(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948493
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】充電設備のための位置決めユニットと通電接続の方法
(51)【国際特許分類】
B60L 5/26 20060101AFI20210930BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20210930BHJP
【FI】
B60L5/26 A
B60L53/14
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-511687(P2018-511687)
(86)(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公表番号】特表2018-530980(P2018-530980A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016070473
(87)【国際公開番号】WO2017042065
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】102015217380.1
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514217808
【氏名又は名称】シュンク トランジット ジステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガムスイェーガー トビアス
【審査官】
今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−211939(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02586645(EP,A2)
【文献】
特開2010−166706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 5/26
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動車両用の充電設備のための位置決めユニット(10)であって、
上記位置決めユニット(10)は、車両の上方に配置可能であり、
上記充電設備の充電接触子は、上記車両の接触面に対して移動可能であり、上記位置決めユニット(10)によって接触面に接触可能であり、
上記位置決めユニットは(10)、関節式アーム要素(11)と、該関節式アーム要素(11)を駆動するための駆動要素(12)とを備え、
上記駆動要素(12)は、上記関節式アーム要素(11)に変位力を作用させる変位駆動部(29)と、該変位駆動部(29)と機械的に相互作用するばね要素(31)とを備え、
上記ばね要素(31)は、少なくとも1つの接触ばね(32)を有し、
上記変位駆動部(29)と上記接触ばね(32)とは、機械的直列接続(53)を構成するように互いに連結されており、
上記変位駆動部(29)及び上記接触ばね(32)によって、接触力が上記接触面に作用するように構成されており、
上記ばね要素(31)は、上記関節式アーム要素(11)に復元力を作用させる少なくとも1つの引上げばね(34)を有し、
上記復元力は、上記引上げばね(34)とは反対に作用する、上記関節式アーム要素(11)の重量よりも大きい
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決めユニット(10)において、
上記接触ばね(32)は、浮き軸受(56,58)を介して変位駆動部(29)に連結されており、
上記接触ばね(32)又は上記変位駆動部(29)は、固定軸受(59)に取り付けられている
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項3】
請求項1に記載の位置決めユニット(10)において、
上記接触ばね(32)又は上記変位駆動部(29)は、上記ばね要素(31)の制御ギヤ(49)の梃子部材(48)を介して、上記関節式アーム要素(11)と機械的に連結されている
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記接触ばね(32)は、上記ばね要素(31)のクランプギヤ(52)のクランプ梃子部材(51)を介して、上記変位駆動部(29)に機械的に連結されている
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記接触ばね(32)は、引張ばね(33)である
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記変位駆動部(29)は、予備のバッテリを備える
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記変位駆動部(29)は、直線駆動部(30)である
