(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948573
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】トナー帯電量測定装置、トナー帯電量測定方法、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20210930BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20210930BHJP
G01R 29/24 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
G03G21/00
G03G15/00 303
G01R29/24 B
G03G21/00 510
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-102848(P2018-102848)
(22)【出願日】2018年5月29日
(65)【公開番号】特開2019-207336(P2019-207336A)
(43)【公開日】2019年12月5日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴志
【審査官】
飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−109789(JP,A)
【文献】
特開2009−150948(JP,A)
【文献】
特開平04−152274(JP,A)
【文献】
特開昭61−281975(JP,A)
【文献】
特開平10−198159(JP,A)
【文献】
特開平11−084878(JP,A)
【文献】
特開2017−083734(JP,A)
【文献】
米国特許第05006897(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
G01R 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置と、
感光体ドラム表面上のトナーを吸引可能な位置に配置され、前記吸引装置により発生された負圧を印加された吸引路部材と、
所定の計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの粒径分布を計測する粒径分布計測装置と、
前記計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの電荷を測定する電荷計測装置と、
計測された前記トナーの粒径分布および計測された前記電荷に基づいて、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算する帯電量演算部と、
補助吸引装置とを備え、
前記吸引装置は、前記粒径分布計測装置に内蔵されており、
前記補助吸引装置は、前記吸引装置に対して並列に、前記吸引路部材に負圧を印加すること、
を特徴とするトナー帯電量測定装置。
【請求項2】
前記補助吸引装置は、前記計測期間において前記粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が閾値未満である場合、次の計測期間における吸引流量を増加させることを特徴とする請求項1記載のトナー帯電量測定装置。
【請求項3】
吸引装置と、
感光体ドラム表面上のトナーを吸引可能な位置に配置され、前記吸引装置により発生された負圧を印加された吸引路部材と、
所定の計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの粒径分布を計測する粒径分布計測装置と、
前記計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの電荷を測定する電荷計測装置と、
計測された前記トナーの粒径分布および計測された前記電荷に基づいて、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算する帯電量演算部とを備え、
前記吸引装置は、前記計測期間において前記粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が閾値未満である場合、次の計測期間における吸引流量を増加させることを特徴とするトナー帯電量測定装置。
【請求項4】
前記帯電量演算部は、前記計測期間において前記粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が所定の閾値以上である場合、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算し、前記計測期間において前記粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が前記閾値未満である場合、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算しないことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のトナー帯電量測定装置。
【請求項5】
