(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置である、折り曲げ可能なタッチパネルについて、
図1乃至
図4を参照しながら説明する。タッチパネルは表示部と、タッチセンサを有する。
【0026】
<断面図の説明>
図1(A)に本発明の一態様の折り曲げ可能なタッチパネルの一状態の断面図を示す。また
図1(B)は本発明の一態様の折り曲げ可能なタッチパネルの別の一状態を示す図である。
【0027】
本発明の一態様では、折り曲げ可能なタッチパネルは、パネル基板101、第1のフィルム102、第2のフィルム103、第1の筐体104−1、第2の筐体104−2、ヒンジ105−1、回路基板106、フレキシブル基板FPC107を有する。パネル基板101、第1のフィルム102、第2のフィルム103、はいずれも可撓性を有する。ヒンジ105−1の回転軸を中心に、第1の筐体104−1を、第2の筐体104−2に対して回転することができる。
図1(A)に示す状態は、ヒンジ105−1の回転軸を中心に、情報処理装置を折り曲げた状態であると言える。
【0028】
図1(A)にて、第1の筐体104−1は第1の部分104−1Aと第2の部分104−1Bと端部111と、を含む。第2の筐体104−2は第1の部分104−2Aと第2の部分104−2Bと、端部110と、を含む。第1の部分104−1Aおよび第1の部分104−2Aは、ヒンジ105−1に接続されており、第1の部分104−1Aには回路基板106と、FPC107とが収納される。第1の筐体104−1に含まれる第2の部分104−1Bは、第1の部分104−1Aの周辺部と重なる。また、第2の部分104−1Bおよび第1の部分104−1Aの周辺部の間には、空隙が形成される。第2の筐体104−2に含まれる第2の部分104−2Bは、第1の部分104−2Aの周辺部と重なる。また、第2の部分104−2Bおよび第1の部分104−2Aの周辺部の間には、別の空隙が形成される。端部111は、第1の部分104−1Aと第2の部分104−1Bとの間に位置する。また、端部110は、第1の部分104−2Aと第2の部分104−2Bとの間に位置する。例えば、第1の筐体104−1において、第1の部分104−1A、第2の部分104−1Bおよび端部111に囲まれる領域に、空隙(スリット108−1)が形成される。また、第2の筐体104−2において、第1の部分104−2A、第2の部分104−2Bおよび端部110に囲まれる領域に、空隙(スリット108−2)が形成される。すなわち、スリット108−1が第1の筐体104−1に設けられ、スリット108−2が第2の筐体104−2に設けられる。
【0029】
第1のフィルム102、パネル基板101および第2のフィルム103は重ねられ、スリット108−1およびスリット108−2に収納される。
【0030】
パネル基板に駆動回路を設ける場合、インセル型で設けても、COG(Chip On Glass)法またはCOF(Chip On Film)法を用いて設けても良い。
図1(A)、
図1(B)にはCOG法を用いて設ける場合のソケット109が示される。
【0031】
本発明の一態様の情報処理装置は、折り曲げ可能なパネル基板101と、透明で且つ厚さ50μm以上500μm以下、好ましくは80μm以上150μm以下の第1のフィルム102を有する。第1のフィルム102を有することによってパネル基板101の表面の機械的破損を防止し、且つ、パネル基板101が第1の筐体104−1、第2の筐体104−2から浮き上がる状態になることを防止する。またパネル基板101と、第1の筐体104−1または第2の筐体104−2との間に、第2のフィルム103を収めることができる。第1のフィルム102および第2のフィルム103の間に、パネル基板101を摺動可能に挟む。これにより、パネル基板101を、第1の筐体104−1および第2の筐体104−2を用いて支持することができる。また、タッチパネルの操作に伴う押圧によるパネル基板101の変形量を、第2のフィルム103は小さくすることができる。但し本発明の一態様の情報処理装置は、第2のフィルム103が無い構成でも表面の機械的破損を防止する構成とすることができる。
【0032】
本発明の一態様では、第1のフィルム102、第2のフィルム103は、それぞれ第1の筐体104−1と接する部分に固定され、支持される。
図1(A)に示すように、第1のフィルム102は支持部116により第1の筐体104−1に固定される。第2のフィルム103は支持部117により第1の筐体104−1に固定される。
【0033】
本発明の一態様では、FPC107がパネル基板101を回路基板106に接続する。回路基板106は第1の筐体104−1に固定される。パネル基板101の折りたたまれた部分および端部111近傍の第1の筐体104−1の間に生じる摩擦力と、FPC107および回路基板106との接続とを用いて、パネル基板101を第1の筐体104−1に支持させる。
【0034】
第1の筐体104−1の有するスリット108−1において、第1のフィルム102とパネル基板101は互いに固定されていても良く、パネル基板101と第2のフィルム103は互いに固定されていても良い。これにより、パネル基板101、第1のフィルム102、第2のフィルム103が、第2の筐体104−2の有するスリット108−2内で互いに摺動することができる。または、情報処理装置の折り曲げの動作に伴いパネル基板に加わる応力を緩和することができる。または、応力によるパネル基板の破損を防ぐことができる。
【0035】
第1のフィルム102はパネル基板101に対して固定されていない領域を有する。第1のフィルム102とパネル基板101とが固定された状態で情報処理装置の折り曲げをおこなうと、パネル基板101が応力により破損しやすくなる。本発明の一態様では、上記情報処理装置の折り曲げの動作を行ったとき、第1のフィルム102とパネル基板101とが摺動することで、応力によるパネル基板101の破損を低減する。
【0036】
本発明の一態様の情報処理装置は、第1のフィルム102を通して表示部を視認することができる。すなわち第1のフィルム102は可視光領域の波長の光に対して透過性をもつ。
図2(A)は表示される面が凹となるように、情報処理装置を折り曲げた状態である。この状態において、第1のフィルム102の方が、第2のフィルム103より端部110に近づいている。また
図2(B)は表示される面が凸となるように、情報処理装置を折り曲げた状態である。この状態において、第2のフィルム103の方が、第1のフィルム102より端部110に近づいている。このように第1のフィルム102、第2のフィルム103及びパネル基板101が互いに摺動することにより、パネル基板101にかかる曲げ応力、圧縮応力、及び引っ張り応力を低減することができる。
【0037】
<パネル基板の上面図の説明>
本実施の形態でパネル基板101として、例えば、タッチパネル300を用いることができる(
図3(A)参照)。あるいは、タッチパネル400を用いることができる(
図3(B)参照)。タッチパネル300、タッチパネル400はそれぞれ表示部301を有する。
【0038】
タッチパネル300あるいはタッチパネル400は、タッチセンサを有し、タッチセンサは表示部301と重なる領域を備える。例えば、表示パネルに重なるシート状の静電容量方式のタッチセンサを用いることができる。または、いわゆるインセル型のタッチパネルを用いることができる。インセル型のタッチパネルはタッチセンサの機能を備える。例えば、静電容量方式のタッチセンサを適用してもよいし、光電変換素子を用いた光学式のタッチセンサを適用してもよい。具体的には、光電変換素子を光学式のタッチセンサに用いることができる(
図3(A)または
図3(B)参照)。例えば、光学式のタッチセンサは表示部301を備え、表示部301は複数の画素302と複数の撮像画素308を備える。撮像画素308は、表示部301に触れる指または表示部301に翳される指等を、検知することができる。
【0039】
画素302は、複数の副画素(例えば副画素302R)を備え、副画素は発光素子および画素回路を備える。
【0040】
画素回路は、選択信号を供給することができる配線および画像信号を供給することができる配線と、電気的に接続され、画素回路は、発光素子を駆動する電力を供給する。
【0041】
図3(A)に示されるタッチパネル300は、走査線駆動回路303g(1)および画像信号線駆動回路303s(1)とを有する。走査線駆動回路303g(1)は選択信号を画素302に供給することができる。画像信号線駆動回路303s(1)は画像信号を画素302に供給することができるまた、
図3(B)に示すタッチパネル400は走査線駆動回路および画像信号線駆動回路を有する。走査線駆動回路は選択信号を画素302に供給することができる。画像信号線駆動回路は画像信号を画素302に供給することができる。設ける場合において、タッチパネル400はソケット109が配置される領域401(1)と領域401(2)とを有し、COG法を用いてそれぞれに駆動回路を設ける。
【0042】
