(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948469
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】自己復帰調節機構
(51)【国際特許分類】
B60N 2/847 20180101AFI20210930BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
B60N2/847
A47C7/38
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-535137(P2020-535137)
(86)(22)【出願日】2018年8月3日
(65)【公表番号】特表2021-507850(P2021-507850A)
(43)【公表日】2021年2月25日
(86)【国際出願番号】CN2018098465
(87)【国際公開番号】WO2019179000
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年6月23日
(31)【優先権主張番号】201810224412.1
(32)【優先日】2018年3月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520187333
【氏名又は名称】ヤンフェン アディエント シーティング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YANFENG ADIENT SEATING CO. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ヤオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュウ、トウカイ
(72)【発明者】
【氏名】リ、シャ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ、ミン
【審査官】
松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/088177(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0221250(US,A1)
【文献】
実開昭57−133338(JP,U)
【文献】
特開2017−105288(JP,A)
【文献】
特表2006−523497(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2007−0107247(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/806−2/876
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付ベースと、
前記取付ベースに回転可能に取り付けられた調節部品と、
前記調節部品と前記取付ベースとの間に取り付けられた第1復帰部品であって、前記調節部品が回転するときに、前記調節部品の回転方向と逆方向の付勢力を発生させることで前記調節部品を復帰させる第1復帰部品と、
前記取付ベースに回転可能に取り付けられた位置規制部品であって、前記位置規制部品における前記調節部品に対応する側に、異なる高さにあり、前記調節部品を位置規制するための複数の係止台が設けられており、前記調節部品を前記位置規制部品における対応する係止台に係設することにより、前記調節部品の位置調節を実現し、且つ、前記調節部品を回転させるときに、係止台により前記位置規制部品をともに回転するように連動させることができる位置規制部品と、
前記位置規制部品と前記取付ベースとの間に取り付けられた第2復帰部品であって、前記位置規制部品が回転するときに、前記第2復帰部品は、前記位置規制部品の回転方向と逆方向の付勢力を発生させることで前記位置規制部品を復帰させ、前記位置規制部品が限界位置に回転したときに、前記第2復帰部品は、変形して前記位置規制部品の回転方向と同じ方向の付勢力を発生させることで前記位置規制部品を限界位置に位置させ、このとき、前記調節部品が前記第1復帰部品の付勢力下で復帰し、前記位置規制部品に復帰の付勢力を印加し、前記第2復帰部品を復元させて前記位置規制部品を復帰させる第2復帰部品と、を備え、
前記位置規制部品は、最低位置にある係止台にフランジが設けられており、前記位置規制部品が限界位置にあるときに、前記調節部品は、復帰中において前記フランジに当接することにより前記位置規制部品に復帰の付勢力を印加し、前記調節部品及び前記位置規制部品の復帰がなされることを特徴とする、
自己復帰調節機構。
