(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6950003
(24)【登録日】2021年9月27日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】格納式ブレードまたはフック付き軟組織切断機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3213 20060101AFI20210930BHJP
【FI】
A61B17/3213
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-568244(P2019-568244)
(86)(22)【出願日】2018年6月7日
(65)【公表番号】特表2020-523119(P2020-523119A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】US2018036414
(87)【国際公開番号】WO2018231617
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2020年2月7日
(31)【優先権主張番号】62/524,769
(32)【優先日】2017年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/597,612
(32)【優先日】2017年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/652,365
(32)【優先日】2018年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/518,803
(32)【優先日】2017年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン シャロン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】パム キエム
(72)【発明者】
【氏名】フッター ジェームス
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0033336(US,A1)
【文献】
特開2011−072403(JP,A)
【文献】
米国特許第05292329(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0241664(US,A1)
【文献】
国際公開第1993/025152(WO,A1)
【文献】
特表平10−508510(JP,A)
【文献】
米国特許第05904699(US,A)
【文献】
米国特許第05207696(US,A)
【文献】
米国特許第07159713(US,B1)
【文献】
特表2003−504109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32−17/3213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納式外科手術切断装置であって、
ハンドルを貫通して延在する第一のチャネルを有するハンドルと、
近位位置と遠位位置との間で移動可能な前記ハンドル上に位置するスイッチと、
前記第一のチャネルを貫通して延在し、前記ハンドル内の前記第一のチャネルの近位端に接続されるアクチュエータと、
前記アクチュエータの遠位端にあるブレードと、
前記ハンドルに接続され、前記アクチュエータおよび前記ブレードの少なくとも一部分を囲む外側シースであって、前記外側シースが前記スイッチとインターフェースする、外側シースと、
前記スイッチが前記近位位置と前記遠位位置との間を移動することで、前記外側シースが格納位置から拡張位置に移動するように構成されるように、前記ハンドル内の前記スイッチに接続される駆動機構と、を含み、
前記外側シースが前記格納位置にあるとき、前記ブレードは前記外側シース内に位置付けられ、前記外側シースが前記拡張位置にあるとき、前記ブレードの少なくとも一部分は前記外側シースの外側に位置付けられ
前記駆動機構は、前記外側シースに面する前記スイッチの外部表面の一部に沿って延在する第一のラックと、前記第一のラックに面する前記外側シースの外部表面の一部に沿って延在する第二のラックを含み、ギアが前記第一のラックおよび前記第二のラックとの間にインターフェースする、格納式外科手術切断装置。
【請求項2】
前記駆動機構が、前記第一のチャネルの前記近位端に取り付けられ、前記スイッチに接続された引張コイルばねを含む、請求項1に記載の格納式外科手術切断装置。
【請求項3】
前記スイッチを通って延在する開口部をさらに含み、前記開口部が前記アクチュエータを収容するように構成され、前記外側シースが前記スイッチに取り付けられる、請求項2に記載の格納式外科手術切断装置。
