特許第6948850号(P6948850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948850
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】通信システムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/15 20060101AFI20210930BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20210930BHJP
   H04W 84/00 20090101ALI20210930BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H04B7/15
   H04W16/26
   H04W84/00 110
   H04Q9/00 301B
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-118730(P2017-118730)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-4376(P2019-4376A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 真則
(72)【発明者】
【氏名】木村 政俊
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−183397(JP,A)
【文献】 特開2017−033121(JP,A)
【文献】 特開2016−133945(JP,A)
【文献】 特開平7−202792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/15
H04W 16/26
H04W 84/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信によって移動する移動装置用の通信システムであって、
移動装置と、
前記移動装置を操作する操作命令を通信電波により送信する操作装置と、
前記通信電波を中継する複数の中継装置と、を備え、
前記複数の中継装置は初期位置で待機しており、
前記操作装置は、前記移動装置の走行経路を記憶しており、
各々の前記中継装置は、前記操作装置から前記走行経路を取得し、自身の位置から前記走行経路上の特定位置までの最短経路を算出する最短経路算出機能を有し、
前記操作装置から直接送信される通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第一中継装置が前記初期位置から前記移動装置までの第一最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第一中継地点まで前記第一最短経路で移動し、
前記第一中継装置を介して送信される前記通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第二中継装置が前記第一中継地点まで前記第一最短経路で移動すると共に、前記第一中継装置が前記第一中継地点から前記移動装置までの第二最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第二中継地点まで前記第二最短経路で移動する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記移動装置は、帰還命令を受信した場合に前記中継装置が中継を行っている中継地点の近くを通って帰還し、
前記中継装置は、前記移動装置が所定距離よりも近づいた場合に前記移動装置に追随して帰還する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
無線通信によって移動する移動装置と、前記移動装置を操作する操作命令を通信電波により送信する操作装置と、前記通信電波を中継する複数の中継装置と、を備える通信システムの通信方法であって、
前記複数の中継装置を初期位置で待機させておき、
前記操作装置は、前記移動装置の走行経路を記憶しており、
各々の前記中継装置は、前記操作装置から前記走行経路を取得し、自身の位置から前記走行経路上の特定位置までの最短経路を算出する最短経路算出機能を有し、
前記操作装置から直接送信される通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第一中継装置が前記初期位置から前記移動装置までの第一最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第一中継地点まで前記第一最短経路で移動し、
前記第一中継装置を介して送信される前記通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第二中継装置が前記第一中継地点まで前記第一最短経路で移動すると共に、前記第一中継装置が前記第一中継地点から前記移動装置までの第二最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第二中継地点まで前記第二最短経路で移動する、
