(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子回路を収容する金属製の筐体(10、10a、10b、10b)と、前記筐体の貫通孔に少なくとも一部が配置された状態で前記筐体に取り付けられた呼吸フィルタ(20、20a)と、前記筐体内の防水性を確保するために前記筐体と前記呼吸フィルタとの間に配置された環状のシール部材(30、30a、30b)と、を含む電子装置であって、
前記呼吸フィルタは、通気膜(24)と、前記通気膜が取り付けられたフィルタケース(21、23、23a)とを含み、
前記シール部材は、前記筐体に前記呼吸フィルタが取り付けられた状態で、前記筐体と前記フィルタケースとで圧縮されており、
前記筐体は、前記シール部材の全周と接する少なくとも二つの環状接触面(11、12)を有しており、
少なくとも二つの前記環状接触面が、前記筐体の腐食を抑制する腐食抑制加工がなされた第2接触面と、前記第2接触面で囲まれており、前記シール部材との密着性向上のための切削加工がなされた第1接触面とを含んでいる電子装置。
前記呼吸フィルタが、前記シール部材の全周と接する環状の接触面であるフィルタ側接触面を少なくとも二つ有し、且つ、少なくとも二つの前記フィルタ側接触面間に、前記シール部材側に突出し、前記シール部材に沿う環状のフィルタ突部(23a1)を有している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0012】
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面と示す。さらに、Z方向は、貫通方向や挿入方向とも言える。
【0013】
本開示の第1実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
図1、
図2、
図3に示すように、電子装置100は、電子回路を収容する金属製の筐体10と、筐体10の貫通孔に少なくとも一部が配置された状態で筐体10に取り付けられた呼吸フィルタ20とを備えている。さらに、電子装置100は、筐体10内の防水性を確保するために筐体10と呼吸フィルタ20との間に配置されたOリング30を備えている。なお、本実施形態では、一例として、
図1に示すように、筐体10内の電子回路と、筐体10の外部に設けられた外部機器とを電気的に接続するためのコネクタを備えた電子装置100を採用している。
【0014】
電子装置100は、例えば、車両のエンジンルームに搭載される電子制御装置に適用することができる。エンジンルームに搭載された電子装置100は、雨水や塩水に晒されるだけでなく、高圧洗車時の洗車水(以下、高圧洗車水)が直接当たることがある。このため、電子装置100は、筐体10内に水分が入り込むことを抑制するために防水構造が施されている。言い換えると、筐体10は、収容している電子回路を水分から保護するために防水構造となっている。なお、電子回路は、配線基板に回路素子が実装されたものなどを採用できる。
【0015】
筐体10は、アルミニウムなどの金属を用いて形成された金属製筐体である。例えば、筐体10は、アルミダイキャストやプレス加工によって製造されている。また、筐体10は、一例として、組み付け可能に構成された二つの部材を含むものを採用できる。
【0016】
例えば、筐体10は、電子回路が配置され一部が開口した箱部材と、箱部材の開口を塞ぐ蓋部材とが、防水シール材などを介して組み付けられたものなどを採用できる。この防水シール材は、箱部材の開口端部と蓋部材との間、箱部材の開口端部とコネクタとの間、蓋部材とコネクタとの間などに設けられる。電子装置100は、筐体10における箱部材及び蓋部材と、コネクタとを組み付けることで、電子回路を収容する内部空間が形成される。
【0017】
なお、電子装置100は、例えば、筐体10の箱部材と蓋部材とをねじや接着剤などで固定されてもよい。また、内部空間は、筐体10の内部や、収容空間とも言える。さらに、内部空間に対して、筐体10の外部は、外部空間とも言える。
【0018】
筐体10は、
図3などに示すように、少なくとも一部に、呼吸フィルタ20を取り付けるための挿入穴が設けられている。挿入穴は、筐体10の壁面を貫通する穴である。つまり、挿入穴は、筐体10の外部空間と内部空間とを連通する穴である。本実施形態では、一例として、開口形状が円形である挿入穴を採用している。しかしながら、挿入穴の開口形状は、これに限定されず、呼吸フィルタ20の外形に対応した形状であれば採用できる。
