(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載の複合プリフォーム。
前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の複合容器。
前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項8または9に記載のプラスチック製部材。
前記プラスチック製部材を準備する工程は、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記切り込みを形成する工程を含み、前記切り込みを形成する工程において、前記切り込みは、刃物により形成されることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の複合プリフォームの製造方法。
前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか一項に記載の複合プリフォームの製造方法。
前記プラスチック製部材を準備する工程は、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記切り込みを形成する工程を含み、前記切り込みを形成する工程において、前記切り込みは、刃物により形成されることを特徴とする請求項18乃至23のいずれか一項に記載の複合容器の製造方法。
前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項18乃至24のいずれか一項に記載の複合容器の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今般、本発明者らは、複合容器が備えるプラスチック製部材に剥離タブを設けることにより、容器本体からプラスチック製部材を容易に分離することができることを知見した。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、分離性の高いプラスチック製部材を備える複合容器、並びにこの複合容器の作製に用いられる複合プリフォームおよびプラスチック製部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有するプリフォームと、前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられ、少なくとも円筒状の胴部を有するプラスチック製部材とを備え、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記プラスチック製部材の前記胴部を貫通するL字状の切り込みが設けられていることを特徴とする複合プリフォームである。
【0011】
本発明は、前記切り込みは、刃物により形成されていることを特徴とする複合プリフォームである。
【0012】
本発明は、前記切り込みは、第1切り込み部と、第2切り込み部とを含み、前記第1切り込み部と前記第2切り込み部とは、前記プラスチック製部材の表面において、その長手方向に沿う直線に対して対称に形成されていることを特徴とする複合プリフォームである。
【0013】
本発明は、前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする複合プリフォームである。
【0014】
本発明は、口部と、前記口部の下方に設けられた胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部と、を有する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられ、少なくとも胴部を有するプラスチック製部材とを備え、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記プラスチック製部材の前記胴部を貫通するL字状の切り込みが設けられている複合容器である。
【0015】
本発明は、前記プラスチック製部材のうち、前記切り込み間の部分に、カールした剥離タブが形成されていることを特徴とする複合容器である。
【0016】
本発明は、前記切り込みは、刃物により形成されていることを特徴とする複合容器である。
【0017】
本発明は、前記切り込みは、第1切り込み部と、第2切り込み部とを含み、前記第1切り込み部と前記第2切り込み部とは、前記プラスチック製部材の表面において、その長手方向に沿う直線に対して対称に形成されていることを特徴とする複合容器である。
【0018】
本発明は、前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする複合容器である。
【0019】
本発明は、本発明による複合容器を作製するためのプラスチック製部材であって、前記プラスチック製部材は、少なくとも円筒状の胴部を有し、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記プラスチック製部材の前記胴部を貫通するL字状の切り込みが設けられていることを特徴とするプラスチック製部材である。
【0020】
本発明は、前記切り込みは、刃物により形成されていることを特徴とするプラスチック製部材である。
【0021】
本発明は、前記切り込みは、第1切り込み部と、第2切り込み部とを含み、前記第1切り込み部と前記第2切り込み部とは、前記プラスチック製部材の表面において、その長手方向に沿う直線に対して対称に形成されていることを特徴とするプラスチック製部材である。
【0022】
本発明は、前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とするプラスチック製部材である。
【0023】
本発明は、複合プリフォームの製造方法において、口部と、胴部と、底部とを有するプリフォームを準備する工程と、少なくとも円筒状の胴部を有するプラスチック製部材であって、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記プラスチック製部材の前記胴部を貫通するL字状の切り込みが設けられたプラスチック製部材を準備する工程と、前記プリフォームの外側に前記プラスチック製部材を設ける工程とを備えたことを特徴とする複合プリフォームの製造方法である。