ことを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時においては、その後の対応を行う上で災害発生箇所や原因の特定が重要となる。ここで、地下施設やトンネル内などでの災害では、上空からの撮影が不可能であり、災害発生箇所や原因の特定が難しい。なお、地下施設内や坑内に設置されている既設のカメラを利用することも考えられるが、設置場所により災害発生箇所を撮影できない場合や災害時には故障する可能性もある。そのため、現状では人間が地下施設やトンネル内に潜入して災害発生箇所や原因の調査を行う必要があり、災害発生箇所や原因の調査に伴う二次災害のリスクが高かった。
【0003】
二次災害のリスクを低減させるためにロボットを用いた調査の研究が進められている。
中継技術としては、水中航走体用の技術として特許文献1の技術が提案されている。特許文献1に記載される技術は、水中を航走する水中航走体と、この水中航走体の制御を行う母船と、水面近傍で航走する自走中継器とを備え、自走中継器によって母船と水中航走体との通信を中継する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−308766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載される技術は、障害物が比較的少なく見通しのよい水中を想定しているので、障害物が多く見通しの悪い場所(例えば、地下施設内や坑内)における災害発生箇所や原因の特定の調査に用いることができない。すなわち、無線は直線指向性のために、障害物が多く見通しの悪い場所では通信電波が到達可能な距離に中継アンテナを設置する必要が生じる。しかし、特許文献1ではそのことに関する考察がなされていなかった。
【0006】
このような観点から、本発明は、見通しの悪い場所においても通信の安定性を保つことができる通信システムおよび通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る通信システムは、無線通信によって移動する移動装置用の通信システムである。
この通信システムは、移動装置と、前記移動装置を操作する操作命令を通信電波により送信する操作装置と、前記通信電波を中継する複数の中継装置と、を備える。
前記複数の中継装置は初期位置で待機しており、前記操作装置は、前記移動装置の走行経路を記憶している。各々の前記中継装置は、前記操作装置から前記走行経路を取得し、自身の位置から前記走行経路上の特定位置までの最短経路を算出する最短経路算出機能を有する。
前記操作装置から直接送信される通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第一中継装置が前記初期位置から前記移動装置までの第一最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第一中継地点まで前記第一最短経路で移動する。また、前記第一中継装置を介して送信される前記通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第二中継装置が前記第一中継地点まで前記第一最短経路で移動すると共に、前記第一中継装置が前記第一中継地点から前記移動装置までの第二最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第二中継地点まで前記第二最短経路で移動する。
ここで、通信電波を受信しづらい状況とは、通信電波を受信するのに実際に支障をきたす場合に限らず、近い将来で支障をきたすことを予測できる場合も含む。前者は、例えば通信電波の受信強度が閾値を下回った場合であり、後者は、例えば見通しが明らかに悪い方向(例えば横穴)に移動する場合である。
【0008】
また、本発明に係る通信方法は、無線通信によって移動する移動装置と、前記移動装置を操作する操作命令を通信電波により送信する操作装置と、前記通信電波を中継する複数の中継装置と、を備える通信システムの通信方法である。
前記複数の中継装置を初期位置で待機させておき、前記操作装置は、前記移動装置の走行経路を記憶している。各々の前記中継装置は、前記操作装置から前記走行経路を取得し、自身の位置から前記走行経路上の特定位置までの最短経路を算出する最短経路算出機能を有する。
前記操作装置から直接送信される通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第一中継装置が前記初期位置から前記移動装置までの第一最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第一中継地点まで前記第一最短経路で移動する。前記第一中継装置を介して送信される前記通信電波を受信しづらい状況になった場合に、第二中継装置が前記第一中継地点まで前記第一最短経路で移動すると共に、前記第一中継装置が前記第一中継地点から前記移動装置までの第二最短経路を算出し、前記移動装置の近くの第二中継地点まで前記第二最短経路で移動する。
