(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記曇り検出部で前記フロントガラスに曇りが生じていること又は曇りが生じる可能性が高いことを検出したとき、空調機器を駆動して前記フロントガラスの曇りを解消させる曇り解消処理部を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレインセンサ。
前記非接触温度センサは、前記フロントガラスから放射される赤外線を検出しこれに基づき前記フロントガラスの温度を検出するようになっている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレインセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、図面は模式的なものである。
【0010】
(実施形態の構成)
図1は、本発明に係るレインセンサ1の一例を示す構成図である。
レインセンサ1は車室内に設けられ、フロントガラスに雨滴が付着していることを検出する。車両に搭載された後述のワイパ制御装置15では、レインセンサ1の検出結果に基づき、ワイパ16を駆動制御する。
【0011】
図1に示すように、レインセンサ1は、LED等の発光源2と、フロントガラス11で反射された発光源2からの光を受光する受光素子3と、フロントガラス11の温度を非接触で検出する非接触温度センサ4と、車室内の温度及び湿度を検出する温湿度センサ5とを備える。発光源2及び受光素子3、また、非接触温度センサ4及び温湿度センサ5は例えば図示しないルームミラーに設けられる。非接触温度センサ4は、ルームミラー根元前方の、フロントガラス11上部中央部近傍の平均温度を検出可能な位置に配置される。また、発光源2及び受光素子3は、フロントガラス11上部中央部近傍の、フロントガラス11の外面11bと外部との界面で反射した発光源2の反射光を、受光素子3の中心で受光することの可能な位置に配置される。つまり、非接触温度センサ4の温度の検出領域が、受光素子3で受光する、外面11bと外部との界面で反射した発光源2の反射光の検出領域を含むように配置され、受光素子3の検出信号により得られる受光量を取得したフロントガラス11上の検出領域を含む領域の温度を、非接触温度センサ4によって検出するようになっている。
【0012】
フロントガラス11の内面11aに曇りが生じておらず、外面11bに雨滴が付着していない状態では、
図1(a)に示すように、発光源2により発光された光の光量Aは、フロントガラス11の内面11aでフロントガラス11に入射する光量Iと反射する光量Bとに分けられ、フロントガラス11に入射した光量Iはフロントガラス11の外面11bと外側との境界で空気中に入射する光量Eと反射する光量Jとに分けられ、さらに、フロントガラス11内に反射した光量Jは、フロントガラス11の内面11aで車室内に入射する光量Cと反射する光量Fとに分けられる。発光源2及び受光素子3は、発光源2から発光され、フロントガラス11の外面11bで反射し、車室内に入射する光量Cの光を受光素子3の正面、すなわち中心で受光するように配置される。
【0013】
一方、雨滴Rがフロントガラス11の外面11bに付着した場合には、
図1(b)に示すように、発光源2により発光された光の光量Aは、フロントガラス11の内面11aで反射される光量Bとフロントガラス11中に入射する光量Iとに分けられ、フロントガラス11中に入射した光量Iの光はフロントガラス11と雨滴Rとの境界面11b′で、光量Sで雨滴R中に入射する光とフロントガラス11中に反射する光量J′の光とに分けられる。フロントガラス11中に反射した光量J′の光は、フロントガラス11の内面11aで再度フロントガラス11中に反射する光量F′の光と空気中に入射する光量C′の光とに分けられる。この場合、光量J′は、
図1(a)中の光量Jより小さい。なぜならば、フロントガラス11の屈折率及び雨滴Rの屈折率は、空気の屈折率よりも大きいため、
図1(a)中の光量Eよりも大きい光量Sが雨滴R中に入射し、光量J′は、光量Jよりも小さくなる。そのため、受光素子3に向かう光量C′は雨滴Rがフロントガラス11に付着していない場合の光量Cよりも小さくなる。
【0014】
雨滴R中に入射した光量Sの光は、雨滴Rの外面Rbで光量E′で空気中に入射する光と雨滴R中に反射する光量Hの光とに分けられる。この反射した光量Hの光は、フロントガラス11と雨滴Rとの境界面11b′で、フロントガラス11に入射する光量Gの光と反射する光とに分けられ、フロントガラス11に入射した光量Gの光はフロントガラス11の内面11aで、空気中に光量Dにて入射する光と反射する光とに分けられる。
