(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路内蔵部材は、導電性を有し且つ一方が前記処理回路に接続されるとともに他方が前記封止部の外部に露出し、前記電気信号が入力される入力信号電極をさらに含み、
前記入力信号電極は、前記封止部の前記一端側から当該封止部の外部に突出すること
を特徴とする請求項1記載の圧力検出装置。
前記接地電極は、前記封止部の側面から当該封止部の外部に突出するとともに、当該接地電極が折り曲げられることによって当該封止部の前記背面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の圧力検出装置。
前記接地電極は、前記封止部の側面から当該封止部の外部に突出するとともに、当該接地電極が折り曲げられることによって当該封止部の背面に設けられており、当該背面においてC字状を呈していることを特徴とする請求項5記載の圧力検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[圧力検出システムの構成]
図1は、実施の形態に係る圧力検出システム1の概略構成図である。
この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置100と、圧力検出装置20と制御装置100とを電気的に接続する接続ケーブル80とを備えている。
【0010】
ここで、圧力の検出対象となる内燃機関10は、内部にシリンダが形成されたシリンダブロック11と、シリンダ内を往復運動するピストン12と、シリンダブロック11に締結されてピストン12等とともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド13とを有している。また、シリンダヘッド13には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔13aが設けられている。この連通孔13aの内側には、図示しない雌ねじが設けられている。そして、この連通孔13aに圧力検出装置20の先端側を挿入するとともに、圧力検出装置20をシリンダヘッド13に固定することで、内燃機関10に対して圧力検出装置20を取り付けている。より具体的に説明すると、連通孔13aに設けられた雌ねじに、圧力検出装置20の先端側に設けられた雄ねじをねじ込むことで、圧力検出装置20の取り付けを行っている。ここで、内燃機関10を構成するシリンダブロック11、ピストン12およびシリンダヘッド13は、鋳鉄やアルミニウム等、導電性を有する金属材料で構成されている。
【0011】
[圧力検出装置の構成]
図2は、圧力検出装置の側面図である。また、
図3は、圧力検出装置20の断面図(
図2のIII−III断面図)である。さらに、
図4は、圧力検出装置20の先端側(
図3のIV領域)の拡大断面図である。
【0012】
圧力検出装置20は、全体として筒状を呈するとともに外部に露出するように設けられる筐体部30と、圧力を検出するための各種機構を含み、ほぼ全体が筐体部30の内部に収容されるとともに一部が外部に露出するように設けられ、接続ケーブル80が接続される検出機構部40とを有している。そして、圧力検出装置20は、
図1に示す内燃機関10に対し、
図2における左側が燃焼室C(
図1では下側)を向くとともに、
図2における右側が外部(
図1では上側)を向くように取り付けられる。なお、以下の説明では、
図2において、図中左に向かう側を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右に向かう側を圧力検出装置20の「後端側」と称する。また、以下の説明では、
図2等に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に「中心線方向」と称する。ここで、本実施の形態では、「中心線方向」が軸方向の一例であり、「先端側」が一端側の一例であり、「後端側」が他端側の一例である。
【0013】
(筐体部の構成)
筐体部30は、先端外部筐体31と、先端外部筐体31の先端側に取り付けられたダイアフラムヘッド32とを備えている。また、筐体部30は、先端外部筐体31の内側であってダイアフラムヘッド32の後端側に取り付けられた第1内部筐体33と、先端外部筐体31および第1内部筐体33の内側であってダイアフラムヘッド32の後端側に取り付けられた第2内部筐体34とを備えている。さらに、筐体部30は、先端外部筐体31の後端側に取り付けられた後端外部筐体35を備えている。筐体部30において、先端外部筐体31、ダイアフラムヘッド32および後端外部筐体35は外部に露出する。これに対し、第1内部筐体33および第2内部筐体34は外部に露出せず、先端外部筐体31の内側に収容されるようになっている。
【0014】
〔先端外部筐体〕
先端外部筐体31は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。先端外部筐体31は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。また、先端外部筐体31は、先端側から後端側に向かって、外径が最も小さい小径部31aと、外径が最も大きい大径部31bと、外径がこれらの中間となる中径部31cとを有している。そして、先端外部筐体31における小径部31aの先端側の外周面には、雄ねじ31dが設けられている。
【0015】
〔ダイアフラムヘッド〕
ダイアフラムヘッド32は、全体として円板状を呈する部材である。ダイアフラムヘッド32は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。ダイアフラムヘッド32は、先端外部筐体31における先端側の開口部を塞ぐように設けられている。そして、ダイアフラムヘッド32と先端外部筐体31との境界部には、全周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0016】
〔第1内部筐体〕
