特許第6948507号(P6948507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948507
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/24 20060101AFI20210930BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20210930BHJP
   D06F 23/04 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   D06F37/24 Z
   D06F39/08 311D
   D06F23/04
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-556924(P2019-556924)
(86)(22)【出願日】2018年4月19日
(65)【公表番号】特表2020-517349(P2020-517349A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】CN2018083722
(87)【国際公開番号】WO2018192548
(87)【国際公開日】20181025
【審査請求日】2020年5月12日
(31)【優先権主張番号】201710257504.5
(32)【優先日】2017年4月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521356862
【氏名又は名称】重慶海爾滾筒洗衣机有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
(72)【発明者】
【氏名】▲ハォ▼興慧
(72)【発明者】
【氏名】呉迪
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭42−011117(JP,Y1)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0081382(KR,A)
【文献】 米国特許第9428853(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 23/04
D06F 37/24
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、洗浄槽と、前記洗浄槽の下部に設けられる装着プレートを含み、前記装着プレートはダンパーを介して前記筐体に接続され、前記洗浄槽は、洗浄段階では貯水槽となり、脱水段階では前記装着プレートに対し回転可能となる洗濯機であって、
前記装着プレートの外縁と筐体の間には沈下型の集水構造が設けられており、前記集水構造の外周側は前記筐体の内壁に密封接続されることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記集水構造の底部には副排水口が設けられており、前記副排水口は前記洗濯機の外部と連通することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記集水構造の外周側と前記筐体の内壁との接続箇所の水平高さは、内周側と前記装着プレートとの接続箇所の水平高さよりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記集水構造の内周側は前記装着プレートの外縁に弾性的に接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記集水構造は、前記装着プレートと前記筐体の間に設けられる受水リングを含み、前記受水リングは、内周側が複数の弾性懸架部材を介して前記装着プレートの外縁に接続され、外周側が前記筐体の内壁に設けられる装着構造に密封接続され、前記受水リングの上部は開放口となっており、底部には副排水口が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記弾性懸架部材は上下に懸架される引張バネであり、前記引張バネは、上端が前記装着プレートの辺縁に接続され、下端が前記受水リングの側壁に接続されることを特徴とする請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記装着構造は、前記筐体の内壁から水平に延伸する水平部と、前記水平部に接続されて下方に延伸する環状フランジを含み、前記受水リングの一方の側壁は、前記環状フランジのうち前記装着プレートに背を向ける側に固定されるとともに、締結リングによって押圧方式で環状フランジに固定されることを特徴とする請求項5に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記洗浄槽の周壁には排水経路が設けられ、排水経路は上から下へ排水することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記洗浄槽の上端には集水リングが設けられ、前記集水リングの内側には脱水口が設けられ、前記排水経路は、上端が前記集水リングに連通するとともに、下端が前記洗浄槽の底部に設けられる排水口と連通することを特徴とする請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記洗浄槽の底部の排水口には、前記排水口の開閉を制御するバルブプラグが装着されており、洗浄段階では前記バルブプラグが閉止するよう制御され、排水及び脱水段階では前記バルブプラグが開放するよう制御されることを特徴とする請求項9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記装着プレートの上面には突出する止水リングが設けられており、前記止水リングは、前記装着プレートの上面から上方に一定の高さだけ延伸することで洗浄水を収容する凹溝構造を形成し、排水経路の吐水口は前記凹溝構造内に位置し、前記集水構造は止水リングの外側に位置することを特徴とする請求項8に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記装着プレート上であって前記止水リングの内側には主排水口が設けられ、前記主排水口は洗濯機の排水管を介して洗濯機の外部と連通し、集水構造の底部には副排水口が設けられ、前記副排水口は分岐管を介して洗濯機の排水管に接続されることを特徴とする請求項11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記排水経路は水路ハウジングと洗浄槽壁の一部を含み、前記水路ハウジングのうち前記洗浄槽壁に面する側には上下に貫通する溝が設けられ、前記水路ハウジングは、前記洗浄槽壁に掛合して前記洗浄槽壁と共に水流経路を取り囲むことを特徴とする請求項8に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記集水リング内には、洗浄水を排水経路に案内する止水板が設けられ、前記止水板は排水経路における給水口の上方に位置し、水平面と一定の角度をなすよう傾斜して設置されることを特徴とする請求項9に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記集水リングのうち前記洗浄槽の軸心に面する側は円弧状面となっており、前記円弧状面は、前記洗浄槽の軸方向に沿って、下から上へ徐々に前記洗浄槽の中心方向に向かって湾曲し、前記集水リングの脱水口は円弧状面の底部基端に設けられることを特徴とする請求項9に記載の洗濯機。
【請求項16】
更に、前記装着プレートにはロック機構が設けられ、前記ロック機構は洗浄槽の底部に位置し、洗浄段階において、前記ロック機構は前記洗浄槽の回転を規制するよう前記洗浄槽と係合することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機器に関し、特に洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、従来のパルセータ洗濯機は、洗浄槽、外槽、ダンパー及び動力システムを含んで構成される。洗濯時及び脱水時には、洗浄槽が外槽に対し回転することで衣類と洗浄水の間に作用が生じ、衣類を洗浄又は脱水するとの目的が達せられる。このうち、外槽は貯水槽であり、洗濯過程において衣類と接触することはない。外槽は洗浄槽の外部に装着されて洗浄槽を支持する。従来の洗濯機の外槽は洗浄槽に対し体積が大きいため、内槽と外槽の間に多くの洗浄水が残留し、十分に活用することができない。こうした配置は節水に不利なだけでなく、洗濯機全体の体積も大幅に増大する。