【請求項4】
前記駆動機構が、コネクタの周りにループされたワイヤーを含み、前記ワイヤーが前記スイッチおよび前記外側シースの両方に接続されている、請求項1に記載の格納式外科手術切断装置。
【請求項5】
前記駆動機構が、前記ハンドル内の成形チャネルの周りにループされたワイヤーを含み、前記ワイヤーが前記スイッチおよび前記外側シースの両方に接続されている、請求項1に記載の格納式外科手術切断装置。
【請求項6】
前記ブレードおよび前記アクチュエータが二つの別個の構造で形成される、請求項1に記載の格納式外科手術切断装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、第一のノッチと第二のノッチを含み、前記ブレードは、第一のノッチが開口部の第一の側で前記ブレードと係合し、前記第二のノッチが前記開口部の第二の側で前記ブレードと係合し、前記第二の側は前記第一の側と実質的に対向するように、前記開口部を含む、請求項6に記載の格納式外科手術切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、以下に関する優先権に関する。米国仮特許出願シリアル番号2017年6月13日に提出された62/518803、2017年6月26日に提出された62/524769、2017年12月12日に提出された62/597612および2018年4月4日に提出された62/652365。
【0002】
本発明は一般に、軟組織を切断するための外科手術装置に関し、より具体的には、格納式ブレードまたはフックを有する軟組織切断機器に関連する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
手術中に、軟組織は、外科手術ブレードまたはフックブレードを有する切断装置を身体内の外科手術部位に挿入することによって切開される。一部の現在の切断装置は、露出した外科手術ブレードまたはフックブレードを有する。切断装置上のブレードが露出している場合、ユーザおよび患者両方に損傷の可能性がある。一例では、ユーザは、切断装置を取り扱う一方で、露出したブレードからの損傷のリスクがある。別の例では、患者は、露出したブレードが体内に入ったり抜け出たりすると損傷のリスクがある。露出したブレードが身体に入るまたは抜け出ると、不注意に軟組織が切断され得る。
【0004】
さらに、現在の切断装置は、ユーザのために人間工学的に設計されておらず、これは誤った取扱いおよびユーザおよび患者の損傷リスクがあり得る。
【0005】
従って、保護可能なブレードまたはフックブレードを有する、軟組織を切断するための使いやすい外科手術機器に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、特に、格納式外科手術切断装置で組織を切断するためのシステムおよび方法に関する。一実施形態では、本発明は格納式外科手術切断装置である。装置は、それを通って延在する第一のチャネルを有するハンドルを含む。ハンドル上に位置するスイッチは、格納位置と拡張位置との間で移動可能である。アクチュエータは、第一のチャネルを貫通して延在し、ハンドル内のスイッチに接続される。アクチュエータはまた、その遠位端にブレードを含む。ブレードは、直線ブレード、角度付きブレード(それ自体および/またはシャフトから角度付けられた)、湾曲したブレード(それ自体および/またはシャフトから湾曲)またはフックブレードなどを含む任意の形状のブレードを含むことができるが、これに限定されない。外側シースはハンドルに接続され、アクチュエータおよびブレードの少なくとも一部分を囲む。駆動機構は、スイッチが格納位置から拡張位置に移動するとき、アクチュエータが格納位置から拡張位置に移動するように、ハンドル内のスイッチに接続される。アクチュエータが格納位置にあるとき、ブレードは(好ましい実施形態において)完全に外側シース内にあり得(そうである必要はないが)、アクチュエータが拡張位置にあるとき、ブレードの少なくとも一部分は外側シースの外にある。
【0007】
装置の別の実施形態では、装置は、それを通って延在する第一のチャネルおよびその上に位置するスイッチを有するハンドルを含む。スイッチは、格納位置と拡張位置との間で移動可能である。アクチュエータは、第一のチャネルを貫通して延在し、ハンドル内の第一のチャネルの近位端に接続される。アクチュエータはその遠位端にブレードを有する。外側シースは、アクチュエータおよびブレードの少なくとも一部分を囲む。外側シースはスイッチとインターフェースする。駆動機構は、スイッチが格納位置から拡張位置に移動するとき、外側シースが格納位置から拡張位置に移動するように、ハンドル内のスイッチに接続される。外側シースが格納位置にあるとき、ブレードは、(好ましい実施形態において)外側シース内に完全に位置付けられており、(そうである必要はないが)、外側シースが拡張位置にあるとき、ブレードの少なくとも一部分は外側シースの外側に位置付けられる。
