特許第6948883号(P6948883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948883
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】表示装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20210930BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   B60K35/00 Z
   B60K37/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-164004(P2017-164004)
(22)【出願日】2017年8月29日
(65)【公開番号】特開2019-38498(P2019-38498A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】吉村 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 由起子
(72)【発明者】
【氏名】信岡 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】落水 均
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−177148(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0246320(US,A1)
【文献】 特開2006−056514(JP,A)
【文献】 特開2013−144523(JP,A)
【文献】 特開平11−321327(JP,A)
【文献】 特開2016−041578(JP,A)
【文献】 特開平10−272993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00−37/06
B60R 9/00−11/06
B60R 13/01−13/04
B60R 13/08
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を取付部材を介してインストルメントパネルに取付けるようにした表示装置の取付構造であって、
前記取付部材は、車室内側から操作される固定具によってインストルメントパネルに固定されており、
前記表示装置は、前記固定具を車室内側から覆う使用位置と該使用位置から変位されて該固定具が車室内側に臨む待避位置とをとり得るように、該取付部材に対して変位可能に取付けられており、
前記表示装置は、前記待避位置から前記使用位置に向けて変位されたときに前記インストルメントパネルに嵌合されて該使用位置を保持させるための嵌合部を有している、
ことを特徴とする表示装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記インストルメントパネルの背面側に、車幅方向に延びるクロスカービームに固定された補強ブラケットが配設され、
前記固定具が、前記補強ブラケットと前記取付部材とで前記インストルメントパネルを挟持した状態で、該補強ブラケットに対して固定されている、
ことを特徴とする表示装置の取付構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記嵌合部が、係止爪部として構成され、
前記取付部材および前記インストルメントパネルに、前記係止爪部が挿通される挿通孔が形成され、
前記補強ブラケットに、前記各挿通孔を挿通された前記係止爪部が嵌合される係止孔が形成されている、
ことを特徴とする表示装置の取付構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記表示装置は、前記取付部材に対して、車幅方向に延びる揺動軸線を中心として前後方向に揺動可能に取付けられ、
前記表示装置は、その上端部が前記使用位置から車両の前側に向けて揺動されることにより前記待避位置とされる、
ことを特徴とする表示装置の取付構造。
【請求項5】
請求項4において、
前記揺動軸線の設定位置が、前記取付部材の上端部とされている、ことを特徴とする表示装置の取付構造。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
前記使用位置にある前記表示装置の上端部に対して、車両の前下方に向かう所定以上の荷重が作用したときに、前記嵌合部の嵌合が解除されて該表示装置が前記待避位置に向けて揺動される、ことを特徴とする表示装置の取付構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記表示装置は、前記取付部材に対して、上下方向にスライド可能に取付けられ、
前記表示装置は、前記使用位置から上方に向けてスライドされることにより前記待避位置とされる、