【0003】
特許文献1は、一槽式の節水型洗濯機を開示している。前記洗濯機は、洗浄槽の槽口に集水装置が設けられ、集水装置の集水口が洗浄槽に沿って槽口を取り囲んでいる。集水装置のうち槽口部分に位置する集水室は、洗浄槽の外壁に沿って上から下に対称に配置される複数の排水管に接続されている。脱水時には、集水装置が高速回転により遠心分離された水流を収集し、下方に案内して排出する。当該特許では外槽を省略しているが、排水管が槽の外側に位置している。そのため、洗濯機の脱水時に筐体の内壁と衝突しやすく、排水管が摩耗して漏水してしまう。且つ、漏出した洗浄水はモータ等の機器にそのまま入り込み、洗濯機が短絡して故障する。
【0004】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願第99230455.5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における瑕疵を解消し、洗浄槽の容積を拡大可能であり、節水効果が向上するとともに、洗浄水が外部に飛散することによる電気機器の短絡を防止可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明では以下の技術方案を用いる。
【0008】
洗濯機であって、筐体と、洗浄槽と、洗浄槽の下部に設けられる装着プレートを含み、前記装着プレートはダンパーを介して筐体に接続され、洗浄槽は、洗浄段階では貯水槽となり、脱水段階では装着プレートに対し回転可能となる。装着プレートの外縁と筐体の間には沈下型の集水構造が設けられており、前記集水構造の外周側は筐体の内壁に密封接続される。
【0009】
更に、前記集水構造の底部には副排水口が設けられており、前記副排水口は洗濯機の外部と連通する。
【0010】
更に、前記集水構造の外周側と筐体の内壁との接続箇所の水平高さは、内周側と装着プレートとの接続箇所の水平高さよりも低い。
【0011】
更に、前記集水構造の内周側は装着プレートの外縁に弾性的に接続される。
【0012】
更に、前記集水構造は、装着プレートと筐体の間に設けられる受水リングを含み、前記受水リングは、内周側が複数の弾性懸架部材を介して装着プレートの外縁に接続され、外周側が筐体の内壁に設けられる装着構造に密封接続され、受水リングの上部は開放口となっており、底部には副排水口が設けられる。
【0013】
更に、前記弾性懸架部材は上下に懸架される引張バネであり、引張バネは、上端が装着プレートの辺縁に接続され、下端が受水リングの側壁に接続される。
【0014】
更に、前記装着構造は、筐体の内壁から水平に延伸する水平部と、水平部に接続されて下方に延伸する環状フランジを含み、前記受水リングの一方の側壁は、環状フランジのうち装着プレートに背を向ける側に固定されるとともに、締結リングによって押圧方式で環状フランジに固定される。
【0015】
更に、前記洗浄槽の周壁には排水経路が設けられ、排水経路は上から下へ排水する。
【0016】
更に、前記洗浄槽の上端には集水リングが設けられ、前記集水リングの内側には脱水口が設けられ、前記排水経路は、上端が集水リングに連通するとともに、下端が洗浄槽の底部に設けられる排水口と連通する。
【0017】
更に、前記洗浄槽の底部の排水口には、前記排水口の開閉を制御するバルブプラグが装着されており、洗浄段階ではバルブプラグが閉止するよう制御され、排水及び脱水段階ではバルブプラグが開放するよう制御される。
【0018】
更に、前記装着プレートの上面には突出する止水リングが設けられており、止水リングは、装着プレートの上面から上方に一定の高さだけ延伸することで洗浄水を収容する凹溝構造を形成し、排水経路の吐水口は凹溝構造内に位置し、前記集水構造は止水リングの外側に位置する。
【0019】
更に、装着プレート上であって止水リングの内側には主排水口が設けられ、前記主排水口は洗濯機の排水管を介して洗濯機の外部と連通し、集水構造の底部には副排水口が設けられ、副排水口は分岐管を介して洗濯機の排水管に接続される。
【0020】
