【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I)で表される構造を有する化合物、又はそのラセミ体、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、代謝物、薬学的に許容される塩又はそのプロドラッグを提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
ここで、R
1は、水素、置換又は非置換のアルキル基、又はハロゲンである。幾つかの実施態様において、前記R
1は、水素、置換又は非置換のC
1−5アルキル基、又はハロゲンであり;他の幾つかの実施態様において、前記R
1は、水素、フッ素、塩素、臭素、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のプロピル基、置換又は非置換のイソプロピル基である。本発明のある具体的な実施例において、前記R
1は、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である。本発明の実施態様において、R
1が置換のアルキル基である場合には、前記アルキル基は、直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であってもよく、前記R
1の置換基は、D、F、Cl、Br、C
1−3アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基又はC
1−3アルコキシ基である。
【0011】
R
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換のアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。幾つかの実施態様において、前記R
2は、それぞれ独立して、C
1−5アルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。幾つかの実施態様において、前記R
2は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、ニトロ基、シアノ基、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のイソプロピル基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。本発明のある具体的な実施例において、前記R
2は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、ニトロ基、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。本発明の実施態様において、R
2が置換のアルキル基である場合には、前記アルキル基は、直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であってもよく、前記R
2の置換基は、D、F、Cl、Br、C
1−3アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基又はC
1−3アルコキシ基である。
【0012】
mは0〜4的整数であり、即ち、mは0、1、2、3又は4である。本発明のある具体的な実施例において、mは0又は1である。
【0013】
R
3は、それぞれ独立して、置換又は非置換のアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アリール基から選ばれる1種又は複数種であり、幾つかの実施態様において、前記R
3は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、C
1−5アルキル基又はC
6−10アリール基から選ばれる。幾つかの実施態様において、前記R
3は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基から選ばれる1種又は複数種である。本発明のある具体的な実施例において、前記R
3は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。本発明に係る実施態様において、R
3が置換のアルキル基である場合には、前記アルキル基は、直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であってもよく、前記R
3の置換基はD、F、Cl、Br、C
1−3アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基又はC
1−3アルコキシ基である。
【0014】
nは0〜4の整数であり、即ち、mは0、1、2、3又は4である。本発明のある具体的な実施例において、nは0又は1である。
【0015】
本発明のある具体的な実施例において、前記式(I)に示される構造は、具体的には、以下の通りである。
【0016】
【化2】
、
【0017】
本発明は、式(II)で表される構造を有する代謝性疾患治療用化合物、又はそのラセミ体、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、代謝物、薬学的に許容される塩又はそのプロドラッグを提供する。
【0018】
【化3】
【0019】
ここで、R
4は、水素、置換又は非置換のアルキル基、又はハロゲンである。幾つかの実施態様において、前記R
4は、水素、置換又は非置換のC
1−6アルキル基、又はハロゲンである。他の幾つかの実施態様において、前記R
4は、水素、フッ素、塩素、臭素、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のプロピル基、置換又は非置換のイソプロピル基である。本発明のある具体的な実施例において、前記R