第1内部筐体33は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第1内部筐体33は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。第1内部筐体33は、その全体が先端外部筐体31の内部に収容されるとともに、その先端側の一部がダイアフラムヘッド32の後端側の一部に突き当たるように設けられている。そして、第1内部筐体33とダイアフラムヘッド32との境界部には、全周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0017】
〔第2内部筐体〕
第2内部筐体34は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第2内部筐体34は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。第2内部筐体34は、その全体が先端外部筐体31の内部に収容されるとともに、後端側を除くほぼ全域が第1内部筐体33の内部に収容されるように設けられている。そして、第2内部筐体34と第1内部筐体33との境界部には、全周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0018】
〔後端外部筐体〕
収容部材の一例としての後端外部筐体35は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。後端外部筐体35は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス鋼等の金属材料で構成されている。また、後端外部筐体35は、先端側から後端側に向かって、第1筒状部35aと、第2筒状部35bと、第3筒状部35cと、第4筒状部35dと、第5筒状部35eとを有している。ここで、第1筒状部35a、第2筒状部35b、第3筒状部35cおよび第4筒状部35dは、この順で外径が小さくなっている。これに対し、第5筒状部35eは、隣接する第4筒状部35dよりも外径が大きくなっており、第3筒状部35cとほぼ同じになっている。また、後端外部筐体35では、先端側の内部が第1内径部35fとなっており、後端側の内部が第2内径部35gとなっている。ここで、第2内径部35gは、第1内径部35fよりも内径が小さくなっており、第1内径部35fと第2内径部35gとの境界には、内側段差部35hが設けられている。後端外部筐体35における第1筒状部35aの先端側は、先端外部筐体31における大径部31bの後端側に突き当たるように設けられている。そして、後端外部筐体35と先端外部筐体31との境界部には、全周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0019】
なお、上述した各溶接部位については、必ずしもそれぞれの全周にわたって形成する必要はなく、複数個のレーザスポットを形成するスポット溶接により形成してもよい。
【0020】
(検出機構部の構成)
検出機構部40は、圧電素子41と、先端電極部材42と、後端電極部材43と、絶縁部材44と、コイルばね45と、回路内蔵部材46と、接続部材47と、閉塞部材48とを備えている。
【0021】
〔圧電素子〕
圧電素子41は、全体として円柱状を呈する部材である。圧電素子41は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を備えている。圧電素子41は、先端外部筐体31(および第1内部筐体33)の内側に配置されている。
【0022】
ここで、圧電縦効果とは、圧電体の電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。したがって、この例では、中心線方向に沿う圧力の変化に応じて、圧電素子41の先端側の面と後端側の面とに、発生した電荷による信号(電荷信号:電気信号の一例)が出力されることになる。
【0023】
次に、圧電素子41に圧電横効果を利用した場合を例示する。圧電横効果とは、圧電体の電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。薄板状に薄く形成した圧電体を複数枚積層して構成しても良く、このように積層することで、圧電体に発生する電荷を効率的に集めてセンサの感度を上げることができる。圧電素子41で使用可能な圧電体としては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LTGA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを使用することを例示することができる。また、圧電素子41で用いる圧電体としては、上述した無機材料で構成された単結晶(無機単結晶)を用いるとよく、特にランガサイト系単結晶を用いることが望ましい。
【0024】
〔先端電極部材〕
先端電極部材42は、全体として円柱状を呈する部材である。先端電極部材42は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。先端電極部材42は、先端外部筐体31(第1内部筐体33)の内側且つ圧電素子41の先端側に配置されており、先端電極部材42の後端側の面が、圧電素子41の先端側の面と接触するようになっている。また、先端電極部材42の先端側の面は、ダイアフラムヘッド32の中央部から後端側に向かって突出する凸部の面と接触するようになっている。そして、先端電極部材42の外径は、圧電素子41の外径よりも大きくなっている。
【0025】
〔後端電極部材〕
後端電極部材43は、全体として独楽状を呈する部材である。より具体的に説明すると、後端電極部材43は、T字状の断面を有しており、先端側の外径よりも後端側の外径が小さくなっている。後端電極部材43は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。後端電極部材43は、先端外部筐体31(第1内部筐体33)の内側に配置されており、後端電極部材43の先端側の面が、圧電素子41の後端側の面と接触するようになっている。また、後端電極部材43の先端側の外径は、圧電素子41の外径よりもわずかに大きくなっており、後端電極部材43の後端側の外径は、圧電素子41の外径よりも小さくなっている。
【0026】
〔絶縁部材〕