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項8】
請求項7に記載の位置決めユニット(10)において、
上記直線駆動部(30)が、磁気ブレーキを備える
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の位置決めユニット(10)において、
上記直線駆動部(30)が、位置センサを備える
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記関節式アーム要素(11)が、単一アーム機構(13)か、シザー機構か、又はパンタグラフとして構成されている
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記引上げばね(34)は、引張ばね(35)である
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記引上げばね(34)は、上記ばね要素(31)の復元ギヤ(41)の梃子部材(38)を介して、上記関節式アーム要素(11)に機械的に連結されており、
上記梃子部材(38)の有効長さが、上記関節式アーム要素(11)の位置(42,43,44,45,46,47)に応じて可変である
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記位置決めユニット(10)を柱又は地下通路に固定するための支持フレーム(25)を有する
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)において、
上記位置決めユニット(10)は、旋回要素(63)を備え、
上記位置決めユニット(10)が上記充電接触子が収容される後退位置(42)にあるとき、上記旋回要素(63)によって上記充電接触子を垂直接触位置(64)から収容位置(65)に旋回させることができる
ことを特徴とする位置決めユニット(10)。
【請求項15】
充電接触子と、
請求項1から14のいずれか1つに記載の位置決めユニット(10)とを備える充電設備。
【請求項16】
車両と、充電設備とを導電接続するための方法であって、
上記充電設備の充電接触子を、上記車両の上方で上記車両の接触面に対して移動させ、位置決めユニット(10)によって上記接触面に接触させ、
上記位置決めユニット(10)の関節式アーム要素(11)を、上記位置決めユニット(10)の駆動要素(12)によって駆動し、
上記駆動要素(12)の変位駆動部(29)によって、変位力を、上記関節式アーム要素(11)と、上記変位駆動部(29)と機械的に相互作用する上記駆動要素(12)のばね要素(31)とに作用させる方法であって、
上記変位駆動部(29)と上記ばね要素(31)の接触ばね(32)は、機械的直列接続(53)を構成するように互いに連結されており、
上記変位駆動部(29)及び上記接触ばね(32)から、接触力が上記接触面に作用する
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
上記関節式アーム要素(11)及び上記駆動要素(12)によって、充電接触子が、電流を伝送する接触位置(44,46,47)と、電流を遮断する伸長位置(43,45)と、充電接触子を収容する後退位置(42)とに切換可能に位置決めされる
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
上記接触位置(44,46,47)は、上記車両の上記接触面の相対距離に関わらず、上記後退位置(42)にある位置決めユニット(10)よりも下方である
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法において、
上記接触位置(44,46,47)においては、位置決めユニット(10)の下方にある上記車両の上記接触面の、上記位置決めユニット(10)の上記後退位置(42)までの相対距離が変化する間も、上記接触力が一定に作用する
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1つに記載の方法において、
上記接触位置(44,46,47)において上記接触力を生成するために、上記変位駆動部(29)が、最大ストローク(62)を有する変位位置に移動し、上記接触力は、上記接触ばね(32)から上記変位駆動部(29)に伝達される
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動車両用充電設備のための位置決めユニット、及び、そのような車両(特に電動バス等)と充電設備とを導電接続する方法に関する。この位置決めユニットは、車両の上方に配置可能である。充電設備の充電接触子は、車両の接触面に対して移動可能であり、かつ、位置決めユニットによって接触面に接続可能に構成されている。位置決めユニットは、関節式アーム要素と、この関節式アーム要素を駆動するための駆動要素とを備える。駆動要素は、関節式アーム要素に変位力を作用させる変位駆動部と、変位駆動部と機械的に相互作用するばね要素とを備えている。
