特許第6948639号(P6948639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948639
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20210930BHJP
【FI】
   A63H1/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-33125(P2019-33125)
(22)【出願日】2019年2月26日
(65)【公開番号】特開2020-137546(P2020-137546A)
(43)【公開日】2020年9月3日
【審査請求日】2021年3月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村木 誠
(72)【発明者】
【氏名】坂東 陽平
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【審査官】 石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−007740(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3067318(JP,U)
【文献】 中国実用新案第202983180(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63H1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と軸部とを軸心方向から突き合わせて前記軸部に対して前記胴体をコマ玩具の回転方向に回転させることで、前記胴体の第1の結合要素の上面と前記軸部の第2の結合要素の下面とが当接し前記胴体と前記軸部とが結合され、外部衝撃が前記胴体に作用した際に前記軸部に対して前記胴体が前記コマ玩具の回転方向とは反対の方向に回転したときに結合が解除される構造を有するコマ玩具であって、
前記胴体は、胴主体と、チップとを備え、
前記胴主体は、前記チップとして、
下方に突出し下端に抵抗要素を有する第1の差込み片が形成された時計方向回転用チップと、下方に突出し下端に抵抗要素を有し前記第1の差込み片と位置関係が異なる第2の差込み片が形成された反時計方向回転用チップとが択一的に装着可能となっており、
前記胴主体には、軸心と同心的に形成され、前記第1の差込み片を反時計方向側の端部に、前記第2の差込み片を時計方向側の端部に差込み可能な弧状孔が形成され、
さらに、前記胴主体には、前記第1の結合要素が形成され、第1の位置と第2の位置との間で手動操作可能に構成された可動部が設けられ、前記可動部は、前記胴体と前記軸部との結合が解除される位置を基準にして、前記第1の位置では反時計方向に前記第1の結合要素と前記第1の差込み片の抵抗要素とをこの順で隣設させ、前記第2の位置では時計方向に前記第1の結合要素と前記第2の差込み片の抵抗要素とをこの順で隣設させることを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記可動部には、前記第1の位置では前記第2の差込み片の差込みを阻止し、前記第2の位置では前記第1の差込み片の差込みを阻止する挿入阻止部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記胴主体には、軸心と同心的に形成されランチャのフォークが挿入される弧状スリットが軸心と同心的に形成されると共に、前記弧状スリットに挿入される前記フォークの係止部に係止される被係止部が前記弧状スリットの長手方向の端部に設けられ、
前記コマ玩具は、前記弧状スリット内で前記フォークを前記端部側に移動させて前記係止部により前記被係止部を係止させ、前記フォークの回転によって回転力が付与され、前記フォークの回転停止により前記係止部による前記被係止部の係止が解除され、前記ランチャから放たれるように構成され、
