(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作業者が倉庫内に保管された多数の商品の中から商品リストに表示された商品をピッキングする際に、そのピッキング作業者に対して、倉庫内における商品の保管位置に関する情報を提供するためのピッキング作業支援システムであって、
各商品の倉庫内における位置情報を各商品に関する固有情報と対応付けて記憶させた記憶手段と、
前記商品リストからピッキングすべき商品の固有情報を取得するための取得手段と、
前記取得手段によって取得された商品の固有情報と対応したその商品の倉庫内における位置情報を、前記記憶手段から呼び出して、作業者に伝える伝達手段とを有しているとともに、
前記記憶手段が、商品の倉庫内の位置情報を、商品に関する複数種類の固有情報と対応付けて記憶したものであり、かつ、
作業者によってピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを照合するものであり、
その照合の際に、
前記取得手段によって、ピッキングされた商品に付されたラベルの画像を取得し、そのラベルの画像中にコードが存在するか否かを判断し、
コードが存在すると判断した場合には、そのコードに基づいて、ピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを判断し、
コードが存在しないと判断した場合には、前記取得手段が取得したラベルの画像処理後のデータ中に二項分類による認識が存在するか否かを判断し、二項分類による認識が存在する場合には、そのラベルの画像処理後のデータに基づいて、ピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを判断し、
二項分類による認識が存在しないと判断した場合には、前記取得手段が取得したラベルの画像中にOCR可能な情報が存在するか否かを判断し、OCR可能な情報が存在すると判断した場合には、そのOCR可能な情報に基づいて、ピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを判断することを特徴とするピッキング作業支援システム。
前記記憶手段において商品の倉庫内の位置情報と対応付けて記憶された商品に関する複数種類の固有情報が、商品を撮影した画像から生成された情報、商品の固有番号、商品を表す記号、商品の名称の内の2種類以上を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のピッキング作業支援システム。
前記記憶手段において商品の倉庫内の位置情報と対応付けて記憶された商品に関する複数種類の固有情報が、商品を複数のアングルで撮影した画像に基づいて生成された情報を含んでいることを特徴とする請求項1、または2に記載のピッキング作業支援システム。
前記取得手段が、前記商品リストの画像を撮影することによってピッキングすべき商品の固有情報を取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のピッキング作業支援システム。
前記伝達手段が、ピッキングすべき商品の倉庫内における位置情報を、作業者が装着するヘッドマウントデバイス上に、実際の風景と重ねて表示するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のピッキング作業支援システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の如き従来のピッキング作業支援システムは、ピッキング用伝票がバーコード等の商品コードのみによってピッキングすべき商品を特定するものであるため、汎用性が乏しく、初期導入にコストと手間を要する、という不具合があった。また、ピッキング用伝票にピッキングすべき商品の商品コードと異なる商品コードが記載されている場合には、所望した商品と異なる商品がピッキングされる事態に直結してしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記特許文献1の如き従来のピッキング作業支援システムの問題点を解消し、汎用性に富んでおり、安価かつ容易に導入することができる上、所望した商品と異なる商品がピッキングされてしまう事態がきわめて起こりにくい信頼性の高いピッキング作業支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、作業者が倉庫内に保管された多数の商品の中から商品リストに表示された商品をピッキングする際に、そのピッキング作業者に対して、倉庫内における商品の保管位置に関する情報を提供するためのピッキング作業支援システムであって、各商品の倉庫内における位置情報を各商品に関する固有情報と対応付けて記憶させた記憶手段と、前記商品リストからピッキングすべき商品の固有情報を取得するための取得手段と、前記取得手段によって取得された商品の固有情報と対応したその商品の倉庫内における位置情報を、前記記憶手段から呼び出して、作業者に伝える伝達手段とを有しているとともに、前記記憶手段が、商品の倉庫内の位置情報を、商品に関する複数種類の固有情報と対応付けて記憶した