絶縁部材44は、中空構造を有し且つ全体として環状(円筒状)を呈する部材である。絶縁部材44は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。絶縁部材44は、先端外部筐体31(第1内部筐体33)の内側且つ後端電極部材43の後端側に配置されており、絶縁部材44の先端側の面が、後端電極部材43の先端側における後端側の面と接触するようになっている。また、絶縁部材44に設けられた貫通孔の先端側には、後端電極部材43の後端側に設けられた凸部が挿入されるようになっている。さらに、絶縁部材44の後端側の面は、第2内部筐体34の先端側の面と接触するようになっている。これにより、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43および絶縁部材44は、第1内部筐体33を介して、ダイアフラムヘッド32と第2内部筐体34とによって挟み込まれ、固定されるようになっている。このとき、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43および絶縁部材44と、第1内部筐体33の内周面との間には、ギャップが存在していることが望ましい。
【0027】
〔コイルばね〕
コイルばね45は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するようになっている。コイルばね45は、導電性を有するリン青銅等の金属材料によって構成されている。コイルばね45は、先端外部筐体31(第1内部筐体33)の内側であって、絶縁部材44の内部と第2内部筐体34の内部とに跨がって配置されている。このため、コイルばね45の外径は、絶縁部材44に設けられた貫通孔の内径よりも小さくなっている。そして、コイルばね45の先端側は、絶縁部材44の内部において後端電極部材43の後端側の面と接触している。
【0028】
〔回路内蔵部材〕
回路内蔵部材46は、圧電素子41が出力する微弱な電荷による電気信号に処理を施す回路基板50と、回路基板50を内部に収容することで回路基板50を封止する封止部60とを備えている。また、回路内蔵部材46は、回路基板50と電気的に接続される、入力信号電極71、入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75をさらに備えている。ここで、入力信号電極71は、回路基板50よりも先端側に設けられており、入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75は、回路基板50よりも後端側に設けられている。そして、これら入力信号電極71〜出力接地電極75は、それぞれの一端側が封止部60に封止されて回路基板50に接続される一方、それぞれの他端側は封止部60によって覆われることなく外部に露出している。なお、入力信号電極71〜出力接地電極75は、それぞれ、導電性を有する板状の金属材料によって構成されている。
【0029】
入力信号電極71は、中心線方向に沿って延びるとともに回路基板50に接続される基部711と、基部711の先端側に突出する突出部712とを有している。ここで、突出部712の幅(中心線方向と交差する方向の長さ)は、基部711の幅よりも狭くなっており、コイルばね45の内径よりも小さくなっている。入力信号電極71は、突出部712の全体と基部711の先端側とが、封止部60によって覆われることなく露出している。そして、この部位が、第2内部筐体34の内側に挿入されるとともに、突出部712にはコイルばね45の後端側が巻き付くようになっている。
【0030】
入力接地電極72は、詳細は後述するが、その一部が皿ばね形状を呈しており、この皿ばね形状を呈する部位が、後端外部筐体35の内側に設けられた内側段差部35hに突き当たるようになっている。なお、回路内蔵部材46の詳細については後述する。
【0031】
〔接続部材〕
接続部材47は、全体として柱状を呈する部材である。接続部材47は、絶縁性を有するPPSあるいはPPT等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等を含んでいる。接続部材47は、後端外部筐体35の内側に配置されている。接続部材47の先端側には、回路内蔵部材46の後端側が対峙しており、回路内蔵部材46に設けられた受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75の、それぞれの後端側が挿入されている。
【0032】
〔閉塞部材〕
閉塞部材48は、全体として柱状を呈する部材である。ただし、閉塞部材48には、中心線方向に沿って3つの貫通孔が形成されている。閉塞部材48は、絶縁性を有するゴム材料で構成されている。閉塞部材48は、その先端側が後端外部筐体35の内側に配置され、その後端側が後端外部筐体35の後端よりも外側に飛び出している。閉塞部材48の先端側は、接続部材47の後端側に対峙している。また、閉塞部材48に設けられた3つの貫通孔には、接続ケーブル80を構成する各電線(詳細は後述する)が挿入されている。閉塞部材48の外径は、後端外部筐体35の後端側(第2内径部35g)の内径よりもわずかに大きくなっており、後端外部筐体35と閉塞部材48とは、圧入(しまりばめ)により一体化している。
【0033】
[接続ケーブルの構成]
接続ケーブル80は、撚り合わせられた電源線81、信号線82および接地線83と、これら電源線81、信号線82および接地線83の外周を覆う被覆部材84と、電源線81、信号線82および接地線83と、被覆部材84との隙間を埋める介在物85とを備えている。そして、電源線81は受電電極73に、信号線82は出力信号電極74に、接地線83は出力接地電極75に、接続部材47を介してそれぞれ接続される。ここで、電源線81、信号線82および接地線83は、それぞれ、錫メッキ軟銅撚り線で構成された導体部と、電子線等を用いて架橋構造を強化してなるポリエチレン(架橋ポリエチレン)等で構成されるとともに導体部の外周を被覆して絶縁する絶縁部とを有している。また、被覆部材は、絶縁性を有するゴム材料または樹脂材料で構成されている。なお、接続ケーブル80には、必要に応じて、電源線81、信号線82および接地線83を遮へいする遮へい体を設けてもかまわない。