前記時計方向回転用チップには、前記弧状スリットの時計方向側の端部で前記係止部に係止される前記被係止部が形成され、前記反時計方向回転用チップには、前記弧状スリットの反時計方向側の端部で前記係止部に係止される前記被係止部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時計方向回転用コマ玩具と、反時計方向回転用コマ玩具と、これらのコマ玩具を時計方向又は反時計方向に回転させるランチャとを備えたランチャとから構成された玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3071356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このコマ玩具は、胴体と軸部とを軸心方向から突き合わせて軸部に対して胴体をコマ玩具の回転方向に回転させることで、胴体側の第1の爪の上面と軸部側の第2の爪の下面とが当接し胴体と軸部とが結合され、外部衝撃が胴体に作用した際に軸部に対して胴体がコマ玩具の回転方向とは反対の方向に回転したときに結合が解除される構造を有している。また、胴体側の第1の爪の上面と軸部側の第2の爪の下面とを当接させると同時に、胴体側の抵抗要素と軸部側の抵抗要素を係合させている。そして、胴体と軸部との相対回転が段階的に行われるようにしている。
時計方向回転用コマ玩具と反時計方向回転用コマ玩具とでは、胴体と軸部との回転方向が異なるため、胴体に形成される第1の爪と抵抗要素との位置が異なる。そこで、従来においては、時計方向回転用胴体と、第1の爪と抵抗要素との設置位置が異なる反時計方向回転用胴体とを用いていた。
しかしながら、胴体はコマ玩具のうちでも大きな体積を占めることから比較的高価である。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、小部品の交換で簡単に回転方向を変更することができる比較的廉価なコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
胴体と軸部とを軸心方向から突き合わせて前記軸部に対して前記胴体をコマ玩具の回転方向に回転させることで、前記胴体の第1の結合要素の上面と前記軸部の第2の結合要素の下面とが当接し前記胴体と前記軸部とが結合され、外部衝撃が前記胴体に作用した際に前記軸部に対して前記胴体が前記コマ玩具の回転方向とは反対の方向に回転したときに結合が解除される構造を有するコマ玩具であって、
前記胴体は、胴主体と、チップとを備え、
前記胴主体は、前記チップとして、
下方に突出し下端に抵抗要素を有する第1の差込み片が形成された時計方向回転用チップと、下方に突出し下端に抵抗要素を有し前記第1の差込み片と位置関係が異なる第2の差込み片が形成された反時計方向回転用チップとが択一的に装着可能となっており、
前記胴主体には、軸心と同心的に形成され、前記第1の差込み片を反時計方向側の端部に、前記第2の差込み片を時計方向側の端部に差込み可能な弧状孔が形成され、
さらに、前記胴主体には、前記第1の結合要素が形成され、第1の位置と第2の位置との間で手動操作可能に構成された可動部が設けられ、前記可動部は、前記胴体と前記軸部との結合が解除される位置を基準にして、前記第1の位置では反時計方向に前記第1の結合要素と前記第1の差込み片の抵抗要素とをこの順で隣設させ、前記第2の位置では時計方向に前記第1の結合要素と前記第2の差込み片の抵抗要素とをこの順で隣設させることを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段であって、前記可動部には、前記第1の位置では前記第2の差込み片の差込みを阻止し、前記第2の位置では前記第1の差込み片の差込みを阻止する挿入阻止部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段であって、
前記胴主体には、軸心と同心的に形成されランチャのフォークが挿入される弧状スリットが軸心と同心的に形成されると共に、前記弧状スリットに挿入される前記フォークの係止部に係止される被係止部が前記弧状スリットの長手方向の端部に設けられ、
前記コマ玩具は、前記弧状スリット内で前記フォークを前記端部側に移動させて前記係止部により前記被係止部を係止させ、前記フォークの回転によって回転力が付与され、前記フォークの回転停止により前記係止部による前記被係止部の係止が解除され、前記ランチャから放たれるように構成され、