【0009】
本発明に係る通信システムおよび通信方法においては、無線通信を中継可能な間隔で中継装置を配置することができる。そのため、移動装置が操作装置から遠ざかる移動や通信電波の指向性を損なう移動などを行っても、通信の安定性を保つことができる。
また、第一中継装置が第二中継装置に押し出されるようにして第二中継地点まで移動するので、第二中継装置が第一中継装置を追い越すことがない。そのため、狭い場所であっても中継装置を配置することができる。
【0019】
また、本発明に係る通信システムは、前記移動装置が、帰還命令を受信した場合に前記中継装置が中継を行っている中継地点の近くを通って帰還し、前記中継装置は、前記移動装置が所定距離よりも近づいた場合に前記移動装置に追随して帰還するのがよい。
【0020】
このようにすると、移動装置が操作装置に近づく移動を行っても、通信の安定性を保つことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、見通しの悪い場所においても通信の安定性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの概略構成図である。
図2】調査装置の機能構成図である。
図3】操作装置の機能構成図である。
図4】中継装置の機能構成図である。
図5】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
図6】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
図7】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
図8】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
図9】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
図10】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
図11】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
図12】本発明の実施形態に係る遠隔操作システムの動作を説明するための図であり、(a),(b)は各時点における状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0024】
≪実施形態に係る通信システムの構成≫
図1を参照して、実施形態に係る通信システムについて説明する。ここでは、通信システムとして、移動装置を遠方から遠隔操作する遠隔操作システム1を想定し、特に地下施設やトンネル内などでの災害発生時に移動装置を遠隔操作して初動調査を行う場合を例示する。なお、通信システムの用途や構成はここで説明する遠隔操作システム1に限定されるものではない。
【0025】
図1に示す遠隔操作システム1は、移動装置としての調査装置2と、調査装置2を遠隔操作するために操作者により操作される操作装置3と、調査装置2と操作装置3との間における通信を必要に応じて中継する二つの中継装置4とを備えて構成されている。必要に応じた中継とは、調査装置2が移動することにより操作装置3から送信される通信電波が調査装置2に直接届かなくなる場合に中継装置4が中継を行うことを意図している。
ここでは二つの中継装置4が図示されているが、一つの中継装置4または三つ以上の中継装置4を直列的に接続して調査装置2と操作装置3との間における通信を中継することもできる。なお、以下では、各々の中継装置4を区別する場合に、符号に下付きの数字を付して表示する場合がある。
【0026】
遠隔操作システム1では調査装置2と操作装置3との間で双方向通信できればよく、使用する電波の周波数帯や通信方式などは特に限定されるものではない。日本国内であれば、例えば2.4GHz帯の電波を使用した通信を行うことができ、「Wi-Fi」や「Bluetooth(登録商標)」などの通信規則に基づいて種々の情報を送受信することができる。
【0027】
また、遠隔操作システム1では、各装置間の通信に利用される電波Pが互いに干渉しないように制御される。ここでは、操作装置3と中継装置42との通信に利用される電波PAと、中継装置42と中継装置41との通信に利用される電波PBと、中継装置41と調査装置2との通信に利用される電波PCとが干渉しないように制御される。この制御は、例えば互いに干渉しない異なるチャネル(以下、CHと表記する場合がある)を用いた通信である。ここでのチャネルは、通信用に割り当てられる周波数帯域を意味する。また、この制御は、例えば互いに通信を行うタイミングが重複しないようにした通信である。ここでは、互いに干渉しない異なるチャネルを用いて通信を行う場合を想定して説明する。
【0028】
