起107a2の各々は後方へ幾らかの撓み変形が可能とされている。湾曲受け面107a3は、周壁107a1が描く半円弧の内側に配置され、一対の突起107a2と対向している。湾曲受け面107a3は、右軸部106aの半球面に沿う形状を有している。
【0098】
左軸保持部107bは、周壁107b1、一対の突起107b2、および湾曲受け面107b3を備えている。周壁107b1は、第二支持部材107の前面より前方に突出し、半円弧状に延びている。当該半円弧は、右方に開いている。一対の突起107b2の各々は、周壁107b1の前端部より半円弧の内側へ向かってオーバーハングするように延びている。一対の突起107b2の各々は後方へ幾らかの撓み変形が可能とされている。湾曲受け面107b3は、周壁107b1が描く半円弧の内側に配置され、一対の突起107b2と対向している。同図においては一対の突起107b2に隠れているが、湾曲受け面107b3は、湾曲受け面107a3と左右対称で、左軸部106bの半球面に沿う形状を有している。
【0099】
上記のような構成を有する第一支持部材106と第二支持部材107は、
図18に示されるように結合される。このとき、第一支持部材106の右軸部106aと左軸部106bは、それぞれ第二支持部材107の右軸保持部107aと左軸保持部107bに保持される。
【0100】
具体的には、右軸部106aが右軸保持部107aに押し付けられることにより、右軸部106aが一対の突起107a2を後方に変形させつつ、周壁107a1に囲まれた領域に進入する。右軸部106aの半球面の一部が湾曲受け面107a3に接すると、一対の突起107a2は元の位置に復帰し、右軸部106aが前方へ抜けることを防止する。これにより、右軸部106aは、周壁107a1に囲まれた領域内で、
図22に示した軸線Cに直交する面内で回動可能とされる。
【0101】
同様に、左軸部106bが左軸保持部107bに押し付けられることにより、左軸部106bが一対の突起107b2を後方に変形させつつ、周壁107b1に囲まれた領域に進入する。左軸部106bの半球面の一部が湾曲受け面107b3に接すると、一対の突起107b2は元の位置に復帰し、左軸部106bが前方へ抜けることを防止する。これにより、左軸部106bは、周壁107b1に囲まれた領域内で、
図22に示した軸線Cに直交する面内で回動可能とされる。
【0102】
図18と
図22に示されるように、第一支持部材106は、一対のリフレクタ106cを備えている。一対のリフレクタ106cは、光源ユニット108の光源108bから出射された光を投影レンズ105へ向けて反射する形状および配置とされている。リフレクタ106cにより反射された光の少なくとも一部は、投影レンズ105を通過する。投影レンズ105を通過した光は、透光カバー103を通過して、フォグランプ101の前方を照明する。
【0103】
図20と
図21に示されるように、フォグランプ101は、調整機構110を備えている。調整機構110は、ヘッド部110aと軸部110bを備えている。
図21に示されるように、ヘッド部110aは、ハウジング102の背板102aの後面における複数の放熱板102cの下方に配置されている。すなわち、ヘッド部110aは、ハウジング102の外側に配置されている。ヘッド部110aは、所定の工具により回転操作可能とされている。軸部110bは、背板102aを貫通して灯室104内に延びている。軸部110bの外周面にはネジ溝が形成されている。
【0104】
図22に示されるように、第一支持部材106は、連結部106dとジョイント106eを備えている。連結部106dは、第一支持部材106の下部と一体成型されており、当該下部より下方に延びている。ジョイント106eは、連結部106dに装着されている。ジョイント106eには貫通孔106e1が形成されている。貫通孔106e1の内周面にはネジ溝が形成されている。
【0105】
図18に示されるように、調整機構110の軸部110bは、ジョイント106eの貫通孔106e1に挿入される。このとき、軸部110bの外周面に形成されたネジ溝と貫通孔106e1の内周面に形成されたネジ溝が螺合する。所定の工具により調整機構110のヘッド部110aが回転操作されると、軸部110bとジョイント106eの螺合位置が変化し、ジョイント106eが前後方向に変位する。
