特許第6948976号(P6948976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948976
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】浴槽洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20210930BHJP
【FI】
   A47K3/00 Q
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-71609(P2018-71609)
(22)【出願日】2018年4月3日
(65)【公開番号】特開2019-180540(P2019-180540A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2020年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三鬼 拓也
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−104305(JP,A)
【文献】 特開2018−57522(JP,A)
【文献】 特開2007−117163(JP,A)
【文献】 特開2009−172079(JP,A)
【文献】 特開平10−314056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の内側面に洗浄液と水を噴射可能な噴射装置と、
制御装置と、を備えている浴槽洗浄システムであって、
第1洗浄工程および第2洗浄工程を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、前記第1洗浄工程および前記第2洗浄工程では、前記噴射装置によって前記浴槽の内側面に洗浄液を噴射する洗浄液噴射工程と、洗浄液噴射工程から所定時間経過後に前記噴射装置によって前記浴槽の内側面に水を噴射する水噴射工程と、を実行し、
前記第1洗浄工程における前記所定時間が、前記第2洗浄工程における前記所定時間より短いことを特徴とする、浴槽洗浄システム。
【請求項2】
前記第1洗浄工程における前記所定時間が、1秒以下である、請求項1に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項3】
前記第2洗浄工程における前記所定時間が、30秒以上である、請求項1または2に記載の浴槽洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、浴槽洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に浴槽洗浄システムが開示されている。特許文献1の浴槽洗浄システムは、浴槽と、浴槽の内側面に洗浄液と水を噴射可能な噴射装置とを備えている。この浴槽洗浄システムは、噴射装置によって浴槽の内側面に洗浄液を噴射する洗浄液噴射工程と、洗浄液噴射工程の後に洗浄液と水を噴射せずに所定の待機時間待機する待機工程と、待機工程の後に噴射装置によって浴槽の内側面に水を噴射する水噴射工程とを実行可能に構成されている。この構成によって、浴槽の内側面に付着している汚れを洗い流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−039605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に浴槽洗浄システムでは、浴槽の内側面に髪の毛が付着している場合に、その髪の毛をうまく洗い流すことができないことがあった。その原因は、待機工程における所定の待機時間が長すぎることによって、浴槽の内側面に噴射された洗浄液が浴槽の内側面に付着している髪の毛から離れてしまい、洗浄液が髪の毛に絡みついた状態のまま水で洗い流すことができないからであると考えられる。そこで、本明細書では、浴槽の内側面に付着している髪の毛を良好に洗い流すことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する浴槽洗浄システムは、浴槽と、前記浴槽の内側面に洗浄液と水を噴射可能な噴射装置と、制御装置とを備えている。この浴槽洗浄システムは、第1洗浄工程および第2洗浄工程を実行可能に構成されている。前記制御装置は、前記第1洗浄工程および前記第2洗浄工程では、前記噴射装置によって前記浴槽の内側面に洗浄液を噴射する洗浄液噴射工程と、洗浄液噴射工程から所定時間経過後に前記噴射装置によって前記浴槽の内側面に水を噴射する水噴射工程と、を実行する。前記第1洗浄工程における前記所定時間が、前記第2洗浄工程における前記所定時間より短いことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、第1洗浄工程における洗浄液噴射工程から水噴射工程までの所定時間が短いので、浴槽の内側面に噴射された洗浄液が浴槽の内側面に付着している髪の毛に絡みついた後、すぐに浴槽の内側面に水が噴射されるので、洗浄液が絡みついた髪の毛を水で洗い流すことができる。なお、第1洗浄工程における所定時間には0(ゼロ)秒も含まれる。また、第2洗浄工程における洗浄液噴射工程から水噴射工程までの所定時間が第1洗浄工程の場合よりも長いので、浴槽の内側面に噴射された洗浄液が浴槽の内側面に付着している皮脂汚れに浸透する。その後に浴槽の内側面に水が噴射されるので、皮脂汚れを良好に洗い流すことができる。
