(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948461
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】熱伝達装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20210930BHJP
F28F 9/18 20060101ALI20210930BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20210930BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20210930BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28F9/18
F28F1/02 A
F28D1/053 A
F28F21/08 A
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-514484(P2020-514484)
(86)(22)【出願日】2018年6月7日
(65)【公表番号】特表2020-521109(P2020-521109A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】KR2018006435
(87)【国際公開番号】WO2018236076
(87)【国際公開日】20181227
【審査請求日】2019年11月20日
(31)【優先権主張番号】102017113870.6
(32)【優先日】2017年6月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102018111580.6
(32)【優先日】2018年5月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コラー, グレガス ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラプシク, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】マルティニ, ヨエルク
【審査官】
竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−071888(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0054069(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00 − 9/26
F28F 1/00 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体を通過させるためのパイプ要素(3、3a、3b、3c)、貫通開口(6)を有する一つ以上のパイプ底部(5)、及び貫通開口(8)を有する一つ以上の密封要素(7)からなる配列体(2)を備える第1流体と第2流体の間で熱を伝達するための装置(1)であって、
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)は、第1高さ(X)及び幅(W)を有する第1領域(10)、及び
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の一端部に配列され、
前記第1高さ(X)と同等かあるいはより高い第2高さ(Y)を有する支持面(13)を有する一つ以上の第2領域(11)をそれぞれ有するフラットパイプからなり、
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の第2領域(11)は前記パイプ底部(5)の貫通開口(6)と前記密封要素(7)の貫通開口(8)内に配列され、
前記密封要素(7)は、それぞれ
前記パイプ底部(5)の貫通開口(6)の縁のエッジと
前記支持面(13)との間に配列され、壁厚(G)を有
し、
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)は、互いに対して平行に、且つ、第1領域(10)ではそれぞれ互いに対して間隔(F)を置いて整列された状態に配列され、
前記パイプ底部(5)の隣り合って配列された貫通開口(6)の間にそれぞれ高さ(H)を有するウェブ(5−1)が備えられ、
高さ方向(c)から見るとき、隣り合って配列された前記パイプ要素(3)間の中間空間は、前記パイプ底部(5)の一つの前記ウェブ(5−1)及び前記密封要素(7)のそれぞれ壁厚(G)を有する2つのセクションによって完全に満たされており、
前記ウェブ(5−1)の領域(16)で前記パイプ底部(5)は、リング要素(17)を備えて形成されており、前記リング要素(17)は、前記領域(16)で前記密封要素(7)の圧縮を局所的に増加させるために、前記密封要素(7)及び前記パイプ要素(3)を収容するための前記貫通開口(6)の開放した横断面を少なくとも局所的に縮小させ、
前記高さ方向(c)から見るとき、
前記間隔(F)に
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の第1高さ(X)を加えた
値は、
前記パイプ底部(5)のウェブ(5−1)の高さ(H)及び
前記密封要素(7)
の壁厚(G)
の2倍に
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の第2高さ(Y)を加えた
値に相当し、
前記高さ方向(c)における前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の端部の変形程度をCMとするとき、前記CMは下記数2で表され、
[数2]
前記式中、CMは、高さ方向(c)でパイプ要素(3、3a、3b、3c)の端部の変形程度を記述し、
Fは前記間隔、Hは前記ウェブ(5−1)の高さ、Yは前記第2高さ、Xは前記第1高さ、Gは前記壁厚であり、前記CMは、最大値(CM
max)と最小値(CM
min)の間の範囲内に置かれており、パイプ要素(3、3a、3b、3c)の
前記第1高さ(X)と前記第2高さ(Y)とが同一の場合には、
