(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カートリッジ保持器(10)が、前記針ハブ(30)に設けられた螺旋トラック(35)に係合するラジアル突起(12)を備える、請求項2に記載の充填済みの注射ペン。
前記螺旋トラック(35)内で前記ラジアル突起(12)が動くのにともなって、前記針ハブ(30)が、前記カートリッジ(20)に係合して、前記カートリッジ(20)を前記近位方向に動かす、請求項3に記載の充填済みの注射ペン。
前記針ハブ(30)が前記軸方向可動シールド(70)と同時に回転するように、前記軸方向可動シールド(70)が前記針ハブ(30)を動作させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の充填済みの注射ペン。
前記取り外し可能なキャップ(60)が、前記ハウジング組立体(1、10)に設けられた突起(4)に係合する螺旋キャップトラック(63)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の充填済みの注射ペン。
前記取り外し可能なキャップ(60)の回転が前記軸方向可動シールド(70)の回転に伝達されるように、前記取り外し可能なキャップ(60)が前記軸方向可動シールド(70)に係合する、請求項1から6のいずれか一項に記載の充填済みの注射ペン。
前記軸方向可動シールド(70)が回転させられたときに前記近位方向に動くように、前記第1の突起(71)が前記カートリッジ保持器(10)の前記螺旋フランジ(14)に係合する、請求項2に従属する請求項9に記載の充填済みの注射ペン。
前記軸方向可動シールド(70)の回転時に前記長手スリット(73)が前記ハウジング組立体(1、10)の前記内リブ(5)と位置合わせされることにより、前記軸方向可動シールド(70)の伸縮する動きを可能にする、請求項13に記載の充填済みの注射ペン。
前記針ハブ(30)が前記ハウジング組立体(1、10)にロックされ、前記針ハブ(30)が、弁(52)が前記軸方向可動シールド(70)の回転に追従するのを防止されるように、前記弁(52)に係合する長手リブ(59)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の充填済みの注射ペン。
【発明の概要】
【0009】
カートリッジへの針カニューレの挿入を簡略化するとともに、針カニューレの軸方向の動きを単純かつ確実な手法で軸方向可動シールドの動きに結び付ける注射デバイスを提供することが本発明の目的である。
【0010】
したがって、本発明の概括的な態様において、液剤の複数の設定用量を割り当てるための充填済みの注射ペンは、以下を備える。
【0011】
−注射ペンの外側限界を一緒に形成する1つまたは複数の部品から作られたハウジング組立体。ハウジング組立体は、ハウジング組立体に対して回転可能な取り外し可能なキャップを遠位側に支持する。ハウジング組立体は、さらに、注射ペンから液剤を送り出すために使用されるピストンロッド駆動システムを封止する。取り外し可能なキャップは、好ましくは、注射間にハウジング組立体の遠位部を覆い且つ保護する。
−ハウジング組立体に永久的に組み込まれた、および、保存剤含有液剤を収容する内部を含む交換不能なカートリッジ。カートリッジの内部は、遠位隔壁と可動プランジャとの間に位置し、プランジャが、ピストンロッド駆動システム、またはピストンロッド駆動システムの少なくとも1つのピストンロッドに当接する。投与中、ピストンロッドが遠位方向に動くことにより、カートリッジの内側において遠位側にプランジャを動かす。
−針ハブに固定された針カニューレであって、針カニューレが、遠位先端を含む遠位端、近位端、および遠位端と近位端との間にあるルーメンを含む、針カニューレ。
−軸方向可動シールドが少なくとも針カニューレの遠位先端を覆う或いはシールドする展開位置から、少なくとも針カニューレの遠位先端が露出される収縮位置まで動かされる軸方向可動シールドであって、軸方向可動シールドが、ある量の保存剤含有液剤を中に収容するための洗浄チャンバを具備する、軸方向可動シールド。
【0012】
本発明によると、取り外し可能なキャップがハウジング組立体に対して回転させられたとき、針ハブがハウジング組立体に対して回転するように、針ハブが取り外し可能なキャップの回転に追従するように構成される。しかし、針ハブと取り外し可能なキャップとの回転速度は異なり得、回転をもたらす係合は、直接的な手法と間接的な手法との両方の多くの手法で実現され得る。1つの特定の例において、軸方向可動シールドは、取り外し可能なキャップと針ハブとの間に存在する。取り外し可能なキャップの回転中、つまりは針ハブの回転中、取り外し可能なキャップの回転時に針ハブが近位方向に動かされるように、針ハブは、さらにハウジング組立体に対して螺旋状に案内される。軸方向可動シールドと針ハブとが互いに係合し、洗浄チャンバを具備する軸方向可動シールドが回転の動きまたは直線状の動きにより針ハブの近位方向の動きに追従するように、針シールドが針ハブにより動作させられる。
【0013】
カートリッジに針カニューレの近位端を挿入するために、針ハブが螺旋状に動かされるとき、洗浄チャンバを具備する針シールドが針ハブにより動くように動作させられるので、遠位先端が軸方向に動かされていても洗浄チャンバの内側に維持されるように、針シールドが少なくとも軸方向において針ハブの動きに追従する。
【0014】
以前の解決策では、針ハブがある螺旋トラック内を案内され、シールドが異なる螺旋トラック内を案内されるが、この仕組みは、針ハブおよびシールドが近位方向に移動するときに、洗浄チャンバの内側に針カニューレの遠位先端を維持するために、これらの螺旋トラックが位置合わせされる必要があるので、このような解決策を複雑なものにする。
【0015】
しかし、螺旋状の動きを針ハブのみに制限して、軸方向可動シールドが針ハブにより単に近位方向に動作させられるようにすることにより、非常に単純かつ確実な解決策が提供される。上述の点で、非常に単純な解決策は、軸方向可動シールドを針ハブの近位方向の動きに追従させるために、針ハブが軸方向可動シールドに係合する例えばフックなどの係合手段を含むように、単に軸方向可動シールドを針ハブに対するスレーブにすることである。
【0016】
上述の点で、針カニューレの遠位先端を「覆う或いはシールドする」ことは、軸方向可動シールドが少なくとも針カニューレの最遠位先端まで延びることを意味する。軸方向可動シールドの遠位面は当然に、針カニューレの遠位先端が注射中に露出されるための開口部を含む。さらに、軸方向可動シールドは、複数の部品から作られ得る。1つの部品は、例えば、したがって針カニューレの遠位端を覆う部品であり得る洗浄チャンバを具備する洗浄ユニットであり得る。軸方向に可動であることは、軸方向可動シールドが中心線Xに沿ってペンの長手方向に動くことを意味する。軸方向可動シールドは、好ましくは、ハウジング組立体の中に、または外に伸縮する。
【0017】
一例において、ハウジング組立体の部品であるカートリッジ保持器は、カートリッジ保持器に設けられた1つまたは複数の好ましくはラジアル突起を含む。針ハブがハウジング組立体に対して回転させられたときに螺旋状にねじ込まれるように、これらの突起が、針ハブに設けられた1つまたは複数の螺旋トラックに係合する。ハウジング組立体に螺旋トラックを設け、針ハブに突起を設けることも可能である。
【0018】
針ハブが近位方向に螺旋状に回転させられたとき、針ハブがカートリッジに係合して、カートリッジをさらに近位方向に動かす。この目的のために、針ハブは、好ましくは、近位方向にカートリッジを押すために、カートリッジの遠位上部に係合する多くの足または他の軸方向延長部を備える。しかし、係合は、カートリッジの任意の物理的部分を相手にするものであり得る。