【0034】
[回路内蔵部材の構成]
次に、上述した回路内蔵部材46の詳細について説明を行う。
図5は、圧力検出装置20に設けられた回路内蔵部材46の構成を説明するための図である。より具体的に説明すると、
図5(a)は回路内蔵部材46の斜視図であり、
図5(b)は回路内蔵部材の側面図である。ここで、
図5(a)においては、図中左上側が先端側であり、図中右下側が後端側である。また、
図5(b)においては、図中左側が先端側であり、図中右側が後端側である。
【0035】
回路内蔵部材46は、上述したように、回路基板50と封止部60とを備えている(
図3参照)。また、回路内蔵部材46は、入力信号電極71と、入力接地電極72と、受電電極73と、出力信号電極74と、出力接地電極75とをさらに備えている。
【0036】
(回路基板)
図6は、回路内蔵部材46に設けられた回路基板50の概略構成図である。ただし、
図6は、回路基板50と、入力信号電極71〜出力接地電極75との接続関係も、併せて示している。以下では、
図5および
図6を参照しながら、回路基板50の説明を行う。
【0037】
回路基板50は、全体として矩形の板状を呈する部材である。回路基板50は、各種電子部品(回路素子)を実装するための配線パターンが形成されたプリント配線基板51と、プリント配線基板51に実装された処理回路52とを有している。
【0038】
本実施の形態では、プリント配線基板51として、ガラス布基材エポキシ樹脂をベースとした所謂ガラエポ基板を用いている。そして、プリント配線基板51には、入出力用の端子として、入力信号端子51a、入力接地端子51b、受電端子51c、出力信号端子51dおよび出力接地端子51eが設けられている。
【0039】
ここで、入力信号端子51aには、入力信号電極71を介して、圧力検出装置20における正の経路(詳細は後述する)が接続され、入力接地端子51bには、入力接地電極72を介して、圧力検出装置20における負の経路(詳細は後述する)が接続される。これに対し、受電端子51cには、受電電極73を介して電源線81が接続され、出力信号端子51dには、出力信号電極74を介して信号線82が接続され、出力接地端子51eには、出力接地電極75を介して接地線83が接続される。なお、プリント配線基板51では、入力接地端子51bと出力接地端子51eとが、内部で接続されている。
【0040】
また、処理回路52は、圧電素子41から入力信号端子51aを介して入力されてくる電荷信号を積分して電圧信号に変換する積分回路52aと、変換後の電圧信号を増幅して出力信号端子51dに出力する増幅回路52bとを有している。ここで、積分回路52aおよび増幅回路52bには、それぞれ演算増幅器(図示せず)が設けられており、受電端子51cを介して、これらを動作させるための電源電圧が供給される。また、積分回路52aおよび増幅回路52bのグランドは、入力接地端子51bおよび出力接地端子51eに接続される。なお、この例において、処理回路52は、所謂集積回路(IC)で構成されている。
【0041】
(封止部)
今度は、主として
図5を参照しつつ、封止部60の説明を行う。
封止部60は、全体として柱状を呈する部材である。封止部60は、絶縁性を有するエポキシ等の合成樹脂材料によって構成されている。封止部60は、相対的に先端側に位置する先端側封止部61と、先端側封止部61の後端側に位置する後端側封止部62とを備えている。そして、後端側封止部62は、先端側封止部61と比べて外径が大きく(太く)なっている。
【0042】
先端側封止部61は、先端側から順に、先端側第1封止部611と、先端側第2封止部612と、先端側第3封止部613とを有している。本実施の形態において、先端側第1封止部611〜先端側第3封止部613は、それぞれ多角形状の外観を有している。また、先端側第1封止部611および先端側第3封止部613は、先端側第2封止部612よりも外径が大きくなっている。さらに、先端側第1封止部611および先端側第3封止部613の外径は、ほぼ等しくなっている。なお、以下では、先端側第1封止部611の外周面を先端側第1側面61aと呼び、先端側第2封止部612の外周面を先端側第2側面61bと呼び、先端側第3封止部613の外周面を先端側第3側面61cと呼ぶ。また、先端側第1封止部611における先端側の面を先端側前面61dと呼ぶ。
【0043】
後端側封止部62は、先端側から順に、後端側第1封止部621と、後端側第2封止部622と、後端側第3封止部623とを有している。ここで、後端側第1封止部621は、上述した先端側第3封止部613の後端側に位置している。本実施の形態において、後端側第1封止部621〜後端側第3封止部623は、それぞれ多角形状の外観を有している。また、後端側第1封止部621および後端側第3封止部623は、後端側第2封止部622よりも外径が大きくなっている。さらに、後端側第1封止部621および後端側第3封止部623の外径は、ほぼ等しくなっている。なお、以下では、後端側第1封止部621の外周面を後端側第1側面62aと呼び、後端側第2封止部622の外周面を後端側第2側面62bと呼び、後端側第3封止部623の外周面を後端側第3側面62cと呼ぶ。また、後端側第1封止部621における先端側の面を後端側前面62dと呼び、後端側第3封止部623における後端側の面を後端側背面62eと呼ぶ。本実施の形態では、後端側背面62eが背面の一例となっている。
【0044】
(入力信号電極)
入力信号電極71は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。入力信号電極71は、導電性および弾性を有するリードフレーム用の金属材料によって構成されている。入力信号電極71は、一端が回路基板50の先端側に接続されるとともに他端が先端側に延びており、先端側封止部61を貫通して設けられる(
図3も参照)。入力信号電極71は、上述したように、回路基板50に接続される基部711と、基部711の先端側に設けられる突出部712とを有している。そして、基部711の先端側と突出部712とは、先端側封止部61の先端側前面61dから外部に突出して露出している。入力信号電極71は、コイルばね45を介して後端電極部材43と接続される(