【0008】
一実施形態では、本発明は組織を切断する方法を提供する。方法は、(i)ハンドルを貫通して延在する第一のチャネルを有するハンドルと、格納位置と拡張位置との間で移動可能なハンドル上に位置するスイッチと、第一のチャネルの近位端まで延びるアクチュエータと、アクチュエータの遠位端にあるブレードと、スイッチにインターフェースする外側シースであって、アクチュエータを囲む外側シースと、ハンドル内のスイッチに接続された駆動機構とを有する、格納式外科手術切断装置を提供するステップと、(ii)スイッチを、装置を通って延在する長手方向x軸に沿って第一の方向に移動させるステップと、(iii)アクチュエータに対して駆動機構を介して外側シースを移動させるステップと、(iv)ブレードの少なくとも一部分を露出するステップと、を含む。方法はさらに、外側シースを外科手術部位に進めるステップと、およびブレードを用いた外科手術部位で組織を切断するステップと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一つまたは複数の態様は、本明細書の終了時に特許請求の範囲の例として特に指摘され、特定的に特許請求される。本発明の前述およびその他のオブジェクト、特徴、および利点は、以下の記述から添付図面と併せて明らかである。
【0010】
【
図1】
図1は、格納式外科手術切断装置の例示的実施形態の側面概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の格納式外科手術切断装置の例示的実施形態の分解斜視概略図である。
【
図3A】
図3Aは、フックブレードの例示的実施形態の上面概略図である。
【
図3B】
図3Bは、ブレードの例示的実施形態の上面概略図である。
【
図4】
図4は、2ピースアクチュエータの例示的実施形態の上面および側面概略図である。
【
図5A】
図5Aは、
図4の2ピースアクチュエータおよびブレードの例示的実施形態の斜視概略図である。
【
図5B】
図5Bは、ブレードに接続された
図4の2ピースアクチュエータの例示的実施形態の上面概略図である。
【
図5C】
図5Cは、ブレードに接続された
図4の2ピースアクチュエータの例示的実施形態の側面概略図である。
【
図5D】
図5Dは、ブレードに接続された
図4の2ピースアクチュエータの例示的実施形態の斜視概略図である。
【
図6】
図6は、外側シースの例示的実施形態の側面概略図である。
【
図7】
図7は、外側シースの代替的な例示的実施形態の拡大斜視概略図である。
【
図8A】
図8Aは、格納位置にある
図1の格納式外科手術切断装置の例示的実施形態の切欠側面概略図である。
【
図8B】
図8Bは、拡張位置にある
図1の格納式外科手術切断装置の例示的実施形態の切欠側面概略図である。
【
図9】
図9は、
図1の格納式外科手術切断装置のスイッチの例示的実施形態の斜視概略図である。
【
図10】
図10は、スイッチの代替的な例示的実施形態の斜視概略図である。
【
図11】
図11は、格納式外科手術切断装置の代替的な例示的実施形態の分解斜視概略図である。
【
図13】
図13は、駆動機構の代替的な例示的実施形態の分解側面概略図である。
【
図14】
図14は、
図13の駆動機構を有する格納式外科手術切断装置の例示的実施形態の分解斜視概略図である。
【
図15】
図15は、拡張位置にある
図14の格納式外科手術切断装置の例示的実施形態の側面概略図である。
【
図16A】
図16Aは、格納位置における格納式外科手術切断装置の駆動機構の代替的な例示的実施形態の側面概略図である。
【0011】
本発明の態様および特定の特徴、利点、およびその詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に説明される。本発明を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかしながら、本発明の態様を示しつつ、詳細な説明および特定の非限定的な例は、例示のみによって与えられ、限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明の主な概念の精神および/または範囲内で、さまざまな置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者に明らかであろう。
【0012】
ここで
図1を参照すると、格納式外科手術切断装置10の例示的実施形態の側面概略図が示されている。装置10は、遠位ブレード16に延びる外側シース14に接続されたハンドル12を含む。ブレード16は、後で詳細に説明する通り、ハンドル12上のスイッチ(またはボタン)18の作動時に選択的に拡張および格納される。