【請求項2】
前記調節部品は、第1回転軸により前記取付ベースに回転可能に取り付けられ、前記位置規制部品の前記第1回転軸に近接する側に当接面が形成されており、前記位置規制部品を前記当接面が前記第1回転軸に当接するまで回転させた場合に、前記位置規制部品が限界位置に位置するようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【請求項3】
前記第1復帰部品は、一端が前記調節部品に固定され、他端が前記取付ベースに固定される捻りバネである、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【請求項4】
前記第2復帰部品は、第1連結区分と、前記第1連結区分に連結された弧形区分と、前記弧形区分に連結された第2連結区分とを有する異形捻りバネであり、前記第1連結区分及び前記第2連結区分が前記弧形区分の両側に位置し、平行に設けられ、前記弧形区分が円弧状を呈し、前記第1連結区分は、前記位置規制部品に固定され、前記第2連結区分は、前記取付ベースに固定される、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【請求項5】
前記位置規制部品に異形口が開設されており、前記調節部品に前記異形口を抜ける位置決め凸条が設けられており、前記調節部品が前記位置規制部品において最高位置にある係止台に係設されると、前記位置決め凸条は、前記異形口の内壁と互いに貼着され、前記調節部品の回転を規制する、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【請求項6】
前記取付ベースは、底板を備え、前記位置規制部品において底板に近接する側に前記底板と貼着された貼着面が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【請求項7】
前記調節部品の底部には、対応する係止台に係設される係着面が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【請求項8】
前記調節部品において前記取付ベースから離れる端に連結軸が設けられており、前記連結軸の両端部のいずれにおいても一つのラグプレートが連結されている、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【請求項9】
2つのラグプレートの間に配置され、前記調節部品に対向して設けられた伝動部品をさらに備え、前記伝動部品は、頂部が2つのラグプレートに固定連結され、底部が前記取付ベースに回転可能に取り付けられ、前記伝動部品により前記調節部品を回転するように連動させる、ことを特徴とする請求項8に記載の自己復帰調節機構。
【請求項10】
前記調節部品は、第1回転軸により前記取付ベースに回転可能に取り付けられ、前記位置規制部品の前記第1回転軸に近接する側に当接面が形成されており、前記位置規制部品を前記当接面が前記第1回転軸に当接するまで回転させた場合に、前記位置規制部品が限界位置に位置するようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰調節機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車シート構造の分野に関し、特に自己復帰調節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントシートには、通常、ヘッドレストが設けられており、より快適な乗り心地を提供するために、当該ヘッドレストは、身長の異なる乗員の利用に適するように、調節可能な構造となっている。
従来、市販されている調節可能なヘッドレストは、設計上の構造が複雑であり、コストが高い。また、そのアンロック機構は、ボタンでアンロックする必要があり、ボタンによるアンロックは、複雑な力伝達過程であり、アンロック過程において力の損失が大きく、アンロック力を制御することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術の欠陥を克服して、従来の調節可能なヘッドレストにおける構造が複雑で、コストが高いこと、及びボタンによるアンロックにある、力伝達が複雑で、損失が大きく、制御が困難であること等の問題を解決する自己復帰調節機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を実現する技術方案は、以下のとおりである。