図4参照)。なお、本実施の形態の入力信号電極71は、細長い板状を呈しているが、突出部712側を除く基部711のほぼ全域が封止部60(先端側封止部61)によって覆われているため、たわみ等が生じにくくなっている。
【0045】
(入力接地電極)
接地電極の一例としての入力接地電極72は、全体としてL字状とC字状とを組み合わせた板状を呈する部材である(後述する
図7(a)も参照)。入力接地電極72は、導電性および弾性を有するリードフレーム用の金属材料によって構成されている。入力接地電極72は、一端が回路基板50の側端側に接続されるとともに他端が側端側に延びており、後端側封止部62を貫通して設けられている(
図3も参照)。そして、入力接地電極72の後端側は、後端側封止部62の側端から後端に向かって複数の箇所で折曲げられており、最も後端となる部位(C字状を呈する部位)は、後端側封止部62の後端側背面62eに位置している。
【0046】
ここで、入力接地電極72の具体的な構成について説明を行う。
入力接地電極72は、後端側封止部62における後端側第2封止部622(後端側第2側面62b)から、それぞれ側方に突出して設けられる第1突出部721および第2突出部722と、L字状を呈し且つ一端が第1突出部721および第2突出部722と連結される本体部723と、C字状を呈し且つ本体部723の他端に連結される皿ばね部724とを有している。ここで、第1突出部721および第2突出部722には、後端側第2側面62bに沿った折り曲げ加工が施されている。また、本体部723には、後端側第2側面62bおよび後端側第3側面62cに沿った折り曲げ加工が施されている。さらに、本体部723と皿ばね部724との境界部には、後端側第3側面62cと後端側背面62eとが成す角に沿った折り曲げ加工が施されている。
【0047】
また、皿ばね部724は、C字状を呈し且つ本体部723と連結される湾曲部7241と、湾曲部7241と一体化するとともに湾曲部7241から後端側に向かって折り曲げられてなる2つの突当部7242とを有している。これらのうち、湾曲部7241は、後端側封止部62の後端側背面62eと接触する位置に設けられる。これに対し、突当部7242は、後端側背面62eとは接触しない位置に設けられる。これにより、後端側から皿ばね部724を押したときに、湾曲部7241が後端側背面62eと接触した状態で、突当部7242が先端側に向かって潰れる側に弾性変形することで、皿ばね部724がばね(皿ばね)として機能するようになっている。皿ばね部724(突当部7242)は、後端外部筐体35の内側段差部35hに接触するようになっている。
【0048】
(受電電極)
受電電極73は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。受電電極73も、導電性および弾性を有するリードフレーム用の金属材料によって構成されている。受電電極73は、一端が回路基板50の後端側に接続されるとともに他端が後端側に延びており、後端側封止部62を貫通して設けられている(
図3も参照)。そして、受電電極73の後端側は、後端側封止部62の後端側背面62eから外部に突出して露出している。そして、受電電極73の後端側は、図に示すように折り曲げられている。受電電極73は、接続部材47を介して電源線81と接続される。
【0049】
(出力信号電極)
出力信号電極74は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。出力信号電極74も、導電性および弾性を有するリードフレーム用の金属材料によって構成されている。出力信号電極74は、一端が回路基板50の後端側に接続されるとともに他端が後端側に延びており、後端側封止部62を貫通して設けられている(
図3も参照)。そして、受電電極73の後端側は、後端側封止部62の後端側背面62eから外部に突出して露出している。出力信号電極74は、後端側背面62eにおいて受電電極73に隣接している。そして、出力信号電極74の後端側は、図に示すように受電電極73とは逆向きに折り曲げられている。出力信号電極74は、接続部材47を介して信号線82と接続されている。
【0050】
(出力接地電極)
他の接地電極の一例としての出力接地電極75は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。出力接地電極75も、導電性および弾性を有するリードフレーム用の金属材料によって構成されている。出力接地電極75は、一端が回路基板50の後端側に接続されるとともに他端が後端側に延びており、後端側封止部62を貫通して設けられている(
図3も参照)。そして、出力接地電極75の後端側は、後端側封止部62の後端側背面62eから外部に突出して露出している。出力接地電極75は、後端側背面62eにおいて出力信号電極74に隣接している。そして、出力接地電極75の後端側は、図に示すように出力信号電極74とは逆向き(受電電極73と同じ向き)に折り曲げられている。出力接地電極75は、接続部材47を介して接地線83と接続されている。
【0051】
(入力接地電極、受電電極、出力信号電極および出力接地電極の位置関係)
本実施の形態の回路内蔵部材46では、封止部60における後端側封止部62の後端側背面62eに、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75がこの順に並べて配置されている。そして、これら受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75の周囲を取り囲むように、入力接地電極72の皿ばね部724が配置されている。また、後端側背面62eから突出する受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75の中心線方向の長さは、後端側背面62eに配置される皿ばね部724の中心線方向の長さ(高さ)よりも大きくなっている。
【0052】
[圧力検出装置における電気的な接続構造]
ここで、圧力検出装置20における電気的な接続構造について説明を行う。
(正の経路)