なお、以下では、操作装置3から調査装置2への通信を「下り方向通信」と称し、調査装置2から操作装置3への通信を「上り方向通信」と称する。下り方向通信では、主に操作装置3を介して入力された操作命令が送信される。上り方向通信では、主に調査装置2の位置情報や調査装置2によって撮影された撮影画像が送信される。操作者は、上り方向通信により送信される撮影画像を操作装置3で確認し、操作装置3を用いて調査装置2を操作する。また、操作者による操作内容は、下り方向通信により操作命令として調査装置2に送信される。
【0029】
<調査装置>
調査装置2は、遠隔操作システム1において移動局として機能し、遠隔操作により地下施設やトンネル内を走行する。調査装置2の機能構成を図2に示す。なお、図2では、本発明に関連する構成のみを記載しており、本発明に関連していない機能については図示および説明を省略する。
調査装置2は、通信装置20と、撮影部26と、センサ群27と、走行制御部28と、駆動機構29とを備えて構成されている。また、通信装置20は、通信アンテナ21と、通信アンテナ21に接続される送受信機22と、通信制御部23とからなる。通信制御部23および走行制御部28は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。これらの機能がプログラム実行処理により実現する場合、図示しない記憶手段には、これらの機能を実現するためのプログラムが格納されている。
【0030】
通信アンテナ21は、通信電波を用いた通信を行う。通信アンテナ21は、送受信機22で発生された高周波電気エネルギーを通信電波として空間に発射し、また空間から通信電波を受け取り、高周波電気エネルギーを生成する。
送受信機22は、無線通信における送信のための通信電波に用いる高周波電気エネルギーを発生する送信機としての機能と、受信した通信電波に基づく高周波電気エネルギーを復調して情報を復元する受信機としての機能とを備える装置である。なお、送受信機22は、送信機と受信機とが別々の装置として構成されていてもよい。
【0031】
通信制御部23は、操作装置3や中継装置4との無線通信を制御するものであり、ここでは受信強度測定部24と、アクセス制御部25とを備える。
受信強度測定部24は、通信アンテナ21における通信環境を測定するものであり、例えば通信アンテナ21で受信した通信電波のチャネル毎の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定する。
アクセス制御部25は、受信強度測定部24で測定した通信アンテナ21の通信環境(例えば、受信強度)の変化に基づいて、中継装置4による通信の中継が必要であるか否かを判定する。中継装置4による通信の中継が必要になった場合に、中継装置4による通信の中継を開始する指示を行い、通信で使用する新たなチャネルを操作装置3や中継装置4との間で調整する。
【0032】
撮影部26は、例えばCCD(Charged Coupled Device)カメラであり、調査装置2の遠隔操作に適した画像を撮影できる場所(例えば、調査装置2の前部)に設置される。これにより、撮影部26は、走行中の調査装置2の前方を撮影する。撮影部26により撮影された撮影画像は操作装置3に送信され、調査装置2の遠隔操作や災害発生箇所や原因の特定に使用される。
センサ群27は、例えばジャイロやロータリーエンコーダを含むものであって、調査装置2の方位角や走行する速度を検出する。センサ群27により検出した方位角や速度は、走行制御部28に送信され、慣性航法(INS)を用いた現在位置の算出などに用いられる。
【0033】
走行制御部28は、調査装置2の走行に関する制御を行う。走行制御部28は、通信装置20の通信制御部23を介して操作命令を受け取り、操作命令に基づいて駆動機構29を制御する。また、走行制御部28は、自身の位置情報を操作装置3に対して随時送信する。なお、位置情報を所定間隔で送信するようにしてもよい。
駆動機構29は、回転体(例えばタイヤ)およびこれを支持する支持機構などからなる。駆動機構29の駆動方式は特に限定されずに、タイヤ方式やクローラ方式などであってよい。
【0034】
<操作装置>
操作装置3は、遠隔操作システム1において制御局として機能し、無線通信により調査装置2を遠隔操作する。操作装置3の機能構成を図3に示す。なお、図3では、本発明に関連する構成のみを記載しており、本発明に関連していない機能については図示および説明を省略する。
操作装置3は、通信装置30と、入力部36と、表示部37と、主制御部38とを備えて構成されている。また、通信装置30は、通信アンテナ31と、通信アンテナ31に接続される送受信機32と、通信制御部33とからなる。通信制御部33および主制御部38は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。これらの機能がプログラム実行処理により実現する場合、図示しない記憶手段には、これらの機能を実現するためのプログラムが格納されている。
【0035】
通信アンテナ31、送受信機32および通信制御部33の機能は、調査装置2の通信アンテナ21、送受信機22および通信制御部23の機能と同様である。
【0036】
入力部36は、例えばキーボード型、ジョイスティック型、ホイール型などのコントローラであり、操作者により操作される。
