特許第6948870号(P6948870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6948870携帯通信端末、電子機器および携帯通信端末を用いた電子機器制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948870
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】携帯通信端末、電子機器および携帯通信端末を用いた電子機器制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20210930BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20210930BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20210930BHJP
   G06F 3/0487 20130101ALI20210930BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20210930BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H04Q9/00 331A
   H04M1/00 U
   H04M11/00 301
   G06F3/0487
   G06F3/0481 170
   G06F3/01 510
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-146722(P2017-146722)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2018-85714(P2018-85714A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2020年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-221589(P2016-221589)
(32)【優先日】2016年11月14日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】寒竹 貴一
(72)【発明者】
【氏名】南 崇博
【審査官】 木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−049767(JP,A)
【文献】 特開2015−119266(JP,A)
【文献】 特開2013−121053(JP,A)
【文献】 特開2015−095232(JP,A)
【文献】 特開2015−228111(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0017581(KR,A)
【文献】 特開2014−086003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H04M 1/00
H04M 11/00
G06F 3/0487
G06F 3/0481
H04N 1/00
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に対する制御指令を送信する携帯通信端末であって、
前記電子機器と通信する端末通信部と、
前記携帯通信端末の本体の予め定められた基準方向からの傾斜およびその傾斜方向ならびに傾斜角度を検知する傾き検知部と、
前記傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を保持する端末記憶部と、
前記端末通信部、前記傾き検知部および前記端末記憶部を制御する端末制御部とを備え、
前記端末制御部は、予め定められた基準方向から前記本体が傾けられたことを前記傾き検知部が検知した場合、その傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記電子機器に対して前記端末通信部に送信させ、
前記基準方向から予め定められた第1角度以上に前記本体が傾けられたことを前記傾き検知部が検知したとき、その傾斜方向を前記端末記憶部に保持させ、その後、前記本体が前記第1角度よりも小さい予め定められた第2角度以内に戻されたことを前記傾き検知部が検知したとき、前記傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記電子機器に対して前記端末通信部に送信させることを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記端末通信部は、予め定められた範囲内に前記電子機器が近接したときに通信を開始する近接場型の無線通信機能を有し、
前記端末記憶部は、前記本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムを保持し、
前記端末制御部は、前記端末通信部が前記電子機器との通信を開始したとき、前記アプリケーションプログラムを起動させる請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
端末報知部をさらに備え、
前記端末制御部は、前記本体を前記基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向を前記端末報知部に報知させ、前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられたことを前記傾き検知部が検知した場合、その傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記電子機器に対して前記端末通信部に送信させる請求項1または2に記載の携帯通
信端末。
【請求項4】
前記電子機器は画像形成装置であり、
前記制御指令には、画像形成に係る指令が含まれる請求項1〜3のいずれか1つに記載の携帯通信端末。
【請求項5】
携帯通信端末による電子機器の制御方法であって、
前記携帯通信端末は、予め定められた範囲内に前記電子機器が近接したときに通信を開始した後、前記携帯通信端末の本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムを起動して前記本体を予め定められた基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知し、
前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられた場合、前記携帯通信端末は、その傾斜方向に予め関連付けられた前記電子機器に対する制御指令を前記電子機器に送信し、
前記基準方向から予め定められた第1角度以上に前記本体が傾けられたことを検知したとき、その傾斜方向を記憶し、その後、前記本体が前記第1角度よりも小さい予め定められた第2角度以内に戻されたことを検知したとき、前記傾斜方向に予め関連付けられた前記電子機器に対する前記制御指令を送信することを特徴とする電子機器制御方法。
【請求項6】
携帯通信端末から制御指令を受信して制御される電子機器の制御方法であって、
前記電子機器は、予め定められた範囲内に前記携帯通信端末が近接したときに通信を開始した後、前記携帯通信端末の本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムの起動指令を前記携帯通信端末に送信して前記本体を予め定められた基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知し、
前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられた場合、その傾斜方
向に予め関連付けられた制御指令を前記携帯通信端末から受信し、