【0024】
本発明は、前記プラスチック製部材を準備する工程は、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記切り込みを形成する工程を含み、前記切り込みを形成する工程において、前記切り込みは、刃物により形成されることを特徴とする複合プリフォームの製造方法である。
【0025】
本発明は、前記切り込みを形成する工程において、前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円筒状の前記胴部を折り畳んだ状態で形成されることを特徴とする複合プリフォームの製造方法である。
【0026】
本発明は、前記切り込みは、第1切り込み部と、第2切り込み部とを含み、前記第1切り込み部と前記第2切り込み部とは、前記プラスチック製部材の表面において、その長手方向に沿う直線に対して対称に形成されていることを特徴とする複合プリフォームの製造方法である。
【0027】
本発明は、前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする複合プリフォームの製造方法である。
【0028】
本発明は、複合容器の製造方法において、プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、少なくとも円筒状の胴部を有するプラスチック製部材であって、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記プラスチック製部材の前記胴部を貫通するL字状の切り込みが設けられたプラスチック製部材を準備する工程と、前記プリフォームの外側に前記プラスチック製部材を設ける工程と、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形金型を用いてブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、前記プリフォームに対応するとともに口部と胴部と底部とを有する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製する工程とを備えることを特徴とする複合容器の製造方法である。
【0029】
本発明は、前記複合容器を作製する工程において、前記切り込み間の部分が加熱され、カールした剥離タブが形成されることを特徴とする複合容器の製造方法である。
【0030】
本発明は、前記プラスチック製部材を準備する工程は、前記プラスチック製部材の前記胴部に、前記切り込みを形成する工程を含み、前記切り込みを形成する工程において、前記切り込みは、刃物により形成されることを特徴とする複合容器の製造方法である。
【0031】
本発明は、前記切り込みを形成する工程において、前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円筒状の前記胴部を折り畳んだ状態で形成されることを特徴とする複合容器の製造方法である。
【0032】
本発明は、前記切り込みは、第1切り込み部と、第2切り込み部とを含み、前記第1切り込み部と前記第2切り込み部とは、前記プラスチック製部材の表面において、その長手方向に沿う直線に対して対称に形成されていることを特徴とする複合容器の製造方法である。
【0033】
本発明は、前記切り込みは、前記プラスチック製部材の円周方向に沿って延びる第1部分と、前記円周方向に直交する、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って延びる第2部分とを含み、前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする複合容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、分離性の高いプラスチック製部材を備える複合容器、並びにこの複合容器の作製に用いられる複合プリフォームおよびプラスチック製部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
まず、
図1乃至
図10を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0037】
複合プリフォーム70
図1に示すように、本実施の形態による複合プリフォーム70は、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えるプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、少なくとも胴部41aを有するプラスチック製部材40aとを備えている。このような複合プリフォーム70をブロー成形することにより、後述する複合容器10Aを得ることができる。一実施形態において、
図1および2に示すように、プラスチック製部材40aの胴部41aに、プラスチック製部材40aの胴部41aを貫通するL字状の切り込み90aが設けられている。このように、プラスチック製部材40aにL字状の切り込み90aを設けることにより、複合プリフォーム70をブロー成形することにより得られる複合容器10Aにおいて、後述するように剥離タブXを形成することができ、プラスチック製部材40の分離性を向上させることができる。
【0038】
プリフォーム10a
プリフォーム10aは、
図1に示すように、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、後述する容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、口部11aは、図示しないキャップに螺着される後述する容器本体10のねじ部14に対応するねじ部14aと、ねじ部14aの下方に設けられ、容器本体10のフランジ部17に対応するフランジ部17aとを有している。なお、口部11aの形状は、従来公知の形状であっても良い。また、胴部20aは、容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。さらに、底部30aは、容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ後述する複合容器10Aを正立させた状態(