撮像画素308は、光電変換素子および撮像画素回路を備え、撮像画素回路は光電変換素子を駆動する。
【0043】
撮像画素回路は、制御信号を供給することができる配線および電源電位を供給することができる配線と電気的に接続される。
【0044】
例えば、所定の撮像画素回路を選択し、記録された撮像信号を読み出す信号、撮像画素回路を初期化する信号および撮像画素回路が光を検知する時間を決定する信号などを制御信号に用いることができる。
【0045】
タッチパネル300またはタッチパネル400は、撮像画素駆動回路303g(2)および撮像信号線駆動回路303s(2)を備える。撮像画素駆動回路303g(2)は、制御信号を撮像画素308に供給することができる。撮像信号線駆動回路303s(2)は、撮像信号を読み出すことができる。
【0046】
タッチパネル300またはタッチパネル400は、線分406または線分407で示す領域で折り曲げることができる。例えば、端部111付近に線分406で示す領域を配置し、ヒンジ105−1付近に線分407で示す領域を配置して、タッチパネル300またはタッチパネル400を折り曲げることができる。
【0047】
タッチパネル300は線分406で示す領域で折り畳むことができる。例えば、走査線駆動回路303g(1)および画像信号線駆動回路303s(1)が配置される領域と、表示部が配置される領域との間で、タッチパネル300を折りたたむことができる。領域401(1)および領域401(2)が配置される領域と、表示部が配置される領域との間で、タッチパネル400を折り畳むことができる。これにより、第2の部分104−1Bの面積を小さくすることができる。または、タッチパネル300の走査線駆動回路303g(1)および画像信号線駆動回路303s(1)が配置される領域の面積を、第2の部分104−1Bの面積より大きくすることができる。または、タッチパネル400の領域401(1)および領域401(2)が配置される領域の面積を、第2の部分104−1Bの面積より大きくすることができる。
【0048】
<筐体の上面図の説明>
第1の筐体104−1、第2の筐体104−2、ヒンジ105−1、スリット108−1、スリット108−2および端部110を、
図4に示す。
【0049】
第2の筐体104−2の一辺にヒンジ105−1が接続され、第2の筐体104−2の他の三辺にスリット108−2が設けらる。端部110はヒンジ105−1の回転軸と平行に設けられる。第1の筐体104−1の一辺にヒンジ105−1が接続され、第1の筐体104−1の他の三辺にスリット108−1が設けらる。端部111は、ヒンジ105−1の回転軸と平行に設けられる。
【0050】
パネル基板101、第1のフィルム102および第2のフィルム103は、第1の筐体104−1に固定されている。これにより、ヒンジ105−1において情報処理装置が折り曲げられても、端部111とパネル基板101の間の距離、端部111と第1のフィルム102の間の距離、端部111と第2のフィルム103の間の距離は変化しない。一方、パネル基板101、第1のフィルム102および第2のフィルム103は、第2の筐体104−2に固定されていない。これにより、ヒンジ105−1において情報処理装置が折り曲げられると、端部110とパネル基板101の間の距離、端部110と第1のフィルム102の間の距離、端部110と第2のフィルム103の間の距離は変化する。例えば、端部110とパネル基板101の距離の間の距離は、ヒンジ105−1の回転軸とパネル基板101の間の距離が長いほど、大きく変化する。
【0051】
なお、ヒンジ105−1において情報処理装置を折り曲げても、第2のフィルム103に、強い曲げ応力、圧縮応力、及び引っ張り応力が加わらない場合は、第2のフィルム103を第1の筐体104−1と、第2の筐体104−2とに固定しても良い。
【0052】
図1(A)、
図1(B)および
図4に、ヒンジ105−1を簡略化して示す。
図1(B)に示す状態において、ヒンジ105−1の回転軸は、パネル基板101と重なる。この配置により、情報処理装置の折り曲げ動作に伴って、パネル基板101が摺動する距離、第1のフィルム102が摺動する距離および第2のフィルム103が摺動する距離を小さくすることができる。
【0053】
パネル基板101は端部110から離れ、第1のフィルム102は端部110から離れ、第2のフィルム103は端部110から離れている。これにより、情報処理装置の折り曲げ動作に伴い、パネル基板101、第1のフィルム102、第2のフィルム103は摺動しても、パネル基板101、第1のフィルム102または第2のフィルム103は、いずれも端部110に接触しない。また、第1のフィルム102の端部は、常に第2の部分104−2Bと重なる。これにより、パネル基板101、第1のフィルム102、第2のフィルム103の端部がスリット108−2から脱落する、あるいは第2の部分104−2Bの端部と衝突することを防止できる。または、パネル基板101、第1のフィルム102または第2のフィルム103は、端部110と接触しない。または、端部110との接触によるたわみ、劣化、破損から、パネル基板101、第1のフィルム102または第2のフィルム103を防ぐことができる。
【0054】
例えば、パネル基板101に表示部を設け、第1のフィルム102にタッチパネルを設けることができる。なお、第1のフィルム102およびパネル基板101は摺動し、摺動に伴い表示部に対するタッチパネルの位置がずれる場合がある。また、位置がずれた状態でタッチパネルに位置情報を入力した場合、意図しない情報が入力される場合がある。例えば、パネル基板101にタッチパネルおよび表示部を設けることができる。これにより、表示部に対するタッチパネルの位置をずれなくすることができる。ことが好ましい。
【0055】
本発明の一態様の情報処理装置は、第1のフィルム102とパネル基板101のみの構成でも良い。このときパネル基板101は、第1のフィルム102と摺動可能に接触し、第1の筐体104−1、第2の筐体104−2に支持される。
【0056】
本発明の一態様の情報処理装置は、3以上のフィルムとパネル基板101のみの構成でも良い。このときパネル基板101は、一面に接触するフィルムと、反対側の一面に接触するフィルムとに摺動可能に接触し、第1の筐体104−1、第2の筐体104−2に支持される。
【0057】
本発明の一態様の情報処理装置は、複数のヒンジを設け、筐体を3以上有する構成としても良い。情報処理装置を構成する、接続された筐体の一つを第1の筐体としたとき、第1の筐体以外のスリット内で、第1のフィルム102とパネル基板101とが摺動可能な構成としても良い。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置の有する、折り曲げ可能なタッチパネルの構成について、
図5を参照しながら説明する。
【0059】
図5(A)は本発明の一態様の情報処理装置に適用可能なタッチパネルの構造を説明する上面図である。
図5(A)にて各部分は、
図3(A)に対応している。
【0060】
図5(B)は
図5(A)の切断線A−Bおよび切断線C−Dにおける断面図である。
【0061】
図5(C)は
図5(A)の切断線E−Fにおける断面図である。
【0062】
<断面図の説明>
タッチパネル300は、基板310および基板310に対向する対向基板370を有する(
図5(B)参照)。
【0063】
基板310および対向基板370に可撓性を有する材料を適用することにより、可撓性をタッチパネル300に付与することができる。
【0064】
なお、可撓性を有するタッチパネル300を変形すると、タッチパネル300に設けられた機能素子は応力を受ける。機能素子を基板310と対向基板370のおよそ中央に配置すると機能素子の変形を抑制することができ好ましい。
【0065】
また、線膨張率の差がおよそ等しい材料を基板310および対向基板370に用いると好ましい。材料の線膨張率は1×10
−3/K以下、好ましくは5×10
−5/K以下、より好ましくは1×10
−5/K以下であるとよい。
【0066】
例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、もしくはシリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を基板310および対向基板370に用いることができる。
【0067】
基板310は、可撓性を有する基板310b、不純物の発光素子への拡散を防ぐバリア膜310aおよび基板310bとバリア膜310aを貼り合わせる樹脂層310cが積層された積層体である。
【0068】
対向基板370は、可撓性を有する基材370b、不純物の発光素子への拡散を防ぐバリア膜370aおよび基材370bとバリア膜370aを貼り合わせる樹脂層370cの積層体である(
図5(B)参照)。
【0069】
封止材360は対向基板370と基板310を貼り合わせている。また、封止材360は空気より大きい屈折率を備え、光学的に接合する機能を有する層を兼ねる。画素回路および発光素子(例えば第1の発光素子350R)は基板310と対向基板370の間にある。
