特許第6948905号(P6948905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948905
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/04 20060101AFI20210930BHJP
   B60K 20/02 20060101ALN20210930BHJP
   G05G 1/00 20080401ALN20210930BHJP
【FI】
   F16B21/04 J
   !B60K20/02 A
   !G05G1/00 E
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-192014(P2017-192014)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-65968(P2019-65968A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 高志
【審査官】 児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05131785(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02071200(EP,A1)
【文献】 特開平05−231580(JP,A)
【文献】 米国特許第06955512(US,B2)
【文献】 米国特許第06125588(US,A)
【文献】 実開昭58−25811(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/00−20/08
F16B 21/00−21/20
F16C 1/00− 1/28
F16H 61/26−61/36
63/00−63/38
F16L 37/00−39/06
G05G 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの部材を連結する連結装置であって、
突起状の形状とされ、周方向に延びる溝部が形成された雄部と、
前記雄部を挿通可能とされた筒状部を備える雌部と、
少なくとも一部が前記溝部に対して嵌め込み可能とされた係止体と、
前記雌部を所定の方向に付勢可能とする弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、筒状の円筒部と、円筒部の一端を径方向に拡径させて形成されるフランジ部とを有し、
前記円筒部及び前記フランジ部が、前記雌部と前記雄部との間に介在しており、
前記係止体が、前記雌部に対して取り付けられるものであり、
前記二つの部材のうちの一方に前記雄部が設けられ、他方に前記雌部が設けられるものであり、
前記筒状部に前記雄部を挿通させる方向を第一の方向とし、前記第一の方向と交差する方向を第二の方向とした場合に、前記雄部を前記筒状部に挿通させた状態において、前記係止体の少なくとも一部を前記第二の方向から前記溝部に対して嵌め込み可能であり、
前記係止体の少なくとも一部が前記溝部に対して嵌め込まれた状態において、前記弾性部材の付勢力が前記第一の方向に作用し、前記係止体が前記溝部に対して前記第一の方向に位置決めされることを特徴とする連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトケーブル等の部材と、連結対象とされた部材とを連結する連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シフトケーブル等のコントロールケーブルと、シフトレバー等の連結対象部材とを連結しつつ、連結された2つの部材の一方が抜け落ちることを防止するための構造が提供されている。一般的に提供されている抜け落ち防止構造として、筒状の雌部材に対して凸状の雄部材を嵌め込み、これらの部材の間にゴム等の素材で構成されたブッシュを介在させるものが知られている。
【0003】
しかしながら、ゴム製のブッシュは環境変化に対するロバスト性が低く、高温等の環境下でゴムの劣化等、本来の機能を喪失する懸念がある。特に、近年では温度の高い海外の環境下での車両の使用を想定する必要も高く、環境変化に対する対策が求められている。
【0004】
また、連結装置の抜け落ち構造として、下記特許文献1には、シフトレバー側に設けられた円柱状のアウターレバーピンと、シフトケーブル側に設けられたケーブルエンドとを備え、アウターレバーピンに形成された円周溝にクリップを係止させる構成の連結具が開示されている。
【0005】