ものであり、かつ、作業者によってピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを照合するものであり、その照合の際に、前記取得手段によって、ピッキングされた商品に付されたラベルの画像を取得し、そのラベルの画像中にコードが存在するか否かを判断し、コードが存在すると判断した場合には、そのコードに基づいて、ピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを判断し、コードが存在しないと判断した場合には、前記取得手段が取得したラベルの画像処理後のデータ中に二項分類による認識が存在するか否かを判断し、二項分類による認識が存在する場合には、そのラベルの画像処理後のデータに基づいて、ピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを判断し、二項分類による認識が存在しないと判断した場合には、前記取得手段が取得したラベルの画像中にOCR(Optical character recognition)可能な情報が存在するか否かを判断し、OCR可能な情報が存在すると判断した場合には、そのOCR可能な情報に基づいて、ピッキングされた商品がピッキングリストに表示された商品と一致しているか否かを判断することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記記憶手段において商品の倉庫内の位置情報と対応付けて記憶された商品に関する複数種類の固有情報が、商品を撮影した画像から生成された情報、商品の固有番号、商品を表す記号、商品の名称の内の2種類以上を含んでいることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、前記記憶手段において商品の倉庫内の位置情報と対応付けて記憶された商品に関する複数種類の固有情報が、商品を複数のアングルで撮影した画像を含んでいることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、前記取得手段が、前記商品リストの画像を撮影することによってピッキングすべき商品の固有情報を取得することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記伝達手段が、ピッキングすべき商品の倉庫内における位置情報を、作業者が装着するヘッドマウントデバイス上に、実際の風景と重ねて表示するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のピッキング作業支援システムは、記憶手段が商品の倉庫内の位置情報を商品に関する複数種類の固有情報と対応付けて記憶したものであるため、異なる種類の固有情報で商品が特定された複数種類の商品リストを利用することができるので、汎用性に富んでおり、安価かつ容易に導入することができる。また、作業者によってピッキングされた商品が適正なものであるか否かを、記憶手段に記憶された異なる種類の固有情報に基づいて照合することができるので、商品リストで指定された商品を正確にピッキングすることができる。
【0013】
請求項2に記載のピッキング作業支援システムは、商品の倉庫内の位置情報を、商品を撮影した画像から生成された情報、商品の固有番号、商品を表す記号、商品の名称の内の2種類以上と対応付けて記憶したものであるため、きわめて汎用性に富んでいるので、非常に容易に導入することができる。また、商品リストで指定された商品を非常に正確にピッキングすることができる。
【0014】
請求項3に記載のピッキング作業支援システムは、記憶手段において商品の倉庫内の位置情報と対応付けて記憶された商品に関する複数種類の固有情報の中に、商品を複数のアングルで撮影した画像に基づいて生成された情報が含まれているため、商品リストで指定された商品をきわめて正確にピッキングすることができる。
【0015】
請求項4に記載のピッキング作業支援システムは、商品リストの画像を撮影することによって、ピッキングすべき商品の固有情報を短時間で確実に取得することができるので、ピッキング作業を非常に効率的なものとすることができる。
【0016】