本発明は、取付ベースと、前記取付ベースに回転可能に取り付けられた調節部品と、前記調節部品と前記取付ベースとの間に取り付けられた第1復帰部品であって、前記調節部品が回転するときに、前記調節部品の回転方向と逆方向の付勢力を発生させることで前記調節部品を復帰させる第1復帰部品と、前記取付ベースに回転可能に取り付けられた位置規制部品であって、前記位置規制部品における前記調節部品に対応する側に、異なる高さにあり、前記調節部品を位置規制するための複数の係止台が設けられており、前記調節部品を前記位置規制部品における対応する係止台に係設することにより、前記調節部品の位置調節を実現し、且つ、前記調節部品を回転させるときに、係止台により前記位置規制部品をともに回転するように連動させることができる位置規制部品と、前記位置規制部品と前記取付ベースとの間に取り付けられた第2復帰部品であって、前記位置規制部品が回転するときに、前記第2復帰部品は、前記位置規制部品の回転方向と逆方向の付勢力を発生させることで前記位置規制部品を復帰させ、前記位置規制部品が限界位置に回転したときに、前記第2復帰部品は、変形して前記位置規制部品の回転方向と同じ方向の付勢力を発生させることで前記位置規制部品を限界位置に位置させ、このとき、前記調節部品が前記第1復帰部品の付勢力下で復帰し、前記位置規制部品に復帰の付勢力を印加し、前記第2復帰部品を復元させて前記位置規制部品を復帰させる第2復帰部品と、を備える自己復帰調節機構を提供する。
本発明に係る自己復帰調節機構は、ヘッドレストの強度を確保するとともに、ヘッドレストの核となる機構をコンパクト化し、構造が簡単であり、占有空間が小さく、組み立てが簡単であり、調節範囲が大きく、耐衝撃強度が高くなる。本発明に係る自己復帰調節機構は、自動的アンロックという方式を利用することで、コストを節約し、アンロック過程を簡単で制御可能にすることができる。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記位置規制部品は、最低位置にある係止台にフランジが設けられており、前記位置規制部品が限界位置にあるときに、前記調節部品は、復帰中において前記フランジに当接することにより前記位置規制部品に復帰の付勢力を印加し、前記調節部品及び前記位置規制部品の復帰がなされる。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記調節部品は、第1回転軸により前記取付ベースに回転可能に取り付けられ、前記位置規制部品の前記第1回転軸に近接する側に当接面が形成されており、前記位置規制部品を前記当接面が前記第1回転軸に当接するまで回転させた場合に、前記位置規制部品が限界位置に位置するようにする。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記第1復帰部品は、一端が前記調節部品に固定され、他端が前記取付ベースに固定される捻りバネである。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記第2復帰部品は、第1連結区分と、前記第1連結区分に連結された弧形区分と、前記弧形区分に連結された第2連結区分とを有する異形捻りバネであり、前記第1連結区分及び前記第2連結区分が前記弧形区分の両側に位置し、平行に設けられ、前記弧形区分が円弧状を呈し、前記第1連結区分は、前記位置規制部品に固定され、前記第2連結区分は、前記取付ベースに固定される。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記位置規制部品に異形口が開設されており、前記調節部品に前記異形口を抜ける位置決め凸条が設けられており、前記調節部品が前記位置規制部品において最高位置にある係止台に係設されると、前記位置決め凸条は、前記異形口の内壁と互いに貼着され、前記調節部品の回転を規制する。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記取付ベースは、底板を備え、前記位置規制部品において底板に近接する側に前記底板と貼着された貼着面が設けられている。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記調節部品の底部には、対応する係止台に係設される係着面が形成されている。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、前記調節部品において前記取付ベースから離れる端に連結軸が設けられており、前記連結軸の両端部のいずれにおいても一つのラグプレートが連結されている。
本発明に係る自己復帰調節機構のさらなる改良として、2つのラグプレートの間に配置され、前記調節部品に対向して設けられた伝動部品をさらに備え、前記伝動部品は、頂部が2つのラグプレートに固定連結され、底部が前記取付ベースに回転可能に取り付けられ、前記伝動部品により前記調節部品を回転するように連動させる。