図6A乃至
図7)における上方および下方のことをいう。
【0039】
このようなプリフォーム10aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アイオノマー樹脂やこれらをブレンドしたもの等の樹脂材料を含んでなることができる。上記した樹脂材料の中でも、成形安定性やガスバリア性、コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、プリフォーム10aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の着色剤を含んでいても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、これら着色剤を含まず、無色透明であることが好ましい。
【0040】
プラスチック製部材40a
図1および
図2に示すように、プラスチック製部材40aは、少なくとも円筒状の胴部41aを有し、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。このプラスチック製部材40aは、単層からなるものであってもよく、多層からなるものであってもよい。
【0041】
図3A(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、円筒状の胴部41aと、胴部41aに連結された底部42aとを有し、全体として有底円筒形状のものであっても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42aがプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。また、
図3A(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、円筒状の胴部41を有し、全体として無底円筒形状のものであっても良い。また、
図3A(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製された、無底円筒形状のものであっても良い。
図3A(b)および
図3A(c)に示されるプラスチック製部材40aの場合、
図4に示すように、プラスチック製部材40aが余白部80aを有するように構成し、この余白部80aを熱圧着しても良い。これにより、
図3A(b)および
図3A(c)に示される無底円筒形状からなるプラスチック製部材40aであっても、有底円筒形状のプラスチック製部材40aとすることができる。
【0042】
熱圧着後の余白部80の形状は特に限定されるものではなく、
図5(a)−(c)に示されるように任意の形状とすることができる。
【0043】
すなわち
図5(a)に示すように、プラスチック製部材40aの端部40bに形成された第1対向面46aと第2対向面46bとが、底面方向から見て、胴部20aの径方向に沿って略一直線状に圧着されていても良い。また、
図5(b)に示すように、プラスチック製部材40aの端部40bは、底面方向から見て十字状に圧着されていても良く、
図5(c)に示すように、端部40bの圧着部が、底面方向から見て約120°ずつ等配となるように配置されていても良い。
【0044】
一実施形態において、
図1乃至
図3Bに示すように、プラスチック製部材40aの胴部41aに、プラスチック製部材40aの胴部41aを貫通するL字状の切り込み90aが設けられている。切り込み90aは、少なくとも1箇所以上に設けられていても良い。
図3A及び
図3Bに示すように、本実施の形態においては、切り込み90aは、第1切り込み部901aと、第2切り込み部902aとを含んでいる。
図3Bに示すように、第1切り込み部901aと第2切り込み部902aとは、プラスチック製部材40aの表面において、その長手方向に沿う直線Laに対して対称に形成されている。なお、この直線Laは、プラスチック製部材40aの長手方向に沿う任意の直線とすることができ、第1切り込み部901aと第2切り込み部902aとの間の間隔は、任意とすることができる。また、本明細書において、第1切り込み部901aおよび第2切り込み部902aに共通する構成、機能、動作などを説明する場合には、第1切り込み部901aおよび第2切り込み部902aを総称して切り込み90aとも称する。
【0045】
また、このL字状の切り込み90aは、第1部分91aと、第1部分91aに略直交する第2部分92aとを含んでいる。本実施の形態においては、第1部分91aは、プラスチック製部材40aの円周方向に沿って延びており、第2部分92aは、円周方向に直交する、プラスチック製部材40aの長手方向に沿って延びている。
【0046】
切り込み90aの第1部分91aは、プラスチック製部材40aの上端(口部11a側端部)から離間して設けられている。切り込み90aの第2部分92aは、第1部分91aの一端から下方に延びており、胴部41aの途中で終端している。なお、図示はしないが、第2部分92aは、第1部分91aの他端から下方に延びていても良い。
図2に示すように、このような切り込み90aは、プラスチック製部材40aの上端から切り込み90aの上端までの距離h1が、胴部41aの高さhの1%以上15%以下の範囲内であり、かつ、プラスチック製部材40aの上端から切り込み90aの下端までの距離h2が、胴部41aの高さhの2%以上30%以下の範囲内になるように形成されていることが好ましい。これにより、後述するように複合容器10Aを作成した際に剥離タブXが形成された場合、挟持しやすい位置に剥離タブXを形成することができ、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとすることができる。
【0047】