【0106】
図24Aから
図24Cは、調整機構110の回転に伴う、投影レンズ105の動きを説明するための左側面図である。
図24Aは初期状態を示している。
【0107】
この状態から調整機構110のヘッド部110aが反時計回りに回転されると、ジョイント106eは前方に変位する。これに伴い、第一支持部材106の連結部106dが前方に押される。このとき、第一支持部材106の右軸部106aと左軸部106bが、それぞれ第二支持部材107の右軸保持部107aと左軸保持部107b内で左方から見て時計回りに回動する。投影レンズ105は、第一支持部材106に支持されているため、
図24Bに示されるように、投影レンズ105の光軸Dが上方に傾く。
【0108】
他方、調整機構110のヘッド部110aが時計回りに回転されると、ジョイント106eは後方に変位する。これに伴い、第一支持部材106の連結部106dが後方に引かれる。このとき、第一支持部材106の右軸部106aと左軸部106bが、それぞれ第二支持部材107の右軸保持部107aと左軸保持部107b内で左方から見て反時計回りに回動する。投影レンズ105は、第一支持部材106に支持されているため、
図24Cに示されるように、投影レンズ105の光軸Dが下方に傾く。
【0109】
すなわち、調整機構110のヘッド部110aが回転操作されることにより軸部110bが回転し、ジョイント106eにより軸部110bの回転が第一支持部材106を回動させる力に変換される。これにより、調整機構110の回転操作を通じて、投影レンズ105の光軸Dの上下方向に係る基準位置が調節されうる。
【0110】
投影レンズ105の光軸Dの基準位置を変更するためには、最終的に投影レンズ105の位置あるいは姿勢を変更する必要がある。このような変更を可能にする構成の例として、投影レンズ105に軸部を設け、第一支持部材106に当該軸部の回動を許容する軸保持部を設ける構成が考えられる。投影レンズ105は、ハウジング102と比較して小さく軽い部品であるため、光軸調整に係る機構の大型化を回避しつつ、投影レンズ105の姿勢を効率的に変更できるからである。
【0111】
しかしながら、この場合、投影レンズ105の回動に伴って、投影レンズ105の光軸Dとリフレクタ106cの相対位置が変化する。発明者らは、投影レンズ105の光軸Dとリフレクタ106cの相対位置の変化が、形成される配光パターンの周縁部における歪みの原因になりうることを突き止めた。
【0112】
本実施形態の構成によれば、投影レンズ105が支持される第一支持部材106に右軸部106aと左軸部106bが設けられ、第一支持部材106が支持される第二支持部材107に右軸保持部107aと左軸保持部107bが設けられている。回動されるのは、ハウジング102と比較して小さく軽い部品である投影レンズ105を支持する第一支持部材106である。よって、この場合においても、調整機構110が大掛かりになることを抑制できる。これにより、投影レンズ105とその光軸調整を行なう調整機構110を備えつつも、フォグランプ101の大型化を抑制できる。さらに、調整機構110の動作に応じて変位する投影レンズ105の光軸Dに追随するようにリフレクタ106cが変位するため、両者の相対位置が変化しない。したがって、形成される配光パターンの歪みを抑制できる。
【0113】
なお調整機構110は、必ずしもハウジング102の外側から操作可能なスクリューの態様であることを要しない。例えば、灯室104内に第一支持部材106と連結されたアクチュエータを設置し、当該アクチュエータにより第一支持部材106を第二支持部材107に対して回動させる構成としてもよい。この場合、アクチュエータを制御する信号は、配線ユニット109を通じて入力される構成とすればよい。
【0114】
図22に示されるように、本実施形態においては、ジョイント106eは、第一支持部材106と別体として成形されており、連結部106dに装着されている。しかしながら、ジョイント106eは、第一支持部材106の一部として一体成型されてもよい。この場合、部品点数を削減できる。本実施形態のように連結部106dとジョイント106eを別体として構成する場合は、各部材の成形容易性を向上できる。
【0115】
図19と