本発明は、自動車分野のヘッドレスト、アームレスト、レッグレスト、フートレストに応用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明に係る自己復帰調節機構の構造模式図。
【
図3】本発明に係る自己復帰調節機構の他方側の構造模式図。
【
図5】本発明に係る自己復帰調節機構において調節部品を省略してから第2復帰部品を露出させた構造模式図。
【
図6】本発明に係る自己復帰調節機構の最低位置にある係止台における構造模式図。
【
図7】
図6に示される状態で第2復帰部品を透視した構造模式図。
【
図8】本発明に係る自己復帰調節機構の調節過程の構造模式図。
【
図9】
図8に示される状態での調節部品と位置規制部品との接する箇所の部分拡大模式図。
【
図10】
図8に示される状態で第2復帰部品を透視した構造模式図。
【
図11】本発明に係る自己復帰調節機構の第1ギアにある係止台における構造模式図。
【
図12】本発明に係る自己復帰調節機構の最高位置にある係止台における構造模式図。
【
図13】本発明に係る自己復帰調節機構の復帰過程の分解構造模式図。
【
図14】
図13に示される状態での調節部品と位置規制部品との接する箇所の部分拡大模式図。
【
図15】
図13に示される状態で第2復帰部品を透視した構造模式図。
【
図17】
図16における位置決め凸条及び異形口における部分拡大模式図。
【
図18】本発明に係る自己復帰調節機構の復帰過程の分解構造模式図。
【
図19】
図18に示される状態で第2復帰部品を透視した構造模式図。
【
図20】本発明に係る自己復帰調節機構の復帰過程の分解構造模式図。
【
図21】
図20に示される状態での調節部品と位置規制部品との接する箇所の部分拡大模式図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。
【0007】
図1を参照する。本発明は、ヘッドレストの強度を確保するとともに、ヘッドレストの核となる機構をコンパクト化する自己復帰調節機構を提供する。当該自己復帰調節機構は、自動車シートのヘッドレストに応用され、ヘッドレストの調節及び自動的な復帰を実現することができ、操作方法が簡単であり、占有空間が小さく、組み立てが簡単であり、調節範囲が大きく、耐衝撃強度が高くなる経済的なヘッドレストの核となる部品である。
本発明に係る自己復帰調節機構は、ヘッドレストへの応用に限定されず、自動車分野におけるアームレスト、レッグレスト及びフートレストなどの調節可能な部位にも応用されることができる。本発明に係る自己復帰調節機構は、従来のヘッドレストの核となるブラケットのプラスチック材料の代わりに、金属材料のブラケットを採用することで、構造を簡単でコンパクトにし、強度要求を満たし、重量を軽くし、材料及びコストを節約する。本発明は、自動的アンロックという方式を利用することで、コストを節約するという目的を実現するとともに、外観の全体性を維持し、簡単にし、見栄えを良くしつつ、効率的で制御可能にする。以下、図面を参照して、本発明に係る自己復帰調節機構を説明する。
【0008】
図1に、本発明に係る自己復帰調節機構の構造模式図が示されている。
図2に、
図1に示される構造の分解構造模式図が示されている。以下、
図1及び
図2を参照して、本発明に係る自己復帰調節機構を説明する。
【0009】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る自己復帰調節機構20は、取付ベース21、調節部品22、第1復帰部品23、位置規制部品24及び第2復帰部品25を備える。取付ベース21は、各部品に取り付けのベースを提供する。調節部品22は、取付ベース21に回転可能に取り付けられ、第1復帰部品23は、調節部品22と取付ベース21との間に取り付けられ、当該第1復帰部品23は、調節部品22が回転するときに、調節部品22の回転方向と逆方向の付勢力を発生させることで当該調節部品22を復帰させる。
位置規制部品24は、取付ベース21に回転可能に取り付けられ、
図5に示すように、当該位置規制部品24における調節部品22に対応する側に、異なる高さにあり、調節部品22を位置規制するための複数の係止台241が設けられており、調節部品22を位置規制部品24における対応する係止台241に係設することにより、調節部品22の位置調節を実現し、且つ、調節部品22を回転させるときに、異なる高さの複数の係止台241により位置規制部品24をともに回転するように連動させることができる。第2復帰部品25は、位置規制部品24と取付ベース21との間に取り付けられ、当該第2復帰部品25は、位置規制部品24が回転するときに、位置規制部品24の回転方向と逆方向の付勢力を発生させることで位置規制部品24を復帰させる。位置規制部品24が限界位置に回転したときに、当該第2復帰部品25は、変形して位置規制部品24の回転方向と同じ方向の付勢力を発生させることで位置規制部品24を限界位置に位置させ、このとき、調節部品22が第1復帰部品23の付勢力下で復帰し、位置規制部品24に復帰の付勢力を印加し、当該第2復帰部品25を復元させて位置規制部品24を復帰させる。