前記CMが最小値(CM
min)
であり、CM
mini=2・Gで示され、
前記パイプ要素(3)には、前記第2領域(11)の上部面及び下部面のエッジが高さ方向(c)にそれぞれ外部に変形した形状の成形部(14)を備えることを特徴とする熱伝達装置(1)。
【請求項2】
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)が金属から形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項3】
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の横断面は、前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の縦方向(a)に対して垂直に整列された平面で第2領域(11)内で拡張することを特徴とする請求項1に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項4】
前記パイプ要素(3、3a、3b)の流動横断面は、それぞれ互いに対向する2つの側面によって制限され、前記側面は、対で流動横断面の狭い側又は縦側をそれぞれ形成することを特徴とする請求項1に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項5】
互いに隣り合って配列された前記パイプ要素(3、3a)の側面が、縦方向(a)に進行する接触エッジで互いに対して直角に整列され、前記接触エッジは、それぞれ角半径(R)を有するラウンディング処理された遷移部を備えることを特徴とする請求項4に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項6】
前記パイプ要素(3、3a)の第1領域(10)の第1高さ(X)が、前記パイプ要素(3、3a)の2倍の角半径(R)の値よりも大きく、最大値(CM
max)は、下記の式
[数4]
で示され、前記式中、Aは、パイプ膨脹容量に相当することを特徴とする請求項5に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項7】
前記パイプ要素(3、3b)の流動横断面の縦側にそれぞれ配列された側面は、半円中空円筒状に外部に曲がっており、外部半径(R)を有する狭い側の側面を介して互いに連結されることを特徴とする請求項4に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項8】
前記パイプ要素(3、3a)の第1領域(10)の第1高さ(X)が、半円中空円筒状に外部に曲がったパイプ要素(3、3b)の狭い側の側面の2倍の半径(R)に相当し、最大値(CM
max)は、下記の式
[数5]
で示され、前記式中、Aは、パイプ膨脹容量に相当することを特徴とする請求項7に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項9】
前記パイプ要素(3、3a、3b)が、第1領域(10)では0.22mmの壁厚、約2.5mmの第1高さ(X)及び約10.8mmの幅(W)を有し、第2領域(11)では約4.69mmの第2高さ(Y)及び約10.95mmの幅を有することを特徴とする請求項2に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項10】
パイプの端部にある前記パイプ要素(3、3a、3b)が、それぞれ縦側の頂点(12)の領域で正面から出発して拡張した状態に形成され、前記パイプ要素(3、3a、3b)の壁は、高さ方向(c)でそれぞれ外部に成形部(14)を有するように変形されることを特徴とする請求項2に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項11】
前記パイプ要素(3、3a、3b)が高さ方向(c)に成形部(14)の最大拡張領域では、約7.6mmの延長部(Z)を有することを特徴とする請求項10に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項12】
前記パイプ底部(5)は、ウェブ(5−1)の領域(16)でそれぞれ、密封要素(7)及びパイプ要素(3、3a、3b、3c)を収容するための貫通開口(6)の開放した横断面を少なくとも局所的に減らすためのリング要素(17)を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項13】
前記パイプ底部(5)が、装置(1)の収集器(9)の側壁要素として形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項14】
貫通開口(6)を有する2つのパイプ底部(5)及び貫通開口(8)を有する2つの密封要素(7)が形成され、前記パイプ底部(5)は、それぞれパイプ要素(3、3a、3b、3c)と流体密封方式で連結され、前記貫通開口(6、8)は、それぞれ形状において前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)の外部形状と一致し、それぞれのパイプ要素(3、3a、3b、3c)は、それぞれ第1パイプ底部(5)に形成された貫通開口(6)を通過する第1端部及び第2パイプ底部(5)に形成された貫通開口(6)を通過する第2端部とを備えて配列されることを特徴とする請求項13に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項15】
前記パイプ要素(3、3a、3b、3c)がアルミニウム合金から形成されることを特徴とする請求項2に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項16】
互いに並んで且つ平行に、また、互いに対して広い側を備えて整列された、装置(1)の1列のパイプ要素(3、3a、3b、3c)は、直接隣り合って配列されたパイプ要素(3、3a、3b、3c)の間に第2流体のための流動経路がそれぞれ一つずつ形成されるように配列されることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項17】