【0019】
多くの場合に医薬産業において使用されるような液剤のためのカートリッジは通常、遠位端に設けられた貫通可能な隔壁を含む。この隔壁は通常、カートリッジの遠位端までロール状にされた、圧力をかけられた、または折り畳まれた金属スカートにより固定される。
【0020】
一例において、針ハブにおける軸方向延長部は、この金属スカートの遠位端に当接して、近位方向にカートリッジを動かす。
【0021】
さらに、カートリッジの内側の可動プランジャは、ピストンロッドシステムにもたれかかっており、ピストンロッド足を含むか、または含まないピストンロッドが、プランジャに当接する。ピストンロッドが近位方向に動くことが防止されるので、カートリッジ自体が近位方向に動かされるとき、カートリッジの内側において圧力が高められる。この圧力の高まりに起因して、所定の量の保存剤含有液剤が、針カニューレのルーメンを通して軸方向可動シールドに具備された洗浄チャンバ内に送られる。
【0022】
軸方向可動シールドは、好ましくは、軸に交差する断面内において、取り外し可能なキャップと針ハブとの間に配置される。一例において、針ハブが軸方向可動シールドと同時に回転するように、軸方向可動シールドが針ハブに係合する。
【0023】
取り外し可能なキャップを回転させて、ハウジング組立体から取り外し可能なキャップを搭載および/または除去することを目的として、取り外し可能なキャップは、好ましくは、ハウジング組立体に設けられた突起に係合する螺旋キャップトラックを備える。本例において、任意の数のトラックおよび突起が設けられ得る。突起は、好ましくは、ハウジング組立体から半径方向に延びている。しかし、運動学的に逆も成り立つことが自明であるので、突起が、取り外し可能なキャップの内側に設けられ、トラックがハウジング組立体に設けられ得る。さらに、取り外し可能なキャップは、搭載されたとき、ハウジング組立体の一部分をカバーするだけである。取り外し可能なキャップにより覆われた一部分は通常、針カニューレを具備するハウジング組立体の一部分または端部、すなわち遠位部である。
【0024】
注射デバイスの通常の操作は、ユーザーが注射を実施する前に取り外し可能なキャップを取り外すこと、注射後に注射デバイスに取り外し可能なキャップを搭載することを要求する。取り外し可能なキャップは、単一の部品としてモールド成形されるか、または、取り外し可能なキャップとして調和して動作するように永久的に互いに接続された2つ以上の部品から製造され得る。取り外し可能なキャップは通常、注射間に注射デバイスの遠位部を覆い得、当然、注射デバイスを多かれ少なかれ覆う。シャツのポケット内において取り外し可能なキャップとともに注射デバイスを具備するためのクリップを、取り外し可能なキャップに設けることも通常考えられる。
【0025】
さらなる一例において、取り外し可能なキャップの回転が、軸方向可動シールドの回転に伝達されるように、取り外し可能なキャップが軸方向可動シールドに係合する。回転運動は、好ましくは、互いに当接するリブ間における係合を介して伝達される。
【0026】
ユーザーがハウジングに対して取り外し可能なキャップを回転させると、この回転は、軸方向可動シールドの回転に伝達され、続いて、針ハブの回転に伝達されることにより、針ハブがハウジング組立体に対して近位方向に螺旋状にねじ込まれ、結果的に、針カニューレの近位部がカートリッジの隔壁を通して、カートリッジの内部に挿入されることにより、保存剤含有液剤が針カニューレのルーメンを通って流れ得る。
【0027】
注射を実施する前に、液体システムを通気させることが重要である。これは、好ましくは、少なくとも針カニューレの遠位先端が洗浄チャンバの遠位隔壁を通して貫通させられるように、軸方向可動シールドを近位方向における所定の距離だけ動かすことにより行われる。針カニューレの遠位先端が洗浄チャンバの遠位隔壁を通してちょうど貫通させられて、洗浄チャンバのすぐ外側に配置されたとき、カートリッジの内側における圧力が周辺の圧力に一致する。
【0028】
軸方向可動シールドを小さな距離だけ退避させて、遠位先端が洗浄チャンバから外に貫通することを可能にするために、ハウジング組立体、好ましくはカートリッジ保持器またはハウジング組立体の他の部品が軸方向可動シールドを案内し得る螺旋フランジを備え、軸方向可動シールドは、その目的のために、第1の突起を備える。
【0029】
シールドがユーザーにより回転させられたとき、この第1の突起がカートリッジ保持器における螺旋フランジに係合することにより、螺旋状の動きの際に、軸方向可動シールドが近位方向に動く。
【0030】
さらに、軸方向可動シールドから針ハブに回転運動を伝えるために、第2の突起が設けられる。しかし、このような回転運動は、また、例えば針ハブがシールドの回転に追従するように、軸方向可動シールドと針ハブとの間に摩擦を設けることにより、代替的手法により伝達され得る。
【0031】
一例において、ユーザーが取り外し可能なキャップを回転させ、続いて、軸方向可動シールドを回転させ、この回転は、好ましくは、リブまたは針ハブにおける他の表面に係合する、およびリブまたは針ハブにおける他の表面を駆動するシールドの内面における第2の突起との間の係合により、針ハブの回転に伝達される。
【0032】
さらなる一例において、軸方向可動シールドの内側における第2の突起は、針ハブに設けられたラジアルトラック内を回転しながら案内される。このラジアルトラックは、針ハブおよび軸方向可動シールドが互いに対して回転することを可能にするが、軸方向可動シールドを結合して、針ハブが近位方向に動くときに針ハブと一緒に近位方向に平行移動させる。ラジアルトラックは、好ましくは、ラジアルトラックから第2の突起が逃げることを可能にすることにより、針ハブの動きからシールドの軸方向の動きを切り離す開口部を備える。
【0033】
さらなる一例において、軸方向可動シールドが長手スリットを備え、ハウジング組立体が内リブを備える。この長手スリットとリブとが位置合わせされていないときは、軸方向可動シールドを近位方向に動かすことができない。しかし、軸方向可動シールドの回転時に、長手スリットがハウジング組立体の内リブと位置合わせされ得、したがって、軸方向可動シールドの伸縮する動きを可能にする。
【0034】
ユーザーが軸方向可動シールドを手動で回転させたとき、軸方向可動シールドが近位方向に動かされると同時に、長手スリットがハウジングの内リブと位置合わせされるように、軸方向可動シールドの内側における第1の突起が、ハウジング組立体の螺旋フランジに沿って移動する。したがって、針カニューレの遠位先端が洗浄チャンバの前の位置に運ばれて、液体システムを通気し、軸方向可動シールドがロック解除され、注射を実施する準備が整った位置に配置される。
【0035】
ユーザーは、以後、シールドトリガー式注射デバイスから一般的に知られるように、軸方向可動シールドを皮膚に対して押し付けることにより、自動的に注射を実施し得る。カートリッジから液剤を送り出すために必要な力は、好ましくはばねエンジンにより送達される。
【0036】
説明される始動工程において、洗浄チャンバがカートリッジからの液剤で充填されるとき、洗浄チャンバの内側に収容された空気は、充填中に洗浄チャンバから逃げることができるようにされなければならない。さらに、異なる許容量を適用することが、場合によっては、洗浄チャンバ内に充填される体積を洗浄チャンバの容積より大きくする。したがって、洗浄チャンバの内側に過大な圧力を生成せずに、洗浄チャンバをあふれるほど満たすことを可能にすることがさらに望ましい。
【0037】