請求項4に記載のピッキング作業支援システムは、ピッキングすべき商品の倉庫内における位置情報が作業者が装着するヘッドマウントデバイス上に実際の風景と重ねて表示されるため、作業者がその位置情報を認識し易いので、ピッキング作業の手間をより軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ピッキング作業支援システムの構造>
以下、本発明に係るピッキング作業支援システムの一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、作業者がピッキングリストで指定された商品を倉庫内でピッキングする際の作業を容易にするためのピッキング作業支援システムの概念図であり、ピッキング作業支援システムSは、作業者Oが装着可能な眼鏡型のヘッドマウントデバイスHを、インターネット等の通信ネットワークNを介して、倉庫I外に設置されたデータベースとして機能するコンピュータC(サーバー)と接続することによって構成されている。
【0019】
また、
図2は、作業者Oが商品Gのピッキングを行う倉庫Iの内部を示したものであり、倉庫Iの内部には、複数の収納棚T,T・・が規則正しく配置されており、それらの収納棚T,T・・の内部に、多数の商品G,G・・が保管(収納)されている。そして、倉庫Iの床面には、各ポイントの倉庫I内における位置(平面座標(x、y))を二次元コードで示したフロアマーカーMf,Mf・・が表示されている。一方、
図3は、収納棚T内に商品G,G・・が収納(保管)された状態を示したものであり、各収納棚T,T・・の各段の前面には、当該収納棚Tの識別番号、倉庫I内における位置(三次元座標(x、y、z))を二次元コードで示した棚マーカーMs,Ms・・が表示されている。また、収納棚T内に収納された各商品G,G・・には、商品番号(すなわち、識別番号である数字や文字等)、商品の識別番号を示す記号(バーコードや二次元コード等)、商品の名称(日本語、英語等)、商品を示すロコマーク等の情報を記載したラベルLが貼着されている。
【0020】
また、
図4は、ヘッドマウントデバイスHの制御機構を示すブロック図であり、ヘッドマウントデバイスHには、ピッキングリスト(商品リスト)からピッキングすべき商品の固有情報を取得するための取得手段として機能するカメラ(CCDカメラ)19、コンピュータCと信号の送受信を行うための受信手段16および送信手段17、ヘッドマウントデバイスHの左右のレンズ上に、文字、図形、映像や動画等を、実際に目視されるものの像と重ねて表示するためのディスプレイ18、作業者がマニュアルで信号の入力等をするための入力手段20、カメラ19で撮影した画像を処理するための画像処理手段10、カメラ19で撮影したコード(バーコードや二次元コード等)を読み取るためのコード読取手段9等が設けられている。また、ヘッドマウントデバイスHには、CPU13、ROM・RAM等の記憶手段14、クロック12等を搭載した制御装置11が内蔵されており、当該制御装置11は、インターフェイス15を介して、カメラ19、受信手段16、送信手段17、ディスプレイ18、入力手段20、画像処理手段10、コード読取手段9等と接続されている。加えて、ヘッドマウントデバイスHには、多数(1,000枚以上)のタグ付けされた商品のラベルの写真に基づいて作成した機械学習のオブジェクト検出器のモデルが内蔵されており、商品G,G・・のラベルLおよびその表示内容をきわめて高い精度で認識することができるようになっている。
【0021】
一方、
図5は、データベースとして機能するメインコンピュータCの制御機構を示すブロック図であり、メインコンピュータCには、ヘッドマウントデバイスHと信号の送受信を行うための受信手段29および送信手段30、管理者等がマニュアルで信号の入力等をするための入力手段32、ヘッドマウントデバイスHから送信された画像データを画像処理(画像解析)するための画像処理手段33、ヘッドマウントデバイスHから送信される画像データ等を表示するためのモニタ31等が設けられている。また、メインコンピュータCには、CPU23、ROM・RAM等の記憶手段24、クロック22等が設けられており、インターフェイス28を介して、受信手段29、送信手段30、モニタ31、入力手段32、画像処理手段33等と接続されている。
【0022】
さらに、メインコンピュータCの記憶手段24の中には、商品Gの識別情報等の商品Gに関する各種の情報を記憶するための商品情報記憶部(記憶領域)25、倉庫I内に表示された各種のマーカー(Mf,Ms)の内容等の倉庫Iに関する各種の情報を記憶するための倉庫情報記憶部(記憶領域)26、作業者や管理者のID等のユーザーに関する各種の情報を記憶するためのユーザー情報記憶部(記憶領域)27が設けられている。