受光素子3は、光量Dと光量Bの一部及び光量C′を受光するが、雨滴Rの厚さTが大きくなると、受光素子3の光軸が光量Dの光を受光する比率が低くなり、受光素子3の出力が低下する。つまり、フロントガラス11上の雨滴Rの有無と雨滴Rの厚さTとにより、一定出力の発光源2からの光の光路及び入反射光量が変化するため、雨滴Rが付着した場合には、雨滴Rが付着していない場合よりも受光素子3での受光量は小さくなる。
【0015】
後述の受光量判定部6aでは、雨滴により変化する受光素子3での受光量の大きさを判定している。
非接触温度センサ4は、例えば赤外線センサで構成され、フロントガラス11から放射される赤外線を検出することにより、フロントガラス11の表面温度を非接触で検出する。
温湿度センサ5は、車室内の内気温度を検出すると共に湿度を検出する。
【0016】
図2は、レインセンサ1の一例を示す機能ブロック図である。
受光素子3、非接触温度センサ4、及び温湿度センサ5それぞれの検出信号は演算処理部6に入力される。演算処理部6は、受光量判定部6aと、曇り検出部6bと、記憶部6cと、雨滴判定部6dとを備える。
受光量判定部6aは、受光素子3の検出信号を入力し、受光素子3での受光量が予め設定したしきい値よりも小さいとき、フラグF1をF1=1に設定し、しきい値以上であるときフラグF1をF1=0に設定する。フラグF1は記憶部6cに記憶され、受光量判定部6aでは、判定結果に応じて、記憶部6cのフラグF1を順次更新するようになっている。受光量判定部6aと、発光源2と、受光素子3とで、光学的検出部を構成している。
【0017】
曇り検出部6bは、温湿度センサ5の検出信号をもとに、ルームミラー近傍の相対湿度を演算する。また、演算した相対湿度と温湿度センサ5で検出される内気温度(つまり車室内の温度)とをもとに露点温度を検出し、検出した露点温度と非接触温度センサ4の検出信号、つまりフロントガラス11の表面温度(以下、ガラス温度ともいう。)とから、フロントガラス11に曇りが生じているかを判定する。具体的には、曇り検出部6bでは、ガラス温度に基づき温度しきい値を設定し、温湿度センサ5の検出信号から演算される露点温度が温度しきい値以上であるとき、フロントガラス11に曇りが生じていると判定する。逆に、露点温度が温度しきい値未満であるときには曇りが生じていないと判定する。ここで温度しきい値は、曇りが生じていることを検出可能な温度であり、また、曇りが生じる可能性が高いことを検出可能な温度に設定される。具体的には、ガラス温度よりも低い温度に設定され、この温度から露点温度がさらに上昇した場合には曇りが生じるとみなすことの可能な値に設定される。つまり、曇り検出部6bでは、実際に曇りが発生する前の段階で曇りが生じていると判定するようになっている。そして、曇りが生じていると判定したときには、空調駆動部12を介してデフロスタ等の空調機器13を作動させ、フロントガラス11の曇りを解消させる(曇り解消処理部)。
【0018】
また、曇り検出部6bでは、露点温度が温度しきい値以上であると判定したとき、フラグF2をF2=1に設定し、露点温度が温度しきい値よりも小さいと判定したとき、フラグF2をF2=0に設定する。また、曇り検出部6bでは、記憶部6cに、複数時点におけるフラグF2を記憶するようになっており、例えば、時点tにおけるフラグF2(t)と、時点t1よりも一つ前の時点である時点t−1におけるフラグF2(t−1)とを記憶するようになっている。そして、曇り検出部6bでは、判定結果に応じて、記憶部6cのフラグF2(t)、F2(t−1)を順次更新するようになっている。なお、ここでは、二周期分のフラグF2(t)、F2(t−1)を記憶するようにしているが、三周期以上のフラグF2を記憶するようにしてもよい。
【0019】
雨滴判定部6dは、受光量判定部6aの検出結果と、曇り検出部6bの検出結果とに基づき、フロントガラス11に雨滴が付着しているか否かを判定する。具体的には、雨滴判定部6dでは、記憶部6cに格納されているフラグF1(t)と、フラグF2(t)、F2(t−1)に基づき判定する。この雨滴判定部6dでの判定結果がレインセンサ1の検出結果となり、レインセンサ1の検出結果はワイパ制御装置15に出力される。ワイパ制御装置15では、レインセンサ1でフロントガラス11に雨滴が付着している(雨滴検出)と判定されたときにはワイパ16を起動し、逆に、雨滴が付着していない(雨滴非検出)と判定されたときにはワイパ16を停止させる。
【0020】
図3は、受光量判定部6aでの処理手順の一例を示すフローチャートである。受光量判定部6aでは、