図1に示すように、ハンドル12は、ハンドル12の形状が人間工学的であるように、親指およびその他の指の溝を含み得る。ハンドル12の人間工学的設計は、その意図された使用に対する装置10の制御の増大を提供する。その他の実施形態では、ハンドル12は少ない溝を有するか、または完全に溝はなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル12はプラスチックで構成されているが、ハンドル12は、ステンレス鋼または手術装置に適したその他の従来的材料から構成され得る。
【0013】
ここで
図2を参照すると、
図1の格納式外科手術切断装置10の例示的実施形態の分解図概略図が示されている。図示した実施形態では、装置10のハンドル12は、二つのピース、つまり、それを通して一つまたは複数のチャネルを有する第一のピース20および第二のピース22から成る。代替的な実施形態では、ハンドル12は、単一片で構成され得る、またはそうでなければハンドル12の内側構成要素の周りに成形され得る。
図2を続けると、ハンドル12は、ブレード16に接続されたアクチュエータ26に対してサイズ設定、寸法設定、および別途構成された第一のチャネル24を含む。アクチュエータ26は、ハンドル12の中心を通しておよそ延在するx軸に沿って両方の方向に、外側シース14内に長手方向に移動する。アクチュエータ26の長手方向の移動は、後で詳細に説明する通り、ハンドル12内の駆動機構28によって引き起こされる。他の実施形態では、駆動機構28がアクチュエータ26およびブレード16に対して外側シャフト14を動かす一方、アクチュエータ26は静止したままである。一実施形態では、アクチュエータ26は、その遠位端30に機械加工されたブレード16を含む。従って、アクチュエータ26およびブレード16の実施形態は、単一ピースの実施形態であり得る。
【0014】
ここで
図3A〜
図3Bを参照すると、ブレードの例示的実施形態の上面概略図が示されている。
図3A〜
図3Bのブレード16は、アクチュエータ26およびブレード16の2ピースの実施形態でアクチュエータ26に接続するための開口部44を含む。
図3Aは、ブレード16が少なくとも一つの鋭利な縁34および一つの非鋭利な縁30を有するフックブレードである、実施形態を示す。
図3Bは、ブレード16が、二つの鋭利な縁34(例えば、頂部および底部)を有する外科手術ブレードである、実施形態を示す。鋭利な縁34および/または非鋭利な縁30の任意の組み合わせおよび数がブレード16に対して意図されている。
【0015】
ここで
図4を参照すると、2ピースアクチュエータ26のアクチュエータ26およびブレード16の例示的実施形態の上面概略図および側面概略図が示されている。ブレード16を含む1ピースアクチュエータ26と比較して、
図4のアクチュエータ26は、ブレード16とは別個でおよび機械加工されない。
図4のアクチュエータ26は、ブレード16および駆動機構28に接続するための一つまたは複数のノッチを含む。アクチュエータ26の近位端36には、アクチュエータ26を駆動機構28に接続するためのノッチ38がある。別の実施形態では、近位端36でのノッチ38は、駆動機構28をアクチュエータ26に取り付けるための開口部またはその他の手段であり得る。アクチュエータ26はまた、その遠位端30に一つまたは複数のノッチ40、42を含むことができる。アクチュエータ26の遠位端30にあるノッチ40、42は、ブレード16への取り付けのために構成される。
【0016】
ここで
図5A〜
図5Dを参照すると、2ピースアクチュエータ26の遠位端30およびブレード16の例示的実施形態の概略表現のさまざまな図が示されている。
図5Aに示すように、アクチュエータ26の遠位端30は、第一のノッチ40および第二のノッチ42を有する一方、ブレード16はその近位端46に開口部44を有する。図示した実施形態では、第一のノッチ40および第二のノッチ42は、互いに対向する方向に延びる凹部を有する。2ピースアクチュエータ26およびブレード16を組み立てるために、アクチュエータ26の遠位端30は、ブレード16の近位端46の開口部44にある角度に挿入される。アクチュエータ26の遠位端30は、第二のノッチ42が開口部44を通るまで挿入される。その後、
図5C〜
図5Dに示されるように、(
図4に示す)アクチュエータ26の近位端36は、ブレード16から離れて、ブレード16と同じ平面内に回転し、ブレード16を所定の位置にロックする。
図5Bに示す通り、アクチュエータ26の遠位端30上の第二のノッチ42は、開口部44の遠位側48上のブレード16と係合し、一方で第一のノッチ40は、開口部44の近位側50にあるブレード16と係合する。
【0017】
ここで