【0070】
<画素の構成>
画素302は、副画素302R、副画素302Gおよび副画素302Bを有する(
図5(C)参照)。また、副画素302Rは発光モジュール380Rを備え、副画素302Gは発光モジュール380Gを備え、副画素302Bは発光モジュール380Bを備える。
【0071】
例えば副画素302Rは、第1の発光素子350Rおよび第1の発光素子350Rに電力を供給することができるトランジスタ302tを含む画素回路を備える(
図5(B)参照)。また、発光モジュール380Rは第1の発光素子350Rおよび光学素子(例えば第1の着色層367R)を備える。
【0072】
第1の発光素子350Rは、第1の下部電極351R、上部電極352、第1の下部電極351Rと上部電極352の間に発光性の有機化合物を含む層353を有する(
図5(C)参照)。
【0073】
発光性の有機化合物を含む層353は、発光ユニット353a、発光ユニット353bおよび発光ユニット353aと発光ユニット353bの間に中間層354を備える。
【0074】
発光モジュール380Rは、第1の着色層367Rを対向基板370に有する。着色層は特定の波長を有する光を透過するものであればよく、例えば赤色、緑色または青色等を呈する光を選択的に透過するものを用いることができる。または、発光素子の発する光をそのまま透過する領域を設けてもよい。
【0075】
例えば、発光モジュール380Rは、第1の発光素子350Rと第1の着色層367Rに接する封止材360を有する。
【0076】
第1の着色層367Rは第1の発光素子350Rと重なる位置にある。これにより、第1の発光素子350Rが発する光の一部は、光学的に接合する機能を有する層を兼ねる封止材360および第1の着色層367Rを透過して、図中の矢印に示すように発光モジュール380Rの外部に射出される。本発明の一態様の情報処理装置は、この矢印の方向に、第1のフィルム102を有する。
【0077】
<表示パネルの構成>
タッチパネル300は、遮光層367BMを対向基板370に有する。遮光層367BMは、着色層(例えば第1の着色層367R)を囲むように設けられている。
【0078】
タッチパネル300は、反射防止層367pを表示部301に重なる位置に備える。反射防止層367pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
【0079】
タッチパネル300は、絶縁膜321を備える。
図5(B)にて絶縁膜321はトランジスタ302tを覆っている。なお、絶縁膜321は画素回路に起因する凹凸を平坦化するための層として用いることができる。また、不純物のトランジスタ302t等への拡散を抑制することができる層が積層された絶縁膜を、絶縁膜321に適用することができる。
【0080】
タッチパネル300は、発光素子(例えば第1の発光素子350R)を絶縁膜321上に有する。
【0081】
タッチパネル300は、第1の下部電極351Rの端部に重なる隔壁328を絶縁膜321上に有する(
図5(C)参照)。また、基板310と対向基板370の間隔を制御するスペーサ329を、隔壁328上に有する。
【0082】
<画像信号線駆動回路の構成>
画像信号線駆動回路303s(1)は、トランジスタ303tおよび容量303cを含む。なお、駆動回路は画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
【0083】
<撮像画素の構成>
撮像画素308は、光電変換素子308pおよび光電変換素子308pに照射された光を検知するための撮像画素回路を備える。また、撮像画素回路は、トランジスタ308tを含む。
【0084】
例えばpin型のフォトダイオードを光電変換素子308pに用いることができる。
【0085】
<他の構成>
タッチパネル300は、信号を供給することができる配線311を備え、端子319が配線311に設けられている。なお、画像信号および同期信号等の信号を供給することができるFPC309(1)が端子319に電気的に接続されている。端子319に、FPC309(1)とFPC309(2)で分割して接続する構成でも良いし、FPC309と一つで接続する構成でも良い。
【0086】
なお、FPC309(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
【0087】
同一の工程で形成されたトランジスタを、トランジスタ302t、トランジスタ303t、トランジスタ308t等のトランジスタに適用できる。
【0088】
ボトムゲート型、トップゲート型等の構造を有するトランジスタを適用できる。
【0089】
様々な半導体をトランジスタに適用できる。例えば、酸化物半導体、単結晶シリコン、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンなどを適用できる。
【0090】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0091】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置の有するパネル基板に適用することができる折り曲げ可能なタッチパネルの構成について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0092】
図6(A)は、本実施の形態で例示するタッチパネル500の斜視図である。なお明瞭化のため、代表的な構成要素を
図6に示す。
図6(B)は、タッチパネル500の斜視図である。
【0093】
図7(A)は、
図6(A)に示すタッチパネル500のX1−X2における断面図である。
【0094】
タッチパネル500は、表示部501とタッチセンサ595を備える(
図6(B)参照)。また、タッチパネル500は、基板510、基板570および基板590を有する。なお、基板510、基板570および基板590はいずれも可撓性を有する。
【0095】
表示部501は、基板510、基板510上に複数の画素および当該画素に信号を供給することができる複数の配線511、および画像信号線駆動回路503s(1)を備える。複数の配線511は、基板510の外周部にまで引き回され、その一部が端子519を構成している。端子519はFPC509(1)と電気的に接続する。
【0096】
<タッチセンサ>
基板590には、タッチセンサ595と、タッチセンサ595と電気的に接続する複数の配線598を備える。複数の配線598は基板590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、当該端子はFPC509(2)と電気的に接続される。なお、
図6(B)では明瞭化のため、基板590の裏面側(基板510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ595の電極や配線等を実線で示している。
【0097】
タッチセンサ595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
【0098】
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0099】
以下では、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用する場合について、
図6(B)を用いて説明する。
【0100】
なお、指等の検知対象の近接または接触を検知することができるさまざまなセンサを適用することができる。
【0101】
投影型静電容量方式のタッチセンサ595は、電極591と電極592を有する。電極591は複数の配線598のいずれかと電気的に接続し、電極592は複数の配線598の他のいずれかと電気的に接続する。
【0102】
電極592は、
図6(A)、(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続された形状を有する。
【0103】
電極591は四辺形であり、電極592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
【0104】
配線594は、電極592を挟む二つの電極591を電気的に接続する。このとき、電極592と配線594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のムラを低減できる。その結果、タッチセンサ595を透過する光の輝度ムラを低減することができる。
【0105】
なお、電極591、電極592の形状はこれに限られず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極592を、電極591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
【0106】
タッチセンサ595の構成を、
図7を用いて説明する。
【0107】
タッチセンサ595は、基板590、基板590上に千鳥状に配置された電極591及び電極592、電極591及び電極592を覆う絶縁層593並びに隣り合う電極591を電気的に接続する配線594を備える。