更に、前記排水経路は水路ハウジングと洗浄槽壁の一部を含み、前記水路ハウジングのうち洗浄槽壁に面する側には上下に貫通する溝が設けられ、水路ハウジングは、洗浄槽壁に掛合して洗浄槽壁と共に水流経路を取り囲む。
【0021】
更に、前記集水リング内には、洗浄水を排水経路に案内する止水板が設けられ、前記止水板は排水経路における給水口の上方に位置し、水平面と一定の角度をなすよう傾斜して設置される。
【0022】
更に、前記集水リングのうち洗浄槽の軸心に面する側は円弧状面となっており、前記円弧状面は、洗浄槽の軸方向に沿って、下から上へ徐々に洗浄槽の中心方向に向かって湾曲し、集水リングの脱水口は円弧状面の底部基端に設けられる。
【0023】
更に、前記装着プレートにはロック機構が設けられ、前記ロック機構は洗浄槽の底部に位置し、洗浄段階において、ロック機構は洗浄槽の回転を規制するよう洗浄槽と係合する。
【発明の効果】
【0024】
本発明における上記技術方案を用いれば、以下の有益な効果が得られる。
【0025】
本発明の洗濯機は外槽構造を省略しており、洗浄槽が貯水槽構造として設計されるため、洗浄水の利用率を向上可能であるとともに、洗浄水の使用量が減少する。また、外槽を省略することで洗浄槽の体積をより大きく設けられるため、これに応じて洗浄する衣類の量を増やすことができ、洗濯機の容量を拡大するとの目的が達せられる。一方、本発明の装着プレートと筐体の間には、筐体の内壁に沿って流れ落ちる洗浄水を収集する集水構造が設けられている。よって、洗浄水が外部に飛散して洗濯機が短絡するとの問題が回避され、洗濯機の使用寿命が効果的に延長される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の構造の断面図である。
図2図2は、本発明の排水経路の一部の構造図である。
図3図3は、図2のY部分の拡大図である。
図4図4は、図1のK部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態について更に詳細に述べる。
【0028】
図1に示すように、洗濯機は、筐体1、洗浄される衣類を収容する洗浄槽2、洗浄槽2を回転駆動する動力装置3、洗浄槽2の下部に装着される装着プレート4、及び、装着プレート4と筐体1を接続するダンパーを含む。前記洗浄槽2は回転可能に筐体1内に設けられる。また、洗浄槽2は装着プレート4に載置されるとともに、装着プレート4に対し回転可能である。洗浄槽2は、貯水槽として洗浄水の収容に用いられる。装着プレート4は洗浄槽2を支持するために用いられるとともに、ダンパーを介して筐体1に可動に接続される。洗浄又は脱水時において、洗浄槽2と装着プレート4には震動が発生するが、前記震動はダンパーに伝達されて吸収される。
【0029】
図4を組み合わせて、前記洗浄槽2の底部には排水口が設けられている。また、前記装着プレート4の上面には、突出する止水リング12が設けられている。止水リング12は、装着プレート4の上面から洗浄槽2の方向に突出するとともに、一定の高さだけ延伸することで洗浄水を収容する凹溝構造を形成している。装着プレート4上であって止水リング12の内側には主排水口16が設けられており、洗浄槽2底部の排水口と連通する。更に、装着プレート4の外縁と筐体1の間には集水構造18が設けられている。筐体1の内壁に沿って流れ落ちる洗浄水を収集すべく、前記集水構造18の少なくとも一方の側は筐体1の内壁に接続されている。また、集水構造18の底部には副排水口17が設けられている。前記主排水口16と副排水口17は、それぞれ洗濯機の外部と連通する。
【0030】
具体的に、前記主排水口16は洗濯機の排水管6を介して洗濯機の外部と連通し、副排水口17は分岐管19を介して洗濯機の排水管6に接続される。
【0031】
前記洗浄槽2の上端にはバランスリング7が設けられており、バランスリング7の下側に集水リング8が設けられている。また、洗浄槽2の周壁内側には排水経路5が設けられており、前記集水リング8が排水経路5と連通する。集水リング8の内側又は洗浄槽2を向く側には脱水口が設けられている。前記排水経路5は縦向きに設けられ、上端が集水リング8に連通するとともに、下端が洗浄槽底部の排水口と連通する。洗浄槽2は一定のテーパーを有する。洗浄槽2が高速回転すると、洗浄槽2内の洗浄水が遠心力の作用で洗浄槽壁に沿って上方へと昇り、一定高さまで上昇したあと集水リング8の脱水口から集水リング8内に進入する。洗浄水は集水リング8内で環状に流動するが、洗浄槽2の回転数が低下すると、排水経路5に沿って下方へと流動して洗浄槽底部の排水口から排出される。