【0010】
具体的には、
図1及び
図3に示すように、本発明に係る自己復帰調節機構20は、自動車シートのヘッドレストに取り付けられ、調節部品22がヘッドレストに固定連結され、取付ベース21が自動車シートに連結され、調節部品22の回転によりヘッドレストの位置調節を実現する。取付ベース21は、前側211及び後側212を有し、調節部品22の回転調節方向として、後側212から前側211へ回転し、復帰方向として、前側211から後側212へ回転し復帰する。
【0011】
以下、自己復帰調節機構20の回転調節過程を説明する。
図6に示すように、初期に、調節部品22は、位置規制部品24の最低位置にある係止台241に位置し、位置規制部品24における係止台241は、階段状に設けられ、調節部品22を回転させて取付ベース21の周りに回転させる。
図8に示すように、調節部品22は、最低位置にある係止台241から第1ギアにある係止台241へ回転し、調節部品22によりプッシュされて、位置規制部品24もともに回転し、位置規制部品24が回転する場合に、第2復帰部品25は、その回転方向と逆方向の付勢力を発生させる。
図9に示すように、調節部品22が第1ギアにある係止台241に回転すると、
図11に示すように、位置規制部品24は、第2復帰部品25の作用下で復帰して、調節部品22を第1ギアにある係止台241上に係入させる。調節部品22の回転は、以上のように所望のギアに調節されることができ、第1復帰部品23は、常に調節部品22の回転方向と逆方向の付勢力を発生させているが、調節部品22が位置規制部品24の係止台241と互いに係合されるため、調節部品22は、ギアを調節するときに、復帰することができない。
図12、
図13及び
図18に示すように、調節部品22が最高位置にある係止台241に調節された後、調節部品22を回転させ続け、位置規制部品24を限界位置までプッシュする。
図18に示すように、このとき、第2復帰部品25は、変形して位置規制部品24の回転方向と同じ方向の付勢力を発生させることで、当該位置規制部品24を限界位置に位置させ、限界位置にある位置規制部品24における係止台241と調節部品22の間に一定の隙間があり、係止台241が調節部品22を位置規制しないようにする。このとき、調節部品22に印加された回転力を緩めると、当該調節部品22は、第1復帰部品23の付勢力下で元の位置に落ち戻る。
図20に示すように、調節部品22は、復帰中において位置規制部品24に当たり位置規制部品24に復帰の付勢力を印加し、当該第2復帰部品25を復元させて位置規制部品24を復帰させ、自己復帰調節機構を
図6に示される状態に復帰させる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、
図5及び
図6に示すように、位置規制部品24は、最低位置にある係止台241にフランジ242が設けられており、当該フランジ242は、位置規制部品24において調節部品22に対応する側に外へ突出する。
図19に示すように、
図19に示される位置規制部品24の状態で、フランジ242の先端面は、係止台241の外端面から突出し、
図20及び
図21に示すように、位置規制部品24が限界位置にあるときに、調節部品22は、復帰中においてフランジ242に当接することにより位置規制部品24に復帰の付勢力を印加し、調節部品22及び位置規制部品24の復帰がなされる。フランジ242は、調節部品22の落ち戻りを阻止し、フランジ242の位置規制により調節部品22を最低位置にある係止台241に係入することを可能とするように位置が設定される。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態として、
図1〜
図4に示すように、調節部品22は、第1回転軸31により取付ベース21に回転可能に取り付けられ、第1回転軸31は、調節部品22及び取付ベース21を貫通して設けられ、当該調節部品22は、第1回転軸31により回転調節を実現することができる。
図6に示すように、位置規制部品24の当該第1回転軸31に近接する側に当接面243が形成されており、
図18に示すように、位置規制部品24を当接面243が第1回転軸31に当接するまで回転させた場合に、位置規制部品24が限界位置に位置するようにする。
【0014】