【0108】
樹脂層597は、タッチセンサ595が表示部501に重なるように、基板590を基板570に貼り合わせている。
【0109】
電極591及び電極592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
【0110】
透光性を有する導電性材料を基板590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極591及び電極592を形成することができる。
【0111】
また、絶縁層593に用いる材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0112】
また、電極591に達する開口が絶縁層593に設けられ、配線594が隣接する電極591を電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高まることができるため、配線594に好適に用いることができる。また、電極591及び電極592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線594に好適に用いることができる。
【0113】
一の電極592は一方向に延在し、複数の電極592がストライプ状に設けられている。
【0114】
配線594は電極592と交差して設けられている。
【0115】
一対の電極591が一の電極592を挟んで設けられ、配線594は一対の電極591を電気的に接続している。
【0116】
なお、複数の電極591は、一の電極592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
【0117】
一の配線598は、電極591又は電極592と電気的に接続される。配線598の一部は、端子として機能する。配線598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
【0118】
なお、絶縁層593及び配線594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ595を保護することができる。
【0119】
また、
図7には示していないが接続層599は、配線598とFPC509(2)を電気的に接続する。
【0120】
接続層599としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0121】
樹脂層597は、透光性を有する。例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、またはシリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂などを用いることができる。
【0122】
<表示部>
表示部501は、マトリクス状に配置された複数の画素を備える。画素は表示素子と表示素子を駆動する画素回路を備える。
【0123】
本実施の形態では、白色の光を射出する有機エレクトロルミネッセンス素子を表示素子に適用する場合について説明するが、表示素子はこれに限られない。
【0124】
例えば、副画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なる有機エレクトロルミネッセンス素子を副画素毎に適用してもよい。
【0125】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子の他、電気泳動方式やエレクトロウェッティング方式などにより表示を行う表示素子(電子インクともいう)、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、液晶素子など、様々な表示素子を表示素子に用いることができる。また、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイなどにも適用できる。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。また、適用する表示素子に好適な構成を様々な画素回路から選択して用いることができる。
【0126】
また、表示部において、画素に能動素子を有するアクティブマトリクス方式、または、画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式を用いることが出来る。
【0127】
アクティブマトリクス方式では、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)として、トランジスタだけでなく、さまざまな能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いることが出来る。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、又はTFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることができ、低消費電力化や高輝度化をはかることが出来る。
【0128】
アクティブマトリクス方式以外のものとして、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないパッシブマトリクス型を用いることも可能である。能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないため、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図ることが出来る。
【0129】
可撓性を有する材料を基板510および基板570に好適に用いることができる。
【0130】
不純物の透過が抑制された材料を基板510および基板570に好適に用いることができる。例えば、水蒸気の透過率が10
−5g/(m
2・day)以下、好ましくは10
−6g/(m
2・day)以下である材料を好適に用いることができる。
【0131】
線膨張率がおよそ等しい材料を基板510および基板570に好適に用いることができる。例えば、線膨張率が1×10
−3/K以下、好ましくは5×10
−5/K以下、より好ましくは1×10
−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
【0132】
基板510は、可撓性を有する基板510b、不純物の発光素子への拡散を防ぐバリア膜510aおよび基板510bとバリア膜510aを貼り合わせる樹脂層510cが積層された積層体である。
【0133】
例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、またはシリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂などを樹脂層510cに用いることができる。
【0134】
基板570は、可撓性を有する基板570b、不純物の発光素子への拡散を防ぐバリア膜570aおよび基板570bとバリア膜570aを貼り合わせる樹脂層570cの積層体である。
【0135】
封止材560は基板570と基板510を貼り合わせている。封止材560は空気より大きい屈折率を備える。また、封止材560側に光を取り出す場合は、封止材560は光学的に接合する機能を有する層を兼ねる。画素回路および発光素子(例えば第1の発光素子550R)は基板510と基板570の間にある。
【0136】
<画素の構成>
画素は、副画素502Rを含み、副画素502Rは発光モジュール580Rを備える。
【0137】
副画素502Rは、第1の発光素子550Rおよび第1の発光素子550Rに電力を供給することができるトランジスタ502tを含む画素回路を備える。また、発光モジュール580Rは第1の発光素子550Rおよび光学素子(例えば第1の着色層567R)を備える。
【0138】
第1の発光素子550Rは、下部電極、上部電極、下部電極と上部電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する。
【0139】
発光モジュール580Rは、光を取り出す方向に第1の着色層567Rを有する。着色層は特定の波長を有する光を透過するものであればよく、例えば赤色、緑色または青色等を呈する光を選択的に透過するものを用いることができる。なお、他の副画素において、発光素子の発する光をそのまま透過する領域を設けてもよい。
【0140】
また、封止材560が光を取り出す側に設けられている場合、封止材560は、第1の発光素子550Rと第1の着色層567Rに接する。
【0141】
第1の着色層567Rは第1の発光素子550Rと重なる位置にある。これにより、第1の発光素子550Rが発する光の一部は第1の着色層567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール580Rの外部に射出される。本発明の一態様の情報処理装置は、この矢印の方向に、第1のフィルム102を有する。