【0023】
図6は、商品情報記憶部25に商品Gに関する情報が記憶されている様子を示したものであり、当該商品情報記憶部25のROM等の記憶領域においては、倉庫I内に保管(収納)されているすべての商品G,G・・の保管場所の位置(三次元座標)および収納棚Tの識別番号が、各商品G,G・・に貼着されたラベルLに表示されている識別情報(すなわち、商品番号(商品の識別番号である数字や文字等)、商品の識別番号を示す記号(バーコードや二次元コード等)、商品の名称(日本語、英語等)、商品を示すロコマーク等の数値データ)と対応した状態で記憶されている。また、商品情報記憶部25においては、各商品G,G・・の保管場所の位置(三次元座標)および収納棚Tの識別番号が、各商品G,G・・に貼着されたラベルLを様々なアングルで撮影した複数の画像データと対応付けられて記憶されている。なお、ピッキング作業支援システムSにおいては、倉庫I内に新たな商品Gが収納される毎に、当該商品Gを保管する場所の位置(三次元座標)および収納棚Tの識別番号を、その商品Gに貼着されたラベルLに表示されている識別情報と対応させて商品情報記憶部25(ROM等の記憶領域)に記憶させる必要がある。
【0024】
また、
図7、
図8は、倉庫情報記憶部26に倉庫に関する情報が記憶されている様子を示したものであり、当該倉庫情報記憶部26においては、
図7の如く、倉庫I内の床面に表示されているフロアマーカーMf,Mf・・の位置(倉庫Iの床面全体における平面座標)が、各フロアマーカーMf,Mf・・の識別番号(倉庫I内の床面に表示されている二次元コードと対応したもの)と対応した状態で記憶されている。加えて、倉庫情報記憶部26においては、倉庫I内の各収納棚T,T・・に表示されている棚マーカーMs,Ms・・の位置(倉庫Iの内部全体における三次元座標)が、
図8の如く、各棚マーカーMs,Ms・・の識別番号(収納棚Tに表示されている二次元コードと対応したもの)と対応した状態で記憶されている。
【0025】
さらに、倉庫情報記憶部26内には、倉庫Iの内部が三次元データ(VRデータ)として記憶されており、当該三次元データにおいては、倉庫Iの各通路(収納棚Tと収納棚Tとの間のスペースや、収納棚Tと壁面との間のスペース)が、作業者が移動可能な領域・パスの集合体であるナビゲーションメッシュとして表現されている。また、当該三次元データにおいては、倉庫I内の床面に表示された各フロアマーカーMf,Mf・・が、アンカーとして配置されている。
【0026】
<ピッキング作業支援システムの作動内容>
図9は、ピッキング作業支援システムSを利用して、作業者Oが所望する商品Gのピッキング作業を行う際の処理内容を示すフローチャートである。このピッキング作業支援システムSでは、ピッキング作業の指示書(発注書)としてピッキングリストが用いられる。当該ピッキングリストには、印字・手書きされた文字、あるいは、バーコードやQRコード(登録商標)等のコードによって、ピッキングすべき単一あるいは複数の商品を指定することができるが、この実施形態においては、ピッキングリストにピッキングすべき単一の商品G
1が指定されているものとする。
【0027】
作業者Oがピッキング作業を行う際には、まず、ステップ(以下、Sで示す)1で、ヘッドマウントデバイスHに内蔵されたカメラ19を利用して、ピッキングリスト(商品リスト)の内容を読み取る(撮像する)。また、そのようにピッキングリストの内容の読み取るととともに、カメラ19を利用して作業者Oの近くのマーカー(フロアマーカーMfや棚マーカーMs)の内容を読み取る。また、ヘッドマウントデバイスHに内蔵された画像処理手段10によって、カメラ19によって撮影された画像の画像処理(画像解析)を実行する。なお、かかる画像処理により、ピッキングリストやマーカー等の画像のデータは、画像認識のモデルを作成するための機械学習用のデータとして利用可能な状態に変換される。そして、続くS2で、読み取って画像処理したピッキングリストおよびマーカーの画像のデータ(すなわち、画像認識のモデルのデータ)を、送信手段17を利用して、ネットワークNを介して、メインコンピュータCに送信する。また、それらの画像処理後のデータ(画像認識のモデルのデータ)が、ヘッドマウントデバイスHの記憶手段14のRAM内に記憶される。さらに、ピッキングリストにおいてコードによって商品G
1が指定されている場合には、ヘッドマウントデバイスHのコード読取手段9によって当該コードが読み取られ、その読み取られた内容(識別情報)がヘッドマウントデバイスHの記憶手段14のRAM内に記憶される。
【0028】