特許文献1の連結具は、クリップの突出部を押圧してクリップを変形させることによりクリップを円周溝から容易に取り外すことができる構成とされている。特許文献1の連結具は、円周溝にクリップが係止する構成により2部材を機械的に連結しつつ、取り外しの作業性を向上させている。また、特許文献1の連結具は、ゴム部材に依存しない抜け落ち構造として、ロバスト性の向上が見込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−9021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の連結具の構造では、線条体と円周溝との間の寸法差を「0」となるように加工することは非常に困難であり、円周溝と線条体との間には隙間が生じる。そのため、特許文献1の連結具は、車両の振動等により、円周溝と線条体との間にガタが生じ、異音が発生することが想定される。特に、車両の室内近傍に用いられる連結装置では、このようなガタによる異音の発生の問題が顕著となる。例えば、特許文献1の連結具をシフトケーブルとシフトレバーとの連結具として採用した場合、連結具のガタがシフトノブに伝達して、フィーリングが悪化することが想定される。
【0008】
そこで本発明は、抜け止め機能を備える連結装置において、環境変化に対するロバスト性を向上させ、かつ、ガタによる異音の発生を抑制することができる連結装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の連結装置は、二つの部材を連結する連結装置であって、突起状の形状とされ、周方向に延びる溝部が形成された雄部と、前記雄部を挿通可能とされた筒状部を備える雌部と、少なくとも一部が前記溝部に対して嵌め込み可能とされた係止体と、前記雌部を所定の方向に付勢可能とする弾性部材とを有し、前記弾性部材は、筒状の円筒部と、円筒部の一端を径方向に拡径させて形成されるフランジ部とを有し、前記円筒部及び前記フランジ部が、前記雌部と前記雄部との間に介在しており、前記係止体が、前記雌部に対して取り付けられるものであり、前記二つの部材のうちの一方に前記雄部が設けられ、他方に前記雌部が設けられるものであり、前記筒状部に前記雄部を挿通させる方向を第一の方向とし、前記第一の方向と交差する方向を第二の方向とした場合に、前記雄部を前記筒状部に挿通させた状態において、前記係止体の少なくとも一部を前記第二の方向から前記溝部に対して嵌め込み可能であり、前記係止体の少なくとも一部が前記溝部に対して嵌め込まれた状態において、前記弾性部材の付勢力が前記第一の方向に作用し、前記係止体が前記溝部に対して前記第一の方向に位置決めされることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の連結装置によれば、雄部を雌部に挿入させて溝部に係止体が嵌め込まれた状態(嵌合状態)において、弾性部材の付勢力により係止体が第一の方向に位置決めされる。言いかえれば、本発明の連結装置は、弾性部材の反力を係止体で受ける構成により、係止体が溝部において位置決めされる。これにより、雄部と雌部との抜け落ち構造において溝部と係止体との機械的な構造を採用しつつ、係止体を溝部において位置決めして両者の間にガタが発生することを抑制することができる。その結果、ゴムブッシュ等の抜け落ち構造を採用した場合に想定されるゴム等の劣化により本来の機能を喪失する懸念を払拭しつつ、機械的な構造に起因するガタの発生を抑制して異音の要因となることを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の連結装置によれば、弾性部材を介在させる位置を種々選択することにより、異音発生の要因となり得る部材の干渉を回避して、異音の発生を抑制することができる。例えば、連結対象とされた部材と雌部との間、あるいは雌部と雄部との間に弾性部材を介在させることにより、車両の振動に伴って上下方向や連結装置の径方向のガタにより異音が発生することを抑制する効果が期待できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、抜け止め機能を備える連結装置において、環境変化に対するロバスト性を向上させ、かつ、ガタによる異音の発生を抑制することができる連結装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の連結装置が用いられるシフトレバー及びシフトケーブルの一例を示す模式図である。
図2】本発明の連結装置を示す斜視図である。
図3図2の連結装置の雄部及びブッシュ(弾性部材)を示す断面図である。
図4図2の連結装置の雌部及び係止体を示す平面図である。
図5図2の連結装置の筒状部を示している。(a)は平面視における断面図、(b)は側面図である。