【0007】
上記の浴槽洗浄システムにおいて、前記第1洗浄工程における前記所定時間が1秒以下であってもよい。
【0008】
この構成によれば、浴槽の内側面に付着している髪の毛を良好に洗い流すことができる。
【0009】
上記の浴槽洗浄システムにおいて、前記第2洗浄工程における前記所定時間が30秒以上であってもよい。
【0010】
この構成によれば、浴槽の内側面に付着している皮脂汚れを良好に洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例に係る浴槽洗浄システムの構成を模式的に示す図である。
図2】実施例に係る浴槽洗浄運転のタイムチャートである。
図3】試験1の試験結果を示す図である。
図4】試験2の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例に係る浴槽洗浄システム2の構成について説明する。実施例に係る浴槽洗浄システム2は、例えば介護施設(図示省略)に設置されている。図1に示すように、浴槽洗浄システム2は、浴槽20を備えている。
【0013】
浴槽20は、湯を貯えることができる。浴槽20では、浴槽洗浄システム2のユーザが入浴をすることができる。例えば介護施設の入所者が浴槽20で入浴をする。浴槽20は、例えばFRP(繊維強化プラスチック)やステンレスから形成されている。浴槽20は、底面21と、上面23と、内側面22とを備えている。
【0014】
浴槽20の底面21は、横方向に延びている。底面21には、排水口24が形成されている。この排水口24は、浴槽20の内側面22の近傍に形成されている。排水口24には、排水栓25が設けられている。排水栓25は、排水口24を開閉する。排水栓25が閉状態になると、排水口24が閉鎖され、浴槽20に湯を貯えることができる。排水栓25が開状態になると、排水口24が開放され、浴槽20に貯えられている湯が排水口24から排水される。
【0015】
また、浴槽20の底面21には、ノズル26(噴射装置の一例)が取り付けられている。このノズル26は、底面21の横方向の中央部に配置されている。ノズル26は、浴槽20を洗浄するための洗浄液と洗浄水を噴射可能に構成されている。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から内側面22に向けて洗浄液を噴射する。同様に、ノズル26は、内側面22に向けて洗浄水を噴射する。ノズル26には、後述する洗浄水路46が接続されている。洗浄水路46を通じてノズル26に洗浄液と洗浄水が供給される。
【0016】
浴槽20の上面23は、横方向に延びている。上面23は、浴槽20に貯えられる湯の水面より上に位置している。
【0017】
浴槽20の内側面22は、縦方向に延びている。内側面22は、底面21と上面23の間に形成されている。浴槽洗浄システム2のユーザが浴槽20を使用すると、浴槽20の内側面22に汚れが付着することがある。例えば、介護施設の入所者が浴槽20で入浴をすることによって、浴槽20の内側面22に汚れが付着することがある。例えば、浴槽20の内側面22に皮脂汚れが付着する。皮脂汚れは、ユーザの皮脂に由来する汚れである。また、浴槽20の内側面22にユーザの髪の毛が付着する。
【0018】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、給湯路41と、給水路42と、混合路43とを備えている。
【0019】
給湯路41の上流端部は、図示省略する給湯源に接続されている。給湯源から給湯路41に湯が供給されている。給湯路41の下流端部は、混合路43の上流端部に接続されている。給湯路41は、給湯源から供給された湯を混合路43に供給する。
【0020】
給湯路41には、給湯サーボ51が設けられている。給湯サーボ51は、給湯路41を開閉して、給湯路41を流れる湯の流量を調整する。給湯サーボ51の開度が調整されると、給湯路41を流れる湯の流量が調整される。
【0021】
また、給湯路41には、湯量センサ61と湯温サーミスタ71が設けられている。湯量センサ61は、給湯路41を流れる湯の流量を検出する。湯温サーミスタ71は、給湯路41を流れる湯の温度を検出する。給湯路41を流れる湯の温度は、例えば55℃である。
【0022】
給水路42は、給湯路41と並列で配置されている。給水路42の上流端部は、図示省略する給水源に接続されている。給水源から給水路42に水が供給されている。給水路42の下流端部は、混合路43の上流端部に接続されている。給水路42は、給水源から供給された水を混合路43に供給する。
【0023】
給水路42には、給水サーボ52が設けられている。給水サーボ52は、給水路42を開閉して、給水路42を流れる水の流量を調整する。給水サーボ52の開度が調整されると、給水路42を流れる水の流量が調整される。
【0024】