互いに隣り合って配列されたパイプ要素(3、3a、3b、3c)によって第1領域(10)の内部に形成された流動経路内に、流動横断面を変更するための及び/又は熱伝達面積を拡大させるためのマルチディスク(4)又はリブが配列され、前記マルチディスク(4)が高さ方向(c)に延長部を有し、前記延長部は、隣り合って配列されたパイプ要素(3、3a、3b、3c)の間隔(F)に相当することを特徴とする請求項16に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項18】
前記マルチディスク(4)又はリブが、アルミニウム合金から形成されることを特徴とする請求項17に記載の熱伝達装置(1)。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の熱伝達装置(1)を自動車の冷却材循環系内で、特にエンジン冷却材循環系内で冷却材−空気熱交換器として使用することを特徴とする装置(1)の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達装置に係り、より詳しくは、自動車に使用するための熱伝達装置であって、この装置において、熱は、好ましく第1流体としての冷却材、例えば水又は水・グリコール混合物と第2流体としての空気の間で伝達され、この装置は、第1流体を通過させるためのパイプ要素、それぞれパイプ要素を通過させるための貫通開口を有する一つ以上のパイプ底部及び一つ以上の密封要素からなるアセンブリーを備える熱伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却材循環系から周辺空気に熱を伝達するための、従来の技術で公知された冷却材−空気熱交換器は、燃焼機関の熱を放出するための、いわゆる高温冷却材循環系で使用される。アルミニウムから形成された冷却材−空気熱交換器は、パイプ底部内に固定された少数のパイプ、マルチディスク及び側面要素を備え、クリンプ連結部位に配列された冷却材収集器は、熱交換のために組み立てられる多様な要素を備える。互いに対して平行に整列された、そしてマトリクスとして配列されたパイプは、収集器の間で液体冷却材を案内するために用いられる。パイプの端部で両側に配列された冷却材収集器は、従来の方式に従って、略してEPDM密封部と呼ばれるエチレン・プロピレン・ジエンゴム密封要素によって、パイプ及びパイプ底部に対して密封されている。パイプ、パイプ底部、マルチディスク及び側面要素は、プラギング方法で、いわゆるスロット冷却器(slot cooler)として完全に半田付けされた状態で完成されるか、いわゆる半田付け冷却器として完全に半田付けされた状態で完成される。
【0003】
略してCAB(Controlled Atmospheric Brazing)と呼ばれる統制された雰囲気で半田付け方法を使用する場合には、パイプ及びマルチディスクからなるマトリクスが互いの間に、そして場合によってはそれぞれ収集器の金属要素としてのパイプ底部と連結される。プラギング方法では、略してMA(Mechanical Assembly)と呼ばれるマトリクスと収集器との機械的な組み立てを使用して、隣り合う金属部品同士の溶接又は半田付けが避けられる。
冷却材から熱を吸収する空気は、パイプの外部面で流れ、これによりパイプの間に沿って流れるようになる。外部面でパイプの間に配列されたマルチディスク又はリブ(rib)は、空気側の熱伝達面の拡大のために用いられ、これにより熱交換器の出力を増加させるために用いられる。
公知の冷却材−空気熱交換器は、冷却材の速かに変わる温度に対抗して不満足な耐久性を有する。よって、冷却材−空気熱交換器は、極端的な適用例では、−20℃ 〜−10℃の範囲内にある温度まで冷却されることができ、冷却材循環系内にある速かに開放されるバルブによって約120℃の温度を有する冷却材によって作動することができる。このとき、冷却材−空気熱交換器は、非常に強い温度交替を経験し、熱衝撃(thermal shock)を経験する。個別パイプの時間変位された熱的膨脹によって非常に大きな材料応力が生じる。
【0004】
スロット冷却器は、収集器の要素としてのパイプとパイプ底部間の滑り軸受連結によって、冷却材の温度変更に対して非常に高い抵抗能力を有するが、パイプとマルチディスク間の強制結合方式の連結のため半田付け冷却器よりも少ない冷却性能を有する。半田付け冷却器は、再度パイプとパイプ底部間の剛性の半田付け連結によって、温度交替に対して、そしてこれにより引き起こされる個別パイプの熱的膨脹に対して制限された耐久性を有する。
DE 10 2015 113 905 A1号には、自動車で使用するために機械式に装着された収集器を有する熱交換器、特に空気流れ熱交換器を製造及び装着するための方法及びこのような熱交換器が示される。この熱交換器は、並列に配列された複数の金属パイプ及び複数の金属リブから完全機械式にボンディングされたマトリクスを含む。パイプは、それぞれ互いに対向する2つのより長い側面及びより短い側面を有する直管状の横断面形状を有する熱伝達セクションを備える。密封を提供するために、そしてマトリクスの熱的膨脹及び収縮によって機械式で連結されたパイプと第1収集器との間で相対的な運動ができるようにするために、一つ以上のパイプは第1端部セクションで、パイプの第1端部セクション分延長される一つ以上の可撓性要素によって第1収集器と連結されている。
【0005】
この場合、パイプとマルチディスクとがパイプ底部なしに半田付けされた後に、パイプ底部がプレスフィット(press fit)を通じて密封部内で密封された状態でパイプ上に挿入される方法によっては、スロット冷却器及び半田付け冷却器の製造方法のシナジーが記述される。半田付けオーブン内での半田付けの間、600℃を超過する温度が提供されることで減少された材料特性のため、パイプは特に端部領域で、パイプの全周に亘って密封装置を保証しようとする要求によって、プレスフィットによる密封によって提供される抵抗力に永久的に耐えられなくなる。