図6図2の連結装置の連結過程を示す断面図である。
図7】(a)は図2の連結装置の嵌合状態を示す断面図、(b)は図7(a)における要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る連結装置10について、図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、本発明は、連結装置に特徴を有するものであるが、以下の説明において、先ず本発明の連結装置が用いられるシフトケーブル2及びシフトレバー4の概要について説明を行い、次いで連結装置10についての説明を行う。
【0015】
≪変速装置の概要について≫
【0016】
図1は、車両用変速装置1のシフトケーブル2及びシフトレバー4を示す模式図である。車両用変速装置1は、いわゆるオートマチックトランスミッションである。車両用変速装置1は、トランスミッション3(図示を省略)と、車両の走行状態を切り換えるべく運転者によって操作されるシフトレバー4とを備える。シフトレバー4に対する操作は、シフトケーブル2を介してトランスミッション3に伝えられる。
【0017】
シフトレバー4は、運転者がシフトノブ5を前後方向に操作を行うことにより、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)のいずれかのレンジに位置させられる。トランスミッション3の駆動力の入力から出力までの状態は、シフトレバー4のレンジポジションに応じて、シフトケーブル2を介して機械的に切り換えられるようになっている。図1に示すとおり、連結装置10は、シフトケーブル2とシフトレバー4とを連結する連結部材として用いられる。
【0018】
≪連結装置について≫
次いで、連結装置10について、図面を参照しつつ説明する。上述のとおり、本実施形態では、連結装置10は、シフトケーブル2及びシフトレバー4の二つの部材を連結する連結部材として用いられる。
【0019】
図2に示すとおり、連結装置10は、ピン20(雄部)、ブッシュ30(弾性部材)、ケーブルエンド40(雌部)、スナップリング52(係止体)を有する。ピン20は、シフトレバー4に設けられる。ブッシュ30は、シフトレバー4に取り付けられる。ケーブルエンド40は、シフトケーブル2に設けられる。スナップリング52は、ケーブルエンド40に取り付けられる。
【0020】
なお、本実施形態では、ブッシュ30をシフトレバー4に対して取り付けた例を示したが、本発明の連結装置10は、ブッシュ30をシフトケーブル2に取り付けても良いし、あるいは別部材としてケーブルエンド40とピン20との間に配置する構成としてもよい。
【0021】
図2に示すとおり、連結装置10は、ピン20及びケーブルエンド40の軸線方向である第一方向Xに離間した状態のケーブルエンド40及びピン20を相互に近接させ、ケーブルエンド40に対してピン20を第一方向Xに挿通させることにより接続される。
【0022】
図2及び図3に示すとおり、ピン20(雄部)は、突起状の外観を有する。ピン20は、シフトレバー4から立設するように設けられる。ピン20は、円柱状の形状を有する円柱部22と、円柱部22から先端に向けて径方向に縮小するように形成されるテーパー部24とを有する。
【0023】
ピン20には、溝部26が形成される。溝部26は、円柱部22の軸線方向の中間に形成される。また、溝部26は、円柱部22の周方向に延び、径方向外側から内側へ凹状となるよう形成される。溝部26は、後述するスナップリング52の進入部54,55が進入可能な幅を有する。
【0024】
図2及び図3に示すとおり、ブッシュ30は、略L字状の断面形状を有し、環状に形成された部材である。ブッシュ30は、弾性力を有するゴムあるいは樹脂製の素材により構成される。本実施形態では、ブッシュ30としてゴム素材が採用されている。ブッシュ30は、弾性力を有する素材であるため、ケーブルエンド40を所定の方向に付勢可能である。ブッシュ30は、筒状の円筒部32と、円筒部32の一端を径方向に拡径させて形成されるフランジ部34とを有する。図3に示すとおり、円筒部32は、径方向の厚みがD2とされている。また、フランジ部34は、ブッシュ30の軸線方向の厚みがD1とされている。
【0025】
ブッシュ30は、上述のとおりピン20に取り付けられる。ブッシュ30は、ピン20の円柱部22の周壁を円筒部32が取り囲み、フランジ部34がシフトレバー4と接触するように配置される。
【0026】