【0142】
<表示部の構成>
表示部501は、光を射出する方向に遮光層567BMを有する。遮光層567BMは、着色層(例えば第1の着色層567R)を囲むように設けられている。
【0143】
表示部501は、反射防止層567pを画素に重なる位置に備える。反射防止層567pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
【0144】
表示部501は、絶縁膜521を備える。絶縁膜521はトランジスタ502tを覆っている。なお、絶縁膜521は画素回路に起因する凹凸を平坦化するための層として用いることができる。また、不純物の拡散を抑制できる層を含む積層膜を、絶縁膜521に適用することができる。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ502t等の信頼性の低下を抑制できる。
【0145】
表示部501は、発光素子(例えば第1の発光素子550R)を絶縁膜521上に有する。
【0146】
表示部501は、下部電極の端部に重なる隔壁528を絶縁膜521上に有する。また、基板510と基板570の間隔を制御するスペーサを、隔壁528上に有する。
【0147】
<走査線駆動回路の構成>
走査線駆動回路503g(1)は、トランジスタ503tおよび容量503cを含む。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
【0148】
<他の構成>
表示部501は、信号を供給することができる配線511を備え、端子519が配線511に設けられている。なお、画像信号および同期信号等の信号を供給することができるFPC509(1)が端子519に電気的に接続されている。
【0149】
なお、FPC509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
【0150】
表示部501は、走査線、信号線および電源線等の配線を有する。様々導電膜を配線に用いることができる。
【0151】
具体的には、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、イットリウム、ジルコニウム、銀またはマンガンから選ばれた金属元素、上述した金属元素を成分とする合金または上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることができる。とくに、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンの中から選択される一以上の元素を含むと好ましい。特に、銅とマンガンの合金がウエットエッチング法を用いた微細加工に好適である。
【0152】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等を用いることができる。
【0153】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を積層する積層構造を用いることができる。
【0154】
また、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透光性を有する導電材料を用いてもよい。
【0155】
<表示部の変形例1>
様々なトランジスタを表示部501に適用できる。
【0156】
ボトムゲート型のトランジスタを表示部501に適用する場合の構成を、
図7(A)および
図7(B)に図示する。
【0157】
例えば、酸化物半導体、アモルファスシリコン等を含む半導体層を、
図7(A)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0158】
例えば、少なくともインジウム(In)、亜鉛(Zn)及びM(Al、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn−M−Zn酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。
【0159】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある。
【0160】
酸化物半導体膜を構成する酸化物半導体として、例えば、In−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物、In−Ga系酸化物を用いることができる。
【0161】
なお、ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0162】
例えば、レーザーアニールなどの処理により結晶化させた多結晶シリコンを含む半導体層を、
図7(B)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0163】
トップゲート型のトランジスタを表示部501に適用する場合の構成を、
図7(C)に図示する。
【0164】
例えば、多結晶シリコンまたは単結晶シリコン基板等から転置された単結晶シリコン膜等を含む半導体層を、
図7(C)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0165】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0166】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置に適用することができる折り曲げ可能なタッチパネルの構成について、
図8を参照しながら説明する。
【0167】
図8は、タッチパネル500Bの断面図である。
【0168】
本実施の形態で説明するタッチパネル500Bは、供給された画像情報をトランジスタが設けられている側に表示する表示部501を備える点およびタッチセンサが表示部の基板510側に設けられている点が、実施の形態3で説明するタッチパネル500とは異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0169】
<表示部>
表示部501は、マトリクス状に配置された複数の画素を備える。画素は表示素子と表示素子を駆動する画素回路を備える。
【0170】
<画素の構成>
画素は、副画素502Rを含み、副画素502Rは発光モジュール580Rを備える。
【0171】
副画素502Rは、第1の発光素子550Rおよび第1の発光素子550Rに電力を供給することができるトランジスタ502tを含む画素回路を備える。
【0172】
発光モジュール580Rは第1の発光素子550Rおよび光学素子(例えば第1の着色層567R)を備える。
【0173】
第1の発光素子550Rは、下部電極、上部電極、下部電極と上部電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する。
【0174】
発光モジュール580Rは、光を取り出す方向に第1の着色層567Rを有する。着色層は特定の波長を有する光を透過するものであればよく、例えば赤色、緑色または青色等を呈する光を選択的に透過するものを用いることができる。なお、他の副画素において、発光素子の発する光をそのまま透過する領域を設けてもよい。
【0175】
第1の着色層567Rは第1の発光素子550Rと重なる位置にある。また、
図8(A)に示す第1の発光素子550Rは、トランジスタ502tが設けられている側に光を射出する。これにより、第1の発光素子550Rが発する光の一部は第1の着色層567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール580Rの外部に射出される。本発明の一態様の情報処理装置は、この矢印の方向に、第1のフィルム102を有する。
【0176】
<表示部の構成>
表示部501は、光を射出する方向に遮光層567BMを有する。遮光層567BMは、着色層(例えば第1の着色層567R)を囲むように設けられている。
【0177】
表示部501は、絶縁膜521を備える。絶縁膜521はトランジスタ502tを覆っている。なお、絶縁膜521は画素回路に起因する凹凸を平坦化するための層として用いることができる。また、不純物の拡散を抑制できる層を含む積層膜を、絶縁膜521に適用することができる。これにより、例えば第1の着色層567Rから拡散する不純物によるトランジスタ502t等の信頼性の低下を抑制できる。
【0178】
<タッチセンサ>
タッチセンサ595は、表示部501の基板510側に設けられている(
図8(A)参照)。
【0179】
樹脂層597は、基板510と基板590の間にあり、表示部501とタッチセンサ595を貼り合わせる。
【0180】
<表示部の変形例1>
様々なトランジスタを表示部501に適用できる。
【0181】
ボトムゲート型のトランジスタを表示部501に適用する場合の構成を、
図8(A)および
図8(B)に図示する。
【0182】
例えば、酸化物半導体、アモルファスシリコン等を含む半導体層を、