したがって、洗浄チャンバは開口部を備え、開口部を通して空気および液体が充填中に流れ得、開口部は、洗浄チャンバが充填された後に封止される。
【0038】
この開口部を閉じることを目的として弁が設けられる。この弁は、洗浄チャンバの充填中に開くが、洗浄チャンバが充填された後は永久的に閉じられる。洗浄チャンバの充填後に弁を閉じるために、針ハブは、弁に係合する長手リブを備える。
【0039】
始動工程中、針ハブがハウジング組立体に対してロック状態になる位置まで、針ハブが回転させられる。針ハブがロック状態になって固定された後、洗浄チャンバを具備するシールドの継続した回転がさらに、シールドおよび洗浄チャンバと一緒に弁を回転させる。しかし、この時点でロック状態になって固定された針ハブとの係合に起因して、シールドと洗浄チャンバとのみが弁に対して回転することにより弁を閉位置に遷移させるように、実際に弁が回転することが防止される。このような弁は、WO2017/050694においてさらに詳細に説明される。
【0040】
定義:
「注射ペン」は典型的には、筆記用のペンにある程度類似した長円形または長尺形状をとる注射装置である。このようなペンは通常、管状の断面をもつが、三角形、長方形、もしくは正方形、またはこれらの形状に近い任意の別形状などの異なる断面を容易にもち得る。
【0041】
「針カニューレ」という用語は、注射中に皮膚の貫通を実施する実際の管を説明するために使用される。針カニューレは通常、例えばステンレス鋼などの金属材料から作られ、好ましくは、針ハブに接続されて、完全な注射針を形成するが、針カニューレは、また、針ハブを使用せずにハウジング構造体に直接接続され得る。しかし、針カニューレは、また、ポリマー材料またはガラス物質から作られ得る。
【0042】
本明細書において使用される場合、「薬剤」という用語は、液体、溶液、ゲル、または微細な懸濁液などの、制御された手法で中空針などの送達手段を通されることが可能な任意の薬剤を含有した流動性の薬を包含することが意図される。代表的な薬剤として、薬剤品、例えば、ペプチド、タンパク質(例えばインシュリン、インシュリン類似体、およびC−ペプチド)、およびホルモン、生物学的に誘導された製剤または活性な製剤、ホルモンおよび遺伝子に基づく製剤、栄養調製粉乳、ならびに固体(調剤された)または液体の両方の形態における他の物質が挙げられる。
【0043】
「カートリッジ」は、薬剤を実際に収容する容器を説明するために使用される用語である。カートリッジは通常、ガラスから作られるが、さらに、任意の適切なポリマーからモールド成形され得る。カートリッジまたはアンプルは、好ましくは、例えば針カニューレの非患者側の端部により穿孔され得る「隔壁」と呼ばれる穿孔可能膜により一端部において封止される。このような隔壁は通常、自己封止し、このことは、針カニューレが隔壁から取り外された後、貫通中に生成された開口部が内在する弾性により自動的に封止されることを意味する。反対側端部は典型的には、ゴムまたは適切なポリマーから作られたプランジャまたはピストンにより閉じられる。プランジャまたはピストンは、カートリッジの内側において滑動可能に動かされ得る。穿孔可能膜と可動プランジャとの間の空間が薬剤を保持し、プランジャが薬剤を保持する空間の容積を小さくしたとき、薬剤が押し出される。しかし、硬質または可撓性の任意の種類の容器が、薬剤を収容するために使用され得る。
【0044】
「洗浄チャンバ」は、本説明において広く、後続の注射間に少なくとも針カニューレの遠位先端を洗浄する洗浄溶媒を収容する任意の種類のリザーバであることが意図される。このような洗浄チャンバは、好ましくは遠位と近位との両方において穿孔可能隔壁により封止される。しかし、近位の隔壁は、針カニューレの外面を封止する任意の種類の封止により置換され得る。洗浄チャンバの遠位隔壁および近位隔壁または封止は、洗浄溶媒を収容する閉じ込め範囲を画定し、洗浄溶媒は、好ましい実施形態において、特定の注射デバイスにおいて使用される液剤に含有される保存剤と同一である。最も好ましい解決策では、同じ保存剤含有液剤が注射デバイスの洗浄チャンバ内とカートリッジ内との両方に存在することにより、カートリッジの内側における保存剤含有薬剤の汚染を防ぐ。
【0045】
カートリッジは通常、プランジャを動かしてその中に入れることができない、狭くなった遠位くびれ部を含むので、カートリッジの内側に収容された液剤のすべてが実際に吐出されるわけではない。「初期量」または「実質的に使用される」という用語は、したがって、カートリッジに収容された注射可能な収容量を表すので、収容量全体を表すとは限らない。
【0046】
「充填済みの」注射デバイスという用語は、注射デバイスの永久的な破壊をともなわずにカートリッジが取り外されることができないように、液剤を収容したカートリッジが注射デバイスに永久的に組み込まれた注射デバイスを意味する。カートリッジ内における所定の量の液剤が使用された後、ユーザーは通常、注射デバイス全体を捨てる。これは、カートリッジが空になるたびに、ユーザー自身が液剤を収容したカートリッジを交換し得る「耐久性のある」注射デバイスと対照的である。充填済みの注射デバイスは通常、2つ以上の注射デバイスを収容したパッケージとして販売されるのに対し、耐久性のある注射デバイスは通常1つずつ販売される。充填済みの注射デバイスを使用する場合、平均的なユーザーが1年当たり50個から100個もの数の注射デバイスを必要とし得るのに対し、耐久性のある注射デバイスを使用する場合、1つの単一の注射デバイスは何年にもわたってもちこたえ得るが、平均的なユーザーは1年当たり50個から100個の新しいカートリッジを必要とする。
【0047】
注射デバイスとの関連において「自動」という用語を使用することは、注射デバイスのユーザーが投与中に薬剤を吐出するために必要な力を送達することなく、注射デバイスが注射を実施することができることを意味する。力は典型的には、電動モーターにより、またはばねの駆動により自動的に送達される。ばねの駆動のためのばねは通常、用量設定中にユーザーにより引っ張られるが、このようなばねは通常、非常に少ない用量を送達する問題を避けるために予め引っ張られる。代替的に、ばねは、投与数が多くても薬剤カートリッジ全体を空にするのに十分な予め与えられる負荷を使用して、製造業者により予め完全に負荷を与えられてもよい。典型的には、ユーザーは、注射デバイスの例えば近位端にある、例えばボタンの形態のラッチ機構を作動させて、注射を行うときに、ばねに蓄積された力を完全に、または部分的に解放する。
【0048】
本説明において使用される「永久的に接続された」という用語は、本出願においてカートリッジおよびハウジング組立体として具現化される部品が、分離されるためにツールの使用を必要とし、部品が分離された場合、分離によって部品のうちの少なくとも1つに永久的に損傷を与えることを意味することが意図される。
【0049】
本明細書において引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれるように個々に、および明示的に記載されること、および、各参考文献の全体が本明細書に記載されることと同程度に、全体として参照により組み込まれる。
【0050】
すべての見出しおよび小見出しは、本明細書においては単なる便宜のために使用され、決して本発明を限定するように構成されてはならない。
【0051】