位置規制部品24は、第2回転軸33により取付ベース21に回転可能に取り付けられ、当該第2回転軸33は、位置規制部品24及び取付ベース21を貫通して設けられ、当該位置規制部品24は、第2回転軸33により回転調節を実現することができる。取付時に、位置規制部品24は、取付ベース21の後側212の近くに取り付けられ、調節部品22は、取付ベース21の中部に取り付けられ、調節部品22は、位置規制部品24の前側に位置するようにする。このように、位置規制部品24は、回転するときに、第1回転軸31により位置規制作用を奏し、位置規制部品24が第1回転軸31に当接するまで回転すると、第1回転軸31の制限により、当該位置規制部品24を限界位置に位置させる。
【0015】
本発明のまた別の好ましい実施形態として、
図2〜
図4に示すように、第1復帰部品23は、調節部品22に固定される第1取付端231と、取付ベース21に固定される第2取付端232とを有する捻りバネである。これにより、調節部品22を回転させるときに、捻りバネは、調節部品22の回転方向と逆方向の弾性力を発生させる。好ましくは、調節部品22の側部に取付穴223が設けられており、捻りバネの第1取付端231は、取付穴223内に挿入されて固定され、取付ベース21の前側211に切欠き216が設けられており、捻りバネの第2取付端232は、当該切欠き216内に係入されて固定される。
【0016】
本発明のさらに別の好ましい実施形態として、
図2及び
図5に示すように、第2復帰部品25は、第1連結区分251と、第1連結区分251に連結された弧形区分252と、弧形区分252に連結された第2連結区分253とを有する異形捻りバネであり、当該第1連結区分251及び第2連結区分253が弧形区分252の両側に位置し、平行に設けられ、当該弧形区分252は、円弧状を呈する。当該異形捻りバネを取り付けるときに、第1連結区分251を位置規制部品24に固定し、第2連結区分253を取付ベース21に固定する。好ましくは、
図7に示すように、位置規制部品24に貫通穴246が開設されており、第1連結区分251を当該貫通穴246内に挿入して固定する。取付ベース21の後側212に立て板215が設けられており、当該立て板215にも貫通穴が開設されており、第2連結区分253を当該立て板215の貫通穴内に挿入して固定する。異形捻りバネの第1連結区分251及び第2連結区分253を固定した後、弧形区分252を位置規制部品24の表面に貼設する。
【0017】
具体的には、異形捻りバネの稼動原理は、以下のとおりである。
図7に示すように、初期状態で、即ち調節部品22が最低位置にある係止台241に係入される場合に、第1連結区分251と第2連結区分253とは遠く離れ、このとき、異形捻りバネが自然状態にある。
図10に示すように、調節部品22が回転して位置規制部品24を回転するように連動させるときに、位置規制部品24は、第2回転軸33の周りに回転し、回転方向は、
図10における反時計回り方向であり、第1連結区分251は、第2連結区分253に向かって近接し、弧形区分252は、変形して元の形状に回復しようとする弾性力を発生させ、調節部品22が第1ギアにある係止台241に回転したときに、弧形区分252の弾性力作用下で位置規制部品24を回転させて元の位置に回復させ、第1ギアにある係止台241が調節部品22と互いに係合されるようにする。
図12〜15に示すように、調節部品22が最高位置にある係止台241に位置して反時計回りに回転し続けるときに、位置規制部品24もさらに回転する。
図19に示すように、第1連結区分251は、さらに第2連結区分253に近接し、当該第1連結区分251と第2連結区分253とが貼着に近い状態にあるときに、弧形区分252が拡開され、円形状をなし、当該弧形区分252は、その限界位置まで変形して位置規制部品24を支持する付勢力を発生させる。つまり弧形区分252は、位置規制部品24の反時計回りの回転方向と同じ方向の付勢力を発生させ、位置規制部品24の当接面243を第1回転軸31に当接させ、複数の係止台241は、調節部品22を位置規制せず、このとき、調節部品22が加えられた回転力に接触した後、捻りバネの作用下で時計回りに回転するようにする。調節部品22の底部が位置規制部品24のフランジ242に当たると、位置規制部品24に時計回りの付勢力を印加し、位置規制部品24を時計回りに回転させ、第1連結区分251は、第2連結区分253から離れる方向へ移動し、弧形区分252は、変形から回復し、さらに位置規制部品24への時計回りの付勢力の印加を生じさせ、位置規制部品24を復帰させ、調節部品22及び位置規制部品24を
図6に示される状態に復帰させる。
【0018】
本発明のさらにまた別の好ましい実施形態として、
図6、
図16及び