また、切り込み90aの第1部分91aの長さL1aおよび第2部分92aの長さL2aは特に限定されるものではなく、容器本体10の形状に合わせ適宜、変更しても良い。この場合、第1部分91aの長さL1aは、第2部分92aの長さL2よりも長いことが好ましい。これにより、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)を容器本体10から分離させる際に、第1部分91aの延長線上に裂け目が生じやすくすることができる。このため、第1部分91aの延長線上に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)を容易に分離除去することができる。例えば、切り込み90aの第1部分91aの長さL1aは、ブロー成形前のプラスチック製部材40aにおいて1mm以上15mm以下とすることができる。また、例えば、切り込み90aの第2部分92aの長さL2aは、ブロー成形前のプラスチック製部材40aにおいて1mm以上15mm以下とすることができる。このようなL字状の切り込み90aが形成されたプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aと共にブロー成形することにより、ブロー成形後のプラスチック製部材40に形成されるL字状の切り込み90の後述する第1部分91の長さL1を2mm以上30mm以下とし、後述する第2部分92の長さL2を2mm以上45mm以下とすることができる。これにより、L字状の切り込み90に基づき後述する剥離タブXを形成することができ、この剥離タブXに基づいて、プラスチック製部材40を容易に容器本体10から分離することもできる。
【0048】
また、この切り込み90aは、後述するように刃物により形成されている。切り込み90aの形成に用いられる刃物としては、例えば、抜き型に使用されるトムソン刃やビク刃が挙げられる。なお、切り込み90aを設ける方法は特に限定されるものではなく、ブロー成形前であって、プリフォーム10aを嵌め込む前であれば、切り込み90aは、ハサミやナイフ、レーザーを使用することにより形成されても良い。
【0049】
また、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用を有するものであっても良く、収縮する作用を有しないものであっても良い。ブロー成形後において、容器本体10と、プラスチック製部材40との密着性が高く、これらの間に入り込む空気が少ないという理由から、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用を有するものであることが好ましい。プラスチック製部材40aが収縮する作用を有する場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材40は、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
【0050】
プラスチック製部材40aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン−1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、MXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂などの樹脂材料を含むことが出来る。上記した樹脂材料の中でも、ブロー成形後、容器本体10からの分離性が高いという観点からは、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特には、低密度ポリエチレン(密度:0.910g/cm
3以上、0.930g/cm
3以下)を含むことが好ましい。
【0051】
一実施形態において、プラスチック製部材40aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する樹脂材料を含んでなることができる。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、MXD−6およびEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)が挙げられる。
【0052】
一実施形態において、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い樹脂材料(熱伝導性の低い樹脂材料)を含んでいても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性を高めることができる。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0053】
また、プラスチック製部材40aは、その特性が損なわれない範囲において、主成分である上記樹脂材料以外にも、各種の添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば、可塑剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
【0054】
さらに、プラスチック製部材40aには、デザイン又は印字が施されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。この場合、例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20に画像や文字を印刷することにより表示しても良い。胴部20への画像や文字の印刷は、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法により行うことができる。例えば、インクジェット法を用いる場合、プラスチック製部材40a(40)にUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化することにより印刷層を形成させることができる。この印刷は、プリフォーム10aに嵌め込む前のプラスチック製部材40aに対して施されても良く、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けた状態で施されても良い。さらに、ブロー成形後の複合容器10Aのプラスチック製部材40に印刷が施されても良い。
【0055】
複合容器10A
図6A乃至