前記基準方向から予め定められた第1角度以上に前記本体が傾斜した後、前記本体が前記第1角度よりも小さい予め定められた第2角度以内に戻された際にその傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記携帯通信端末から受信し、前記制御指令に応じて予め定められた処理を実行することを特徴とする電子機器制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯通信端末、電子機器および携帯通信端末を用いた電子機器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカードを用いたユーザー認証やおサイフケータイ(登録商標)など、近接場型の無線通信を用いた技術が普及している。近接場型の無線通信は、Near Field CommunicationあるいはNFCともいう。NFCは、通信可能範囲(以下、フィールドともいう)が数センチメートル〜数十センチメートル程度で、例えばFeliCa(登録商標)やMIFARE(登録商標)などの規格がある。
【0003】
また、このような近接場型の無線通信を用いて様々な電子機器を制御する技術も知られている。
例えば、ICカードをカード読み書き装置にかざすことによって、ICカードが無線インターフェースを通じてカード読み書き装置と通信を始め、情報処理端末の特定のアプリケーションが起動したり、コントローラの電源を投入して動作を開始したりすることができる発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、スマートフォン、タブレットコンピュータあるいはモバイルコンピュータなどの携帯通信端末も近接場型の無線通信機能を備えるようになり、このような携帯通信端末を用いて電子機器を制御する技術も知られている。
【0005】
このような技術としては、例えば、スマートフォンが印刷装置にNFC通信で接続した後、ユーザーがスマートフォンの姿勢を用いて印刷設定を行う発明が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−141477号公報
【特許文献2】特開2014−186679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、NFCを備えた携帯通信端末の処理能力が向上しているにもかかわらず、従来の電子機器の制御方法は、タッチ操作を主たるものとするものであった。それゆえ、タッチ操作の手間を省いてユーザーの利便性をさらに向上させるべく、NFCを備えた携帯通信端末の処理能力を十分に活用した新たな携帯通信端末、電子機器および携帯通信端末を用いた電子機器制御方法が求められていた。
【0008】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、直観的かつ迅速な電子機器の制御を実現する携帯通信端末、電子機器および携帯通信端末を用いた電子機器制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、電子機器に対する制御指令を送信する携帯通信端末であって、前記電子機器と通信する端末通信部と、前記携帯通信端末の本体の予め定められた基準方向からの傾斜およびその傾斜方向を検知する傾き検知部と、前記傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を保持する端末記憶部と、前記端末通信部、前記傾き検知部および前記端末記憶部を制御する端末制御部とを備え、前記端末制御部は、予め定められた基準方向から前記本体が傾けられたことを前記傾き検知部が検知した場合、その傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記電子機器に対して前記端末通信部に送信させることを特徴とする携帯通信端末を提供する。
また、この発明は、携帯通信端末から制御指令を受信して制御される電子機器であって、前記携帯通信端末の本体の予め定められた基準方向から前記本体が傾斜した際にその傾斜方向に予め関連付けられた制御指令を前記携帯通信端末から受信する機器通信部と、前記制御指令に応じて予め定められた処理を実行する機器制御部とを備えたことを特徴とする電子機器を提供する。
また、この発明は、携帯通信端末による電子機器の制御方法であって、前記携帯通信端末は、予め定められた範囲内に前記電子機器が近接したときに通信を開始した後、前記携帯通信端末の本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムを起動して前記本体を前記基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知し、前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられた場合、前記携帯通信端末は、その傾斜方向に予め関連付けられた前記電子機器に対する制御指令を前記電子機器に送信することを特徴とする電子機器制御方法を提供する。
また、この発明は、携帯通信端末から制御指令を受信して制御される電子機器の制御方法であって、前記電子機器は、予め定められた範囲内に前記携帯通信端末が近接したときに通信を開始した後、前記本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムの起動指令を前記携帯通信端末に送信して前記本体を前記基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知し、前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられた場合、その傾斜方向に予め関連付けられた制御指令を前記携帯通信端末から受信し、前記制御指令に応じて予め定められた処理を実行することを特徴とする電子機器制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、直観的かつ迅速な電子機器の制御を実現する携帯通信端末、電子機器および携帯通信端末を用いた電子機器制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施形態1に係るデジタル複合機および携帯通信端末を備えたデジタル複合機制御システムの概略構成を示す説明図である。
図2図1に示すデジタル複合機の本体部分の機構的構成を示す断面図である。
図3図1に示すデジタル複合機および携帯通信端末の電気的構成を示すブロック図である。
図4図1に示すデジタル複合機の平面図である。
図5図1に示すデジタル複合機のパネルユニットの一例を示す説明図である。
図6図5に示すパネルユニット上に携帯通信端末をかざした例を示す説明図である。
図7図1に示す携帯通信端末の処理の概略を示すフローチャート図である。
図8図1に示すデジタル複合機の処理の概略を示すフローチャート図である。
図9図1に示す携帯通信端末の表示操作部の一例を示す説明図である。
図10図1に示す携帯通信端末の傾斜例を示す説明図である。図10(A)は、図9のA−A線矢視方向から見た携帯通信端末の傾斜例を示す説明図であり、図10(B)は、図9のB−B線矢視方向から見た携帯通信端末2の傾斜例を示す説明図である。
図11】この発明の実施形態2に係る携帯通信端末の表示操作部の一例を示す説明図である。
図12】この発明の実施形態3に係る携帯通信端末の表示操作部の一例を示す説明図である。
図13】この発明の実施形態3に係る携帯通信端末の表示操作部の一例を示す説明図である。
図14】この発明の実施形態3に係る携帯通信端末の表示操作部の一例を示す説明図である。
図15】この発明の実施形態4に係る携帯通信端末の表示操作部の一例を示す説明図である。
図16】この発明の実施形態6に係る携帯通信端末の処理の概略を示すフローチャート図である。
図17】この発明の実施形態6に係るデジタル複合機の処理の概略を示すフローチャート図である。
図18】この発明の実施形態7に係るデジタル複合機のパネルユニットの表示操作部の表示の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(i)この発明による携帯通信端末は、電子機器に対する制御指令を送信する携帯通信端末であって、前記電子機器と通信する端末通信部と、前記携帯通信端末の本体の予め定められた基準方向からの傾斜およびその傾斜方向を検知する傾き検知部と、前記傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を保持する端末記憶部と、前記端末通信部、前記傾き検知部および前記端末記憶部を制御する端末制御部とを備え、前記端末制御部は、予め定められた基準方向から前記本体が傾けられたことを前記傾き検知部が検知した場合、その傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記電子機器に対して前記端末通信部に送信させることを特徴とする。