【背景技術】
【0002】
このような位置決めユニット及び方法は、従来技術から公知であり、停留所間を往復する電気駆動車両に広く使用されている。これらの車両は、電動バスであってもよい。又は、概して、頭上に設けられた電線等に電気的に常時接続されていない、列車やトラムのような任意の種類の車両であってもよい。これらの車両では、停留所での途中停車中に、充電設備によって電気エネルギー蓄積部が充電される。車両は、停留所の充電設備に電気的に接続され、少なくとも車両が充電設備を使用する次の停留所に到達するために十分なように、エネルギー蓄積部が充電される。車両と充電設備とを電気的に接続するために、位置決めユニットが使用される。この位置決めユニットは、車両のルーフに取付可能で、車両の充電接触子を車両の上方の充電設備の接触面に接続する。車両の上方に取り付けられる又は配置される位置決めユニットを、停留所で使用することも知られている。充電設備の充電接触子を、車両のルーフの接触面に向けて移動させて、電気的に接続する。車両の電気的接触に係るこの変形例では、すべての充電設備が、対応する位置決めユニットを路線に沿って備えていなければならない。この理由で、位置決めユニットには、特に低コストで、信頼性があり、省メンテナンスであることが求められる。
【0003】
充電設備と車両の接触面とを接触させるとき、安全な電気的接続を行うためには、所定の接触力を作用させることによって、充電接触子を接触面に押し付けることが重要である。特許文献1からは、所定の接触力を作用させるための位置決めユニットが知られている。この位置決めユニットは、頭上の電線の電流を集める機能を有する。また、接触力は、位置決めユニットによって測定及び制御される。
【0004】
特許文献2からは、車両の上方に配置される位置決めユニットが知られている。この位置決めユニットは、関節式アーム要素と駆動要素とを有する。この駆動要素は、変位駆動部とばね要素とを備える。これらは、車両の接触面に対して関節式アーム要素を移動させるよう機能する。特に、関節式アーム要素を上方に移動させるためには、変位駆動部からの変位力が必要である。
【0005】
公知の位置決めユニットについての一般的に好ましくない点は、これらの位置決めユニットを所定の接触高さ、すなわち、接触位置(車両に電流を伝送する位置)に対する、後退位置(充電接触子が収容される位置)にある位置決めユニットの距離を考慮して形成又は配置しなければならないことである。このことは、接触位置と後退位置との相対的距離は、可変的に利用することができず、構造的な変更によって定期的に設定又は調節しなければならないことを意味する。なぜなら、このようにしなければ、必要な又は所望の接触力を接触面に作用させることができないからである。各停留所や充電設備に停車する車両の高さが同じであれば、このことは重要ではない。しかし、車両の種類が異なり、よって車両の高さが変わると、路面から車両の接触面までの高さが変動するので、後退位置と接触位置との相対的距離が大きく変動し得る。このことは、同じ車両の積荷が異なる場合にもあてはまる。さらに、特にバスは、身体障害をもつ乗客が乗降し易いように、停留所付近では車高を低くすることがある。バスの車高の低下によって、路面に対する接触面の高さが変わる。バスの車高が片側だけで低くなると、バスがその長手方向軸に沿って傾斜することになる。その結果、バスが傾斜する動きに伴って、バスのルーフ上の接触面が、充電接触子に対して水平方向又は垂直方向に移動する。これによって、上記の適用例においては、車両の接触面との安全な電気的接続に望ましい、充電設備の充電接触子の接触力を得ることがほとんど不可能になる。しかし、センサや制御装置を使用して接触力を調節することは、煩雑なうえ、多くのメンテナンスを要し、位置決めユニットの製造コストと運用コストが大幅に増大することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第4334716号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202014007218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑み、本発明は、位置決めユニット、及び、車両と充電設備とを導電接続するための方法を提案することを目的とする。本発明の位置決めユニット及び方法は、それぞれ、製造コストと運用コストとを抑制しながら、車両の安全な電気接触を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、請求項1に記載の構成を有する位置決めユニットと、請求項16に記載の構成を有する充電設備と、請求項17に記載の構成を有する方法とによって達成される。
【0009】