図7に示すように、複合プリフォーム70をブロー成形することにより得られる複合容器10Aは、口部11と、口部11に連結された胴部20と、胴部20に連結された底部30とを備え、内側に位置する容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられ、少なくとも胴部41を有するプラスチック製部材40とを備えている。また、プラスチック製部材40の胴部41に、プラスチック製部材の胴部41を貫通するL字状の切り込み90が設けられている。この切り込み90からプラスチック製部材40の分離を行うことにより、容器本体10の表面からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。これにより、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとし、容器本体10のリサイクルを行いやすくすることができる。
【0056】
容器本体10
容器本体10は、口部11の下方に設けられた首部13と、首部13の下方に設けられた肩部12と、肩部12の下方に設けられた胴部20と、胴部20の下方に設けられた底部30とを備えている。
【0057】
口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14の下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
【0058】
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
【0059】
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
【0060】
底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
【0061】
また、胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm以上250μm以下程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、例えば、容器本体10の内容量が500mLである場合は、10g〜20gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
【0062】
一実施形態において、容器本体10は、樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10aを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。
【0063】
容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
【0064】
容器本体10は、例えば満注容量が100mL以上2000mL以下のボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L以上60L以下の大型のボトルであっても良い。
【0065】
プラスチック製部材40
プラスチック製部材40は、少なくとも円筒状の胴部41を有し、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。また、
図8に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
【0066】
プラスチック製部材40は、プラスチック製部材40aを、後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設け、プリフォーム10aの外側に密着させた後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形することにより得ることができる。
【0067】
図6A乃至
図7に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けることができる。このような構成とすることにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
【0068】
また、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40を肩部12の外面および底部30の外面にそれぞれ設けても良い。
【0069】
また、プラスチック製部材40の胴部41に、胴部41を貫通するL字状の切り込み90が設けられている。切り込み90は少なくとも1箇所以上に設けられていても良い。
図6Bに示すように、本実施の形態においては、切り込み90は、第1切り込み部901と、第2切り込み部902とを含んでいる。このL字状の切り込み90は、ブロー成形前のプラスチック製部材40aに形成されたL字状の切り込み90aに対応している。すなわち、切り込み90の第1切り込み部901は、切り込み90aの第1切り込み部901aに対応し、切り込み90の第2切り込み部902は、切り込み90aの第2切り込み部902aに対応している。このため、第1切り込み部901と第2切り込み部902とは、プラスチック製部材40の表面において、その長手方向に沿う直線Lに対して対称に形成されている。なお、この直線Lは、プラスチック製部材40の長手方向に沿う任意の直線とすることができ、第1切り込み部901と第2切り込み部902との間の間隔は、任意とすることができる。また、本明細書において、第1切り込み部901および第2切り込み部902に共通する構成、機能、動作などを説明する場合には、第1切り込み部901および第2切り込み部902を総称して切り込み90とも称する。
【0070】
また、このL字状の切り込み90は、第1部分91と、第1部分91に略直交する第2部分92とを含んでいる。上述したように、L字状の切り込み90は、ブロー成形前のプラスチック製部材40aに形成されたL字状の切り込み90aに対応しており、切り込み90の第1部分91は、切り込み90aの第1部分91aに対応し、切り込み90の第2部分92は、切り込み90aの第2部分92aに対応している。このため、第1部分91は、プラスチック製部材40の円周方向に沿って延びており、第2部分92は、プラスチック製部材40の長手方向に沿って延びている。
【0071】