前記時計方向回転用チップには、前記弧状スリットの時計方向側の端部で前記係止部に係止される前記被係止部が形成され、前記反時計方向回転用チップには、前記弧状スリットの反時計方向側の端部で前記係止部に係止される前記被係止部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の手段によれば、回転方向に応じて第1の結合要素及び抵抗要素の位置を変えることができるので、回転方向を変更しても、胴体と軸部との結合が適切に行える。また、チップの交換と可動部の操作だけで簡単に回転方向を変更することができ、廉価なコマ玩具が実現できる。さらに、抵抗要素の特性(凹凸の数、素材、傾斜等)を変えつつ、回転方向を変えることが可能となる。
【0010】
第2の手段によれば、誤って回転方向の異なるチップが装着されることを事前に防止することができる。
【0011】
第3の手段によれば、回転方向に応じて被係止部の位置を変えることができるので、ランチャにてコマ玩具に確実に回転力を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のコマ玩具とランチャを示した斜視図である。
図2】コマ玩具の分解斜視図である。
図3】軸部及び本実施形態のコマ玩具の一部を断面にした分解斜視図である。
図4】チップを取り外した胴体を上方から視た平面図である。
図5】胴部及びその胴部に装着されるチップを下方から視た斜視図である。
図6】コマ玩具を時計方向に回転させる場合の胴部及びチップの底面図であり、(A)はチップが離脱された状態の胴体を示し、(B)は時計方向回転用のチップを示している。
図7】コマ玩具を反時計方向に回転させる場合の胴部及びチップの底面図であり、(A)はチップが離脱された状態の胴体を示し、(B)は反時計方向回転用のチップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のコマ玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。本明細書においては、上下、左右及び前後は図2に示した向きを言うものとする。
【0014】
《全体構成》
図1は、実施形態のコマ玩具とランチャを示した斜視図である。
このコマ玩具1は、下部構造を構成する軸部10と、上部構造を構成する性能可変リング30および胴体40とによって構成されている。
このコマ玩具1はランチャ(コマ発射装置)60によって回転力を付与され、バトルフィールドに放たれる。
【0015】
《細部構成》
1.軸部10について
軸部10は、図2に示すように、下部に回転軸11と、中間部に鍔12と、上部に円筒部13とを備えている。回転軸11、鍔12及び円筒部13は合成樹脂で形成されている。勿論、材料は合成樹脂に限定されず、全部又は一部が金属製やゴムその他の材料で形成されていてもよい。
軸部10の鍔12の下方部分は、当該鍔12から回転軸11に向けて段階的に窄んだ形状となっており、全体として略逆円錐状に形成されている。
鍔12及び円筒部13には、前後に孔15が1つずつ形成されている。また、鍔12及び円筒部13には、鍔12の左右に突出部16が形成されている。この突出部16は、鍔12の上下に位置し、その外面は鍔12の外周面と面一となっている。
また、図3に示すように、円筒部13の内側には円柱体14が立設されている。この円柱体14の上端は特に限定はされないが円筒部13の上端よりも僅かに高い位置に設定されている。この円柱体14の上端部には前後に半径方向外側に張り出す爪(第1の結合要素)17が1つずつ形成されている。
【0016】
また、軸部10は、円筒部13内側に設けられ上記円柱体14の上部外周を取り囲む円筒状の可動部材18を備えている。この可動部材18の下端部には前後に半径方向外側に張り出す突出片18aが1つずつ形成されている。各突出片18aは、上記孔15に挿入されている。可動部材18は上下方向に移動可能となっている。また、可動部材18は、円柱体14の周囲に巻回させたコイルスプリング19によって上方へ付勢され、常態では、突出片18aが孔15の上縁に当接している。
この可動部材18の上面18bには、左右に半径方向に延びる凸条(抵抗要素)20が1つずつ形成されている。
【0017】
2.性能可変リング30について
本実施形態では、性能可変リング30として例えば金属製のフライホイールが用いられている。性能可変リング30はほぼ板状を成している。この性能可変リング30の底面には軸部10の鍔12が下方から収容可能な環状段部30aが形成されている。また、性能可変リング30の上面には左右方向それぞれに上方に向けて張り出す逆U字状の突出部31が1つずつ形成されている。各突出部31の下側部分には、軸部10の突出部16を下方から収容可能な凹部32が形成されている。一方、性能可変リング30の上面には、各突出部31の直ぐ外側に上方に突出する舌片33が形成されている。