ことを特徴とする表示装置の取付構造。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
前記取付部材は、上下方向に延びる縦壁部と該縦壁部の下端部から車両の後方へ延びる底壁部とを有する断面略L字状に形成され、
前記インストルメントパネルは、前記底壁部の後端部を車両の後方から覆うように上方に向けて膨出された膨出部を有している、
ことを特徴とする表示装置の取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の車両では、インストルメントパネルの上面に表示装置(ディスプレイ)を設けたものが多くなっている。特許文献1には、表示装置を、台座を介してインストルメントパネルに取付けると共に、台座に所定以上の荷重を受けたときに変形される変形部位を構成して、前方衝突時において乗員からの荷重が表示装置に入力されたときに、変形部位が変形されることにより衝撃緩和を行うものが開示されている。
【0003】
特許文献2には、表示ユニットとその制御ユニットとを、連結ブラケットに対して個別に着脱自在に固定することにより、制御ユニットを取外すことなく表示ユニットのみを個別に取外せるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−035424号公報
【特許文献2】特開2016−107942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インストルメントパネルの上面に取付けられる表示装置(ディスプレイ)は、そのサービス性等の観点から、インストルメントパネルに対して容易に着脱可能とすることが望まれるものである。この場合、表示装置をインストルメントパネルに固定する固定具を車室内に露出させることは、見栄えが極めて悪くなることから、事実上採用し難いものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、表示装置をインストルメントパネルに固定しておく固定具に対して車室内側からアクセスできるようにしつつ、固定具が車室内側から目視されないようにした表示装置の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
表示装置を取付部材を介してインストルメントパネルに取付けるようにした表示装置の取付構造であって、
前記取付部材は、車室内側から操作される固定具によってインストルメントパネルに固定されており、
前記表示装置は、前記固定具を車室内側から覆う使用位置と該使用位置から変位されて該固定具が車室内側に臨む待避位置とをとり得るように、該取付部材に対して変位可能に取付けられており、
前記表示装置は、前記待避位置から前記使用位置に向けて変位されたときに前記インストルメントパネルに嵌合されて該使用位置を保持させるための嵌合部を有している、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、表示装置を待避位置とすることにより、固定具を車室内側から操作して、表示装置を取付部材と共にインストルメントパネルに対して取付、取外しを行うことができ、表示装置に対するサービス性を向上させることができる。また、表示装置を使用位置としたときは、固定具が表示装置によって覆われて車室内側から目視されることがなく、外観上の見栄えの点で好ましいものとなる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記インストルメントパネルの背面側に、車幅方向に延びるクロスカービームに固定された補強ブラケットが配設され、
前記固定具が、前記補強ブラケットと前記取付部材とで前記インストルメントパネルを挟持した状態で、該補強ブラケットに対して固定されている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、補強ブラケットを利用して、表示装置を取付部材と共にインストルメントパネルにしっかりと固定することができる。また、インストルメントパネルの取付けをもしっかりと行うことができる。
【0010】
前記嵌合部が、係止爪部として構成され、
前記取付部材および前記インストルメントパネルに、前記係止爪部が挿通される挿通孔が形成され、
前記補強ブラケットに、前記各挿通孔を挿通された前記係止爪部が嵌合される係止孔が形成されている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、係止爪部を利用して、表示装置を使用位置に確実に保持させることができる。また、係止爪部の係止孔に対する嵌合と嵌合解除は比較的容易なので、表示装置を使用位置と待避位置との間で容易に姿勢変更させる上で好ましいものとなる。
【0011】
前記表示装置は、前記取付部材に対して、車幅方向に延びる揺動軸線を中心として前後方向に揺動可能に取付けられ、