表示部37は、例えば液晶ディスプレイであり、表示部37には調査装置2で撮影された画像や調査装置2の状態(例えば、位置や進行方向)が表示される。
【0037】
主制御部38は、調査装置2から位置情報を随時受信し、受信した位置情報と時刻とを対応付けることで調査装置2の走行経路を算出する。そして、主制御部38は、調査装置2の走行経路を記憶する。
また、主制御部38は、中継装置4による通信の中継を開始する指示を調査装置2から受け付け、対応する中継装置4に対して中継の開始を指示する。この際に、主制御部38は、記憶する調査装置2の走行経路情報を対応する中継装置4に対して送信する。なお、調査装置2が中継装置4に対して中継の開始を直接指示してもよい。また、主制御部38は、中継装置4からの要求に応じて、調査装置2の走行経路情報を中継装置4に応答してもよい。また、中継装置4が調査装置2から位置情報を随時受信し、調査装置2の走行経路を自身で算出してもよい。
【0038】
<中継装置>
中継装置4は、遠隔操作システム1において中継局として機能し、調査装置2と操作装置3との間における通信を中継する。中継装置4の機能構成を図4に示す。なお、図4では、本発明に関連する構成のみを記載しており、本発明に関連していない機能については図示および説明を省略する。
中継装置4は、通信装置40と、撮影部46と、センサ群47と、走行制御部48と、駆動機構49とを備えて構成されている。また、通信装置40は、二つの通信アンテナ41A,41Bと、通信アンテナ41A,41Bの何れか一方に1対1の関係で接続される送受信機42A,42Bと、通信制御部43とからなる。通信制御部43および走行制御部48は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。これらの機能がプログラム実行処理により実現する場合、図示しない記憶手段には、これらの機能を実現するためのプログラムが格納されている。
【0039】
通信アンテナ41A,41B、送受信機42A,42Bおよび通信制御部43の機能は、調査装置2の通信アンテナ21、送受信機22および通信制御部23の機能と同様である。
ここで、通信アンテナ41Aおよび送受信機42Aは、例えば調査装置2や直列的に接続された中継装置4の中で下流側のものとの間の通信に使用され、受信強度測定部44Aは通信アンテナ41Aにおける通信環境を測定する。また、通信アンテナ41Bおよび送受信機42Bは、例えば操作装置3や直列的に接続された中継装置4の中で上流側のものとの間の通信に使用され、受信強度測定部44Bは通信アンテナ41Bにおける通信環境を測定する。
【0040】
撮影部46、センサ群47、走行制御部48および駆動機構49の機能は、調査装置2の撮影部26、センサ群27、走行制御部28および駆動機構29の機能と同様である。
ここで、撮影部46で撮影された撮影画像は走行制御部48に送信され、調査装置2の追尾や障害物の検知などに使用される。なお、撮影部46に代えて、または撮影部46に加えてレーダを備える構成にし、レーダを用いて調査装置2の追尾や障害物の検知などを行ってもよい。詳細は後述する「通信システムの動作」を参照。
また、走行制御部48は、自身の位置から調査装置2の走行経路上の特定位置までの最短経路を算出する最短経路算出機能を備える。具体的には、走行制御部48は中継を開始する指示を受け付けると、調査装置2の走行経路上に目標点を設定し、目標点までの経路を算出し、算出した経路に沿って中継装置4を走行させる。そして、移動後に通信の中継を開始する。詳細は後述する「通信システムの動作」を参照。
【0041】
≪実施形態に係る通信システムの動作≫
図5ないし図12を参照して(適宜、図1ないし図4参照)、実施形態に係る遠隔操作システム1の動作について、中継装置4の走行方法を異ならせた二つの方式について説明する。ここでは、図5(a)に示す地下施設80内の調査を行う場合を想定する。地下施設80は、二つの直線通路81,82と、直線通路81,82を互いに結ぶ連結通路83とを有する。なお、中継装置4は、何れか一方の方式で稼働するように予め設定されていてもよいし、二つの方式を事後的に切り替えられるように構成されていてもよい。
【0042】
<中継装置を派遣させる方式(レスキュー式)>
図5(a)に示すように、操作者は、操作装置3を所持した状態で直線通路81内のスタート地点に位置しており、調査装置2および中継装置41,42は、操作者の周辺(初期位置)で待機している。操作者は、この状態から調査装置2の操作を開始する。
【0043】
操作者は、操作装置3からの通信電波が届く範囲で調査装置2を遠隔操作し、災害発生箇所や原因の調査を行う。ここでは、直線通路81内が操作装置3からの通信電波が届く範囲であるとする。操作者が調査装置2を遠隔操作して直線通路81内を走行させると、調査装置2は撮影した画像を操作装置3に随時送信する。また、調査装置2は所定時間間隔で自身の位置を算出し、算出した位置情報を操作装置3に随時送信する。操作装置3は、スタート地点から現時点までの調査装置2の走行経路を記憶する。なお、操作装置3からの通信電波が直接届く範囲で操作装置3を遠隔操作している間は、中継装置41,42は移動せずに操作者の周辺で待機を続ける(図5(b)参照)。ここでは、直線通路81内を調査した結果、災害発生箇所や原因は発見されなかったとする。
