特許第6948765号(P6948765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6948765斜めに配された露光ストライプを用いるマルチビーム描画
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948765
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】斜めに配された露光ストライプを用いるマルチビーム描画
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20210930BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H01L21/30 541W
   G03F7/20 504
   H01L21/30 541J
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-95908(P2016-95908)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-213472(P2016-213472A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2019年2月14日
(31)【優先権主張番号】15167327.4
(32)【優先日】2015年5月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509316578
【氏名又は名称】アイエムエス ナノファブリケーション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】エルマー プラツグマー
【審査官】 山本 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−029096(JP,A)
【文献】 特開2008−300830(JP,A)
【文献】 特開2005−322918(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0138907(KR,A)
【文献】 特開平09−329705(JP,A)
【文献】 特開2012−049433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子によって形成されるエネルギ放射のビームによって、ターゲットに所望のパターンを露光する方法であって、以下のステップ:
・前記放射に対し透過性の複数のアパーチャ(24)を有するパターン定義装置(4)を配すること、
・照明ワイドビーム(lb)によって前記パターン定義装置を照明し、該照明ワイドビームは前記複数のアパーチャを通過して該パターン定義装置を横切り、以って、対応する複数のビームレットからなるパターン化ビーム(pb)を前記所望のパターン(tp)に応じて形成すること、
・前記ターゲット(16)の位置において前記パターン化ビームからパターン像(pm)を形成すること、但し、該パターン像は該ターゲット上の複数のパターンピクセル(px)をカバーする前記複数のアパーチャの少なくとも一部分の像(b1)を含むこと、及び
・前記ターゲット(16)と前記パターン定義装置(4)の間の相対運動を生成し、ビーム露光が実行されるべき少なくとも1つの露光領域(R1,R2,R3)にわたる経路に沿って前記ターゲット上における前記パターン像の運動を生成すること、但し、該経路は一般方向(d2,d3)に沿って延在する複数のセクションから構成され、該複数のセクションは順次露光の際に前記露光領域をカバーする複数の露光ストライプ(s01−s0n,s21−s2n,s31−s3n)に対応し、該露光領域(R1,R2,R3)は規則的配置で配置される複数のパターンピクセル(px)から構成され、該露光領域は前記一般方向(d2,d3)を横切って測定される全幅(Ry)を有し、該露光ストライプは前記一般方向に沿って互いに対し実質的に平行に延伸しかつ該一般方向を横切って測定される夫々の幅(y0)を有すること、
を含み、
前記所望のパターン(tp,80,80’)は複数の構造(81,82)から構成され、該複数の構造(81,82)は主パターン方向(dh,dh’)に沿って配向されるエッジを有し、
当該方法は、前記所望のパターン(tp,80,80’)と前記露光ストライプの相対的配向を設定することを含む、但し、該相対的配向は前記主パターン方向(dh,dh’)と前記露光ストライプ(s21−s2n,s31−s3n)の一般方向(d2,d3)の間の非ゼロの小角度(ε,ε’)を含
前記所望のパターン(80)と前記露光ストライプの相対的配向を設定することは、前記露光ストライプ(s21−s2n)の一般方向(d2)を使用することを含む、但し、この場合、該一般方向(d2)は前記主パターン方向(dh)に一致する予め設定される主方向(X)から非ゼロ角度(ε)だけ回転されている、
方法。
【請求項2】
前記角度は前記一般方向(d2,d3)と前記主パターン方向(dh,dh’)の間のアラインメントを解消する大きさである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記角度(ε,ε’)の値は、ラジアンで表すと、前記露光ストライプの長さ(Rx)に対する幅(y0)の比によって定められる値のオーダーである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記角度(ε,ε’)の値は、前記露光ストライプの長さ(Rx)に対する幅(y0)の比の0.5〜2倍の範囲にある、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット(16)と前記パターン定義装置(4)の間の相対運動を生成している間、ターゲットステージ(6)が使用され、該ターゲットステージ(6)は前記主パターン方向(dh,dh’)及び前記一般方向(d2,d3)の一方に一致する運動の方向に沿って該ターゲット(16)を連続的に移動させるよう構成されている、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲット(16)の位置において前記パターン化ビームからパターン像(pm)を形成する投射システム(5)が使用され、及び、前記ターゲット(16)の運動の方向を横切る方向の前記相対運動の成分は該投射システム(5)によって生成される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
荷電粒子によって形成されるエネルギ放射のビームによって、ターゲットに所望のパターンを露光する方法であって、以下のステップ:
・前記放射に対し透過性の複数のアパーチャ(24)を有するパターン定義装置(4)を配すること、
・照明ワイドビーム(lb)によって前記パターン定義装置を照明し、該照明ワイドビームは前記複数のアパーチャを通過して該パターン定義装置を横切り、以って、対応する複数のビームレットからなるパターン化ビーム(pb)を前記所望のパターン(tp)に応じて形成すること、
・前記ターゲット(16)の位置において前記パターン化ビームからパターン像(pm)を形成すること、但し、該パターン像は該ターゲット上の複数のパターンピクセル(px)をカバーする前記複数のアパーチャの少なくとも一部分の像(b1)を含むこと、及び
・前記ターゲット(16)と前記パターン定義装置(4)の間の相対運動を生成し、ビーム露光が実行されるべき少なくとも1つの露光領域(R1,R2,R3)にわたる経路に沿って前記ターゲット上における前記パターン像の運動を生成すること、但し、該経路は一般方向(d2,d3)に沿って延在する複数のセクションから構成され、該セクションは順次露光の際に前記露光領域をカバーする複数の露光ストライプ(s01−s0n,s21−s2n,s31−s3n)に対応し、該露光領域(R1,R2,R3)は規則的配置で配置される複数のパターンピクセル(px)から構成され、該露光領域は前記一般方向(d2,d3)を横切って測定される全幅(Ry)を有し、該露光ストライプは前記一般方向に沿って互いに対し実質的に平行に延伸しかつ該一般方向を横切って測定される夫々の幅(y0)を有すること、
を含み、
前記所望のパターン(tp,80,80’)は複数の構造(81,82)から構成され、該複数の構造(81,82)は主パターン方向(dh,dh’)に沿って配向されるエッジを有し、
当該方法は、前記所望のパターン(tp,80,80’)と前記露光ストライプの相対的配向を設定することを含む、但し、該相対的配向は前記主パターン方向(dh,dh’)と前記露光ストライプ(s21−s2n,s31−s3n)の一般方向(d2,d3)の間の非ゼロの小角度(ε,ε’)を含み、
前記所望のパターン(80’)と前記露光ストライプの相対的配向を設定することは、ビーム露光を実行する前に、該所望のパターン(80’)を前記露光ストライプ(s31−s3n)の一般方向(d3)に対し非ゼロ角度(ε’)だけ回転させることを含む、
方法。
【請求項8】
前記ターゲット(16)の配向も前記非ゼロ角度(ε’)だけ回転される、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の構造(81,82)は前記エッジによって定義され、該エッジは種々の方向に沿って配向される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記露光ストライプは均一な幅及び長さ(y0,Rx)を有する、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年5月12日に出願された欧州特許出願第15167327.4号についてパリ条約に基づく優先権の利益を主張する。該欧州特許出願の全内容は引用を以って本書に繰り込み、ここに記載されているものとする。
本発明は、エネルギ荷電粒子のビームによって、基板ないしターゲットにパターンを形成する方法に関する。より詳細には、本発明は、荷電粒子を含むエネルギ放射のビームによって、ターゲットに所望のパターンを露光する方法であって、以下のステップ:
・前記放射に対し透過性の複数のアパーチャを有するパターン定義装置を配すること、