前記表示装置は、その上端部が前記使用位置から車両の前側に向けて揺動されることにより前記待避位置とされる、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、表示装置の揺動を利用して、使用位置と待避位置との間での姿勢変更を行うことができる。
【0012】
前記揺動軸線の設定位置が、前記取付部材の上端部とされている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、表示装置を、取付部材との干渉を防止しつつ、使用位置と待避位置との間で姿勢変更させる上で好ましいものとなる。
【0013】
前記使用位置にある前記表示装置の上端部に対して、車両の前下方に向かう所定以上の荷重が作用したときに、前記嵌合部の嵌合が解除されて該表示装置が前記待避位置に向けて揺動される、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、前方衝突時に乗員の頭部が表示装置に当接されたときの衝撃緩和の上で好ましいものとなる。
【0014】
前記表示装置は、前記取付部材に対して、上下方向にスライド可能に取付けられ、
前記表示装置は、前記使用位置から上方に向けてスライドされることにより前記待避位置とされる、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、表示装置を上下方向のスライド動を利用し
て、使用位置と待避位置との間での姿勢変更を行うことができる。
【0015】
前記取付部材は、上下方向に延びる縦壁部と該縦壁部の下端部から車両の後方へ延びる底壁部とを有する断面略L字状に形成され、
前記インストルメントパネルは、前記底壁部の後端部を車両の後方から覆うように上方に向けて膨出された膨出部を有している、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、取付部材の後端エッジ部が乗員から目視されることの防止と、後端エッジ部に乗員の手指が触れてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示装置をインストルメントパネルに固定しておく固定具に対して車室内側からアクセスできるようにしつつ、固定具が車室内側から目視されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態を示すもので、インストルメントパネル部分を示す全体斜視図。
図2図1における表示装置部分での断面図。
図3】表示装置と取付部材とを動可能に連結する部位の構造例を示す分解図。
図4】係止爪部の一例を示す斜視図。
図5】表示装置の取付けに関連した部材を簡略的に示す分解斜視図。
図6】表示装置を待避位置とした状態で、固定具によって取付部材をインストルメントパネルに固定しようとしている状態を示す要部断面図。
図7】固定具による固定が行われた状態を示すもので、図6に対応した断面図。
図8】表示装置を待避位置とした状態での係止爪部の状況を示す断面図。
図9】表示装置を使用位置とした状態を示すもので、図7に対応した断面図。
図10】表示装置を使用位置とした状態を示すもので、図8に対応した断面図。
図11】本発明の第2の実施形態を示すもので、図7に対応した断面図。
図12】本発明の第2の実施形態を示すもので、図8に対応した断面図。
図13】本発明の第2の実施形態を示すもので、図9に対応した断面図。
図14】本発明の第2の実施形態を示すもので、図10に対応した断面図。
図15】本発明の第2の実施形態を示すもので、表示装置を取付K部材にスライド可能に連結する部分の構造例を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明するが、以下の説明において、前、後、上、下、左、右の各方向は、車両からみたときの方向である。まず、 図1図2において、10はインストルメントパネル、20は表示装置(ディスプレイ)である。ディスプレイ20の表示面が、符号20aで示される。また、インストルメントパネル10は、図6に示すように、基材11と基材11の表面側に形成された発泡層12とを有し、発泡層12の表面には薄い表皮層が形成されている。
【0019】
表示装置20は、インストルメントパネル10のうち車幅方向略中間部における上面部に配設されている。ディスプレイ20の配設のために、インストルメントパネル10の上面部には、配設用凹部13が形成されている。この配設用凹部13は、上方および後方へ向けて開口された形状とされている。そして、配設用凹部13の後端部は、上方へ向けて膨出された膨出部13aとされており、この膨出部13aは発泡層12を有するものとなっている。
【0020】
図2に示すように、インストルメントパネル10で囲まれた空間には、車幅方向に延びるクロスカービーム30と空調ユニット35とが配設されている。クロスカービーム30は、ステアリング支持部材あるいはインパネ取付部材とも称されるもので、図示を略す左右一対のヒンジピラー同士を連結する強度部材とされている。空調ユニット35からは、複数の空調風吹き出し用のダクトが延びており、その一部のダクトが符号35a、35bで示される。このうち、ダクト35aは、表示装置20の直下方位置において、インストルメントパネル10に開口されている。