切り込み90の第1部分91は、プラスチック製部材40の上端(口部11側端部)から離間して設けられ、第2部分92は、第1部分91の一端から下方に延びるとともに、胴部41の途中で終端している。このような切り込み90は、プラスチック製部材40の上端から切り込み90の上端までの距離H1が、胴部41の高さHの1%以上30%以下の範囲内であり、かつ、プラスチック製部材40の上端から切り込み90の下端までの距離H2が、胴部41の高さHの2%以上50%以下の範囲内になるように形成されていることが好ましい。これにより、後述するように複合容器10Aを作成した際に剥離タブXが形成された場合、挟持しやすい位置に剥離タブXを形成することができ、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとすることができる。
【0072】
また、第1部分91の長さL1は、第2部分92の長さL2よりも長いことが好ましい。これにより、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、第1部分91の延長線上に裂け目が生じやすくすることができる。このため、第1部分91の延長線上に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。また、複合容器10Aを作成した際に後述する剥離タブXが形成された場合、剥離タブXの円周方向の長さを長くすることができる。このため、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、剥離タブXを把持しやすくすることができる。この切り込み90の第1部分91の長さL1は、2mm以上30mm以下であることが好ましく、3mm以上15mm以下であることがより好ましい。また、切り込み90の第2部分92の長さL2は、2mm以上45mm以下であることが好ましく、3mm以上20mm以下であることがより好ましい。このようなL字状の切り込み90は、後述するように、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張する際に、L字状の切り込み90aが延伸したものである。
【0073】
また、プラスチック製部材40には、切り込み90によって、カールした剥離タブXが形成されていても良い。この剥離タブXは、例えば、後述するように、複合プリフォーム70をブロー成形する際に、プラスチック製部材40aの切り込み90a間の部分が加熱され、カールしたものである。このような剥離タブXは、略三角形状に形成され、容器本体10の外側に向かうようにカールしており、指によって挟持されることができる程度の大きさに形成されている。このような剥離タブXを挟持しながら引っ張ることにより、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。これにより、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとすることができ、容器本体10のリサイクルを行いやすくすることができる。
【0074】
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
【0075】
複合容器10Aの製造方法
次に
図9(a)〜(e)及び
図10(a)−(c)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)について説明する。
【0076】
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(
図9(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。このプリフォーム10aは、口部11aと、胴部20aと、略半球形状の底部30aとを有している。
【0077】
次に、プラスチック製部材40aを準備する(
図9(b)−(c)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、少なくとも円筒状の胴部41aを有している。例えばプラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41aと、胴部41aに連結された底部42aとを有している。
【0078】
また、このプラスチック製部材40aを準備する際、プラスチック製部材40aの胴部41aに、胴部41aを貫通するL字状の切り込み90aを形成する。切り込み90aは、プラスチック製部材40aの円筒状の胴部41aを折り畳んだ状態で形成される(
図9(b)参照)。すなわち、切り込み90aは、プラスチック製部材40aの上端の一部分同士が重なるように、プラスチック製部材40aを折り畳んだ状態で形成される。この際、第1部分91aと、第1部分91aに直交する第2部分92aが形成され、L字状の切り込み90aが形成される。この場合、L字状の切り込み90aは、刃物により形成される。切り込み90aの形成に用いられる刃物としては、例えば、トムソン刃が挙げられる。また、切り込み90aが刃物により形成される際、当該刃物が、折り畳まれたプラスチック製部材40を貫通するように切り込み90aを形成する。これにより、
図9(c)に示すように、プラスチック製部材40aに第1切り込み部901aと、第2切り込み部902aとが形成される。また、この際、第1切り込み部901aと第2切り込み部902aとは、プラスチック製部材40aの長手方向に沿う直線L(この場合、折り畳んだ状態の胴部41aの側縁41b(
図9(b)参照))に対して対称となる。
【0079】
この場合、切り込み90aは、プラスチック製部材40aの上端から切り込み90aの上端までの距離h1(
図2参照)が、胴部41aの高さh(
図2参照)の1%以上15%以下の範囲内であり、かつ、プラスチック製部材40aの上端から切り込み90aの下端までの距離h2(