・照明ワイドビームによって前記パターン定義装置を照明し、該照明ワイドビームは前記複数のアパーチャを通過して該パターン定義装置を横切り、以って、対応する複数のビームレットからなるパターン化ビームを形成すること、
・前記ターゲットの位置において前記パターン化ビームからパターン像を形成すること、但し、該パターン像は該ターゲット上の複数のパターンピクセルをカバーする前記複数のアパーチャの少なくとも一部分の像を含むこと、及び
・前記ターゲットと前記パターン定義装置の間の相対運動を生成し、ビーム露光が実行されるべき少なくとも1つの露光領域にわたる経路に沿って前記ターゲット上における前記パターン像の運動を生成すること、但し、この経路は一般方向に沿って延在するセクション(複数)から構成され、該経路セクションは順次露光の際に前記(露光)領域をカバーする複数の露光ストライプに対応し、該(露光)領域は規則的配置で配置される複数のパターンピクセルから構成されかつ前記一般方向を横切って測定される全幅を有し、該露光ストライプは前記一般方向に沿って互いに対し実質的に平行に延伸しかつ該一般方向を横切って測定される夫々の幅を有すること、
を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプの方法及びそのような方法を使用する荷電粒子マルチビーム処理装置は従来技術において既知である。とりわけ、本出願人は、荷電粒子光学系、パターン定義(PD)装置及び該装置で使用されるマルチビーム描画方法に関し本出願人名義の幾つかの特許に記載されているような荷電粒子マルチビーム装置を実現している。例えば、193nm液浸リソグラフィ用のフォトマスクの、EUVリソグラフィ用のマスクの及びインプリントリソグラフィ用のテンプレート(1×マスク)の、最先端の複合体を実現可能にする50keV電子マルチビーム描画機が実用化されている。これはeMET(electron Mask Exposure Tool)又はMBMW(multi-beam mask writer)と称されるが、6”(6インチ)マスクブランク基板の露光のためのものである。更に、PML2(Projection Mask-Less Lithography)とも称されるマルチビームシステムは、シリコンウェハ基板に電子ビーム直接描画(EBDW)を適用するために使用されていた。上記のタイプのマルチビーム処理装置は、以下においては、マルチビーム描画機、又は略してMBW、と称する。
【0003】
MBWの典型的な具体例として、本出願人は、基板における81.92μm×81.92μmの寸法のビームアレイフィールド内に512×512(=262,144)本のプログラマブルビームレットを含む20nmのトータルビームサイズを実現する50keV電子描画ツールを実現している。このシステム(以下において「MBMWツール」と称する)では、基板は、典型的には、電子ビーム感応性レジストで被覆された6”マスクブランク(これは6”×6”=152.4mm×152.4mmの面積と1”/4=6.35mmの厚みを有する)である;更に、マルチビーム描画はレジスト被覆150mmシリコンウェハに対しても可能である。
【0004】
MBMWツールのような典型的なMBWの電流密度は、20nmのビームサイズを使用する場合、1A/cm以下程度しかない。従って、262,144本のプログラマブルビームレットをすべて「オン」にした場合、最大電流は1.05μAである。この具体例では、MBWカラムの1シグマ(σ)ブラー(sigma blur)は、実験的に実証されているように、凡そ5nmである。
【0005】
ビームサイズを例えば20nmから10nmに変化させる可能性がある。これは、縮小比200:1のカラムの場合、4μm×4μmの開口サイズの代わりに2μm×2μmの開口サイズのアパーチャを有する異なるアパーチャアレイプレート(AAP)を使用するのが簡明である。本出願人のUS8,546,767において概説されているように、ビームサイズの変化は、トータルサイズ、アパーチャ間隔、アパーチャ形状等のような幾何学的パラメータが異なるマルチプルアパーチャアレイを有するAAPの空間的調整によって現場で(in-situ)実現されることもある。
【0006】
10nmのビームサイズを使用し、基板に4A/m程度の電流密度を提供する場合、262,144本のプログラマブルビームレット(これらのビームレットはすべて「オン」)の電流は、またしても最大で1.05μAである。従って、この場合も、カラムを貫流する電流によるカラムの1シグマブラーの変化は事実上存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 8,546,767 B2
【特許文献2】US 8,378,320 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1世代のMBW生産機は、20nm及び10nmのビームを使用して、すべてが「オン」である262,144本のプログラマブルビームに対し凡そ1μAまでの電流を提供することを目標としている。第2世代以降のMBW生産機では、例えば8nmのような一層小さいビームサイズを使用し、同時に例えば基板の81.92μm×81.92μmビームアレイフィールド内に640×640=409,600本のビームレットを提供することが計画されている。最大電流密度を4A/mに維持することにより、最大電流(ビームレットはすべて「オン」)が1.05μAであることが保証されるはずである。例えば、5nmのビームサイズを使用すれば、基板の上記のビームアレイフィールド内に1024×1024=1,048,576本のプログラマブルビームを提供することができる;またしても、4A/mの最大電流密度では、最大電流(ビームレットはすべて「オン」)は1.05μAである。
【0009】
工業上の応用については、非常に厳しいMBW性能要求が、小さい限界寸法(Critical Dimension)(CD)の達成に関して課され、とりわけ、小さいフィールド(例えばMBWビームアレイフィールドのエリア)内におけるローカルCD均一性(Local CD Uniformity)(LCDU)のナノメートルレベルでの3シグマ又は6シグマ変動(variations)の達成並びに基板(例えば6”マスクブランク又は300mmシリコンウェハ)上のMBW描画フィールド全体にわたるグローバルCD均一性(Global CD Uniformity)(GCDU)のナノメートルレベルでの3シグマ又は6シグマ変動(variations)の達成に関して課されている。
【0010】
更に、特別に適合された露光線量(exposure dose)プロファイルによってラインエッジ位置を微調整することが望まれる。更に、そのような微調整は、MBWビームアレイフィールド(ローカル)内でだけではなく、基板上のMBMW描画フィールド全体(グローバル)にわたっても適合可能であるべきである。
【0011】
本出願人のMBWアーキテクチャを用いることにより、小さいCD値を達成することは可能であり、小さいLCDU及びGCDU値も達成することは可能である。しかしながら、非常に小さいLCDU及びGCDU値の非常に要求が厳しいMBW仕様を満たすためには、追加の微修正が必要である。なお、この場合も、用語「ローカル」及び「グローバル」は、夫々、基板上における小フィールド(例えばMBWビームアレイフィールドのエリア)及びMBW描画フィールド全体をいう。
【0012】
本出願人の特許公報US8,378,320B2は、ターゲット(基板)が一連の露光ストライプ(複数)で露光されるマルチビーム描画法を記載している。露光ストライプ(複数)は、ターゲットが載置されているターゲットステージによって基板を1つの方向(例えば+X)とその反対方向(−X)に機械的にスキャンすることによって実現される。1つの露光ストライプから次の露光ストライプに移動するために、基板はその直交方向に、ストライプ幅に相当する距離だけ、又はオーバーラッピングストライプの場合は選択されたストライプオーバーラップに依存するより小さい量だけ、移動される。
【0013】
しかしながら、露光ストライプによるマルチビーム描画法はある状況においては「サブストライプ(substripes)」と称される効果(作用)を被り得る。より詳細には、例えばパターン定義装置のアパーチャの形状ないし面積のずれを原因とする不完全性(欠陥:imperfection)によってビームレットが影響を受け得る。従って、ストライプのある部分は、その原因に関連するエリアにおいて描画エラーを被り得る一方で、他のエリアは影響を受けない状態に維持され、そのため、露光エリアにわたってストライプ状の(striped)変動パターン(「サブストライプ(substripes)」)が生じ得る。
【0014】
上記の観点から、従来技術のこれらの欠点を解消することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の視点により、荷電粒子によって形成されるエネルギ放射のビームによって、ターゲットに所望のパターンを露光する方法が提供される。該方法は、以下のステップ:
・前記放射に対し透過性の複数のアパーチャを有するパターン定義装置を配すること、
・照明ワイドビームによって前記パターン定義装置を照明し、該照明ワイドビームは前記複数のアパーチャを通過して該パターン定義装置を横切り、以って、対応する複数のビームレットからなるパターン化ビームを前記所望のパターンに応じて形成すること、
・前記ターゲットの位置において前記パターン化ビームからパターン像を形成すること、但し、該パターン像は該ターゲット上の複数のパターンピクセルをカバーする前記複数のアパーチャの少なくとも一部分の像を含むこと、及び
・前記ターゲットと前記パターン定義装置の間の相対運動を生成し、ビーム露光が実行されるべき少なくとも1つの露光領域にわたる経路に沿って前記ターゲット上における前記パターン像の運動を生成すること、但し、該経路は一般方向に沿って延在する複数のセクションから構成され、該複数のセクションは順次露光の際に前記露光領域をカバーする複数の露光ストライプに対応し、該露光領域は規則的配置で配置される複数のパターンピクセルから構成され、該露光領域は前記一般方向を横切って測定される全幅を有し、該露光ストライプは前記一般方向に沿って互いに対し実質的に平行に延伸しかつ該一般方向を横切って測定される夫々の幅を有すること、