【0044】
続いて、連結通路83内の調査を行うために、操作者は調査装置2を遠隔操作して連結通路83内に進入させる。ここでは、連結通路83は操作装置3からの通信電波が直接届かない範囲であるとする。操作者が調査装置2を遠隔操作して連結通路83内に進入させると、操作装置3からの通信電波を受信しづらい状況になる。具体的には、操作装置3からの通信電波の受信強度が弱まり、予め決められている閾値を下回る。その場合に、調査装置2は操作装置3に対して通信の中継の要請を行い、操作装置3は中継装置41に対して中継の開始を指示する。なお、通信電波を受信しづらい状況は、通信電波を受信するのに実際に支障をきたす場合に限らず、近い将来で支障をきたすことを予測できる場合であってもよい。
【0045】
中継の開始指示を受けた中継装置41は、スタート地点から調査装置2の現在位置(通信の中継の要請を行った位置)までの調査装置2の走行経路を取得し、スタート地点から調査装置2の現在位置までの最短経路(第一最短経路)を算出する。そして、中継装置41は、算出した最短経路を用いて調査装置2の近くまで移動し、調査装置2と操作装置3との間の通信の中継を開始する(図6(a)参照)。つまり、操作装置3からの通信電波を受信しづらい状況になった位置が第一中継地点となる。中継装置41による中継の開始に合わせて、調査装置2、操作装置3および中継装置41はチャネルの調整を行う。これにより、連結通路83は操作装置3からの通信電波が届く範囲となり、調査装置2を遠隔操作により走行させることができるようになる(図6(b)参照)。ここでは、連結通路83内を調査した結果、災害発生箇所や原因は発見されなかったとする。
【0046】
続いて、直線通路82内の調査を行うために、操作者は調査装置2を遠隔操作して直線通路82内を走行させる。ここでは、直線通路82の大部分は、中継装置41による中継を行ったとしても操作装置3からの通信電波が届かない範囲であるとする。操作者が調査装置2を遠隔操作して直線通路82内を走行させると、操作装置3からの通信電波を受信しづらい状況になる。具体的には、操作装置3からの通信電波の受信強度が弱まり、予め決められている閾値を下回る。その場合に、調査装置2は操作装置3に対して通信の中継の要請を再び行い、操作装置3は中継装置42に対して中継の開始を指示するとともに、中継装置41に対して中継地点の移動を指示する。
【0047】
中継の開始指示を受けた中継装置42は、スタート地点から調査装置2の現在位置(通信の中継の要請を行った位置)までの調査装置2の走行経路を取得し、スタート地点から中継装置41が中継を行っている第一中継地点までの最短経路(第一最短経路)を算出する。そして、中継装置42は、算出した最短経路を用いて中継装置41が中継を行っている第一中継地点まで移動し、調査装置2と操作装置3との間の通信の中継を開始する(図7(a)参照)。なお、中継装置42は、中継装置41からスタート地点から第一中継地点までの最短経路を取得し、取得した情報に基づいて第一中継地点まで移動してもよい。
また、中継を既に行っている中継装置41は、調査装置2の現在位置(通信の中継の要請を行った位置)までの調査装置2の走行経路を取得し、第一中継地点から調査装置2の現在位置までの最短経路(第二最短経路)を算出する。そして、中継装置41は、算出した最短経路を用いて調査装置2の近くまで移動し、調査装置2と操作装置3との間の通信の中継を継続する(図7(a)参照)。つまり、第一中継地点を介した通信電波を受信しづらい状況になった位置が第二中継地点となる。中継装置42による中継の開始に合わせて、調査装置2、操作装置3および中継装置41,42はチャネルの調整を行う。このように中継装置41は中継装置42により押し出されるようにして移動する(玉突き方式)。
【0048】
これにより、直線通路82は操作装置3からの通信電波が届く範囲となり、調査装置2を遠隔操作により走行させることができるようになる(図7(b)参照)。ここでは、直線通路82内を調査した結果、災害発生箇所や原因を発見したとする。
なお、中継装置41,42による中継が開始した後で、通信を切らさないように中継装置41,42が移動して通信の安定性を保つようにするのがよい。
【0049】
続いて、地下施設80内の調査を終了するために、操作者は調査装置2に対して帰還命令を送信する。帰還命令を受けた調査装置2は、スタート地点から現在位置(帰還命令を受けた位置)までの走行経路に基づき、現在位置からスタート地点までの最短経路を算出し、算出した最短経路によりスタート地点まで移動する(図8(a)参照)。また、中継装置41,42は、各々の中継地点からスタート地点までの最短経路をそれぞれ算出し、算出した最短経路を用いてスタート地点まで移動する。中継装置41,42がスタート地点まで戻る際に、通信を切らさないように通信の安定性を保ちながら中継装置41,42は移動する(図8(a)参照)。
【0050】