また、この発明による電子機器は、携帯通信端末から制御指令を受信して制御される電子機器であって、前記携帯通信端末の本体の予め定められた基準方向から前記本体が傾斜した際にその傾斜方向に予め関連付けられた制御指令を前記携帯通信端末から受信する機器通信部と、前記制御指令に応じて予め定められた処理を実行する機器制御部とを備えたことを特徴とする。
また、この発明による電子機器制御方法は、携帯通信端末による電子機器の制御方法であって、前記携帯通信端末は、予め定められた範囲内に前記電子機器が近接したときに通信を開始した後、前記携帯通信端末の本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムを起動して前記本体を前記基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知し、前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられた場合、前記携帯通信端末は、その傾斜方向に予め関連付けられた前記電子機器に対する制御指令を前記電子機器に送信することを特徴とする。
また、この発明による電子機器制御方法は、携帯通信端末から制御指令を受信して制御される電子機器の制御方法であって、前記電子機器は、予め定められた範囲内に前記携帯通信端末が近接したときに通信を開始した後、前記本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムの起動指令を前記携帯通信端末に送信して前記本体を前記基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知し、前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられた場合、その傾斜方向に予め関連付けられた制御指令を前記携帯通信端末から受信し、前記制御指令に応じて予め定められた処理を実行することを特徴とする。
【0013】
この発明において、「電子機器」は、例えば、複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)、テレビ、DVDレコーダー、パーソナルコンピュータ(PC)、電子黒板等の通信機能を備えた機器である。
「携帯通信端末」は、スマートフォンやタブレット端末等の通信機能を備えた携帯可能な端末である。
「前記携帯通信端末の本体の予め定められた基準方向」は、例えば、水平方向や垂直方向、あるいは予め定められた傾斜面に沿った方向などがあげられる。
「前記傾斜方向に予め関連付けられた」は、例えば、携帯通信端末の本体が水平方向から本体の上下左右のいずれかの側が下向きになるように傾斜したとき、各傾斜方向に対して、電子機器に対する制御指令を対応させることである。
【0014】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0015】
(ii)前記端末通信部は、予め定められた範囲内に前記電子機器が近接したときに通信を開始する近接場型の無線通信機能を有し、前記端末記憶部は、前記本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムを保持し、前記端末制御部は、前記端末通信部が前記電子機器との通信を開始したとき、前記アプリケーションプログラムを起動させるものであってもよい。
【0016】
このようにすれば、電子機器からNFCの通信範囲内に携帯通信端末を近づけるだけで、電子機器の制御用のアプリケーションが自動で立ち上がるため、直観的かつ迅速な電子機器の制御を実現する携帯通信端末を実現できる。
【0017】
(iii)端末報知部をさらに備え、前記端末制御部は、前記本体を前記基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向を前記端末報知部に報知させ、前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾けられたことを前記傾き検知部が検知した場合、その傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記電子機器に対して前記端末通信部に送信させるものであってもよい。
【0018】
このようにすれば、携帯通信端末の本体を傾けるべき1以上の傾斜方向がユーザーに報知されるため、ユーザーの利便性が向上する携帯通信端末を実現できる。
【0019】
「端末報知部」は、例えば、視覚による表示や音声等により、携帯通信端末の本体を傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知する部分である。
【0020】
(iv)前記傾き検知部は、前記携帯通信端末の本体の前記基準方向からの傾斜角度をさらに検知し、前記端末制御部は、前記基準方向から予め定められた第1角度以上に前記本体が傾けられたことを前記傾き検知部が検知したとき、その傾斜方向を前記端末記憶部に保持させ、その後、前記本体が前記第1角度よりも小さい予め定められた第2角度以内に戻されたことを前記傾き検知部が検知したとき、前記傾斜方向に予め関連付けられた前記制御指令を前記電子機器に対して前記端末通信部に送信させるものであってもよい。
【0021】
このようにすれば、携帯通信端末の傾斜によって電子機器との通信状態が悪くなったとき、傾斜方向のデータを送信せずに記憶部に保持しておき、その後、携帯通信端末の傾斜が元に戻されて電子機器との通信状態が回復したときに、記憶部に保持していた傾斜方向のデータを電子機器に送信することにより、電子機器への制御指令を安定して送信することが可能となる。
【0022】
「前記基準方向から予め定められた第1角度」は、例えば、電子機器との通信の信号強度が弱くなる、または通信が切断される携帯通信端末の傾斜角度である。第1角度の例としては、例えば、約30°である。
「前記第1角度よりも小さい予め定められた第2角度」は、例えば、電子機器との通信状態が良好になる、または通信が切断状態から回復する携帯通信端末の傾斜角度である。第2角度の例としては、例えば、約0°である。
【0023】
(v)前記電子機器は画像形成装置であり、前記制御指令には、画像形成に係る指令が含まれるものであってもよい。
【0024】
このようにすれば、携帯通信端末による直観的かつ迅速な画像形成装置の制御が実現できる。
【0025】
(vi)前記機器通信部は、予め定められた範囲内に前記携帯通信端末が近接したときに通信を開始する近接場型の無線通信機能を有し、前記機器制御部は、前記機器通信部が前記携帯通信端末との通信を開始したとき、前記携帯通信端末に対し、前記本体の傾斜によって前記電子機器を制御するためのアプリケーションプログラムの起動指令を前記機器通信部に送信させるものであってもよい。
【0026】
このようにすれば、電子機器からNFCの通信範囲内に携帯通信端末が近づいたときに、電子機器の制御用のアプリケーションの起動指令を当該携帯通信端末に送信するため、当該アプリケーションの起動のための操作が不要となり、ユーザーの利便性が向上する電子機器を実現できる。
【0027】
(vii)機器報知部をさらに備え、前記機器制御部は、前記携帯通信端末の本体を前記基準方向から傾けるべき1以上の傾斜方向を前記機器報知部に報知させ、前記1以上の傾斜方向のうち1つの傾斜方向に前記本体が傾斜した際に、その傾斜方向に予め関連付けられた制御指令を前記携帯通信端末から受信するものであってもよい。
【0028】
このようにすれば、携帯通信端末の本体を傾けるべき1以上の傾斜方向が機器報知部を通じてユーザーに報知されるため、ユーザーの利便性が向上する電子機器を実現できる。
【0029】
「機器報知部」は、例えば、視覚による表示や音声等により、携帯通信端末の本体を傾けるべき1以上の傾斜方向をユーザーに報知する部分である。
【0030】
(viii)前記電子機器は画像形成装置であり、前記制御指令には、画像形成に係る指令が含まれるものであってもよい。
【0031】
このようにすれば、携帯通信端末による直観的かつ迅速な画像形成装置の制御が実現できる。
【0032】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0033】
〔実施形態1〕
図1図6に基づき、この発明の携帯通信端末および電子機器からなる電子機器制御システムの一例としてのデジタル複合機制御システム10について説明する。