【0019】
本実施形態では、筐体10の天井部に挿入穴が設けられた例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、筐体10の底部や側壁などに挿入穴が設けられていてもよい。
【0020】
また、本実施形態では、
図2、
図3などに示すように、挿入穴の周囲に段差が設けられた筐体10を採用している。詳述すると、筐体10は、外部空間側の表面、つまりOリング30と接する側に、挿入穴を囲うように挿入穴の全周にわたって段差が設けられている。筐体10は、挿入穴の開口端部の全周に接する第1環状部と、第1環状部を全周にわたって囲う第2環状部とを有している。そして、第2環状部は、第1環状部よりもOリング30側に設けられている。なお、第2環状部は、第1環状部と段差を介して連続的に設けられているとも言える。さらに、第1環状部は、第2環状部よりも窪んだ部位とも言える。
【0021】
筐体10は、Oリング30を介して呼吸フィルタ20が取り付けられた状態で、外部空間側の表面にOリング30が接する。つまり、筐体10は、
図3、
図4に示すように、Oリング30の全周と接する環状接触面である内周面11と外周面12とを有していると言える。筐体10は、挿入穴を全周にわたって囲う内周面11と外周面12を有しているとも言える。
【0022】
また、外周面12は、内周面11を囲う位置に設けられている。内周面11は、第1環状部の一部と言える。一方、外周面12は、第2環状部の一部と言える。なお、本実施形態では、環状接触面として内周面11と外周面12の二つを有した筐体10を一例として採用している。
【0023】
内周面11と外周面12としては、例えば、XY平面に平行な平坦面を採用できる。よって、内周面11と外周面12は、挿入穴に呼吸フィルタ20を挿入する挿入方向に対して、垂直な面と言える。内周面11と外周面12は、挿入穴の中心軸に対して同心円状の接触面である。なお、中心軸は、Z方向に延びる仮想直線である。
【0024】
内周面11と外周面12は、耐水性加工が施されている。耐水性加工とは、内周面11とOリング30との間や、外周面12とOリング30との間から内部空間側に水分が進まないようにするための加工である。そして、内周面11と外周面12は、異なる耐水性加工が施されている。例えば、内周面11は、耐水性加工が施された環状接触面である第1接触面に相当する。一方、外周面12は、内周面11とは異なる耐水性加工が施された環状接触面である第2接触面に相当する。
【0025】
耐水性加工は、筐体10の腐食を抑制する腐食抑制加工や、筐体10とOリング30との密着性向上のための切削加工などを含んでいる。腐食抑制加工としては、周知のアルマイト加工やめっき加工などをあげることができる。また、切削加工は、筐体10の表面を滑らかにする加工である。なお、加工は、処理と言い換えることもできる。
【0026】
本実施形態では、一例として、外周面12がアルマイト加工され、内周面11が切削加工された筐体10を採用している。しかしながら、外周面12は、めっき加工されていてもよい。
【0027】
外周面12は、アルマイト加工やめっき加工が施されているため塩水などが付着したとしても腐食しにくい。このため、筐体10は、外周面12よりも内部空間側、すなわち挿入穴側に腐食が進むことを抑制できる。
【0028】
しかしながら、アルマイト加工やめっき加工を施した面は、比較的表面が粗くなることが多い。このため、外周面12は、
図5に示すように、粗面となっている。つまり、外周面12は、粗面であるため、切削加工が施された面よりもOリング30との間に隙間が生じやすい。よって、外周面12とOリング30との間では、高圧洗車水などの水圧には耐えることができない可能性があり、内部空間側に水分が達することも考えられる。
【0029】
一方、内周面11は、切削加工が施されているため、
図6に示すように、アルマイト加工が施された面よりも平らな面となっている。よって、内周面11は、Oリング30との密着性は良好である。このため、筐体10は、外周面12を通過した高圧洗車水が内部空間側、すなわち挿入穴に達することを抑制できる。しかしながら、内周面11は、アルミ素地などが露出するため、アルマイト加工が施されている面よりも腐食しやすい。
【0030】