図6を参照すると、外側シース14の近位端52および遠位端54の例示的実施形態の上面概略図が示されている。図示した実施形態では、外側シース14は、外側シース14が第一の内部容積56を有するようにカニューレが挿入される。外側シース14は、アクチュエータ26およびブレード16の少なくとも一部分の周りに適合するサイズおよび寸法である。言い換えれば、アクチュエータ26およびブレード16は、外側シース14がアクチュエータ26およびブレード16の少なくとも一部分を囲むように、外側シース14の第一の内部容積56に挿入される(
図1に示す通り)。外側シース14は、アクチュエータ26の長手方向の移動が(駆動機構28を介して)、ブレード16を外側シース14から延伸および格納するように、装置10のハンドル12に固定される。代替的な実施形態では、外側シース14はスイッチ18に固定され、x軸に沿ってスイッチの長手方向の移動が、静止アクチュエータ26およびブレード16に対して外側シース14を移動させる。
【0018】
図6はまた、外側シース14が狭い部分58を有する実施形態を示す。外側シース14の狭い部分58は、外側シース14の第一の内部容積56の直径よりも小さい直径を有する第二の内部容積60を有する。一実施形態では、狭い部分58は、
図6に示すように、アクチュエータ26の遠位端30およびブレード16に向かう方向にテーパー付けされる。しかしながら、狭い部分58は、第一の内部容積56の直径よりも小さい直径を有する第二の内部容積60を有するためにテーパー付けされる必要はない。より小さい直径を有する第二の内部容積60を有する狭い部分58は、ブレード16が不注意にアクチュエータ26から分離される可能性を防止するのに役立つ(2ピースの実施形態では)。狭い部分58はまた、その形状に基づいて、外科手術部位またはその近く損傷を防止するためのおよび/またはPEEKなどの非金属材料から成る非外傷性先端を提供することができる。ノッチ40、42がブレード16をアクチュエータ26に固定することができない場合、狭い部分58および第二の内部容積60は、装置10から転落するとは反対に外側シース14内にブレード16を維持する。
【0019】
図7を簡単に参照すると、外側シース14の遠位端54の代替的な例示的実施形態の拡大斜視概略図が示されている。図示した実施形態では、遠位端54は狭い部分58を有さない。外側シース14の遠位端54はインサート62を有する。インサート62は、PEEKなどの非金属材料で構成されることが好ましい。インサート62は、外科手術部位の損傷を防止するための非外傷性先端を提供する。例えば、インサート62は、接合部空間内の軟骨構造への損傷を防止するように構成される。
図7は、カニューレを有するまたは有さない、いずれかの外側シース14およびブレード16の外科手術部位(例えば、接合部空間)への導入を可能にするために、インサート62内に窪んだブレード16を示す。
【0020】
ここで
図8A〜
図8Bを参照すると、それぞれ格納位置および拡張位置にある
図1の格納式外科手術切断装置の例示的実施形態の切欠側面概略図が示されている。ハンドル12は、その中に駆動機構28を含み、外側シース14内のx軸に沿った長手方向の両方の方向において、アクチュエータ26およびブレード16の移動を促進する。
図8A〜
図8Bに示す実施形態では、駆動機構28は一対のばねを含む。一対のばねは、引張コイルばね64および板ばね66(または薄い金属片)を含む。図示の実施形態では、引張コイルばね64はコイルばねであり、板ばね66は板ばねである。ばねの多数の組み合わせを利用して、第一のチャネル24に沿ったアクチュエータ26の移動を促進し得る。
【0021】
さらに
図8A〜
図8Bを参照すると、引張コイルばね64は、ハンドル12内の第一のチャネル24の近位端76で接続される。引張コイルばね64は、ねじまたはその他のコネクタを介して取り付けられてもよい。引張コイルばね64の自由端は、アクチュエータ26に接続される。アクチュエータ26は、第一のチャネル24から延びて第一のチャネル24に接続されるハンドル12内のレセプタクル78の上に第一のチャネル24を通って延びる。板ばね66は、ねじまたはその他のコネクタを介してレセプタクル78に取り付けられる。図示の実施形態に示すように、引張コイルばね64および板ばね66の両方は、x軸方向に沿って長手方向に伸びる。
【0022】
装置10を組み立てるための一実施形態では、アクチュエータ26の近位端36は、最初にスイッチ18に取り付けられ、引張コイルばね64上にフックされる。次に、引張コイルばね64は、ハンドル12の第一のチャネル24内に位置するポスト上にループされる。板ばね66は、ハンドル12の遠位端80の近くで、アクチュエータ26の下に位置付けられる。外側シース14はハンドル12に取り付けられ、ハンドル12の2ピース20、22は一緒に組み立てられる。
【0023】
さらに
図8A〜
図8Bを参照すると、引張コイルばね64は、アクチュエータ26を介してスイッチ18に間接的に接続され、x軸に沿ってアクチュエータ26の長手方向の移動を容易にする。スイッチ18は、ハンドル12の外部から第二のチャネル68を通して延びる。第二のチャネル68は、ハンドル12の外部から第一のチャネル24内に延在する。スイッチ18の例示的実施形態を
