【課題を解決するための手段】
【0004】
冒頭に述べた移動調節可能な機械式のホルダは、上に記載の課題を、少なくとも1つの第1の平行四辺形ガイドが、保持領域と固定領域との間に設けられていて、第1の平行四辺形ガイドが、保持領域を固定領域に可動に結合しており、かつさらに可動の第1のアクチュエータが設けられていて、該アクチュエータを用いて保持領域が、第1の平行四辺形ガイドによって第1の空間方向に沿って可動であることによって、解決する。
【0005】
本発明に係る機械式のホルダは、単純な構造を有していて、かつ極めてコンパクトかつ安価に製造することができる。
【0006】
以下において、本発明の、それぞれそれ自体好適な別の構成について詳説する。構成において記載された技術的な特徴は、互いに任意に組み合わせることができ、または削除された技術的な特徴によって生ぜしめられた技術的な効果に問題がない限りにおいては、完全に削除することができる。
【0007】
可動のアクチュエータというのは、本開示においては、機械的に可動のシステムであって、運動を発生させることができるシステムであると理解すべきである。この運動は、アクチュエータに、より正確にはアクチュエータの可動の部分に、運動を伝達するように結合されたエレメントを、位置固定のベースに関して移動させるために使用することができる。
【0008】
単純な機械式のアクチュエータのための一例は、ねじであり、このとき好ましくは、調節ねじもしくはマイクロメータねじが使用される。それというのは、調節ねじもしくはマイクロメータねじは、標準ねじ山(例えばメートルねじ山)との比較において僅かなねじ山ピッチに基づいて、アクチュエータのより正確な移動を、かつこれによって移動させるべきエレメントのより正確な移動を可能にするからである。使用されるねじ、調節ねじ、またはマイクロメータねじは例えば、例えば手によって操作可能なねじ頭として形成された操作エレメントを有することができ、この操作エレメントは、アクチュエータの可動の部分を移動させるために、使用者によって操作されることができる。手によって操作可能なこのようなねじのための例は、ローレットねじ(Raendelschraube)または羽根付きねじ(Fluegelschraube)である。さらに、電気式のモータを用いてアクチュエータの移動を可能にするアクチュエータが設けられていてもよい。このようなアクチュエータは、例えば制御コンピュータである制御装置によって、アクチュエータの移動に対応された相応な命令により、応働させられ、かつ駆動制御されることができる。
【0009】
平行四辺形ガイドというのは、機械式のシステムであって、該システムを用いて、アームまたは脚に固定されたエレメントが、アームが1つの軌道に沿って旋回される場合に、本来の傾斜角(アームの移動平面内における)に留まる、システムであると理解すべきである。
【0010】
平行四辺形ガイドは、平行四辺形として構成されていて、つまり平行な辺もしくは脚のそれぞれ2つの対を有しており、このとき脚は互いに旋回可能に配置されている。さらに脚は、延伸によっても圧縮によってもその長さが変化不能であり、これによって、1つの第1の脚が不動に位置していて、かつ第1の脚に隣接して配置された第2の脚が旋回した場合に、第2の脚に平行に向かい合って位置している第4の脚が、単に、平行にずらされて第2の脚と同様に旋回させられる。第1の脚に向かい合って位置している第3の脚は、第1の脚に対する平行な方向付けに留まっているが、しかしながら第2の脚および第4の脚の旋回に応じて空間的にずらされる。
【0011】
同様にアクチュエータは、旋回運動の代わりに直線運動を脚に伝達することができ、つまりアクチュエータはほぼ脚の方向付けに沿って方向付けられていて、かつ可動であることができ、かつこの脚を操作方向において移動させる。これによって移動させられた脚は、脚の、上に述べた(任意でかつ制限しない)呼称において、第4の変位させられた脚に相当する。
【0012】