なお、例えば、調査装置2が所定距離以内(例えば、2m以内)に近づくと、中継装置41,42は調査装置2の後を追随するようにして帰還してもよい(図8(b)参照)。また、中継装置41,42は、調査装置2が算出した最短経路を取得し、取得した最短経路を用いてスタート地点まで移動してもよい。また、操作者の遠隔操作により災害発生箇所から調査装置2を帰還させてもよい。
【0051】
<中継装置を追随させる方式(カルガモ親子式)>
図9(a)に示すように、操作者は、操作装置3を所持した状態で直線通路81内のスタート地点に位置しており、調査装置2および中継装置41,42は、操作者の周辺(初期位置)で待機している。操作者は、この状態から調査装置2の操作を開始する。
【0052】
操作者は、操作装置3からの通信電波が届く範囲で調査装置2を遠隔操作し、災害発生箇所や原因の調査を行う。ここでは、直線通路81内が操作装置3からの通信電波が直接届く範囲であるとする。操作者が調査装置2を遠隔操作して直線通路81内を走行させると、中継装置41,42は調査装置2に追随して走行する(図9(b)参照)。このとき、調査装置2は操作装置3から通信電波を直接受信しており、中継装置41,42は通信を中継していない。調査装置2は撮影した画像を操作装置3に随時送信する。また、調査装置2は所定時間間隔で自身の位置を算出し、算出した位置情報を操作装置3に随時送信する。操作装置3は、スタート地点から現時点までの調査装置2の走行経路を記憶する。ここでは、直線通路81内を調査した結果、災害発生箇所や原因は発見されなかったとする。
【0053】
続いて、連結通路83内の調査を行うために、操作者は調査装置2を遠隔操作して連結通路83内に進入させる。ここでは、連結通路83は操作装置3からの通信電波が直接届かない範囲であるとする。操作者が調査装置2を遠隔操作して連結通路83内に進入させると、操作装置3からの通信電波を受信しづらい状況になる。具体的には、操作装置3からの通信電波の受信強度が弱まり、予め決められている閾値を下回る。その場合に、調査装置2は操作装置3に対して通信の中継の要請を行い、操作装置3は中継装置42に対して中継の開始を指示する。なお、通信電波を受信しづらい状況は、通信電波を受信するのに実際に支障をきたす場合に限らず、近い将来で支障をきたすことを予測できる場合であってもよい。
【0054】
中継の開始指示を受けた中継装置42は、その場で停止して調査装置2と操作装置3との間の通信の中継を開始する(図10(a)参照)。つまり、中継装置42は、操作装置3からの通信電波を受信しづらい状況になった位置で調査装置2から切り離され、切り離された位置が第一中継地点となる。中継装置42による中継の開始に合わせて、調査装置2、操作装置3および中継装置42はチャネルの調整を行う。これにより、連結通路83は操作装置3からの通信電波が届く範囲となり、調査装置2を遠隔操作により走行させることができるようになる(図10(b)参照)。ここでは、連結通路83内を調査した結果、災害発生箇所や原因は発見されなかったとする。
【0055】
続いて、直線通路82内の調査を行うために、操作者は調査装置2を遠隔操作して直線通路82内を走行させる。ここでは、直線通路82の大部分は、中継装置42による中継を行ったとしても操作装置3からの通信電波が届かない範囲であるとする。操作者が調査装置2を遠隔操作して直線通路82内を走行させると、操作装置3からの通信電波を受信しづらい状況になる。具体的には、操作装置3からの通信電波の受信強度が弱まり、予め決められている閾値を下回る。その場合に、調査装置2は操作装置3に対して通信の中継の要請を再び行い、操作装置3は中継装置41に対して中継の開始を指示する。
【0056】
中継の開始指示を受けた中継装置41は、その場で停止して調査装置2と操作装置3との間の通信の中継を開始する(図11(a)参照)。つまり、中継装置41は、第一中継地点を介した通信電波を受信しづらい状況になった位置で調査装置2から切り離され、切り離された位置が第二中継地点となる。中継装置41による中継の開始に合わせて、調査装置2、操作装置3および中継装置41,42はチャネルの調整を行う。このように中継装置41,42は、通信電波の受信強度が弱まった段階で調査装置2から切り離されて中継を行う(切離し方式)。
【0057】
これにより、直線通路82は操作装置3からの通信電波が届く範囲となり、調査装置2を遠隔操作により走行させることができるようになる(図11(b)参照)。ここでは、直線通路82内を調査した結果、災害発生箇所や原因を発見したとする。
なお、中継装置41,42による中継が開始した後で、通信を切らさないように中継装置41,42が移動して通信の安定性を保つようにするのがよい。
【0058】
続いて、地下施設80内の調査を終了するために、操作者は調査装置2に対して帰還命令を送信する。帰還命令を受けた調査装置2は、スタート地点から現在位置(帰還命令を受けた位置)までの走行経路に基づき、現在位置からスタート地点までの最短経路を算出し、算出した最短経路によりスタート地点まで移動する(図12(a)参照)。また、中継装置41,42は、各々の現在位置からスタート地点までの最短経路をそれぞれ算出し、算出した最短経路を用いてスタート地点まで移動する。中継装置41,42がスタート地点まで戻る際に、通信を切らさないように通信の安定性を保ちながら中継装置41,42は移動する(図12(a)参照)。