自動車で使用される熱交換器の従来のパイプ、特にアルミニウム合金からなるパイプは頻繁に、パイプとパイプ底部間にある密封部の圧縮後にパイプの壁に作用する密封圧力に耐えられない。この場合、従来の技術で公知された熱交換器及びこのような熱交換器を製造するための方法は、密封圧力に抵抗するために、約11mmまでの幅又はパイプ深さを有するパイプ、特に溶接されたパイプの使用に限定されている。密封部は、一方ではパイプの全周に亘って10%〜50%の範囲内で圧縮されなければならないが、この場合、圧縮された密封部はパイプの壁に加えられる上記のような力によって、特に支持されていない幅広いパイプ壁が崩壊し得る状況を引き起こす。他方では、密封部の圧縮がパイプ壁の中心領域に置かれているが、言い換えれば、パイプクラウンの領域内でたびたび上述した目標値の下に置かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10 2015 113 905 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、二つの流体の間で、特に冷却材としての液状流体と空気間で熱を効率的に伝達するための装置を提供することにあり、また、このような装置を意図した通りに構成しようとすることにある。このとき、熱交換器は、温度交替が大きい場合でも、それぞれパイプの全周に亘って密封部の十分且つ均一な圧縮状態及び最大の密封状態、言い換えれば高い熱衝撃耐久性を持たなければならない。熱交換器によっては、最小の構造の大きさで又は最小の設置空間需要で最大の熱出力が伝達されなければならない。熱交換器は、さらに、最小の重量を持たなければならず、最小の製造コスト及び材料コストをもたらさなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、各独立特許請求項の特徴を有する対象等によって解決される。改善例は、各従属特許請求項に明示されている。
上記課題は、第1流体と第2流体の間で熱を伝達するための本発明に係る装置によって解決される。この装置は、貫通開口を有する一つ以上のパイプ底部及び貫通開口を有する一つ以上の密封要素を備えた、第1流体を通過させるためのパイプ要素からなるアセンブリーを備える。
それぞれ貫通開口を通過した状態に配列されたパイプ要素は、それぞれ第1高さ(X)及び幅(W)を有する第1領域、及び第2高さ(Y)を有するパイプ底部で密封及び固定させるための支持面を有してパイプ要素の一端部に配列された一つ以上の第2領域を備えたフラットパイプからなることができる。
したがって、パイプ要素はそれぞれ、第1領域によっては、パイプ要素が第2流体、特に空気によって循環される熱伝達領域を有するようになり、第2領域によっては、好ましくはパイプ底部と連結された領域を有するようになる。
【0009】
密封要素は、それぞれパイプ要素の支持面とパイプ底部の貫通開口の縁のエッジとの間に配列され、特定の壁厚(G)を有する。中間支持された密封要素によっては、貫通開口を有する一つ以上のパイプ底部がパイプ要素と流体密封方式で連結されている。パイプ底部及び密封要素の貫通開口はそれぞれ形状において互いに合致し、パイプ要素の外部形状とも合致する。この場合には、好ましくはそれぞれ一つのパイプ要素が貫通開口を通過した状態で存在することにより、結果として一パイプ要素のそれぞれの端部には正確に一つの貫通開口が割り当てられている。
パイプ要素は広い側を備えて、互いに対して平行に、且つ、第1領域でそれぞれ互いに対して間隔(F)を置いて整列している。パイプ底部の隣り合って配列された貫通開口の間には、さらに、予め定められた高さ(H)を有するウェブがそれぞれ一つずつ備えられる。
【0010】
本発明の態様によれば、高さ方向から見るとき、一パイプ要素の第1高さ(X)及び隣り合うパイプ要素の間隔(F)で構成されたパイプ要素の第1領域内部での膨脹は、一パイプ要素の第2高さ(Y)、パイプ底部の一ウェブの高さ(H)及び密封要素の2倍の壁厚(G)で構成されたパイプ要素の第2領域内部での膨脹に相当し、この場合には数2が適用される。
[数2]
上記式中、CMは、高さ方向でパイプ要素の端部の変形程度を示し、最大値(CM
max)と最小値(CM
min)の間の領域に置かれている。パイプ要素の第1高さ(X)の値と第2高さ(Y)の値とが同一の場合に、CM
minは密封要素の2倍の壁厚(G)に相当するが、言い換えれば、
CMmin=2・G である。最小値CMmin=2・Gでは、パイプ要素のパイプ端部が少なくとも高さ方向に形状破壊されていないか変形されていない。
特に、変形限界CM
maxを最大値と規定し、変形限界CM
minを最小値と規定することで、パラメーターとしてのCMは、プレスフィット内で周辺を取り囲む密封要素に対する周りにあるパイプ要素の堅固且つ確実な密封を保障しようとする目的からなされるパイプ要素の端部の好適な変形を記述する。
パイプ要素は、好ましくは金属から形成される。パイプ要素の横断面は、縦方向に対して垂直に整列された平面で第2領域内で好ましく拡張している。
【0011】
本発明の一改善例によれば、パイプ要素の流動横断面は、それぞれ互いに対向する2つの側面によって制限され、これらの側面は、対で流動横断面の狭い側又は縦側をそれぞれ形成する。
本発明の代案的な第1実施例によって、互いに隣り合って配列されたパイプ要素の側面は、縦方向に進行する接触エッジで互いに対して直角に整列されている。この場合、接触エッジは、それぞれ角半径(R)を有するラウンディング処理された遷移部を備える。
パイプ要素の第1領域の第1高さ(X)は、好ましくはパイプ要素の2倍の角半径(R)の値よりも大きい。この場合、最大値(CM
max)は、
[数4]
で示され、[数4]中、Aは、変形以前のパイプ端部におけるパイプ要素の周りに対する変形以後のパイプ端部におけるパイプ要素の周りの割合を示す。幾何学的構造及び材料特性は、パイプ要素の材料の引張限界による変形が材料の亀裂を引き起こす時までのパイプ端部の最大変形、特に拡張を可能にする。
【0012】
本発明の代案的な第2実施例によって、パイプ要素の流動横断面の縦側にそれぞれ配列された側面は、半円中空円筒状に外部に曲がっており、外部半径(R)を有する狭い側の側面を介して互いに連結されている。
パイプ要素の第1領域の第1高さ(X)は、好ましくは半円中空円筒状に外部に曲がったパイプ要素の狭い側の側面の2倍の半径(R)に相当する。この場合には、
[数5]
から最大値(CM
max)が示され、[数5]中、Aは、パイプ膨脹容量に相当する。
