(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態の血管内留置具搬送装置100の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1の血管内留置具搬送装置100の破線Aで囲まれた部分を拡大して示す斜視図である。
【0011】
本実施形態の血管内留置具搬送装置100は、血管(図示略)内に留置される血管内留置具1を当該血管内留置具1の留置部位まで搬送するものであり、具体的には、
図1及び
図2に示すように、血管内留置具1と、この血管内留置具1を搬送するための搬送用カテーテル2と、を備えている。
なお、
図1〜
図6(b)(後述)にあっては、血管内留置具搬送装置100の各部を模式的に表し、
図2〜
図6(b)にあっては、弾性部材25(後述)を透過させるように破線で模式的に表している。また、以下の説明では、搬送用カテーテル2の使用者からみて遠い方(遠位側)を先端側とし、使用者からみて近い方(近位側)を基端側とする。
【0012】
<血管内留置具>
先ず、血管内留置具1について説明する。
血管内留置具1としては、例えば、血管内に半永久的に留置されるステントグラフト11(
図3(a)等参照)や、一時的に留置される異物捕捉・回収用デバイス(例えば、異物回収用デバイス12;
図5(a)等参照)等が挙げられるが、一例であってこれらに限られるものではなく、公知のものであれば如何なるものも適用可能である。
【0013】
ここで、ステントグラフト11については、詳細な説明は省略するが、例えば、金属細線がジグザグ状に折り返されるとともに略円筒状に成形された自己拡張型のステント部と、当該ステント部を外周から覆うように縫合固定されたグラフト部(何れも図示略)とを有するものが挙げられる。
なお、ステント部を構成する金属細線の材料としては、例えば、Ni−Ti合金、ステンレス鋼、チタン合金などに代表される公知の金属や金属合金が挙げられる。
また、グラフト部を構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0014】
異物捕捉・回収用デバイスとは、血管などの管状組織の内部に発生した血栓又は塞栓などの異物を捕捉又は回収するものである。異物捕捉・回収用デバイスとしては、例えば、拡張・収縮可能な異物捕捉用デバイス(図示略)や、異物捕捉用デバイスにより捕捉された異物を回収するための拡張・収縮可能な異物回収用デバイス12等が挙げられる。
異物捕捉用デバイスについては、詳細な説明は省略するが、例えば、金属細線から成形され、拡張状態にて略球状をなす。また、異物回収用デバイス12については、詳細な説明は省略するが、例えば、金属細線から成形され、拡張状態にて先端側が開口した略籠状をなす。
なお、異物捕捉・回収用デバイスを構成する金属細線の材料としては、例えば、Ni−Ti合金、ステンレス鋼、チタン合金などに代表される公知の金属や金属合金が挙げられるが、異物捕捉用デバイスは、超弾性(変形しても力を取り除くとすぐに元の形に戻る性質)を有する材料から構成されるのが好ましい。
【0015】
上記したステントグラフト11、異物捕捉・回収用デバイス等の血管内留置具1は、収縮状態にて搬送用カテーテル2の内側に収容されるようになっている。
【0016】
<搬送用カテーテル>
次に、搬送用カテーテル2について説明する。
搬送用カテーテル2は、内側に血管内留置具1を収容するカテーテル本体部21を有している。
【0017】
カテーテル本体部21は、可撓性を有する材料で形成された長尺な管状部材であり、その先端側に、血管内留置具1を血管内に放出するための放出部211が設けられている。また、カテーテル本体部21は、略一定の外径を有する長尺な大径部21aと、この大径部21aの先端部に連続して形成されたテーパ部21bと、このテーパ部21bの先端部に連続して形成された小径部21cとを具備している。
なお、可撓性を有する材料としては、例えば、合成樹脂(エラストマー)、合成樹脂に他の材料が混合された樹脂コンパウンド、合成樹脂が多層で構成された多層構造体、または合成樹脂と金属線との複合体等が挙げられる。
【0018】
テーパ部21bは、その外径が基端側から先端側にかけて漸次縮径され、例えば、当該カテーテル本体部21の軸方向に対して所定の角度で傾斜するように絞り加工が施されることで形成される。
【0019】
小径部21cは、その外径が当該カテーテル本体部21の他の部分、すなわち、大径部21a及びテーパ部21bよりも小径とされている。また、小径部21cの内径は、主に大径部21aに収容されている収縮状態の血管内留置具1の外径よりも小径とされている。
なお、小径部21cの先端側開口は、閉塞手段(例えば、先端チップ3等)により閉塞されているが、閉塞手段については後述する。
【0020】
また、小径部21cの周面部には、その先端側開口から基端側に切り欠かれた切欠部22が形成され、この切欠部22に対応させて、当該小径部21cを裂開させるための裂開部23が形成されている。