ここまでに説明した筐体10は一例である。よって、本開示は、これに限定されない。筐体10は、少なくとも二つの環状接触面を有していれば採用できる。よって、筐体10は、三つ以上の環状接触面を有していてもよい。また、筐体10は、腐食抑制加工がなされた二つ以上の第2接触面を有していたり、切削加工がなされた二つ以上の第1接触面を有していたりしてもよい。さらに、筐体10は、内周面11に腐食抑制加工が施されており、外周面12に切削加工が施されていてもよい。なお、この点は、以下の実施形態でも同様である。
【0031】
呼吸フィルタ20は、筐体10の内部空間と外部空間とを通気させるためのものであり、水等の液体の通過を阻止し、気体のみを通過させることができる。つまり、呼吸フィルタ20は、筐体10の内外気圧差を緩和する目的で設けられている。
【0032】
呼吸フィルタ20は、
図2、
図3などに示すように、フィルタ部材24と、フィルタ部材24が取り付けられたフィルタケースとを含んでいる。呼吸フィルタ20は、貫通孔に挿入されて筐体10に取り付けられている。例えば、呼吸フィルタ20は、Z方向において、外部空間側から内部空間側に向かって挿入されて筐体10に取り付けられている。
【0033】
フィルタケースは、本体部21、鈎部22、台座部23などを含み、両端が開口した筒状の部材である。また、フィルタケースは、本体部21、鈎部22、台座部23が樹脂などによって一体形成されている。そして、フィルタケースは、本体部21、鈎部22、台座部23で囲まれた呼吸穴が設けられている。つまり、フィルタケースは、一体形成された本体部21、鈎部22、台座部23をZ方向に貫通する呼吸穴が設けられていると言える。
【0034】
本体部21は、鈎部22と台座部23とを繋ぐ部位である。本体部21は、呼吸穴を囲い、両端が開口した筒状の部位である。本体部21は、外部空間側に台座部23が設けられており、内部空間側に鈎部22が設けられている。
【0035】
鈎部22は、
図2、
図3に示すように、呼吸フィルタ20が筐体10に取り付けられた状態で、筐体10の内部空間に配置され、挿入穴よりも外側に配置される部位を含んでいる。鈎部22は、筐体10に取り付けられた呼吸フィルタ20が、筐体10から外れ難く固定するための部位である。このため、鈎部22は、抜け止め部とも言える。
【0036】
鈎部22は、弾性的な撓み変形が可能な爪構造をなしている。鈎部22は、呼吸フィルタ20を筐体10に取り付ける場合、挿入穴に挿入されると挿入穴から押圧されて変形し、挿入穴を通過した後に変形前の形状に戻る。このようにして、呼吸フィルタ20は、筐体10に固定される。
【0037】
台座部23は、呼吸フィルタ20が筐体10に取り付けられた状態で、Oリング30と接触してOリング30を押圧する部位である。このため、台座部23は、押圧部とも言える。台座部23は、
図3に示すように、本体部21の一端から外側に突出し、本体部21の全周に亘って設けられた環状の部位である。台座部23は、例えば、Oリング30と接触する面が平坦面となっている。
【0038】
また、台座部23は、Oリング30の全周と接触する環状の接触面を二つ有している。言い換えると、台座部23は、Oリング30の全周と接触する環状の接触面が二箇所に設けられている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。台座部23におけるOリング30と接触する環状の接触面は、一箇所のみに設けられていてもよいし、三箇所以上に設けられていてもよい。
【0039】
フィルタ部材24は、通気膜に相当し、水等の液体の通過を阻止し、気体のみを通過させることができるものである。フィルタ部材24は、呼吸穴の一方の開口端を塞ぐように、台座部23に取り付けられている。詳述すると、フィルタ部材24は、フィルタケースの外部空間側の端部に設けられている。これによって、筐体10の内部空間と外部空間との間には、フィルタ部材24が配置されることになる。
【0040】
フィルタカバー25は、樹脂などによって設けられている。フィルタカバー25は、外部からの衝撃からフィルタ部材24を保護するなどの目的で設けられている。フィルタカバー25は、フィルタ部材24に対向しつつ台座部23に設けられている。また、フィルタカバー25は、台座部23に取り付けられた状態で、フィルタ部材24の対向し、且つ、フィルタ部材24が外部空間に晒されるよう隙間が設けられている。