任意の、およびすべての例、または本明細書において提供される例示的な表現(例えば、「などの」)の使用は、本発明をより適切に明らかにすることを意図されるにすぎず、そうでないことが特許請求の範囲に記載されない限り、本発明の範囲に対する限定を提示しない。本明細書におけるどの表現も、何らかの特許請求の範囲に記載されていない要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されてはならない。本明細書への特許文献の引用および組み込みは、単に便宜的になされるのであり、このような特許文献の有効性、特許性、および/または実施可能性のどのような見解も反映しない。
【0052】
本発明は、適用法令により認められるところにより、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題のすべての変更例および均等なものを含む。
【0053】
本発明が、好ましい実施形態との関連で、図面を参照しながら以下でより完全に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図は、明確となるように概略的であり簡略化されており、図は本発明の理解に不可欠な詳細のみを示し、他の詳細は省略されている。一貫して、同じ参照符号が同一の、または対応する部分に使用される。
【0056】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平の」および「縦方向の」、「時計回り」および「反時計回り」という用語、または同様の相対的な表現が使用されるとき、これらは添付図面を参照するものにすぎず、実際の使用状況について言及するわけではない。示される図が概略図であるという理由から、様々な構造体の設定および様々な構造体の相対寸法は単に例示の目的を果たすことが意図される。
【0057】
そのような事情において、添付図面における「遠位端」という用語は、通常、注射針を具備する注射デバイスの端部を表すことが意図されるのに対し、「近位端」という用語は、注射針から離れる方の、通常は投与ダイヤルボタンを具備する反対側端部を表すことが意図されると規定することが好都合であり得る。
【0058】
遠位および近位は、第1の実施形態による注射デバイスの前端部を開示する
図1にさらに示されるように、注射デバイスの長軸「X」に沿って延びた軸方向に沿うことが意図される。
【0059】
注射デバイスの外殻は、永久的に、および回復不能に一緒に結合されてハウジング組立体を形成するハウジング基体1とカートリッジ保持器10とを備える、ハウジング組立体から作られる。ハウジング組立体は、さらなる要素をさらに含み得る。
【0060】
カートリッジ保持器10が
図2に詳細に示され、カートリッジ保持器10は、
図3に開示されるハウジング基体1の中へとクリックして1つのハウジング組立体を形成するためのクリックアーム11を近位側に備える。カートリッジ保持器10は、後述のように突起12と、螺旋ガイドフランジ14と、可撓性ロッキングアーム13とをさらに備える。
【0061】
ハウジング基体1の内部が
図3に開示される。その内部に、ハウジング基体1は、ハウジング基体1に挿入された独立した部品として、または、開示されるようにハウジング基体1の単体の、および統合されたモールド成形部として形成されたねじ山付ナット部材2を備える。ハウジング基体1は、カートリッジ保持器10のクリックアーム11を不可逆的に受容して1つの単体のハウジング組立体を形成するための開口部3をさらに含む。
【0062】
図1に示されるように、カートリッジ20は、カートリッジ保持器10とハウジング基体1との間に固定される。カートリッジ20は、可動プランジャ21を近位側に備え、膜または隔壁22を遠位側に備える。プランジャ21と隔壁22との間に画定されたカートリッジ20の内部23が、注射される液剤を保持する。
【0063】
図1では、針カニューレ25がカートリッジ20の隔壁22を通してまだ挿入されていないので、針カニューレ25を具備する針ハブ30は、後述のようにカートリッジ保持器10における遠位位置に位置している。
【0064】
針カニューレ25は、遠位先端26、近位端27、および遠位先端26と近位端27との間の中空ルーメン29を含む。遠位先端26は、軸方向可動シールド70に具備された洗浄モジュール40の洗浄チャンバ41にさらに挿入される。
【0065】
図1に開示される位置において、洗浄チャンバ41は空であり、無菌である。さらに、針カニューレ25の近位端27は袋28の内側に維持され、袋28の内側も無菌である。
【0066】
第1の無菌バリア39が、針ハブ30と軸方向可動シールド70との間に設けられ、第2の無菌バリア42が、洗浄モジュール40と軸方向可動シールド70との間に位置する。これら2つの無菌バリア39、42が軸方向可動シールド70を封止するので、針カニューレ25の遠位部を収容する内部エリアおよび洗浄チャンバ41は、以降、最初の使用まで無菌に維持され得る。
【0067】
注射デバイスの前端部は、外側において、
図4にさらに開示される取り外し可能なキャップ60により覆われる。この取り外し可能なキャップ60は第1の部品61と第2の部品62とを備え、第1の部品61と第2の部品62とが一緒にクリック式に嵌合され、第1の部品61と第2の部品62との間に位置する螺旋キャップトラック63を画定する。好ましくは2つのこのようなトラック63が設けられる。
【0068】
取り外し可能なキャップ60は内側に、後述のように軸方向可動シールド70の外面に設けられた外側を向いたリブ75に係合する長手リブ65を備える。これらのリブ65、55は、好ましくはペアで設けられる。
【0069】
図1に開示されるように、取り外し可能なキャップ60が注射デバイスの前端部に搭載されたとき、取り外し可能なキャップ60の螺旋キャップトラック63が、ハウジング基体1の外面に設けられたラジアル突起4のペアに係合する。取り外し可能なキャップ60の螺旋キャップトラック63は、螺旋キャップトラック63の一端部に停止突起64を備え、突起4が停止突起64を越えてクリックして、ハウジング基体1に取り外し可能なキャップ60を固定する。螺旋キャップトラック63の反対側端部はトラック開口部66において終端し、取り外し可能なキャップ60がハウジング基体1に搭載されるとき、突起4がトラック開口部66を通って動く。突起4が螺旋キャップトラック63内において動作するので、ユーザーは、取り外し可能なキャップ60を取り外すために、ハウジング基体1に対して取り外し可能なキャップ60を回転させるように強制される。
【0070】
図5において最もよく分かるように、取り外し可能なキャップ60の内側における長手リブ65が、軸方向可動シールド70に設けられた外側を向いたリブ75に係合するので、取り外し可能なキャップ60のこのような回転が、軸方向可動シールド70の同様の回転に変換される。
図5において、長手リブ65と外側を向いた突起55との間における係合を見るために、取り外し可能なキャップ60の一部分が視覚的に省略されている。取り外し可能なキャップ60は、開示される実施形態では、
図5において矢印「A」により示されるように反時計回り方向に回転させられることが意図される。
【0071】
軸方向可動シールド70が
図6および
図7に詳細に示され、
図7は、軸方向可動シールド70の内面の図である。内面に、第1の突起71と第2の突起72とが設けられる。これらの突起71、72の両方が任意の無作為な数で設けられ得、両方が好ましくはペアで設けられる。さらに、軸方向可動シールド70は、
図3において最もよく分かるように、ハウジング基体1の内側に設けられた内リブ5上に嵌合する長手スリット73を近位端に備え、長手スリット73の目的は、
図19との関連において後で説明される。
【0072】
軸方向可動シールド70の側壁は長手窓または開口部74をさらに備え、長手窓または開口部74を通してユーザーがカートリッジ20の収容量を確認し得る。
【0073】