図3に示す演算処理を予め設定した所定周期で実行し、起動されるとまずフラグF1(t)をF1(t)=0に初期設定する(ステップS1)。次に、受光素子3から検出信号つまり受光量を読み込み(ステップS2)、受光量がしきい値よりも小さいときにはステップS3からステップS4に移行してフラグをF1(t)=1に設定し、ステップS2に戻る。逆に、受光量がしきい値以上であるときにはステップS3からステップS5に移行し、フラグをF1(t)=0に設定し、ステップS2に戻る。
【0021】
図4は、曇り検出部6bでの処理手順の一例を示すフローチャートである。曇り検出部6bでは、
図4に示す演算処理を予め設定した所定周期で実行し、起動されるとまずフラグF2(t1)、F2(t−1)をそれぞれ「0」に初期設定する(ステップS11)。次に、非接触温度センサ4及び温湿度センサ5の検出信号を読み込み(ステップS12)、これら検出信号に基づき相対湿度を演算し、さらに露点温度を演算する。また、非接触温度センサ4の検出信号に基づき温度しきい値を設定する(ステップS13)。
そして、露点温度が温度しきい値以上であるときにはステップS14からステップS15に移行してフラグF2(t−1)の値をF2(t)の値に更新するとともに、F2(t)=1に設定する。そして、ステップS16に移行し、空調機器13を作動させた後、ステップS12に戻る。逆に、露点温度が温度しきい値よりも小さいときにはステップS14からステップS17に移行して、フラグF2(t−1)の値をF2(t)の値に更新するとともに、F2(t)=0に設定する。そして、空調機器13を停止させる(ステップS18)。そして、ステップS12に戻る。
【0022】
図5は、雨滴判定部6dでの処理手順の一例を示すフローチャートである。雨滴判定部6dでは、
図5に示す演算処理を予め設定した所定周期で実行する。
雨滴判定部6dでは、まず、ステップS20で、フラグF3をF3=0に初期設定する。
次いで、記憶部6cから、フラグF1(t)、フラグF2(t)、F2(t−1)を読み込む(ステップS21)。そして、フラグF1(t)がF1(t)=0であるか否かを判定し(ステップS22)、F1(t)=0であるときには、フロントガラス11に雨滴は付着していない、つまり雨滴非検出と判定する。また、フラグF3をF3=0に設定する(ステップS23)。受光素子3での受光量がしきい値以上であるときには、フロントガラス11に雨滴は付着しておらず、また、曇りも生じていないことを意味する。つまり、雨滴は検出されていない。
【0023】
一方、ステップS22で、フラグF1(t)がF1(t)=1であるときにはステップS24に移行し、フラグF2(t)がF2(t)=0であるか否かを判定する。F2(t)=0である場合にはステップS25に移行して、フロントガラス11に雨滴が付着していることによりフラグF1(t)がF1(t)=1に設定された、つまり、雨滴検出と判定する。また、フラグF3をF3=1に設定する。受光素子3での受光量がしきい値よりも小さく、且つ、この時点で曇りが生じていないと判定されているから、フロントガラス11に雨滴が付着していることによりフラグF1(t)がF1(t)=1に設定されたとみなすことができる。つまり、雨滴が検出されたことになる。
【0024】
また、ステップS24で、フラグF2(t)がF2(t)=1に設定されている場合にはステップS26に移行し、フラグF2(t−1)がF2(t−1)=1であるか否かを判定する。F2(t−1)=1であるときには、ステップS27に移行してフラグF3がF3=1であるか否かを判定し、F3=1であるときにはステップS28に移行して雨滴検出と判定し、F3=0であるときにはステップS29に移行し、雨滴非検出と判定する。また、フラグF3をF3=0に設定する。また、ステップS26でF2(t−1)=0であるときには、雨滴検出と判定し、フラグF3=1に設定する(ステップS30)。
【0025】
つまり、受光素子3での受光量がしきい値よりも小さくても、既に曇りが生じていたと判定されるときには、受光素子3での受光量がしきい値よりも小さくなった原因が、曇りが生じていることによるものである場合と、雨滴が付着したことによるものである場合との二通りが考えられる。F2(t−1)=1であって(ステップS26)、継続して曇りが生じていたと判定されるときには、曇りが生じていることにより、受光量がしきい値よりも小さくなっている可能性があるため、この時点では雨滴非検出(ステップS29)と判定する。逆に、F2(t−1)=0であって(ステップS26)、現時点(t)では、曇りが生じていると判定されているが、一つ前の時点(t−1)では曇りが生じていないと判定されるときには、曇りによるものではなく、雨滴が付着したことにより、受光量が低下したとみなすことができる。そのため雨滴検出と判定する(ステップS30)。