特に電動バス等の電気駆動車両用充電設備のための、本発明に係る位置決めユニットは、車両の上方に配置可能であり、上記充電設備の充電接触子は、車両の接触面に対して移動可能であり、位置決めユニットによって接触面に接触可能に構成されている。位置決めユニットは、関節式アーム要素と、関節式アーム要素を駆動する駆動要素とを備える。駆動要素は、関節式アーム要素に変位力を作用させる変位駆動部と、この変位駆動部と機械的に相互作用するばね要素とを備える。ばね要素は、少なくとも1つの接触ばねを有する。変位駆動部と接触ばねとは機械的直列接続を構成するように互いに連結されており、上記変位駆動部及び上記接触ばねから、接触力が接触面に作用するように構成されている。
【0010】
したがって、位置決めユニットは、電気駆動車両用の定置型充電設備の構成要素であり、充電設備の充電接触子を、好ましくは車両のルーフ上に配置された接触面において移動させ、接触させるよう機能する。このようにして、充電設備での停車中に、車両に電気エネルギーを供給し、この電気エネルギーを車両に蓄積することができる。位置決めユニットの関節式アーム要素及び駆動要素が、充電接触子を接触面上で前後に移動させる。この目的のために、充電接触子が関節式アーム要素の下端部に配置されている。駆動要素は、充電接触子、及び、ひいては関節式アーム要素を、充電接触子が収容される上方後退位置から、電力を伝送する又は接触面と充電接触子とを接触させる下方接触位置に移動させる機能を有する。接触位置において、所定の接触力が、位置決めユニットから接触面に作用する。
【0011】
駆動要素の変位駆動部は、変位力を関節式アーム要素に作用させる。変位駆動部は、ばね要素と機械的に相互作用するので、変位力のみが関節式アーム要素を動かすことができる。接触ばねは、機械的直列接続を構成するように、変位駆動部と連結されている。つまり、これらは直接的又は間接的に連結されている。この目的のために、変位駆動部は接触ばねに直接接続されていてもよいし、例えば梃子部材のような他の機械的要素と相互接続することによって接触ばねに接続されていてもよい。よって、接触力を、変位駆動部と接触ばねとから作用させることもできる。充電接触子が、この接触力を接触面に作用させる。機械的直列接続されている変位駆動部及び接触ばねは、変位駆動部の変位力によって、関節式アーム要素を動かすことができ、さらに接触面と充電接触子とを接触させる際に、この変位力を増大させることができる。そして、増大された変位力は、変位駆動部に接続された接触ばねによって蓄積され、接触力として関節式アーム要素又は接触面にそれぞれ伝達される。したがって、変位力の増大は、関節式アーム要素のさらなる動作ではなく、接触面に作用する接触力の生成又は増大となる。よって、路面からの接触面の高さに関わらず、又は、接触面と後退位置にある充電接触子との相対距離に関わらず、実質的に一定の接触力を継続的に接触面に作用させることができる。
【0012】
位置決めユニットの一実施形態では、接触ばねは、浮き軸受を介して変位駆動部に連結されていてもよい。接触ばね又は変位駆動部は固定軸受に取付可能である。その定義の通り、固定軸受は、関節式アーム要素及び駆動要素の他の固定軸受に対して移動させることはできない。上記浮き軸受は、接触ばねを変位駆動部に直接接続しており、1つ又は複数の軸受中心軸を有し得る。接触ばねを固定軸受に取り付ける場合には、変位駆動部を関節式アーム要素に接続又は連結することができる。また、変位駆動部を固定軸受に取り付ける場合には、接触ばねを関節式アーム要素に接続することができる。接触ばね及び変位駆動部を、並進作用するものか又は回転作用するものとするかは概して任意である。
【0013】
別の実施形態では、接触ばね又は変位駆動部は、ばね要素の制御ギヤの梃子部材を介して、関節式アーム要素に機械的に連結されてもよい。この梃子部材は関節式アーム要素に接して配置されていてもよく、又は、梃子部材の動作によって関節式アーム要素が動くようにトルク補償されて関節式アーム要素に接続されていてもよい。この目的のためには、接触ばね及び変位駆動部のいずれが梃子部材に直接接続されているかは、さしあたり重要ではない。梃子部材が構成する制御ギヤによって、変位力及び接触ばねのばね力又はその結果生じる接触力が、容易に関節式アーム要素に伝達される。
【0014】
接触ばねは、さらに、ばね要素のクランプギヤのクランプ梃子部材を介して、変位駆動部に機械的に連結されていてもよい。クランプ梃子部材は、例えば、位置決めユニットの固定軸受に旋回可能に取り付けられていてもよい。接触ばね及び変位駆動部は、それぞれ、共通の軸受中心軸又は別々の軸受中心軸上にクランプ梃子部材を把持するか、クランプ梃子部材に接続されている。接触面が充電接触子にすでに接触した状態であり、その結果、関節式アーム要素を動かすことができなくなっている場合には、変位駆動部の動作が、クランプギヤのクランプ梃子部材を介して接触ばねに伝達される。このようにして蓄積された接触ばねのばね力は、接触ばね及び変位駆動部が構成する機械的直列接続、並びに、関節式アーム要素へのこれらの接続の結果、関節式アーム要素に作用する。そして、接触ばねのばね力が、接触面に作用する接触力を生成する。接触力が、関節式アーム要素を動かすために必要な変位力よりも何倍も大きい場合は、位置決めユニットに対する車両ルーフの高さに関わらず、接触力を実質的に常時一定にできる。