具体的には、小径部21cの周方向に沿って所定の角度(例えば、180°等)を空けて複数(例えば、2つ)の切欠部22、22が形成されている。切欠部22における先端側開口に連続する2つの切欠面には丸みが付けられ、例えば、各切欠面は、他方の切欠面側に膨らむように略円弧状に形成されている。そして、各切欠部22と軸方向に対して略平行な方向に並ぶように裂開部23が複数(例えば、2つ)形成されている。
【0021】
裂開部23は、カテーテル本体部21の先端側の部分、特に、小径部21cを当該カテーテル本体部21の軸方向に沿って裂開させるためのものである。具体的には、裂開部23は、切欠部22の基端側の部分に連続するように形成された切れ目23aと、カテーテル本体部21の周面部を貫通して形成された開口部23bとを有している。
【0022】
切れ目23aは、所定の幅でカテーテル本体部21の軸方向と略平行に延在し、その大部分が小径部21cに形成されている。また、切れ目23aの基端側の部分は、細く尖った形状を有し、その端部がテーパ部21bに位置している。このように、裂開部23の切れ目23aは、小径部21c及びテーパ部21bの先端側の部分に跨るように形成されている。
また、後述するように、小径部21cの内側に先端チップ3が配置されることで、この先端チップ3により切れ目23aの大部分が内側から塞がれている。なお、切れ目23aが完全に塞がれるように、当該切れ目23aの寸法や形状、先端チップ3の配置等を適宜任意に変更しても良い。
【0023】
開口部23bは、例えば、所定の幅(例えば、切れ目23aと略等しい幅等)でカテーテル本体部21の軸方向に対して略平行な方向に延在する直線部b1と、この直線部b1に連続し、基端側に膨らむように湾曲して形成された湾曲部b2とを有している。
直線部b1は、例えば、その先端側の部分が細く尖った形状を有し、その端部を切れ目23aの基端側の端部と突き合わせるようにテーパ部21bに位置している。これにより、直線部b1と切れ目23aとの間の部分(後述する裂開規制部24)が裂けやすくなっている。
湾曲部b2は、直線部b1の基端側の部分に連続し、例えば、その外形が軸方向に長い略楕円形であって、径方向側の部分(楕円と仮想した場合の短軸の端部)と基端側の部分(楕円と仮想した場合の長軸の端部)との間がそれぞれ略「S」字状に湾曲した形状をなしている。また、湾曲部b2は、開口部23bの基端側の部分を構成し、少なくとも一部分が大径部21aに位置している。このように、裂開部23の開口部23bは、テーパ部21b及び大径部21aの先端側の部分に跨るように形成されている。
また、カテーテル本体部21に血管内留置具1が収容されることで、この血管内留置具1により開口部23bの大部分が内側から塞がれている。つまり、搬送用カテーテル2は、開口部23bを内側から塞ぐようにカテーテル本体部21に収容された状態の血管内留置具1を搬送可能となっている。なお、開口部23bが完全に塞がれるように、当該開口部23bの寸法や形状、血管内留置具1の配置等を適宜任意に変更しても良い。
【0024】
また、切れ目23aと開口部23bとは、カテーテル本体部21の軸方向に所定の間隔を空けて形成されており、これら切れ目23aと開口部23bとの間の部分によって、裂開部23による小径部21cの裂開を規制する裂開規制部24が構成されている。
すなわち、カテーテル本体部21は、裂開規制部24により小径部21cの裂開が規制された状態となっているが、裂開規制部24が軸方向に対して略平行な方向に裂けて当該裂開規制部24による規制が解除されると、当該カテーテル本体部21の先端側の部分が拡幅可能となる。
具体的には、カテーテル本体部21の先端側に血管内留置具1が変位するようにカテーテル本体部21及び血管内留置具1のうち、少なくとも一方をカテーテル本体部21の軸方向に移動させることにより、放出部211は、その内面側から径方向外側に力が加えられ、軸方向に沿って裂開する。例えば、小径部21c近傍(テーパ部21bや小径部21c)にて内面側から径方向外側に力が加えられ裂開部23により小径部21cが裂開して、当該カテーテル本体部21の先端側の部分を構成する2つの先端側構成部212、212が拡幅可能となる(
図3(b)及び
図4(a)等参照)。
このように、裂開部23は、血管内に血管内留置具1を放出するためにカテーテル本体部21の先端側の部分を裂開させる。そして、カテーテル本体部21の先端側の部分が裂開部23により裂開されることで2つの先端側構成部212、212が形成され、これら2つの先端側構成部212、212は、互いに離間可能に構成されている(詳細後述)。
【0025】
また、カテーテル本体部21の先端側の部分には、弾性部材25が配設されている。
弾性部材25は、例えば、スチレン系エラストマー(例えば、SEBS等)、シリコーン系エラストマー等からチューブ状に形成され、裂開部23によりカテーテル本体部21の先端側の部分が裂開されることで形成される2つの先端側構成部212、212を覆うように配設されている。具体的には、弾性部材25は、例えば、カテーテル本体部21の先端側の部分における裂開部23の開口部23bが形成されていない部分、すなわち、拡幅する際に回動する各先端側構成部212の基端側の部分に所定の接着剤により接着されている。つまり、弾性部材25は、2つの先端側構成部212、212どうしに架け渡される(わたる)ように配設され、これら2つの先端側構成部212、212どうしを互いに近付ける方向(閉じる方向)に付勢している。