本発明に係る第1のアクチュエータは、好ましくは1つの脚のこのような変位を実現し、このときさらに保持領域は、第4の脚と一緒に移動させられ、かつこれによって保持領域の変位が実現される。このような場合において、移動させられた第4の脚に向かい合って位置している第2の脚は、位置固定のままであり、これに対して位置固定の第2の脚と直線的に移動させられた第4の脚との間に位置している第1の脚および第3の脚は、旋回させられる。この旋回時に、これらの脚は互いに平行なままである。
【0013】
脚の、上において使用された番号付けは、純粋に一例であり、かつ制限的ではない。使用された番号付けにおいて、第2の脚および第4の脚は、固定領域と保持領域との間において延びており、これに対して第1の脚は、固定領域の近傍に配置されていて、かつ第3の脚は、保持領域の近傍に配置されている。これらの脚は、時計回り方向に番号付けされていて、かつ平行四辺形を形成している。
【0014】
特に第1の空間方向は、操作方向に相当していてよく、つまり操作方向に平行に方向付けられていてよい。
【0015】
可動の第1のアクチュエータは、1つの操作側から操作可能であってよく、つまりこの操作側に向いていてよい。
【0016】
精密調整というのは、数マイクロメートルから数ミリメートルの範囲における保持領域の可能な移動調節であると理解すべきである。アクチュエータの全移動調節範囲は、数ミリメートルの範囲内であってよい。
【0017】
保持構造は、例えば、内部においてエレメントが可動である、つまり移動調節可能に保持されることが望まれている機器であってよい。保持領域は、収容すべきエレメントに対して相補的に構成されていてよい。
【0018】
本発明に係る機械式のホルダの別の構成では、可動の第2のアクチュエータが設けられていて、このとき可動の第2のアクチュエータは、運動を伝達するように、曲げ剛性のブームに結合されており、該ブームを介してトルクが、第1の平行四辺形ガイドの少なくとも1つの脚に伝達可能であり、これによって保持領域は、第1の平行四辺形ガイドによって第2の空間方向に沿って可動である。
【0019】
このように構成されていると、第1の平行四辺形ガイドを、第1のアクチュエータを用いて保持領域を第1の空間方向に沿って移動させるために、かつ第2のアクチュエータを用いて保持領域を第2の空間方向に沿って移動させるために、使用することができる。
【0020】
特に、第1の空間方向と第2の空間方向とは、互いに垂直に方向付けられていてよい。
【0021】
特に好ましくは、可動の第2のアクチュエータもまた操作側から操作可能であってよく、これによって、第1および第2の可動の両アクチュエータは、操作側に向くことができ、かつこの操作側から接近可能でかつ操作可能であることができる。
【0022】
さらに好ましいと思われる構成では、別の構成において少なくとも、トルクが加えられ得る脚、例えば第2の脚は、回転軸線を中心にして回転可能である。
【0023】
1つの回転軸線には、トルクが加えられ得る第2の脚の回転が、この脚によって確定され、これによって、回転が一平面において行われる、という利点がある。この回転平面は、特に、第1の平行四辺形ガイドのすべての脚が位置している平面に相当していてよい。
【0024】
トルクは単に、回転軸線が提供されている場合、回転だけを生ぜしめる。回転軸線は、平行四辺形ガイドと固定領域との間に位置していることができ、かつ特に、ヒンジ、またはフレキシビリティが減じられた領域によって形成されていてよい。このような領域は例えば、回転軸線の領域における軟質材料の使用、もしくは材料厚さの低減によって実現される。
【0025】
例えば、曲げ剛性のブームを定置の固定領域に結合することができる、フィルムヒンジが設けられていてよい。
【0026】
曲げ剛性のブームは、特に、平行四辺形ガイドの、回転すべき第2の脚に移行することができる。これによって固定領域への平行四辺形ガイドの結合は、この回転軸線もしくは旋回箇所を介して行われることができる。
【0027】
特に、ブームと第2の脚とから成るシステムは、第1の平行四辺形ガイドの平面に関して曲げ剛性であってよく、このように構成されていると、平行四辺形としての構成に基づいて、第2の脚の角度変位つまり旋回を、向かい合って位置している第4の脚にも伝達することができる。
【0028】