そして、雨滴検出又は雨滴非検出の判定を行った後、ステップS21に戻る。
【0026】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
雨が降っておらず、フロントガラス11に曇りが生じていない状態では、受光素子3の受光量はしきい値以上となるためF1(t)=0(
図3ステップS3、S5)に設定され、また、フラグF2は、F2(t)=0、F2(t−1)=0に設定されるため(
図4ステップS14、S17)、
図5のステップS21からS22を経てステップS23に移行し雨滴非検出と判定される。また、フラグF2は、F2(t)=0に設定されるため、空調機器13は作動されない(
図4ステップS18)。
【0027】
この状態から、雨が降り始めると、フロントガラス11に雨滴が付着し、受光素子3の受光量がしきい値よりも小さくなるため、F1(t)=1に設定される(
図3ステップS3、S4)。そのため、
図5のステップS21からS22を経てステップS24に移行し、このときフロントガラス11に曇りは生じていないから、フラグF2は、F2(t)=0、F2(t−1)=0である。そのため、ステップS24からステップS25に移行し、雨滴検出と判定される。これを受けて、ワイパ制御装置15ではワイパ16を起動する。
【0028】
そして、雨が降ることにより、フロントガラス11の温度が低下し、これに伴い曇り判定の温度しきい値が低下し、露点温度が温度しきい値以上となると、フラグがF2(t)=1に設定されることから(
図4ステップS14、S15)、空調機器13が起動される(
図4ステップS16)。また、フラグがF2(t)=1に設定されたことから、
図5のステップS21からS22、S24を経てステップS26に移行し、この時点では、フラグF2(t−1)=0であることから、ステップS30に移行して、雨滴検出と判定され、フラグF3=1に設定される。そのため、引き続きワイパ16は駆動される。
【0029】
そして、露点温度が温度しきい値以上である状態が継続している間は、各フラグは、F1(t)=1、F2(t)=1、F2(t−1)=1に設定されるため、
図5のステップS21からS22、S24、S26、S27を経てステップS28に移行し、引き続き雨滴検出と判定されて、ワイパ16が駆動される。
この状態から、空調機器13を作動させることにより、車室内の温度や湿度が調整されて露点温度が低下し温度しきい値を下回ると、フラグがF2(t)=0に設定されることから(
図4ステップS14、S17)、空調機器13が停止される(ステップS18)。フラグがF2(t)=0となることから、
図5のステップS21からS22、S24を経てステップS25に移行し、引き続き雨滴検出と判定されて、ワイパ16は駆動される。
【0030】
そして、雨が止みフロントガラス11の雨滴が除去されると、受光素子3の受光量はしきい値以上となるため、F1(t)=0(
図3ステップS5)に設定され、また、フラグF2はF2(t)=0、F2(t−1)=0であるため(
図4ステップS17)、
図5のステップS21からS22を経てステップS23に移行し、雨滴非検出と判定され、フラグF3はF3=0にリセットされる。
そして、レインセンサ1で雨滴非検出と判定されることから、ワイパ16は停止される。したがって、雨の振り出しに伴い、ワイパ16が起動され、雨が止むことに伴いワイパ16は停止されることになる。
【0031】
また、例えば、外気温が比較的低く、雨が降っておらず、また、フロントガラス11に曇りが生じていない状態では、雨滴は付着しておらず曇りも検出されないことから、
図5のステップS21からS22を経て、ステップS23に移行し雨滴非検出と判定される。また、フラグF3はF3=0に設定される。
この状態から、車室内で温かい飲み物を飲むこと等により車室内の温度が上昇し、これに伴い露点温度が上昇し、露点温度が温度しきい値以上となると、車室内温度が露点温度に近づくと、曇り検出と判定され(
図4ステップS15)、空調機器13が駆動される(ステップS16)。実際に曇りが生じる以前の時点で曇り検出と判定されて空調機器13が駆動されるため、曇りの発生が抑制されることになる。
【0032】
この状態から、空調機器13を駆動したにも関わらずフロントガラス11が曇り始め、受光素子3の受光量が減少しフラグF1がF1(t)=1となると、