図9に示す。スイッチ18は、本体部分72に接続された外側部分70を含む。図示の実施形態では、外側部分70の幅は、スイッチ18の外側部分70がハンドル12の外側に維持されるよう(
図8A〜8Bに示すように)、第二のチャネル68の幅よりも大きい幅を有する。また、
図9の実施形態では、スイッチ18は、アクチュエータ26に接続するように構成されたアクチュエータスロット82を有する。
【0024】
さらに
図9を参照すると、スイッチ18の本体部分72は、一対のフランジ74を有する。一対のフランジ74は、第二のチャネル68に沿ってスイッチ18の本体部分72の移動を促進する。特に、スイッチ18のフランジ74および外側部分70は、
図8Aに示すように、装置10が格納位置にあるとき、外側部分70が第二のチャネル68の上にあり、フランジ74が第二のチャネル68の下にあるように、第二のチャネル68のいずれかの側でハンドル12の内部の周りに適合する寸法である。格納位置では、ブレード16は完全に外側シース14内にある。第二のチャネル68の両側のハンドル12の周りの外側部分70およびフランジ74の嵌合は、スイッチ18が、x軸に沿って長手方向にスライドして装置10を拡張位置に移動させるのを可能にするように十分緩くなければならない。
【0025】
使用時に、スイッチ18がハンドル12の遠位端80に向かって移動する時、
図8Bに示す通り、引張コイルばね64は延び、スイッチ18は板ばね66に接触する。板ばね66は、フランジ74の少なくとも一つがハンドル12の第二のチャネル68内の棚84に接触するまで、第二のチャネル68を通して上方および外にスイッチ18を強制的に動かす。特に、スイッチ18が強制的に上向きになり、かつ板ばね66から離れると、スイッチ18上のフランジ74の少なくとも一つは、ハンドル12の棚84とインターフェースして、スイッチ18を定位置にロックする。棚84は、スイッチ18がハンドル12の第二のチャネル68から切り離されるかまたはその他の方法で落ちるのを防止する。スイッチ18が棚84に対して所定位置にロックされた時、装置10は拡張位置でロックされる。拡張位置では、ブレード16は外側シース14から延伸し、使用のために露出される。
【0026】
使用後、スイッチ18は板ばね66に向かって下向きに押され、第二のチャネル68に沿って近位に移動する。スイッチ18を下向きに押すことにより、フランジ74は棚84から解放され、スイッチ18は第二のチャネル68内で近位に動くようにロック解除される。一実施形態では、装置10は、スイッチ18がロックされた位置および/またはロック解除位置に達したことを可聴表示する。例えば、フランジ74と棚84との間にインターフェースすることにより、クリック音声を鳴らすことができる。
【0027】
図8A〜
図8Bに示す実施形態では、スイッチ18は装置10の上側86上に位置する。ただし、スイッチ18は、例えば
図10のスイッチ18など、装置10上のその他任意の位置に位置付けられるように構成され得る。
図10に示すスイッチ18の実施形態は、本体部分72に接続された外側部分70を含む。スイッチ18の本体部分72は、
図8A〜
図9に示される実施形態と類似した、第二のチャネル68に沿って、スイッチ18の本体部分72の移動を促進する一対のフランジ74を有する。
【0028】
図10のスイッチ18は、
図11に示すように、装置10の底側88上に位置付けられ得る。
図11に示す実施形態では、スイッチ18は、スイッチ18が、装置10のハンドル12上のユーザのグリップ付近に位置するとき、ユーザが簡単にアクセスできるようになる。
図2に示す実施形態で、アクチュエータ26に接続された第一のチャネル24は、
図11に示す実施形態で、スイッチ18を通って延在する。具体的には、
図10のスイッチ18の本体部分72は、アクチュエータ26を受け入れて収容するための開口部90を含む。図示した実施形態では、外側シース14は、例えば、開口部90の外周でスイッチ18に接続される。
【0029】
ここで
図12Aを参照すると、格納位置の
図11における装置の例示的実施形態の側面図が示されている。格納位置では、ブレード16は外側シース14内に収容され、スイッチ18は作動しない。格納位置から、スイッチ18を押す(すなわち、作動する)ことで、スイッチ18をハンドル12内に近位に移動させる。スイッチ18が動くにつれて、スイッチ18は接続された外側シース14を近位に引き出し、一方でアクチュエータ26が静止したままになる。外側シース14の近位移動は、
図12Bに示す通り、使用のためにアクチュエータ26の遠位端30でブレード16を露出する。
【0030】
ここで
図13〜
図15を参照すると、駆動機構28の代替的な実施形態のさまざまな図が示されている。