図8(A)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。また、一対のゲート電極をトランジスタのチャネルが形成される領域を上下に挟むように設けてもよい。これにより、トランジスタの特性の変動を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0183】
例えば、多結晶シリコン等を含む半導体層を、
図8(B)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0184】
トップゲート型のトランジスタを表示部501に適用する場合の構成を、
図8(C)に図示する。
【0185】
例えば、多結晶シリコンまたは転写された単結晶シリコン膜等を含む半導体層を、
図8(C)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0186】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0187】
(実施の形態5)
本実施の形態では、他の実施の形態で説明される筐体の、回転方向について説明する。
【0188】
本発明の一態様のパネル基板は、タッチパネルであると好ましい。タッチパネルの表示部はタッチセンサを備え、ペンや鉛筆等の先端の細い部材、または指、などで第1のフィルム102に触れることで、タッチ位置が検出される。すなわち、パネル基板101は第1のフィルム102により保護されている。
【0189】
第1のフィルム102に先端の細い部材が触れたとき、第1のフィルム102が破壊されないためには、第1のフィルム102の硬度が高いことが求められる。第1のフィルム102の硬度は、鉛筆硬度試験にて評価することができる。第1のフィルム102の硬度を高めるためには、第1のフィルム102が十分な厚さを有すること、かつ十分な硬度を持った材料で形成されることが好ましい。
【0190】
パネル基板101には、先端の細い部材が触れることによるクラック、配線及び絶縁膜の界面等の、脆弱部600Aが複数存在する。また、第1のフィルム102にも先端の細い部材が触れること等により生じる、脆弱部600Bが複数存在する。
【0191】
パネル基板101は、可撓性の基板601と、可撓性の基板602と、その間の素子形成領域603と、を有する。素子形成領域603には金属層からなる配線や無機絶縁膜等が形成され、それらの界面が存在する。これら界面、段差、結晶粒界等は、脆弱部600Aとなりやすい。そのため脆弱部600Aは、素子形成領域603に多く存在する。素子形成領域603の脆弱部600Aが破断すると、素子形成領域603に含まれる素子(例えば、トラジスタ、容量素子、配線等)は破壊されることがある。
【0192】
例えば、筐体の可動域の範囲で、基板602を内側にして、曲げモーメント604がパネル基板101に生じるように曲げる(
図12(A)参照)。
【0193】
パネル基板101が曲げモーメント604を受けて曲げられると、曲げモーメント604に対抗して、パネル基板101の凸状に曲げられた側にある基板601に引張応力が生じる。また、凹状に曲げられた側にある基板602に圧縮応力が生じる。なお、パネル基板101の中心付近に、引張応力も圧縮応力も生じない面があり、これを中立面605という。
【0194】
応力の大きさはパネル基板101の中立面605で0であり、引張り応力はパネル基板101の基板601側の表面に向かって直線的に増加し、圧縮応力はパネル基板101の基板602側の表面に向かって直線的に増加する。なお、それぞれはパネル基板101の表面において最大になり、このパネル基板101の表面における応力をパネル基板101の曲げ応力という。
【0195】
脆弱部600Aに引っ張り応力が働いたとき、脆弱部600Aから亀裂が始まり、脆弱部600Aは破断の起点になる。一方、脆弱部600Aに圧縮応力が働いたとき、脆弱部600Aはつぶされるため、破断の起点にはなり難い。
【0196】
素子形成領域603は厚みを有するため、中立面605にのみ素子形成領域603を形成することはできないが、中立面605の近傍に形成すれば、素子形成領域603に生じる曲げ応力を少さくすることができる。また、素子形成領域603に加わる応力は0または圧縮方向であることが望ましい。すなわち、パネル基板が、素子形成領域603を中立面605により内側に備える構成が好ましい。これにより、パネル基板101を内側に曲げても、素子形成領域603が備える膜に亀裂が生じにくい。
【0197】
本発明の情報処理装置は第1のフィルム102を備える(
図12(B)参照)。第1のフィルム102はパネル基板101に対して固定されていない。また、第1のフィルム102が凹側になるように、パネル基板101は曲げられる。これにより、タッチパネルの表示部を保護することができる。または、例えば、第1のフィルム102の側からパネル基板101に、外力606が加えられる場合、パネル基板101における中立面605は、第1のフィルム102側に移動するが、外力606を小さくすることにより素子形成領域603に加わる引っ張り応力を抑制することができる。または、素子形成領域603における破断や亀裂を避けることができる。
【0198】
または、第1のフィルム102は可撓性を有し、パネル基板101と接する面とは別の面にハードコート層を備える。これにより、ペンや鉛筆等の先端の細い部材から、パネル基板101を保護することができる。または、ハードコート層が内側になるようにパネル基板101を曲げても、ハードコート層にかかる応力を、常に0または圧縮方向にすることができる。
【0199】
本発明の情報処理装置は、第1の筐体と、第2の筐体と、パネル基板101と、第1のフィルム102と、を有する。第1の筐体は回転可能に第2の筐体と連結され、第1のフィルム102はパネル基板101と接する面を備え、当該面が凸になるように曲げられた状態において、パネル基板101は素子形成領域603を中立面より第1のフィルム102側に備える。また、第1のフィルム102はハードコート層をパネル基板101側に備える。
【0200】
また、本発明の一態様の情報処理装置は、第1の筐体が、回転軸を中心に所定の可動域において回転可能に第2の筐体と連結され、所定の可動域は第1のフィルム102のパネル基板101側の面が平面または凸形状となるように回転を制限する。これにより、第1の筐体を回転軸を中心に回転した場合に、素子形成領域603またはハードコート層おける引っ張り応力の発生を防ぐことができる。または、素子形成領域603の破壊を防ぐことができる。または、ハードコート層の破壊を防ぐことができる。
【0201】
第1のフィルム102は、可撓性を有し、可視光に対する透過性を有する材料を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10
−6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示パネルも軽量にすることができる。
【0202】
第1のフィルム102のハードコート層の材料としては、熱硬化性樹脂等を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケイ素樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、等を用いることができる。これらの材料は、硬くて熱や溶剤に強く、表面保護の観点から有効である。第1のフィルム102のハードコート層の材料として、例えば、ウレタンアクリレートを用いることが望ましい。
【0203】
また、第1のフィルム102のハードコート層には、シリカ粒子、アルミナ粒子、を例とする金属酸化物粒子が含まれることが好ましい。また、第1のフィルム102はアルミナでコーティングされていると好ましい。第1のフィルム102は、複数の異なる材料が積層された構造でもよい。例えば、厚さ27μmのハードコート層上に厚さ75μmのPETフィルムを重ねた構造のフィルムを用いることができる。
【0204】
また、第1のフィルム102表面は、接触した指等に対して、適切な大きさの摩擦力を生じさせる加工が施されていると好ましい。例えば、第1のフィルム102上に適度な凹凸(テクスチャ)を設けてもよい。
【0205】
第1のフィルム102に接触させた指をつつ移動させる場合、指と第1のフィルム102の摩擦が大きすぎる、と、指先が変形してしまう。これにより、指先の繊細な動きを用いる入力が困難となる。大きすぎる摩擦が生じる材質としては、表面が十分研磨され、表面が平坦なガラスを挙げることができる。一方、指と第1のフィルム102の摩擦が小さすぎると、指の表面に対する触覚が失われる。
【0206】
第1のフィルム102の表面に適当な摩擦を生じさせる手段として、シリカ粒子などが表面に配置されたフィルムを、第1のフィルム102に用いることができる。これにより、指と第1のフィルム102の摩擦を適切な大きさにすることができる。
【0207】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0208】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置や電子機器などに適用することができる折り曲げ可能な装置の作製方法について、