図1は、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1および携帯通信端末2を備えたデジタル複合機制御システム10の概略構成を示す説明図である。図2は、図1に示すデジタル複合機1の本体部分の機構的構成を示す断面図である。図3は、図1に示すデジタル複合機1および携帯通信端末2の電気的構成を示すブロック図である。図4は、図1に示すデジタル複合機1の平面図である。図5は、図1に示すデジタル複合機1のパネルユニット180の一例を示す説明図である。図6は、図5に示すパネルユニット180上に携帯通信端末2をかざした例を示す説明図である。
【0034】
図1に示すように、この発明のデジタル複合機制御システム10は、デジタル複合機1および携帯通信端末2から構成される。
【0035】
なお、この発明の「電子機器」は、デジタル複合機1によって実現される。また、この発明の「端末通信部」は、通信部255および近接通信部290によって実現される。また、この発明の「端末記憶部」は、メモリ204によって実現される。また、この発明の「端末報知部」は、表示操作部203によって実現される。また、この発明の「機器通信部」は、通信部55および近接通信部190によって実現される。また、この発明の「機器制御部」は、制御部100によって実現される。また、この発明の「機器報知部」は、表示操作部103によって実現される。
【0036】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有する複合機やMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)などの装置である。
【0037】
デジタル複合機1は、NFC機能を搭載し、携帯通信端末2とNFCによる通信を行う。実施形態1においては、通信可能範囲が数センチメートル〜数十センチメートル程度のNFCを採用し、ユーザーは、デジタル複合機1に設けられた近接通信部190を中心とする前記通信可能範囲内に携帯通信端末2を近づけることで、デジタル複合機1と通信を行う。
【0038】
携帯通信端末2は、NFC機能を搭載し、各種の情報を送受信可能な通信機能を有する携帯用の情報端末である。例えば、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末等の携帯型端末を利用することができる。
【0039】
<デジタル複合機1の構成>
ここで、図2に示すデジタル複合機1の内部的な構成を簡単に説明しておく。
図2に示すように、デジタル複合機1は、原稿を読み取る原稿読取装置111、原稿を読取り部に搬送する原稿搬送装置112および画像形成を行う印刷部102を備える。
【0040】
デジタル複合機1においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像を印刷シートに印刷する。あるいは、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を印刷シートに印刷する。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15等は、それぞれ4個ずつ設けられる。各色に応じた4種類のトナー像を形成するために、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0041】
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、次のようにしてトナー像が形成される。ドラムクリーニング装置14が、感光体ドラム13表面の残留トナーを除去および回収する。その後、帯電器15が感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。そして、光走査装置11が均一に帯電した前記表面を露光して前記表面に静電潜像を形成する。その後、現像装置12が前記静電潜像を現像する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0042】
また、中間転写ベルト21は矢印Cの方向に周回移動する。ベルトクリーニング装置22は周回移動する中間転写ベルト21の残留トナーを除去および回収する。各感光体ドラム13表面の各色のトナー像が中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせられて、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像が形成される。
【0043】
前記印刷シートは、ピックアップローラ33により4つある給送トレイ18のいずれか一つから引出されて、シート搬送経路R1を介して2次転写装置23へ給送される。あるいは、手差しトレイ19から図示しないピックアップローラによって給送され、シート搬送経路R1を介して2次転写装置23へ給送される。シート搬送経路R1には、印刷シートを一旦停止させて印刷シートの先端を揃えるレジストローラ34が配置されている。また印刷シートの搬送を促す搬送ローラ35等が配置されている。レジストローラ34は、印刷シートを一旦停止させた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域へトナー像の転写タイミングに合わせて印刷シートを搬送する。
【0044】
2次転写装置23の転写ローラ23aと中間転写ベルト21との間にはニップ域が形成される。印刷シートが前記ニップを通過するとき、中間転写ベルト21の表面に形成されたカラーのトナー像が印刷シートに転写される。印刷シートは、前記ニップ域を通過した後、定着装置17の加熱ローラ24と加圧ローラ25との間に挟まれて加熱および加圧される。この加熱および加圧により、カラーのトナー像が印刷シート上に定着される。
【0045】
定着装置17を通過した印刷シートは、排出ローラ36aまたは36bを経て排出トレイ39aまたは39bへ排出される。印刷シートの排出先は、後述する制御部100によって制御され、図示しない切替え機構によって排出トレイ39aおよび39bのいずれかへ印刷シートが導かれるように搬送経路が切替えられる。印刷シートの搬送経路の切替え機構は、画像形成装置の技術分野で周知であるので詳細な図示を省略している。
【0046】
続いて、図3に基づき、デジタル複合機1の電気的な構成を簡単に説明しておく。
図3に示すように、デジタル複合機1は、通信部55、制御部100、印刷部102、表示操作部103、メモリ104、原稿読取装置111、原稿搬送装置112および近接通信部190を備える。
【0047】
デジタル複合機1は、表示操作部103や通信部55または近接通信部190を介して受付けたユーザーからの制御指令に基づいてスキャナ、印刷およびコピーのジョブを実行する。
【0048】
以下、デジタル複合機1の電気的な各構成要素を説明する。
【0049】
<デジタル複合機1の電気的構成>
通信部55は、外部の機器と通信データを送受信し、例えば、外部のPC等から印刷ジョブ等の制御指令を受信する通信インターフェースの回路およびファームウェアである。
【0050】
制御部100は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
制御部100は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、定着ランプ等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0051】
図3に示されるように、制御部100は、特定の用途のために1つの半導体チップに実装された集積回路であるSoC(System-on-a-Chip)101およびその他の演算機能を有する回路を備える。
【0052】
SoC101は、I2CやSPI等の通信規格によりNFCタグIC192とシリアル通信を行い、NFCタグIC192から受信した印刷指令に基づき、印刷部102や原稿読取装置111等を制御して、印刷等の処理を実行させる。
なお、SoC101とNFCタグIC192との通信は高速でなくてもよく、低速であってもよい。
【0053】
印刷部102は、電子写真方式により印刷画像を印刷シートに印刷する。印刷部102は、図2における光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14および帯電器15に係る電気的構成要素を含んで構成される。さらに、中間転写ベルト21、定着装置17、シート搬送経路R1、給送トレイ18、および排出トレイ39a、39bに係る電気的構成要素を含んで構成される。