図14に示す実施形態では、駆動機構28は、スイッチ18、ギア92、および外側シース14上のラック94(またはトレッド)を含むラックおよびピニオン組立品である。
図14に示すように、外側シース14は第一のチャネル24を通って延在する。外側シース14上のラック94は、スイッチ18の底側96とインターフェースするハンドル12内のギア92とインターフェースする。スイッチ18の底側96はまた、ギア92と係合するラック(またはトレッド)を含む。格納位置から、スイッチ18は遠位に移動され、これによってスイッチ18の底側96がギア92を回転させる。ギア92の回転により、外側シース14がラック94によって近位に引かれる。外側シース14がハンドル12の中へと近位に移動するにつれて、
図15に示すように、アクチュエータ26はブレード16の少なくとも一部分の露出を引き起こす。別の実施形態によれば、ギア92がラック94上で回転するのを選択的に停止するために、ユーザによって作動できる(およびラック94上でギア92の回転を可能にするために反転/解放される)ロック機構が提供される。そのようなロック機構は、例えば、押しボタン、レバーアーム、戻り止め、または、例えば、ギア92がラック94上で回転するのが阻止される他の機構を含むことができる(本開示のレビューと関連して当業者には理解されるように)。
【0031】
別の実施形態では、
図16A〜
図16Bに示されるように、駆動機構28は摺動ワイヤーアセンブリである。摺動ワイヤーアセンブリは、スイッチ18、ワイヤー(またはフラットストック)98、および外側シース14を含む。図示した実施形態では、ワイヤー98はスイッチ18および外側シース14の両方に取り付けられ、ねじ、成形チャネル、またはその他の既知のコネクタによってゆるく包含される。
図16Aは、格納位置における摺動ワイヤーアセンブリを含む装置10を示す。スイッチ18がアクチュエータ26の遠位端30に向かって遠位に移動すると(
図16Bに示すように)、ワイヤー98は、ねじの周りまたは成形チャネル内を移動し、次に、ワイヤー98およびスイッチ18の移動方向と反対の方向に外側シース14を近位に移動させる。外側シース14が近位に移動するとき、アクチュエータ26は静止したままであり、ブレード16は使用のために露出される。一実施形態では、ワイヤーまたはフラットストック98はステンレス鋼から構成される。しかし、その他任意の適切な組成物を使用し得る。
【0032】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「含む(comprise)」(および「含む(comprises)」や「含む(comprising)」などのcompriseの任意の形式)、「有する(have)」(および「有する(has)」や「有する(having)」などのhaveの任意の形式)、「含む(include)」(および「含む(includes)」や「含む(including)」などのincludeの任意の形式)、および「包含する(contain)」(および「包含する(contains)」や「包含する(containing)」などのcontainの任意の形式)は、オープンエンドのリンク動詞であることがさらに理解されるだろう。結果として、一つまたは複数のステップまたは要素を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法または装置。同様に、一つまたは複数の特徴を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法のステップ、または装置の要素は、それら一つまたは複数の特徴を有するが、それらの一つまたは複数の特徴のみを保持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成される装置または構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成することもできる。
【0033】
以下の特許請求の範囲の全ての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に請求される他の特許請求の要素と組み合わせて、機能を実行するための構造、材料または行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されてきたが、本発明に開示された形態で網羅的または限定されるものではない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つまたは複数の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、当業者が、考えられる特定の用途に適したさまざまな修正を有するさまざまな実施形態について本発明の一つまたは複数の態様を理解できるように選択および説明された。