【0041】
Oリング30は、特許請求の範囲における環状のシール部材に相当する。Oリング30は、筐体10と呼吸フィルタ20との間から、筐体10の内部空間に水分が入るのを抑制する防水用部材である。Oリング30は、例えばゴム製であり、筐体10に呼吸フィルタ20が取り付けられた状態で、筐体10とフィルタケースとで圧縮される。Oリング30は、筐体10とフィルタケースとで圧縮されると変形して、筐体10や呼吸フィルタ20に密着(接触)する。
【0042】
Oリング30は、Z方向に延びる仮想直線を軸とした環状の部材である。つまり、Oリング30は、筐体10と呼吸フィルタ20との間に取り付けられた状態で、呼吸フィルタ20の本体部21や筐体10の挿入穴を全周にわたって囲っている。
【0043】
本実施形態では、筐体10と呼吸フィルタ20とで圧縮された状態で、筐体10における挿入穴の周囲全周と接触する環状の接触面が二箇所に設けられるOリング30を採用している。さらに、本実施形態では、少なくとも二つの環状接触面と接触する部位が一体構造となっているOリング30を採用している。
【0044】
このOリング30は、
図4などに示すように、内周面11と接する部位を含んだ内周部31と、外周面12と接する部位を含んだ外周部32と、内周部31と外周部32とを繋いでいる窪み部33とを含んでいる。つまり、Oリング30は、環状の内周部31と、内周部31の外側に設けられた環状の外周部32とが、内周部31及び外周部32よりも窪んだ環状の窪み部33を介して一体化されている。
【0045】
内周部31及び外周部32は、筐体10と呼吸フィルタ20とで圧縮される部位である。また、内周部31及び外周部32は、Oリング30の中心軸に対して同心円状の二つの部位である。Oリング30の中心軸は、Z方向に延びる仮想直線である。
【0046】
さらに、Oリング30は、二つのOリングが窪み部33を介して一体化されたものとも言える。このため、Oリング30は、XZ平面での断面形状がひょうたん型をなしていると言える。
【0047】
このように、Oリング30は、一体構造になっているため、内周面11に接する部位と外周面12に接する部位とが分割された構成よりも、筐体10と呼吸フィルタ20との間への取り付けが容易である。また、Oリング30は、筐体10と呼吸フィルタ20との間における位置調整が容易である。
【0048】
ここで、
図3を用いて、筐体10と呼吸フィルタ20とOリング30とが組み付けられた構造に関して説明する。電子装置100は、内周面11と外周面12とにOリング30が接した状態で、筐体10に呼吸フィルタ20が取り付けられている。
【0049】
この状態で、Oリング30は、筐体10とフィルタケースから圧縮されて変形している。つまり、Oリング30は、筐体10の表面である内周面11と外周面12と接触しつつ、フィルタケースの台座部23と接触して、筐体10とフィルタケースから押圧されている。また、呼吸フィルタ20は、筐体10とフィルタケースとで圧縮されたOリング30からの反力によって、鈎部22が筐体10の内部空間側の表面に接して筐体10に固定される。
【0050】
さらに、電子装置100は、上記のような構成のOリング30を介して筐体10に呼吸フィルタ20が取り付けられており、Oリング30が内周面11と外周面12に接している。ここのため、電子装置100は、筐体10における内周面11と外周面12との間の面である中間面と、Oリング30とで囲まれた空隙が形成される。この空隙は、密閉された空間である。
【0051】
このように、電子装置100は、Oリング30の全周と接する内周面11と外周面12を有している。そして、内周面11と外周面12は、異なる耐水性加工がなされている。よって、電子装置100は、複数のストレスに対して耐性のある防水構造とすることができる。このため、電子装置100は、防水性能の低下を抑制できる。
【0052】
また、本実施形態では、外周面12に耐水性加工としてアルマイト加工が施され、内周面11に耐水性加工として切削加工が施されている電子装置100を採用している。よって、電子装置100は、複数のストレスとして、腐食と高圧洗車水に対して耐性のある防水構造とすることができる。つまり、電子装置100は、外周面12とOリング30との間から内部空間側に腐食が進むことを抑制できる。また、電子装置100は、内周面11とOリング30との間に高圧洗車水などが直接当たったとしても、内周面11とOリング30との間から内部空間側に水分が達することを抑制できる。よって、電子装置100は、高圧洗車時に、外周面12とOリング30との間から水分が内部空間側に達した場合であっても、内周面11とOリング30との間から内部空間側に水分が達することを抑制できる。