【0054】
表示操作部103は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)とタッチパネルから構成され、液晶ディスプレイに情報を表示し、タッチパネルを通じてユーザーからの指令を受け付ける部分である。制御部100は、表示操作部103を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0055】
メモリ104は、RAM104aおよびROM104bを備え、例えばハードディスク装置(HDD)やフラッシュメモリ等不揮発性の記憶手段であって、種々のデータやプログラムを保持する。
【0056】
RAM104aは、制御部100がアクセス可能なメモリ(Random Access Memory)であり、一時的にデータを記憶しておくワークメモリを提供する。
【0057】
ROM104bは、制御部100がアクセス可能な読み出し専用メモリ(Read Only Memory)であり、制御部100のプログラム制御のために必要なデータが保持される。ROM104bには、例えば、画像形成機能やタグ情報などの設定の基礎となる各種のデータが保持される。
【0058】
RAM104aおよびROM104bは、制御部100とバス接続されており、制御部100を動作させるためのプログラム保持、メモリ展開がなされる。これらは一例の構成であって、複数のCPUや基板により構成されるシステムであってもよい。
【0059】
原稿読取装置111は、原稿台に載置された原稿を光学的に読み取るスキャナ等の装置である。
原稿搬送装置112は、所定のトレイにセットされた原稿を原稿読取装置111に搬送する装置である。
【0060】
例えば、制御部100は、原稿読取装置111および原稿搬送装置112を制御して、原稿搬送装置112により原稿を搬送する。そして、原稿読取装置111により原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ104に保持する。さらに、印刷部102を制御して、外部のPCや携帯通信端末2等から受信した印刷データの画像を印刷シートに印刷させる。
【0061】
近接通信部190は、携帯通信端末2との間でNFCによる通信を行う部分である。
近接通信部190は、携帯通信端末2が通信可能範囲内に入った場合に、携帯通信端末2からの応答を受信して携帯通信端末2が通信可能範囲内に入ったことを認識する。
近接通信部190は、アンテナ191およびNFCタグIC192を備える。
【0062】
近接通信部190は、デジタル複合機1の予め定められた位置(図1参照)に設けられ、アンテナ191は、近接した携帯通信端末2とのNFC通信を媒介する。
【0063】
NFCタグIC192は、携帯通信端末2との間でNFCによる通信を行うためのICである。
なお、NFCタグIC192として、電池を内蔵して電波を発することが可能な無線タグであるアクティブタグや、携帯通信端末2から電波を受信し、これを起電力として動作するダイナミックタグ等のタグ用のICを用いるものであってもよい。
【0064】
また、長距離型の無線通信であっても、例えば、通信強度等により通信距離を計測して予め定められた距離の範囲内でのみ携帯通信端末2との通信を開始するようにしてもよい。
また、携帯通信端末2の所定のスイッチ等を入れることで、携帯通信端末2との通信を開始するようにしてもよい。
【0065】
以上がデジタル複合機1の構成の概要である。
【0066】
<携帯通信端末2の電気的構成>
次に、携帯通信端末2の電気的構成について説明する。
【0067】
図3に示されるように、この発明の携帯通信端末2は、制御部200、傾き検知部201、表示操作部203、メモリ204、通信部255および近接通信部290を備える。
【0068】
以下、携帯通信端末2の電気的な各構成要素を説明するが、表示操作部203および通信部255は、それぞれデジタル複合機1の表示操作部103および通信部55と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0069】
制御部200は、携帯通信端末2を統合的に制御する部分であって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
【0070】
傾き検知部201は、携帯通信端末2の本体の傾きを検知する部分である。
傾き検知方法としては、例えば、加速度センサで携帯通信端末2にかかる地球の重力加速度の大きさを測定することによって、携帯通信端末2の傾斜方向および傾斜角度を求めることができる。
また、ジャイロセンサで携帯通信端末2に生じた角速度を検知することによって、携帯通信端末2の傾斜方向、傾斜角度および傾斜速度等を求めることもできる。
【0071】
メモリ204は、メモリ104と同様の構成を有するが、ROM104bには、例えば、デジタル複合機1のNFCによる制御用のアプリケーションプログラムデータが保持される。
当該アプリケーションプログラムには、携帯通信端末2の本体の予め定められた基準方向からの傾斜方向に対応した種々の制御指令が予め保持される。
【0072】
近接通信部290は、デジタル複合機1との間でNFCによる通信を行う部分である。
近接通信部290は、アンテナ291およびNFC IC292を備える。
【0073】
アンテナ291は、デジタル複合機1とのNFC通信を媒介する。
NFC IC292は、デジタル複合機1との間でNFCによる通信を行うためのICである。
【0074】
次に、近接通信部190の配置について説明する。
【0075】
図4および図5に示されるように、デジタル複合機1は、上面の一部にパネルユニット180を備える。
【0076】
図5に示されるように、パネルユニット180は、表示操作部103、物理操作部181および近接通信部190を備える。
【0077】
表示操作部103には、デジタル複合機1の操作用アイコン1031等が表示され、ユーザーは操作用アイコン1031をタッチすることにより、デジタル複合機1を操作することができる。
【0078】
物理操作部181は、物理的なキーを押して操作する部分であり、表示灯1811、電源キー1812、節電キー1813およびホームキー1814を備える。
ホームキー1814は、動作モードを選択するホーム画面に表示操作部103の表示画面を戻すためのキーである。
【0079】
近接通信部190は、アンテナ191を備える。図5においては、アンテナ191は、近接通信部190の中央付近に設けられている。
【0080】
図6に示すように、ユーザーは、近接通信部190上に携帯通信端末2を水平にかざすことにより、デジタル複合機1と携帯通信端末2との間でNFCによる通信を開始する。NFCの通信範囲内であれば、携帯通信端末2は、近接通信部190からある程度(例えば、数センチ〜数十センチ程度)離れていてもよい。
【0081】
なお、テレビや電子黒板等の場合は、例えば、ディスプレイに垂直に設けられた近接通信部190に対して平行になるように携帯通信端末2をかざすことによって、NFCによる通信を開始するようにしてもよい。
この場合、携帯通信端末2の傾斜角度の基準となるのは、垂直方向である。
【0082】
また、近接通信部190が斜めに傾斜している場合は、近接通信部190に対して平行になるように携帯通信端末2をかざすことにより、NFCによる通信を開始するようにしてもよい。
この場合、携帯通信端末2の傾斜角度の基準となるのは、近接通信部190に対して平行方向である。
【0083】
<この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の制御の概略>
次に、図7図10に基づき、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の制御の概略について説明する。
【0084】
図7は、図1に示す携帯通信端末2の処理の概略を示すフローチャート図である。図8は、図1に示すデジタル複合機1の処理の概略を示すフローチャート図である。図9は、図1に示す携帯通信端末2の表示操作部203の一例を示す説明図である。図10は、図1に示す携帯通信端末2の傾斜の例を示す説明図である。図10(A)は、図9のA−A線矢視方向から見た携帯通信端末2の傾斜例を示す説明であり、図10(B)は、図9のB−B線矢視方向から見た携帯通信端末2の傾斜例を示す説明図である。
