(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得制御手段は、前記像担持体の表面と前記帯電部材の表面との間に放電を生じさせる大きさの前記検査電圧を前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して印加させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記対処手段は、前記異常レベルと、前記帯電部材の累積回転数、累積回転時間、表面の累積移動距離、及び当該帯電部材を用いて行われた画像形成の累積回数の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて前記対処動作を行うことを特徴とする請求項2又は9に記載の画像形成装置。
前記検出手段は、前記取得部による第1の特性値取得動作により取得された電気的特性値に基づいて第1の異常レベルを算定し、前記第1の特性値取得動作より後に行われた第2の特性値取得動作により取得された電気的特性値に基づいて第2の異常レベルを算定し、
前記対処手段は、前記第1の異常レベル及び前記第2の異常レベルと、前記第1の特性値取得動作の終了後から前記第2の特性値取得動作の開始前までの期間における前記帯電部材の回転数、回転時間、表面の累積移動距離、及び当該帯電部材を用いて行われた画像形成の回数の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて前記対処動作を行う
ことを特徴とする請求項2又は9に記載の画像形成装置。
前記対処動作は、前記異常レベルに応じて、前記像担持体の表面を帯電させるために前記帯電部材に印加される電圧の大きさに係る設定を変更する動作を含むことを特徴とする請求項2、9〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記異常の検出のための前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数よりも多い
ことを特徴とする請求項1、2、4〜14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記検出手段は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の分布が所定の分布条件を満たす場合に前記異常の検出を行う
ことを特徴とする請求項1〜3、5〜16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に設けられたコンピューターを、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段、
として機能させ、
前記変動期間の長さは、前記帯電部材において異常が生じている領域の、当該帯電部材の周回方向についての長さに対応することを特徴とするプログラム。
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における前記帯電部材の異常検出方法であって、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得ステップ、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出ステップ、
を含み、
前記変動期間の長さは、前記帯電部材において異常が生じている領域の、当該帯電部材の周回方向についての長さに対応することを特徴とする異常検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、帯電部材の異常に起因して生じた画質不良の視認のされ易さは、帯電部材に流れる電流量の変動幅だけではなく、電流量に異常が生じている異常領域の広さにも影響され、異常領域が広いほど、より小さな電流量の異常によって視認可能な画質不良に繋がる。このため、上記従来の技術のような電流量のみに基づく画一的な異常検出方法では、視認され得る画質不良を生じさせる帯電部材の異常を正確に検出することができないという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、より正確に帯電部材の異常を検出することができる画像形成装置、プログラム及び異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置の発明は、
像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
所定の回転軸を中心に回転する前記像担持体と、
前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、
前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、
前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段と、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段と、
を備え
、
前記変動期間の長さは、前記帯電部材において異常が生じている領域の、当該帯電部材の周回方向についての長さに対応することを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項2に記載の画像形成装置の発明は、
像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
所定の回転軸を中心に回転する前記像担持体と、
前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、
前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、
前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段と、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段と、
を備え、
前記検出手段は、前記変動幅及び前記変動期間の長さの組み合わせに基づいて前記帯電部材の異常の程度に係る異常レベルを算定し、
当該画像形成装置は、前記検出手段により算定された前記異常レベルに応じて前記帯電部材の異常への対処に係る所定の対処動作を行う対処手段を備え、
前記対処動作は、前記異常レベルに基づいて、前記帯電部材を含む所定の交換対象ユニットの使用可能期間を取得する動作を含む
ことを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項3に記載の画像形成装置の発明は、
像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
所定の回転軸を中心に回転する前記像担持体と、
前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、
前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、
前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段と、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段と、
を備え、
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記異常の検出のための前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数よりも多い
ことを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項4に記載の画像形成装置の発明は、
像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
所定の回転軸を中心に回転する前記像担持体と、
前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、
前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、
前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段と、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段と、
を備え、