【0032】
図2及び図3を参照すると、好ましくは、前記集水リング8内には、洗浄水を排水経路5に案内する止水板13が設けられている。前記止水板13は排水経路5における給水口の上方に位置し、水平面と一定の角度をなすよう傾斜して設置される。洗浄水は、集水リング8内で環状に流動する際に止水板13に衝突する。止水板13における水流方向に向かう側は下方に傾斜して設けられるため、水流は止水板13に衝突すると流動方向が変わり、槽の周方向に沿った流動から槽壁に沿う下方への流動へと変化して排水経路5に進入する。止水板13により集水リング8内の水流の流動方向が変化することから、高速脱水時に集水リング8内の水流を排水経路5内に流入させられる。これにより、集水リング8内の水量が過剰になるとの事態が回避される。
【0033】
前記洗浄槽2底部の排水口にはバルブプラグ15が装着されている。前記バルブプラグ15は止水リング12の内側に位置している。洗浄段階ではバルブプラグ15が閉止状態となる一方、脱水段階ではバルブプラグ15が開放状態となる。バルブプラグ15が開放されると、洗浄槽2内の洗浄水が凹溝構造に流入し、洗濯機の排水管6から洗濯機の外部に排出される。
【0034】
具体的に、前記集水構造18は、更に装着プレート4の外縁に弾性的に接続される。前記集水構造18は、装着プレート4と筐体1の間に設けられる受水リング21を含む。前記受水リング21の上部は開放口となっており、底部には前記副排水口17が設けられている。受水リング21は環状構造をなしており、一方の側が複数の弾性懸架部材20を介して装着プレート4の外縁に接続されるとともに、他方の側が筐体1の内壁から延伸する装着構造に密封接続される。装着プレート4が上下に運動する際、弾性懸架部材20はこれに応じて変形することで装着プレート4の運動に適応する。
【0035】
好ましくは、前記弾性懸架部材20は引張バネである。引張バネは、上端が装着プレート4の辺縁に接続され、下端が受水リング21の側壁に接続される。前記引張バネは複数とし、且つ、受水リング21の内周側に均一に配置する。
【0036】
前記装着構造は、筐体1の内壁から水平に延伸する水平部23と、水平部23に接続されて下方に延伸する環状フランジ24を含む。前記受水リング21の一方の側壁は、環状フランジ24のうち装着プレート4に背を向ける側に固定されるとともに、締結リング22によって押圧方式で環状フランジ24に固定される。
【0037】
前記装着構造は筐体1と一体的に成型してもよいし、別個に製造してから筐体1の内壁に装着し、接続箇所を密封処理してもよい。
【0038】
好ましくは、止水リング12は洗浄槽2の底面よりも高さが略高くなっており、且つ、洗浄槽2の回転時に衝突しないよう、洗浄槽2の外周壁との間に大きな隙間が保持されている。
【0039】
前記排水経路5の下端は洗浄槽2底部の排水口に接続される。前記排水口は洗濯機のパルセータの下方に位置し、排水経路5は前記排水口箇所まで延伸している。排水経路5は水路ハウジング11と洗浄槽壁の一部を含む。前記水路ハウジング11のうち洗浄槽壁に面する側には上下に貫通する溝が設けられている。水路ハウジング11は洗浄槽壁に掛合し、洗浄槽壁と共に水流経路を取り囲む。水路ハウジング11は従来の洗濯機の内槽における水路構造と類似しているが、水路ハウジング11の上端が集水リング8まで延伸して接続されるとともに、水路ハウジング11のうち洗浄槽2の軸線に面する側が吐水口を有さない点で異なっている。
【0040】
水路ハウジング11に並列する複数の溝を設け、複数の水流経路を形成してもよい。
【0041】
好ましくは、水路ハウジング11は取り外し可能に洗浄槽2に装着される。前記水路ハウジング11の底部にはフックが設けられており、前記洗浄槽2の槽壁には前記フックに係合する係合口が設けられている。また、水路ハウジング11は上部にネジ孔が設けられており、ネジにより洗浄槽2に固定接続される。水路ハウジング11を装着する際には、フックを係合口に係合して水路ハウジング11を位置決め及び支持してから、ネジにより水路ハウジング11を洗浄槽2に固定する。