図1に開示されるように、ユーザーが注射デバイスを受け取ったとき、針カニューレ25の近位端27はカートリッジ20に挿入されておらず、洗浄チャンバ41は空であり、無菌である。カートリッジ20に針カニューレ25を挿入し、洗浄チャンバ41に液剤を充填する初期ステップは、ユーザーが取り外し可能なキャップ60を回転させて取り外し可能なキャップ60を取り外す結果として、自動的に実行される。
【0074】
隔壁22を通した針カニューレ25の遠位端27の貫通。
注射を実施するには、ユーザーが取り外し可能なカバー60を取り外すことが必要である。始めてこれが行われるとき、始動工程が自動的に行われる。
図5に開示されるように、ユーザーが最初に取り外し可能なキャップ60を回転させたとき、長手リブ65が軸方向可動シールド70に当接して、軸方向可動シールド70に対して回転を変換する。軸方向可動シールド70の回転中、
図8に開示されるように、第2の突起72が針ハブ30に設けられたラジアルトラック31内で回転する。第2の突起72がトラック31の端部まで動かされたとき、第2の突起72がラジアルトラック31の端面32に当接し、軸方向可動シールド70のさらなる回転が針ハブ30の回転に変換される。
【0075】
代替的な実施形態において、第1の無菌バリア39は、第1の無菌バリア39が軸方向可動シールド70から針ハブ30に回転を伝達するように作られ得る。これは、好ましくは、第1の無菌バリア39の半径方向外面と軸方向可動シールド70の内面との間に十分な摩擦を与えることにより行われる。
【0076】
針ハブ30は、(第1の無菌バリア39を含まない)
図9の断面図に示される。その内部に、針ハブ30は、好ましくは接着により針カニューレ25を固定するための軸方向開口部33を備える。軸方向開口部33は、内縁部34内の近位側で終端するフランジにより囲まれている。さらに、針ハブ30の外面は螺旋トラック35を備え、螺旋トラック35は、カートリッジ保持器10に設けられた突起12により係合される(例えば
図2を参照されたい)。
図9に示されるように、開示される実施形態においては2つのこのような螺旋トラック35が設けられる。
【0077】
針ハブ30の螺旋トラック35とカートリッジ保持器10における突起12との間における係合が、
図10、
図11、および
図13にさらに開示される。
【0078】
図10は、針カニューレ25の近位端27が
図1に開示される位置であるカートリッジ20の隔壁22に対して遠位側に位置する位置を開示する。注射デバイスはこの状態でユーザーに送達され、針ハブ30が第2の突起72とラジアルトラック31の端面32との係合により回転させられたとき、針ハブ30が軸方向可動シールド70とともに回転し、螺旋トラック35の螺旋状の傾斜に起因して近位方向に動く。
図11において、軸方向可動シールド70の第2の突起72と針ハブ30におけるラジアルトラック31の端面32との係合により針ハブ30に印加された回転圧力が、矢印「B」により示される。しかし、回転力は、代替的に、第1の無菌バリア39と軸方向可動シールド70との間の摩擦を介して伝達されてもよい。
【0079】
針ハブ30における螺旋トラック35は、第1の螺旋セクション36、ラジアルセクション38、および第1の螺旋セクション36とラジアルセクション38との間に位置する中間セクション37という3つのセクションを備える。
図10において、突起12は螺旋トラック35の第1の螺旋部36における底部の開始位置に位置する。ユーザーが取り外し可能なキャップ60を介して針ハブ30を回転させたとき、
図11において矢印「C」により示されるように針ハブ30が近位方向に移動し、ある程度の回転後、突起12が螺旋トラック35の中間部37に入る。
【0080】
理解しやすいように、ともに軸方向可動シールド70の内面に位置する第1の突起71および第2の突起72の位置が、
図11および
図13に示される。
【0081】
図11に示される位置において、第1の突起71がカートリッジ保持器10に設けられた螺旋ガイドフランジ14に当接する。同時に、第2の突起72がラジアルトラック31から出て軸方向に動くことを可能にされるラジアルトラック31内の位置まで、第2の突起72が動かされる。これは、ラジアルトラック31がラジアルトラック31の端部に軸方向開口部を含むからである。
【0082】
図11に示す位置において、針カニューレ25の近位部27は隔壁22を通って貫通した状態にあり、
図12に開示されるように、針カニューレ25はこの時点でカートリッジ20に完全に挿入されている。
【0083】
図12において、ハウジング基体1における突起4が取り外し可能なキャップ60の内側の螺旋キャップトラック63内において螺旋状に移動した状態にあるので、取り外し可能なキャップ60は、遠位方向にある距離だけ動いた状態にある。
図12において、
図1と比較したときの取り外し可能なキャップ60の動きが、空間「Y」により示される。同時に、針ハブ30は、突起12と螺旋トラック35との間における係合に起因して、近位方向に動いた状態にある。第2の突起72はラジアルトラック31内に位置して針ハブ30と一緒に近位方向に動くように強制されるので、針ハブ30が近位方向に動くとき、針ハブ30は軸方向可動シールド70を一緒に動かす。この結果、
図12に示されるように、針カニューレ25の遠位先端26が洗浄チャンバ41の内側において遠位先端26の相対位置を維持するように、洗浄ユニット40、つまりは洗浄チャンバ41を具備する軸方向可動シールド70が、針ハブ30および針カニューレ25と同じ速度で近位方向に動く。
【0084】
さらに
図11および
図12に開示される位置において、針ハブ30の内縁部34が、カートリッジ20の遠位端に当接する。
【0085】
図に示されない注射機構が、遠位方向にプランジャ21を動かすためのねじ山付ピストンロッド6を含む。ピストンロッド6とプランジャ21との間に、ピストンロッドからの力をプランジャ21のより広いエリアに分散させるピストンロッド足7が設けられる。注射デバイスはいわゆる充填済みの注射デバイスであるので、ピストンロッド6は遠位方向にのみ動くように固定される。
【0086】
洗浄チャンバ41の充填。
ユーザーが回転可能なキャップ60を回転させ続けたとき、回転する部品が針ハブ30であるので、突起12が、針ハブ30における螺旋トラック35の中間セクション37を通して相対的には移動させられる。傾きが螺旋トラック35の第1の螺旋セクション36の傾きよりある程度小さいので、より大きな力が伝搬され得る。この力は、
図14および
図15において距離「Z」により示されるように、針ハブ30の内縁部34を介してカートリッジ20の動きに伝搬される。
【0087】
ピストンロッド足7、つまりはプランジャ21が固定位置に維持されるので、カートリッジ20のこのような近位方向の動きは、カートリッジ20の内側における圧力を高める。この圧力は、カートリッジ20の内側におけるある量の液体が、針カニューレ25のルーメン29を通って洗浄チャンバ41内に流れるようにし、結果的に洗浄チャンバ41が液剤で充填される。
【0088】
洗浄チャンバ41が充填された状態が、
図13および
図15に開示される。中間セクション37を通った後、突起12は、この時点で(相対的に)トラック35のラジアルセクション38内に位置し、液剤が針カニューレ25のルーメン29を通って流れながら、洗浄チャンバ41がカートリッジ20からの液剤によりゆっくりと充填される。
【0089】
始動およびロック状態。
ユーザーが取り外し可能なキャップ60を、