図9乃至
図11を参照しながら説明する。なお、折り曲げ可能な装置の例としては、表示装置、発光装置、入力装置などがあげられる。入力装置の例としては、タッチセンサ、タッチパネルなどがあげられる。発光装置の例としては、有機ELパネル、照明装置などがあげられる。表示装置の例としては、有機ELパネル、液晶表示装置などがあげられる。なお、表示装置や発光装置の内部に、タッチセンサなどの入力装置の機能が設けられている場合もある。例えば、表示装置や発光装置が有する対向基板(例えば、トランジスタが設けられていない基板)に、タッチセンサが設けられている場合がある。または、表示装置や発光装置が有する素子基板(例えば、トランジスタが設けられている基板)に、タッチセンサが設けられている場合がある。または、表示装置や発光装置が有する対向基板と、表示装置や発光装置が有する素子基板とに、タッチセンサが設けられている場合がある。
【0209】
まず、作製基板701上に剥離層703を形成し、剥離層703上に被剥離層705を形成する(
図9(A))。また、作製基板721上に剥離層723を形成し、剥離層723上に被剥離層725を形成する(
図9(B))。
【0210】
例えば、剥離層としてタングステン膜を用いたときに、タングステン膜上に、N
2O等の酸素を含むガスにてプラズマ処理を行うことや、酸素を含むガス雰囲気中でアニールすることや、酸素を含むガス雰囲気中でスパッタ等の方法で酸化タングステン膜を形成すること等の酸化方法を用いて、タングステン膜と被剥離層の間に酸化タングステン膜を形成することができる。
【0211】
酸化タングステン膜は剥離転置工程を行う時点で、酸化タングステンの組成において、タングステンに対する酸素の比が3より小さい組成を多く含むことが好ましい。酸化タングステンには、nを1以上の自然数としたとき、W
nO
(3n−1),W
nO
(3n−2)というホモロガス系列の場合結晶光学的せん断面が存在し、過熱することでせん断が起きやすくなる。N
2Oプラズマ処理を行い、酸化タングステン膜を形成することで、小さい力で被剥離層を基板から剥離することができる。
【0212】
もしくは、タングステン膜を形成せず、酸化タングステン膜を直接形成することができる。例えば、十分薄いタングステン膜に対して、酸素を含むガスにてプラズマ処理を行うことや、酸素を含むガス雰囲気中でアニール処理を行うことや、酸素を含むガス雰囲気中でスパッタ等の方法で酸化タングステン膜を形成することで、酸化タングステン膜のみを剥離層として形成しても良い。
【0213】
このとき、タングステン膜と酸化タングステン膜の界面または酸化タングステン膜の内部で分離することで、被剥離層側に酸化タングステン膜が残存する場合がある。そして、酸化タングステン膜が残存することで、トランジスタの特性に悪影響を及ぼすことがある。したがって、剥離層と被剥離層の分離工程の後に、酸化タングステン膜を除去する工程を有することが好ましい。なお、上述の基板からの剥離方法では、必ずしもN
2Oプラズマ処理を行わなくてもよいため、酸化タングステン膜を除去する工程も削減することは可能である。この場合、より簡便に装置の作製を行うことができる。
【0214】
また、本発明の一態様は、基板上に、厚さ0.1nm以上200nm未満のタングステン膜を用いる。
【0215】
剥離層には、タングステン膜以外では、モリブデン、チタン、バナジウム、タンタル、シリコン、アルミニウムや、これらの合金を含む膜を用いても良い。また、これらの膜と、その酸化膜との積層構造を用いてもよい。剥離層は無機膜に限定されず、ポリイミド等の有機膜を用いても良い。
【0216】
剥離層に有機樹脂を用いた場合に、低温ポリシリコンを半導体層として用いようとすると、350℃以下でプロセスを処理する必要がある。そのため、シリコン結晶化のための脱水素ベーク、シリコン中欠陥終端のための水素化、ドーピングされた領域の活性化などを十分にすることができず、性能が制限されてしまう。一方、無機膜を用いた場合には、成膜温度は350℃に制限されず、優れた特性を発揮することが可能となる。
【0217】
剥離層に有機樹脂を用いた場合は、結晶化時のレーザ照射により有機樹脂や機能素子にダメージが入ってしまうことがあるが、剥離層に無機膜を用いた場合には、そのような問題は発生しないので好ましい。
【0218】
また、剥離層に有機樹脂を用いた場合は、樹脂の剥離のためのレーザ照射により有機樹脂が収縮してしまい、FPC等の端子の接触部に接触不良を発生させることがあるため、高精細なディスプレイなど、端子数が多い機能素子を、歩留り高く剥離転置することが難しい場合がある。剥離層に無機膜を用いた場合には、そのような制限はなく、高精細なディスプレイなど、端子数が多い機能素子に関しても、歩留り高く剥離転置することが可能である。
【0219】
本発明の一態様の基板からの機能素子の剥離方法では、作製基板上に絶縁層やトランジスタを600℃以下で形成することができる。この場合、高温ポリシリコンを半導体層に用いることができる。この場合、従来の高温ポリシリコンのラインを用いて、デバイス動作速度が速く、ガスバリア性が高く、信頼性も高い半導体装置を量産することが可能である。この場合、600℃以下のプロセスで形成された絶縁層及びトランジスタを用いることで、有機EL素子の上下に600℃以下の成膜条件で形成したガスバリア性の高い絶縁層を配置することができる。これにより、有機EL素子や半導体層に水分等の不純物が混入することを抑制し、剥離層に有機樹脂などを用いた場合と比較して、桁違いに信頼性の高い発光装置を実現することができる。
【0220】
もしくは作製基板上に絶縁層やトランジスタを500℃以下で形成することができる。この場合、低温ポリシリコンや酸化物半導体を半導体層に用いることができ、従来の低温ポリシリコン生産ラインを用いて量産が可能である。この場合も、500℃以下のプロセスで形成された絶縁層及びトランジスタを用いることで、有機EL素子の上下に500℃以下の成膜条件で形成したガスバリア性の高い絶縁層を配置することができる。これにより、有機EL素子や半導体層に水分等の不純物が混入することを抑制し、剥離層に有機樹脂などを用いた場合と比較して、非常に信頼性の高い発光装置を実現することができる。
【0221】
もしくは作製基板上に絶縁層やトランジスタを400℃以下で形成することが可能である。この場合、アモルファスシリコンや酸化粒半導体を半導体層に用いることができ、従来のアモルファスシリコンの生産ラインを用いて量産が可能である。この場合も、400℃以下のプロセスで形成された絶縁層及びトランジスタを用いることで、有機EL素子の上下に400℃以下の成膜条件で形成したガスバリア性の高い絶縁層を配置することができる。これにより、有機EL素子や半導体層に水分等の不純物が混入することを抑制し、剥離層に有機樹脂などを用いた場合と比較して、信頼性の高い発光装置を実現することができる。
【0222】
次に、作製基板701と作製基板721とを、それぞれの被剥離層が形成された面が対向するように、接合層707及び枠状の接合層711を用いて貼り合わせ、接合層707及び枠状の接合層711を硬化させる(
図9(C))。ここでは、被剥離層725上に枠状の接合層711と、枠状の接合層711の内側の接合層707とを設けた後、作製基板701と作製基板721とを、対向させ、貼り合わせる。
【0223】
なお、作製基板701と作製基板721の貼り合わせは減圧雰囲気下で行うことが好ましい。
【0224】
なお、
図9(C)では、剥離層703との剥離層723の大きさが異なる場合を示したが、
図9(D)に示すように、同じ大きさの剥離層を用いてもよい。
【0225】
接合層707は剥離層703、被剥離層705、被剥離層725、及び剥離層723と重なるように配置する。そして、接合層707の端部は、剥離層703又は剥離層723の少なくとも一方(先に基板から剥離したい方)の端部よりも内側に位置することが好ましい。これにより、作製基板701と作製基板721が強く密着することを抑制でき、後の剥離工程の歩留まりが低下することを抑制できる。
【0226】
次に、レーザ光の照射により、基板からの第1の剥離の起点741を形成する(
図10(A)、(B))。
【0227】
作製基板701及び作製基板721はどちらから剥離してもよい。剥離層の大きさが異なる場合、大きい剥離層を形成した基板から剥離してもよいし、小さい剥離層を形成した基板から剥離してもよい。一方の基板上にのみ半導体素子、発光素子、表示素子等の素子を作製した場合、素子を形成した側の基板から剥離してもよいし、他方の基板から剥離してもよい。ここでは、作製基板701を先に剥離する例を示す。
【0228】
レーザ光は、硬化状態の接合層707又は硬化状態の枠状の接合層711と、被剥離層705と、剥離層703とが重なる領域に対して照射する。ここでは、接合層707が硬化状態であり、枠状の接合層711が硬化状態でない場合を例に示し、硬化状態の接合層707にレーザ光を照射する(
図10(A)の矢印P3参照)。
【0229】