4は、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である。本発明の実施態様において、R
4が置換のアルキル基である場合には、前記アルキル基は、直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であってもよく、前記R
4の置換基は、D、F、Cl、Br、C
1−3アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基又はC
1−3アルコキシ基である。
【0020】
R
5は、それぞれ独立して、置換又は非置換のアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基及びカルボキシ基から選ばれるいずれか1種又は複数種である。幾つかの実施態様において、前記R
5は、それぞれ独立して、C
1−5アルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。幾つかの実施態様において、前記R
5は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、ニトロ基、シアノ基、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のイソプロピル基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。本発明のある具体的な実施例において、前記R
5は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、ニトロ基、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基のいずれか1種又は複数種から選ばれる。本発明の実施態様において、R
5が置換のアルキル基である場合には、前記アルキル基は、直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であってもよく、前記R
5の置換基は、D、F、Cl、Br、C
1−3アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基又はC
1−3アルコキシ基である。
【0021】
R
6は、置換又は非置換のC
1−5的アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロヘキシル基である。幾つかの実施態様において、前記R
6は、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のプロピル基、置換又は非置換のイソプロピル基、フェニル基、ピリジル基又はシクロヘキシル基である。本発明の実施態様において、R
6が置換のアルキル基である場合には、前記アルキル基は、直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であってもよく、前記R
6の置換基は、D、F、Cl、Br、C
1−3アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基又はC
1−3アルコキシ基である。
【0022】
xは0〜4的整数であり、即ち、xは0、1、2、3又は4である。本発明のある具体的な実施例において、xは、0又は1である。
yは、0又は1である。
【0023】
本発明のある具体的な実施例において、前記式(II)の構造は、具体的には、以下のとおりである。
【0024】
【化4】
【0025】
本発明は、さらに、化合物(10)と化合物(16)とを反応させることにより、式(I)で表される化合物を得るステップを含む、式(I)で表される化合物の製造方法を提供する。
【0026】
【化5】
【0027】
ここで、R
1、R
2、R
3、m、nbの範囲は上記と同じであり、説明を省略する。
【0028】
本発明のある具体的な実施例において、前記反応は、tert-ブチルマグネシウムクロリドの触媒作用で行い、前記反応の溶媒は、1,4−ジオキサンである。
本発明のある具体的な実施例において、前記反応の温度は60〜80℃であり、反応時間は1〜3hである。
【0029】
本発明のある具体的な実施例において、前記化合物(10)の合成経路は、以下の通りである。
【0030】
【化6】
【0031】
本発明のある具体的な実施例において、前記化合物(16)の合成経路は、以下の通りである。
【0032】
【化7】
【0033】
本発明は、上記代謝性疾患治療用化合物又は上記製造方法で調製される化合物、及び薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、媒介物又はそれらの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
本発明に係る医薬組成物は、経口投入、注射投入、噴霧吸入、局所投与、経直腸投与、経鼻、舌下投与、又は埋込型薬液注入装置による投与であってもよい。
本発明に係る医薬組成物の剤形は、経口剤形、例えば、カプセル、錠剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、水性懸濁液及び溶液などである。
【0034】