図16に開示される取り外し可能なキャップ60の最終目標地点まで回転させたとき、取り外し可能なキャップ60は、ハウジング基体1から軸方向に取り外され得、すなわち、突起4は、トラック開口部66を介して螺旋キャップトラック63から外に逃げ得る。この位置において、針ハブ30は、螺旋トラック35の底部に係合するカートリッジ保持器10に設けられた可撓性ロッキングアーム13により、カートリッジ保持器10に対して自動的にロック状態になる。この目的のために、2つのこのような螺旋トラック35は、180度離れて、2つの可撓性ロッキングアーム35と一緒に設けられる。
【0090】
さらに、
図13に示されるように、突起12が螺旋トラック35のラジアルセクション38内までラジアル方向に動かされたとき、
図13にさらに示されるように、第1の突起71が螺旋フランジ14の傾きに沿って滑動する。第1の突起71が軸方向可動シールド70に設けられ、この位置において針ハブ30が固定されるので、軸方向可動シールド70は、螺旋フランジ14により近位方向に引かれる。近位方向における軸方向可動シールド70のこの動きは、さらに、矢印「D」により示されるように、第2の突起72を針ハブ30における開放エリア58内に動かす。このエリア58の内側において、第2の突起72は軸方向に自由に動く。
【0091】
軸方向可動シールド70の近位方向の動きは、また、
図16において最もよく分かるように、軸方向可動シールド70のさらなる動きがより少ない摩擦をともなって実施され得るように、第1の無菌バリア39を軸方向可動シールド70に接触しない状態にする。
【0092】
しかし、
図16に示される位置において、軸方向可動シールド70の近位端76がハウジング基体1の内側における内リブ5に当接するので、軸方向可動シールド70は軸方向に動くことができない。これは
図19にさらに開示され、図中、
図3に示されるようにハウジング基体1の内側に設けられた内リブ5を見ることができるように、ハウジング基体1の一部分が省略されている。
【0093】
取り外し可能なキャップ60が
図16に開示される取り外し可能なキャップ60の最終位置まで回転させられた後、ユーザーが取り外し可能なキャップ60を軸方向に取り外す。
【0094】
ロック解除
ユーザーが軸方向可動シールド70を、
図19において矢印「E」により示されるように反時計回り方向に手動で回転させたとき、長手スリット73が、ハウジング基体1の内側における内リブ5と位置合わせされて、軸方向可動シールド70の軸方向の動きを可能にし得る。
【0095】
ユーザーが軸方向可動シールド70を(内リブ5に対するスリット73の)このような位置合わせ状態まで回転させたとき、第2の突起72は、第1の突起71がカートリッジ保持器10に設けられた長手トラック15内に位置する
図2に示される位置まで、螺旋フランジ14に沿って動くことにより、第1の突起71がこの長手トラック15内において軸方向に動くことを可能にする。この位置において、軸方向可動シールド70が第1の突起71と螺旋フランジ14との間における係合に起因して、軸方向に動かされた状態となり、結果的に、
図17に示されるように、針カニューレ25の遠位先端26が洗浄ユニット40の遠位隔壁43を通って貫通した状態となる。
【0096】
軸方向可動シールド70が軸方向可動シールド70のロック解除位置まで回転させられた後、軸方向可動シールド70の長手窓74が、カートリッジ保持器窓16と位置合わせされるまで回転させられた状態となり、結果的にこの時点で、ユーザーがカートリッジ20の収容量を視認し得る。2つの窓74、16の位置合わせは、さらに、注射デバイスがこの時点でロック解除されたこと、および注射を実施する準備が整ったことの、ユーザーに対する視覚的指標となる。
【0097】
図17に開示されるように、この注射の準備が整った位置において、針カニューレ25の遠位先端26は、洗浄ユニット40に設けられた凹部45内に位置するので、ユーザーが皮膚に対して洗浄ユニット40の遠位面を押し付け得る。
【0098】
図20において最もよく分かるように、洗浄ユニット40は、遠位隔壁43により遠位側で封止されるとともに近位隔壁44により近位側で封止された洗浄チャンバ41を備える。遠位隔壁43は自己封止して、針カニューレ25が複数回にわたって遠位隔壁43を通ることを可能にする。しかし、針カニューレ25の遠位先端26はこの近位隔壁44を繰り返し通ることはないので、近位隔壁44は、代替的に、針カニューレ25の外面の周囲を封止するだけの封止材として形成されてもよい。2つの隔壁43、44は、中間部材46により離れた状態に維持され、洗浄ユニット40は、上部品48に外部品47を溶接することにより一緒に溶接される。使用される溶接は、好ましくは線L1に沿ったレーザー溶接である。
【0099】
洗浄ユニット40が軸方向可動シールド70の一部分として動作するように、洗浄ユニット40が(
図20において破線により示される)軸方向可動シールド70にさらに溶接される。洗浄ユニット40と軸方向可動シールド70との間における溶接は、さらに、好ましくは線L2に沿ったレーザー溶接として行われる。最遠位で洗浄ユニット40が第2の無菌バリア42につながり、さらに、第2の無菌バリア42が軸方向可動シールド70につながる。第2の無菌バリア42は、好ましくは、例えば2Kモールド成形により洗浄ユニット40に対してモールド成形される。
【0100】
滅菌中および組み立て中、軸方向可動シールド70に溶接された洗浄ユニット40を含む軸方向可動シールド70と、軸方向可動シールド70の内側に搭載された針ハブ30とが1つのコンポーネントとして取り扱われ得る。
【0101】
図21において、洗浄ユニット40は、ある程度分解された描写で開示されている。見て分かるように、線L1および線L2に沿って溶接が実施される前に、洗浄ユニット40が事前に組み立てられ得るように、中間部46は外面に、外部品47に設けられた開口部50に係合するクリック突起49を備える。
【0102】
第2の無菌バリア42は、好ましくは、2Kモールド成形により上部品48と一緒に形成される。第2の無菌バリア42は、また、軸方向可動シールド70に対してモールド成形され得る。第1の無菌バリア39および第2の無菌バリア42の両方は、好ましくは、2Kモールド成形により熱可塑性エラストマ(TPE:Thermo Plastic Elastomer)から作られる。
【0103】
図16は、近位側にピストンロッド6を開示する。ピストンロッド6が回転させられたときに常に、ピストンロッド6がねじ山付ナット部材2内において順方向に回転させられるように、このピストンロッド6は外側にねじ山をもつ。ピストンロッド6を回転させるために、ピストンロッド6に設けられた長手溝に係合するピストンロッドガイド8が設けられる。このピストンロッドガイド8は設定用量の吐出中に、例えば欧州特許出願EP16163893.7に開示されるように、よく知られたねじりばねエンジンにより回転させられる。さらに、このようなピストンロッドガイド8は、ピストンロッド6が用量吐出方向にのみ回転することにより、ピストンロッド6が近位方向に動くことを防ぎ得るように設計される。欧州特許出願EP16163893.7に開示されるように、このようなねじりばねエンジンは、軸方向可動シールド70の近位方向の動きにより解放される。
【0104】
弁
図9において最もよく分かるように、針ハブ30は外面に、
図21に示される弁52の外側に設けられた同様の弁リブ51に係合する針ハブリブ59を備える。
【0105】
図16において、針ハブ30は、説明されるようにトラック35に係合する可撓性アーム13により、カートリッジ保持器10に対してロック状態にある。洗浄ユニット40が軸方向可動シールド70に溶接されているので、ユーザーが軸方向可動シールド70を回転させて、注射デバイスをロック解除したとき、洗浄ユニット40が軸方向可動シールド70とともに回転する。