圧力検出装置20において、圧電素子41の後端側の端面(正極)は、後端電極部材43およびコイルばね45と電気的に接続される。また、コイルばね45は、回路内蔵部材46に設けられた入力信号電極71と電気的に接続される。そして、入力信号電極71は、同じ回路内蔵部材46に設けられた回路基板50の入力信号端子51aと電気的に接続される。以下では、圧電素子41の後端側の面から、後端電極部材43、コイルばね45および入力信号電極71を介して、回路基板50の入力信号端子51aに至る電気的な経路を『正の経路』と称する。
【0053】
(負の経路)
一方、圧力検出装置20において、圧電素子41の先端側の端面(負極)は、先端電極部材42、ダイアフラムヘッド32(第1内部筐体33および第2内部筐体34)、先端外部筐体31および後端外部筐体35と電気的に接続される。また、後端外部筐体35は、自身に設けられた内側段差部35hを介して、回路内蔵部材46に設けられた入力接地電極72と電気的に接続される。そして、入力接地電極72は、同じ回路内蔵部材46に設けられた回路基板50の入力接地端子51bと電気的に接続される。以下では、圧電素子41の先端側の面から、先端電極部材42、ダイアフラムヘッド32、先端外部筐体31、後端外部筐体35および入力接地電極72を介して、回路基板50の入力接地端子51bに至る電気的な経路を『負の経路』と称する。なお、圧力検出装置20を、
図1に示す内燃機関10のシリンダヘッド13に取り付けた場合、例えば先端外部筐体31(雄ねじ31d)が、連通孔13aの内周面に接触する。このとき、シリンダヘッド13(およびシリンダブロック11)と負の経路とは、略同電位となる。
【0054】
(正の経路と負の経路との関係)
ここで、本実施の形態の圧力検出装置20では、正の経路の外側に負の経路が存在している。換言すれば、負の経路の内部に正の経路が収容されている。そして、正の経路と負の経路とは、絶縁部材44、封止部60および両経路の間に形成されるエアギャップによって、電気的に絶縁されている。
【0055】
[圧力検出装置による圧力検出動作]
では、圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
内燃機関10が動作しているとき、ダイアフラムヘッド32の先端側の面(表面)には、燃焼室C内で発生した圧力(燃焼圧)が付与される。ダイアフラムヘッド32では、自身の表面で受けた圧力が裏面へと伝達され、さらに裏面から先端電極部材42へと伝達される。そして、先端電極部材42に伝達された圧力は、先端電極部材42と後端電極部材43とに挟まれた圧電素子41に作用し、圧電素子41では、受けた圧力に応じた電荷が生じる。圧電素子41に生じた電荷は、正の経路および負の経路を介して、回路基板50の入力信号端子51aおよび入力接地端子51bに電荷信号として供給される。回路基板50に供給された電荷信号は、回路基板50に実装された処理回路52において各種処理が施されることで出力信号とされる。そして、回路基板50の出力信号端子51dおよび出力接地端子51eから出力された出力信号は、接続部材47および接続ケーブル80を介して、制御装置100に送信され、内燃機関10の制御に用いられる。なお、この間、回路基板50に実装された処理回路52には、受電端子51cおよび出力接地端子51eを介して、制御装置100から電源電圧が供給されている。
【0056】
[圧力検出装置の製造手順]
続いて、本実施の形態の圧力検出装置20の製造手順について説明を行う。
(第1構造体の製造)
最初に、ダイアフラムヘッド32の裏面すなわち後端側と、第1内部筐体33の先端側とを対峙させて突き当てる。このとき、ダイアフラムヘッド32の中央部の後端側から突出する凸部は、第1内部筐体33の内部に配置される。そして、この状態で、ダイアフラムヘッド32と第1内部筐体33との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第1構造体が得られる。
【0057】
(第2構造体の製造)
次に、第1構造体の第1内部筐体33に対し、後端側から、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43、絶縁部材44および第2内部筐体34を、この順で挿入する。このとき、先端電極部材42の先端側の面が、ダイアフラムヘッド32の後端側の面に突き当たる。また、このとき、第2内部筐体34の先端側は、第1内部筐体33の内部に収容されるが、その後端側は、第1内部筐体33の後端側からはみ出す。それから、固定される第1構造体に対し、第2内部筐体34に加える中心線方向の力を調整し、圧電素子41にかかる予荷重を目標値に設定する。そして、この状態で、第1内部筐体33と第2内部筐体34との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第2構造体が得られる。
【0058】
(第3構造体の製造)
次に、第2構造体に対し、後端側から、小径部31aを先端側として先端外部筐体31を装着する。このとき、先端外部筐体31(小径部31a)の先端側の面が、ダイアフラムヘッド32の後端側の面に突き当たる。また、第1内部筐体33、第2内部筐体34、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43および絶縁部材44は、先端外部筐体31の内部に収容される。そして、この状態で、ダイアフラムヘッド32と先端外部筐体31との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第3構造体が得られる。
【0059】
(第4構造体の製造)
また、上述した第1構造体〜第3構造体とは別工程にて、回路内蔵部材46(第4構造体)を製造する。なお、回路内蔵部材46の製造手順の詳細については後述する。
【0060】
(第5構造体の製造)
次に、第4構造体(回路内蔵部材46)の先端側に位置し且つ外部に露出する、入力信号電極71の突出部712の先端側に、コイルばね45をはめ込むことで、第5構造体が得られる。なお、必要に応じて、入力信号電極71とコイルばね45とを、レーザ溶接等により一体化してもかまわない。
【0061】
(第6構造体の製造)