【0026】
具体的には、カテーテル本体部21の小径部21cが裂開することにより拡幅可能とされた2つの先端側構成部212、212は、弾性部材25により互いに近付く方向に常時付勢されており、血管内留置具1が血管内に留置された状態(
図4(b)参照)、及び、留置された血管内留置具1がカテーテル本体部21に再度収容された状態で(
図6(b)参照)、内側から径方向外側への力が加えられなくなると、弾性部材25の付勢力によって当該2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に復元する。
このように、弾性部材25は、離間した2つの先端側構成部212、212を離間していない状態に復元させるための復元手段を構成している。
【0027】
なお、弾性部材25は、少なくとも2つの先端側構成部212、212を離間していない状態に復元させるための付勢力を付与可能に構成されていればよく、裂開規制部24のように小径部21cの裂開を規制する構成であるか否かは問わない。すなわち、弾性部材25は、裂開規制部24とともに小径部21cの裂開を規制するように構成してもよいし、小径部21cの裂開を規制しないように構成してもよい。
【0028】
また、裂開部23の切れ目23aや開口部23bをカテーテル本体部21に形成する方法としては、例えば、レーザー加工機を用いる手法が挙げられるが、一例であってこれに限られるものではなく、その他の公知の手法を用いてもよい。
また、上記した小径部21c、テーパ部21b、裂開部23(切れ目23aや開口部23b)、裂開規制部24は、放出部211を構成しているが、一例であってこれに限られるものではなく、放出部211の構成は適宜任意に変更可能である。
【0029】
小径部21cの先端側開口を閉塞する閉塞手段は、少なくとも一部分が小径部21cの内側に配置されている。また、閉塞手段は、小径部21cの先端側開口を閉塞可能なものであれば如何なるものも適用可能である。
例えば、
図1及び
図2等にあっては、血管内留置具1としてのステントグラフト11を血管内に留置する際に用いられる先端チップ3を例示して説明する。
【0030】
<先端チップ>
先端チップ3は、搬送用カテーテル2の内側に収縮状態で収容されているステントグラフト11を搬送用カテーテル2の先端側から露出させるためのものであり、例えば、ガイドワイヤGに外挿される長尺なロッドRの先端部に固定されている。
また、先端チップ3には、詳細な説明は省略するが、例えば、収縮状態のステントグラフト11を留置部位にて拡張させるための先端フックを係止するための係止溝(図示略)が設けられている。このような先端フック及び先端チップ3を用いて収縮状態のステントグラフト11を留置部位にて拡張させる方法(仕組み)については、例えば、特開2000−350785号公報又は国際公開第2005/99806号パンフレットに記載の公知の方法を用いることができ、ここでは詳細な説明は省略する。
【0031】
なお、先端チップ3を構成する材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂又はポリ塩化ビニル系樹脂等から構成された合成樹脂(エラストマー)などの、適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料等が挙げられる。
また、ロッドRを構成する材料としては、例えば、樹脂(プラスチック、エラストマー)又は金属など、適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料等が挙げられる。
【0032】
なお、図示は省略するが、カテーテル本体部21の基端側には、使用者により操作される操作部が設けられていてもよい。
【0033】
<血管内留置具搬送装置の使用方法>
次に、血管内留置具搬送装置100の使用方法について、
図3(a)〜
図6(b)を参照して説明する。
なお、以下の説明では、事前に血管内にガイドワイヤGが挿通されて、当該ガイドワイヤGに沿って血管内留置具搬送装置100が導入されるものとする。
【0034】
図3(a)〜
図4(b)は、血管内に血管内留置具1を放出する際の使用方法を説明するために示す図である。
なお、
図3(a)〜
図4(b)にあっては、血管内留置具1として、拡張状態にて略筒状のステントグラフト11を例示して説明する。
【0035】
先ず、搬送用カテーテル2のカテーテル本体部21に収縮状態のステントグラフト11が収容された状態で(
図3(a)参照)、当該ステントグラフト11をその留置部位まで搬送する。
そして、搬送用カテーテル2の位置を固定した状態で、使用者がロッドRを操作して先端チップ3を遠位側に相対的に移動させる。すると、この先端チップ3の移動に伴ってステントグラフト11がカテーテル本体部21内で軸方向先端側に相対的に移動し、このステントグラフト11によりテーパ部21bや小径部21cにて内面側から径方向外側に力が加えられていく。そして、裂開規制部24による規制が解除されると(すなわち、裂開部23により小径部21cが裂開すると)、
図3(b)中白抜きの矢印で示すように、当該カテーテル本体部21の2つの先端側構成部212、212が拡幅可能となる(