本発明の一つの長所は、縦方向に対して垂直に整列された平面でパイプ要素の第2領域の横断面が拡張する時には、それぞれパイプ要素の壁によって制限された流動チャンネルが実質的に矩形の横断面形状から楕円形の横断面形状へと変形されることにある。
本発明の一改善例によって、パイプ要素は、第1領域では0.22mmの壁厚、約2.5mmの第1高さ(X)及び約10.8mmの幅(W)を有し、第2領域11では、約4.69mmの第2高さ(Y)及び約10.95mmの幅を有する。
【0013】
本発明のまた別の好ましい一実施例によって、パイプの端部にあるパイプ要素がそれぞれ縦側の頂点の領域で正面から出発して拡張した状態に形成されることで、結果として、パイプ要素の壁は高さ方向からそれぞれ外部に成形部を有するように変形されている。よって、パイプ要素は、それぞれ上部面及び下部面の頂点の領域で形状を備えて形成されている。このとき、パイプ要素は、高さ方向に成形部の最大拡張領域では好ましくは約7.6mmの延長部を有する。
本発明の好ましい一実施例によって、パイプ底部は、ウェブの領域でそれぞれ、密封要素を収容するための貫通開口の開放した横断面を少なくとも局所的に減らすためのリング要素を備えることができる。
本発明のまた別の好ましい一実施例は、パイプ底部が、熱伝達装置の収集器の側壁要素として形成されることができる。
熱伝達装置は、好ましくは貫通開口を有する2つのパイプ底部、及び貫通開口を有する2つの密封要素を備えて形成される。パイプ底部は、それぞれパイプ要素と流体密封方式で連結され、この場合、貫通開口はそれぞれ形状においてパイプ要素の外部形状と一致し、それぞれのパイプ要素は、それぞれ第1パイプ底部に形成された貫通開口を通過する第1端部及び第2パイプ底部に形成された貫通開口を通過する第2端部とを備えて配列されている。
【0014】
パイプ要素は、好ましくは直線で、また、好ましくはアルミニウム合金から形成される。
本発明の一改善例によって、パイプ要素は、配列体の内部で1列又は複数の列に整列されている。
互いに並んで且つ平行に、そして互いに対して広い側を備えて整列された本発明に係る装置の1列のパイプ要素は、好ましくは直接隣り合って配列されたパイプ要素の間に第2流体、特に空気のための流動経路がそれぞれ一つずつ形成されるように配列されている。
互いに隣り合って配列されたパイプ要素によって第1領域の内部に形成された流動経路内には、好ましくは、流動横断面を変更するための及び/又は熱伝達面積を拡大させるためのマルチディスク又はリブが配列されている。この場合、マルチディスクは、高さ方向に延長部を有し、この延長部は、隣り合って配列されたパイプ要素の間隔(F)に相当する。マルチディスク又はリブは、好ましくはアルミニウム合金から形成される。
本発明の好ましい実施例は, 本発明に係る熱伝達装置が自動車の冷却材循環系内で、特にエンジン冷却材循環系内で冷却材−空気熱交換器として使用されることを可能にする。
【0015】
要約して言えば、本発明に係る熱伝達装置は、次のような多様な長所を有する。
− 既存のパイプポートフォリオの枠組みの中でCAB/MA製造原理の活用が拡がり、
− 構造の大きさが最小であるか設置空間需要が最小の場合、言い換えれば、伝達可能な熱出力に対する開場された容積の割合が最適な場合には、最適な幾何学的構造の割合によっても最大の熱出力が伝達され、
− 複雑性及び材料経費が減少し、これにより製造コストが低減し、
− 最小の重量を有し、
− 温度交替が大きい場合でも、最大の密封度、言い換えれば、温度交替に対する高い熱衝撃耐久性及び高い抵抗能力を有することで, 結果としてパイプ要素、密封要素とパイプ底部間の連結が柔軟な場合には、流体循環系内にある、特に冷却材循環系内にあるバルブの大きな開放速度及び閉鎖速度が可能になり、
− 圧力脈動負荷が高い場合でも、使用が保障され、
− 規定された水準で均一な密封圧縮を行うプレスフィットによって、パイプ底部と密封要素の内部にあるパイプ端部との連結が永久的に保障されることで、最大の寿命が保証される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の熱伝達装置によれば、既存のパイプポートフォリオの枠組みの中でCAB/MA製造原理の活用が拡がり、構造の大きさが最小であるか設置空間需要が最小の場合、言い換えれば、伝達可能な熱出力に対する開場された容積の割合が最適な場合には、最適な幾何学的構造の割合によっても最大の熱出力が伝達される。
また、複雑性及び材料経費が減少し、これにより製造コストが低減し、最小の重量を有する。
また、温度交替が大きい場合でも、最大の密封度、言い換えれば、温度交替に対する高い熱衝撃耐久性及び高い抵抗能力を有することで、結果としてパイプ要素、密封要素とパイプ底部間の連結が柔軟な場合には、流体循環系内にある、特に冷却材循環系内にあるバルブの大きな開放速度及び閉鎖速度が可能になり、圧力脈動負荷が高い場合でも使用が保障され、規定された水準で均一な密封圧縮を行うプレスフィットによって、パイプ底部と密封要素の内部にあるパイプ端部との連結が永久的に保障されることにより、最大の寿命が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例のさらなる細部事項、特徴及び長所は、関連図面を参照してなされる本発明の実施例に関する以下の詳細な説明に示される。
【
図1】個別構成要素として中間支持されたマルチディスク、パイプ底部、密封要素及び収集器を有するパイプ要素配列体を備えた熱伝達装置の分解詳細図である。
【
図2】aは、第1領域及び第2領域を備えてフラットパイプとして形成されたパイプ要素の側面図である。bは、それぞれ異なる流動横断面を有してフラットパイプとして形成されたパイプ要素の斜視図である。cは、bに示したパイプ要素の詳細図である。dは、それぞれ異なる流動横断面を有してフラットパイプとして形成されたパイプ要素の斜視図である。
【
図3】aは、
図1に示した熱伝達装置の中間支持されたマルチディスクを有するパイプ要素の配列体の側面詳細図である。bは、中間支持されたマルチディスク、パイプ底部及び
図1に示した熱伝達装置の密封要素を有するパイプ要素の配列体の断面詳細図である。cは、bに示した密封要素を有するパイプ底部の詳細図である。
【
図4】aは、パイプ端部で部分的に拡大し、
図2aに示したパイプ要素と類似の楕円形の横断面を有するパイプ要素の斜視図である。bは、パイプ端部で部分的に拡大し、