図2に示すとおり、ケーブルエンド40は、シフトケーブル2の端部に設けられる。図2に示すとおり、ケーブルエンド40は、基台部42、筒状部44及び取付部50a,50bを備える。基台部42は、シフトケーブル2の延伸方向に延びるように形成される。筒状部44は、基台部42から立設するように形成される。ケーブルエンド40には、基台部42及び筒状部44を貫通する貫通孔46が形成される。取付部50a,50bは、後述するスナップリング52をケーブルエンド40に取り付けるために設けられている。取付部50a,50bには、スナップリング52の端部を挿入するための挿通孔51a,51bが形成されている。
【0027】
図2図4及び図5に示すとおり、筒状部44には、スリット48,49が設けられている。スリット48,49は、筒状部44の径方向(第二方向Y)の外側から内側へと向けて貫通孔46に到達するように形成される切り込みである。図4及び図5に示すとおり、スリット48,49は、筒状部44の周方向に延びるように形成され、筒状部44の径方向において向かい合うように配置される。また、スリット48,49は、ケーブルエンド40にピン20を挿通させた状態において、ピン20の溝部26と対向する位置に形成される。スリット48,49は、後に詳述するスナップリング52の進入部54,55が進退可能とされている。
【0028】
スナップリング52(係止体)は、ケーブルエンド40にピン20を挿通させた状態において溝部26に嵌め込まれて係止される。スナップリング52は、ケーブルエンド40とピン20との抜け落ちを抑制するために設けられる。図2及び図4に示すとおり、本実施形態では、スナップリング52は、弾性変形可能な1本の線条体52aを屈曲させて形成される。本実施形態のスナップリング52は、取付部50a,50bに対して取り付け、及び取り外し可能とされている。
【0029】
スナップリング52は、1本の線条体52aを屈曲させることにより、平面視において略U字状の形状に形成されたものである。スナップリング52は、一方の端部(基端部)が取付部50aの挿通孔51aに挿通され、他方の端部(他端部)が取付部50bの挿通孔51bに挿通されて、ケーブルエンド40に取り付けられている。スナップリング52は、一部が筒状部44を取り囲み、一部が筒状部44の内壁側に進入して所定の位置及び姿勢でケーブルエンド40において維持される。
【0030】
より具体的に説明すると、スナップリング52は、線条体52aがなす輪郭が第一方向Xと交差する方向(第二方向Y)に延びるように、ケーブルエンド40に取り付けられる。また、スナップリング52には、ケーブルエンド40のスリット48,49から貫通孔46まで進入して配置される進入部54,55が形成される。進入部54,55は、相互に向かい合うように形成される。進入部54はスリット48側に配置され、進入部55はスリット49側に配置される。すなわち、スナップリング52は、両端部がケーブルエンド40に対して取り付けられ、経路の中途において筒状部44の外側から内側へと一部が筒状部44の軸線方向と交差する方向から進入して配置される。進入部54,55は、相互に近接するように第二方向Yに付勢力を有する。なお、本実施形態では、弾性変形可能な線条体52aを屈曲させたスナップリング52の例を示したが、本発明の連結装置の係止体はこれに限定されない。例えば、スナップリング(係止体)は、弾性変形しない素材を所定の形状に形成されたものであってもよい。また、スナップリング(係止体)は、線条体を略U字状に屈曲させて形成されるものに限定されない。例えば、スナップリングは、環状、略矩形等、いかなる形状に形成されたものであってもよい。
【0031】
次いで、ピン20及びケーブルエンド40を接続させた状態について、図5等を参照しつつ説明する。
【0032】
図2に示すとおり、連結装置10を接続しようとする場合には、第一方向Xに離間した状態のケーブルエンド40及びピン20を相互に近接させ、ケーブルエンド40の貫通孔46に対してピン20を基台部42側から第一方向Xに挿通させる。連結装置10は、ケーブルエンド40にピン20を挿通させた状態において、接続された状態(接続状態)とされる。
【0033】
図6に示すとおり、ピン20をケーブルエンド40の貫通孔46に挿通させる過程において、貫通孔46に進入して配置されたスナップリング52の進入部54,55が、テーパー部24に押圧されて貫通孔46の径方向外側へと押し退けられる。ピン20がケーブルエンド40に対して挿通され、やがて溝部26とスリット48,49とが隣接する位置まで到達すると、スナップリング52の進入部54,55がテーパー部24の押圧から開放されてケーブルエンド40の径方向内側へと再び進入する。そして、スナップリング52の進入部54,55は、ケーブルエンド40の径方向内側に進入してピン20の溝部26に至り、ピン20の溝部26に対して嵌め込まれた状態(嵌合状態)となる(図7(a)参照)。
【0034】