図2参照)が、胴部41aの高さhの2%以上30%以下の範囲内になるように形成されることが好ましい。これにより、後述するように複合容器10Aを作成した際に剥離タブXが形成された場合、挟持しやすい位置に剥離タブXを形成することができ、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとすることができる。また、第1部分91aの長さL1aは、第2部分92aの長さL2aよりも長いことが好ましい。これにより、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、第1部分91の延長線上に裂け目が生じやすくすることができる。このため、第1部分91の延長線上に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。この場合、切り込み90aの第1部分91aの長さL1a(
図2参照)は、例えば、1mm以上15mm以下とすることができ、切り込み90aの第2部分92aの長さL2a(
図2参照)は、例えば、1mm以上15mm以下とすることができる。
【0080】
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(
図9(d)参照)。
【0081】
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
【0082】
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(
図9(a)〜(d))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(
図9(e)及び
図10(a)〜(c))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
【0083】
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(
図9(e)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0084】
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(
図10(a)参照)。
【0085】
複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(
図10(a)参照)。
図10(a)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
【0086】
次に
図10(b)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。
【0087】
次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
【0088】
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。また、この際、プラスチック製部材40aの胴部41aに設けられたL字状の切り込み90aが延伸することにより、複合容器10Aのプラスチック製部材40の胴部41に、胴部41を貫通するL字状の切り込み90が形成される。このL字状の切り込み90は、ブロー成形前のプラスチック製部材40aに形成されたL字状の切り込み90aに対応しており、第1切り込み部901と第2切り込み部902とは、プラスチック製部材40の表面において、その長手方向に沿う直線Lに対して対称に形成される(
図6B参照)。
【0089】
この場合、切り込み90は、プラスチック製部材40の上端から切り込み90の上端までの距離H1(
図6A参照)が、胴部41の高さH(
図6A参照)の1%以上30%以下の範囲内であり、かつ、プラスチック製部材40の上端から切り込み90の下端までの距離H2(
図6A参照)が、胴部41の高さHの2%以上50%以下の範囲内になるように形成されることが好ましい。これにより、複合容器10Aを作成した際に剥離タブXが形成された場合、挟持しやすい位置に剥離タブXを形成することができ、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとすることができる。また、第1部分91の長さL1は、第2部分92の長さL2よりも長いことが好ましい。これにより、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、第1部分91の延長線上に裂け目が生じやすくすることができる。このため、第1部分91の延長線上に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。さらに、複合容器10Aを作成した際に剥離タブXが形成された場合、剥離タブXの円周方向の長さを長くすることができる。このため、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、剥離タブXを把持しやすくすることができる。この場合、切り込み90の第1部分91の長さL1(
図6A参照)は、例えば、2mm以上30mm以下とすることができ、切り込み90の第2部分92の長さL2(
図6A参照)は、例えば、2mm以上45mm以下とすることができる。
【0090】
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
【0091】
次に
図10(c)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される。複合容器10Aがブロー成形金型50内から取出される際、複合容器10Aが冷却される。このとき、ブロー成形金型50の温度や冷却温度によっては、複合容器10Aのプラスチック製部材40のうち、切り込み90間の部分が容器本体10の外側に向かうようにカールしながら熱収縮する場合がある。これにより、プラスチック製部材40には、切り込み90間の部分において、カールした剥離タブXが形成されても良い。この剥離タブXは、指によって挟持することができる程度の大きさに形成されることが好ましい。
【0092】
剥離タブXを好適に形成するために、又は剥離タブXをより挟持しやすくするために、切り込み90間の部分や形成された剥離タブXを、ドライヤーなどの温風を用いて加熱することにより、カールした剥離タブXを形成するか、あるいは剥離タブXのカールを促進させてもよい。加熱する方法はドライヤーなどの温風以外に、蒸気や加熱した冶具、レーザーを用いてもよい。蒸気の場合は、シュリンクラベルを装着する際のシュリンクトンネルを利用することも考えられる。また、切り込み90間の部分や剥離タブXを加熱する際に、容器が変形しない程度にその周辺が温められてもよい。