図20から明らかなように、光源駆動回路を備える駆動回路基板108dは、灯室104内において調整機構110が延びている空間に配置されている。
【0116】
このような構成によれば、調整機構110を設けることにより必要となる空間を有効に活用し、ハウジング102の大型化を抑制できる。したがって、投影レンズ105とその光軸調整を行なう調整機構110を備えつつも、フォグランプ101の大型化を抑制できる。
【0117】
特に本実施形態においては、駆動回路基板108dは、その主面が調整機構110に対向するように配置されている。
【0118】
このような構成によれば、ハウジング102の寸法を特に上下方向について小さくできる。フォグランプ101に対する小型化の要求は、前後方向についてよりも上下方向についての方が厳しいことが一般的である。したがって、投影レンズ105とその光軸調整を行なう調整機構110を備えつつも、そのような小型化の要求に対応できる。
【0119】
図25Aは、変形例に係る第一支持部材106Aを示す正面図である。
図25Bは、第一支持部材106Aを示す上面図である。上記実施形態に係る第一支持部材106と実質的に同一の機能を有する要素については、同一の参照番号が付与されている。
【0120】
第一支持部材106Aは、右腕部106fおよび左腕部106gを備えている。右腕部106fは、第一支持部材106Aの右側部から後方へ延びている。右軸部106a(第一軸部の一例)は、右腕部106fの後端部から右方に延びている。左腕部106gは、第一支持部材106Aの左側部から後方へ延びている。左軸部106b(第二軸部の一例)は、左腕部106gの後端部から左方に延びている。
【0121】
これらの図から明らかなように、第一支持部材106Aの左軸部106bは、投影レンズ105を光軸Dに沿う方向から見ると、当該投影レンズ105の外形の内側に配置されている。
【0122】
図26は、変形例に係る第二支持部材107Aを右上前方から見た外観を示す斜視図である。上記実施形態に係る第二支持部材107と実質的に同一の機能を有する要素については、同一の参照番号が付与されている。
【0123】
第二支持部材107Aは、右軸保持部107a(第一軸保持部の一例)と左軸保持部107b(第二軸保持部の一例)を備えている。右軸保持部107aは、右係合溝107a4と右係合孔107a5を備えている。右係合溝107a4は、前後方向に延び、前端が開放されている。右係合孔107a5は、右係合溝107a4の後端部に形成され、左右方向に延びる貫通孔である。左軸保持部107bは、左係合溝107b4と左係合孔107b5を備えている。左係合溝107b4は、前後方向に延び、前端が開放されている。左係合孔107b5は、左係合溝107b4の後端部に形成され、左右方向に延びる貫通孔である。右係合溝107a4と左係合溝107b4は対向している。右係合溝107a4の底面と左係合溝107b4の底面の間の距離は、第一支持部材106Aにおける右軸部106aの先端と左軸部106bの先端の間の距離よりも短い。
【0124】
上記のような構成を有する第一支持部材106Aと第二支持部材107Aは、
図27Aと
図27Bに示されるように結合される。
図27Aは正面図であり、
図27Bは上面図である。第一支持部材106Aの右軸部106aと左軸部106bが、それぞれ第二支持部材107Aにおける右係合溝107a4の前端と左係合溝107b4の前端から挿入される。前述の寸法関係により、第一支持部材106Aの右腕部106fと左腕部106gは、互いに接近するように内方へ撓む。この状態で右軸部106aと左軸部106bをそれぞれ右係合溝107a4と左係合溝107b4の後端まで押し込むと、右腕部106fと左腕部106gが元の形状に復帰し、右軸部106aと左軸部106bがそれぞれ右係合孔107a5と左係合孔107b5に係合する。これにより、第一支持部材106Aの右軸部106aと左軸部106bは、第二支持部材107Aの右軸保持部107aと左軸保持部107bにより、軸線Cを中心として回動可能に保持される。
【0125】
これらの図から明らかなように、第二支持部材107Aの左軸保持部107bは、投影レンズ105を光軸Dに沿う方向から見ると、当該投影レンズ105の外形の内側に配置されている。
【0126】
このような構成によれば、特に軸線Cに沿う方向について、フォグランプ101の大型化をより抑制できる。