電子写真方式の印刷プロセスにおいて前記トナー帯電量に関連するパラメーターの値を前記トナー帯電量とともに測定する関連パラメーター測定部をさらに備え、
前記パラメーターは、前記感光体ドラムの回転速度、前記感光体ドラムへ前記トナーを供給する現像ローラーの回転速度、周辺温度、周辺湿度、および前記感光体ドラムへ前記トナーを供給する現像器内でのトナーとキャリアとの比率の少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のトナー帯電量測定装置。
【請求項6】
感光体ドラム表面上のトナーを吸引可能な位置に配置された吸引路部材に、吸引装置により負圧を印加して、感光体ドラム表面上のトナーを吸引するステップと、
粒径分布計測装置により、所定の計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの粒径分布を計測するステップと、
前記計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの電荷を測定するステップと、
計測された前記トナーの粒径分布および計測された前記電荷に基づいて、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算するステップと、
を備え、
前記吸引装置は、前記粒径分布計測装置に内蔵されており、
補助吸引装置により、前記吸引装置に対して並列に、前記吸引路部材に負圧を印加すること、
を特徴とするトナー帯電量測定方法。
【請求項7】
感光体ドラム表面上のトナーを吸引可能な位置に配置された吸引路部材に、吸引装置により負圧を印加して、感光体ドラム表面上のトナーを吸引するステップと、
粒径分布計測装置により、所定の計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの粒径分布を計測するステップと、
前記計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの電荷を測定するステップと、
計測された前記トナーの粒径分布および計測された前記電荷に基づいて、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算するステップと、
を備え、
前記計測期間において前記粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が閾値未満である場合、前記吸引装置により、次の計測期間における吸引流量を増加させること、
を特徴とするトナー帯電量測定方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のトナー帯電量測定装置を備え、
演算された前記トナー帯電量に基づいて、前記感光体ドラムからのトナー像の転写のための転写バイアスを制御すること、
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー帯電量測定装置、トナー帯電量測定方法、および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるトナー帯電量測定装置は、吸引機構で現像スリーブ上のトナーを捕集し、捕集されたトナーの電荷および重量を計測し、捕集されたトナーの電荷および重量に基づいてトナー帯電量を算出している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
他方、ある画像形成装置では、現像器内の現像ロールの一部に、トナー電荷を検出する測定装置が設けられ、トナー電荷検出時のトナーが回収され、その回収されたトナーの重量がロードセルで測定され、トナー帯電量(単位重量あたりの電荷)が算出されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−11511号公報
【特許文献2】特開2001−42644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の装置では、現像ローラー(現像スリーブ、現像ロールなどを含む)に付着しているトナーの帯電量が測定されるが、感光体ドラムに付着しているトナーの帯電量は直接測定されない。そのため、感光体ドラムでのトナー帯電量の誤差に起因して、後段の転写プロセス(感光体ドラムから中間転写ベルトまたは印刷用紙へのトナー像の転写)が正確に行われない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、感光体ドラムに付着しているトナーの帯電量を正確に測定するトナー帯電量測定装置、トナー帯電量測定方法、および画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るトナー帯電量測定装置は、吸引装置と、感光体ドラム表面上のトナーを吸引可能な位置に配置され、前記吸引装置により発生された負圧を印加された吸引路部材と、所定の計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの粒径分布を計測する粒径分布計測装置と、前記計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの電荷を測定する電荷計測装置と、計測された前記トナーの粒径分布および計測された前記電荷に基づいて、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算する帯電量演算部とを備える。