【0021】
クロスカービーム30には、補強ブラケット31の一端部(前端部)31aが固定されている。補強ブラケット31の他端部(後端部)31bは、上下方向に延びて、インストルメントパネル10のうち配設用凹部13における縦壁面部位の背面に当接されている。
【0022】
表示装置20は、取付部材40を介して、インストルメントパネル10に取付けられる。この取付けに関連した部材が、簡略的に図5に示される。なお、表示装置20の表示面が、符号20aで示される。
【0023】
まず、取付部材40は、図6にも示すように断面略L字状とされて、インストルメントパネル10に形成された配設用凹部13の縦壁面に沿う縦壁部40aと、配設用凹部13の底壁面に沿う底壁部40bとを有する。この底壁部40bの直後方に、前述したインストルメントパネル10の膨出部13aが位置されて、この膨出部13aによって取付部材40の後端エッジ部が後方から覆われている(後端エッジ部が乗員から目視されることの防止と、後端エッジ部に乗員の手指が触れてしまう事態を防止)。
【0024】
取付部材40の上端部には、左右一対の連結用筒部41が形成されている。この連結用筒部41に対応させて、表示装置20の背面(のうち上下方向略中間部)には、左右一対の連結用筒部21が形成されている(図3参照)。図3に示すように、互いに整合された各連結用筒部41と21とを連結ピン42が貫通した状態で、連結ピン42の先端部に螺合されるロックナット43により、その抜け止めが行われている。これにより、表示装置20は、揺動軸線となる連結ピン42を中心として、前後方向に揺動可能として取付部材40に取付けられる(保持される)。なお、揺動可能な連結は適宜の手法を採択することができ、また連結ピン42の抜け止めはその先端部に嵌合させたCリングによって行う等のこともできる。
【0025】
表示装置20の背面には、左右一対の嵌合部としての係止爪部22が突出形成されている。この係止爪部21は、表示装置20の下端部に形成された、その詳細が図4に示される。
【0026】
上記係止爪部22に対応させて、取付部材40には挿通孔44が形成され、インストルメントパネル10には挿通孔14が形成されている。各挿通孔44、14は、係止爪部22がスムーズに通過できる大きさに設定されている。さらに、補強ブラケット31には、係止孔31aが形成されている。係止孔31aは、係止爪部22が嵌合されて係止される大きさに設定されている。
【0027】
図6図7に示すように、取付部材40は、固定具50(実施形態ではボルト)を利用して、インストルメントパネル10に固定される。すなわち、取付部材40には、固定具50(の軸部)が挿通される挿通孔45が形成されている.同様に、インストルメントパネル10にも固定具50が挿通される挿通孔15が形成され、補強ブラケット31にも固定具50が挿通される挿通孔31bが形成されている。そして、補強ブラケット31の背面には、固定具50が螺合されるナット51が固定されている(例えば溶接による接合)。
【0028】
ここで、表示装置20は、図6図7に示すようにその上端部が前方へ向けて揺動されて、その挿通孔45が車室側に向けて臨んだ状態が、待避位置とされる。また、表示装置20が、図2図9に示すように上下方向に延びた姿勢とされて、表示装置20で挿通孔45を塞いだ状態が、表示装置20の使用位置とされる。
【0029】
次に、以上のような構成の作用について説明する。まず、表示装置20をインストルメントパネル10に対して取付ける場合について説明する。なお、表示装置20は、あらかじめ、取付部材40に対して連結ピン42、ナット32を利用して揺動可能に連結、保持される。
【0030】
表示装置20を保持した取付部材40は、図6に示すように、インストルメントパネル10の配設用凹部13に配設される。表示装置20を待避位置とすることにより、挿通孔45が車室内側に露出した状態とされる。この状態で、固定具50を、車室内側から、挿通孔45や他の部材に形成されている挿通孔15、31bを通して、ナット32に螺合させる。これにより、取付部材40(つまり表示装置20)のインストルメントパネル10に対する固定が行われる。この固定状態では、取付部材40と補強ブラケット31とによりインストルメントパネル10が挟持された状態での固定とされる。
【0031】
補強ブラケット31による補強作用によって、取付部材40つまり表示装置20は、しっかりとインストルメントパネル10に対して固定されることになる。また、インストルメントパネル10が、補強ブラケット31を介して強度部材としてのクロスカービーム30に固定されることから、インストルメントパネル10を車体に対してしっかりと取付けるという点でも好ましいものとなる。
【0032】