なお、ピン20とケーブルエンド40とが接続される過程において、ブッシュ30のフランジ部34はつぶされるように圧縮され、嵌合状態においてフランジ部34は、厚みD1からD3へと圧縮される。
【0035】
スナップリング52は、嵌合状態において、溝部26により第一方向Xへの移動が規制される。これにより、スナップリング52と接続された基台部42が第一方向Xへの移動が規制されて、ピン20からケーブルエンド40が抜け落ちることを抑制する。このように、連結装置10は、スナップリング52を溝部26に嵌め込むことにより、抜け落ちを防止する機能を発揮させる。
【0036】
また、上述のとおり、ケーブルエンド40及びピン20が嵌合状態とされると、ブッシュ30のフランジ部34は、第一方向Xの厚みがD1からD3に圧縮されて第一方向Xに押圧された状態で保持される。これにより、ケーブルエンド40及びケーブルエンド40に取り付けられたスナップリング52は、フランジ部34の弾性力Fにより上方に付勢された状態となる(図7(b)参照)。そのため、溝部26に嵌め込まれたスナップリング52は、上方に付勢されて溝部26の上方面に接触した状態で位置決めされ、保持される。すなわち、図7(b)に示すとおり、嵌合状態において、溝部26の上方面とスナップリング52の進入部54,55との間は、寸法差Dzがほぼ「0」となる。
【0037】
言いかえれば、連結装置10は、ケーブルエンド40とピン20との組み付け時にフランジ部34を上下方向(第一方向X)に圧縮して潰すことにより、溝部26とスナップリング52との接触によりフランジ部34のゴム反力を受ける構造とされる。そのため、連結装置10は、車両に振動が加えられた場合でも、溝部26の上方面とスナップリング52の進入部54,55とが接触した状態(Dz≒0)が概ね維持される。これにより、連結装置10は、スナップリング52とピン20との間にガタが生じることに起因して異音が発生することを抑制することができる。
【0038】
また、図7(a)に示すとおり、接続状態において、筒状部44の内周面44aと、円柱部22の外周面22aとの間には、ブッシュ30の円筒部32が介在して、直接接触することを回避する。すなわち、ケーブルエンド40とピン20との間は、円筒部32の厚みD2により直接接触するこが回避され、所定の距離(寸法差Dy>0)が保持される。そのため、ケーブルエンド40とピン20とが径方向に接触することによる異音の発生を抑制することができる。
【0039】
さらに、図7(a)及び(b)に示すとおり、ケーブルエンド40の基台部42とシフトレバー4との間には、フランジ部34が配置される。そのため、ケーブルエンド40とシフトレバー4との間は、所定の距離(寸法差Dx>0)が保持される。そのため、ケーブルエンド40とシフトレバー4とが第一方向に接触することによる異音の発生を抑制することができる。
【0040】
このように、本発明の連結装置10は、抜け止めとしての機能をスナップリング52及び溝部26との嵌め込み構造によるものとして、抜け止め機能をゴム等によるものと比較して環境変化に対するロバスト性を高めている。また、本発明の連結装置10は、剛性を有する素材の接触構造により抜け止め機能を有するものとしたことに起因する異音の発生を、ブッシュ30を設けることにより抑制している。これにより、本発明の連結装置10は、環境変化に対するロバスト性の向上と、異音の発生を抑制するとの双方の課題の解決を実現している。
【0041】
以上、本発明の実施形態に係る連結装置10について説明したが、本発明の連結装置は、上述した実施形態に限定されない。
【0042】
具体的には、上述した実施形態では、連結装置10をシフトケーブル2とシフトレバー4とを連結するために用いられるものとした例を示したが、本発明の連結装置はセレクトケーブルとセレクトレバーとの連結に用いられるものであってもよい。また、本発明の連結装置は、シフトケーブル2とトランスミッション3とが連結される部分に用いられるものであってもよい。なお、本発明の連結装置は、異音が発生した場合に、特に乗員に聞こえやすい部分、例えば運転席に近い箇所に用いられることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の連結装置は、シフトケーブル等の部材と、連結対象とされた部材とを連結する部材として、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
2 シフトケーブル
4 シフトレバー
10 連結装置
20 ピン(雄部)
26 溝部
30 ブッシュ(弾性部材)
40 ケーブルエンド(雌部)
44 筒状部
X 第一方向(第一の方向)
Y 第二方向(第二の方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7