さらに、次の(A)または(B)の構成を備える。(A)補助吸引装置をさらに備え、前記吸引装置は、前記粒径分布計測装置に内蔵されており、前記補助吸引装置は、前記吸引装置に対して並列に、前記吸引路部材に負圧を印加する。(B)前記吸引装置は、前記計測期間において前記粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が閾値未満である場合、次の計測期間における吸引流量を増加させる。
【0008】
本発明に係るトナー帯電量測定方法は、感光体ドラム表面上のトナーを吸引可能な位置に配置された吸引路部材に、吸引装置により負圧を印加して、感光体ドラム表面上のトナーを吸引するステップと、
粒径分布計測装置により、所定の計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの粒径分布を計測するステップと、前記計測期間において前記吸引路部材を介して吸引された前記トナーの電荷を測定するステップと、計測された前記トナーの粒径分布および計測された前記電荷に基づいて、前記計測期間におけるトナー帯電量を演算するステップとを備える。
さらに、次の(A)または(B)の構成を備える。(A)前記吸引装置は、前記粒径分布計測装置に内蔵されており、補助吸引装置により、前記吸引装置に対して並列に、前記吸引路部材に負圧を印加する。(B)前記計測期間において前記粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が閾値未満である場合、前記吸引装置により、次の計測期間における吸引流量を増加させる。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、上述のトナー帯電量測定装置を備え、演算された前記トナー帯電量に基づいて、前記感光体ドラムからのトナー像の転写のための転写バイアスを制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感光体ドラムに付着しているトナーの帯電量を正確に測定するトナー帯電量測定装置、トナー帯電量測定方法、および画像形成装置が得られる。
【0011】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るトナー帯電量測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態2に係るトナー帯電量測定装置の動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るトナー帯電量測定装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すトナー帯電量測定装置は、所定の画像形成装置(実機)を模擬した、感光体ドラム1および現像ローラー2を含む現像機構を使用して、感光体ドラム1に付着しているトナーの帯電量を測定する。なお、その現像機構には、感光体ドラム1および現像ローラー2を駆動するモーターなどの駆動装置、感光体ドラム1に帯電電圧を印加する高圧回路、現像ローラー2に現像バイアスを印加する高圧回路、感光体ドラム1に光を照射して静電潜像を形成する露光装置などが含まれる。つまり、所定の画像形成装置(実機)と同様の環境で、感光体ドラム1上の静電潜像にトナーを付着させる。
【0017】
図1に示すトナー帯電量測定装置は、吸引路部材11、粒径分布計測装置12、電荷計測装置13、プロセッサー14、および補助吸引装置15を備える。
【0018】
粒径分布計測装置12は、粒子計数装置21および吸引装置22を内蔵している。
【0019】
吸引路部材11は、中空のチューブなどであって、感光体ドラム1表面上のトナーを吸引可能な位置に配置され、吸引装置22により発生された負圧を印加される。具体的には、吸引路部材11の開口端が感光体ドラム1表面から所定の距離(例えば約1ミリメートル)で配置され、吸引装置22により発生された負圧によって所定流量で、周辺の空気とともにトナーがその開口端を介して吸引される。
【0020】
粒子計数装置21は、吸引路部材11から延びる流路を所定流量で流れる空気内のトナー粒子を計数し、所定の計測期間において当該粒子計数装置21を通過したトナー粒子の数を、トナー粒子の粒径範囲ごとに計測し、その計測結果を粒径分布データとして出力する。
【0021】
このように、粒径分布計測装置12は、所定の計測期間tmにおいて吸引路部材11を介して吸引されたトナーの粒径分布を計測する。例えば、粒径分布計測装置12は、所定周期であるいは連続して設定される複数の計測期間tmにおいて、それぞれ、吸引路部材11を介して吸引されたトナーの粒径分布を繰り返し計測する。
【0022】
電荷計測装置13は、例えばファラデーケージ法で、計測期間tmにおいて吸引路部材11を介して吸引されたトナーの電荷を測定する。具体的には、電荷計測装置13は、粒子計数装置21の後段かつ吸引装置22の前段に設けられ、捕集部31で、流路を流れてきたトナー粒子を捕集し、計測期間tmに捕集されたトナーの電荷を測定する。