また、給水路42には、水量センサ62と水温サーミスタ72が設けられている。水量センサ62は、給水路42を流れる水の流量を検出する。水温サーミスタ72は、給水路42を流れる水の温度を検出する。給水路42を流れる水の温度は、例えば15℃である。
【0025】
混合路43は、給湯路41及び給水路42と直列に配置されている。混合路43では、給湯路41を流れた湯と給水路42を流れた水とが合流する。これによって、湯と水が混合される。上述した給湯サーボ51と給水サーボ52の開度が調整されることによって、混合路43で混合される湯と水の混合割合が調整される。
【0026】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、湯はり路44と、貯水路45と、貯水タンク31と、洗浄水路46と、排水路47とを備えている。
【0027】
湯はり路44の上流端部は、混合路43の下流端部に接続されている。湯はり路44の下流端部には、湯はり口49が形成されている。湯はり口49は、浴槽20に向けて開口している。湯はり口49は、浴槽20の上面23より上側において浴槽20の内側に向けて開口している。湯はり路44は、混合路43で混合された湯を浴槽20に供給する。湯はり口49から浴槽20に湯が供給される。
【0028】
湯はり路44には、湯はり弁53が設けられている。湯はり弁53は、湯はり路44を開閉する。湯はり弁53が開状態になると、湯はり路44が開放され、湯はり路44を通じて浴槽20に湯が供給される。湯はり弁53が閉状態になると、湯はり路44が閉鎖され、浴槽20に湯が供給されなくなる。
【0029】
また、湯はり路44には、湯はりサーミスタ73が設けられている。湯はりサーミスタ73は、湯はり路44を流れる湯の温度を検出する。湯はりサーミスタ73は、混合路43で湯と水が混合された後の湯の温度を検出する。
【0030】
貯水路45は、湯はり路44と並列で配置されている。貯水路45の上流端部は、混合路43の下流端部に接続されている。貯水路45の下流端部は、貯水タンク31に接続されている。貯水路45は、混合路43で湯と水が混合された後の湯を貯水タンク31に供給する。貯水タンク31は、貯水路45によって供給された湯を貯える。なお、上述した給湯サーボ51が閉状態である場合は、給湯路41から混合路43に湯が供給されない。そのため、この場合は、混合路43で湯と水が混合されず、給水路42によって供給された水が、混合路43と貯水路45を通じて貯水タンク31に供給される。貯水タンク31は、貯水路45によって供給された水を貯える。以下では、貯水タンク31に貯えられている湯(または水)を洗浄水という。
【0031】
貯水路45には、貯水弁54が設けられている。貯水弁54は、貯水路45を開閉する。貯水弁54が開状態になると、貯水路45が開放され、貯水路45を通じて貯水タンク31に湯(または水)が供給される。貯水弁54が閉状態になると、貯水路45が閉鎖され、貯水タンク31に湯(または水)が供給されなくなる。
【0032】
また、貯水路45には、貯水サーミスタ74が設けられている。貯水サーミスタ74は、貯水路45を流れる湯(または水)の温度を検出する。貯水サーミスタ74は、混合路43で湯と水が混合された後の湯(または水)の温度を検出する。
【0033】
洗浄水路46は、貯水タンク31と浴槽20の間に配置されている。洗浄水路46の上流端部は、貯水タンク31の底部に接続されている。洗浄水路46の下流端部は、浴槽20に取り付けられているノズル26に接続されている。洗浄水路46は、貯水タンク31に貯えられている洗浄水をノズル26に供給する。
【0034】
洗浄水路46には、ポンプ32が設けられている。ポンプ32は、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水を圧送する。また、洗浄水路46には、洗浄水弁55が設けられている。洗浄水弁55は、洗浄水路46を開閉する。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46が開放され、洗浄水路46を通じてノズル26に洗浄水が供給される。洗浄水弁55が閉状態になると、洗浄水路46が閉鎖され、ノズル26に洗浄水が供給されなくなる。また、洗浄水路46には、混合器33が設けられている。混合器33については後述する。
【0035】
排水路47は、洗浄水路46と並列で配置されている。排水路47の上流端部は、貯水タンク31の上部側面に接続されている。排水路47は、貯水路45の接続箇所より下側において貯水タンク31に接続されている。排水路47の下流端部には、出口48が形成されている。排水路47は、貯水タンク31に貯えられている余分な洗浄水を外部に排水する。出口48から洗浄水が排水される。
【0036】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、洗剤タンク12と洗剤路13を更に備えている。洗剤タンク12は、浴槽20を洗浄するための液体の洗剤を貯えている。洗剤タンク12は、洗浄水路46に設けられている混合器33より上側に配置されている。
【0037】