【0106】
外部品47の外面に弁52が位置する。
図21に開示されるように、この弁は、内溝53と内封止体54とを含み、好ましくはさらに、2Kモールド成形によりTPEから作られる。
【0107】
洗浄チャンバ41の充填中、長手溝52が、中間部46における開口部55上に位置する。この開口部55は、洗浄チャンバ41の内部につながる。洗浄チャンバ41がカートリッジ20からの液剤により充填されるとき、この開口部55により、空気および液体が洗浄チャンバ41から逃げ得る。
【0108】
図21から理解され得るように、開口部55は、組み立て中に外部品47における開放窪み56内に滑動する延長部に具備される。
【0109】
洗浄チャンバ41が充填されて、ユーザーが軸方向可動シールド70を初めて回転させたとき、洗浄ユニット40が軸方向可動シールド70と一緒に回転するが、針ハブリブ59と弁リブ51との間の当接が弁52の回転を防ぐので、弁50はその位置に留まる。
【0110】
洗浄ユニット40が回転するとき、開口部55が内封止体54を具備する弁52のエリアまで回転させられ、このことが、以後、さらなる空気および薬剤が洗浄チャンバ41から流れ出ることを防ぐ。
【0111】
次にユーザーが軸方向可動シールド70を閉位置に戻すように回転させたとき、弁52が洗浄ユニット40における弁52の相対位置に留まり、洗浄ユニット40と一緒に回転する。これが起こるようにするために、摩擦またはクリック手段が、洗浄ユニット40の外面と弁52との間に設けられ得る。
【0112】
したがって、弁52の遮断機能は、軸方向可動シールド70、つまりは洗浄ユニット40が初めて回転させられたときにのみ作動する。
【0113】
注射
注射を実施するために、ユーザーは
図18に開示されるように、皮膚「S」に対して軸方向可動シールド70の遠位端を押す。針カニューレ25の遠位先端26が皮膚「S」内により深く動きながら、軸方向可動シールド70が近位方向に動かされるとき、ねじりばねエンジンが解放されて、針カニューレ25のルーメン29を通してユーザーの体内に設定用量を吐出する。
【0114】
図18にさらに示されるように、注射中に無菌バリア42が皮膚「S」に当接するように、第2の無菌バリア42は洗浄ユニット40の遠位端において丸みを帯びている。第2の無菌バリア42がTPE材料から作られているので、このことが、洗浄ユニット40、つまりは軸方向可動シールド70が皮膚「S」の表面において縦方向に滑動することを防ぐ。
【0115】
注射が終了した後、ユーザーが、洗浄ユニット40を具備する軸方向可動シールド70を皮膚「S」から取り外し、その後、図示されない圧縮ばねが
図17に開示される位置、すなわち、
図2において最もよく分かるように、カートリッジ保持器10における長手トラック15内の遠位側に第1の突起71が位置する位置に戻すように、軸方向可動シールド70を動かす。
【0116】
この位置から、ユーザーが軸方向可動シールド70を回転させることにより、軸方向可動シールド70を
図16に開示される位置に運び、その後、取り外し可能なキャップ60が搭載され得る。ユーザーが、
図16に開示される位置に戻すように軸方向可動シールド70を回転させるとき、第1の突起71がフランジ14上を
図13に開示される位置に戻るように滑動し、
図13に開示される位置から、ユーザーが新たな回転を実施することにより、軸方向可動シールド70を再度ロック解除し得る。
【0117】
第2の実施形態
図22から
図35は、類似の要素が同じ参照符号を使用するが数字の前に「1」を付けて番号付けされた、わずかに異なる実施形態を開示する。
【0118】
本実施形態において、針ハブ130は、カートリッジ120を囲む長手チューブ構造体として形作られ、始動器180が後述のようにハウジング101に挿入された状態にある。
【0119】
ここまでの実施形態に示されるように、針ハブ130が針カニューレ125に装着され、針カニューレ120の近位端127がカートリッジ120の隔壁122に対して遠位側に位置するように、針カニューレ125は、
図22に示される貯蔵段階において、カートリッジ120から切り離される。
【0120】
注射デバイスの遠位部が、貯蔵段階において、取り外し可能なキャップ160により覆われ、軸方向可動シールド170は、洗浄モジュール140を遠位側に具備する。
【0121】
第1の実施形態の場合と同様に、取り外し可能なキャップ160は、
図23に開示されるように内側に長手リブ165を備える。この長手リブ165は、
図24に開示されるように軸方向可動シールド170の外側に設けられた外側を向いたリブ175に係合する。さらに、取り外し可能なキャップ160は、
図25において最もよく分かる始動器180に設けられたガイドトラック181内に係合された内側を向いた突起163を備える。この係合の結果として、ユーザーは、取り外し可能なキャップ160が軸方向に取り外され得る前に、トラック181から出て取り外し可能なキャップ160を回転させるように強制される。
【0122】
軸方向可動シールド170は洗浄モジュール140を遠位側に備える第1の実施形態(
図20)において開示されるものに類似したモジュールであり得る。洗浄モジュール140は洗浄チャンバ141を含み、注射間に、針カニューレ120の遠位先端126が洗浄チャンバ141内に維持される。軸方向可動シールド170は近位側にノブ177を備え、ノブ177の機能は後で説明される。
【0123】
図25において詳細に開示される始動器180は、始動器180が軸方向ではなくハウジング101に対してのみ回転し得るように、可撓性の保持器103を介してハウジング101に固定された環形状の溝185を備える。始動器180は、表面構造を貫いて開けられた螺旋トラック182をさらに備える。この螺旋トラック182は2つの軸方向トラック183、184につながる。始動器180は内面に、針ハブ130の外面に設けられた外側を向いた突起132に係合する長手トラック186をさらに備える。
【0124】
図27に開示される針ハブ130はハウジング101内に回転可能に搭載され、螺旋傾斜部135を備え、螺旋傾斜部135の目的は後で説明される。針ハブ130の遠位端は、ラジアルフランジ131に形作られ、外面が突起132を具備する。
【0125】
ハウジング101は、
図28に開示され、内部にピストンロッド106を順方向に案内するためのナット部材102を含む。ハウジング101の内面は、また、始動器180のための保持器103とガイドナップ105とを具備する。
【0126】
本機構における異なるトラックおよび突起は単数で表記されるが、トラックおよび突起は必要な任意の数だけ設けられ得る。始動器180における様々なトラック182、183、184、186、ハウジング101の内側におけるガイドナップ105、針ハブ130における螺旋傾斜部135、および軸方向可動シールド170におけるナップ177が2つによるペアで設けられることに特に注意されたい。
【0127】
注射デバイスは、
図22に示される状態でユーザーに送達される。この状態で、針カニューレ120の遠位先端126が、空の洗浄チャンバ141の内側に位置し、針カニューレ120の近位部127が、カートリッジ120の隔壁122に対して遠位側に位置する。
【0128】
第1の実施形態の場合と同様に、洗浄チャンバ141は空であり、始動手順を介して、カートリッジ120に収容されたある量の保存剤含有液剤を受容する準備が整った状態である。
【0129】
注射のために注射デバイスを準備するために、ユーザーが、取り外し可能なキャップ160を回転させること、つまりは始動器180に設けられたガイドトラック181に対して内側を向いた突起163を回転させることにより、取り外し可能なキャップ160を取り外す。