図3(b)参照)。
なお、ステントグラフト11は、血管内に放出されることで放出された部分から自動的に拡張していき、拡張状態での外径はカテーテル本体部21の内径よりも大きくなるが、カテーテル本体部21は、弾性部材25の付勢力に抗して、2つの先端側構成部212、212がさらに拡幅された状態となる(
図4(a)参照)。このとき、裂開部23の開口部23bは基端側に膨らむように湾曲して形成されているため、2つの先端側構成部212、212が拡幅する際に開口部23bの基端側に応力が集中し難くなり、当該開口部23bの基端側の部分が裂けてしまうことを抑制することができる。
【0036】
そして、ステントグラフト11が移動していき、血管内に完全に放出されると、カテーテル本体部21は、ステントグラフト11による内側から径方向外側への力が加えられなくなり、
図4(b)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25の付勢力によって2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に復元する。
【0037】
図5(a)〜
図6(b)は、血管内留置具1を収容する際の使用方法を説明するために示す図である。
なお、
図5(a)〜
図6(b)にあっては、血管内留置具1として、拡張状態にて先端側が開口した略籠状の異物回収用デバイス12を例示して説明する。
【0038】
先ず、異物回収用デバイス12は、血管内に放出され留置された状態では、拡張状態であり、その外径がカテーテル本体部21の内径よりも大きくなっている(
図5(a)参照)。
そして、搬送用カテーテル2の位置を固定した状態で、使用者が異物回収用デバイス12に接続されている管状部材12aを操作して当該異物回収用デバイス12を基端側(近位側)に相対的に移動させる。すると、異物回収用デバイス12がカテーテル本体部21内に引き込まれていき、この異物回収用デバイス12の基端側のテーパ部12bにより小径部21cやテーパ部21bにて内面側から径方向外側に力が加えられていく。このとき、カテーテル本体部21は、
図5(b)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25の付勢力に抗して、2つの先端側構成部212、212が拡幅された状態となる(
図5(b)参照)。
【0039】
異物回収用デバイス12がカテーテル本体部21内にさらに引き込まれ、大径部21aの内面に異物回収用デバイス12のテーパ部12b側から接触していくと、異物回収用デバイス12の拡張が大径部21aにより規制されて当該異物回収用デバイス12が次第に収縮していく(
図6(a)参照)。このとき、異物回収用デバイス12の外径は、大径部21aの内径と略等しいか、この内径よりもわずかに小さくなる。そして、2つの先端側構成部212、212は、
図6(a)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25によって互いに近付ける方向に付勢され、先端側構成部212の内面を異物回収用デバイス12の外面にほぼ接触させた状態となる。
【0040】
そして、異物回収用デバイス12の先端側がカテーテル本体部21のテーパ部21bよりも基端側に配置されると、カテーテル本体部21の2つの先端側構成部212、212は、異物回収用デバイス12による内側から径方向外側への力が加えられなくなり、
図6(b)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25の付勢力によって2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に復元する(
図6(b)参照)。
【0041】
以上のように、本実施形態の血管内留置具搬送装置100は、血管内に留置される血管内留置具1と、血管内留置具1を搬送するための搬送用カテーテル2と、を備える血管内留置具搬送装置100であって、搬送用カテーテル2は、可撓性を有するカテーテル本体部21を備え、カテーテル本体部21の先端側の部分を構成する2つの先端側構成部212、212が互いに離間可能に構成され、離間した2つの先端側構成部212、212を離間していない状態に復元させるための復元手段(例えば、弾性部材25)を更に備えている。
したがって、カテーテル本体部21の先端側の部分を構成する2つの先端側構成部212、212が離間してしまっても、復元手段により離間していない状態に復元することができ、カテーテル本体部21の先端側の部分が離間していない閉じた状態とすることができる。これにより、例えば、搬送用カテーテル2を血管内で移動させても、その内壁面に対して強い刺激を与えるおそれを低減することができる。
【0042】
また、カテーテル本体部21の先端側に、当該先端側の部分を裂開させるための裂開部23が設けられ、復元手段は、裂開部23により先端側の部分が裂開されることで形成される2つの先端側構成部212、212どうしに架け渡されるように配設され、当該2つの先端側構成部212、212どうしを近付ける方向に付勢する弾性部材25を含んでいる。