を含み、
前記所望のパターンは複数の構造から構成され、該複数の構造は主パターン方向に沿って配向されるエッジを有し、
当該方法は、前記所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定することを含む、但し、該相対的配向は前記主パターン方向と前記露光ストライプの一般方向の間の非ゼロの小角度を含み、前記所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定することは、前記露光ストライプの一般方向を使用することを含む、但し、この場合、該一般方向は前記主パターン方向に一致する予め設定される主方向から非ゼロ角度だけ回転されている(形態1)。
更に、本発明の第2の視点により、荷電粒子によって形成されるエネルギ放射のビームによって、ターゲットに所望のパターンを露光する方法が提供される。該方法は、以下のステップ:
・前記放射に対し透過性の複数のアパーチャを有するパターン定義装置を配すること、
・照明ワイドビームによって前記パターン定義装置を照明し、該照明ワイドビームは前記複数のアパーチャを通過して該パターン定義装置を横切り、以って、対応する複数のビームレットからなるパターン化ビームを前記所望のパターンに応じて形成すること、
・前記ターゲットの位置において前記パターン化ビームからパターン像を形成すること、但し、該パターン像は該ターゲット上の複数のパターンピクセルをカバーする前記複数のアパーチャの少なくとも一部分の像を含むこと、及び
・前記ターゲットと前記パターン定義装置の間の相対運動を生成し、ビーム露光が実行されるべき少なくとも1つの露光領域にわたる経路に沿って前記ターゲット上における前記パターン像の運動を生成すること、但し、該経路は一般方向に沿って延在する複数のセクションから構成され、該セクションは順次露光の際に前記露光領域をカバーする複数の露光ストライプに対応し、該露光領域は規則的配置で配置される複数のパターンピクセルから構成され、該露光領域は前記一般方向を横切って測定される全幅を有し、該露光ストライプは前記一般方向に沿って互いに対し実質的に平行に延伸しかつ該一般方向を横切って測定される夫々の幅を有すること、
を含み、
前記所望のパターンは複数の構造から構成され、該複数の構造は主パターン方向に沿って配向されるエッジを有し、
当該方法は、前記所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定することを含む、但し、該相対的配向は前記主パターン方向と前記露光ストライプの一般方向の間の非ゼロの小角度を含み、
前記所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定することは、ビーム露光を実行する前に、該所望のパターンを前記露光ストライプの一般方向に対し非ゼロ角度だけ回転させることを含む(形態)。
主パターン方向に沿って配向されるエッジを有する複数の構造から構成される所望のパターンのために、該方法は、
該所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定すること(establishing)を含み、但し、該相対的配向は前記主パターン方向と前記露光ストライプの一般方向の間の非ゼロの鋭角(ゼロではないが小さい角度)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に応じ、主パターン方向とストライプの描画の一般方向との間に小さい角度を導入することにより、不完全性を均すこと(平均化すること)、従って、この種の描画エラーを補償することができる。更に、このアプローチは、パターンを描画するストライプの始点部におけるサブストライプとその終点部におけるサブストライプの間の系統的変動(ばらつき:systematic variations)の回避も考慮に入れている。
【0017】
本発明に応じたこの方策により、従来技術の欠点を驚くほど簡単なアプローチで克服することができる。主パターン方向と一般方向の間のアラインメント(整列(状態))の小さいずれのために、1つのビームレットは、主ストライプ及びパターン方向に直交する(直角をなす)軸の変化する値(varying values)でターゲットを描画することができる。従って、サブストライプの形成を均すこと(平均化すること)ないし全体的に回避することが可能になる。
【0018】
なお、「主パターン方向(principal pattern direction)」は、一般に、ターゲットにて露光されるべきパターン内におけるエッジ(複数)の相当な部分(fraction)の配向(orientation)に関するものであることに留意すべきである。このパターンは、通常、複数のコンポーネント(ないし成分)を含むベクトルグラフィックスとして与えられる。ここに(本発明に)関係する種類のパターンでは、大抵のコンポーネントは多角形であり、これらは(明らかに)それらのエッジによって境界付けられている。(パターンが円ないしリングのような丸い(湾曲した)エッジを有するコンポーネントを含む場合は、これらの丸い形状は無視するのが適切であろう。)大抵の実用例では、すべて又は大部分のエッジの配向は、ある特定の配向に沿っている(平行である)か又は該配向に直交している(直角をなしている)。この特定の配向は「主方向(principal direction)」として選択される。エッジの他の配向即ちx軸に対してなす任意の何らかの角度も生じ得るが、それらは通常のパターンのレイアウトでは顕著ではない。
【0019】
本発明の多くの実施形態では、角度の値の適切な選択は、ラジアン(radian)(の単位)で表した場合、露光ストライプの幅に対する長さ[長さに対する幅]の比として定義される値εに等しいか又はそのオーダーである。その値の典型的な範囲は0.5ε〜2εである。
【0020】
既述のように、所望のパターンは、通常、それらのエッジ(縁辺:edges)によって定義(画成)され得る複数の構造から構成される。換言すれば、エッジは構造の輪郭を表す(代表する)。これらのエッジは種々の方向に沿って配向されることもあるが、当該エッジの相当な部分は、好ましくはその大部分は、主パターン方向に沿って配向される。
【0021】
本発明の更に好適な具体的形態に応じ、露光の夫々の領域内のストライプは均一な幅及び長さを有する。
【0022】
本発明の多くの応用形態では、ターゲットとパターン定義装置の間の相対運動を生成している間にターゲットステージが使用され、このターゲットステージは主パターン方向及び一般方向の一方に一致する運動の方向に沿ってターゲットを連続的に移動させるよう構成されていることが好適である。この場合、ターゲットの位置においてパターン化ビームからパターン像を形成する投射システムを使用し、その投射システムによって、ターゲットの運動の方向を横切る(方向の)相対運動の成分を生成すると有利である。
【0023】
本発明の更なる側面によれば、所望のパターンと露光ストライプの傾斜した相対的配向は、露光ストライプの一般方向(general direction)を使用することを含む態様で生成されてもよい。この場合、該一般方向はパターンの主パターン方向に通常一致する(例えばターゲット上で定義されたX方向のような)予め設定される主方向(predefined main direction)から小さな非ゼロ角度だけ回転されている。このことは、パターン自体の配向が一定に維持されて行われるか又はパターンの回転と組み合わせて行われてもよい。
【0024】
本発明の他の側面によれば、所望のパターンと露光ストライプの傾斜した相対的配向は、ビーム露光を実行する前に、所望のパターンを露光ストライプの一般方向に対し小さな非ゼロ角度だけ回転させることを含む態様で導入されてもよい。この場合、ターゲットの配向もこの角度だけ回転することは、通常は好適である。
【0025】
本発明の幾つかの具体的形態では、複数のストライプはオーバーラップしていてもよく、その場合、2つのストライプのオーバーラップの領域において、2つのストライプの一方のパターンピクセル(複数)の公称(基準:nominal)位置(複数)は、該2つのストライプの他方の対応するパターンピクセル(複数)の公称(基準)位置(複数)とオーバーラップしており、パターンピクセルは、2つのオーバーラップしているストライプにおいて、与えられるべき(to be imposed)パターンに関し相補的な態様で露光される。
【0026】
露光の夫々の領域における複数のストライプの描画のシークエンスは非連続的であってもよい。換言すれば、複数のストライプは空間的に隣接する複数のストライプからなる少なくとも2つのグループに配分(割り振り)してもよく、これらのストライプは、各ストライプの次に異なるグループの隣接しない(non-adjacent)ストライプが描画されるタイムシークエンスで、又は各ストライプグループの次に隣接しない異なるグループが描画されるよう、複数のストライプがストライプグループ毎にグループ(複数)の順序に応じて描画されるタイムシークエンスで描画されてもよい。
【0027】
ここに本発明の好ましい実施の形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の方法において、前記角度は前記一般方向と前記主パターン方向の間のアラインメントを解消する大きさであることが好ましい。
(形態3)形態2の方法において、前記角度の値は、ラジアンで表すと、前記露光ストライプの長さに対する幅の比によって定められる値のオーダーであることが好ましい。
(形態4)形態3の方法において、前記角度の値は、前記露光ストライプの長さに対する幅の比の0.5〜2倍の範囲にあることが好ましい。
(形態5)形態1の方法において、前記ターゲットと前記パターン定義装置の間の相対運動を生成している間、ターゲットステージが使用され、該ターゲットステージは前記主パターン方向及び前記一般方向の一方に一致する運動の方向に沿って該ターゲットを連続的に移動させるよう構成されていることが好ましい。
(形態6)形態5の方法において、前記ターゲットの位置において前記パターン化ビームからパターン像を形成する投射システムが使用され、及び、前記ターゲットの運動の方向を横切る方向の前記相対運動の成分は該投射システムによって生成されることが好ましい