【0015】
特に好適には、接触ばねは引張ばねである。接触ばねは、概して、圧縮ばね又はねじりばねであってもよいが、引張ばねを採用すれば、位置決めユニットを特にコンパクトにできる。
【0016】
変位駆動部は、予備のバッテリを備えていてもよい。電力供給停止やその他の不具合が起こった場合にも、予備のバッテリからの非常用電力供給により、変位駆動部は自動的に位置決めユニットを後退位置まで確実に後退させることができる。予備のバッテリは、変位駆動部に一体的に設けられていてもよいし、車両の別の位置に配置されていてもよい。
【0017】
変位駆動部は、直線駆動部であってもよく、好ましくは、スピンドル駆動部であってもよい。スピンドルの傾斜によっては、必要に応じ、戻り止め機能を有するスピンドル駆動部としてもよい。これにより、関節式アーム要素を所望の位置まで動かし、他の補助的手段を必要とすることなく容易に固定できる。
【0018】
さらに、直線駆動部は磁気ブレーキを備えていてもよい。この構成は、スピンドル駆動部が傾斜しても戻り止め機能が作用しない場合、又は、関節式アーム要素に外部から作用する力によって変位駆動部が望ましくない動きをし得る場合に、特に好適である。磁気ブレーキを使用すると、直線駆動部を固定することによって、生成された接触力を維持できる。直線駆動部において磁気ブレーキの制動力が超過されると、車両の望ましくない動きがあっても、直線駆動部が動くことができ、その結果、関節式アーム要素も動くことができる。このようにして、直線駆動部及び関節式アーム要素の損傷を防止することができる。電力供給停止又はその他の不具合が起こると、磁気ブレーキは磁気的機能を失うこともあり、その場合は、変位駆動部が自由に動作できるようになる。すると、引上げばね及び変位駆動部又は直線駆動部の非常用電気供給の少なくとも一方によって、位置決めユニットを後退位置まで動かすことができる。磁気ブレーキは、磁気作用を有する動作電流ブレーキ又はフェイルセーフブレーキとして構成されていてもよい。
【0019】
直線駆動部は、位置センサを備えていてもよい。位置センサを使用すれば、関節式アーム要素が直線駆動部によって移動可能な領域を設定することができる。例えば、位置センサとしては、インクリメンタルエンコーダ又はアブソリュートエンコーダを使用できる。このようにすることで、直線駆動部の正確な動作位置を常に確認することができる。直線駆動部は、位置に応じて作動される最終位置スイッチ、及び/又は、力に応じて作動される圧力スイッチを備えていてもよい。さらに、接触力の大きさを、ある最終位置まで伸長可能である直線駆動部によって制限することも可能である。圧力スイッチは、接触力を制限するために追加的に使用可能であり、単独で又は直線駆動部を制限するための最終位置スイッチとともに作動可能である。圧力スイッチは、充電接触子に直接配置されてもよいし、駆動要素のばね要素又は変位駆動部の領域に直接配置されてもよい。
【0020】
関節式アーム要素は、単一アーム機構か、好ましくは平行ガイドを有し複数部品からなるシザー機構か、又はパンタグラフとして構成されていてもよい。このようにすると、関節式アーム要素は、充電接触子の後退位置から出発して、車両の接触面における接触位置にまで、充電接触子を平行移動させることができる。さらには、関節式アーム要素に緩衝要素を配置してもよい。ダンピング要素は、なめらかな連続動作を担保する。
【0021】
ばね要素が、関節式アーム要素に復元力を作用させる少なくとも1つの引上げばねを有していれば、接触面と充電接触子との接触後、位置決めユニットの後退位置まで充電接触子を容易に後退させることができる。この復元力は、引上げばねとは反対に作用する関節式アーム要素の重量よりも大きくてもよい。関節式アーム要素及び関節式アーム要素に配置された充電接触子の重量によって、関節式アーム要素が後退位置から接触位置までひとりでに動く可能性がある。引上げばねが復元力を関節式アーム要素に作用させると、引上げばねによってこれを防止できる。復元力は上記重量とは逆に作用する。関節式アーム要素に他の力が掛からない場合に、充電接触子が沈み込んだり又は伸長したりしないようにするには、復元力が重量よりもやや大きいことが好ましい。
【0022】
引上げばねが引張ばねであることも好適である。このようにすると、位置決めユニットを特にコンパクトにできる。又は、引張ばねの代わりに、圧縮ばねを使用することもでき、又は、ねじりばねか螺旋ばねも使用できる。個別のばねの代わりに、複数のばねを互いに連結して機械的に並列接続したものを使用してもよい。
【0023】
