(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948953
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】血液ドナーの統一的登録および識別の方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20210930BHJP
【FI】
G06Q50/22
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-564540(P2017-564540)
(86)(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公表番号】特表2018-523213(P2018-523213A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】ES2016070428
(87)【国際公開番号】WO2016198713
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2019年1月30日
(31)【優先権主張番号】U201530667
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】ES
(31)【優先権主張番号】P201531611
(32)【優先日】2015年11月6日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】517429031
【氏名又は名称】コネクテイト ソリューション ワイ アプリケーション, エス.エル.ユー.
【氏名又は名称原語表記】CONECTATE SOLUCIONES Y APLICACIONES,S.L.U.
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラ カノ,ヌリア
(72)【発明者】
【氏名】ラトーレ ロペス,フェルナンド
【審査官】
加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−083064(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0142979(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0208611(US,A1)
【文献】
特開2009−135905(JP,A)
【文献】
特開平06−231145(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0004751(US,A1)
【文献】
特開2007−047856(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0297255(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0219826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) コンピュータアプリケーションが、ユーザによる操作またはドナーの血液を回収するセンターによる操作を受けて、転写不能なQR識別コードに情報として含まれる、内容を変更可能なドナープロファイル(血液型、献血日、献血量、献血場所、血液型不適合等)を作成する工程と、
ii) 前記コンピュータアプリケーションによる前記ドナープロファイルの作成に用いられた携帯用電子機器(モバイル端末、タブレット端末等)が、前記ドナープロファイルを自身へ蓄積する工程と、
iii) 別のセンターからアクセス可能な中央コンピュータシステムが、前記ドナープロファイルを別のセンターからアクセス可能なデータベースへ保存する工程と、を含む第一段階(A)と、
iv) 前記センターのそれぞれに備えられたコンピュータ装置または電子機器が、前記中央コンピュータシステムに接続して、前記ドナープロファイルの詳細へのアクセス用の前記転写不能なQR識別コードに含まれている、各ドナーに固有なものであると識別可能な情報を読み取ることで、ドナーを識別する工程と、
v) 前記中央コンピュータシステムが、前記QR識別コード内に含まれている情報から、何らかの問題(前回の献血から必要な時間が経過していない、病気が検知された等)があることを検知した場合、前記中央コンピュータシステムが、アラーム(視覚、音)を生成する工程と、
vi) 前記別のセンターからアクセス可能なデータベース内の前記ドナープロファイル(血液型、献血日、献血量、献血場所、血液型不適合等)を、前記中央コンピュータシステムが自動アップデートする工程と、を含む第二段階(B)と、を含み、
vii) 前記中央コンピュータシステムが、献血後に、検査室から分析結果に関する情報を自動入手し、前記別のセンターからアクセス可能なデータベースへ保存する工程と、
viii) 前記分析結果を参照可能になった際に、前記中央コンピュータシステムが、前記ユーザの携帯用電子機器に通知を送付する工程と、
ix)およびx) 前記中央コンピュータシステムが、別の医療センターから関連情報(通常の血液分析で発見された疾患等)を入手し、その入手情報を前記ドナープロファイルに自動的に組み込み、それを通知する工程と、を前記第二段階(B)にさらに含むことを特徴とする血液ドナーの統一的登録および識別の方法。
【請求項2】
i) コンピュータアプリケーションが、ユーザによる操作またはドナーの血液を回収するセンターによる操作を受けて、転写不能なQR識別コードに情報として含まれる、内容を変更可能なドナープロファイル(血液型、献血日、献血量、献血場所、血液型不適合等)を作成する工程と、
ii) 前記コンピュータアプリケーションによる前記ドナープロファイルの作成に用いられた携帯用電子機器(モバイル端末、タブレット端末等)が、前記ドナープロファイルを自身へ蓄積する工程と、