本発明で提供される経口剤形は、圧縮錠剤、開発錠剤、チュアブルロゼンジ、インスタント錠剤、再圧縮錠剤、腸溶性錠剤、糖衣錠またはフィルムコーティング錠として提供することができる。腸溶性錠剤は、胃酸に耐性があるが腸で溶解または崩壊する物質でコーティングされた圧縮錠であり、それによって有効成分が胃の酸性環境に接触するのを防ぐ。腸溶性コーティングは、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、シェラック、アミノ化シェラック及び酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されない。糖衣片は、糖衣で囲まれた圧縮錠剤であり、不快な味や臭いを隠し、錠剤の酸化を防ぐことができる。フィルムコーティング錠は、水溶性物質の薄層またはフィルムで覆われた圧縮錠剤である。フィルムコーティングは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及び酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般的な特性を与える。再圧縮錠剤は、1回超えの圧縮サイクルを経て製造された圧縮錠剤であり、多層錠剤、圧縮コーティング錠または乾式コーティング錠が含まれる。錠剤剤形は、呈粉末、結晶又は顆粒状を示す活性成分から、単独で、又は本発明に記載の1種又は複数種の担体又は賦形剤と組み合わせて調製されることができ、前記担体及び賦形剤は、バインダー、崩壊剤、放出制御ポリマー、潤滑剤、希釈剤及び/又は着色剤が含まれる。本発明で提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン又はアルギン酸カルシウムから調製できるソフトカプセル又はハードカプセルとして提供されることができる。経口投入用液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれるが、これらに限定されない。液体剤形は、活性化合物に加えて、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤といった周知の一般的な不活性希釈剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、油脂(特に綿実、落花生、トウモロコシ、微生物、オリーブ、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、2−テトラヒドロフランメタノール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、及びそれらの混合物が含まれる。経口組成物は、不活性希釈剤に加えて、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、甘味料、調味料及び香料も含むことができる。
本発明の医薬組成物は、坐剤又は適切な注腸剤の形態で直腸内投与することもできる。又は、注射剤として投与される。
上記剤形のアジュバントは、当業者の技術常識に従って選択することができる。
【0035】
本発明の上記化合物、上記製造方法で調製される化合物又は上記医薬組成物は、FXR及び/又はTGR5介在性疾患を治療又は軽減する医薬品の調製に適用されるが、これらに限定されない。
本発明のある具体的な実施例において、前記FXR及び/又はTGR5介在性疾患は、慢性肝疾患、代謝性疾患又は門脈圧亢進症などの疾患から選ばれるが、これらに限定されない。
本発明のある具体的な実施例において、前記慢性肝疾患は、原発性胆汁うっ滞性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、肝線維症関連疾患、薬物による胆汁うっ滞、進行性家族性肝内胆汁うっ滞、妊娠中の胆汁うっ滞、アルコール性肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝疾患の1種又は複数種を含み、前記門脈圧亢進症は、肝線維症、肝硬変、脾腫又は他の原因による門脈圧上昇から選ばれ、前記代謝性疾患は、高コレステロール血症、脂質異常症、コレステロール結石、及び高トリグリセリド血症を含む。
【0036】
本発明に係る化合物又は組成物は、上記慢性肝疾患、代謝性疾患又は門脈圧亢進症などの疾患を療または軽減するために、他の医薬品又は化合物と併用されることもできる。本発明の化合物は、単独した活性薬剤として投与されてもよく、又は他の治療剤と併用して投与されてもよく、同じまたは類似した治療活性を有し、そのような併用投与に対して安全且つ有効であると判定された他の化合物を含む。一つ側面では、本発明は、本発明に開示される化合物と1種又は複数種の治療活性剤との併用薬を安全な有効量で投与することを含む、疾患又は病状を治療、予防又は改善する方法を提供する。幾つかの実施態様において、併用薬は、1つ又は2つの他の治療剤を含む。
他の側面では、本発明は、本発明に開示される化合物、本発明の製造方法で調製される化合物又は本発明に開示される化合物の医薬組成物の治療有効量を、必要とする個体又は試料に投与することを含む、FXR及び/又はTGR5受容体を活性化する方法を提供する。本発明に係る化合物の「治療有効量」又は「有効量」は、2.5mg/kg〜100mg/kgであってもよい。幾つかの実施例では、本発明に係る化合物の「治療有効量」又は「有効量」は、0.4mg/kg〜4mg/kgであってもよく、他の幾つかの実施例では、本発明に係る化合物の「治療有効量」は、0.2mg/kg〜25mg/kgであってもよい。
他の側面では、本発明は、本発明に開示される化合物、本発明製造方法で調製される化合物又は本発明に開示される化合物の医薬組成物の治療有効量を、必要とする個体に投与することを含む、FXR及び/又はTGR5受容体介在性疾患を予防、治療又は軽減する方法を提供する。
【0037】
本発明のある具体的な実施例において、前記FXR及び/又はTGR5受容体介在性疾患は、慢性肝疾患、代謝性疾患又は門脈圧亢進症等疾患から選ばれるが、これらに限定されない。
本発明のある具体的な実施例において、前記慢性肝疾患は、原発性胆汁うっ滞性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、肝線維症関連疾患、薬物による胆汁うっ滞、進行性家族性肝内胆汁うっ滞、妊娠中の胆汁うっ滞、アルコール性肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝疾患の1種又は複数種を含み、前記門脈圧亢進症は、肝線維症、肝硬変、脾腫或他の原因による門脈圧上昇から選ばれ、前記代謝性疾患は、高コレステロール血症、脂質異常症、コレステロール結石、及び高トリグリセリド血症を含む。