1つの構成では、回転軸線は平行四辺形ガイドの外側に位置していてよい。この場合第1のアクチュエータは、第1の平行四辺形ガイドの第1の脚のための載置体として働くことができる。平行四辺形ガイドの、固定領域に向けられた第1の脚は、この載置体に沿って滑動可能であってよい。第1のアクチュエータによって形成された載置体に沿った、第1の脚のこの滑動時に、第1の脚と第2の脚との間における角度、および第3の脚と第4の脚との間における角度が減じられる。平行四辺形機構に基づいて、第3の脚はほぼ第2の空間方向に沿って移動させられる。
【0029】
回転軸線は、別の構成では、平行四辺形の1つの角隅点に、つまり互いに隣接した2つの脚が互いに可動に結合されている位置に、位置していることができる。例えばこのような回転軸線は、第1の脚と第2の脚との間における角隅点に配置されていてよい。この構成において第2の脚が、脚に作用するトルクによって時計回り方向で回転軸線を中心にして回転させられる場合に、第1の脚は位置固定のままである。この構成においては、第1のアクチュエータにおける滑動する支持は行われない。
【0030】
機械式のホルダの別の好適な構成では、少なくとも1つの第2の平行四辺形ガイドが、保持領域と固定領域との間に設けられていてよく、第2の平行四辺形ガイドは、保持領域を、固定領域に可動に結合しており、このときさらに可動の第3のアクチュエータが設けられていてよく、該第3のアクチュエータを用いて保持領域は、第1の平行四辺形ガイドの変位とは無関係に、第2の平行四辺形ガイドによって第3の空間方向に沿って可動である。このような構成には、ホルダに取付け可能な、または取り付けられたエレメントが、好ましくは互いに垂直に方向付けられている3つのすべての空間方向に移動する、つまり空間において位置決めされ得る、という利点がある。したがってこの構成は、移動調節可能な、機械式の三次元型のホルダである。
【0031】
本発明に係る機械式のホルダの特に好適な構成では、可動の第3のアクチュエータもまた操作側から操作可能であってよく、このように構成されていると、3つのすべてのアクチュエータが、操作側に向いていて、かつこの操作側から接近可能でかつ操作可能であることができる。このことには、3つのすべての空間方向における機械式のホルダの移動調節が、ホルダのただ1つの側から、つまり例えば操作側から可能である、という利点がある。
【0032】
特に、第2の平行四辺形ガイドは、第1の平行四辺形ガイドに対して垂直に方向付けられていてよい。
【0033】
さらに別の構成では、第2の平行四辺形ガイドの1つの脚から奥行き方向に延びている、曲げ剛性の第2のブームが設けられていてよく、このとき奥行き方向は、第1の平行四辺形ガイドに対してほぼ垂直に方向付けられており、このとき曲げ剛性の第2のブームによって、トルクが、第2の平行四辺形ガイドの少なくとも1つの脚に伝達可能であり、これによって保持領域は、第2の平行四辺形ガイドによって第3の空間方向に沿って可動である。
【0034】
第2の平行四辺形ガイドは、第1の平行四辺形ガイドと同様に構成されていてよい。このとき特に好ましくは、第2の平行四辺形ガイドの1つの脚と、第1の平行四辺形ガイドの1つの脚、第2の脚とは、同一である。
【0035】
誤解を回避するために、以下においては、同様に一般性の制限なしに、第2の平行四辺形ガイドの脚は、第5の脚、第6の脚、第7の脚、および第8の脚と呼ぶことにする。番号付けは、第1の平行四辺形ガイドにおける遣り方と同様に、時計回り方向で、かつ固定領域の近傍に配置された脚から始めて行われる。このような番号付けでは、第1の平行四辺形ガイドの第2の脚は、第2の平行四辺形ガイドの第8の脚に相当することができる。
【0036】
曲げ剛性の第2のブームは、第6の脚または第8の脚に配置されていてよく、かつ第2の平行四辺形ガイドの第5の脚または第7の脚に平行に延びていてよい。
【0037】
これによって第3のアクチュエータの操作時に、トルクが第6の(または第8の)脚に伝達され、これによって、トルクが加えられた脚は回転させられる。この回転は、平行四辺形機構に基づいて、それぞれ他方の脚、つまり第8の(もしくは第6の)脚にも伝達される。