【0127】
本変形例においては、組合せ(第二組合せの一例)を形成する第一支持部材106Aの左軸部106bと第二支持部材107Aの左軸保持部107bの双方が、投影レンズ105を光軸Dに沿う方向から見て当該投影レンズ105の外形の内側に配置されている。しかしながら、当該組合せを形成する左軸部106bと左軸保持部107bの一方(本例においては、内方に位置する左軸部106b)のみが投影レンズ105を光軸Dに沿う方向から見て当該投影レンズ105の外形の内側に配置されている構成とされうる。
【0128】
第一支持部材106Aの右軸部106aと第二支持部材107Aの右軸保持部107aの組合せ(第一組合せの一例)についても同様である。上記の構成に加えてあるいは代えて、当該組合せを形成する右軸部106aと右軸保持部107aの少なくとも一方が、投影レンズ105を光軸Dに沿う方向から見て当該投影レンズ105の外形の内側に配置されている構成とされうる。
【0129】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。また、等価物が本発明の技術的範囲に含まれることは明らかである。
【0130】
第一実施形態においては、右軸部51と左軸部52は、投影レンズ5に設けられ、右軸保持部61と左軸保持部62は、レンズホルダ6に設けられている。この構成とは逆に、レンズホルダ6に右軸部と左軸部を設け、投影レンズ5に右軸保持部と左軸保持部を設けてもよい。
【0131】
第一実施形態においては、調整機構9は、ヘッド部91と軸部92を有するスクリューを備えている。軸部92は、ハウジング2の背板21(ハウジングの一部の一例)を貫通して延びている。このような構成によれば、ハウジング2により区画される灯室4内の空きスペースを効率的に利用して調整機構9を配置できる。したがって、投影レンズ5とその光軸調整を行なう機構を備えつつも、フォグランプ1に対するさらなる小型化の要求に応えることができる。
【0132】
しかしながら、調整機構9は、上記のスクリューに代えて、灯室4内に配置され、投影レンズ5と連結されたアクチュエータを備えうる。この場合、当該アクチュエータの動作により投影レンズ5をレンズホルダ6に対して回動させる。アクチュエータを制御する信号は、コネクタユニット8を通じて入力される構成とすればよい。
【0133】
第一実施形態においては、
図13に示されるように、ジョイント54は、投影レンズ5と別体として成形されており、連結部53に装着されている。しかしながら、ジョイント54は、投影レンズ5の一部として一体成型されてもよい。この場合、部品点数を削減できる。本実施形態のように連結部53とジョイント54を別体として構成する場合は、各部材の成形容易性を向上できる。
【0134】
第二実施形態においては、右軸部106aと左軸部106bは、第一支持部材106に設けられ、右軸保持部107aと左軸保持部107bは、第二支持部材107に設けられている。この構成とは逆に、第一支持部材106に右軸部と左軸部を設け、第二支持部材107に右軸保持部と左軸保持部を設けてもよい。
【0135】
第二実施形態においては、第一支持部材106が一対のリフレクタ106cを備えている。しかしながら、リフレクタ106cの数、形状、および配置は、フォグランプ101の仕様に応じて適宜に定められうる。
【0136】
第二実施形態においては、光源108bの光出射面が投影レンズ105に対向する配置とされている。このような構成によれば、光源108bと投影レンズ105との距離を短くできる。しかしながら、光学系のレイアウト自由度の観点から、光源108bの光出射面の向きは、仕様に応じて適宜に定められうる。
【0137】
上記の各実施形態においては、照明装置の一例としてフォグランプを例示した。しかしながら、本発明は、ハウジングと透光カバーにより区画される灯室内に投影レンズを備え、当該投影レンズの光軸調整を必要とする各種の照明装置に適用可能である。
【0138】
本出願の記載の一部を構成するものとして、2014年12月25日に提出された日本国特許出願2014−262574号、2014年12月25日に提出された日本国特許出願2014−262586号、および2015年6月10日に提出された日本国特許出願2015−117733号の内容が援用される。