次に、上述した第3構造体に対し、後端側から、コイルばね45を先端側として第5構造体を挿入する。これに伴い、回路内蔵部材46を構成する封止部60のうち、先端側封止部61は先端外部筐体31の内側に配置される。ただし、後端側封止部62は外部に露出したままである。このとき、先端側封止部61のうちの先端側第1封止部611および先端側第3封止部613は、先端外部筐体31の内周面に突き当たる。これに対し、先端側第2封止部612は、先端外部筐体31の内周面と空隙を介して対峙する。そして、回路内蔵部材46の封止部60に設けられた後端側前面62dが、挿入に伴って先端外部筐体31(中径部31c)の後端側の面に突き当たることにより、先端外部筐体31に対する回路内蔵部材46の位置決めがなされ、第6構造体が得られる。
【0062】
また、第3構造体に第5構造体を挿入することに伴い、回路内蔵部材46の先端側に取り付けられたコイルばね45は、第2内部筐体34および絶縁部材44の内側に配置される。このとき、コイルばね45の先端側は、後端電極部材43の後端側の面に突き当たり、コイルばね45は元よりも収縮した状態となる。ただし、この状態においても、後端電極部材43の後端側と入力信号電極71(突出部712)の先端側との間には空間が存在しており、両者が直接には接触しないようになっている。
【0063】
(第7構造体の製造)
次に、第6構造体に対し、後端側から、第1筒状部35aを先端側として後端外部筐体35を装着する。このとき、後端外部筐体35(第1筒状部35a)の先端側の面が、先端外部筐体31(大径部31b)の後端側の面に突き当たる。また、このとき、後端外部筐体35(内側段差部35h)が、回路内蔵部材46に設けられた入力接地電極72の後端側の面に突き当たり、皿ばね部724の突当部7242に対し、先端側に向かう押し付け力を付与する。これに伴い、入力接地電極72では、皿ばね部724における突当部7242が潰れる側に変形し、突当部7242のほぼ全周が、後端外部筐体35の内側段差部35hに接触する。そして、この状態で、先端外部筐体31と後端外部筐体35との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第7構造体が得られる。
【0064】
(第8構造体の製造)
また、上述した第1構造体〜第7構造体とは別工程にて、接続部材47、閉塞部材48および接続ケーブル80をこの順に並べ、閉塞部材48を介して接続部材47と接続ケーブル80とを接続することにより、第8構造体が得られる。
【0065】
(第9構造体の製造)
そして、上述した第7構造体に対し、後端側から、接続部材47を先端側として第8構造体を挿入する。そして、回路内蔵部材46に設けられた受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75と、接続部材47とを接続することで、圧力検出装置20と接続ケーブル80とを有する第9構造体(圧力検出装置20と接続ケーブル80との接続体)が得られる。
【0066】
[回路内蔵部材の製造手順]
では、回路内蔵部材46の製造手順について、説明を行う。
図7は、回路内蔵部材46を構成する金属板に対する折り曲げ加工を説明するための図である。具体的に説明すると、
図7(a)は、金属板に折り曲げ加工が施される前の回路内蔵部材46の側面図であり、
図7(b)は、回路内蔵部材46の側面図である。なお、
図7(b)は、
図5(b)に示したものと同じである。
【0067】
最初に、回路基板50に対し、公知のリードフレーム材料を、入力信号端子51a、入力接地端子51b、受電端子51c、出力信号端子51dおよび出力接地端子51eのそれぞれに接続する。そして、リードフレーム材料に切断加工を施すことにより、回路基板50と、入力信号電極71、入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75とを有する接続体を得る。ただし、この時点において、入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75には、折り曲げ加工は施されていない。
【0068】
次に、上記接続体をモールド装置にセットし、絶縁性を有する合成樹脂材料(ここではエポキシ樹脂)にてモールドを行うことで、封止部60を形成し、その後モールド装置から取り出す。このときの状態を、
図7(a)に示している。この時点においても、入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75には、折り曲げ加工は施されていない。より具体的に説明すると、入力接地電極72は、第1突出部721、第2突出部722、L字状を呈する本体部723およびC字状を呈する皿ばね部724が、一体化し且つ平坦な状態となっている。また、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75のそれぞれについても、平坦な状態となっている。
【0069】
次に、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75のそれぞれに対し、折り曲げ加工を施す。これに伴い、これら受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75は、
図7(a)に示す平坦な状態から、
図7(b)に示す状態(
図5(a)も参照)へと移行する。
【0070】
次に、入力接地電極72を構成する皿ばね部724において、第1の折り線L1に沿って折り曲げ加工を施す。このとき、
図7(a)において、第1の折り線L1が山となるように折り曲げを行う。これに伴い、皿ばね部724は、平坦な状態から、湾曲部7241と2つの突当部7242とを有する状態へと移行する。このとき、湾曲部7241と突当部7242との境界部は、平坦な状態から、鈍角を成す状態へと移行する。
【0071】
次に、入力接地電極72を構成する本体部723と皿ばね部724との境界部において、第2の折り線L2に沿って折り曲げ加工を施す。このとき、
図7(a)において、第2の折り線L2が谷となるように折り曲げを行う。これに伴い、本体部723と皿ばね部724との境界部は、平坦な状態から、ほぼ直角を成す状態へと移行する。