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記検出手段は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の分布が所定の分布条件を満たす場合に前記異常の検出を行う
ことを特徴としている。
【0009】
請求項
5に記載の発明は、請求項1
から4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記取得制御手段は、前記像担持体の表面と前記帯電部材の表面との間に放電を生じさせる大きさの前記検査電圧を前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して印加させることを特徴としている。
【0010】
請求項
6に記載の発明は、請求項1
から5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記変動幅は、所定の基準値との差分であることを特徴としている。
【0011】
請求項
7に記載の発明は、請求項
6に記載の画像形成装置において、
前記検出手段は、互いに異なる複数の前記基準範囲に対してそれぞれ取得された前記変動期間の長さに基づいて前記帯電部材の異常を検出し、
前記複数の基準範囲の各々は、上限値及び下限値のいずれか一方が定められた範囲である
ことを特徴としている。
【0012】
請求項
8に記載の発明は、請求項
7に記載の画像形成装置において、
前記複数の基準範囲は、
前記上限値が前記基準値より大きい第1の基準範囲と、
前記下限値が前記基準値より小さい第2の基準範囲と、
を含むことを特徴としている。
【0013】
請求項
9に記載の発明は、請求項1
、3〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記検出手段は、前記変動幅及び前記変動期間の長さの組み合わせに基づいて前記帯電部材の異常の程度に係る異常レベルを算定し、
当該画像形成装置は、前記検出手段により算定された前記異常レベルに応じて前記帯電部材の異常への対処に係る所定の対処動作を行う対処手段を備える
ことを特徴としている。
【0014】
請求項
10に記載の発明は、請求項
2又は9に記載の画像形成装置において、
前記対処手段は、前記異常レベルと、前記帯電部材の累積回転数、累積回転時間、表面の累積移動距離、及び当該帯電部材を用いて行われた画像形成の累積回数の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて前記対処動作を行うことを特徴としている。
【0015】
請求項
11に記載の発明は、請求項
2又は9に記載の画像形成装置において、
前記検出手段は、前記取得部による第1の特性値取得動作により取得された電気的特性値に基づいて第1の異常レベルを算定し、前記第1の特性値取得動作より後に行われた第2の特性値取得動作により取得された電気的特性値に基づいて第2の異常レベルを算定し、
前記対処手段は、前記第1の異常レベル及び前記第2の異常レベルと、前記第1の特性値取得動作の終了後から前記第2の特性値取得動作の開始前までの期間における前記帯電部材の回転数、回転時間、表面の累積移動距離、及び当該帯電部材を用いて行われた画像形成の回数の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて前記対処動作を行う
ことを特徴としている。
【0016】
請求項
12に記載の発明は、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記対処動作は、前記異常レベルに基づいて、前記帯電部材を含む所定の交換対象ユニットの使用可能期間を取得する動作を含むことを特徴としている。
【0017】
請求項
13に記載の発明は、請求項
2、9〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記対処動作は、前記異常レベルに応じて、前記像担持体の表面を帯電させるために前記帯電部材に印加される電圧の大きさに係る設定を変更する動作を含むことを特徴としている。
【0018】
請求項
14に記載の発明は、請求項
2、9〜13のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記検出手段は、複数の前記変動期間ごとに、当該変動期間における前記変動幅、及び当該変動期間の長さの組み合わせに基づいて前記異常レベルを算出し、
前記対処手段は、前記複数の変動期間に対応する複数の異常レベルに基づいて前記対処動作を行う
ことを特徴としている。
【0019】
請求項
15に記載の発明は、請求項1
、2、4〜14のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記異常の検出のための前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数よりも多い
ことを特徴としている。
【0020】
請求項
16に記載の発明は、請求項
3又は15に記載の画像形成装置において、
前記像担持体を回転駆動する像担持体駆動部を備え、
前記取得制御手段は、前記異常の検出のための前記特性値取得動作での前記像担持体の表面の移動速度が、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作での前記像担持体の表面の移動速度よりも小さくなるように前記像担持体駆動部の動作を制御する
ことを特徴としている。
【0021】
請求項
17に記載の発明は、請求項1
〜3、5〜16のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記検出手段は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の分布が所定の分布条件を満たす場合に前記異常の検出を行う
ことを特徴としている。
【0022】
請求項
18に記載の発明は、請求項
4又は17に記載の画像形成装置において、
前記検出手段は、前記異常の検出が行われた場合に、前記分布条件が緩和されるように当該分布条件を変更することを特徴としている。
【0023】
また、上記目的を達成するため、請求項
19に記載のプログラムの発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に設けられたコンピューターを、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段、
として機能させ
、
前記変動期間の長さは、前記帯電部材において異常が生じている領域の、当該帯電部材の周回方向についての長さに対応することを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項20に記載のプログラムの発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に設けられたコンピューターを、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段、
として機能させ、
前記検出手段は、前記変動幅及び前記変動期間の長さの組み合わせに基づいて前記帯電部材の異常の程度に係る異常レベルを算定し、
当該プログラムは、前記コンピューターを、前記検出手段により算定された前記異常レベルに応じて前記帯電部材の異常への対処に係る所定の対処動作を行う対処手段として機能させ、
前記対処動作は、前記異常レベルに基づいて、前記帯電部材を含む所定の交換対象ユニットの使用可能期間を取得する動作を含む
ことを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項21に記載のプログラムの発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に設けられたコンピューターを、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段、
として機能させ、
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記異常の検出のための前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数よりも多い
ことを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項22に記載のプログラムの発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に設けられたコンピューターを、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得制御手段、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出手段、