なお、性能可変リング30としては、フライホイールに代えて或いはフライホイールと一体的で、外周面に突出部があって相手方のコマ玩具1を攻撃し易くしたものや、外周面に凹部があって相手方のコマ玩具1からの攻撃を受け難いものを用いてもよい。
【0018】
3.胴体40について
胴体40は、図5に示すように、胴本体40Aとチップ50とを備え、全体として円盤状を成している。図4に示すように、胴本体40Aの天井壁40aには、左右に弧状スリット41が1つずつ形成されている。弧状スリット41は胴体40の軸心に同心的に形成されている。また、胴本体40Aの天井壁40aの上面中央部には、チップ50を収容する凹部40bが画成されている。凹部40bには、凹部40bとほぼ同形のプレート42が収容されている。
プレート42には、左右に弧状孔42aが1つずつ形成されている。弧状孔42aは胴体40の軸心に同心的に形成されている。また、プレート42には、図5に示すように、環状円板43が添設される。例えば、2つの爪44a、44aとプレート42と間に挟み込まれて環状円板43が設置されている。勿論、他の方法で設置してもよい。要は、環状円板43が容易に離脱しないことである。この環状円板43には、図5に拡大して示すように、軸心を挟み対峙する部位2箇所に下方に向けて突出片43aが1つずつ立設されている。各突出片43aは、水平断面が円弧状を成し、下端には、半径方向内方に向けて突出する第1の爪43bが形成されている。この突出片43aは環状円板43の本体から内方に突き出して設けられている。この突出片43aの上端が挿入阻止部43cを構成する。
【0019】
4.チップ50について
まず、時計方向回転用チップ50aと反時計方向回転用チップ50bとをまとめてチップ50として図5を用いて説明する。ちなみに、図5には時計方向回転用チップ50aに示されているが、この図5を用いて共通部分について説明する。
チップ50は、上記凹部40bに収容される盤状体で、凹部40bに嵌め込まれて使用される。
チップ50は、外周部に弧状スリット41の端部の幅を狭めるための被係止部51が形成され、下面には差込み片52が形成されている。このうち被係止部51は、弧状スリット41の一方の端部の幅を狭めて後述のランチャ60のフォーク63の突起(係止部)63bによって係止される部分を成す。また、差込み片52の下端には、半径方向内側に突出する爪53が設けられ、爪53の下面には、軸部10の凸条20に係合する複数本の凸条(抵抗要素)54が形成されている。この複数本の凸条54は上記凸条20とともに胴体40と軸部10との回転抵抗として機能する。
実施形態のコマ玩具1では、このチップ50として、時計方向回転用チップ50a(図6(B))と、反時計方向回転用チップ50b(図7(B))とを備えている。時計方向回転用チップ50aと反時計方向回転用チップ50bとでは、被係止部51及び差込み片52の形成位置が互いに異なっている。
時計方向回転用チップ50aには、図6(A),(B)に示すように、胴本体40Aに装着した際に弧状スリット41の時計方向側の端部の幅を狭めることができる位置に被係止部51aが形成されている。また、時計方向回転用チップ50aには、胴本体40Aに装着した際に上面視で弧状孔42aの反時計方向側の端部に差し込まれる位置に差込み片52aが形成されている。
一方、反時計方向回転用チップ50bには、図7(A),(B)に示すように、胴本体40Aに装着した際に上面視で弧状スリット41の反時計方向側の端部の幅を狭めることができる位置に被係止部51bが形成されている。また、反時計方向回転用チップ50bには、胴本体40Aに装着した際に上面視で弧状孔42aの時計方向側の端部に差し込まれる位置に差込み片52bが形成されている。
そして、時計方向回転用チップ50a及び反時計方向回転用チップ50bは、差込み片52a,52bを弧状孔42a,42aに差し込んだ状態で、凹部40bに嵌合される。
【0020】
5.ランチャ60について
コマ玩具1の回転力のチャージは、図1に示すようなランチャ60によって行われる。このランチャ60にはコマ玩具1が装着される。すなわち、フォーク63が胴体40の弧状スリット41に差し込まれる。そして、胴体40の被係止部51を突起63bに係合させる。これによって、コマ玩具1がランチャ60に装着される。