形態)上記本発明の第2の視点参照。
(形態)形態の方法において、前記ターゲットの配向も前記非ゼロ角度だけ回転されることが好ましい。
(形態)形態1の方法において、前記複数の構造は前記エッジによって定義され、該エッジは種々の方向に沿って配向されることが好ましい。
(形態10)形態1の方法において、前記露光ストライプは均一な幅及び長さを有することが好ましい。
以下に、模式的に示された図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術のMBWシステムの一例の縦断面図。
図2】従来技術のパターン定義システムの一例の縦断面図。
図3】共通の一般方向(general direction)に沿って配置されたストライプ(複数)を使用するターゲットに対する描画ストラテジ。
図4】露光されるべきパターン例のピクセルマップの一例。
図5】ターゲットに結像されたアパーチャ(複数)の配置の一例。
図6】N=2でのアパーチャ(複数)の配置例(図6(A));「ダブルグリッド(double grid)」配置におけるピクセル(複数)のオーバーサンプリングの一例(図6(B))。
図7】1つのストライプの露光(図7(A));図7(A)のプロセスから得られたストライプ(図7(B));2つのオーバーラッピングストライプ(図7(C))。
図8】従来技術に応じたストライプ式描画法を用いた所望のパターンの露光。
図9】本発明の第1実施例に応じたストライプ描画法。
図10】ストライプが図9に示した方法によって描画される要素の詳細図。
図11】ストライプが非回転パターン像を用いる方法の変形例によって描画される様子の他の詳細図。
図12】本発明の他の実施例に応じたストライプ描画法。
【実施例】
【0029】
ここで理解すべきことは、本発明は以下に与える実施例に限定されないこと、これらの実施例は単に本発明の好適な具体例を示すものに過ぎないことである。
【0030】
リソグラフィ装置
本発明の好ましい実施形態の実施に好適なリソグラフィ装置の一例の概観を図1に示す。以下においては、本発明の開示に必要な限りでその詳細を示すが、理解の容易化のために、図1にはその各コンポーネントは夫々の寸法通りには(同じ縮尺では)示されていない。リソグラフィ装置1の主要コンポーネントは―この例では図1の紙面上下方向の下方に推移するリソグラフィビームlb、pbの方向に従って―照明システム3、パターン定義(PD:pattern definition)システム4、投射システム5及び基板(substrate)16を備えたターゲットステーション6である。装置1全体は、装置の光軸cwに沿った荷電粒子のビームlb、pbの妨げのない伝播を確保するために高真空状態に維持される真空室2内に収容される。荷電粒子光学システム3、5は静電及び/又は磁気レンズによって実現される。
【0031】
照明システム3は、例えば、電子銃7、抽出(extraction)システム8及びコンデンサレンズシステム9を含む。尤も、電子の代わりに、一般的には、他の荷電粒子も使用可能であることに留意すべきである。電子以外では、これらは、例えば、水素イオン又はより重いイオン、荷電原子クラスタ又は荷電分子であり得る。
【0032】
抽出システム8は、粒子を典型的には数keV、例えば5keVの所定のエネルギに加速する。コンデンサレンズシステム9は、電子源7から放射された粒子から、リソグラフィビームlbとして作用する幅広の実質的にテレセントリックな粒子ビーム50を形成する。次いで、リソグラフィビームlbは、夫々複数の孔(アパーチャとも称される)を有する複数のプレートを含むPDシステム4を照射する。PDシステム4はリソグラフィビームlbの経路の特定の位置に保持されるが、そのため、リソグラフィビームlbは複数のアパーチャ及び/又は孔を照射して、複数のビームレット(微細ビーム)に分割される。
【0033】
アパーチャ/孔の幾つかは、当該アパーチャ/孔が各アパーチャ/孔を貫通して通過するビームの部分即ちビームレット51がターゲットに到達することを可能にするという意味で入射ビームに対して透過性であるよう「スイッチオン」されておりないし「オープン」の状態にある。他のアパーチャ/孔は「スイッチオフ」ないし「クローズ」されている、即ち、対応するビームレット52はターゲットに到達できない。そのため、実質的に、これらのアパーチャ/孔はビームに対して非透過性(不透明)である。かくして、リソグラフィビームlbは、PDシステム4から出射するパターン化ビームpbに構造化される。スイッチオンされたアパーチャのパターン―リソグラフィビームlbに対して透過性であるPDシステム4の部分―は、荷電粒子感応性レジスト17で被覆された基板16に露光されるべきパターンに応じて選択される。なお、アパーチャ/孔の「スイッチオン/オフ」は通常はPDシステム4のプレートの1つに配される適切なタイプの偏向手段によって実現されることに留意すべきである。従って、「スイッチオフ」されたビームレット52は(非常に小さいが十分な角度で)それらの経路から逸らされ、そのため、ターゲットに到達することはできず、リソグラフィ装置の何れかの部位で、例えば吸収プレート11で単に吸収される。
【0034】
次に、パターン化ビームpbによって表されるようなパターンは、電磁光学投射システム5によって基板16に投射され、該基板16において、ビームは「スイッチオン」されたアパーチャ及び/又は孔の像を生成する。投射システム5は、2つのクロスオーバー(交差)c1及びc2を以って例えば200:1の縮小を行う。基板16は、例えば、粒子感応性レジスト層17で被覆された6”マスクブランク又はシリコンウェハである。基板はチャック15によって保持され、ターゲットステーション6の基板ステージ14によって位置決めされる。
【0035】
露光されるべきパターンに関する情報は、電子パターン情報処理システム18によって実現されるデータパスによってPDシステム4に供給される。
【0036】
図1の例では、投射システム5は、好ましくは静電及び/又は磁気レンズを含み、場合によっては他の偏向手段を含む複数の一連の(並置される)電磁光学投射ステージ10a、10b、10cから構成される。これらのレンズ及び手段は、その応用例は従来技術において周知であるため、象徴的な形態でのみ図示した。投射システム5は、クロスオーバーc1、c2を介した縮小結像を行う。両者のステージのための縮小倍率は、全体で数百分の1の縮小、例えば200:1の縮小が得られるように選択される。このオーダーの縮小は、PD装置の小型化の問題を改善するために、リソグラフィセットアップについてとりわけ好適である。
【0037】
投射システム5全体で、色収差及び幾何収差に関しレンズ及び/又は偏向手段を大幅に補償する方策を提供する。像を全体として横方向に即ち光軸cwに対し直角をなす方向に沿ってシフトする手段として、偏向手段12a、12b及び12cがコンデンサ[照明システム]3及び投射システム5に配される。偏向手段は、例えば、ソース抽出システム(source extraction system)8の近く又は図1に偏向手段12bによって示されているような2つのクロスオーバーの一方の近く、又は図1のステージ偏向手段12cと同様に相応の投射機の最終レンズ10cの後方に(下流に)位置付けられるマルチポール(多重極)電極システムとして実現されることも可能である。この装置では、マルチポール電極アレンジメントは、ステージ運動に対する像のシフトと荷電粒子光学アラインメントシステムと連携した結像システムの修正の両者のための偏向手段として使用される。これらの偏向手段12a、12b、12cは、ストップ(吸収)プレート11と連携したPDシステム4の偏向アレイ手段と混同すべきではない。後者の偏向手段は、パターン化ビームpbの選択されたビームレットを「オン」又は「オフ」に切り換えるために使用されるものであるのに対し、前者の偏向手段は、単に、粒子ビームを全体として処理するものに過ぎないからである。ソレノイド13を用いて軸方向(アキシャル)磁界を生成して、プログラマブルビームの全体を回転することも可能である。
【0038】
図2の部分詳細図はPDシステム4の好適な一実施例を示す。このPDシステム4は、順次の配置で積み重ねられた3つのプレート、即ち、「アパーチャアレイプレート(Aperture Array Plate)」(AAP)20、「偏向アレイプレート(Deflection Array Plate)」(DAP)30及び「フィールド境界アレイプレート(Field-boundary Array Plate)」(FAP)40を含む。なお、用語「プレート(plate)」は、関連する装置の全体形状を参照するものであるが、プレートが単一のプレート要素として実現されていることを、これが通常はその具現化の好ましい態様であるとしても、必ずしも意味しておらず、寧ろ、ある実施例では、アパーチャアレイプレートのような「プレート」は複数のサブプレート(sub-plate)から構成可能であることに留意することは重要である。プレート(複数)は、Z方向(図2の鉛直軸ないし紙面上下方向)に沿って所定の相互間隔をなして、互いに対し平行に配置されることが好ましい。
【0039】
AAP20の平坦な上面は、荷電粒子コンデンサ光学系/照明システム3に対する定義された電位(ポテンシャル)インターフェース(defined potential interface)を構成する。AAPは、例えば、肉薄化された中央部分22を有するシリコンウェハ(凡そ1mm厚)21の方形又は矩形片から構成されることも可能である。プレートは、水素又はヘリウムイオンを使用する場合に(US6,858,118参照)とりわけ有利であるはずの導電性保護膜23で被覆されることもできる。電子又は重イオン(例えばアルゴン又はキセノン)を使用する場合、膜23は、膜23とバルク部分21、22との間に界面(interface)が形成されないように、バルク部分21と22の表面部分によって形成されるシリコンとすることも可能である。
【0040】