【0053】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2〜第5実施形態に関して説明する。
【0054】
(第2実施形態)
図7を用いて、第2実施形態の電子装置(以下、単に電子装置)に関して説明する。電子装置は、筐体10aの構造が電子装置100と異なる。本実施形態では、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、
図7は、
図3に相当する断面図である。
【0055】
電子装置では、電子装置100と同じ構成要件に、電子装置100と同じ符号を付与している。よって、電子装置100と同じ符号の構成要件は、上記実施形態の説明を参照して適用できる。
【0056】
電子装置の筐体10aは、筐体10と同様の材料によって製造されている。また、筐体10aは、段差を有しておらず、内周面11と外周面12が面一となっている。このように構成された電子装置は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。
【0057】
(第3実施形態)
図8を用いて、第3実施形態の電子装置(以下、単に電子装置)に関して説明する。電子装置は、シール部材の構造が電子装置100と異なる。本実施形態では、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、
図8は、
図3に相当する断面図である。
【0058】
電子装置では、電子装置100と同じ構成要件に、電子装置100と同じ符号を付与している。よって、電子装置100と同じ符号の構成要件は、上記実施形態の説明を参照して適用できる。
【0059】
電子装置は、シール部材として、二つのOリングである内周リング30aと外周リング30bを備えている。内周リング30aは、内周面11と台座部23に接触するシール部材であり、上記内周部31に相当する。一方、外周リング30bは、外周面12と台座部23に接触するシール部材であり、上記外周部32に相当する。このように、電子装置は、各環状接触面と接触する部位が別体構造となっている。
【0060】
内周リング30aと外周リング30bは、例えばゴム製であり、Z方向に延びる仮想直線を軸とした環状の部材である。つまり、内周リング30aと外周リング30bは、筐体10と呼吸フィルタ20との間に取り付けられた状態で、呼吸フィルタ20の本体部21や筐体10の挿入穴を全周にわたって囲っている。そして、外周リング30bは、内周リング30aの全周にわたって囲う位置に設けられている。
【0061】
電子装置は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置は、シール部材として、既存のOリングを採用できる。このため、電子装置は、新しい成形型を用いてシール部材を製造する必要がない。
【0062】
なお、本実施形態では、シール部材として、内周リング30aと外周リング30bの二つのOリングを備えている例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、シール部材として、三つ以上のOリングを備えていてもよい。
【0063】
(第4実施形態)
図9を用いて、第3実施形態の電子装置(以下、単に電子装置)に関して説明する。電子装置は、筐体10bの構造及び呼吸フィルタ20aの構造が電子装置100と異なる。本実施形態では、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、
図9は、
図3に相当する断面図である。
【0064】
電子装置では、電子装置100と同じ構成要件に、電子装置100と同じ符号を付与している。よって、電子装置100と同じ符号の構成要件は、上記実施形態の説明を参照して適用できる。
【0065】
筐体10bは、内周面11と外周面12との間に、Oリング30側に突出し、Oリング30に沿う環状の第1突起部11bを有している。第1突起部11bは、特許請求の範囲における筐体突部に相当する。
【0066】