図5のステップS21からS22を経てステップS24に移行する。この時点では、フラグF2は、F2(t)=1、F2(t−1)=1であり、また、フラグF3はF3=0であることから、ステップS24からS26、S27を経てステップS29に移行し、雨滴非検出と判定される。
つまり、継続して曇り検出と判定されていることから、フロントガラス11が曇っていることにより、受光素子3の受光量が減少して雨滴検出と判定された可能性がある。そのため、継続して曇りが検出されているときには、受光素子3の受光量が低下したとしても雨滴非検出と判定する。したがって、フロントガラス11に曇りが生じていることが原因で受光素子3の受光量が低下した場合に、ワイパ16が不必要に駆動されることを回避することができる。
【0033】
一方、雨が降っておらず、フロントガラス11に曇りが生じていない状態であって雨滴非検出と判定されている状態から、車室内で温かい飲み物を飲むこと等により車室内の温度が上昇しこれに伴い露点温度が上昇し、露点温度が温度しきい値以上となると、曇り検出と判定されると同時に、雨が降り出し、受光素子3の受光量が低下すると、この時点でフラグF1(t)=1、フラグF2(t)=1、F2(t−1)=0であることから、ステップS21、S22、S24、S26を経てステップS30に移行し、雨滴検出と判定され、フラグF3=1に設定される。つまり、実際に曇りが生じる以前の時点で曇り検出と判定するようにしているため、受光素子3の受光量が低下し、且つ、曇りが検出されている状態であっても、一つ前の検出周期において曇りが検出されていなければ、受光素子3の受光量の低下は曇りによるものではないとみなすことができる。したがって、雨の降り出しに伴いワイパ16が起動されることになる。
【0034】
このように、受光素子3の受光量がしきい値以上であるときには、雨滴非検出と判定し、受光素子3の受光量がしきい値を下回った場合には、雨滴が付着したことにより受光量が低下したのか、フロントガラス11に曇りが生じたことにより受光量が低下したのかを、曇りの検出状況に応じて判定するようにしているから、フロントガラス11に曇りが生じたことにより受光量が低下した場合に、雨滴が付着していると誤検知することを回避することができる。そのため、誤検知によって、実際に雨が降っていないにも関わらずワイパ16が起動されることを回避することができ、レインセンサ1の信頼性を向上させることができるとともに、ワイパ16の誤作動を防止することができる。
また、フロントガラス11に実際に曇りが生じる前の、曇りが生じる可能性が高い時点で曇り検出と判定するようにしているため、実際に、曇りが生じる前の時点から、空調機器13を起動することができ、曇りが実際に生じることを抑制することができる。
【0035】
また、曇り検出を行うための非接触温度センサ4は、非接触でフロントガラス11の温度を検出することができる。ここで、フロントガラス11に接触させてフロントガラス11の温度を検出する接触式の温度センサを用いた場合、受光素子3では、フロントガラス11で反射された反射光を受光するようにしているため、発光源2と受光素子3との間の光路を妨げないように接触式の温度センサを配置する必要がある。そのため、受光素子3で受光する反射光の、フロントガラス11上における検出領域と、接触式の温度センサのフロントガラス11上における温度の検出領域とを一致させることは困難であり、その結果、フロントガラス11の曇りを高精度に検出することが困難である。これに対し、
図1に示すレインセンサ1では、非接触でフロントガラス11の温度を検出するため、接触式の温度センサのフロントガラス11上における温度の検出領域に、受光素子3で受光する反射光の、フロントガラス11上における検出領域が含まれるようにすることができ、その結果、曇り検出をより高精度に行うことができる。そのため、フロントガラス11の曇りを解消するための空調機器13を、実際の曇りの発生状況に則して駆動及び停止させることができる。そのため、必要のない時点で空調機器13を駆動することを回避することができ、その分、空調機器13を駆動するための消費電力の削減を図ることができる。特に、電気自動車の場合には、温風を発生するデフロスタ等の空調機器13を作動させるためには、熱を発生させる必要があるため多くの消費電力を必要とすることから、空調機器13の駆動時間を短縮することは消費電力の低減に効果的である。
【0036】
なお、上記実施形態においては、温度しきい値として非接触温度センサ4で検出されるガラス温度よりも低い値を設定した場合について説明したが、これに限るものではなく検出されたガラス温度を温度しきい値として設定してもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。