本発明で使用される「治療有効量」又は「治療有効用量」という用語は、個人の生物学的または医学的反応(例えば、酵素またはタンパク質の活性を低減又は阻害させるか、受容体を活性化するか、受容体を拮抗するか、症状を改善させるか、病状を緩和させるか、病気の進展を抑え遅らせるか、疾患を予防することなど)を引き起こすことができる本発明の化合物又は組成物の量を意味する。
【0038】
本発明に開示される化合物は、不斉又はキラル中心を含むことができるため、異なる立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、ジアステレオマー、エナンチオマー、アトロプ異性体、及び幾何(或いは配座)異性体、及びそれらの混合物、例えば、ラセミ混合物を含むが、これらに限定されない。式(I)又は(II)で表される化合物の全ての立体異性体の形態を本発明の不可欠な部分にすることを目的とする。
本発明が開示される構造では、いずれか特定のキラル原子の立体化学が明示されていない場合には、該構造のいずれの立体異性体も本発明の範囲内にあると考えられるとともに、本発明に開示される化合物として本発明に含まれる。立体化学が特定の立体配置を示すくさび型線(solid wedge)又は破線で表記される場合には、該構造の立体異性体は、それに応じて明確、定義される。
式(I)又は(II)で表される化合物は、異なる互変異性体として存在してもよく、且つ、これらすべての互変異性体は、本発明に係る互変異性体のように、本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
式(I)又は(II)で表される化合物は、塩として存在することができる。幾つかの実施態様において、前記塩とは、薬学的に許容される塩を指す。他の幾つかの実施態様において、前記塩は、式(I)又は(II)で表される化合物を調製及び/又は精製する、及び/又は本式(I)又は(II)で表される化合物のエナンチオマー中間体を分離するために適用することもできる。
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、特に断りがない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明に係るすべての特許及び刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。「包含」、「含み」という用語は、開放式の表記であり、即ち、本発明で指定された内容を含むが、他の側面の態様を除かない。
「立体異性体」とは、同じ化学構造を有するが、原子又は基の空間的な配置が異なる化合物を意味する。立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、配座異性体(回転異性体)、幾何異性体(シス/トランス)異性体、アトロプ異性体などを含む。
【0040】
「キラル」とは、その鏡像と重ね合わすことができない性質を有する分子を指し、「アキラル」とは、その鏡像と重ね合わすことができる分子を指す。
「エナンチオマー」とは、化合物の2つの重ね合わすことができないが、互いに鏡像になる関係にある異性体を指す。
「ジアステレオマー」とは、2つ又は複数のキラル中心を持ちながら、それらの分子が互いに鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性及び反応性を有する。ジアステレオマー混合物は、例えば、電気泳動及びHPLCのようなクロマトグラフィーのような高分解能の分析手段により分離できる。
【0041】
本発明で用いられる立体化学の定義及び規則は、一般的にS.P.Parker、Ed.、McGraw−HillDictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company、New York;andEliel、E.and Wilen、S.、「Stereochemistry of Organic Compounds」、John Wiley&Sons、Inc.、New York、1994に従う。
多くの有机化合物は、光学的に活性な形態で存在し、即ち、それらは平面偏光の平面を回転させる能力を持つ。光学活性化合物の説明では、接頭辞D/L又はR/Sを使用して、1つ又は複数のキラル中心に関する分子の絶対配置を示す。接頭辞d/l又は(+)/(-)は、化合物による平面偏光の回転を指定するために使用される記号であり、ここで、(-)又はlは、化合物が左旋性であることを示す。接頭辞が(+)又はdである化合物は、右旋性である。具体的な立体異性体の1つは、エナンチオマーであり、このような異性体の混合物はエナンチオマーの混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50の混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と呼ばれ、化学反応又はプロセスでは立体選択性または立体特異性がない場合には、このような状況が発生する可能性がある。
本発明に開示される化合物のいずれの不斉原子(例えば、炭素など)も、ラセミ又はエナンチオマーが濃化した形態で存在することができ、例えば、(R)−、(S)−又は(R,S)−配置として存在することができる。ある実施形態において、各不斉原子は(R)−又は(S)−配置で少なくとも50%のエナンチオマー過剰率であり、少なくとも60%のエナンチオマー過剰率であり、少なくとも70%のエナンチオマー過剰率であり、少なくとも80%のエナンチオマー過剰率であり、少なくとも90%のエナンチオマー過剰率であり、少なくとも95%のエナンチオマー過剰率であり、或いは少なくとも99%のエナンチオマー過剰率である。
【0042】