このランチャ60は、内部に図示しない円板を備え、その円板を図示しないゼンマイばねで一の回転方向に付勢するとともに、円板の周囲に巻回させた図示しない紐をハンドル61で引くと、円板が回転され、コマホルダ62が回転されるように構成されている。このコマホルダ62の回転は、下方に突設されたフォーク63によってコマ玩具1に伝達され、コマ玩具1を一の回転方向に回転させる。なお、ランチャ60でコマ玩具1を他の回転方向に回転させるには、ランチャ50の内部歯車の切り替えを行うか、他のランチャ50を用いる。
そして、ランチャ60のハンドル61を引き切ると、円板ひいてはコマホルダ62の回転が停止する一方で、コマ玩具1は慣性力によって尚も回転するので、フォーク63の傾斜面63aを倣ってコマ玩具1がコマホルダ62から外れる。
【0021】
6.胴体40、チップ50の位置関係について
図6は、時計方向に回転させられる場合のコマ玩具1の胴体40と時計方向回転用チップ50aの位置関係を示した下面図である。このコマ玩具1を時計方向に回転させようとする場合には、まず、環状円板43をR位置まで回動させる。この状態では、プレート42の弧状孔42aの時計方向の端部が塞がれる。そして、弧状孔42aの塞がれていない部分(斜線部分)に時計方向回転用チップ50aの差込み片52aを挿入させて時計方向回転用チップ50aを胴体40の上面に画成した凹部40b(図4参照)に嵌合させて胴体40に固定する。
この状態におけるコマ玩具1では、弧状スリット41の時計方向側の端部、つまりA部に時計方向回転用チップ50aの被係止部51aが位置し、弧状スリット41の端部の幅が狭まる。
そして、この胴部40に軸部10の第2の爪17が係合される。すなわち、軸部10の爪17と胴体40の環状円板43の爪(第1の爪)43bとが上下方向で重なり結合状態となる。また、時計方向回転用チップ50aの凸条54aは可動部材18の凸条20と係合する。
【0022】
図7は、反時計方向に回転させられる場合のコマ玩具1の胴体40と反時計方向回転用チップ50bの位置関係を示した下面図である。このコマ玩具1を反時計方向に回転させようとする場合には、まず、環状円板43をL位置まで回動させる。この状態では、プレート42の弧状孔42aの反時計方向の端部が塞がれる。そして、弧状孔42aの塞がれていない部分(斜線部分)に反時計方向回転用チップ50bの差込み片52bを挿入させて反時計方向回転用チップ50bを胴体40の上面に画成した凹部40b(図4参照)に篏合させて胴体40に固定する。
この状態におけるコマ玩具1では、2つの弧状スリット41の反時計方向側の端部、つまりB部に反時計方向回転用チップ50bの被係止部51bが位置し、弧状スリット41の端部の幅が狭まる。
そして、この胴部40に軸部10の第2の爪17が係合される。すなわち、軸部10の爪17と胴体40の環状円板43の爪(第1の爪)43bが上下方向で重なり結合状態となる。また、反時計方向回転用チップ50bの凸条54bは可動部材18の凸条20と係合する。
【0023】
本実施形態のコマ玩具1では、予め環状円板43を時計方向回転位置R又は反時計方向回転位置Lに位置させた上で、それに適合した時計方向回転用チップ50a又は反時計方向回転用チップ50bを選択的に胴体40に装着することによって胴体40を時計方向回転用又は反時計方向回転用の胴体40に変更することができる。
このコマ玩具1においては、例えば、環状円板43を時計方向回転位置Rに位置させた状態で反時計方向回転用チップ50bを胴体40に取り付けようとした場合、弧状孔42aの位置に挿入阻止部43cが位置するため、反時計方向回転用チップ50bを胴体40に装着できない。逆も同じである。したがって、チップ50を誤って装着することが防止される。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 コマ玩具
10 軸部
17 爪(第2の爪)
20 凸条
40 胴体
41 弧状スリット
42a 弧状孔
43 環状円板(可動体)
43b 爪(第1の爪)
50a 時計方向回転用チップ
50b 反時計方向回転用チップ
51a,51b 被係止部
52a,52b 差込み片
53a,53b 爪
54a,54b 凸条
60 ランチャ
63 フォーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7