【0130】
力による取り外し可能なキャップ160の回転は、長手リブ165と軸方向可動シールド170に設けられた外側を向いたリブ175との係合に起因して、軸方向可動シールド170を取り外し可能なキャップ160と同時に回転するように強制する。
【0131】
図25に開示されるように、ガイドトラック181を具備する始動器180は、螺旋トラック182内で終端した第1の軸方向トラック183を含み、螺旋トラック182はさらに、
図26において最もよく分かるように、表面を貫いて開けられていない第2の軸方向トラック184に続く。
【0132】
軸方向可動シールド170に設けられたナップ177は、この初期状態において、第1の軸方向トラック183内に位置する。
図25において、ナップ177の位置は破線で示される。
【0133】
この時点で、軸方向可動シールド170が取り外し可能なキャップ160により回転させられるとき、始動器180における第1の軸方向トラック183の側壁に対するナップ177の当接に起因して、始動器180がこの回転に追従するように強制される。
【0134】
図26において最もよく分かるように、始動器180の内面に設けられた長手トラック186が、針ハブ130における外側を向いた突起132に係合する。したがって、まず、取り外し可能なキャップ160の回転が、軸方向可動シールド170の回転に伝達され、さらに、軸方向可動シールド170が始動器180を回転させ、始動器180が針ハブ130に回転を伝達する。
【0135】
図29Aおよび
図29Bでは、ハウジング101の内面と針ハブ130との間における係合を見るために、ハウジング101が切り開かれている。
【0136】
図29Bに開示されるように、初期位置において、ハウジング101の内面におけるガイドナップ105が、螺旋傾斜部135の下端に位置する。針ハブが回転させられたとき、螺旋傾斜部135とガイドナップ105との間における係合に起因して、針ハブ130が近位方向に送られる。螺旋傾斜部135はラジアルトラック138内で終端しており、
図29Bでは、ガイドナップ105がラジアルトラック138内まで動いた状態にある。このラジアルトラック138は、ガイドナップ105を針ハブ130に不可逆的に固定する軸方向ロックリブ138Bを備える。
【0137】
この位置において、針ハブ130とハウジング101とが以後、1つの要素として動作するように、針ハブ130がハウジング101に不可逆的に接続される。
【0138】
図29Bに開示される位置において、針ハブ130は、
図22に開示される初期位置から
図32に開示される充填位置まで動かされた状態にある。
【0139】
図32に開示される充填位置において、針カニューレ120の近位部127が、カートリッジ120の隔壁122を通って貫通した状態にあり、カートリッジ120の内部と洗浄チャンバ141との間において液体連通が確立された状態にある。
【0140】
針ハブ130の軸方向の動きが、針カニューレ120の近位部127がカートリッジ120に挿入されるようにし、針ハブ130の内側における表面138がカートリッジ120の遠位端に当接して、カートリッジ120を近位方向に距離「Z」だけ動かすように、距離がさらに計算される。
図32に示されるように、カートリッジ120が距離「Z」だけ動かされるにつれて、および、ピストンロッド106、ピストンロッド足107、およびプランジャ121がロック位置に留まっているとき、カートリッジ120の内側において圧力が高まる。
【0141】
針ハブ130が近位方向に動くとき、遠位フランジ131が軸方向可動シールド170の内面に設けられた内側を向いたリブ172に係合しながら、針ハブ130が軸方向可動シールド170を運ぶ。
【0142】
針カニューレ120を具備する針ハブ170と、洗浄チャンバ141を具備する軸方向可動シールド170とが同時に動くので、針ハブ170と針シールドとが近位側に移動するとき、針カニューレ126の遠位先端126が洗浄チャンバ141の内側における遠位先端126の相対位置に留まる。同時に、ナップ177が軸方向可動シールド170に設けられるので、軸方向可動シールド170が近位方向に移動するとき、ナップ177も近位方向に移動する。針ハブ130が
図29Bに開示される位置に着いたとき、ナップ177が、第1の軸方向トラック183に沿って軸方向に動かされた状態となり、この時点で、
図177に開示されるように螺旋トラック182への入口に位置する。
【0143】
カートリッジ120の内側において高められたこの圧力が、ある量の保存剤含有液剤を針カニューレ120のルーメン129を通して洗浄チャンバ141内に送る。
【0144】
図32に開示される充填位置において、ハウジング101内におけるガイドナップ105が始動器180のラジアルトラック138内に不可逆的にロックされるので、始動器180がハウジング101にロックされる。これがさらに、針ハブ130をハウジング101に固定する。さらに、この位置において、洗浄チャンバ141がカートリッジ120からの保存剤含有薬剤により充填される。
【0145】
様々な公差に起因して、必要とされる圧力より高い圧力がカートリッジ120の内側に生成され得る。注射を実施する前にこの圧力を均等化するために、針カニューレ120の遠位先端126が、洗浄チャンバ141の遠位バリア143を通して貫通される必要がある。
【0146】
カートリッジ120の内側における圧力を均等化するために、ユーザーが第1の実施形態の場合と同様に、軸方向可動シールド170を
図30に示される位置から
図31に示される位置まで回転させる。この回転が螺旋トラック182を通してナップ177を運び、結果的に、軸方向可動シールド170が近位方向に螺旋状に動く。
【0147】
図33に、圧力が均等化された位置が示され、
図33は、
図31における位置と同じ位置に軸方向可動シールド170を示す。針カニューレ120の遠位先端126は、この時点で、洗浄チャンバ141の遠位バリア143の直前の位置に運ばれた状態にある。
【0148】
同時に、ナップ177が第2の軸方向トラック184内に運ばれた状態にあり、これは、針シールドがこの時点でロック解除されて、注射が実施され得ることを意味する。
【0149】
注射は、
図34に開示されるように、ユーザーの皮膚「S」に対して軸方向可動シールド170の遠位端を押し付けることにより実施される。注射自体は、一般的に知られているように手動で、または自動的に行われ得る。
【0150】
注射が実施されて、注射デバイスがユーザーの皮膚「S」から退避されたとき、軸方向可動シールド170が図示されないばね機構により
図33に開示される位置に戻すように付勢される。
図30に開示されるように、軸方向可動シールド170におけるナップ177が第1の軸方向トラック183内におけるナップ177の以前の位置に戻るように案内されるように、ユーザーは、この位置から軸方向可動シールド170を回転させることができる。
図35に、この注射終了位置が開示される。この位置において、遠位先端126は、次の注射の前に遠位先端126がすすがれる洗浄チャンバ141の内側に位置する。
【0151】
以降、注射デバイスが軸方向可動シールド170を回転させることによりロック解除された後、次の注射が実施され得る。さらに、軸方向可動シールド170および針ハブ130は窓を備え、第1の実施形態の場合と同様に、注射デバイスがロック解除されたとき、窓が位置合わせされる。
【0152】
ここまでいくつかの好ましい実施形態が示されたが、本発明はこれらに限定されず、後述の特許請求の範囲において規定される主題の中で他の手法により具現化され得ることが強調されなければならない。