AAP20には、肉薄部分22を横断(貫通)する孔によって形成される複数のアパーチャ24が設けられる。アパーチャ(複数)24は、肉薄部分22に設けられるアパーチャエリア内に所定の配置で配され、以って、アパーチャアレイ26を形成する。アパーチャアレイ26におけるアパーチャ(複数)の配置は、例えば、ジグザグ(ないし千鳥状:staggered)配置又は規則的な矩形又は方形アレイ(図5参照)とすることも可能である。図示の実施例では、アパーチャ(複数)24は、膜23に形成されるストレートなプロファイルと、AAP20のバルク層における「レトログレード(先太拡開的:retrograde)」プロファイルを備えて構成され、そのため、孔の下側開口部25はアパーチャ24の主要部における(開口部)よりも幅が広い。このストレートプロファイルとレトログレードプロファイルは何れも反応性イオンエッチングのような従来技術の構造化技術によって製造することができる。レトログレードプロファイルは、孔を貫通通過するビームのミラー帯電効果(mirror charging effects)を大きく減じる。
【0041】
DAP30は複数の孔33が設けられたプレートであり、該プレートにおいて、孔33の位置はAAP20のアパーチャ24の位置に対応し、かつ、孔33には孔33を貫通通過する個々のビームレットを選択的に夫々の経路から逸らすよう構成された電極35、38が配される。DAP30は、例えば、ASIC回路を備えたCMOSウェハの後処理によって製造することができる。また、DAP30は、例えば、方形又は矩形形状を有する一枚のCMOSウェハ片から作られ、肉薄化された(但し、22の厚みと比べて適当により肉厚であってもよい)中央部分32を保持するフレームを形成する肉厚部分31を含む。中央部分32のアパーチャ孔33は、24と比べて(例えば図示左右方向に凡そ2μmだけ)より幅が広い(径が大きい)。CMOS電子回路(electronics)34は、MEMS技術によって設けられる電極35、38を制御するために配される。各孔33の近くには、「アース(ground)」電極35と偏向電極38が配される。アース電極(複数)35は電気的に相互に接続され、共通のアース電位に接続されると共に、帯電を阻止するためのレトログレード部分36と、CMOS回路への不所望のショートカットを阻止するための絶縁部分37を含む。アース電極35は、シリコンバルク部分31及び32と同じ電位にあるCMOS回路34の部分に接続されてもよい。
【0042】
偏向電極38は静電電位が選択的に印加されるよう構成される;そのような静電電位がある電極38に印加されると、この電極38は対応するビームレットの偏向を引き起こす電界を生成し、該ビームレットをその公称(nominal)経路から逸らすことができる。電極38もまた、帯電を回避するためにレトログレード部分39を有してもよい。電極38の各々はその下側部分においてCMOS回路34内の対応するコンタクト部位に接続される。
【0043】
アース電極35の高さは、ビームレット間のクロストーク効果を抑制するために、偏向電極38の高さよりも大きい。
【0044】
図2に示したDAP30を有するPDシステム4の配置は種々の可能性のうちの1つに過ぎない。1つのバリエーション(不図示)では、DAPのアース電極35と偏向電極38は、下流側ではなく寧ろ、上流側に配向(紙面上側に指向)されてもよい。更に、例えば埋設されたアース及び偏向電極を有するDAP構成も、当業者であれば案出することができる(本出願人名義の他の特許、例えばUS8,198,601B2参照)。
【0045】
FAPとして役立つ第3のプレート40は、下流側で縮小を行う荷電粒子投射光学系5の第1レンズ部分に指向するフラットな面を有し、そのため、投射光学系の第1レンズ10aに対する定義された電位インターフェースを提供する。FAP40の肉厚部分41は、シリコンウェハの一部分から作られる方形又は矩形フレームであり、肉薄化された中央部分42を伴う。FAP40には、AAP20とDAP30の孔24、33に(位置的に)対応するが、これらと比べて幅が広い複数の孔43が設けられる。
【0046】
PDシステム4は、とりわけその第1プレートであるAAP20は、ブロード荷電粒子ビーム50(ここで、「ブロード(broad)」ビームとは、該ビームがAAPに形成されたアパーチャアレイのエリア全体をカバーするのに十分に幅が広いことを意味する)によって照射される。そのため、該ビーム50は、アパーチャ24を貫通通過させられると、千本単位で多数の(many thousands of)マイクロメートルサイズ(径)のビームレット(微細ビーム)51に分割される。ビームレット51は、DAPとFAPを妨げられることなく横切る(通過する)ことができる。
【0047】
既述の通り、偏向電極38がCMOS電子回路によって通電されると、偏向電極と対応するアース電極の間に電界が生じ、通過する対応するビームレット52は僅かであるが十分に偏向される(図2)。偏向されたビームレットは、その太さに比べて孔33及び43の幅が十分に大きいため、DAPとFAPを妨げられることなく横断する(通過する)ことができる。しかしながら、(大きく)偏向されたビームレット52は、サブカラムのストップ(絞り)プレート11で除去される(図1)。このため、DAPによる影響を受けないビームレットのみが基板に到達することができる。
【0048】
荷電粒子縮小光学系5の縮小倍率は、ビームレットの寸法、PD装置4におけるそれらの相互間距離及びターゲットにおける構造の所望の寸法の観点から適切に選択される。これにより、PDシステムにおいてはマイクロメートルサイズのビームレットが得られるのに対し、基板に対してはナノメートルサイズの(より縮小された)ビームレットが投射される。
【0049】
AAPによって形成される(無影響の)ビームレット51の束(ないし集合:ensemble)は、荷電粒子投射光学系の予め定められた縮小倍率Rで基板に投射される。その結果、基板に、BX=AX/R及びBY=AY/Rの幅を有する「ビームアレイフィールド(beam array field)」(BAF)が投射される。ここで、AX及びAYは夫々X方向及びY方向に沿ったアパーチャアレイフィールドのサイズを表す。基板におけるビームレット(即ちアパーチャ像)の公称幅(nominal width)は、bX=aX/R及びbY=aY/Rによって与えられる。ここで、aX及びaYは夫々DAP30のレベル(高さ)においてX方向及びY方向に沿って測定されるビームレット51のサイズを表す。
【0050】
なお、図2に示した個別ビームレット51、52は、2次元のX−Yアレイに配置された、遥かにより多数のビームレット、典型的には千本単位で多数のビームレットを代表していることに留意することは重要である。本出願人は、例えば、イオンに対する縮小倍率がR=200であるマルチビーム荷電粒子光学系と、千本単位で多数の(例えば262,144本)のプログラマブルビームレットを使用する電子マルチビームカラムを既に実現している。本出願人は、そのような(マルチビーム)カラムであって基板におけるBAFが凡そ82μm×82μmのものを既に実現している。これらの実例は、単に、説明の目的のために提示したに過ぎず、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0051】
図3によれば、BAFはターゲット16上にパターン像pmを形成する。荷電粒子感応性レジスト層17によって被覆されたターゲット面は、露光されるべき1又は2以上のエリアR1を含むであろう。一般的に、BAF[パターン像]pmは、夫々X方向及びY方向において測定された寸法Rx×Ryを有する露光エリアR1の幅よりも通常は十分に小さい有限のサイズy0を有する。従って、スキャニングストライプ露光法が使用される。この方法では、ターゲットは、ターゲット上におけるビームの位置が不断に(perpetually)変化されるよう、従って、像パターンpmの位置が移動されるよう、入射ビーム下で移動される。即ち、ビームはターゲット面(の全面)にわたって効率的にスキャンされる。ここで、本発明の目的のためには、ターゲット上におけるパターン像pmの相対運動のみが重要であることを強調しておく。この相対運動によって、パターン像pmは、幅がy0の一連のストライプs01,s02,s03,...s0n(露光ストライプと称する)によって形成される経路に沿ってエリアR1(の全面)にわたって移動される。これらのストライプは共通の方向d1に沿って延在する。この共通の方向d1は図示の例ではX方向に一致する。進行方向に関しては、スキャニング方向sdは同一であってもよく、或いは、交互に変化してもよい(これは象徴的にsd=±d1で表される)。とりわけ、図3は、スキャニング方向が交互に変化する複数のストライプs01−s0nからなる経路を示している。各ストライプ(最後のものを除く)の終点部において、ターゲットステージは次のストライプの始点部にターンするが、方向は反転する一方で一般方向d1は維持されることが好ましい。かくして、ターゲットステージはストライプ間で終点部ターンu1,u2,...uuを実行する。なお、ターンu1−uuはターゲットにおける露光処理を伴わず、従って、ターゲットにおけるパターン像pmの経路の部分であるとはみなされない。
【0052】
かくして、露光エリアR1を描画するために使用されるストライプs01−s0nは基本的に、一般方向d1に従って、(相互に)平行である。ストライプの完全なセットは露光エリアR1の全面(エリア全体)をカバーする。用語「一般方向(general direction)」は、±x又は±yのような、ターゲット面上の所与の方向に沿った運動の両方の進路(方向)を指すことを意味するものとする。なお、記号±は両方の進路(方向)が同じ一般方向に属することを表すものとする。一般方向d1を横切って(横断方向に)測定されるストライプの幅y0は同じ横断方向に沿ったエリアR1の幅Ryと比べると一般的に小さいため、露光エリアR1は一般的に所定数のストライプ、通常は複数のストライプを含むことになる。従って、露光エリアR1におけるストライプの数は、その都度の応用例及び描画されるべきパターンに応じて、典型的には相当の大きさになる。
【0053】