洗剤路13の上流端部は、洗剤タンク12の底部に接続されている。洗剤路13の下流端部は、混合器33に接続されている。洗剤路13は、混合器33より上側に配置されている。洗剤路13は、洗剤タンク12に貯えられている洗剤を混合器33に供給する。混合器33はベンチュリとなっており、洗浄水路46に洗浄水が流れることによって、洗剤タンク12に貯えられている洗剤が、洗剤路13を通じて、混合器33に導入される。混合器33に供給された洗剤は、洗浄水路46を流れる洗浄水と合流する。洗浄水と洗剤が混合器33で混合されて洗浄液が生成される。洗浄液は、浴槽20を洗浄するための洗剤と洗浄水が混合された液体である。生成された洗浄液は、洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。
【0038】
洗剤路13には、第1洗剤弁14aと第2洗剤弁14bが設けられている。以下では、第1洗剤弁14aと第2洗剤弁14bをまとめて洗剤弁14という。洗剤弁14は、洗剤路13を開閉する。洗剤弁14が開状態になると、洗剤路13が開放され、洗剤路13を通じて混合器33に洗剤が供給される。混合器33で洗剤と洗浄水が混合される。この場合は、洗剤と洗浄水が混合された洗浄液が洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。一方、洗剤路13が閉状態になると、洗剤路13が閉鎖され、洗剤路13を通じて混合器33に洗剤が供給されなくなる。そのため、混合器33で洗剤と洗浄水が混合されない。この場合は、洗浄水のみが洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。
【0039】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、リモコン200と制御装置100を備えている。リモコン200には、各種のボタンが設けられている。例えば、リモコン200には、湯はりボタン201と、浴槽洗浄ボタン202と、温度ボタン203とが設けられている。湯はりボタン201は、浴槽20に湯はりをするためのボタンである。浴槽洗浄ボタン202は、浴槽20を洗浄するためのボタンである。温度ボタン203は、湯はり設定温度を設定するためボタンである。湯はり設定温度は、浴槽20に湯はりをするときに浴槽20に供給される湯の温度である。湯はり設定温度は、ユーザによって設定される。
【0040】
制御装置100は、CPUとメモリ(図示省略)を備えている。制御装置100は、浴槽洗浄システム2の動作を制御する。制御の詳細については後述する。
【0041】
次に、上記の浴槽洗浄システム2の動作について説明する。上記の浴槽洗浄システム2では、湯はり運転と浴槽洗浄運転を実行可能である。
【0042】
(湯はり運転)
まず、湯はり運転について説明する。湯はり運転は、浴槽20に湯はりをする運転である。上記の浴槽洗浄システム2では、ユーザがリモコン200の湯はりボタン201を押すと、湯はり指示信号がリモコン200から制御装置100に送信される。例えば、浴槽洗浄システム2が設置されている介護施設の介護士が、リモコン200の湯はりボタン201を押すと、湯はり指示信号が制御装置100に送信される。
【0043】
制御装置100は、湯はり指示信号を受信すると、給湯サーボ51の開度と給水サーボ52の開度を調整する。給湯サーボ51の開度が調整されると、給湯路41を流れる湯の流量が調整される。また、給水サーボ52の開度が調整されると、給水路42を流れる水の流量が調整される。
【0044】
給湯路41を流れる湯と、給水路42を流れる水とは、混合路43で混合される。制御装置100は、給湯サーボ51の開度と給水サーボ52の開度を調整することによって、混合路43で混合される湯と水の流量を調整する。すなわち、制御装置100は、湯と水の混合割合を調整する。制御装置100は、混合路43で混合された後の湯の温度が湯はり設定温度になるように、湯と水の混合割合(すなわち、給湯サーボ51の開度と給水サーボ52の開度)を調整する。制御装置100は、湯はりサーミスタ73の検出温度が湯はり設定温度になるように、湯と水の混合割合を調整する。
【0045】
また、制御装置100は、湯はり指示信号を受信すると、湯はり路44に設けられている湯はり弁53を開状態にする。湯はり弁53が開状態になると、湯はり路44を通じて湯が流れるようになる。そうすると、混合路43で混合された後の湯が、湯はり路44を通じて浴槽20に供給される。このようにして湯はりが行われる。
【0046】
湯はりが行われた後に、浴槽洗浄システム2のユーザが浴槽20を使用すると、浴槽20の内側面22に汚れが付着することがある。例えば、介護施設の入所者が浴槽20で入浴をすることによって、浴槽20の内側面22に汚れが付着することがある。より詳細には、介護施設の入所者が浴槽20で入浴をした後に、浴槽20内の湯を排水すると、浴槽20の内側面22に皮脂汚れが付着することがある。また、浴槽20の内側面22に髪の毛が付着することがある。
【0047】
(浴槽洗浄運転)
次に、浴槽洗浄運転について説明する。浴槽洗浄運転は、浴槽20を洗浄する運転である。上記の浴槽洗浄システム2では、ユーザがリモコン200の浴槽洗浄ボタン202を押すと、洗浄指示信号がリモコン200から制御装置100に送信される。例えば、浴槽洗浄システム2が設置されている介護施設の介護士が、リモコン200の浴槽洗浄ボタン202を押すと、洗浄指示信号が制御装置100に送信される。制御装置100は、洗浄指示信号を受信すると、図2に示すように、1回の事前工程N1と、1回の第1洗浄工程R1と、1回の中間工程N2と、複数回の第2洗浄工程R2と、1回の事後工程N3を実行する。