【0085】
なお、図7の破線の矢印は、図8のフローチャート図における関連したステップを示すものである。
例えば、図7のステップS12の処理は、図8のステップS22の処理と相互に関連している。また、図8のステップS23の処理を受けて、図7のステップS13の処理が行われる関係にある。また、図7のステップS18の処理を受けて、図8のステップS24の処理が行われる関係にある。
【0086】
<この発明の携帯通信端末2の処理の流れ>
次に、図7に基づき、この発明の携帯通信端末2の処理の流れについて説明する。
【0087】
図7のステップS11において、携帯通信端末2の制御部200は、近接通信部290がデジタル複合機1のNFCタグIC192を検知したか否かを判定する(ステップS11)。
【0088】
近接通信部290がデジタル複合機1のNFCタグIC192を検知した場合(ステップS11の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS12において、近接通信部290にデジタル複合機1の近接通信部190との通信を開始させる(ステップS12)。
【0089】
一方、近接通信部290がデジタル複合機1のNFCタグIC192を検知していない場合(ステップS11の判定がNoの場合)、制御部200は、ステップS11の判定を繰り返す(ステップS11)。
【0090】
次に、ステップS13において、制御部200は、近接通信部290がデジタル複合機1の近接通信部190からNFCタグIC192のタグ情報を受信したか否かを判定する(ステップS13)。
【0091】
近接通信部290がデジタル複合機1の近接通信部190からNFCタグIC192のタグ情報を受信した場合(ステップS13の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS14において、受信した当該タグ情報に基づき、デジタル複合機1専用のアプリケーションを起動させる(ステップS14)。
【0092】
当該タグ情報には、携帯通信端末2がタグ情報を受信したとき、デジタル複合機1に対応したアプリケーションを自動で起動するように予めデータが記述されている。
【0093】
このようにして、複合機やテレビ等の異なる種類の電子機器に携帯通信端末2を近づけるだけで対応するアプリケーションが自動的に起動するため、ユーザーの利便性が向上する。
【0094】
一方、近接通信部290がデジタル複合機1の近接通信部190からNFCタグIC192のタグ情報を受信していない場合(ステップS13の判定がNoの場合)、制御部200は、ステップS13の判定を繰り返す(ステップS13)。
【0095】
次に、ステップS15において、制御部200は、傾き検知部201により携帯通信端末2の本体の傾きが検知された否かを判定する(ステップS15)。
【0096】
携帯通信端末2の本体の傾きが検知された場合(ステップS15の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS16において、検知した傾斜方向をメモリ204に保持し、デジタル複合機1の近接通信部190との通信をいったん切断する(ステップS16)。
【0097】
一方、携帯通信端末2の本体の傾きが検知されていない場合(ステップS15の判定がNoの場合)、制御部200は、ステップS15の判定を繰り返す(ステップS15)。
【0098】
次に、ステップS17において、制御部200は、携帯通信端末2の本体の傾きが水平に戻されたか否かを判定する(ステップS17)。
【0099】
携帯通信端末2の本体の傾きが水平に戻された場合(ステップS17の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS18において、近接通信部290にデジタル複合機1の近接通信部190との通信を再開させ、メモリ204に保持した傾斜方向に予め関連付けられた制御指令を送信させる(ステップS18)。
【0100】
一方、携帯通信端末2の本体の傾きが水平に戻されていない場合(ステップS17の判定がNoの場合)、制御部200は、ステップS17の判定を繰り返す(ステップS17)。
【0101】
続いて、ステップS19において、制御部200は、近接通信部290がデジタル複合機1のNFCタグIC192の検知を継続しているか否かを判定する(ステップS19)。
【0102】
近接通信部290がデジタル複合機1のNFCタグIC192の検知を継続している場合(ステップS19の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS15の判定に戻る(ステップS15)。
【0103】
一方、近接通信部290がデジタル複合機1のNFCタグIC192の検知を継続していない場合(ステップS19の判定がNoの場合)、制御部200は、デジタル複合機1の近接通信部190との通信を終了させる(ステップS20)。
【0104】
なお、ステップS17において、携帯通信端末2の本体の傾きが水平に戻されていない場合においても、近接通信部290がデジタル複合機1のNFCタグIC192の検知を継続していない場合、制御部200は、デジタル複合機1の近接通信部190との通信を終了させるようにしてもよい。
【0105】
また、ステップS20において通信を終了させた後、制御部200は、メモリ204に保持した傾斜方向をリセットするようにしてもよい。
【0106】
このようにすることで、ユーザーが携帯通信端末2の本体を意図せずして誤った方向に傾けてしまった場合、携帯通信端末2をデジタル複合機1の近接通信部190の通信可能範囲外にはずすことによって、近接通信部190との通信を終了させ、誤った制御指令をキャンセルすることが可能となる。
【0107】
<この発明のデジタル複合機1の処理の流れ>
次に、図8に基づき、この発明のデジタル複合機1の処理の流れについて説明する。
【0108】
図8のステップS21において、デジタル複合機1の制御部100は、近接通信部190のNFCタグIC192が携帯通信端末2のNFC IC292を検知したか否かを判定する(ステップS21)。
【0109】
NFCタグIC192がNFC IC292を検知した場合(ステップS21の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS22において、近接通信部190に携帯通信端末2の近接通信部290との通信を開始させる(ステップS22)。
【0110】
一方、NFCタグIC192がNFC IC292を検知していない場合(ステップS21の判定がNoの場合)、制御部100は、ステップS21の判定を繰り返す(ステップS21)。
【0111】
次に、ステップS23において、制御部100は、メモリ104に予め保持されたタグ情報を携帯通信端末2に送信させる(ステップS23)。
【0112】
続いて、ステップS24において、制御部100は、近接通信部190が携帯通信端末2からの制御指令を受信したか否かを判定する(ステップS24)。
【0113】
近接通信部190が携帯通信端末2からの制御指令を受信した場合(ステップS24の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS25において、受信した制御指令をSoC101に送信して制御処理を実行する(ステップS25)。
【0114】
具体的には、携帯通信端末2から制御指令を受信した後、NFCタグIC192は受信した制御指令をメモリ104に書き込み、SoC101に割り込み要求を送信する。
【0115】
一方、割り込み要求を受信したSoC101は、NFCタグIC192に制御指令の送信要求を送信する。SoC101から送信要求を受信したNFCタグIC192は、メモリ104に保持した制御指令を読み出してSoC101に送信する。
【0116】
SoC101は、NFCタグIC192から制御指令を受信すると、受信した制御指令に対応した制御処理を実行する。
【0117】
その後、制御部100は、デジタル複合機1の制御処理を終了させる。
【0118】
一方、ステップS24において、近接通信部190が携帯通信端末2からの制御指令を受信していない場合(ステップS24の判定がNoの場合)、制御部100は、ステップS24の判定を繰り返す(ステップS24)。
【0119】
次に、図9および図10に基づき、この発明の携帯通信端末2の傾斜例について説明する。