図4は、10×18=180ピクセルのサイズを有する画像化パターンpsの単純な一例を示す。この例では、露光エリアのピクセルのあるものp100は100%のグレーレベル401に露光されており、他のピクセルのあるものp50はフルグレーレベルの50%のみ402に露光されている。残りのピクセルは0%線量(dose)403に露光されている(即ち全く露光されていない)。勿論、本発明が現実に応用される場合、標準的な像のピクセル数はいっそう多いであろう。しかしながら、図4では、ピクセルの数は、理解の容易化のために、180しか示されていない。更に、一般的に、一層多くの段階のグレーレベルが0%〜100%のスケール内において使用されることができる。
【0054】
かくして、パターン像pm(図3)は、露光されることが意図されるパターンtpに応じた線量値(dose values)で露光される複数のパターンピクセルpxから構成される。尤も、PDシステムのアパーチャフィールドにはアパーチャは有限の数しか存在しないため、ピクセル(複数)pxの(1つの)サブセットしか同時に露光できないことに留意すべきである。スイッチオンされるアパーチャのパターンは、基板に露光されるべきパターンに応じて選択される。このため、実際のパターン化ビームでは、ピクセルのすべてが完全な線量で露光されるのではなく、ピクセルのあるものは実際のパターンに応じて「スイッチオフ」されることができる。各ピクセルに対し(換言すれば、該ピクセルをカバーする各ビームレットに対し)、ターゲットに露光ないし構造化されるべきパターンに依存して該ピクセルが「スイッチオン」されるか「スイッチオフ」されるかにより、ピクセル露光サイクル毎に、露光線量は変化されることができる。
【0055】
基板16がターゲットステージ14によって連続的に動かされる間に、ターゲット上のパターンピクセルpxに応じた同じ像要素が、一連のアパーチャの像(複数)によって複数回カバーされることができる。同時に、PDシステムのパターンは、PDシステムのアパーチャを介して、ステップ毎に(段階的に)シフトされる。従って、ターゲット上のある位置における1つのピクセルについて考えた場合、すべてのアパーチャが当該ピクセルをカバーしたときにこれらのアパーチャがスイッチオンされるとすれば、露光線量レベルは最大になることになる。即ち、100%に対応する「ホワイト」シェード(“white”shade:白グレード)が生じることになる。「ホワイト」シェードに加えて、最小(「ブラック(black)」)露光線量レベルと最大(「ホワイト(white)」)露光線量レベルの間を補間するであろうより低い線量レベル(「グレーシェード(gray shade)」とも称される)に応じてターゲットにおいてピクセルを露光することも可能である。グレーシェードは、例えば、1つのピクセルの描画に関与し得るアパーチャ(複数)のサブセットのみをスイッチオンすることによって実現し得る。例えば、16のアパーチャのうちの4つは、25%のグレーレベルを与えることができる。他のアプローチは、関係するアパーチャのためのブランキングされない(unblanked)露光の持続時間を減じることである。かくして、1つのアパーチャ像の露光持続時間は、グレースケールコードで、例えば整数で、制御される。露光されるアパーチャ像は、ゼロと最大露光持続時間及び線量レベルに対応する所与の数のグレーシェードの1つの現れである。グレースケールは、通常、グレー値のセット、例えば0,1/(n−1)...,i/(n−1),...,1(但し、nはグレー値の数、iは整数(「グレーインデックス(gray index)」、0≦i≦n−1))、を定義する。尤も、一般的には、グレー値は等間隔(equidistant)である必要はなく、0と1の間の非減少的数列(non-decreasing sequence)を形成する。
【0056】
図5は、基本的レイアウトに応じた、PD装置のアパーチャフィールドにおけるアパーチャ(複数)の配置を示し、以下において用いる幾つかの量及び略語を説明する。図示されているのは、ターゲットに投射されるアパーチャ像(複数)b1の配置であり、これらは、その実際のグレーレベルの如何に拘わらず、暗いシェード(黒)で示されている。主軸X及びYは、夫々、ターゲット運動の進行の方向(スキャニング方向sd)及び(その)直交方向に対応する。各アパーチャ像は、方向X及びYに沿って夫々幅bX及びbYを有する。アパーチャ(複数)は、夫々MX及びMY(個の)アパーチャを有する横列(即ち行:lines)及び縦列(即ち列:rows)に沿って配置され、各横列及び各縦列の夫々において隣り合うアパーチャ間のオフセット(ずれ)は夫々NX及びNYである。その結果、各アパーチャ像には、NX・bX・NY・bYの面積を有する観念的なセル(升目:cell)C1が属し、アパーチャアレンジメントは矩形状に配列されたMX・MY(個)のセルを含む。以下において、これらのセルC1は「露光セル(exposure cell)」と称する。ターゲットに投射される完全なアパーチャアレンジメントは、(BX=MX・NX・bX)×(BY=MY・NY・bY)の寸法を有する。以下の説明においては、矩形グリッドの特殊例としての方形グリッドを考え、b=bX=bY、M=MX=MY及びN=NX=NY、Mは整数とするが、これらはすべて説明を目的としたものであり、発明全体に如何なる限定を付するものではない。かくして、「露光セル」は、ターゲット基板上にN・b×N・bのサイズを有する。
【0057】
ターゲット上に形成される1つのアパーチャ像のサイズはb=bX/Rである。ここで、bXはアパーチャアレイプレート(AAP)のアパーチャの孔の幅(孔径)であり、Rは荷電粒子投射光学系の縮小倍率である。
【0058】
隣り合う2つの露光位置間の距離は、以下において、eで表す。一般的に、距離eはアパーチャ像の公称(nominal)幅bと異なり得る。最も単純な例ではb=eである。これは2×2露光セルC3の配置例についての図6Aに示されている。1つのアパーチャ像bi0は1つのピクセル(の公称(nominal)位置)をカバーする。図6Bに示されている(及びUS8,222,621及びUS7,276,714の教示に合致している)ように、他の興味深い例では、eはアパーチャ像の幅bの分数b/o(但しoはo>1、好ましくは(但し必須ではない)整数、これはオーバーサンプリングファクタとも称する)であり得る。この例では、アパーチャ像(複数)は、異なる複数の露光過程の中で、空間的に重なり合い、形成されるべきパターンの位置決め(placement)のより大きな解像度を可能にするであろう。あるアパーチャの各像は、一度に、複数のピクセル即ちo個のピクセルをカバーすることができる。ターゲットに結像されるアパーチャフィールドのエリア全体は(NMo)個のピクセルを含むことができる。アパーチャ像の位置決め(placement)の観点から、このオーバーサンプリングはターゲットエリアを単にカバーするために必要であろうものとは(間隔がより細かいために)異なるいわゆる位置決めグリッド(placement grid)に対応する。
【0059】
図6Bは、位置決めグリッド(placement grids)と組み合わせたo=2のオーバーサンプリングの一例を示す。即ち、アパーチャアレイの像はo=2、N=2のパラメータを有する露光セルC4を有する。これによれば、各公称位置(図6Bの小さい方形フィールド(複数))に4つのアパーチャ像bi1(破線)がプリントされているが、これらは、正規の(regular)グリッド上でX方向及びY方向の両方においてピッチeだけずらされている。アパーチャ像のサイズは依然として同じ値bであるのに対し、位置決めグリッドのピッチeは今やb/o=b/2である。従前の公称位置に対するオフセット(位置決めグリッドのオフセット)もb/2のサイズである。同時に、各ピクセルの線量及び/又はグレーシェードは、対応するピクセルをカバーするアパーチャ像のために適切なグレー値を選択することによって、適合(減少)され得る。その結果、サイズaのエリアがプリントされるが、位置決めグリッドはより精細であるために位置決め精度は向上する。図6B図6Aを直接的に対比することにより、アパーチャ像(複数)の位置は位置決めグリッドにおいて従前よりも2倍(一般的にはo倍)精細に配置されている一方で、アパーチャ像(複数)自体は重なり合っていることが分かる。露光セルC4は、今や、描画プロセス中に処理されるべき(No)の位置(即ち「ピクセル」)を、従って、oの倍率(factor)(o倍)だけ従前よりも多くのピクセルを含む。これに応じて、アパーチャ像の寸法b×bを有するエリアbi1は、図6Bにおいてo=2でオーバーサンプリングされる場合(「ダブルグリッド(double grid)」ともいう)、o=4ピクセルに関係付けられる。勿論、oは他の任意の整数値、とりわけ4(「クワッドグリッド(quad grid)」)であってもよく、或いは、21/2=1.414のような1より大きい非整数値であってもよい。
【0060】
位置決めグリッドにおけるピクセル位置(複数)は、「部分グリッド(partial grid)」と称される2以上のグループに割り当てられてもよい。例えば、図6Aの位置決めグリッドのピクセル(複数)は、2つの部分グリッドに、特にチェッカー(チェス)ボード(のマスの配色)に従った交互的態様で、属してもよい。位置決めグリッドについてはUS8,222,621において更に説明されており、部分グリッドについてはUS2015/0028230により詳細に説明されている。当業者であれば、位置決めグリッド及び部分グリッドについてこれらの文献を参照する。位置決めグリッド及び部分グリッドについてのこれら2つの文献の開示は引用を以って本書に繰り込み、ここに記載されているものとする。
【0061】
図7A図7Cは、本発明のために適切な、ターゲット上の1つのエリアを露光するためのピクセル(複数)の露光スキームを示す。図示されているのは、(紙面の)上側(より早い)から(紙面の)下側(より遅い)に時間の経過する一連のフレームである。この図におけるパラメータ値はo=1,N=2である。更に、MX=8及びMY=6の矩形ビームアレイが想定されている。ターゲットは常に左側に動くのに対し、ビーム偏向は図の左側に示されているようにのこぎり状波(seesaw)関数で制御される。長さT1の各期間(インターバル)中は、ビーム像は(「位置決めグリッド」の位置に対応する)ターゲット上においてある位置に固定された状態に留まる。従って、ビーム像は、位置決めグリッドシークエンスp11,p21,p31を経過するように示されている。位置決めグリッドの1つのサイクルは、ターゲット運動(速度)vのために、期間L/v=NMb/v内に露光される。各位置決めグリッドにおける露光のための時間T1は、長さL=vT1=L/(No)=bM/Noに対応するが、これは「露光長さ(exposure length)」と称する。