図17に示すように、調節部品22が回転し過ぎて位置規制部品24の一方側から脱落することを防止するために、本発明における位置規制部品24に異形口244が開設されており、調節部品22に当該異形口244を抜ける位置決め凸条221が設けられている。
図12に示すように、調節部品22が最高位置にある係止台241に位置するときに、当該位置決め凸条221は、異形口244の内壁と互いに貼着されて調節部品22の回転、即ち、調節部品22と位置規制部品24との間の相対回転を規制する。
図13に示すように、調節部品22が反時計回りに回転し続けるときに、当該位置決め凸条221は、異形口244の内壁と互いに嵌合して位置規制部品24をともに回転するように連動させ、位置決め凸条221及び異形口244を設けることにより、調節部品22と位置規制部品24とを互いに分離しないようにすることができる。
【0019】
さらに、
図2に示すように、取付ベース21は、底板213を備え、
図6に示すように、位置規制部品24において底板213に近接する側に底板213と貼着された貼着面245が設けられている。初期状態で、即ち調節部品22が最低位置にある係止台241に係入される場合に、貼着面245は、取付ベース21の底板213と互いに貼着され、自己復帰調節機構20に、高い安定性を持たせる。
図8に示すように、調節部品22がギアを調節するときに、調節部品22は、位置規制部品24に当接して位置規制部品24を反時計回りに回転させ、貼着面245は底板213から離れるようになる。
図9及び
図10に示すように、調節部品22の底部が最低位置にある係止台241と第1ギアにある係止台241との連結側部の頂部から第1ギアにある係止台241の上に移動するときに、
図11に示すように、第2復帰部品25は、位置規制部品24を復帰させ、貼着面245を底板213に貼着させる。これにより、一回のギア調節がなされる。
【0020】
本発明における取付ベース21は、底板213に一対の翼板214が設けられており、一対の翼板214により調節部品22及び位置規制部品24を取り付ける。対向して設けられた一対の翼板214によって、調節部品22及び位置規制部品24の取付の構造安定性を向上させる。好ましくは、当該取付ベース21は、U字状構造を呈するが、もちろん、本発明における取付ベース21は、他の形状、例えば枠型であってもよい。
【0021】
本発明のさらにまた別の好ましい実施形態として、
図2に示すように、調節部品22の底部には、対応する係止台241に係設される係着面222が設けられている。
図6に示すように、調節部品22の係着面222は、位置規制部品24の係止台241に係設され、係止台241により当該係着面222を受けて調節部品22の位置を位置規制する。係着面222は、調節部品22の底部に設けられ、好ましくは、調節部品22は、底部に係着面222が形成された調節板を備え、調節板の両側に連結用の連結翼板が連結されており、連結翼板の底部及び頂部がいずれも調節板の底部及び頂部から突出して連結端部を形成し、第1回転軸31は、底部の連結端部及び取付ベース21を抜けて、取付ベース21への調節部品22の回転可能な取付を実現する。調節部品22の頂部における連結端部に連結軸32が設けられており、連結軸32の両端部のいずれにおいても一つのラグプレート26が連結されている。
図1に示すように、連結軸32により調節部品22と2つのラグプレート26とを連結し、2つのラグプレート26は、調節部品22の頂部の両側に設けられ、ラグプレート26により本発明に係る自己復帰調節機構20をヘッドレストに連結する。本発明に係る自己復帰調節機構20の取付ベース21は、ヘッドレストを自動車シートに取り付けるために用いられる。
【0022】
図2及び
図3に示すように、当該自己復帰調節機構20は、2つのラグプレート26の間に配置され、調節部品22に対向して設けられた伝動部品27をさらに備え、当該伝動部品27の頂部は、2つのラグプレート26に固定連結され、好ましくは、リベット35によりラグプレート26と伝動部品27の頂部とを締め付けて連結し、伝動部品27の底部は、取付ベース21に回転可能に取り付けられ、伝動部品27により調節部品22を回転するように連動させる。当該伝動部品27は、能動アームとして、ヘッドレストへの付勢力を調節部品22に伝達する。好ましくは、当該伝動部品27の底部は、第3回転軸34により取付ベース21に回転可能に取り付けられる。
【0023】
以上、図面及び実施例によって、本発明を詳細に説明した。当業者は、前記説明により本発明に対して様々な変形例をなすことができる。そのため、実施例におけるいくつかの細部は、本発明を限定すべきではなく、本発明は、添付された特許請求の範囲に規定された範囲を本発明の保護範囲としている。