「未置換」という用語は、指定された基が置換基を持っていないことを意味する。「置換の」という用語は、特定の構造中の置換されてもよい水素原子の1つ又は複数が具体的な置換基で置換されることを意味する。特に明記しない限り、置換された基は、その基の各置換可能な位置で置換された置換基を有してもよい。特定の構造式では1つ以上の位置が具体的な基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置き換えられると、置換基は同じ又は異なる各位置で置換されることができる。本発明に係る置換基は、D、−OH、−NH
2、F、Cl、Br、C
1−3アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、C
1−3アルコキシ基を含むが、これらに限定されない。
本発明で使用される「各……は、独立して、……である」と「……は、それぞれ独立して、……である」と「……は、独立して、……である」という記述方式は、互換されることができ、いずれも広い意味で理解されるべきである。それらは、異なる基では、同じ符号の間で表現された特定の選択は相互に影響しないことを意味してもよく、同じ基では、同じ符号の間で表現された特定の選択は相互に影響しないことを意味してもよい。
「ハロゲン」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を指す。
「アルコキシ基」という用語は、アルキル基が酸素原子を介して分子の残りの部分に連結していることを意味し、ここで、アルキル基は本発明に記載の意味を有する。前記アルコキシ基は、特に断りがない限り、1〜12個の炭素原子を含む。幾つかの実施態様において、アルコキシ基は、1〜6個の炭素原子を含み、他の幾つかの実施態様において、アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を含み、幾つかの実施態様において、アルコキシ基は、1〜3個の炭素原子を含む。前記アルコキシ基は、本発明に記載の置換基の1つ又は複数で任意に置換されることができる。
【0043】
本発明に記載されるように、置換基から結合を描き中心環と連結している環系(式aで示されるように)は、置換基が該環系でのすべての置換可能な位置から1つを選択して置換することを意味する。例えば、式aは、置換基Rがピリジン環でのすべての置換可能な位置から1つを選択して置換することを意味し、例えば、式b〜式dで示される。
【0044】
【化8】
【0045】
本発明に記載されるように、置換基は、単結合を介して中心環に連結し、下付き文字を付き、形成される環系(式eで示されるように)は、置換基が該環系でのすべての置換可能な位置で置換することを意味する。
【0046】
【化9】
【0047】
式中、nが0である場合には、置換基なし、即ち、未置換を意味する。
nが1である場合には、置換基が該環系でのすべての置換可能な位置から1つを選択して置換されることを意味する。
nが1を超え、例えば、2、3又は4である場合には、置換基が1つ以上であり、例えば、2個の置換基、3個の置換基又は4個の置換基を有し、各置換基は、異なる置換位置又は同じ置換位置を選択してもよく、且つ各置換基は、同じであっても異なっていてもよい。
上記波線は、連結する結合を示す。
【0048】
「薬学的に許容される」という用語は、物質又は組成物が、製剤を包含する他の成分及び/又はそれで治療される哺乳動物と化学的及び/又は毒理学的に適合しなければならないことを意味する。
本発明に係る「薬学的に許容される塩」は、通常の化学的方法により親化合物、塩基性又は酸性部分から合成することができる。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、Mg又はKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させるか、これらの化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることにより調製される。このような反応は、通常、水、有機溶媒又は両方の混合物で行う。一般的に、適当な場合には、非水性媒体、例えば、ジエチルエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルを使用する必要がある。例えば、「Remington ′s Pharmaceutical Sciences」、第20版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、(1985);及び「医薬用塩のハンドブック:性質、選択及び応用(Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection、and Use)」、Stahl and Wermuth(Wiley−VCH、Weinheim、Germany、2002)には、他の適切な塩のリストを見つけることができる。
さらに、本発明に開示される化合物(それらの塩を含む)は、それらの水和物の形態又は溶媒(例えば、エタノール、DMSOなど)を含む形態で得られることができ、それらの結晶のために用いられる。本発明に開示される化合物は、本質的にまたは設計により薬学的に許容される溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成することができるため、本発明は、溶媒和及び非溶媒和の形態を含むことを目的とする。
【0049】
さらに、本発明に開示される化合物は、プロドラッグとして投与されることができる。本発明において、本発明に開示される化合物の「プロドラッグ」は、患者に投与される時に、体内に本発明に開示される化合物を最終的に放出することができる機能的誘導体である。
本発明で使用される「プロドラッグ」という用語は、化合物がin vivoで式(I)又は式(II)で表される化合物に変換することを意味する。このような変換は、血液中のプロドラッグの加水分解、または血液または組織内の酵素による母体構造への変換の影響を受ける。本発明のプロドラッグ類化合物は、エステルであってもよく、従来の発明において、エステルのうち、プロドラッグとして使用できるものとして、フェニルエステル類、脂肪族(C