【0038】
固定領域の近傍における、第2の平行四辺形ガイドの第5の脚は、位置固定のままであり、これに対して第7の脚は、第5の脚に対する平行性を維持しながら、第3の空間方向に沿って変位可能である。
【0039】
第7の脚または第8の脚の回転は、第1の回転軸線に対して垂直に方向付けられていてよい第2の回転軸線を中心にして行うことができる。先行する説明において単に1つの回転軸線だけが述べられる場合には、したがってこの回転軸線は、明示的に、それを中心にして第2の脚が回転可能である第1の回転軸線を意味している。
【0040】
第2の回転軸線は、特に好ましくは、第2の平行四辺形ガイドの内部に配置することができる。この構成には、第8の(または第7の)脚の回転時に、第5の脚または第7の脚の平行なシフトが行われない、という利点がある。
【0041】
特に好ましくは、本発明に係る機械式のホルダの別の構成では、第2のブームは、第2の平行四辺形ガイドの内部に配置されていてよい。
【0042】
特にこの構成では、さらに好ましくは、第1の平行四辺形ガイドは、第1の平行四辺形ガイドの内部に配置された中央のブーム脚を有しており、該ブーム脚は、第1の平行四辺形ガイドを2つの部分平行四辺形に分割していて、かつブーム脚に第2のブームが固定されている。
【0043】
このようなブーム脚は、支持構造であってよく、この支持構造は、一方では、第3のアクチュエータによってもたらされたトルクを、第1の平行四辺形ガイドの第4の脚にも伝達し、かつ第2の脚の旋回を第4の脚に伝達する。さらにこのような支持構造には、第2の平行四辺形ガイドの脚によって形成された内室を利用することができるので、コンパクトな機械式のホルダが得られる、という利点がある。
【0044】
したがってブーム脚は、平行四辺形ガイドの構造を支持しており、これによって平行な脚におけるねじれを最小にする、もしくは阻止することができる。
【0045】
別の構成によれば、平行四辺形ガイドは、モノリシックに互いに結合されていてよい。特に平行四辺形ガイドは、また固定領域および/または保持領域にもモノリシックに結合されていてよい。
【0046】
そして機械式のホルダは、金属を含むことができ、かつ金属ブランクから、切削加工、例えばフライス加工によって製造されていてよい。
【0047】
別の好適な構成では、第1の平行四辺形ガイドおよび/または第2の平行四辺形ガイドは、少なくともそれぞれ4つのジョイント領域を有しており、このときジョイント領域によって、相応の平行四辺形ガイドの互いに隣接した脚の間における角度が可変である。
【0048】
ジョイント領域は、好ましくは平行四辺形ガイドの角隅点の近傍に配置されていてよい。
【0049】
特に、1つの平行四辺形ガイドにおいて2つの脚が、曲げ剛性にかつ互いに平行に配置されていてよい。第1の平行四辺形ガイドの場合において、この脚は第2の脚および第4の脚であり、第2の平行四辺形ガイドの場合において、この脚は第5の脚および第7の脚である。これらの脚対は、別の脚の別の対によって互いに平行に保持される。それぞれの脚は、好ましくはその端部において、少なくとも1つのジョイント領域を介してそれぞれ1つの別の脚に結合されている。
【0050】
機械式のホルダの1つの構成では、平行四辺形ガイドの脚のジョイント領域は、剛性が減じられた領域によって形成されていてよい。
【0051】
剛性が減じられた領域は、例えば周囲の材料との比較において、局部的に(例えば材料の機械的な、化学的な、または光学的な処理によって)減じられた材料強さによって、かつ/または減じられた材料厚さによって得ることができる。
【0052】
特に、ジョイント領域は可逆式に弾性的に変位可能であってよい。このことは例えば、ジョイント領域がフィルムヒンジもしくはフィルムジョイントまたはばね結合部として構成されている場合に保証されている。さらにジョイント領域には、予荷重が加えられていてよく、このことは、アクチュエータを用いて可能である。言い換えれば、機械式のホルダの製品状態、特にホルダの製造後における平行四辺形ガイドの脚の位置は、機械式のホルダの作動時において0位置に相当していなくてよい。