【0093】
その後、複合容器10Aの口部11を介して、容器本体10内へ内容物が充填される。
【0094】
ところで、容器本体10をリサイクルする際、複合容器10Aのプラスチック製部材40を容器本体10から分離除去する必要がある。この場合、切り込み90を起点として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。このため、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離を容易なものとすることができる。
【0095】
また、剥離タブXが形成されている場合、このような剥離タブXを挟持しながら引っ張ることにより、切り込み90の第1部分91および第2部分92の延長線上に裂け目が生じ、この裂け目が引き裂き線としてプラスチック製部材40の長手方向および円周方向に沿って拡がる。これにより、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。このため、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとすることができる。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40の胴部41に、L字状の切り込み90が設けられている。これにより、剥離タブXを把持することにより、容易にプラスチック製部材40を容器本体10から分離(剥離)して除去することができる。
【0097】
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40に、L字状の切り込み90間の部分において、カールした剥離タブXが形成されている。これにより、剥離タブXを把持することにより、容易にプラスチック製部材40を容器本体10から分離(剥離)して除去することができる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、切り込み90は、プラスチック製部材40の円周方向に沿って延びる第1部分91と、円周方向に直交する、プラスチック製部材40の長手方向に沿って延びる第2部分92とを含み、第1部分91の長さは、第2部分92の長さよりも長くなっている。これにより、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、第1部分91の延長線上に裂け目が生じやすくすることができる。このため、第1部分91の延長線上に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。さらに、複合容器10Aを作成した際に剥離タブXが形成された場合、剥離タブXの円周方向の長さを長くすることができる。このため、上方から下方に向けて、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、剥離タブXを把持しやすくすることができる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aは、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40を有している。これにより、容器本体10とプラスチック製部材40とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50の形状を変更する必要がないので、従来のブロー成形用金型をそのまま用いて、容器本体10とプラスチック製部材40とを含む複合容器10Aの成形を行うことができる。
【0101】
さらに、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。また、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けているので、プリフォーム10aを成形するための新たな成形設備を準備する必要も生じない。
【0102】
複合プリフォームの変形例
次に
図11(a)〜(d)により本実施の形態の変形例について説明する。
【0103】
変形例1
図11(a)に示す変形例において、切り込み90aの第2部分92aは、第1部分91aの一端から上方に延びている。なお、図示はしないが、第2部分92aが第1部分91aの他端から上方に延びていても良い。
【0104】
変形例2
図11(b)に示す変形例において、切り込み90aの第1部分91aおよび第2部分92aは、プラスチック製部材40aの長手方向から傾斜している。この場合、第1部分91aは、上方に向かうにつれて第2部分92aの側に傾斜しており、第2部分92aは、上方に向かうにつれて第1部分91aの側に傾斜している。また、第1部分91aと第2部分92aとの交点が、切り込み90aの上端になっている。なお、
図11(a)−(b)に示す変形例1及び変形例2のように、切り込み90aは、
図2に示す切り込み90aを所定の点を中心として、複合プリフォーム70の中心軸線に対して任意の角度だけ回転させた形状とすることができる。
【0105】
変形例3
図11(c)に示す変形例において、切り込み90aは、全体としてT字状に形成されている。すなわち、切り込み90aの第2部分92aが、プラスチック製部材40aの円周方向に延びる第1部分91aの途中から長手方向に延びている。なお、切り込み90aは、例えば第2部分92aの中点を中心として、複合プリフォーム70の中心軸線に対して任意の角度だけ回転させた形状としても良い。
【0106】
変形例4
図11(d)に示す変形例において、切り込み90aは、全体として十字状に形成されている。すなわち、切り込み90aの第1部分91aと第2部分92aとが交差しており、第1部分91aが第2部分92aの途中から円周方向に延び、第2部分92aが第1部分91aの途中から長手方向に延びている。なお、切り込み90aは、例えば第1部分91aと第2部分92aとの交点を中心として、複合プリフォーム70の中心軸線に対して任意の角度だけ回転させた形状としても良い。
【0107】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。