【0048】
制御装置100は、まず事前工程N1を実行する。事前工程N1では、水噴射工程Wが実行される。事前工程N1では、制御装置100が、洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46を通じて洗浄水が流れるようになる。また、事前工程N1では、制御装置100が、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。洗浄水路46を流れる洗浄水が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。ノズル26に圧送された洗浄水は、ノズル26から浴槽20の内側面22に向けて噴射される。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から内側面22に向けて洗浄水を噴射する。事前工程N1における洗浄水の噴射時間は、例えば5秒である。
【0049】
続いて制御装置100は、第1洗浄工程R1を実行する。第1洗浄工程R1では、制御装置100が、洗浄液噴射工程Vと、待機工程Xと、水噴射工程Wとを実行する。制御装置100は、まず洗浄液噴射工程Vを実行する。洗浄液噴射工程Vは、浴槽20の内側面22に洗浄液を噴射する工程である。洗浄液噴射工程Vでは、制御装置100が、洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。洗浄水弁55が開状態になると、貯水タンク31に貯えられている洗浄水が、洗浄水路46を通じて流れるようになる。また、洗浄液噴射工程Vでは、制御装置100が、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。洗浄水路46を流れる洗浄水が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。
【0050】
また、洗浄液噴射工程Vでは、制御装置100が、洗剤路13に設けられている洗剤弁14を開状態にする。洗剤弁14が開状態になると、洗剤路13を通じて洗剤が流れるようになる。そうすると、洗剤タンク12に貯えられていた洗剤が、洗剤路13を通じて洗浄水路46に供給される。洗浄水路46に供給された洗剤が、洗浄水路46を流れる洗浄水と合流する。これによって、洗浄水と洗剤が混合されて洗浄液が生成される。生成された洗浄液は、洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。ノズル26に供給された洗浄液は、ノズル26から浴槽20の内側面22に向けて噴射される。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から内側面22に向けて洗浄液を噴射する。ノズル26から噴射された洗浄液は、浴槽20の内側面22に付着する。浴槽20の内側面22に付着した洗浄液は、その内側面22に付着しているユーザの髪の毛に絡みつく。第1洗浄工程R1の洗浄液噴射工程Vにおける洗浄液の噴射時間は、例えば1秒である。
【0051】
続いて制御装置100は、待機工程Xを実行する。第1洗浄工程R1では、制御装置100が、上述した洗浄液噴射工程Vの後に待機工程Xを実行する。待機工程Xは、洗浄液と水を噴射せずに待機する工程である。待機工程Xは、上述した洗浄液噴射工程Vと後述する水噴射工程Wとの間に実行される。待機工程Xでは、制御装置100が、洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を閉状態にする。また、制御装置100は、洗浄水路46に設けられているポンプ32を停止させる。また、制御装置100は、洗剤路13に設けられている洗剤弁14を閉状態にする。待機工程Xでは、ノズル26から洗浄液と洗浄水が噴射されなくなる。第1洗浄工程R1の待機工程Xにおける待機時間は、1秒以下である。第1洗浄工程R1の待機工程Xにおける待機時間は、例えば0.5秒である。
【0052】
続いて制御装置100は、水噴射工程Wを実行する。第1洗浄工程R1では、制御装置100が、上述した待機工程Xを実行した後に水噴射工程Wを実行する。水噴射工程Wは、浴槽20の内側面22に洗浄水を噴射する工程である。水噴射工程Wでは、制御装置100が、洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46を通じて洗浄水が流れるようになる。また、水噴射工程Wでは、制御装置100が、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。洗浄水路46を流れる洗浄水が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。ノズル26に圧送された洗浄水は、ノズル26から浴槽20の内側面22に向けて噴射される。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から内側面22に向けて洗浄水を噴射する。ノズル26から噴射された洗浄水は、浴槽20の内側面22に付着している洗浄液を洗い流す。そのときに、洗浄液が絡みついている髪の毛が洗い流される。第1洗浄工程R1の水噴射工程Wにおける洗浄水の噴射時間は、例えば1秒である。