上記の如く、ヘッドマウントデバイスHがピッキングリストの画像のデータ(画像認識のモデルのデータ)を送信すると、メインコンピュータCは、S3で、受信手段29によって、それらのデータを受信する。そして、S4で、必要に応じて、画像処理手段33を利用して、受信したピッキングリストの画像のデータを処理(解析)するとともに、S5で、その処理後のデータを、商品情報記憶部25に記憶されている各商品G,G・・に関するデータ(
図6)と照合する。
【0029】
すなわち、ピッキングリストの画像のデータがバーコードやQRコード(登録商標)等のコードのデータである場合には、A/D変換して、商品情報記憶部25に記憶されている各商品G,G・・に関する識別情報(数値データ)と照合する。また、ピッキングリストの画像のデータが印字・手書きされた文字である場合には、OCR(Optical character recognition)システムによって文字コードに変換して、商品情報記憶部25に記憶されている各商品G,G・・に関する識別情報(数値データ)と照合する。
【0030】
上記の如く、ピッキングリストの画像のデータと、商品情報記憶部25に記憶されている各商品G,G・・に関する識別情報とを照合した後には、続くS6で、ピッキングリストの画像のデータと合致した識別情報を有する商品G
dを選択し、商品情報記憶部25のROMから、当該商品G
dに関するすべてのデータ(「保管場所」のデータ(位置座標および収納棚T,T・・の識別データ)および商品G
dの識別情報(数値データ、および、様々なアングルで撮影された商品G
dのラベルLの画像データ))を呼び出して、記憶手段24のRAM内に記憶する(すなわち、商品G
dがピッキングすべき商品として認識される)。
【0031】
また、上記の如く、S3でマーカーの画像のデータを受信すると、S4で、必要に応じて、画像処理手段33を利用して、受信したマーカーの画像のデータを解析し、しかる後、その解析されたマーカーの内容に基づいて、倉庫情報記憶部26に記憶されているフロアマーカーMfの情報(
図7)および棚マーカーMsの情報(
図8)を参照して、解析されたマーカーと対応した倉庫I内の位置(すなわち、作業者Oの現在位置)のデータを呼び出し、記憶手段24のRAM内に記憶する。
【0032】
上記の如く、S3〜S6によってピッキングすべき商品G
dの「保管場所」およびマーカーと対応した倉庫I内の位置(作業者Oの現在位置)を呼び出して記憶手段24のRAM内に記憶させた後には、S7で、当該倉庫I内の位置(作業者の位置)から商品G
dの「保管場所」までの最短のルートを算出する。なお、かかる最短ルートの算出には、所謂“巡回セールスマン問題解決アルゴリズム”が利用される。また、最短ルートの算出は、記憶手段24の倉庫情報記憶部26内に記憶されている倉庫Iの内部の三次元データ(VRデータ)が用いられる。
【0033】
そして、上記の如く、当該倉庫I内の位置(作業者の位置)から商品G
dの「保管場所」までの最短ルートを算出した後には、S8で、送信手段30を利用して、ピッキングすべき商品G
dの「保管場所」のデータを送信する。さらに、S9で、CPU23を利用して、S7において算出された最短ルートに基づいてナビゲーションデータ(たとえば、作業者Oの歩行すべき方向や距離等)を作成し、そのナビゲーションデータをネットワークNを介して、ヘッドマウントデバイスHに送信する。当該ナビゲーションデータの作成の際にも、記憶手段24の倉庫情報記憶部26内に記憶されている倉庫Iの内部の三次元データ(VRデータ)が用いられる。
【0034】
ヘッドマウントデバイスHは、メインコンピュータCからピッキングすべき商品G
dの「保管場所」のデータおよびナビゲーションデータ(たとえば、歩行すべき方向や距離等)が送信されると、S10で、受信手段16によって、それらの情報を受信して、記憶手段14のRAMに記憶するとともに、S11で、それらの情報をディスプレイ18上に表示する(作業者Oの肉眼によって捉えられる実際の像と重ねて表示する)。作業者Oは、それらの情報を参考にすることによって、ピッキングリストに記載された商品G
1(商品=G
d)を効率良くピッキングすることが可能となる。
【0035】
そして、ピッキング作業支援システムSにおいては、作業者Oが、メインコンピュータCからのデータ(すなわち、「保管場所」のデータおよびナビゲーションデータ)に基づいて、指定された「保管場所」に存在する商品Gをピッキングすると、その商品Gがピッキングリストに表示された商品G
1(商品=G
d)と一致しているか否かが判断される(すなわち、ピッキングされた商品Gが適正なものであるか否かが判断される)。
【0036】
図10は、作業者Oによってピッキングされた商品Gが適正なもの(すなわち、商品G
1(商品=G