引上げばねは、ばね要素の復元ギヤの梃子部材を介して、関節式アーム要素に機械的に連結されていてもよい。上記梃子部材の有効長さは、関節式アーム要素の位置に応じて可変であってもよい。したがって、上記梃子部材を関節式アーム要素に直接固定して、引上げばねのばね力を関節式アーム要素に直接伝達してもよい。上記長さ又は引上げばねのばね力の方向のそれぞれ、及び関節式アーム要素における梃子部材の配置に依存して、ばね力の方向と梃子部材の延伸方向との間の角度が90°よりも小さいか大きい場合に、梃子部材の有効長さが短縮され得る。梃子部材の有効長さは、例えばカムプレート又はタイロッドによって構成される制御ギヤを介して、ストッパによって関節式アーム要素に固定された引上げばねによっても変化する。このカムプレートは制御ギヤの梃子部材を構成する。引上げばねに対するカムプレートの位置が、梃子部材の有効長さに影響し得る。したがって、関節式アーム要素の位置に関わらず、同じ復元力を関節式アーム要素に継続的に作用させることができる。又は、関節式アーム要素の位置に応じて、対応する要件に合わせて復元力を増減させることができる。復元力は、変位力と接触力とに調整することもできる。例えば電力供給停止のせいで変位駆動部が機能しない場合に、関節式アーム要素がどの位置にあっても、復元力によって充電接触子が自動的に後退するように、復元力の強さを合わせるのが好適である。このようにして、位置決めユニットを特に安全に操作することができる。
【0024】
位置決めユニットは、位置決めユニットを柱又は地下通路に固定するための支持フレームを有していてもよい。支持フレームは、例えば、関節式アーム要素及び駆動要素のための固定軸受を形成するか備えていてもよい。具体的には、接触ばね又は変位駆動部を、支持フレーム上の固定軸受に直接固定してもよい。支持フレームは、柱又は地下通路、停留所の屋根、トンネル、又は、車両がその下を通過可能なその他の施設に、特に容易に取り付けることができる。
【0025】
特に好適には、位置決めユニットは旋回要素を備える。位置決めユニットが後退位置にあるとき、この旋回要素によって充電接触子を垂直接触位置から収容位置に旋回させることができる。例えば、充電接触子が比較的大きく、接触面をガイドするためのルーフ型ガイド面を有する場合、旋回要素は充電接触子を垂直接触位置から収容位置に旋回させることができる。充電接触子は好ましくは水平位置で収容される。位置決めユニットは、後退位置にあるときは、特に平坦な形状である。したがって、トラックなどの車高の高い車両が、位置決めユニットとの衝突の危険を冒すことなく、位置決めユニットの下を容易に通過できる。旋回要素は、例えば、関節式アーム要素の下端部に配置されたレバーと相互作用するカムプレートとを含んでいてもよい。後退位置へ移動するとき、このレバーがカムプレートに当接し、連続動作の間カムにガイドされて揺動する。この旋回運動を利用して、関節式アーム要素の下端部に取り付けられた充電接触子を旋回させる。より簡易な実施形態では、レバーだけ又はカムプレートだけを使用して、旋回要素を構成することも想定される。
【0026】
本発明に係る充電設備は、充電接触子と、本発明の位置決めユニットとを備える。充電設備の好適な実施形態は、請求項1を引用する従属請求項から明らかとなる。
【0027】
本発明に係る、車両(特に電動バス等)と充電設備とを導電接続するための方法においては、充電設備の電気接触子を車両の接触面に対して移動させ、車両の上方に配置された位置決めユニットによって接触面に接触させ、位置決めユニットの関節式アーム要素を、位置決めユニットの駆動要素によって駆動し、駆動要素の変位駆動部によって、関節式アーム要素と、変位駆動部と機械的に相互作用する駆動要素のばね要素とに変位力を作用させる。上記変位駆動部と上記ばね要素の接触ばねとは、機械的直列接続を構成するように互いに連結されており、上記変位駆動部及び上記接触ばねから、接触力が上記接触面に作用する。本発明の位置決めユニットの利点の説明により、本発明の方法の利点が説明される。
【0028】
関節式アーム要素及び駆動要素によって、充電接触子が、電流を伝送する接触位置と、電流を遮断する伸長位置と、充電接触子を収容する後退位置とに位置決めされてもよい。この目的のために、接触位置において、接触力が接触面に作用するように意図され、伸長位置にある関節式アーム要素には変位力のみが作用するように意図される。伸長位置は、接触位置と後退位置との間の任意の位置である。後退位置では、関節式アーム要素には変位力はまったく又はわずかにしか作用しないので、関節式アーム要素及び充電接触子が下方に動くことはできない。
【0029】
好適には、接触位置は、車両の接触面の相対距離に関わらず、後退位置の位置決めユニットよりも下方である。したがって、路面からの車高が異なる車両も位置決めユニットに接触させることができる。好ましくは、車両の接触面は車両のルーフ上に配置されるか、車両の上部の別の適切な位置に配置されていてもよい。
【0030】
特に好適には、接触位置においては、位置決めユニットの下方にある車両の接触面と、位置決めユニットの後退位置との相対距離が変化する間も、接触力が一定である。接触面の上記相対距離を変化させると、接触面から路面までの距離も変化する。この相対距離は、車両を車台上で下げるか、車両に荷を積載することで変化する。接触力が変位力に対して比較的大きいので、相対距離が変化しても、接触力を実質的に一定にすることができる。接触ばね及び/又は変位駆動部が係合する梃子部材の有効長さが、関節式アーム要素の位置に依存して変化する場合には、相対位置に関わらず、一定の接触力をより容易に得ることができる。