【0059】
なお、例えば、調査装置2が所定距離以内(例えば、2m以内)に近づくと、中継装置41,42は調査装置2の後を追随するようにして帰還してもよい(図12(b)参照)。また、中継装置41,42は、調査装置2が算出した最短経路を取得し、取得した最短経路を用いてスタート地点まで移動してもよい。また、操作者の遠隔操作により災害発生箇所から調査装置2を帰還させてもよい。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る遠隔操作システム1は、調査装置2と操作装置3との間に、無線通信を中継可能な間隔で中継装置4を配置することができる。そのため、調査装置2が操作装置3から遠ざかる移動や通信電波の指向性を損なう移動などを行っても、通信の安定性を保つことができる。
【0061】
また、ここで説明した中継装置4の走行方法の何れであっても中継装置4が他の中継装置4を追い抜いたり、追い越したりすることがない。そのため、狭い場所であっても中継装置4を配置することができる。
【0062】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に例示する。
【0063】
本実施形態では、操作者が操作装置3を用いて調査装置2を遠隔操作して、災害発生箇所や原因を特定する遠隔操作システム1(図1参照)を想定していたが、本発明の用途や構成はこれに限定されるものではない。例えば、操作者に操作される装置(ここでは調査装置2)は、移動するものであればよく、要救助者を救助することを目的とする装置や施設内を検査することを目的とする装置であってよい。
【0064】
また、本実施形態では、調査装置2、操作装置3および中継装置4間における情報のやり取りを例示したものに過ぎず、調査装置2、操作装置3および中継装置4間における情報のやり取りはこれに限定されない。
【0065】
また、本実施形態では、調査装置2や中継装置4として地上を走行する場合を想定していた。しかしながら、調査装置2や中継装置4の移動方法は地上を走行するものに限定されず、他の移動方法を用いて移動してもよい。調査装置2や中継装置4は、空中を飛行するもの(例えば、ドローン)や水上を航行するもの(例えば、ボート)であってよい。また、調査装置2や中継装置4は、地上を歩行するものであってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、調査装置2が慣性航法(INS)を用いた現在位置の算出を行い、算出した位置を用いて中継装置4を調査装置2の近くまで走行させていた。しかしながら、調査装置2の位置の特定は、他の手段であってもよく、例えばGPS(Global Positioning System)やIMES(Indoor Messaging System)を用いて位置の特定を行ってもよい。慣性航法(INS)とGPSやIMESとを併用してもよい。
【0067】
また、本実施形態では、「中継装置を派遣させる方式(レスキュー式)」において、図7(a)に示すように、第一中継地点を介した通信電波が弱まった場合に、第一中継地点で中継を行っていた中継装置41は、新たな中継装置42により押し出されるようにして第二中継地点まで移動していた(玉突き方式)。しかしながら、第一中継地点を介した通信電波が弱まった場合に、第一中継地点で中継を行っていた中継装置41は移動せずに、新たな中継装置42が中継装置41を追い越すようにして第二中継地点まで直接移動してもよい(追越し方式)。その場合、中継装置42は、スタート地点から調査装置2の現在位置(通信の中継の要請を行った位置)までの調査装置2の走行経路を取得し、スタート地点から調査装置2の現在位置までの最短経路(第二最短経路)を算出する。このようにすると、通信電波を受信しづらい状況になった場合に、移動させる中継装置4が一台のみでよいので制御が容易である。
【0068】
また、本実施形態では、通信電波を受信しづらい状況として「受信強度が予め決められている閾値を下回る」ことを想定していた。しかしながら、通信電波を受信しづらい状況は、通信電波を受信するのに実際に支障をきたす場合に限らず、近い将来で支障をきたすことを予測できる場合であってもよい。例えば、調査装置2は、撮影部26で撮影した画像から、見通しが明らかに悪い方向(例えば横穴)に移動することを判定し、中継装置4による通信の中継を開始する指示を受信強度が閾値を下回る前に行ってもよい。
また、調査装置2からの通信電波が途絶えた場合に、操作装置3が中継装置4による通信の中継を開始する指示を行ってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 遠隔操作システム(通信システム)
2 調査装置(移動装置)
3 操作装置
4 中継装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12