1−C
24)エステル類、アシルオキシメチルエステル類、炭酸エステル、カルバメート類及びアミノ酸エステル類がある。例えば、本発明の化合物は、ヒドロキシ基を包含すると、それをアシル化してプロドラッグの形態の化合物を得ることができる。他のプロドラッグは、リン酸エステルを含み、これらのリン酸エステル類化合物は、母体のヒドロキシ基のリン酸化により得られるものである。
「代謝物」とは、特定の化合物又はその塩がin vivoで代謝することにより得られる生成物を意味する。化合物の代謝物は、当技術分野で周知の技術により同定することができ、その活性は、本発明に記載の実験方法により特徴付けることができる。このような生成物は、投与する化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱脂、及び酵素的分解などの方法により得られる。従って、本発明は、化合物の代謝物を含み、本発明の化合物と哺乳動物との一定期間での十分な接触により生成される代謝物を含む。
【0050】
本発明に係る「溶媒和物」とは、1つ又は複数の溶媒分子と本発明の化合物から形成される会合体を意味する。溶媒和物を形成する溶媒は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、乙酸及びアミノエタノールを含むが、これらに限定されない。「水和物」という用語は、水である溶媒分子によって形成される会合体を意味する。前記溶媒が水である場合には、「水和物」という用語を使用することができる。幾つかの実施例では、本発明の化合物の分子は1つの水分子と結合することができ、例えば、一水和物であり、他の幾つかの実施例では、本発明の化合物の分子は、1つ以上の水分子と結合することができ、例えば、二水和物であり、さらに他の幾つかの実施例では、本発明に係る化合物の分子は、1つ未満の水分子と結合することができ、例えば、半水和物である。本発明に係る水和物は、非水合形態のかかる記化合物の生物学的有効性を保持することに留意すべきである。
本発明で使用される「薬学的に許容されるアジュバント」とは、投与する剤形又は医薬組成物の一致性に関連する薬学的に許容される材料、混合物又は溶媒を意味する。各々のアジュバントは、患者に投与される時に本発明に開示される化合物の効力の相互作用を大きく低減させ、薬学的に許容される医薬組成物ではない相互作用をもたらすことを避けるために、混合際に医薬組成物の他の成分と適合しなければならない。さらに、各種のアジュバントは、薬学的に許容されるものでなければならなく、例えば十分に高い純度である。適切な薬学的に許容されるアジュバントは、選ばれる具体的な剤形に応じて異なる。さらに、薬学的に許容されるアジュバントは、組成物での特定の機能に基づいて選択されることができる。例えば、均一な剤形の生成に寄与する特定の薬学的に許容されるアジュバントを選択することができる。安定な剤形の生成に寄与する特定の薬学的に許容されるアジュバントを選択することができる。患者に投与される時に本発明に開示される化合物を身体のある器官又は部分から身体の別の器官又は部分に運ぶまたは輸送するのに寄与する特定の薬学的に許容されるアジュバントを選択することができる。患者のコンプライアンスを増強させる特定の薬学的に許容されるアジュバントを選択することができる。適切な薬学的に許容されるアジュバントは、希釈剤、充填剤、バインダー、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁助剤、乳化剤、甘味料、矯味剤、苦味マスキング剤、着色剤、固化防止剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤及び緩衝剤というアジュバントを含む。当業者は、ある薬学的に許容されるアジュバントが1つ以上の機能を与えるとともに、選択されてもよい機能も与えることができ、これは、製剤中に存在する該アジュバントの量及び製剤中にどの他のアジュバントが存在するかによるものであることを認識する。
【0051】
「アリール基」という用語は、6〜14個の環原子、又は6〜12個の環原子、又は6〜10個の環原子を含む単環式、二環式または三環式全炭素環系を意味し、ここで、少なくとも1つの環は、芳香族であり、且つ1つ又は複数の結合点が分子の残りの部分に連結する。アリール基の実例は、フェニル基、ナフチル基及びアントラセニル基を含むことができる。前記アリール基は、独立して、本発明に記載の置換基の1つ又は複数で任意に置換されることができる。
「ヘテロアリール基」という用語は、5〜12個の環原子、又は5〜10個の環原子、又は5〜6個の環原子を含む単環、二環または三環を意味し、ここで、少なくとも1つの環は、芳香族であり、且つ少なくとも1つの芳香族環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含み、且つ1つ又は複数の結合点が分子の残りの部分に連結する。ヘテロアリール基の実例は、フリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基又はインドリル基等などを含むが、これらに限定されない。
【0052】
本発明は、従来技術と比較して、式(I)又は式(II)で表される構造を有する化合物、又はそのラセミ体、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、代謝物、薬学的に許容される塩又はそのプロドラッグである代謝性疾患治療用化合物を提供する。本発明で提供される上記化合物は、FXR及びTGR5を標的とし、in vivoで胆汁酸、コレステロール動的平衡、トリグリセリド合成及び脂肪生成を調節することができるため、胆汁酸、コレステロール、トリグリセリド代謝により引き起こす様々な疾患に適用でき、しかも、本発明の化合物は、肝臓標的化合物であり、類似化合物よりも高い効力を有し、副作用が低く、他の類似化合物の臨床的副作用を克服する。