【0053】
続いて制御装置100は、中間工程N2を実行する。中間工程N2では、制御装置100は、第1水噴射工程W1と、待機工程Xと、第2水噴射工程W2とを実行する。待機工程Xについては、上述した第1洗浄工程R1の待機工程Xと同様であるので詳細な説明を省略する。また、第1水噴射工程W1と第2水噴射工程W2についても、上述した第1洗浄工程R1の水噴射工程Wと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0054】
中間工程N2の待機工程Xにおける待機時間は、第1洗浄工程R1の待機工程Xにおける待機時間より長い。中間工程N2の待機工程Xにおける待機時間は、例えば5秒である。
【0055】
中間工程N2の第1水噴射工程W1における洗浄水の噴射時間は、例えば33秒である。制御装置100は、上述した第1洗浄工程R1の水噴射工程Wと、中間工程N2の第1水噴射工程W1とを、両者の間に待機時間を設けずに連続して実行する。なお、第1洗浄工程R1の水噴射工程Wと、中間工程N2の第1水噴射工程W1との間に待機時間を設けてもよい。中間工程N2の第2水噴射工程W2における洗浄水の噴射時間は、例えば2秒である。
【0056】
続いて制御装置100は、複数回(本実施例では2回)の第2洗浄工程R2を実行する。各第2洗浄工程R2では、制御装置100は、上述した第1洗浄工程R1と同様に、洗浄液噴射工程Vと、待機工程Xと、水噴射工程Wとを実行する。洗浄液噴射工程Vと待機工程Xと水噴射工程Wについては、上述した第1洗浄工程R1の洗浄液噴射工程Vと待機工程Xと水噴射工程Wと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0057】
第2洗浄工程R2の洗浄液噴射工程Vでは、ノズル26から噴射された洗浄液が浴槽20の内側面22に付着する。浴槽20の内側面22に付着した洗浄液は、その内側面22に付着している皮脂汚れに絡みつく。第2洗浄工程R2の洗浄液噴射工程Vにおける洗浄液の噴射時間は、例えば1秒である。
【0058】
第2洗浄工程R2の待機工程Xにおける待機時間は、第1洗浄工程R1の待機工程Xにおける待機時間より長い。第2洗浄工程R2の待機工程Xにおける待機時間は、30秒以上である。第2洗浄工程R2の待機工程Xにおける待機時間は、例えば40秒である。第2洗浄工程R2の待機工程Xでは、待機時間が長いので、浴槽20の内側面22に付着している皮脂汚れに洗浄液が浸透する。
【0059】
第2洗浄工程R2の水噴射工程Wでは、ノズル26から噴射された洗浄水が、浴槽20の内側面22に付着している洗浄液を洗い流す。そのときに、洗浄液が絡みついている皮脂汚れが洗い流される。第2洗浄工程R2の水噴射工程Wにおける洗浄水の噴射時間は、例えば2秒である。
【0060】
続いて制御装置100は、事後工程N3を実行する。事後工程N3では、制御装置100は、水噴射工程Wを実行する。水噴射工程Wについては、上述した第1洗浄工程R1の水噴射工程Wと同様であるので詳細な説明を省略する。事後工程N3の水噴射工程Wにおける洗浄水の噴射時間は、例えば90秒である。制御装置100は、上述した第2洗浄工程R2の水噴射工程Wと、事後工程N3の水噴射工程Wとを、両者の間に待機時間を設けずに連続して実行する。なお、第2洗浄工程R2の水噴射工程Wと、事後工程N3の水噴射工程Wとの間に待機時間を設けてもよい。
【0061】
以上、実施例に係る浴槽洗浄システム2について説明した。上述したように、浴槽洗浄システム2は、浴槽20と、浴槽20の内側面22に洗浄液と洗浄水を噴射可能なノズル26と、制御装置100とを備えている。浴槽洗浄システム2は、第1洗浄工程R1および第2洗浄工程R2を実行可能に構成されている。制御装置100は、第1洗浄工程R1および第2洗浄工程R2では、ノズル26によって浴槽20の内側面22に洗浄液を噴射する洗浄液噴射工程Vと、洗浄液噴射工程Vから所定の待機時間経過後にノズル26によって浴槽20の内側面22に洗浄水を噴射する水噴射工程Wとを実行する。この浴槽洗浄システム2では、第1洗浄工程R1における所定の待機時間が、第2洗浄工程R2における所定の待機時間より短い。
【0062】
この構成によれば、第1洗浄工程R1における洗浄液噴射工程Vから水噴射工程Wまでの所定の待機時間が短いので、ノズル26によって浴槽20の内側面22に噴射された洗浄液が浴槽20の内側面22に付着している髪の毛に絡みついた後、すぐに水噴射工程Wで浴槽20の内側面22に洗浄水が噴射される。そのため、洗浄液が絡みついた髪の毛を洗浄水で良好に洗い流すことができる。また、第2洗浄工程R2における洗浄液噴射工程Vから水噴射工程Wまでの所定の待機時間が第1洗浄工程R1の場合よりも長いので、ノズル26によって浴槽20の内側面22に噴射された洗浄液が浴槽20の内側面22に付着している皮脂汚れに浸透する。その後に水噴射工程Wで浴槽20の内側面22に洗浄水が噴射されるので、皮脂汚れを良好に洗い流すことができる。