【0120】
デジタル複合機1専用のアプリケーションが起動すると、図9に示すように、デジタル複合機1の制御用の画面が、携帯通信端末2の表示操作部203に表示される。
【0121】
図9の例において、4つのアイコン(すなわち、「メール」アイコン2031a、「スキャン」アイコン2031b、「コピー」アイコン2031cおよび「ファックス」アイコン2031d)がそれぞれ表示操作部203の上側、右側、下側および左側に表示されている。
【0122】
なお、表示操作部203の空いたスペースに携帯通信端末2を上下左右のいずれかの方向に傾ける旨のメッセージを表示させるようにしてもよい。
あるいは、当該メッセージを音声で知らせるようにしてもよい。
また、携帯通信端末2が予め定められた基準方向を向いていない場合、携帯通信端末2を基準方向に向けるようメッセージを報知するようにしてもよい。
また、携帯通信端末2が上下左右のいずれかの方向に傾いていない場合は、正しい方向に傾けるようメッセージを報知するようにしてもよい。
このようにメッセージを報知することで、視覚や聴覚に障害があるユーザーの利便性が向上する。
【0123】
ユーザーは、携帯通信端末2を近接通信部190にかざしたまま、携帯通信端末2を基準方向(図6の例では、水平方向)から傾ける。
【0124】
図10(A)に示すように、ユーザーは、スキャンを実行したい場合、右側が下になるように携帯通信端末2を傾け、ファックスを実行したい場合は、左側が下になるように携帯通信端末2を傾ける。
【0125】
また、図10(B)に示すように、ユーザーは、コピーを実行したい場合、手前側が下になるように携帯通信端末2を傾け、メールを実行したい場合は、奧側が下になるように携帯通信端末2を傾ける。
【0126】
このとき、携帯通信端末2の傾きを検知すると、NFC通信がいったん切断されるが、携帯通信端末2の傾きが水平状態に戻されると、NFC通信が再開されて、デジタル複合機1に制御指令が送信される。
【0127】
このようにすれば、携帯通信端末2の傾斜によってデジタル複合機1との通信状態が悪くなったときに、傾斜方向のデータを送信せずにメモリ204に保持しておき、携帯通信端末2の傾斜が元に戻されてデジタル複合機1との通信状態が回復したときに、メモリ204に保持していた傾斜方向のデータをデジタル複合機1に送信することにより、デジタル複合機1への制御指令を安定して送信することが可能となる。
【0128】
このように、ユーザーは、携帯通信端末2を近接通信部190にかざして所定の方向に傾けるだけで、直観的かつ迅速なデジタル複合機1の制御が可能となるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0129】
〔実施形態2〕
次に、図11に基づき、この発明の実施形態2に係る電子機器制御システムの一例としてのデジタル複合機制御システム10について説明する。
図11は、この発明の実施形態2に係る携帯通信端末2の表示操作部203の一例を示す説明図である。
【0130】
実施形態2においては、ユーザーが携帯通信端末2を上下左右いずれかの方向に傾けることによって、メール、コピー、ファックスおよびスキャンのいずれかを選択した後、さらにユーザーに確認を促す画面を表示させる。
【0131】
図11は、図9において、ユーザーが携帯通信端末2の下側を下向きに傾けてコピーを選択した後に表示操作部203に表示される画面の一例を示す。
【0132】
図11に示すように、表示操作部203には、「コピーを開始しますか?」というメッセージ2032とともに、「OK」および「キャンセル」の2種類の操作にそれぞれ対応する2つの「OK」アイコン2032aおよび「キャンセル」アイコン2032bが表示される。
【0133】
ここで、図11において、右側が下になるようにユーザーが携帯通信端末2を傾けて「OK」を選択したとき、コピーを実行すべき指令がデジタル複合機1に送信される。
【0134】
一方、左側が下になるようにユーザーが携帯通信端末2を傾けて「キャンセル」を選択したとき、コピーの選択状態をキャンセルすべき指令がデジタル複合機1に送信される。
その後、表示操作部203の画面は、図9に示す選択画面に戻る。
【0135】
このように、特定の操作が選択された後、さらにユーザーに確認を促す画面を表示させて、「OK」か「キャンセル」のいずれかを選択させることにより、携帯通信端末2を意図しない方向に傾けることによる誤操作を防止することが可能となる。
【0136】
また、確認のための操作も、携帯通信端末2を傾けることによって行われるため、直観的かつ迅速なデジタル複合機1の制御が可能となって、ユーザーの利便性が向上する。
【0137】
また、コピーが開始された後、コピーの実行中に表示操作部203に「中止」アイコンを表示させ、「中止」アイコンの方向に携帯通信端末2を傾けることによって、コピーの実行を中止させる指令をデジタル複合機1に送信させるようにしてもよい。
【0138】
このようにすれば、コピーの開始後もユーザーは携帯通信端末2を傾けることによって、コピーの実行を中止させることができるため、直観的かつ迅速なデジタル複合機1の制御が可能となって、ユーザーの利便性が向上する。
【0139】
〔実施形態3〕
次に、図12図14に基づき、この発明の実施形態3に係る電子機器制御システムの一例としてのデジタル複合機制御システム10について説明する。
図12図14は、この発明の実施形態3に係る携帯通信端末2の表示操作部203の一例を示す説明図である。
【0140】
図12に示すように、表示操作部203に「設定」アイコン2032cを追加表示させることで、さらに別の操作を行えるようにしてもよい。
【0141】
図13は、図12において、下側が下になるように携帯通信端末2を傾けることによって、設定画面を表示させたときの表示操作部203を示す。
【0142】
図13に示すように、表示操作部203には、「倍率」アイコン2033a、「部数」アイコン2033b、「トレイ」アイコン2033cおよび「キャンセル」アイコン2033dが表示される。
【0143】
図14は、図13において、右側が下になるように携帯通信端末2を傾けることによって、コピー部数の設定画面を表示させたときの表示操作部203を示す。
【0144】
図14に示すように、表示操作部203には、「リセット」アイコン2034a、「+1」アイコン2034b、「OK」アイコン2034cおよび「−1」アイコン2034dが表示される。
【0145】
ユーザーは、右側または左側が下になるように携帯通信端末2を傾けることによって、コピー部数を増減させることができる。
このとき、携帯通信端末2を1回傾けることでコピー部数を1だけ変化させるようにしてもよいが、携帯通信端末2を予め定められた時間以上(例えば、3秒以上)傾けたときに、コピー部数が連続的に増減するようにしてもよい。
【0146】
また、携帯通信端末2を傾ける時間の他、携帯通信端末2の傾斜角度や傾斜速度によって異なる制御を割り当てるようにしてもよい。
例えば、携帯通信端末2の傾斜角度や傾斜速度が大きいほど、コピー部数の増減の速さが増すようにしてもよい。
【0147】
このように、携帯通信端末2を傾ける時間や傾斜角度、傾斜速度によって異なる制御を割り当てることにより、直観的かつ迅速なデジタル複合機1の制御が可能となって、ユーザーの利便性が向上する。
【0148】
〔実施形態4〕
次に、図15に基づき、この発明の実施形態4に係る電子機器制御システムの一例としてのデジタル複合機制御システム10について説明する。
図15は、この発明の実施形態4に係る携帯通信端末2の表示操作部203の一例を示す説明図である。
【0149】
図15に示すように、表示操作部203には、「トレイ1 A4−R」アイコン2035a、「トレイ2 A4−R」アイコン2035b、「トレイ3 B5−R」アイコン2035c、「トレイ4 A3」アイコン2035dおよび「OK」アイコン2035eが表示される。
【0150】
ユーザーは、上側または下側が下になるように携帯通信端末2を傾けることによって、4つのアイコン2035a,2035b,2035cおよび2035dのいずれかを選択することができる。
【0151】
図15において、最上段の「トレイ1 A4−R」アイコン2035aが選択されたことを示すため、アイコンの色が変化して色付きアイコンとなっている。
また、四角枠状のカーソルでアイコンを囲むことによってアイコンの選択状態を示すようにしてもよい。
【0152】