d))であるか否かを判断する際の処理の内容を示すフローチャートである。かかる商品の照合処理においては、まず、S101において、ヘッドマウントデバイスHのカメラ19によって、作業者Oがピッキングした商品GのラベルLの画像が撮像され、続くS102で、当該商品GのラベルLの画像中にコード(バーコードあるいはQRコード(登録商標)等の二次元コード)が存在するか否かが判断される。
【0037】
そして、S102で“YES”と判断された場合には、続くS103で、ヘッドマウントデバイスHに内蔵されたコードリーダー(バーコードリーダーあるいはQRコード(登録商標)リーダー)によって、カメラ19によって撮像された商品GのラベルLの画像中のコードが読み取られて、当該コードの内容が、ピッキングリストに表示された商品G
1(商品=G
d)の内容と照合される。しかる後、S104で、記憶手段14のRAMの内容が参照され、カメラ19によって撮像された商品GのラベルLの画像中のコードの内容が、ピッキングリストに表示された商品G
1(商品=G
d)の内容と一致するか否か判断される。
【0038】
そして、両者が一致すると判断された場合には、続くS105で、その一致する旨の情報を、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18上に表示する。さらに、ヘッドマウントデバイスHの記憶手段14およびメインコンピュータCの記憶手段24のRAM内の情報(すなわち、商品G
dに関する「保管場所」等のすべてのデータ)をリセットする。なお、ピッキングされた商品GのラベルLにコードが表示されており、そのコードに基づいてピッキングされた商品Gが適正なものであるか否かを判断する場合には、100%に近いきわめて高い信頼度で、ピッキングされた商品Gが適正なものであるか否か判断される。また、上記の如く、コードに基づいてピッキングされた商品Gが適正なものであるか否かを判断する場合には、メインコンピュータCを介することなくヘッドマウントデバイスHの内部で判断がなされるため、非常に短時間の内に判断が完了する。
【0039】
一方、S104で、カメラ19によって撮像された商品GのラベルLの画像中のコードの内容が、ピッキングリストに表示された商品G
1(商品=G
d)の内容と一致しないと判断された場合には、S106で、その一致しない旨の情報を、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18上に表示する。
【0040】
また、S102で“NO”と判断された場合(すなわち、当該商品GのラベルLの画像中にコードが存在しないと判断された場合)には、作業者Oがピッキングした商品GのラベルLの画像が画像処理手段10によって画像処理され、S107で、その画像処理後のデータ中に二項分類による認識が存在するか否か(すなわち、ピッキングした商品GのラベルLの画像とヘッドマウントデバイスHの記憶手段14のRAM内に記憶されているピッキングすべき商品G
1の画像データとの間で“G=G
1 or G≠G
1”の判断ができるか否か)が判断される。そして、S107で“YES”と判断された場合には、S104で、ヘッドマウントデバイスHの記憶手段14のRAMの内容が参照され、カメラ19によって撮像された商品GのラベルLの画像データの内容が、ピッキングリストに表示された商品G
1(商品=G
d)の画像データの内容と一致するか否か判断される。
【0041】
そして、両者が一致すると判断された場合には、コードを介して照合した場合と同様に、続くS105で、その一致する旨の情報を、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18上に表示するとともに、メインコンピュータCの記憶手段24のRAM内の情報(すなわち、商品G
dに関する「保管場所」等のすべてのデータ)をリセットする。なお、上記の如く、ピッキングされた商品GのラベルLの画像に基づいて二項分類により商品Gが適正なものであるか否かを判断する場合には、概ね80〜100%の信頼度で、ピッキングされた商品Gが適正なものであるか否か判断される。また、メインコンピュータCを介することなくヘッドマウントデバイスHの内部で2つの画像データが対比されるだけで判断されるので、きわめて短時間の内に判断が完了する。
【0042】
一方、S107で“NO”と判断された場合には、S108で、ヘッドマウントデバイスHのカメラ19によって撮像された商品GのラベルLの画像がメインコンピュータCに送信される。そして、商品GのラベルLの画像がメインコンピュータCに送信された後には、サーバーの画像処理ユニットで、ヘッドマウントデバイスHから送信されたラベルLの画像の画像処理が行われ、S109で、ラベルLの画像内に、OCR(Optical character recognition)可能な部分が存在するか否か判断される。