被剥離層705の一部を除去することで、基板からの第1の剥離の起点741を形成できる(
図10(B)の点線で囲った領域参照)。このとき、被剥離層705だけでなく、被剥離層705の他の層や、剥離層703、接合層707の一部を除去してもよい。
【0230】
レーザ光は、剥離したい剥離層が設けられた基板側から照射することが好ましい。剥離層703と剥離層723が重なる領域にレーザ光の照射をする場合は、被剥離層705及び被剥離層725のうち被剥離層705のみにクラックを入れることで、選択的に作製基板701及び剥離層703を剥離することができる(
図10(B)の点線で囲った領域参照)。
【0231】
剥離層703と剥離層723が重なる領域にレーザ光を照射する場合、剥離層703側の被剥離層705と剥離層723側の被剥離層725の両方に基板からの剥離の起点を形成してしまうと、一方の作製基板を選択的に剥離することが難しくなる恐れがある。したがって、一方の被剥離層のみにクラックを入れられるよう、レーザ光の照射条件が制限される場合がある。基板からの第1の剥離の起点741の形成方法は、レーザ光の照射に限定されず、カッターなどの鋭利な刃物によって形成されてもよい。
【0232】
そして、形成した基板からの第1の剥離の起点741から、被剥離層705と作製基板701とを分離する(
図10(C)、(D))。これにより、被剥離層705を作製基板701から作製基板721に転置することができる。
【0233】
図10(D)に示す工程で作製基板701から分離した被剥離層705と、基板731とを接合層733を用いて貼り合わせ、接合層733を硬化させる(
図11(A))。
【0234】
次に、カッターなどの鋭利な刃物により、基板からの第2の剥離の起点743を形成する(
図11(B)、(C))。基板からの第2の剥離の起点743の形成方法はカッターなどの鋭利な刃物に限定されず、レーサ光照射などによって形成されてもよい。
【0235】
剥離層723が設けられていない側の基板731が刃物等で切断できる場合、基板731、接合層733、及び被剥離層725に切り込みを入れてもよい(
図11(B)の矢印P5参照)。これにより、被剥離層725の一部を除去し、基板からの第2の剥離の起点743を形成できる(
図11(C)の点線で囲った領域参照)。
【0236】
図11(B)、(C)で示すように、作製基板721及び基板731が剥離層723と重ならない領域で接合層733によって貼り合わされている場合、作製基板721側と基板731側の密着性の高さにより、その後の基板からの剥離工程の歩留まりが低下することがある。したがって、硬化状態の接合層733と剥離層723とが重なる領域に枠状に切り込みを入れ、実線状に基板からの第2の剥離の起点743を形成することが好ましい。これにより、基板からの剥離工程の歩留まりを高めることができる。
【0237】
そして、形成した基板からの第2の剥離の起点743から、被剥離層725と作製基板721とを分離する(
図11(D))。これにより、被剥離層725を作製基板721から基板731に転置することができる。
【0238】
例えばタングステン膜等の無機膜上にN
2Oプラズマ等でしっかりとアンカリングされた酸化タングステン膜を形成する場合、成膜時は密着性を比較的高くすることが可能である。その後剥離の起点を形成すると、そこから劈開が発生し、容易に被剥離層を剥離して、作製基板から基板に転置することが可能となる。
【0239】
また、剥離層723と被剥離層725との界面に水などの液体を浸透させて作製基板721と被剥離層725とを分離してもよい。毛細管現象により液体が剥離層723と被剥離層725の間にしみこむことで、基板からの剥離時に生じる静電気が、被剥離層725に含まれるFET等の機能素子に悪影響を及ぼすこと(半導体素子が静電気により破壊されるなど)を抑制できる。
【0240】
また、M−O−Wという結合(Mは任意の元素)に物理的力を加えて結合を分断する場合、そのすきまに液体がしみこむことで、M−OH及びHO−Wという結合となった方が結合距離が遠くなるため、分離を促進することができる。
【0241】
なお、液体を霧状又は蒸気にして吹き付けてもよい。液体としては、純水や有機溶剤などを用いることができ、中性、アルカリ性、もしくは酸性の水溶液や、塩が溶けている水溶液などを用いてもよい。
【0242】
また、力学的に剥離する時の液体および基板の温度は室温から120℃の間、好ましくは60℃以上90℃以下とすることがよい。
【0243】
以上に示した本発明の一態様の基板からの剥離方法では、鋭利な刃物等により基板からの第2の剥離の起点743を形成し、剥離層と被剥離層とを剥離しやすい状態にしてから、作製基板の剥離を行う。これにより、基板からの剥離工程の歩留まりを向上させることができる。
【0244】
また、それぞれ被剥離層が形成された一対の作製基板をあらかじめ貼り合わせた後に、それぞれの作製基板を剥離し、作製したい装置を構成する基板を貼り合わせることができる。したがって、被剥離層の貼り合わせの際に、可撓性が低い作製基板どうしを貼り合わせることができ、可撓性基板どうしを貼り合わせた際よりも貼り合わせの位置合わせ精度を向上させることができる。
【0245】
本発明の一態様の基板からの剥離方法は、酸化物層の上層に設けられる被剥離層に、加熱により水素を放出する第1の層及び第2の層を設ける。さらに加熱処理によって当該被剥離層から放出された水素により、酸化物層内のWO
3を還元し、WO
2を多く含有する酸化物層を形成することができる。その結果、基板からの剥離性を向上させることができる。
【0246】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0247】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器の構成について、
図13を参照しながら説明する。
【0248】
<電子機器>
図13は、折り畳みが可能な電子機器920を示している。
図13に示す電子機器920は、筐体921a、筐体921b、表示部922、ヒンジ923、等を有する。表示部922は筐体921a、筐体921bに、組み込まれている。
【0249】
筐体921a、筐体921bとは、ヒンジ923で回転可能に連結されている。電子機器920は、筐体921aと、筐体921bと、が閉じた状態と、
図13に示すように開いた状態と、に変形することができる。これにより、持ち運ぶ際には可搬性に優れ、使用するときには大きな表示領域により、視認性に優れる。
【0250】
また、ヒンジ923は、筐体921aと、筐体921bと、が開いたときに、これらの角度が所定の角度よりも大きい角度にならないように、ロック機構を有することが好ましい。例えば、ロックがかかる(それ以上に開かない)角度は、90度以上180度未満であることが好ましく、代表的には、90度、120度、135度、150度、175度などとすることができる。これにより、利便性、安全性、及び信頼性を高めることができる。
【0251】
また電子機器920は、ヒンジ923により連結された筐体921aと筐体921bに亘って、フレキシブルな表示部922が設けられている。
【0252】
また電子機器920は、筐体921aと筐体921bとを開いたときに、表示部922が大きく湾曲した形態で保持されている。例えば、曲率半径を1mm以上50mm以下、好ましくは5mm以上30mm以下の状態で、表示部922が保持された状態とすることができる。表示部922の一部は、筐体921aから筐体921bにかけて、連続的に画素が配置され、曲面状の表示を行うことができる。
【0253】
ヒンジ923は、上述したロック機構を有しているため、表示部922に無理な力がかかることなく、表示部922が破損することを防ぐことができる。そのため、信頼性の高い電子機器を実現できる。
【0254】
表示部922は、タッチパネルとして機能し、指やスタイラスなどにより操作することができる。
【0255】
筐体921a、筐体921bのいずれか一には、無線通信モジュールが設けられ、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity:登録商標)などのコンピュータネットワークを介して、データを送受信することが可能である。また筐体921a、筐体921bのいずれか一には、キーボード、ハードウェアボタン、ポインティングデバイス、照度センサ、撮像装置、音声入力装置、視線入力装置、姿勢検出装置が設けられていても良い。
【0256】
本発明の一態様の電子機器は、表示部922の大きさを適宜変更し、様々なものに適用することができる。電子機器の例として、持ち運びが容易な、携帯情報端末が挙げられる。
【0257】
例えば表示部922に、文書情報を表示することが可能であり、電子書籍端末としても用いることができる。例えば表示部を、A4サイズが2つ折りされた構成とする、教科書として用いることができる。また、表示部922に静止画像や動画像を表示することもできる。
【0258】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。