【0062】
ビームレット(複数)は、ターゲットと一緒に、1セットの像要素の露光中にLの距離にわたって動かされる。換言すれば、すべてのビームレットは、期間T1中、基板の表面に関し固定された(一定の)位置に維持される。距離Lに沿ってターゲットと共にビームレットを動かした後、ビームレットは瞬間的に(極めて短時間内に)配置転換(再配置:relocate)されて、次の位置決めグリッドの像要素(複数)の露光が開始される。位置決めグリッドサイクルの位置p11...p31を経ての完全な1サイクルの後、シークエンスは、X方向(スキャニング方向)に平行な長手方向オフセット(ずれ)L=bNMを付加して、新たに開始する。ストライプの始点部と終点部においては、露光方法は連続的なカバーを実行しなくてもよいため、完全には埋められない(露光されない)長さLのマージンが存在し得る。
【0063】
この方法によって、グリッドG1に関連付けられたストライプs1の例のための図7Bに示されているように1つの部分グリッドG1のすべてのピクセルを露光し、任意の長さのストライプを描画することができる。ストライプの始点部と終点部においては、露光方法は連続的なカバーを実行しなくてもよいため、完全には埋められない(露光されない)幅L−Lのマージンmrが存在する。
【0064】
図7Cにおいて説明するように、他方の部分グリッドG2(又はグリッドの数が2より大きい場合は他の複数の部分グリッド)に属するピクセル(複数)の露光は他のストライプs21の描画によって行われる。本発明の意義において、複数の異なるグリッドのストライプ(複数)の位置決めは、スキャニング方向の直交方向にオフセット(ずれ)を有してもよい。ストライプs1,s2がオーバーラップするエリア内において、そのように露光されたピクセルが組み合わさることにより、露光されるべきピクセル(複数)を完全にカバーすることができる。尤も、ストライプs1,s2は、一般的には、以下に詳細に説明するように、直ちに連続する順序では露光されないであろう。
【0065】
図8は、従来技術に応じたストライプ式描画法を利用する所望のパターン80の露光の主要要素を簡単に示したものである。パターン80(これは図8において一点鎖線の矩形によって示された専用エリア(dedicated area)に関連付けられてもよい)は、露光エリアと称される、定義されたサイズのエリアR1内に配される。一般的には、ターゲットは、露光されるべき同じ又は異なるパターン(複数)を含み得る複数の露光エリアを含み得る。露光エリアは、既に説明した露光法に従って一連のストライプs01−s0nによって描画される。理解の容易化のために、図8には、露光エリアR1をカバーするストライプ(複数)のうちの最初の2つと最後の2つs01,s02,s0u,s0nのみを示した。これらのストライプs01−s0nは、共通の一般方向d1に沿って、例えば交互に変化する進行の向き(±d1)で、描画される。従来例においても、一般方向d1は、ターゲットステージ14の主運動方向Xに、即ちX方向に沿って、整列される、即ち平行をなすよう選択され、これによって、運動方向Xに沿ったターゲット16の迅速な運動及び精細位置決めを可能にする。最も伝統的なターゲットステージの場合、主方向に整列されていない運動は精細さが減少し、X軸を横切る(横断方向の)即ちX軸に対し直角をなす(直交する)Y軸に沿った運動成分は、しばしば、X方向に沿った運動成分よりも相当に緩慢である。
【0066】
更にこの技術分野における一般的なプラクティスに応じて、パターン80は、矩形形状の長いライン82、ほぼ方形形状のパッドエリア、相互に結合された複数の矩形形状からなる分岐又は非分岐の複合ライン(不図示)及び/又は更に複雑な形状81のような複数のコンポーネント構造から構成される。コンポーネントはそれらのエッジによってベクトルデータとして定義され、典型的には、エッジはコンポーネントの輪郭を表す(代表する)。通常は、エッジは(ローカルな)x軸及びy軸の何れかに沿って配向されるが、これには、x方向及びy方向に夫々沿った複数のエッジセクションからなる輪郭を有する複雑な形状81のエッジも含まれる。エッジの他の配向、即ちx軸に対してなす何らかの任意の角度も生じ得るが(図8には不図示)、存在しても顕著なものではない(目立つ程の数ではない:prominent)。コンポーネント構造81,82の主パターン方向は、図8ではdhで示されているが、これは図示の例では(ローカルな)x軸に一致している。この主パターン方向dhは、コンポーネント構造(複数)のエッジ(複数)の相当な(かなりの)部分の方向に対応するが、これらの構造において最も頻繁に出現するエッジの方向を選択するのが適切であろう。出現の数はエッジの数によって又は夫々の方向に沿って延在するエッジの長さ(の和)によって計数してもよい。通常の場合、主パターン方向dhは、パターン80のx方向及びy方向の何れか一方であろう。
【0067】
パターン80の配向の従来の選択は、パターン80のコンポーネント81,82の主パターン方向dhが一般方向d1と整列するように行われる。第1のアラインメント(整列)は、レジスト被覆基板のようなターゲットのターゲットステージへのローディングプロセスの許容差内で行われる。投射システムの較正即ちBAFの像の回転並びにオンラインで決定されるローディングされたターゲットの回転補正によって、ストライプ方向はターゲットのX方向に整列される(揃えられる)。この方法で得られる(角度)アラインメントの典型的な値は、15nrad(ナノラジアン)のオーダーの又は、好ましくはそれより良好な、極めて小さい角度である。そのように正確なアラインメントを出発点とすることにより、μrad(マイクロラジアン)の10分の1の数倍(several tenth)から500μrad以上のオーダーの明確に小さい鋭角を導入することができる。
【0068】
このアラインメントを選択することにより、ラスター化(rasterization)に起因するエイリアシング(aliasing)エラーが回避されるだけでなく、描画工程中に処理されるべきデザインデータ及びパターンデータの量を削減することができる。
【0069】
本発明の1つの出発点は、上述のマルチビーム描画アプローチに関連して発生し得る描画エラーの可能性を考察ないし観察したことにある。図8に示した描画法では、限られた数のビームレットしか、主パターン方向dhに沿って整列されるパターン要素に寄与しない。これは、パターン像内におけるビームレット(複数)の位置(図5参照)が主パターン方向dhに対し直角をなす方向に沿った位置に関して固定されているからである。従って、ターゲットにおける(1つの)所与のピクセルは、パターン定義装置4の一列のアパーチャによって生成されるビームレット(複数)のみを「見る」ことになる。異なる複数のY位置におけるピクセルは、異なる複数列のアパーチャによって描画されることになる。しかしながら、ビームレット(複数)は、例えば、パターン定義装置4のアパーチャの形状又は面積のずれ、DAP30の偏向電極の欠陥を原因とする、又は例えばDAPの上流の入射する主ビームの線量のより大きな空間スケールに関する変化並びにアパーチャ寸法の変化等によって引き起こされる個々のビームレットの逸脱によって導入される線量不均一性効果(dose inhomogeneity effects)によって引き起こされる、不完全性(欠陥:imperfection)によって影響を受け得る。そのため、ストライプのある部分は、Y軸(より一般的には、主パターン方向dhを横切る方向)に関しある範囲での描画エラーを被り得る。これは、ジグザグ(ないし千鳥状:staggered)配置又は図5に示したような規則的アレイのような、アパーチャフィールド内における特定のタイプのアパーチャの配置とは無関係に生じる。この種の描画エラーは、Y軸に沿ってストライプs01−s0nの各々に対して繰り返される露光エリアR1にわたるストライプ状の(striped)変動パターン(「サブストライプ(substripes)」)の形成を引き起こし得る。
【0070】
本発明は、この種の描画エラーに対処するためのアプローチを提供し、具体的には、このために、主パターン方向とストライプの描画の一般方向の間に小さい角度(小角度)を導入する。この小角度はストライプの描画の方向(即ち一般方向)とパターン80の主パターン方向dhとのアラインメント(整列(状態))を解消(解除)する。(ストライプの描画の)一般方向と主パターン方向dhの間のアラインメントを解消するために十分な角度は「小さい」が、既述の通り15nradのオーダーの又はそれより良好な(角度)アラインメントの正確性(を示す角度)よりも相当により大きい。
【0071】
図9の例において見出すことができるように、描画ストライプs21,s22,...,s2nに対し一般方向d2が選択される。この一般方向d2は、描画されるべきパターン80の主パターン方向dhに対応する軸(この例では、X軸)に対して僅かに傾けられている。これらの方向d2とdhの間のアラインメント(整列状態)からのこの小さなずれのために、ビームレットの各々はY軸に関し夫々異なる値でターゲットに描画することができる。そのため、Y軸即ち主パターン方向dhに対し直角をなす(直交する)方向で見て所与の高さにある(1つの)パターン要素に対し、アパーチャアレイのすべてのアパーチャがこのパターン要素に線量を与えることに寄与する。その結果、(1つの)所与の長いストライプの複数の異なるサブストライプ(の組)と比べると、サブストライプの形成を均す(平均化する)かないしは完全に回避することができる。
【0072】