iii) 別のセンターからアクセス可能な中央コンピュータシステムが、前記ドナープロファイルを別のセンターからアクセス可能なデータベースへ保存する工程と、を含む第一段階(A)と、
iv) 前記センターのそれぞれに備えられたコンピュータ装置または電子機器が、前記中央コンピュータシステムに接続することで、前記ドナープロファイルの詳細へのアクセス用の前記転写不能なQR識別コードに含まれている各ドナーに固有なものであると識別可能な情報を読み取ることで、ドナーを識別する工程と、
v) 前記中央コンピュータシステムが、前記QR識別コード内に含まれている情報から、何らかの問題(前回の献血から必要な時間が経過していない、病気が検知された等)があることを検知した場合、前記中央コンピュータシステムが、アラーム(視覚、音)を生成する工程と、
vi) 前記別のセンターからアクセス可能なデータベース内の前記ドナープロファイル(血液型、献血日、献血量、献血場所、血液型不適合等)を、前記中央コンピュータシステムが自動アップデートする工程と、を含む第二段階(B)と、を含み、
前記i)において、前記ドナープロファイルが前記ユーザにより作成された場合、
xiii) 前記中央コンピュータシステムが、前記ユーザが自身のコンピュータアプリケーションにより入力したデータを検査室の分析結果と比較して信憑性のあるものかどうかを自動的にシステム検証する工程と、
xiv) 前記中央コンピュータシステムが、前記xiii)の工程で検証されたドナープロファイルの詳細を、検査室による確証データとして前記データベースへとアップデートする工程と、を前記第一段階(A)にさらに含むことを特徴とする血液ドナーの統一的登録および識別の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書の発明の名称にあるように、血液ドナーの統一的登録および識別方法に関するものであり、以下に詳しく説明する利点及び特徴を有し、現行の技術に改善をもたらすものである。
【0002】
本発明の目的は、特に、ドナーに関する情報交換の促進、および、データ保存リソースの細分化や分散防止の為、例えばある地域の全センターにおいて、血液ドナーの登録および識別を統一的におこなう事を目的とした方法に関するものであり、血液ドナーとしては、血漿、血小板あるいは赤血球のドナーを含むことを除外しない。その方法では、ドナーが、該地域の別のセンターからアクセス可能な中央コンピュータシステムのデータベースにデジタルレコードとして蓄積、保存された転写不能な識別コードに関連付けられ、そのドナーからのデータを用いてユーザがコンピュータアプリケーションにより携帯用電子機器(モバイル端末、タブレット端末等)を利用してユーザ自身でプロファイルを作成するか、あるいは、センターがコンピュータアプリケーションによりプロファイルを作成する。
[発明の応用分野]
【0003】
本発明の応用分野は、保健の分野である。特に、献血回収センターの分野であり、同時にデータ管理システムにも及んでいる。
【背景技術】
【0004】
周知のように、血液ドナーに関する情報は、血液型、年齢、献血の種類等に関連した各ドナーの特性から、事故の可能性、あるいは、渡航歴、病歴、その他の条件等、献血者が一時的ドナーとなるか永続的ドナーとなるかに変化をもたらす状況まで広範囲に渡り且つ多様である。
【0005】
一方、ドナーの血液を回収するセンターや病院からそうした情報を入手する共通の中央集中システムはこれまで存在しておらず、センターや病院のいくつかは、非常に簡潔な情報を含んだドナーカードを提供しているが、各センターは新規ドナーについて、情報を収集、確認しなければならない。
【0006】
本発明の目的は、前述の欠点を回避するため、ある地域の全センターにおいて迅速、且つ、実用的に識別可能である個別の転写不能な識別コードを開発し、ドナーがそのセンターあるいは別のセンターを訪問したことがあるかどうかにかかわらず識別することである。
【0007】
一方、現行技術では、様々な識別システムが存在するが、少なくとも出願人のものに代わる、本発明でクレームされた技術的、構成的特徴を有するシステムが知られていないことは周知である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[発明の詳細な説明]
本発明が提供するドナーの統一的登録、識別方法は、その実施により上記目的を満足のいく程度に達するので、その適用分野では新規性を有する構成である。本発明が提供するドナーの統一的登録および識別方法の特徴的な詳細は、明細書の最後にあるクレームにまとめられている。
【0009】
具体的には、本発明は上述のように、ある地域の全センターにおいてドナーの登録システムおよび識別を統一することを目的に考案された血液ドナーの登録、識別方法を提供するものであり、関連情報の交換を促進することを目的としている。
【0010】
そのため、血液ドナーの登録、識別方法は原則的に以下の工程を有する:
−転写不能な識別コードに関連付けられ、携帯用電子機器(モバイル端末、タブレット端末等)に蓄積され、別のセンターからアクセス可能なデータベースに保存された、ドナープロファイルを作成する工程
−ドナープロファイルへのアクセス用識別コードを利用した、センター内のシステムによるドナーの識別、問題が発生した際のアラーム生成、別のセンターによるデータベース内のドナープロファイルの自動アップデート
【0011】
任意ではあるが、以下を考慮することも可能である:
−分析結果の入手、データベースへの蓄積、分析結果を利用可能になった際のユーザへの通知
−別の関連医療センターからの関連情報の入手、ドナープロファイルへの組み込み
−献血ポイント近辺のユーザの存在検知およびユーザへの通知
−ドナープロファイルデータの正確性の検証およびアップデート
【0012】
詳細には、本発明の方法に従って作成された、各ドナーに固有であり、転写不能な識別コードは、任意ではあるが、携帯用電子機器(モバイル端末、タブレット端末等)を使用し、コンピュータアプリケーションを用いて作成されたQRコードから成り、少なくとも一連の文字群、または固有なものであると識別、区別可能なもの、および、ドナープロファイル情報(血液型、最後の献血日、血液型不適合等)を含み、作成後、別の全センターからアクセス可能な中央コンピュータ媒体のデータベースにデジタルレコードとして蓄積、保存される。