【0063】
また、制御装置100が第1洗浄工程R1の後に第2洗浄工程R2を実行しているので、第2洗浄工程R2で浴槽20の内側面22に付着している皮脂汚れを洗い流す際に、第1洗浄工程R1で洗い落としきれなかった髪の毛を洗い流すことができる。そのため、浴槽20の内側面22に付着している髪の毛を、より良好に洗い流すことができる。すなわち、上記の構成では、ノズル26から浴槽20の内側面22に向けて噴射された洗浄液と洗浄水が、浴槽20の内側面22に沿って下方に流下すると共に、浴槽20の底面21に沿って排水口24まで流れて排水口24から排出される。したがって、浴槽20の内側面22に向けて噴射された洗浄液と洗浄水の量は、内側面22の下部の位置や底面21の位置ほど多くなり、排水口24に近い位置ほど更に多くなる。上記の構成では、第1洗浄工程R1で噴射された洗浄液と洗浄水によって、髪の毛が浴槽20の内側面22に沿って、内側面22の上部の位置から流れ落ちる。第1洗浄工程R1で髪の毛が完全に洗い流されなかったとしても、髪の毛が浴槽20の内側面22の下部の位置や底面21まで流れ落ちた場合には、内側面22の上部の位置よりも多くの洗浄液と洗浄水が第1洗浄工程R1の後の第2洗浄工程R2で髪の毛に作用することによって、残された髪の毛が洗い流される。このように、第1洗浄工程R1と第2洗浄工程R2の組み合わせによって、浴槽20の内側面22に付着している髪の毛をより良好に洗い流すことができる。
【0064】
また、上記の浴槽洗浄システム2では、第1洗浄工程R1の待機工程Xにおける所定の待機時間が1秒以下である。そのため、浴槽20の内側面22に付着している髪の毛を良好に洗い流すことができる。これについては後述する試験1で試験結果を示す。
【0065】
また、上記の浴槽洗浄システム2では、第2洗浄工程R2の待機工程Xにおける所定の待機時間が30秒以上である。そのため、浴槽20の内側面22に付着している皮脂汚れを良好に洗い流すことができる。これについては後述する試験2で試験結果を示す。
【0066】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0067】
上記の実施例では、制御装置100が第1洗浄工程R1の洗浄液噴射工程Vと水噴射工程Wとの間に待機工程Xを実行していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、制御装置100が第1洗浄工程R1の待機工程Xを実行しなくてもよい。すなわち、第1洗浄工程R1の洗浄液噴射工程Vから水噴射工程Wまでの所定の待機時間が0(ゼロ)秒であってもよい。
【0068】
上記の実施例では、制御装置100が、第1洗浄工程R1の後に第2洗浄工程R2を実行していたが、他の実施例では、第1洗浄工程R1の前に第2洗浄工程R2を実行してもよい。
【0069】
上記の実施例では、制御装置100が複数回(上記の実施例では2回)の第2洗浄工程R2を実行していたが、他の実施例では、第2洗浄工程R2が1回のみであってもよい。
【0070】
上記の実施例では、浴槽洗浄システム2が湯はり路44を備えており、浴槽20に湯はりをすることができる構成であったが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、浴槽洗浄システム2が湯はり路44を備えていなくてもよい。
【0071】
上記の実施例では、洗浄水路46にポンプ32が設けられており、ポンプ32が洗浄水を圧送していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、洗浄水路46が水道に接続されており、洗浄水が水道から供給されてもよい。この場合は、ポンプ32は不要である。
【0072】
次に、上記の浴槽洗浄システム2に関する試験について説明する。
【0073】
(試験1)
試験1では、浴槽洗浄システム2の浴槽20の上面23より6cm下の位置の内側面22に25本の髪の毛が付着している状態で、制御装置100が、上記の事前工程N1と、第1洗浄工程R1と、中間工程N2の一部とを実行した。制御装置100は、第1洗浄工程R1では、洗浄液噴射工程Vと、洗浄液噴射工程Vの後の待機工程Xと、待機工程Xの後の水噴射工程Wとを実行し、中間工程N2では第1水噴射工程W1を実行した。
【0074】
洗浄液噴射工程Vでは、洗浄液の流量を5L/minとした。また、洗浄液噴射工程Vでは、浴槽20の内側面22に向けて洗浄液を噴射した。待機工程Xでは、待機時間を、0秒、0.5秒、1秒、2秒、及び3秒とした。水噴射工程Wおよび第1水噴射工程W1では、水の流量を5L/minとした。また、水噴射工程Wおよび第1水噴射工程W1では、浴槽20の内側面22に向けて洗浄水を噴射した。なお、事前工程N1では、洗浄水の噴射時間を5秒とした。また、第1洗浄工程R1の洗浄液噴射工程Vでは、洗浄液の噴射時間を1秒とした。第1洗浄工程R1の水噴射工程Wでは、洗浄水の噴射時間を1秒とした。中間工程N2の第1水噴射工程W1では、洗浄水の噴射時間を33秒とした。
【0075】