【0072】
次に、入力接地電極72を構成する本体部723において、第3の折り線L3に沿って折り曲げ加工を施す。このとき、
図7(a)において、第3の折り線L3が谷となるように折り曲げを行う。これに伴い、本体部723は、平坦な状態から、折り曲げられた状態へと移行する。このとき、本体部723は、平坦な状態から、鈍角を成す状態へと移行する。
【0073】
次に、入力接地電極72を構成する第1突出部721および第2突出部722において、封止部60(後端側封止部62の後端側第2封止部)との境界部となる第4の折り線L4に沿って折り曲げ加工を施す。このとき、
図7(a)において、第4の折り線L4が谷となるように折り曲げを行う。これに伴い、第1突出部721および第2突出部722における封止部60との境界部は、平坦な状態から、ほぼ直角を成す状態へと移行する。また、これに伴い、入力接地電極72を構成する皿ばね部724は、後端側封止部62の後端側背面62eに移動する。その結果、入力接地電極72は、
図7(a)に示す平坦な状態から、
図7(b)に示す状態(
図5(a)も参照)へと移行する。
以上により、
図7(b)に示す回路内蔵部材46が得られる。
【0074】
ここで、本実施の形態では、入力接地電極72を構成する皿ばね部724をC字状としている。このため、第4の折り線L4に沿った折り曲げに伴って、皿ばね部724が後端側背面62eに移動してきたときに、後端側背面62eから後端側に突出する受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75に対し、皿ばね部724が突き当たったり引っ掛かったりしにくくなっている。
【0075】
[まとめ]
以上説明したように、本実施の形態では、回路内蔵部材46の封止部60に設けられた後端側背面62eに、回路基板50と接続される入力接地電極72の皿ばね部724を配置するようにした。この皿ばね部724は、金属で構成されるとともに湾曲部7241と突当部7242とを備えていることから、ばね性を有している。そして、この回路内蔵部材46を含む圧力検出装置20において、回路内蔵部材46を、圧電素子41の負の経路を構成する先端外部筐体31と後端外部筐体35とによって挟み込むようにした。これに伴い、入力接地電極72の皿ばね部724を、後端外部筐体35に設けられた内側段差部35hによって先端側に押し付け、皿ばね部724の突当部7242を弾性変形させるようにした。その結果、突当部7242のほぼ全周を、内側段差部35hに接触させることが可能になり、負の経路を構成する後端外部筐体35と入力接地電極72との接触状態(導通状態)を、安定且つ良好なものとすることができる。それゆえ、回路基板50(処理回路52)のグランド電位を安定化させることが可能となり、処理回路52から出力信号電極74を介して出力される出力信号における高周波特性のばらつきを抑制することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、回路内蔵部材46の封止部60に設けられた後端側背面62eに、回路基板50と接続される入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75を配置するようにした。そして、後端側背面62eにおいて、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75を、入力接地電極72の皿ばね部724を用いて囲うようにした。これにより、接続ケーブル80を介して制御装置100と接続される受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75を、入力接地電極72を用いて簡易的に遮へいすることができる。それゆえ、回路基板50(処理回路52)の出力すなわち処理回路52から出力信号電極74を介して出力される出力信号を安定化させることができ、出力信号における高周波特性のばらつきを抑制することができる。
【0077】
[その他]
なお、本実施の形態では、入力接地電極72をC字状としていたが、これに限られるものではなく、例えばU字状やV字状としてもよく、また、端部を有しないO字状(リング状)としてもかまわない。
【0078】
また、本実施の形態では、入力接地電極72を、回路内蔵部材46の側面(後端側第2側面62b)から外部に突出させ、折り曲げ加工によって後端側背面62eに位置させていたが、これに限られるものではない。入力接地電極72を、例えば回路内蔵部材46の後端側背面62eから直接外部に露出させるようにしてもかまわない。
【0079】
また、本実施の形態では、回路内蔵部材46の製造において、まず、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75に折り曲げ加工を施し、その後、入力接地電極72に折り曲げ加工を施していたが、これに限られるものではない。例えば、入力接地電極72に折り曲げ加工を施している間に、受電電極73等に折り曲げ加工を施してもよく、入力接地電極72に折り曲げ加工を施した後に、受電電極73等に折り曲げ加工を施してもかまわない。
【0080】
また、本実施の形態では、入力信号電極71を平坦な形状としていたが、これに限られるものではない。例えば中心線方向と交差する方向の断面がV字状となるように、入力信号電極71に折り曲げ加工を施してもかまわない。このような構成を採用することにより、入力信号電極71の強度が増加することになり、たわみがさらに生じにくくなる。
内燃機関の燃焼圧等を検出する圧力検出装置に設けられた回路内蔵部材46は、圧電素子が出力する電荷信号に処理を施す処理回路と、絶縁性を有し且つ処理回路を封止する封止部60と、一方が処理回路に接続されるとともに、他方が封止部60の側部に設けられた後端側第2封止部623から突出し且つ封止部60における後端に設けられた後端側背面62eに向けて折り曲げられた入力接地電極72等とを有する。入力接地電極72のうち、後端側背面62eに配置される皿ばね部724は、C字状を呈する湾曲部7241と、湾曲部7241から後端側に折り曲げられてなる突当部7242とを有しており、突当部7242が後端外部筐体によって先端側に押し付けられる。