【0031】
接触位置において接触力を生成するために、変位駆動部が、最大ストロークの変位位置に移動してもよく、この接触力は、接触ばねから変位駆動部に伝達され得る。変位駆動部が直線駆動部である場合、変位駆動部は、最大ストロークと最小ストロークとの間で移動可能である。後退位置においては、変位駆動部は、最小ストロークを有する変位位置にあってもよい。変位駆動部がストロークを大きくして変位力を関節式アーム要素に作用させると、変位駆動部によって関節式アーム要素が伸長位置に移動する。この目的のために、接触ばねには負荷がかかっていない。これは、接触ばねが、機械的直列接続を構成するように、変位駆動部に接続されているからである。しかし、上記の位置において、例えばクランプ梃子部材を介して接触ばねに予圧をかけることもできる。接触位置になった後は、関節式アーム要素はそれ以上動くことはできない。したがって、ストロークを最大ストロークまでさらに拡大すると、変位駆動部により接触ばねに予圧がかかる。接触ばねに予圧がかかった状態である場合には、予圧が増大する。接触ばねがこのようにして作用させるばね力は、変位駆動部を介して関節式アーム要素に直接的又は間接的に作用し、接触面に接触力を作用させる。したがって、接触位置にある充電接触子の相対位置に関わらず、接触力の測定や、接触対象である車両に必要な位置決めユニットの特殊な設定を行わずに、ほとんど一定の接触力を継続的に生成することができる。
【0032】
本発明の方法のさらなる実施形態は、請求項1を引用する従属請求項から明らかとなる。
【0033】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】
図1aは、後退位置の位置決めユニットを、左側から見た側面図である。
【
図1b】
図1bは、上方伸長位置の位置決めユニットを、左側から見た側面図である。
【
図1c】
図1cは、上方接触位置の位置決めユニットを、左側から見た側面図である。
【
図1d】
図1dは、中間伸長位置の位置決めユニットを、左側から見た側面図である。
【
図1e】
図1eは、中間接触位置の位置決めユニットを、左側から見た側面図である。
【
図1f】
図1fは、下方接触位置の位置決めユニットを、左側から見た側面図である。
【
図2a】
図2aは、後退位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図2b】
図2bは、上方伸長位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図2c】
図2cは、上方接触位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図2d】
図2dは、中間伸長位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図2e】
図2eは、中間接触位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図2f】
図2fは、下方接触位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図3】
図3は、後退位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図4】
図4は、上方接触位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【
図5】
図5は、下方接触位置の位置決めユニットを、右側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1a〜
図2fは、全体で、さまざまな位置にある位置決めユニット10を異なる方向から見た様子を示している。
図3〜
図5は、位置決めユニット10を示す補足的概略図である。接触面(この例では図示省略)との接触は、記号を使用してのみ表されている。位置決めユニット10は、関節式アーム要素11と、この関節式アーム要素11を駆動するための駆動要素12とを備える。関節式アーム要素11は、単一アーム機構13として構成されており、上方シザーアーム15と上方連結棒16とを有する上方シザー14、及び、下方シザーアーム18と下方連結棒19とを有する下方シザー17を備える。上方シザーアーム15には、上方連結部材20が旋回可能に取り付けられており、充電設備(この例では図示省略)の充電接触子(この例では図示省略)のための、位置決めユニット10のホルダ21が、水平面22に平行に連続的に移動できるように構成されている。この目的のために、上方連結部材20が上方連結棒16に接続されている。下方シザーアーム18と下方連結棒19は、それぞれ、位置決めユニット10の支持フレーム25上の固定軸受23及び24に旋回可能に取り付けられている。下方シザーアーム18は、軸26を介して、上方シザーアーム15に旋回可能に接続されている。下方連結棒19は、軸27を介して、上方シザーアーム15に旋回可能に接続されている。上方シザーアーム15が旋回運動すると、ホルダ21が水平面22に対して平行に移動する。下方シザーアーム18に取り付けられた緩衝要素28が、運動を緩衝する。