【0013】
ドナープロファイルに関連付られたコードは、ドナーが自身の電子機器を使用してアプリケーションソフトウェアを用いて自ら作成するか、1か所の献血センターが電子機器またはコンピュータにインストールされたアプリケーションを用いて作成する。
【0014】
コードの作成により、ちょうど、ドナーを識別することを目的に各センターにインストールされたコンピュータ装置または電子機器を中央コンピュータシステムに接続することで、各ドナープロファイルの詳細へのアクセス用の識別コードの識別文字を介して、ドナーを識別することが可能となる。
【0015】
献血された血液に何らかの問題がある場合(前回の献血から必要な時間が経過していない、病気が検知された、等)、中央情報システムは、コード内に含まれている情報からその問題を検知し、その状況に関連する人員に注意を喚起するアラーム(視覚、音)を生成する。
【0016】
さらに、作成されたコードに組み込まれた情報の内容は変更されても良いし、また、別のセンターからアクセス可能なデータベース内のデータにあるドナープロファイルは自動アップデートされても良い(献血日、献血量、献血場所)。
【0017】
任意ではあるが、中央コンピュータシステムは、各ユーザのコードを入手し、献血後に、その作成義務を有する検査室の分析結果と関連付けし、別のセンターからアクセス可能なデータベースに保存することができる。こうした追加情報は、全部または一部がコードに取り入れられ、自動的あるいは用途に応じた選択的方法で中央コンピュータシステムによりドナープロファイルに取り入れられる。
【0018】
さらに、分析結果を検索できるようになった際、コンピュータアプリケーションは、ユーザの電子機器に通知を送付することができる。
【0019】
任意ではあるが、コンピュータシステムは、例えば、通常の血液分析で病気が発見された等、献血に関連した情報を別の関連する医療センターから入手し、その情報をドナープロファイルへ組み入れることができる。
【0020】
また、任意ではあるが、コンピュータシステムは、作成されたコードにより、あるポイントにいるか、またはその時点で営業中の献血センター近くにいるユーザ(行動範囲内)の存在を自動検知することが可能であり、また、ユーザの携帯用電子機器を通じて近くのセンターで献血が可能であることをユーザに示す通知を作成することが可能である。
【0021】
コードを含んだドナープロファイルがドナー自身によって作成された場合、任意ではあるが、コンピュータシステムは、作成義務のある検査室の分析結果を入手し、繰り返し献血を行うドナーのプロファイルの詳細データを確証データとしてアップデートした後、入力されたデータを信憑性のあるものとして確証することができる。
【0022】
上述したコードの統一的な登録、ドナーの識別は、その意図する目的のために、これまで知られていない特徴的な対象物から成り、その実用性と併せて、排他的特権を得るのに十分であり、またそれを求めるものである。
[図面の説明]
【0023】
明細書の内容の補足、本発明の特徴のより良い理解のため、本明細書はその一部として、以下のものが例示的且つ非限定的文字を用いて図示された平面図を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明に基づくコードの動作体系を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面および図面内の符号により、プロセスが基本的に以下の段階、工程を含むことが示されている。
【0026】
第一段階(A):
i) ユーザまたはセンターにより、転写不能な識別コードに関連付けられたドナープロファイル(血液型、最後の献血日、血液型不適合等)を作成する工程
ii) プロファイルを携帯用電子機器(モバイル端末、タブレット端末等)へ蓄積する工程
iii) プロファイルを別のセンターからアクセス可能なデータベースへ保存する工程
【0027】
第二段階(B):
iv) センターで実行されるシステムにより、ドナープロファイルの詳細へのアクセス用の転写不能の識別コードを介して、ドナーを識別する工程
v) 何らかの問題(前回の献血から必要な時間が経過していない、病気が検知された、等)がある場合、アラーム(視覚、音)を生成する工程
vi) 別のセンターからアクセス可能なデータベース内のドナープロファイル(献血日、献血量、献血場所)を自動アップデートする工程
【0028】
さらに、任意ではあるが、使用段階では以下の工程を含む:
vii) 作成義務のある検査室の分析結果を入手し、別のセンターからアクセス可能なデータベースへ保存する工程
viii) 分析結果を利用可能になった際に、ユーザの電子機器に通知を送付する工程
任意ではあるが、以下の工程も含む:
ix) 別の関連する医療センターから関連情報(通常の血液検査での病気の発見)を入手する工程
x) その関連情報をドナープロファイルへ組み混む工程
xi) その時点で利用可能な献血ポイント近くにいるユーザ(行動範囲内)の存在を自動検知する工程
xii) ユーザの近くにあるセンターで献血が可能であることをユーザに示す通知を作成する工程
【0029】
最後に、ドナープロファイルがユーザによって作成された場合、任意ではあるが、以下の工程も含む。
xiii) 作成義務のある検査室の分析結果を入手した後、入力されたデータを信憑性のあるものとして確証する工程
xiv) ドナープロファイルの詳細データを確証データとしてアップデートする工程
【0030】
本発明を実施する形態とあわせて本発明の本質をこれまで十分に説明しており、本発明は、その本質の範囲内であり権利範囲が及ぶ範囲内であれば、基本原理を変化、変更、修正していなければ、例示的に示した形態と異なる形態で実際には実施されても良いということができ、当該分野のあらゆる当業者が発明の範囲と利点を理解する程度にさらに詳細に説明する必要性はないと考えられる。