図2aに示したパイプ要素と類似の楕円形の横断面を有するパイプ要素の平面図である。cは、a及びbに示した、パイプ端部を最終的に拡大したパイプ要素の斜視図である。dは、a及びbに示した、パイプ端部を最終的に拡大したパイプ要素の平面図である。eは、a及びbに示した、パイプ端部で最終的に拡大したパイプ要素の斜視図である。fは、a及びbに示した、パイプ端部で最終的に拡大したパイプ要素の斜視図である。
【
図5】aは、パイプ端部で部分的に拡大し、
図4aに示したパイプ要素と類似の楕円形の横断面を有するパイプ要素の斜視図である。bは、パイプ端部で部分的に拡大し、
図4aに示したパイプ要素と類似の楕円形の横断面を有するパイプ要素の平面図である。
【
図6】aは、密封要素を有するパイプ底部の貫通開口内で
図5aに示したパイプ要素の配列体の側面断面図である。bは、aに示した密封要素及びパイプ要素を有するパイプ底部の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、熱伝達装置1のパイプ底部5及び密封要素7を有するパイプ要素3、特にフラットパイプの配列体2を示す。この図面には、個別構成要素として中間支持されたマルチディスク4、パイプ底部5、密封要素7及び収集器9を有するパイプ要素3、配列体2を備えた熱伝達装置1の詳細図を示している。収集器9は、冷却材を流体として使用する場合に冷却材収集器とも称される。
フラットパイプからなる配列体2は、出力要求条件によって1列で又は複数の列で形成されており、大きさの側面で、言い換えれば、特に長さ又は幅の側面で調整可能である。パイプ要素3は、2列配列されている。
互いに並んで且つ平行に整列されたパイプ要素3が、広い側を有する1列の内部で互いに対して整列することで、結果として直接隣り合うパイプ要素3間では流体のための、特に空気のための流動経路がそれぞれ生成される。このとき、流動経路は、それぞれパイプ要素3間で進行する。1列のパイプ要素3は、互いに対して一直線上に配列され、それぞれ2つの収集器9の間で延長される。パイプ要素3の内部容積は、収集器9の内部容積と連結されている。
【0019】
流動経路内に、またこれにより隣り合って配列されたパイプ要素3の中間空間内には、流動横断面を変更するための及び/又は熱伝達面積を拡大させるための要素が形成されている。流動横断面を変更するための及び/又は熱伝達面積を拡大させるための要素としてマルチディスク4が提供されている。代案としては、リブも使用できる。マルチディスク4は、パイプ要素3と同様に、好ましくはアルミニウム合金のような熱伝導性に非常に優れた材料から形成される。
装置1が組み立てられた状態で、配列体2の正面に又は狭い側には、それぞれ収集器9の側壁要素としても用いることができるパイプ底部5が提供されている。この場合には、パイプ要素3の端部が整列されている側面が正面と称される。パイプ底部5は、それぞれ金属、特にアルミニウム合金から、実質的に矩形シートの形態である深絞り加工部、穿孔部又はハイドロフォーミング部として形成されている。この場合、シートは、金属からなる平坦な圧延機の最終製品と理解される。高圧変形とも称されるハイドロフォーミングは、水−オイル−エマルジョンによって工具内で発生する圧力を用いて、閉鎖されたモールド工具内でシートを変形することと見なされる。
【0020】
角領域がラウンディング処理されたパイプ底部5だけでなく、密封要素7も、パイプ要素3を収容するための貫通開口6、8を備える。個別のパイプ要素3とパイプ底部5との間に流体密封の連結を作るために、パイプ底部5の貫通開口6及び密封要素7の貫通開口8が互いに合致し、パイプ要素3の外部寸法とも合致する。パイプ底部5の貫通開口6の間には、それぞれウェブ5−1が形成されている。
収集器9の互いに対向する側に配列されたパイプ底部5は、パイプ要素3と固定連結されている。固定連結は、それぞれ密封要素7によって技術的に密封されたゼロ漏れとして見なすことができる。パイプ底部5は、パイプ要素3の狭い側でパイプ要素3に対して垂直に整列して、配列体2上に配列されている。
図2aは、熱伝達領域としての変形されていない第1領域10及び変形領域としての変形されていない第2領域11、及びパイプ底部5との連結部を有する、フラットパイプとして形成されたパイプ要素3を側面図として示す。パイプ要素の領域10、11は、縦方向(a)から見るとき、互いに連結された状態に形成されている。
【0021】
パイプ要素3は、パイプ端部で少なくとも部分的に拡張及び変形されている。パイプ要素3の壁によって取り囲まれた流動チャンネルの横断面は、パイプ要素3が流体によって循環される第1領域10と、パイプ端部の方に向かう第2領11との間で一定に且つ均一に拡大する。領域10、11の内部では、流動チャンネルの横断面積がそれぞれ一定である。パイプ要素3の第2領域11はそれぞれ、好ましくは平坦に、言い換えればノッチ(notch)又は溝のような構造物なしに形成される密封要素7に対する支持面として用いられる。
変形されていない第1領域10内で、パイプ要素3は、高さ方向(c)から見るとき、第1領域10の高さ(X)とも称される外部延長部Xを備える。少なくとも部分的に拡張したパイプ要素3の第2領域11は、高さ方向(c)から見るとき、第2領域11の高さ(Y)とも称される外部延長部Yによって形成されている。パイプ要素3の幅は、それぞれ深さ方向(b)に延長される。
【0022】
図2b及びdには、それぞれ異なる流動横断面を有してフラットパイプとして形成されたパイプ要素3a、bの斜視図を示す。これらの図面には、パイプ要素3a、bの変形されていない第1領域10の一断面をそれぞれ示している。流動横断面は深さ方向(b)及び高さ方向(c)によって設定された平面内で延長される。
流動横断面は、それぞれ互いに対向する2つの側面によって制限され、これらの側面は、それぞれ流動横断面の狭い側又は縦側を形成する。対で互いに対向するように形成された側面は、それぞれ同一寸法を有する。この場合、高さ方向(c)で第1対としての狭い側の側面は、同一の高さ(X)を有する一方、互いに対して平行に整列された、深さ方向(b)で第2対としての縦側の側面は、同一の幅(W)を有する。
図3a、bの実質的な相違点は、高さ(X)の寸法にあり、互いに接する側面の間にある遷移部の形状又は狭い側の側面の形状にある。