【0053】
このような予荷重によって、機械式のホルダがそれぞれ空間方向の両方向において移動調節可能であることを保証することができる。
【0054】
特に、本発明に係る機械式のホルダの1つの構成では、単に第1のアクチュエータおよび第3のアクチュエータだけを、相応のジョイント領域に予荷重を加えるために使用することができる。第1のアクチュエータによって調節される予荷重は、例えば、第1のブームに第2のアクチュエータに向かって予荷重を加えるのに十分であってよい。
【0055】
好ましくは、ジョイント領域は、可逆式に変位可能なフィルムヒンジとして形成されている。しかしながらまたジョイント領域は、例えばまた軸および相補的なフォークによって形成されていてもよい。このような構成には、その内部において互いに隣接した脚の間における角度変化が調節可能である平面が、明瞭に確定されていて、かつこの平面からの1つの脚の回転が、ジョイント領域のこのような構成によって阻止される、という利点がある。
【0056】
フィルムヒンジの可能な比較的小さなねじれ剛性を阻止するために、機械式のホルダの別の構成では、少なくとも1つの支持脚が設けられていてよく、該支持脚は、第1の平行四辺形ガイドおよび第2の平行四辺形ガイドに結合されている。このような支持脚は、不所望のねじれを、例えば、平行四辺形ガイドの平面からの第1の平行四辺形ガイドの第2の脚および第4の脚の互いに異なった回転を減じる、もしくは阻止することができる。
【0057】
別の構成では、第1の平行四辺形ガイド、第2の平行四辺形ガイド、および支持脚はほぼ、固定領域を保持領域に可動に結合している可動の平行六面体を形成していてよい。
【0058】
このような平行六面体は、複数の平行四辺形ガイドから成っている構造であると理解することができる。1つの構成では、平行六面体の6つの面のそれぞれが、平行四辺形ガイドであってよい。
【0059】
特に好適な構成において平行六面体は、0位置において立方体または直方体であると記載可能であってよい。このことには、空間方向のうちの1つの空間方向に沿った保持領域の変位を、単に僅かな偏差を有するが、ほぼ直線運動であると見なすことができる、という利点がある。
【0060】
全体として6つの平行四辺形ガイドから成っている平行六面体は、重層的に決定されているので、本発明に係る機械式のホルダの別の構成では、第1の平行四辺形ガイドおよび第2の平行四辺形ガイドの、それぞれ固定領域および/または保持領域に向けられた脚は、それぞれ平行六面体の閉鎖された側面を形成することができる。このとき側面は、角度固定である。このような構成には、機械式のホルダがねじれ剛性であり、かつこれによって、保持領域の位置の容易な(つまり使用者の僅かな力の使用による)調節を可能にする、曲がりやすいばねヒンジをも使用することができる、という利点がある。
【0061】
閉鎖された側面を備えた機械式のホルダの構成に基づいて、平行六面体の、互いに平行に配置されたそれぞれ2つの平行四辺形を、それぞれ個々の平行四辺形ガイドとして理解することができる。それというのは、互いに平行に配置されたこれらの平行四辺形は、側面によってその運動が連結されている、もしくは同期化されているからである。
【0062】
側面は角度固定であるので、これらの側面はさらに第3の平行四辺形ガイドを形成しない。
【0063】
本発明に係る機械式のホルダの別の構成では、保持領域は、第1の平行四辺形ガイドの1つの脚に固定されていて、かつ第1の平行四辺形ガイドの別の脚から機械的に遮断されていてよい。好ましくは、保持領域は第1の平行四辺形ガイドの第4の脚に固定されていてよい。単に1つの脚における固定には、ジョイント領域を介して互いに変位可能な脚が、自由に変位可能であり、かつ保持領域に基づいて、1つの脚の変位の追加的な機械的な制限が発生しない、という利点がある。
【0064】
本発明に係る機械式のホルダの別の好適な構成では、すべてのアクチュエータは、機械式のホルダの1つの側から接近可能であってよい。
【0065】
このような構成には、機械式のホルダを、使用可能な小さな構造空間においても、かつ特にこの構造空間への制限された接近可能性においても、構成しかつ作動させることができる、という利点がある。