傾きの角度εの好適な選択の1つは、角度をラジアンで計算すると、小さい角度に対してはε=tanε=y0/Rxが得られるので、ストライプの長さRxに対するストライプの幅y0(これはビームによってターゲット上に生成されるパターン像の幅に相当する)の比によって決定される。この選択は、ストライプの終点部においてY軸に沿った相対的シフトが幅y0に対応することを保証する。典型的な具体例では、この選択は極めて小さい角度を与える。例えば、上述のMBWの場合、即ち、ビームアレイフィールドが基板において81.92μmの幅を有し、描画されるべき典型的領域が数個のダイ又は場合によっては基板全体をカバーすることがあり、従って140mmまでのサイズを有する場合、角度εは82/140000=0.0005(より正確には、585μrad)として算出される。更に、y0/Rx=εの整数倍又はその分数値のような他の選択も、応用例によっては好適であろう。一般的に、角度εは値ε=y0/Rxのオーダーであることが見込まれる。ストライプの長さの実際の値は、描画されるべき構造のレイアウトに依存するがMBW装置のセットアップには依存しないため、予め分かっていないこともあるので、この角度は、典型的な範囲、例えば凡そ0.5ε〜2ε、に適合するよう選択してもよい。
【0073】
一般的には、角度εはε/MY以上の(より大きい)値に選択される。ここで、MYはビームアレイ内でY方向に沿って配置されるビームレットの数(図5参照)である。この最小値は(ストライプの描画の)一般方向と主パターン方向の間のアラインメント(整列状態)を解消するために必要とされる。これは、1つのビームレットによってカバーされるY値(複数)の範囲(図5参照)が(主方向に対し直角をなすY方向に沿って見たときに)近隣のビームレット(複数)の近接するY値範囲(複数)と接続する(つながる)ことが、この最小の角度だけで、可能になるからである。上述の例では、ε/MY=585μrad/512≒1.1μradである。他方、角度εは小さい値に、具体的にはε<εmaxとして選択されるべきである。なお、この上限εmaxは、パターン像のエッジに沿った著しいエイリアシング効果の回避を考慮している。εmaxについての良好な上限の評価は、パターン像pmがX方向に沿ってMX本のビームレットを含むこと(図5参照)に注目することで得られるが、εmaxはεmax=1/MXで与えられる。既述の例では、εmax=1/512≒1.9mrad(≒3.3ε)である。
【0074】
ローカルパターン像はストライプと一緒に回転されてもよく、或いは、ストライプの方向のみを傾ける一方でパターン像の配向は維持してもよい。これらについては、夫々1つのストライプを描画するパターン像の細部を模式的に示す図10及び図11に示した。
【0075】
図10は、パターン像pm2の配向が同じ傾きの角度εだけ回転され、その配向がストライプs11の一般方向に対し平行をなしていることを示す。このレイアウトは、ピクセルのラスターグリッドがストライプの方向に対応しているという利点を有する。このパターン像pm2の回転は、例えば、パターン定義手段のアパーチャアレイフィールドを傾き角度εだけ実際に回転することによって、或いは、投射システム5において例えば磁気レンズを用いて像を回転させる一方でアパーチャアレイフィールドを不動に維持することによって、得ることができる。
【0076】
図11は、ストライプs12が傾いた一般方向d2で描画されるが、パターン像pm3の配向はX軸に整合している即ち主パターン方向dhに対応している変形例を示す。一般方向d2は、パターン像pm3をX方向に沿って動かすことによってエミュレートされてもよいが、この場合、この運動がパターン像の長さのようなある程度の距離だけ前進するごとに、(Y軸に沿った)横オフセット(横シフト)が行われる。横オフセットは、それによって、角度εによって定義される傾き(勾配)が再現されるように選択される。その結果として得られる経路は、図11に矢印線83で示されているような、階段状の経路である。横オフセットは、ターゲットステージの運動によって、或いは、例えば投射システム5の偏向手段12a〜12cの1つを利用して、ターゲット上でパターン像をシフトすることによって、生成することができる。
【0077】
図12は、上記の傾きが所望のパターンを回転することによって実現される本発明の他の実施例を示す。この回転は、回転された中間パターンを得るためのツールによりオンラインで実行することも可能である。所望のパターン80’は傾き角度ε’だけ回転されるが、この角度は、基本的に、既述の例(図9)の角度εの反対向きにしたものとして選択することができる。従って、主パターン方向dh’も角度ε’だけ傾けられる。この例では、ストライプs31,s32,...,s3nの一般方向d3はX方向に整列した状態に維持される。パターン80’が露光エリアR3の境界を越えて回転される要素を含む例(不図示)の場合、それに応じて露光エリアR3のサイズを適合化することが必要であり得る。同時に、基板は、当初要求された構造の正しい配向を維持するよう、同じ方向に同じ程度だけ回転される。
【0078】
本発明に応じ設計データからラスター化パターンのレイアウトを計算するためには、幾つかのアプローチが可能である。例えば、ベクトルグラフィックスデータ(vector graphics data)として与えられる設計データはデータパス(datapath)において傾き角度ε’だけ回転することも可能である。(これは基本的に図12に示したものに対応する。)或いは、パターンコンポーネントについてはX軸及びY軸に沿った標準(基準)配向を使用し、ターゲット16としてローディングされる基板を機械的に回転させるローディングシステムを用いて、ターゲットステージ14を傾き角度εだけ回転させることも可能である。
【0079】
US2015/0028230A1において指摘されているように、同じエリアR1内の複数のストライプの露光は順次的に(one after the other)行われるが、例えば夫々3つのストライプからなる複数のグループ(これらのグループ間にはある程度の距離がある)で行われてもよい。そして、第2のランにおいて、前のランにおいてスキップされたエリアが描画される。勿論、各グループのストライプの数は適切な任意の整数値を取ることができる。
【0080】
本発明及び本書に開示された方法によって、とりわけ基板の加熱(substrate heating)に関する(起因する)、エラーの更なる減少を達成することができる。
【0081】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0082】
更に、特許請求の範囲に付した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
ここに、本発明の可能な態様を付記する。
(付記1)荷電粒子によって形成されるエネルギ放射のビームによって、ターゲットに所望のパターンを露光する方法。該方法は、以下のステップ:
・前記放射に対し透過性の複数のアパーチャを有するパターン定義装置を配すること、
・照明ワイドビームによって前記パターン定義装置を照明し、該照明ワイドビームは前記複数のアパーチャを通過して該パターン定義装置を横切り、以って、対応する複数のビームレットからなるパターン化ビームを前記所望のパターンに応じて形成すること、
・前記ターゲットの位置において前記パターン化ビームからパターン像を形成すること、但し、該パターン像は該ターゲット上の複数のパターンピクセルをカバーする前記複数のアパーチャの少なくとも一部分の像を含むこと、及び
・前記ターゲットと前記パターン定義装置の間の相対運動を生成し、ビーム露光が実行されるべき少なくとも1つの露光領域にわたる経路に沿って前記ターゲット上における前記パターン像の運動を生成すること、但し、該経路は一般方向に沿って延在するセクション(複数)から構成され、該セクションは順次露光の際に前記(露光)領域をカバーする複数の露光ストライプに対応し、該露光領域は規則的配置で配置される複数のパターンピクセルから構成され、該(露光)領域は前記一般方向を横切って測定される全幅を有し、該露光ストライプは前記一般方向に沿って互いに対し実質的に平行に延伸しかつ該一般方向を横切って測定される夫々の幅を有すること、
を含む。
前記所望のパターンは、主パターン方向に沿って配向されるエッジ(複数)を有する複数の構造から構成される。
当該方法は、前記所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定することを含む、但し、該相対的配向は前記主パターン方向と前記露光ストライプの一般方向の間の非ゼロの小角度を含む。
(付記2)上記の方法において、前記角度は前記一般方向と前記主パターン方向の間のアラインメントを解消するために十分な大きさである。
(付記3)上記の方法において、前記角度の値は、ラジアンで表すと、前記露光ストライプの長さに対する幅の比によって定められる値のオーダーである。
(付記4)上記の方法において、前記角度の値は、前記露光ストライプの長さに対する幅の比の0.5〜2倍の範囲にある。
(付記5)上記の方法において、前記ターゲットと前記パターン定義装置の間の相対運動を生成している間、ターゲットステージが使用され、該ターゲットステージは前記主パターン方向及び前記一般方向の一方に一致する運動の方向に沿って該ターゲットを連続的に移動させるよう構成されている。
(付記6)上記の方法において、前記ターゲットの位置において前記パターン化ビームからパターン像を形成する投射システムが使用され、及び、前記ターゲットの運動の方向を横切る方向の前記相対運動の成分は該投射システムによって生成される。
(付記7)上記の方法において、前記所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定することは、前記露光ストライプの一般方向を使用することを含む、但し、この場合、該一般方向は前記主パターン方向に一致する予め設定される主方向から非ゼロ角度だけ回転されている。
(付記8)上記の方法において、前記所望のパターンと前記露光ストライプの相対的配向を設定することは、ビーム露光を実行する前に、該所望のパターンを前記露光ストライプの一般方向に対し非ゼロ角度だけ回転させることを含む。
(付記9)上記の方法において、前記ターゲットの配向も前記非ゼロ角度だけ回転される。
(付記10)上記の方法において、前記複数の構造は前記エッジによって定義され、該エッジは種々の方向に沿って配向され、該エッジの相当な部分は、好ましくはその大部分は前記主パターン方向に沿って配向される。
(付記11)上記の方法において、露光の夫々の領域内のストライプは均一な幅及び長さを有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12