【0023】
図2bのパイプ要素3aは、互いに対して直角に整列された側面でラウンディング処理された遷移部を備えて形成されている。遷移部は、角半径(R)を有し、このような状況は、特に
図2cのパイプ要素3aの詳細図に示している。
図2dに示すパイプ要素3bの流動横断面の縦側にそれぞれ配列された側面は、それぞれ狭い側の半円中空円筒状の側面を介して互いに連結されている。この場合、側面の外部半径(R)は、高さ(X)の半分に相当する。
図3a及びbには、
図1に示した熱伝達装置1の中間支持されたマルチディスク4を有するパイプ要素3の配列体2の詳細図を示す。この場合、
図3aには側面図を示す一方、bには、aに示した配列体2の詳細図がパイプ底部5及び密封要素7分拡張した状態で側面断面図として開示している。
パイプ要素3は、第1領域10では、それぞれ高さ(X)によって、また、第2領域11では、それぞれ高さ(Y)によって形成されており、この場合、パイプ要素3の延長部は、高さ方向(c)から見るとき、第2領域11内でよりも第1領域10内でより小さい。パイプ要素3は、第2領域11内で縦方向(a)に整列された中心軸周りに均一に拡張している。
【0024】
広い側を備えて互いに並んで、また平行に整列されたパイプ要素3内に形成された、第1領域10の内部の中間空間内には、流動横断面を変更するための及び/又は熱伝達面積を拡大させるための要素としてマルチディスク4が提供されている。隣り合って配列されたパイプ要素3の広い側でそれぞれパイプ要素3と連結されたマルチディスク4が、パイプ要素3間の中間空間を完全に満たすことにより、結果として隣り合って配列されたパイプ要素3の間隔(F)は、高さ方向(c)から見るとき、さらにマルチディスク4の高さ(F)にも相当する。この場合、マルチディスク4は、単にパイプ要素3の第1領域10内にのみ形成されている。
パイプ要素3は、それぞれ第2領域11を備えて、密封要素7及びパイプ底部5の貫通開口6、8内に配列されている。高さ方向(c)で隣り合って配列されたパイプ底部5の貫通開口6の間には、ウェブ5−1が形成されており、このウェブは、貫通開口6をそれぞれ深さ方向(b)に制限し、密封要素7と連結された状態で実質的にパイプ要素3の広い側に接する。
図3cには、bに示した密封要素7を有するパイプ底部5のウェブ5−1の詳細図を示す。
広い側を備えて互いに並んで且つ平行に整列されたパイプ要素3内に形成された、第2領域11の内部の中間空間内には、パイプ底部5のウェブ5−1及び密封要素7が配列されている。よって、高さ方向(c)から見るとき、隣り合って配列されたパイプ要素3間の中間空間は、パイプ底部5の一つのウェブ5−1及び密封要素7の2つのセクションによって完全に満たされている。高さ方向(c)から見るとき、ウェブ5−1は、高さ(H)で形成されている一方、密封要素7の2つのセクションは、それぞれ壁厚(G)を有する。
【0025】
パイプ要素3の第1領域10では、高さ方向(c)でマルチディスク4の高さ(F)にパイプ要素3の高さ(X)を加えた値から、パイプ要素3及びマルチディスク4からなるユニットの延長部を示す。また、パイプ要素3の第2領域11では、高さ方向(c)でパイプ底部のウェブ5−1の高さ(H)及び密封要素7の2倍の壁厚(G)にパイプ要素3の高さ(Y)を加えた値から、パイプ要素3、密封要素7及びパイプ底部5のウェブ5−1からなるユニットの延長部を示し、このような状況は、次のような方程式を誘導する:
[数1]
[数1]の変換後には、
[数2]
が示され、[数2]中、CMは、パイプ底部5の隣り合う貫通開口6の間に形成された高さ方向(c)での延長部としてのパイプ底部5のウェブ5−1の高さ(H)とマルチディスク4の高さ(F)との間に現われる差の最適な範囲、及び高さ方向(c)でのパイプ要素3の端部の変形程度を記述する。
[数3]
【0026】
上記方程式は、半径(R)、幅(W)及び第1領域10の高さ(X)を参照するパイプ要素3の構造と、第2領域11の高さ(Y)、そしてマルチディスク4の高さ(F)、パイプ底部5の貫通開口6の間にあるウェブ5−1の高さ(H)及び密封要素(7)の壁厚(G)を参照する端部でのパイプ要素3の変形間の最適な関係を記述する。この場合には、特に下記の方程式(4)〜(6)を参照して、パイプ要素3のパイプ端部の変形が、円形の流動横断面を誘導する最大値(CM
max)とパイプ要素3のパイプ端部が変形されない最小値(CM
min)の間の範囲が指示される。
側面が互いに対して直角に整列されており、互いに隣接する側面間の遷移部がラウンディング処理された
図2b及びcによって、第1領域10の高さ(X)が、パイプ要素3aの2倍の角半径(R)の値よりも大きければX>2・R、最大値CMmaxは次のように示される。
[数4]
それぞれ狭い側の半円円筒形状の側面を介して互いに連結された縦側の側面を有する
図2dによって、第1領域10の高さ(X)が、パイプ要素(3b)の2倍の半径(R)と一致すれば
X=2・R、最大値CMmaxは次のように示される
[数5]
パイプ要素3がパイプ端部で拡張しないか形態変更されないか変形されないことから、結果として第2領域11の高さ(Y)がパイプ要素3、3a、3bの第1領域10の高さ(X)と一致することでY=X、最小限界CM
minが確定する。これで、最小値CM
minは、常に次のように密封要素7の壁厚(G)の2倍から示される:
[数6]
【0027】
パラメータAは、パイプ膨脹容量を変形以前のパイプ端部でのパイプ要素の周りに対する変形以後のパイプ端部でのパイプ要素の周りの割合として記述する。
図4a及びbはそれぞれ、
図2a又はb及びcに示したパイプ要素3aと類似に、パイプ端部で少なくとも部分的に拡大したパイプ要素3を斜視図及び平面図として示す。パイプ要素3がパイプ端部の領域で変形及び拡大することで、結果としてパイプ要素3の壁によって制限された流動チャンネルは、実質的に矩形の横断面形状から楕円形の横断面形状に変形された。流動チャンネルの楕円形の横断面形状は、外部圧力に対して非常に安定的であるが、特に圧縮された密封要素7によって提供される圧力に対して非常に安定的である。
【0028】