【0043】
そして、S109で“YES”と判断された場合(すなわち、当該商品GのラベルLの画像中にOCR可能な部分が存在すると判断された場合)には、続くS110で、そのOCR可能な部分と、メインコンピュータCの記憶手段24の商品情報記憶部25のRAM内に記憶されている商品G
dの識別情報とが照合される。しかる後、S104で、ピッキングされた商品GのラベルLの画像中のOCR化された部分の内容が、ピッキングリストに表示された商品G
1(商品=G
d)の内容と一致するか否か判断される。
【0044】
そして、両者が一致すると判断された場合には、コードを介して照合した場合と同様に、続くS105で、その一致する旨の情報を、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18上に表示するとともに、メインコンピュータCの記憶手段24のRAM内の情報(すなわち、商品G
dに関する「保管場所」等のすべてのデータ)をリセットする。なお、ピッキングされた商品GのラベルLの画像中にOCR可能な部分が存在しており、そのOCRデータに基づいてピッキングされた商品Gが適正なものであるか否かを判断する場合には、概ね80〜100%の信頼度で、ピッキングされた商品Gが適正なものであるか否か判断される。
【0045】
一方、S109で“NO”と判断された場合(すなわち、当該商品GのラベルLの画像中にOCR可能な部分が存在しないと判断された場合)には、当該商品GのラベルLの画像を読み取ることができなかったと判断し、S111で、その旨の情報を、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18上に表示する(なお、この場合には、ピッキングした商品Gとピッキングリストに表示された商品G
1 との照合ができないため、作業者がマニュアルで照合作業を実施することになる)。
【0046】
また、ピッキング作業支援システムSにおいては、作業者Oが、ピッキング作業を行っている間中、ヘッドマウントデバイスHのカメラ19によって作業者Oの付近のマーカー(フロアマーカーMfおよび棚マーカーMs)の画像を撮像してメインコンピュータCへ送信するステップと、それらのマーカーの画像の解析結果に対応した“ピッキングすべき商品Gの保管場所までの最短ルート”に関するデータをメインコンピュータCから受信するステップとを繰り返すことによって、作業者Oがピッキングすべき商品G
1の保管場所まで短時間で辿り着けるように、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18の表示が更新される。
【0047】
さらに、ピッキング作業支援システムSにおいては、ピッキングリストに複数の商品G
1,G
2・・が表示されている場合には、作業者Oが、ピッキングリストに記載されたすべての商品商品G
1,G
2・・のピッキングを終了するまで、S1〜S11までのステップ(S101〜S110の照合処理を含む)を繰り返し実行する。加えて、ピッキング作業支援システムSにおいては、ピッキングリストに複数の商品G
1,G
2・・が表示されている場合には、S9で、作業者Oが最も短い移動距離で全ての商品商品G
1,G
2・・をピッキングできるルートを算出し、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18上に表示するようになっている。
【0048】
<ピッキング作業支援システムの効果>
ピッキング作業支援システムSは、上記の如く、各商品G,G・・の倉庫I内における位置情報を各商品G,G・・に関する固有情報と対応付けて記憶させた記憶手段24と、商品リストからピッキングすべき商品Gの固有情報を取得するための取得手段であるカメラ19と、カメラ19によって取得した商品Gの固有情報と対応したその商品Gの倉庫I内における位置情報を、記憶手段24から呼び出して、作業者Oに伝える伝達手段(すなわち、ヘッドマウントデバイスHの送受信手段、メインコンピュータCの送受信手段、および、ヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18)とを有しているとともに、記憶手段24が、商品Gの倉庫I内の位置情報を、商品Gに関する複数種類の固有情報と対応付けて記憶したものである。したがって、ピッキング作業支援システムSは、異なる種類の固有情報で商品Gが特定された複数種類の商品リスト(ピッキングリスト)を利用することができるので、汎用性に富んでおり、安価かつ容易に導入することができる。その上、作業者Oによってピッキングされた商品Gが適正なものであるか否かを、記憶手段24に記憶された異なる種類の固有情報に基づいて照合することができるので、商品リスト(ピッキングリスト)で指定された商品Gを正確にピッキングすることができる。