【0023】
プロセッサー14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたコンピューターであって、図示せぬ記憶装置、ROMなどからプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種処理部として動作する。ここでは、プロセッサー14は、帯電量演算部41および関連パラメーター測定部42として動作する。
【0024】
帯電量演算部41は、計測されたトナーの粒径分布および計測された電荷に基づいて、各計測期間tmにおけるトナー帯電量(単位重量あたりのトナー帯電電荷)を演算する。
【0025】
関連パラメーター測定部42は、電子写真方式の印刷プロセスにおいてトナー帯電量に関連するパラメーターの値を上述のトナー帯電量とともに測定する。ここで、このパラメーターは、感光体ドラム1の回転速度、感光体ドラム1へトナーを供給する現像ローラー2の回転速度、周辺温度、周辺湿度、および感光体ドラム1へトナーを供給する現像器内でのトナーとキャリアとの比率の少なくとも1つを含む。
【0026】
また、補助吸引装置15は、吸引装置22に対して並列に、吸引路部材11に負圧を印加する。
【0027】
この実施の形態では、吸引装置22は、粒径分布計測装置12に内蔵されており、補助吸引装置15は、吸引装置22のみの場合の流量より、吸引路部材11の開口端での流量を大きくする。
【0028】
次に、上記トナー帯電量測定装置の動作について説明する。
【0029】
上述の現像機構を動作させることで感光体ドラム1にトナーを付着させる。
【0030】
そして、吸引装置22(または、吸引装置22および補助吸引装置15)は、所定の計測期間tmにおいて連続して動作し、粒径分布計測装置12および電荷計測装置13を通る流路並びに吸引路部材11に負圧に印加され、所定流量で、空気とともに、感光体ドラム1に付着しているトナーを吸引する。
【0031】
これにより、感光体ドラム1に付着しているトナーが、感光体ドラム1から離れて、吸引路部材11内を空気とともに進行し、吸引装置22および補助吸引装置15の流量比に従って所定の割合のトナー(トナー粒子)が、粒径分布計測装置12に流入する。
【0032】
粒径分布計測装置12は、計測期間tmにおいて、流入したトナー粒子の粒径分布を計測する。ここでは、粒径分布計測装置12は、流入したトナー粒子の個数および粒径を光学的に計測し、流入したトナー粒子を捕集することなく排出する。
【0033】
流路において粒径分布計測装置12から排出された、トナー粒子を含む空気は、電荷計測装置13に流入する。
【0034】
電荷計測装置13は、流入したトナー粒子を含む空気のうち、捕集部31でトナー粒子を捕集し、空気を吸引装置22へ排出する。そして、電荷計測装置13は、計測期間tmにおいて捕集されたトナー粒子の電荷を計測する。
【0035】
そして、帯電量演算部41は、粒径分布計測装置12から、当該計測期間tmの粒径分布データを取得するとともに、電荷計測装置13から、当該計測期間tmの電荷データを取得し、取得した粒径分布データに基づいて当該計測期間tmのトナー重量を計算し、そのトナー重量で電荷データに基づく当該計測期間tmの電荷を除算して、トナー帯電量を特定する。
【0036】
粒径分布データに基づき、複数の粒径に対応する粒子重量と複数の粒径の計数値(トナー粒子数)との積和が、計測期間tmのトナー重量として計算される。
【0037】
また、関連パラメーター測定部42は、上述のパラメーターについて、計測期間tmでの値を測定し、計測期間tmごとに、トナー帯電量とともに、そのパラメーター値を図示せぬ不揮発性の記憶装置に記憶する。
【0038】
このようにして計測されたトナー帯電量に基づいて、上述の所定の画像形成装置(実機)の転写バイアスなどが決定される。また、その際に、併せて測定されたパラメーター値と転写バイアスとの対応関係に基づいて、上述の所定の画像形成装置(実機)でのパラメーター値を測定して、そのパラメーター値に対応する転写バイアスの変動量を特定し、その変動量に応じて、転写バイアスなどを補正するようにしてもよい。
【0039】
以上のように、上記実施の形態1によれば、吸引路部材11は、感光体ドラム1表面上のトナーを吸引可能な位置に配置され、吸引装置22により発生された負圧を印加される。粒径分布計測装置12は、所定の計測期間tmにおいて吸引路部材11を介して吸引されたトナーの粒径分布を計測する。電荷計測装置13は、計測期間tmにおいて吸引路部材11を介して吸引されたトナーの電荷を測定する。帯電量演算部41は、計測されたトナーの粒径分布および計測された電荷に基づいて、計測期間tmにおけるトナー帯電量を演算する。
【0040】
これにより、感光体ドラム1に付着しているトナーの帯電量が直接的にかつ正確に測定される。
【0042】