【0066】
機械式のホルダの1つの側からの、特に操作側からの3つのすべてのアクチュエータへの接近可能性は、両平行四辺形ガイドおよび曲げ剛性のブームの構造、方向付け、および配置形式によって実現される。
【0067】
両平行四辺形ガイドによって、3つのアクチュエータによって生ぜしめられた運動、およびこれによって発生する力をすべて1つの共通の方向に作用させることを、達成することができる。しかしながら機械式のホルダの構造によって、共通の方向に作用する3つの力のそれぞれを、ホルダに取付け可能な、または取り付けられたエレメントの、好ましくは互いに垂直に位置している運動に、変換することが可能である。
【0068】
これによって3つのすべてのアクチュエータは、ただ1つの側に、特に操作側に向くことができ、しかも異なった空間方向への、保持体に取付け可能な、または取り付けられたエレメントの移動を可能にすることができる。
【0069】
したがって好ましくは互いに垂直な方向においてに行われるそれぞれの移動への、3つのアクチュエータの、共通の方向に作用する3つの力の変換は、相応の回転軸線および載置点(これらに沿って1つの脚がシフトされ得る)を備えた、曲げ剛性のブームにおける平行四辺形ガイドの配置形式に基づいている。
【0070】
それぞれのアクチュエータによって発生させられて共通の方向に作用する力のそれぞれの力は、機械式のホルダの構造の異なった位置において作用する。これによって、機械式のホルダのそれぞれ異なった変位が生ぜしめられる。第1のアクチュエータは、例えば第2の脚の旋回を生ぜしめ、これに対して第2のアクチュエータの作動は、第2の脚の状態および位置を変化させないが、第2の脚に対する第4の脚の平行性を維持しながら、かつ第2の脚および第4の脚に関する第1の脚および第3の脚の角度変化を生ぜしめながら、第4の脚の状態変化を惹起する。
【0071】
第3のアクチュエータの作動は、第1の平行四辺形ガイドの本来の平面からの、もしくはこの平面への、第1の平行四辺形ガイドの屈曲もしくは旋回を生ぜしめる。
【0072】
このとき第1の平行四辺形ガイドの内角は、変化しない。第2の平行四辺形ガイドをシフトさせるための、可動の第3のアクチュエータの作動は、第1のアクチュエータの作動によって生ぜしめられる、第1の平行四辺形ガイドの運動と同じである。
【0073】
しかしながら空間における平行四辺形ガイドの平面の回転軸線および方向付けは、両運動において異なっている。相応の両回転軸線、および相応の両平面は、好ましくは互いに垂直に方向付けられている。
【0074】
これによって機械式のホルダは、機器の一種のポケットまたは凹部内に固定されていてよく、かつそれにもかかわらず、一方の開口から3つのすべての空間方向において移動調節可能である。
【0075】
さらにただ1つの工具開口が設けられていてよく、この工具開口を介して、例えばねじ回しまたは六角レンチを機械式のホルダに当て付けることができ、これによって機械式のホルダを任意の空間方向において精密調整のために移動調節することができる。
【0076】
特に好ましくは、本発明に係る移動調節可能なホルダの固定領域、保持領域、および2つの平行四辺形ガイドは、モノリシックに構成されており、保持領域は、互いに無関係な3つのアクチュエータを介して、互いに垂直な3つの空間方向において移動調節可能であり、かつすべてのアクチュエータは、ホルダの単に1つの側から接近可能である。
【0077】
以下において、本発明に係る移動調節可能なホルダについて、例示された図面を参照しながら詳説する。図面は、要求された機械式のホルダの単に1つの特殊な構成を示すものであり、このときこの構成は、要求される保護範囲を制限するように理解されるべきではない。要求される保護範囲は、請求項によって定義されている。図面において、技術的な特徴、および同じ機能の技術的な特徴は、同じ符号で記載されている。個々の技術的な特徴は、任意に互いに組み合わせることができ、かつ/または削除された技術的な特徴によって生ぜしめられた技術的な効果に問題がない限りにおいては、削除することができる。