Oリング30は、筐体10bに呼吸フィルタ20aが取り付けられた状態で、第1突起部11bにも接触する。特に、第1突起部11bには、Oリング30の外周部32が接触する。
【0067】
また、呼吸フィルタ20aは、Oリング30の全周と接する環状の接触面であるフィルタ側接触面を二つ有している。このフィルタ側接触面は、台座部23aの一部である。呼吸フィルタ20aは、二つのフィルタ側接触面間に、Oリング30側に突出し、Oリング30に沿う環状の第2突起部23a1を有している。第2突起部23a1は、特許請求の範囲におけるフィルタ突部に相当する。
【0068】
Oリング30は、筐体10bに呼吸フィルタ20aが取り付けられた状態で、第2突起部23a1にも接触する。特に、第2突起部23a1には、Oリング30の外周部32が接触する。
【0069】
電子装置は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置は、第1突起部11bと第2突起部23a1とを備えているため、高圧洗車水がOリング30に当たると、Oリング30が両突起部11b,23a1に当たり変形する。これによって、電子装置は、Oリング30と両突起部11b,23a1との密着性が向上し、高圧洗車水が外周面12を通過して内周面11側に達することを抑制できる。
【0070】
また、電子装置は、高圧洗車水がOリング30に当たっても、第1突起部11bと第2突起部23a1とを備えているため、Oリング30が本体部21側に押し込まれることを抑制できる。つまり、電子装置は、Oリング30の位置ずれを抑制できる。さらに、電子装置は、筐体10bと呼吸フィルタ20aの両方に突起部11b,23a1が設けられているため、いずれか一方に設けられている場合よりも、内周面11側への通過抑制効果と、位置ずれ抑制効果を向上できる。
【0071】
電子装置は、シール部材として、内周リング30aと外周リング30bとを採用することもできる。この場合、電子装置は、第1突起部11bと第2突起部23a1とを備えているため、内周リング30aと外周リング30bの位置調整を容易にすることができる。また、電子装置は、内周リング30aと外周リング30bの位置ずれを抑制できる。
【0072】
なお、本実施形態では、筐体10bに第1突起部11bを有し、台座部23aに第2突起部23a1を有する例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、筐体10bの第1突起部11bと、台座部23aの第2突起部23a1の少なくとも一方を有していればよい。つまり、電子装置は、第2突起部23a1を有した呼吸フィルタ20aと、電子装置100の筐体10や、第2実施形態の筐体10aとを備えたものであってもよい。さらに、電子装置は、電子装置100の呼吸フィルタ20と、第1突起部11bを有した筐体10bとを備えたものであってもよい。
【0073】
(第5実施形態)
図10を用いて、第5実施形態の電子装置(以下、単に電子装置)に関して説明する。電子装置は、筐体10cの構造が電子装置100と異なる。本実施形態では、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、
図10は、
図3に相当する断面図である。
【0074】
電子装置では、電子装置100と同じ構成要件に、電子装置100と同じ符号を付与している。よって、電子装置100と同じ符号の構成要件は、上記実施形態の説明を参照して適用できる。
【0075】
筐体10cは、筐体10とは異なる段差部11cを備えている。つまり、筐体10cは、外周面12よりも内周面11の方がOリング30側に突出するように段差部11cが設けられている。よって、筐体10cは、内周面11の高さ位置が、外周面12の高さ位置よりも高い構造を成している。言い換えると、筐体10cは、内周面11の高さ位置が、外周面12の高さ位置よりも、内部空間から離れた位置に設けられた構造を成している。なお、内周面11は、特許請求の範囲における内側接触面に相当する。一方、外周面12は、特許請求の範囲における外側接触面に相当する。
【0076】
電子装置は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置は、高圧洗車水が外周面12とOリング30を通過しても、高圧洗車水の勢いを段差部11cで抑えることができる。このため、電子装置は、防水性能の低下をより一層抑制できる。