したがって、カテーテル本体部21の先端側の部分が裂開されることで形成される2つの先端側構成部212、212どうしが弾性部材25により近付ける方向に付勢され、2つの先端側構成部212、212が離間してしまっても、離間していない状態に復元させることができる。特に、カテーテル本体部21は、その内側に血管内留置具1を収容し、裂開部23は、血管内留置具1を血管内に放出するために裂開するように構成されている。これにより、血管内留置具1を血管内に放出するためにカテーテル本体部21の先端側の部分が裂開して、2つの先端側構成部212、212が離間してしまっても、弾性部材25により2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に適正に復元させることができる。
【0043】
さらに、弾性部材25は、2つの先端側構成部212、212を覆うようにカテーテル本体部2の先端側の部分に配設されている。
したがって、2つの先端側構成部212、212を覆うようにカテーテル本体部2の先端側の部分に弾性部材25が配設されるだけで、弾性部材25を2つの先端側構成部212、212どうしに架け渡されるように簡便に配設することができ、当該2つの先端側構成部212、212どうしを近付ける方向に適正に付勢することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
例えば、搬送用カテーテル2は、裂開部23によりカテーテル本体部21の先端側の部分が裂開するような構成としたが、当該先端側の部分は必ずしも裂開する必要はない。すなわち、カテーテル本体部21の先端側の部分を構成する複数の先端側構成部212、…をその一部分どうしをほぼ接触させるように近接させた状態を離間していない状態とし、この状態から複数の先端側構成部212、…が互いに離間可能に構成されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態にあっては、カテーテル本体部21の先端側の部分を2つの先端側構成部212、212で構成するようにしたが、一例であってこれに限られるものではなく、先端側構成部212の数は複数であればよく、例えば、3つ以上の先端側構成部212により構成されていてもよい。
【0046】
さらに、上記実施形態にあっては、弾性部材25として、チューブ状に形成されたものを例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、少なくとも複数の先端側構成部212、212どうしに架け渡される(わたる)ように配設されていればよい。
加えて、復元手段として、弾性部材25を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、複数の先端側構成部212、…を離間していない状態に復元させ易くなるように、例えば、カテーテル本体部21の先端側の部分(特に、開口部23b等)の形状や厚さや材質等を変更するようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態にあっては、搬送用カテーテル2として、カテーテル本体部21の先端側にカテーテル本体部21の他の部分よりも小径とされた小径部21cや、この小径部21cに連続して形成されたテーパ部21b等を具備するものを例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、必ずしも小径部21cやテーパ部21bを具備する必要はない。すなわち、搬送用カテーテル2は、例えば、図示は省略するが、カテーテル本体部21の外径が長手方向(軸方向)に沿って略等しい、いわゆるストレート形状のものであってもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態にあっては、裂開部23として、小径部21cから大径部21aにかけて形成されたものを例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、少なくとも小径部21cに形成されていればよい。また、裂開部23として、切れ目23a及び開口部23bを例示したが、カテーテル本体部21にはいずれか一方のみ(例えば、開口部23b等)が形成されていてもよいし、複数の切れ目23aと開口部23bが形成されていてもよい。また、上記実施形態における切れ目23a及び開口部23b(直線部b1及び湾曲部b2)の形状や寸法等は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
また、上記実施形態にあっては、小径部21cの先端側に切欠部22が形成された搬送用カテーテル2を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、切欠部22を形成するか否かは適宜任意に変更可能である。
【0049】
さらに、上記実施形態にあっては、血管内に挿通されたガイドワイヤGに沿って血管内留置具搬送装置100を導入するようにしたが、一例であってこれに限られるものではなく、血管内に血管内留置具搬送装置100を導入する際に、必ずしもガイドワイヤGを用いる必要はない。
【0050】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。