このとき、携帯通信端末2を1回傾けることで1つ上または下のアイコンに移動させるようにしてもよいが、携帯通信端末2を予め定められた時間以上(例えば、1秒以上)傾けたときに、アイコンの選択状態を示す色やカーソル等が複数のアイコンを連続的に移動するようにしてもよい。
【0153】
また、選択すべきアイコンの数が多く、表示操作部203の画面内に収まりきらない場合は、画面を上下にスクロールさせて画面外のアイコンを表示するようにしてもよい。
【0154】
また、携帯通信端末2の傾斜角度や傾斜速度が大きいほどアイコンの選択状態を示す色やカーソル等が複数のアイコン間を移動する速さが速くなるようにしてもよい。
【0155】
このように、携帯通信端末2を傾けるだけで、その傾斜方向に沿ってアイコンの選択状態を示す色やカーソル等が連続的に落ちるように移動するため、直観的かつ迅速なデジタル複合機1の制御が可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【0156】
〔実施形態5〕
ユーザーは、携帯通信端末2を傾ける操作の他、表示操作部203に表示されたアイコンを直接タッチすることによってデジタル複合機1に制御指令を与えることができるようにしてもよい。
【0157】
例えば、図9において、ユーザーが携帯通信端末2の下側を下に傾けてコピーを選択した後で、図10または図11に示すように表示された「OK」アイコン等を親指でタッチすることで、タッチ操作または携帯通信端末2の傾斜による制御を別々に行うよりも迅速にデジタル複合機1に印刷指令を送信することが可能となる。
【0158】
例えば、携帯通信端末2を手に握った状態で、複数のアイコンを親指でタッチ操作する従来の方法の場合、(1)親指を第1のアイコンにタッチした後、(2)いったん親指を第1のアイコンから離し、その後(3)親指をずらして第2のアイコンにタッチする、というように、少なくとも3段階の手順を踏む必要がある。
【0159】
一方、携帯通信端末2を傾ける操作と指によるタッチ操作とを組み合わせた実施形態5の方法の場合、(1)携帯通信端末2を傾けて第1のアイコンを選択した後、(2)親指を第2のアイコンにタッチする、というように、2段階の手順で済む。
【0160】
このように、携帯通信端末2を傾ける操作と指によるタッチ操作とを組み合わせることで、指でタッチする操作のみの場合と比べて、直観的かつ迅速なデジタル複合機1の制御を行うことが可能となる。
【0161】
〔実施形態6〕
次に、図16および図17に基づき、この発明の実施形態6に係るデジタル複合機1の制御の概略について説明する。
【0162】
図16は、実施形態6に係る携帯通信端末2の処理の概略を示すフローチャート図である。図17は、実施形態6に係るデジタル複合機1の処理の概略を示すフローチャート図である。
【0163】
なお、図16のステップS31、S32およびS35〜S40はそれぞれ、図7のステップS11、S12およびS15〜S20に相当するため、説明を省略する。
また、図17のステップS41、S42、S44およびS45もそれぞれ、図8のステップS21、S22、S24およびS25に相当するため、説明を省略する。
ここでは、図7および図8に記載のない図16のステップS33、S34および図17のステップS43について説明する。
【0164】
図16のステップS32において、近接通信部290にデジタル複合機1の近接通信部190との通信が開始した後(ステップS32)、制御部200は、続くステップS33において、近接通信部290がデジタル複合機1の近接通信部190からデジタル複合機1専用のアプリケーションの起動指令およびNFCタグIC192のタグ情報を受信したか否かを判定する(ステップS33)。
【0165】
近接通信部290がデジタル複合機1の近接通信部190からデジタル複合機1専用のアプリケーションの起動指令およびNFCタグIC192のタグ情報を受信した場合(ステップS33の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS34において、受信した起動指令を受けて当該タグ情報に基づき、デジタル複合機1専用のアプリケーションを起動させる(ステップS34)。
【0166】
一方、近接通信部290がデジタル複合機1の近接通信部190からデジタル複合機1専用のアプリケーションの起動指令およびNFCタグIC192のタグ情報を受信していない場合(ステップS33の判定がNoの場合)、制御部200は、ステップS33の判定を繰り返す(ステップS33)。
【0167】
次に、図17のステップS42において、近接通信部190が携帯通信端末2の近接通信部290との通信を開始した後(ステップS42)、制御部100は、続くステップS43において、メモリ104に予め保持されたデジタル複合機1専用のアプリケーションおよびNFCタグIC192のタグ情報を携帯通信端末2に送信させる(ステップS43)。
【0168】
このように、デジタル複合機1からNFCの通信範囲内に携帯通信端末2が近づいたときに、デジタル複合機1の制御用のアプリケーションの起動指令を携帯通信端末2に送信するため、当該アプリケーションの起動のための操作が不要となり、ユーザーの利便性が向上するデジタル複合機1を実現できる。
【0169】
〔実施形態7〕
次に、図18に基づき、この発明の実施形態7に係るデジタル複合機1の制御の概略について説明する。
【0170】
図18は、この発明の実施形態7に係るデジタル複合機1のパネルユニット180の表示操作部103の表示の一例を示す説明図である。
【0171】
近接通信部190が携帯通信端末2の近接通信部290との通信を開始したとき、図18に示すように、デジタル複合機1の制御方法を示す画面をデジタル複合機1のパネルユニット180の表示操作部103に表示させるようにしてもよい。
【0172】
図18において、表示操作部103には、携帯通信端末2の傾斜によりデジタル複合機1を操作する方法を示したメッセージ1032および傾斜方向を示す図1033が表示されている。
【0173】
また、携帯通信端末2の傾斜の方法を示すアニメーション1035および当該アニメーション1035に連動したメッセージ1034を表示操作部103に表示させるようにしてもよい。
【0174】
このように、携帯通信端末1の本体を傾けるべき1以上の傾斜方向が表示操作部103を通じてユーザーに報知されるため、ユーザーの利便性が向上するデジタル複合機1を実現できる。
【0175】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0176】
1:デジタル複合機、 2:携帯通信端末、 10:デジタル複合機制御システム、 11:光走査装置、 12:現像装置、 13:感光体ドラム、 14:ドラムクリーニング装置、 15:帯電器、 17:定着装置、 18:給送トレイ、 19:手差しトレイ、 21:中間転写ベルト、 22:ベルトクリーニング装置、 23:2次転写装置、 24:加熱ローラ、 25:加圧ローラ、 23a:転写ローラ、 33:ピックアップローラ、 34:レジストローラ、 35:搬送ローラ、 36a,36b:排出ローラ、 39a,39b:排出トレイ、 55:通信部、 100:制御部、 101:SoC、 102:印刷部、 103:表示操作部、 1031:操作用アイコン、 1032,1034,2032:メッセージ、 1033:図、 1035:アニメーション、 104:メモリ、 104a:RAM、 104b:ROM、 111:原稿読取装置、 112:原稿搬送装置、 180:パネルユニット、 181:物理操作部、 190:近接通信部、 191:アンテナ、 192:NFCタグIC、 200:制御部、 201:傾き検知部、 203:表示操作部、 1811:表示灯、 1812:電源キー、 1813:節電キー、 1814:ホームキー、 2031a〜2031d,2032a〜2032c,2033a〜2033d,2034a〜2034d,2035a〜d,2035e:アイコン、 204:メモリ、 204a:RAM、 204b:ROM、 255:通信部、 290:近接通信部、 291:アンテナ、 292:NFC IC、 C:矢印、 Pa,Pb,Pc,Pd:画像ステーション、 R1:シート搬送経路
図1
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図4
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