第1水噴射工程W1が終了した後に、浴槽20の内側面22から洗い流された髪の毛の本数の割合を求めた。試験1の試験結果を図3に示す。図3に示すように、待機工程Xでの待機時間が1秒以下である場合は、浴槽20の内側面22に付着していた25本の髪の毛に対して、50%以上の髪の毛が浴槽20の内側面22から洗い流された。具体的には、待機時間が1秒である場合は、52%(13本)の髪の毛が浴槽20の内側面22から洗い流された。また、待機時間が0.5秒である場合は、72%(18本)の髪の毛が浴槽20の内側面22から洗い流された。また、待機時間が0秒である場合は、84%(21本)の髪の毛が浴槽20の内側面22から洗い流された。
【0076】
一方、待機時間が1秒より長い場合は、浴槽20の内側面22に付着していた25本の髪の毛に対して、50%未満の髪の毛しか浴槽20の内側面22から洗い流されなかった。具体的には、待機時間が2秒である場合は、32%(8本)の髪の毛しか浴槽20の内側面22から洗い流されなかった。また、待機時間が3秒である場合は、24%(6本)の髪の毛しか浴槽20の内側面22から洗い流されなかった。
【0077】
以上の試験結果から、待機工程Xでの待機時間が1秒以下である場合は、浴槽20の内側面22に付着している髪の毛を良好に洗い流すことができることが確認できた。
【0078】
(試験2)
試験2では、浴槽洗浄システム2の浴槽20の内側面22に擬似的な皮脂汚れが付着している状態で、制御装置100が、上記の中間工程N2と、2回の第2洗浄工程R2と、事後工程N3とを実行した。制御装置100は、各第2洗浄工程R2では、洗浄液噴射工程Vと、洗浄液噴射工程Vの後の待機工程Xと、待機工程Xの後の水噴射工程Wとを実行した。擬似的な皮脂汚れは、赤色のインクで着色された油とした。
【0079】
各第2洗浄工程R2の洗浄液噴射工程Vでは、洗浄液の流量を5L/minとした。また、各第2洗浄工程R2の洗浄液噴射工程Vでは、浴槽20の内側面22に向けて洗浄液を噴射した。各第2洗浄工程R2の待機工程Xでは、待機時間を、10秒、20秒、30秒、40秒、及び50秒とした。各第2洗浄工程R2の水噴射工程Wでは、水の流量を5L/minとした。また、各第2洗浄工程R2の水噴射工程Wでは、浴槽20の内側面22に向けて洗浄水を噴射した。なお、中間工程N2の第1水噴射工程W1では、洗浄水の噴射時間を40秒とした。中間工程N2の待機工程Xでは、待機時間を5秒とした。中間工程N2の第2水噴射工程W2では、洗浄水の噴射時間を2秒とした。各第2洗浄工程R2の洗浄液噴射工程Vでは、洗浄液の噴射時間を1秒とした。各第2洗浄工程R2の水噴射工程Wでは、洗浄水の噴射時間を2秒とした。事後工程N3では、洗浄水の噴射時間を90秒とした。
【0080】
水噴射工程Wが終了した後に、浴槽20の上面23より6cm下の位置の内側面22に付着している擬似的な皮脂汚れの度合を測定した。すなわち、水噴射工程Wで洗い流されずに浴槽20の内側面22に残存している擬似的な皮脂汚れの度合を測定した。試験2では、試験後における浴槽20の内側面22の色彩値によって擬似的な皮脂汚れの度合を測定した。赤色に着色された油の残存量が多いほど色彩値が大きくなる。より詳細には、赤色に着色された油の残存量が多いほどL*a*b*表色系におけるa*が大きくなる。a*は、例えばJIS Z 8781−4:2013によって測定することができる。試験2の試験結果を図4に示す。図4に示すように、待機工程Xでの待機時間が30秒以上である場合は、浴槽20の内側面22に付着していた擬似的な皮脂汚れが良好に洗い流された。具体的には、待機時間が30秒である場合は、試験後のa*は−0.04であった。また、待機時間が40秒である場合は、試験後のa*は−0.06であった。また、待機時間が60秒である場合は、試験後のa*は−0.12であった。
【0081】
一方、待機時間が30秒未満である場合は、浴槽20の内側面22に付着していた擬似的な皮脂汚れが良好に洗い流されなかった。具体的には、待機時間が20秒である場合は、試験後のa*は+0.15であった。また、待機時間が10秒である場合は、試験後のa*は+0.26であった。
【0082】
以上の試験結果から、待機工程Xでの待機時間が30秒以上である場合は、浴槽20の内側面22に付着している皮脂汚れを良好に洗い流すことができることが確認できた。
【0083】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0084】
2:浴槽洗浄システム、12:洗剤タンク、13:洗剤路、14:洗剤弁、14a:第1洗剤弁、14b:第2洗剤弁、20:浴槽、21:底面、22:内側面、23:上面、24:排水口、25:排水栓、26:ノズル、31:貯水タンク、32:ポンプ、33:混合器、41:給湯路、42:給水路、43:混合路、44:湯はり路、45:貯水路、46:洗浄水路、47:排水路、48:出口、49:湯はり口、51:給湯サーボ、52:給水サーボ、53:湯はり弁、54:貯水弁、55:洗浄水弁、61:湯量センサ、62:水量センサ、71:湯温サーミスタ、72:水温サーミスタ、73:湯はりサーミスタ、74:貯水サーミスタ、100:制御装置、200:リモコン、201:湯はりボタン、202:浴槽洗浄ボタン、203:温度ボタン
図1
図2
図3
図4