この場合、変形されていないパイプ要素3は、0.22mmの壁厚及び約10.8mmの幅(W)及び2.5mmの高さ(X)で形成された。少なくとも部分的に拡大したパイプ要素3は、第2領域11で、例えば最大延長部Yの領域で幅が約10.95mmの場合には、約4.69mmの高さを有する。第2領域11は、指示された寸法を有する支持面13として形成されており、上記支持面にはパイプ底部5にあるか、パイプ要素3とパイプ底部5の間で圧縮された密封要素7にあるパイプ要素3の壁が接する。
圧縮された密封要素7の抵抗力に耐えるために、パイプ要素3は、頂点12の領域で最終的に拡大する。この場合には、密封要素7に対する支持面13の剛性をさらに高めるために、パイプ要素3の壁が縦側から外部に変形する。最終的に変形された状態では、特に縦側でパイプ要素3の壁の構造が補強される。
図4c〜fには、パイプ端部で最終的に拡大したパイプ要素3を斜視図、及び平面図として示す。
図4a及びbによってパイプ要素3が少なくとも部分的に拡大した後には、パイプ要素3がそれぞれパイプ端部の既に変形された領域で正面から出発して最終的に拡大する。この場合には、特に上部面及び下部面のエッジが高さ方向(c)でそれぞれ外部に変形する。穿孔ブレードを使用することで、第2領域11でパイプ要素3の頂点12が密封要素7に対して拡大し、密封要素7の圧縮が増加する。ブレードを除去した後には、弾力的なパイプ材料が出発位置の方向に最小に形態復元し、この場合、密封材料7の圧縮は、予定された範囲内でそのまま維持される。最後に、パイプ要素3は、それぞれ上部面及び下部面の頂点12の領域に成形部14を備える。
【0029】
成形部14によってパイプ端部で変形されたパイプ要素3の壁は、連続的に、また亀裂なしに形成されている。成形部14の形状は、一方ではパイプ要素3の壁の構造的な剛性を高めるために用いられ、他方ではパイプ底部5内の貫通開口6の内部で固定及び密封のために用いられる。この場合には、さらに、パイプ底部5に対するパイプ要素3の相対的な位置変更及びこれと共にパイプ底部5の内部でのパイプ要素3の移動を回避する固定力も増加する。
最終的に拡大したパイプ要素3は、例えば成形部14の最大拡大領域にも約7.6mmの延長部Zを備える。
パイプ要素3を備えて形成された装置1は、配列体2の一つ以上の側面に形成された、柔軟で剛性ではないパイプ要素−密封要素−パイプ底部の連結によって、また非常に高い熱衝撃耐久性を有する。
図5a及びbには、それぞれパイプ端部で部分的に拡大し、
図4aに示したパイプ要素と類似に楕円形の横断面を有するパイプ要素3が斜視図として、そして外部から提供される圧力の作用方向15で平面図として示している。圧力は図面に示していない、全体範囲に亘って接する密封要素によって発生する。
この場合、横断面上で見るとき、パイプ要素3の変形した端部の狭い側のアーク状の面は、
図4aに示すパイプ要素3の端部よりも小さな直径を有する。パイプ要素3cの壁は、外部から提供される圧力により優秀に耐える、楕円形に形成されたより厚い横断面を備えて形成された。
【0030】
パイプ要素3は、さらに、
図5aによるパイプ端部での横断面の楕円形形状及び
図4c〜
図4fによる上部面及び下部面の頂点12の領域に成形部14を有するパイプ端部の変形といった構造的な特徴の組合わせによっても形成できる。
図6aには、密封要素7を有するパイプ底部5の貫通開口6内でパイプ要素3の配列体の詳細図を側面断面図として示す。
図6bには、aに示した密封要素7及びパイプ要素3を有するパイプ底部5の詳細図を示す。
図6aは、特にパイプ底部5及び密封要素7内に形成された貫通開口を通過して配列された、好ましくは楕円形の横断面を有する変形拡大したパイプ要素3の配列体を示す。パイプ要素3の拡大によって、パイプ要素3は、パイプ要素3とこのパイプ要素3の貫通開口のエッジ間に配列された密封要素7とは固く連結されており、パイプ底部5とは流体密封方式で連結されている。
パイプ底部5は、ウェブ5−1の領域16でそれぞれリング要素17を備えて形成されており、このリング要素は、領域16で密封要素7の圧縮を局所的に増加させるために、密封要素7及びパイプ要素3を収容するための貫通開口6の開放した横断面を少なくとも局所的に縮小させる。リング要素17は、密封要素7が予定されたセクション又は予定された面でさらに圧縮されることで、結果としてそうでない場合に、特にパイプ要素3の頂点の領域でより少なくなされる密封要素7の圧縮が、意図した通りに増加するように形成されている。密封要素7が単に小さな領域でのみより強く圧縮されるため、パイプ壁に作用する結果的な力はより少なくなり、パイプ壁は崩壊しない。
【0031】
装置1は、再度、特に頂点12の領域16でパイプの全周に亘って密封要素7の効率的な圧縮に到逹するために、
図5aによるパイプ端部での横断面の楕円形状、及び
図4c〜fによる上部面及び下部面の頂点12の領域に成形部14を有するパイプ端部の変形といったパイプ要素3の構造的な特徴の任意の組合わせによって、そしてパイプ底部5のウェブ5−1の領域にリング要素17を備えて形成される。
パイプ底部5とパイプ要素3との連結は、パイプ要素3が貫通開口6、8の正確な位置に配列されるように、そしてこれにより確実な流体密封方式の連結部が生成するように保障する。密封要素7の十分で確実な圧縮を保障するために、意図された拡大の大きさがパイプ要素3の最終延長部として予め定められる。このとき、密封要素7の圧縮は、10%〜50%の範囲内に置かれており、この場合、圧縮の大部分はパイプ要素3に密封要素7とパイプ底部5とを装着した直後に実現する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、特に自動車に使用するための熱伝達装置に関する。この装置で、熱は、好ましくは第1流体としての冷却材、例えば水又は水−グリコール混合物と第2流体としての空気の間で伝達される。この装置は、第1流体を通過させるためのパイプ要素、それぞれパイプ要素を通過させるための貫通開口を有する一つ以上のパイプ底部及び一つ以上の密封要素からなるアセンブリーを備える。
【符号の説明】
【0033】
1 熱伝達装置
2 配列体
3、3a、3b、3c パイプ要素
4 マルチディスク
5 パイプ底部
5−1 ウェブ
6、8 貫通開口
7 密封要素
9 収集器
10 第1領域
11 第2領域
12 頂点
13 支持面
14 成形部
16 領域
17 リング要素