取付部40をインストルメントパネル10に取付けられた直後は、表示装置20は待避位置のままである。この待避位置の状態では、図8に示すように、係止爪部22は取付部40よりも後方に位置されて、係止孔31aに嵌合、係止されていない状態とされる。表示装置20を、待避位置から使用位置に向けて揺動させることにより、図10に示すように、係止爪部22が、他の部材の挿通孔44、14を通って、補強ブラケット31の係止孔31aに嵌合、係止される。これにより、表示装置20は使用位置に保持される。表示装置20を使用位置としたときの固定具50部分での断面が、図9に示される。
【0033】
いま、前方衝突によって、乗員の頭部が表示装置20の上端部に当接した場合を想定する。このとき、上記当接による荷重は、表示装置20を待避位置に向けて揺動される外力として作用することから、係止爪部22が係止孔31aから抜け出て、表示装置20は図7図8に示す待避位置へと揺動される。これにより、乗員の頭部が表示装置20に当接した際の衝撃が緩和される。勿論、係止爪部22の係止孔31aに対する係止作用(係止力)は、乗員の頭部が表示装置20の上部に当接した際の荷重を受けて解除されるように設定されている。
【0034】
表示装置20の点検や交換等のために、表示装置20をインストルメントパネル10から取外すには、前述した取付作業の場合と逆の手順で行えばよい。すなわち、表示装置20を待避位置とし、この状態で、固定具50を車室内側から操作してナット32に対する螺合を解除して、車室内側へ引き抜けばよい。これにより、表示装置20は、取付部材40と共にインストルメントパネル10から取外されることになる。
【0035】
図11図15は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、前記実施形態と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
【0036】
本実施形態では、表示装置20を、取付部材40に対して上下方向にスライド可能に保持させるようにしてある.すなわち、図15に示すように、表示装置20の裏面側(前面側)に先端部が拡大された摺動部23を突出形成する一方、取付部材40には該摺動部23を上下方向に案内するガイドレール部46を形成してある。
【0037】
本実施形態では、係止爪部22を、表示装置20の下面から下方へ向けて突出形成してある。これに対応して、補強ブラケット31を表示装置20を下方へ延長させた部位に存在するようにして、ここに係止孔31aを形成してある。
【0038】
固定具50が螺合されるナット32は、前記実施形態の場合と同様の位置に設定してある。このため、補強ブラケット31に、別部材からなる延長ブラケット31cを接合して、この延長ブラケット31cにナット32を一体化してある。
【0039】
本実施形態では、表示装置20の取付け、取外しの際には、表示装置20は図11図12に示すように上方に変位させた待避位置とされる。この待避位置にある表示装置20を下方へ変位させた図13図14に示す状態が、使用位置とされる。勿論、この使用位置では、係止爪部22が係止孔31aに嵌合、係止される。
【0040】
ここで、係止爪部22に弱化部を形成すると共に、摺動部23および/またはガイドレール部46にも弱化部を形成しておくことができる。弱化部の形成により、前方衝突時に乗員の頭部が表示装置20の上端部に当接した際に、弱化部でもって係止爪部22が破断されると共に摺動部23のガイドレール部46に対する係合が解除されて、衝撃を緩和することができる。上記各弱化部は、例えばその基端部付近を薄肉部(例えば切欠部の形成による薄肉化)とすることにより形成する等、適宜の手法を採択することができる。
【0041】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。補強ブラケット31を有しないものであってもよく、この場合は、固定具50をインストルメントパネル10の基材11に固定したナット32に螺合させることができる。同様に、係止爪部22が嵌合、係止される係止孔を、基材11に形成することもできる。固定具としては、ボルトに限らず、タップねじを用いる等、適宜のものを採択し得る。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、インストルメントパネルに表示装置を取付ける車両に適用して好適である。
【符号の説明】
【0043】
10:インストルメントパネル
11:基材
12:発泡層
13:配設用凹部
13a:膨出部
14:挿通孔(係止爪部用)
15:挿通孔(固定具用)
20:表示装置
20a:表示面
21:連結用筒部
22:係止爪部
23:摺動部(図15
30:クロスカービーム
31:補強ブラケット
31a:係止孔(係止爪部用)
31b:挿通孔(固定具用)
32:ナット(固定具用)
40:取付部材
41:連結用筒部
42:連結ピン(揺動軸線)
43:ロックナット
44:挿通孔(係止爪部用)
45:挿通孔(固定具用)
46:ガイドレール部(図15
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15