【0036】
駆動要素12は、変位駆動部29を備える。変位駆動部29は、直線駆動部30とばね要素31として構成されている。ばね要素31は、引張ばね33として構成された接触ばね32と、引張ばね35として構成された引上げばね34とを有する。引上げばね34は、支持フレーム25上の固定軸受36と、梃子部材38の軸37とに取り付けられている。固定部39が、梃子部材38を引上げばね34に接続している。梃子部材38は、固定部39及びストッパ40と連携して、復元ギヤ41を構成する。関節式アーム要素11の位置に応じて、下方シザーアーム18にトルク補償されて接続された梃子部材38が引上げばね34に対して旋回し、その結果、梃子部材38の有効長さが増減する。位置決めユニット10が後退位置42、上方伸長位置43、及び上方接触位置44にあるとき、引上げばね34は、軸37に直接作用する。位置決めユニット10が中間伸長位置45、中間接触位置46、及び下方接触位置47にあるとき、固定部39はストッパ40に当接し、梃子部材38が旋回することにより、梃子部材38の有効長さが大幅に短くなる。したがって、引上げばね34又は引上げばね34の有効復元力を、位置決めユニット10の位置に合わせて調節することが可能になる。駆動要素12と連携する関節式アーム要素11は、充電接触子(この例では図示省略)を含んだその設計上の重量を有する。この重量は、充電接触子又はホルダ21に掛かる。引上げばね34は、上記重量を上回るばね力又は復元力を作用させる。したがって、電力供給が停止されても、位置決めユニット10の位置に関わらず、位置決めユニット10は確実に後退位置42に復帰する。
【0037】
関節式アーム要素11の制御ギヤ49を構成する梃子部材48は、関節式アーム要素11又は下方シザーアーム18に結合されている。直線駆動部30は、梃子部材48の軸50に旋回可能に取り付けられている。直線駆動部30は、さらに、クランプギヤ52のクランプ梃子部材51を介して、機械的直列接続53を構成する接触ばね32に接続されている。したがって、クランプ梃子部材51は、支持フレーム25上の固定軸受54に旋回可能に取り付けられており、軸56がクランプ梃子部材51の中間部55に配置され、軸58がクランプ梃子部材51の端部57に配置されている。接触ばね32は、支持フレーム25上の固定軸受59と上記軸56とに取り付けられており、直線駆動部30は、クランプ梃子部材51の軸58と梃子部材48の軸50とに取り付けられている。
【0038】
直線駆動部30は、後退位置42にあるとき、最小ストローク60を有し、その結果、梃子部材48には変位力が作用しない。接触ばね32にも負荷がかかっていない。例えば、中間伸長位置45にあるとき、直線駆動部30は中間ストローク61を有し、したがって、変位力を梃子部材48に作用させる。これによって、引上げばね34の復元力を超える力が働けば、関節式アーム要素11が中間伸長位置45まで移動できることになる。この例での変位力は非常に強いので、上記重量と変位力との合計が復元力を上回る。例えば、中間接触位置46にあるとき、直線駆動部30は最大ストローク62を有する。梃子部材48の位置は中間伸長位置45から変化していない。最大ストローク62によって、クランプ梃子部材51が固定軸受54回りに旋回し、接触ばね32に負荷がかかる。ばねへのこのような負荷の結果生じるばね力が、梃子部材48に作用する。そして、接触ばね32及び直線駆動部30が機械的直列接続53を構成している結果、このばね力が関節式アーム要素11に作用する。これによって、接触力が、ホルダ21又は充電接触子(この例では図示省略)に作用する結果となる。接触力は、充電接触を実現するのに十分大きく、上方接触位置44、中間接触位置46、下方接触位置47、及びこの例で図示した接触位置の間のあらゆる任意の接触位置においても、実質的に一定であるか、同じ高さで生成される。
【0039】
位置決めユニット10は、さらに、充電接触子(この例では図示省略)又はホルダ21のための旋回要素63を備える。
【0040】
旋回要素63によって、ホルダ21を、垂直接触位置64から後退位置42における収容位置65まで、水平面22と平行に水平旋回させることができる。旋回要素63は、上方連結部材20に設けられたレバー66と、下方シザーアーム18に固定的に配置されたカムプレート67とを備える。関節式アーム要素11を後退位置42まで後退させるときには、レバー66がカムプレート67に沿って摺動して旋回するようにして、カムプレート67に係合する。レバー66の旋回によって、ホルダ21又は上方連結部材20が約90°回転して、収容位置65になる。