【0042】
好ましくは、前記水路ハウジング11のうち洗浄槽の軸線に面する側には、衣類と接触して擦れ合う突起又は筋が設けられている。洗濯過程において、水路ハウジング11のうち洗浄槽の軸線に面する表面は、衣類と擦れ合う作用を奏し得る。
【0043】
脱水時に洗浄水が洗浄槽2から溢れることのないよう、前記集水リング8のうち洗浄槽の軸心に面する側は円弧状面となっている。前記円弧状面は、洗浄槽の軸方向に沿って、下から上へ徐々に洗浄槽2の中心方向に向かって湾曲することで、洗浄槽2の上端の開口を徐々に縮小させている。集水リング8の脱水口は、円弧状面の底部基端に設けられている。洗浄水が槽壁に沿って上昇すると、集水リング8の円弧状面が水流の上昇継続を阻む作用を奏し、水流を集結させて集水リング8の脱水口へと流入させる。
【0044】
前記動力装置は装着プレート4の底部に装着され、モータ及び減速クラッチを含む。モータの回転軸は減速クラッチを介して洗浄槽の底に接続され、洗浄槽2を回転駆動させる。前記減速クラッチの出力軸は、装着プレート4を貫通して洗浄槽2に接続される。出力軸と装着プレート4の間には、少なくとも1つの動的シールが設けられている。好ましくは、前記装着プレート4の底部には下方に突出する複数の補強リブが設けられている。
【0045】
更に、前記装着プレート4の上面にはロック機構14が設けられている。前記ロック機構14は洗浄槽2の底部に位置し、洗浄槽2と係合することで洗浄槽2の回転を規制する。前記ロック機構14は、洗浄槽2をロックして洗浄槽2の回転を防止可能である。洗浄段階において、ロック機構14は洗浄槽2が回転不可能となるよう洗浄槽2をロックする。一方、脱水段階において、ロック機構14は洗浄槽2が回転可能となるようロックを解除する。
【0046】
前記ダンパーは、懸架ロッド9と懸架ロッドベース10を含む。前記懸架ロッド9は、上端が筐体1に接続されるとともに、下端が懸架ロッドベース10に接続される。前記装着プレート4の辺縁には、懸架ロッドベース10と係合する係合口が設けられている。前記懸架ロッドベース10は係合口内に係合されるとともに、装着プレート4の下側に位置する。懸架ロッドベース10内にはバネが装着されている。装着プレート4と洗浄槽2の重力の作用下で懸架ロッドベース10内のバネは圧縮されるとともに、洗浄槽2の震動時に制震機能を発揮する。装着プレート4は洗浄槽2の下部に位置するため、懸架ロッドベース10は洗浄槽2の下方に位置し、洗浄槽2と筐体1の間のスペースを占有することがない。そのため、洗浄槽2の容積拡大に有利となる。
【0047】
本発明の脱水過程では、脱水前に洗浄槽2内の水を洗浄槽2底部の排水口から排出したあと、モータにより洗浄槽2を高速で回転駆動する。すると、洗浄槽2に残留した水が遠心力の作用で洗浄槽壁に沿って上昇し、集水リング8内に進入する。集水リング8内において、水流は止水板13の作用で流動方向が変化し、下方に向かって排水経路5内に流入する。そして、排水経路5に沿って洗浄槽2から流出すると、止水リング12により取り囲まれる凹溝構造に落下して、主排水口16と洗濯機の排水管6を通じて洗濯機の外部に排出される。洗浄槽2から飛散した一部の洗浄水は、筐体1の内壁に沿って集水構造18内に流入すると、副排水口17から排出される。
【0048】
更に、前記装着プレート4と止水リング12は一体的に設計されて槽状構造を構成する。
【0049】
以上は本発明の好ましい実施形態である。当業者であれば、本発明の原理を逸脱しないことを前提に更に様々な変形及び改良が可能であり、これらもまた本発明の保護の範囲とみなされる。例えば、排水経路は洗浄槽の外周壁に設けてもよく、前記位置の変更が当業者による本発明の技術方案の理解に影響を及ぼすことはない。
【符号の説明】
【0050】
1 筐体
2 洗浄槽
3 動力装置
4 装着プレート
5 排水経路
6 排水管
7 バランスリング
8 集水リング
9 懸架ロッド
10 懸架ロッドベース
11 水路ハウジング
12 止水リング
13 止水板
14 ロック機構
15 バルブプラグ
16 主排水口
17 副排水口
18 集水構造
19 分岐管
20 弾性懸架部材
21 受水リング
22 締結リング
23 水平部
24 環状フランジ
図1
図2
図3
図4