【0049】
また、ピッキング作業支援システムSは、記憶手段24において商品Gの倉庫I内の位置情報と対応付けて記憶された商品Gに関する複数種類の固有情報が、商品Gを撮影した画像から生成された情報、商品Gの固有番号、商品Gを表す記号、商品Gの名称、商品Gの形状の内の2種類以上を含んでいるため、きわめて汎用性に富んでいるので、非常に容易に導入することができる上、商品リスト(ピッキングリスト)で指定された商品Gを非常に正確にピッキングすることができる。
【0050】
さらに、ピッキング作業支援システムSは、記憶手段24において商品Gの倉庫I内の位置情報と対応付けて記憶された商品Gに関する複数種類の固有情報が、商品Gを複数のアングルで撮影した画像に基づいて生成された情報を含んでいるため、商品リスト(ピッキングリスト)で指定された商品Gをきわめて正確にピッキングすることができる。
【0051】
加えて、ピッキング作業支援システムは、取得手段であるカメラ19が、商品リストの画像を撮影することによってピッキングすべき商品Gの固有情報を取得するため、ピッキングすべき商品Gの固有情報を短時間で確実に取得することができるので、ピッキング作業を非常に効率的なものとすることができる。
【0052】
また、ピッキング作業支援システムは、商品Gの倉庫I内における位置情報を作業者Oに伝える伝達手段が、ピッキングすべき商品Gの倉庫I内における位置情報を、作業者Oが装着するヘッドマウントデバイスHのディスプレイ18上に、実際の風景と重ねて表示するものであり、作業者Oがその位置情報を認識し易いので、ピッキング作業の手間をより軽減することができる。
【0053】
<ピッキング作業支援システムの変更例>
本発明に係るピッキング作業支援システムは、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、ヘッドマウントデバイス(カメラ、ディスプレイ等)、メインコンピュータ(記憶手段)、画像処理手段等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0054】
たとえば、本発明に係るピッキング作業支援システムは、上記実施形態の如く、ピッキングする商品の保管場所に関する情報を作業者が装着するヘッドマウントデバイスの表示画面上に表示するものに限定されず、ピッキングする商品の保管場所に関する情報を作業者が携帯する端末(スマートフォンやタブレット等)の表示画面上に表示するものや、ピッキングする商品の保管場所に関する情報を作業者に音声で伝達するもの等に変更することも可能である。さらに、本発明に係るピッキング作業支援システムは、上記実施形態の如く、商品リスト(ピッキングリスト)が紙媒体であるものに限定されず、商品リストが電子データであるもの(携帯端末等に表示可能であるもの)等に変更することも可能である。
【0055】
また、本発明に係るピッキング作業支援システムは、上記実施形態の如く、ヘッドマウントデバイスのカメラが撮影した商品やエリアマーカーの画像をヘッドマウントデバイスおよびメインコンピュータの双方に設けられた画像処理手段によって画像処理(画像解析)するものに限定されず、メインコンピュータのみに画像処理手段を設けたもの等でも良い。さらに、本発明に係るピッキング作業支援システムは、上記実施形態の如く、各商品の倉庫内における位置情報を各商品に関する固有情報と対応付けて記憶させた記憶手段をメインコンピュータ側に設けたものに限定されず、当該記憶手段をヘッドマウントデバイス自体やクラウド上に設けたもの等に変更すことも可能である。
【課題】汎用性に富んでおり、安価かつ容易に導入することができる上、所望した商品と異なる商品がピッキングされてしまう事態がきわめて起こりにくい信頼性の高いピッキング作業支援システムを提供する。
【解決手段】ピッキング作業支援システムSは、作業者Oが装着可能なヘッドマウントデバイスHを通信ネットワークNを介してコンピュータCと接続することによって構成されている。そして、ヘッドマウントデバイスHには、ピッキングリストからピッキングすべき商品Gの固有情報を取得するためのカメラが設けられており、コンピュータCには、商品Gの倉庫I内における位置情報を商品Gに関する複数種類の固有情報と対応付けて記憶させた記憶手段と、ヘッドマウントデバイスHのカメラによって取得された商品Gの固有情報と対応した位置情報を記憶手段から呼び出して作業者Oに伝える送信手段とが設けられている。