実施の形態2に係るトナー帯電量測定装置では、帯電量演算部41は、計測期間tmにおいて粒径分布計測装置12により計測されたトナーの粒子数が所定の閾値以上である場合、実施の形態1のようにして、計測されたトナーの粒径分布および計測された電荷に基づいて、計測期間におけるトナー帯電量を演算するが、計測期間tmにおいて粒径分布計測装置により計測されたトナーの粒子数が上述の閾値未満である場合、当該計測期間tmにおけるトナー帯電量を演算しない。つまり、トナーの粒子数が上述の閾値未満である計測期間tmについては、トナー帯電量の演算結果の誤差が大きい可能性があるので、トナー帯電量の演算結果を採用しない。
【0043】
また、実施の形態2では、吸引装置22および補助吸引装置15の少なくとも一方は、計測期間において粒径分布計測装置12により計測されたトナーの粒子数が上述の閾値未満である場合、次の計測期間tmにおける吸引流量を増加させる。これにより、次の計測期間tmでは、粒径分布計測装置12において十分なトナーの粒子数が得られる。
【0044】
図2は、実施の形態2に係るトナー帯電量測定装置の動作について説明する図である。
【0045】
吸引装置22(または吸引装置22および補助吸引装置15)は、デフォルト流量f1で吸引動作を開始し、例えば計測タイミングT1で、計数されたトナー粒子の粒子数が所定閾値Nth以上である場合には、帯電量演算部41は、上述のようにして、トナー帯電量を演算する。
【0046】
また、例えば計測タイミングT2で、計数されたトナー粒子の粒子数が所定閾値Nth未満である場合には、帯電量演算部41は、トナー帯電量を演算せず、当該計測期間tm(つまり、計測タイミングT2)のトナー帯電量の測定をキャンセルする。
【0047】
さらに、例えば計測タイミングT2で、計数されたトナー粒子の粒子数が所定閾値Nth未満である場合には、吸引装置22(または吸引装置22および補助吸引装置15)は、吸引流量を、デフォルト流量f1から流量f2(f2>f1)へ変更する。
【0048】
吸引流量が増加したことで、次の計測期間tmで計数されたトナー粒子数が増加する。そして、例えば計測タイミングT3で、計数されたトナー粒子の粒子数が所定閾値Nth以上になると、帯電量演算部41は、上述のようにして、トナー帯電量を演算する。
【0049】
なお、実施の形態2に係るトナー帯電量測定装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0050】
以上のように、上記実施の形態2によれば、トナー帯電量の測定結果の誤差が低減される。
【0052】
本発明の実施の形態3に係る画像形成装置は、プリンター、複合機などであって、電子写真方式の印刷機構およびその印刷機構を制御するコントローラーを備えるとともに、実施の形態1または実施の形態2に係るトナー帯電量測定装置を内蔵する。
【0053】
その印刷機構は、感光体ドラム、現像器、露光装置、転写ローラーなどを備え、感光体ドラム、現像器、転写ローラーなどに所定の高圧電圧(帯電電圧、現像バイアス、転写バイアスなど)を印加する高圧回路をさらに備える。感光体ドラムに帯電電圧が印加され、露光装置によって光が感光体ドラムに照射されて印刷画像の静電潜像が形成され、現像器の現像ローラーによって静電潜像にトナーを付着させてトナー像が形成され、転写ローラーで、感光体ドラムから中間転写ベルトまたは印刷用紙にトナー像が転写される。なお、中間転写ベルトにトナー像が転写された場合、中間転写ベルトから印刷用紙へトナー像が2次転写される。
【0054】
実施の形態3では、例えばキャリブレーション時に、当該印刷機構の感光体ドラムからトナーを吸引し、上述のようにしてトナー帯電量が演算され、測定後、コントローラーは、演算されたトナー帯電量に基づいて、感光体ドラムからのトナー像の転写のための転写バイアスを制御する。
【0055】
なお、実施の形態3におけるトナー帯電量測定装置のその他の構成および動作については実施の形態1または実施の形態2と同様であるので、その説明を省略する。
【0056】
以上のように、上記実施の形態3によれば、画像形成装置内部で、感光体ドラムに付着するトナーについて、その画像形成装置固有のトナー帯電特性が測定される。したがって、例えば、感光体ドラムの経時変化に対応して、トナー帯電量を繰り返し測定し、測定したトナー帯電量に基づいて転写バイアスなどを更新することで、転写プロセスが適切に実行される。
【0057】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0058】
例えば、上記実施の形態では、粒径分布計測装置12は、粒子径が所定範囲外である粒子の計数結果を、粒径分布データから除外するようにしてもよい。つまり、その場合、所定範囲外の粒子径の粒子は、トナー粒子ではなく、トナー以外の粒子であると見做し、粒径分布データから除外される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、電子写真方式の画像形成装置、電子写真方式の画像形成装置の感光体ドラムに付着するトナーの帯電量特性の特定に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 感光体ドラム
2 現像ローラー
11 吸引路部材
12 粒径分布計測装置
13 電荷計測装置
14 プロセッサー
15 補助吸引装置
21 粒子計数装置
22 吸引装置
31 捕集部
41 帯電量演算部
42 関連パラメーター測定部