として機能させ、
前記取得制御手段は、前記検出手段による異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記検出手段は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の分布が所定の分布条件を満たす場合に前記異常の検出を行う
ことを特徴としている。
【0024】
また、上記目的を達成するため、請求項
23に記載の異常検出方法の発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における前記帯電部材の異常検出方法であって、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得ステップ、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出ステップ、
を含
み、
前記変動期間の長さは、前記帯電部材において異常が生じている領域の、当該帯電部材の周回方向についての長さに対応することを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項24に記載の異常検出方法の発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における前記帯電部材の異常検出方法であって、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得ステップ、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出ステップ、
を含み、
前記検出ステップでは、前記変動幅及び前記変動期間の長さの組み合わせに基づいて前記帯電部材の異常の程度に係る異常レベルを算定し、
当該異常検出方法は、前記検出ステップにおいて算定された前記異常レベルに応じて前記帯電部材の異常への対処に係る所定の対処動作を行う対処ステップを含み、
前記対処動作は、前記異常レベルに基づいて、前記帯電部材を含む所定の交換対象ユニットの使用可能期間を取得する動作を含む
ことを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項25に記載の異常検出方法の発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における前記帯電部材の異常検出方法であって、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得ステップ、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出ステップ、
を含み、
前記取得ステップでは、前記検出ステップにおける異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記異常の検出のための前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数は、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作での前記回転周期における前記電気的特性値の取得回数よりも多い
ことを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項26に記載の異常検出方法の発明は、
所定の回転軸を中心に回転する像担持体と、前記像担持体の表面に当接し、前記像担持体の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電部材と、前記像担持体の回転に伴って回転している前記帯電部材に対して電圧を印加することで前記像担持体の表面を帯電させる帯電駆動部と、前記帯電部材に流れる電流量に対応する前記帯電部材の電気的特性値を取得する取得部と、を備え、前記像担持体の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して当該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における前記帯電部材の異常検出方法であって、
前記帯電駆動部により前記帯電部材に対して所定の検査電圧を印加させながら、前記帯電部材の回転周期に亘って当該帯電部材の電気的特性値を取得する特性値取得動作を前記取得部により行わせる取得ステップ、
前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の変動幅、及び前記電気的特性値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さに基づいて、前記帯電部材の異常を検出する検出ステップ、
を含み、
前記取得ステップでは、前記検出ステップにおける異常の検出のための前記特性値取得動作と、前記異常の検出以外の所定の目的で行われる前記特性値取得動作と、を前記取得部により行わせ、
前記検出ステップでは、前記所定の目的で行われる前記特性値取得動作により取得された前記電気的特性値の分布が所定の分布条件を満たす場合に前記異常の検出を行う
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に従うと、より正確に帯電部材の異常を検出することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の画像形成装置、プログラム及び異常検出方法に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施形態である画像形成装置1の概略構成を示す図である。
図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、用紙供給部2と、用紙排出部3と、制御部10(取得制御手段、検出手段、対処手段、コンピューター)と、画像形成部20と、記憶部30と、操作部40と、表示部50と、スキャナー60と、搬送部70と、通信部80と、バス90などを備える。これらの各部は、バス90を介して接続されている。
画像形成装置1は、用紙供給部2に格納された用紙(記録媒体)を搬送部70の搬送ローラー71により搬送し、当該搬送されている用紙上に画像形成部20により電子写真方式で画像を形成して用紙排出部3に排出する。
【0029】
制御部10は、CPU11(Central Processing Unit)、RAM12(Random Access Memory)及びROM13(Read Only Memory)を有する。
【0030】
CPU11は、ROM13に記憶されている制御プログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0031】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0032】
ROM13は、CPU11により実行される各種の制御プログラム131や設定データ等を格納する。なお、ROM13に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0033】
これらのCPU11,RAM12及びROM13を有する制御部10は、制御プログラム131に従って画像形成装置1の各部を統括制御する。例えば、制御部10は、搬送部70に用紙を搬送させ、記憶部30に記憶された画像データに基づいて画像形成部20により用紙に画像を形成させる。
【0034】
記憶部30は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などにより構成され、スキャナー60により取得された画像データや、通信部80を介して外部から入力された画像データ、後述する履歴情報などが記憶される。なお、これらのデータや情報はRAM12に記憶されてもよい。
【0035】
画像形成部20は、記憶部30に記憶された画像データに基づき、用紙に画像を形成する。画像形成部20は、静電潜像を表面に担持するドラム状の感光体である像担持体21と、像担持体21を回転駆動させる像担持体駆動部211(
図2)と、像担持体21の表面における残留トナーを除去するクリーニング部22と、像担持体21の表面を一様に帯電させる帯電ローラー23(帯電部材)と、帯電ローラー23に電圧を印加する電源部234(帯電駆動部、取得部)(
図2)と、帯電された像担持体21の表面を露光して静電潜像を形成する露光部24と、トナーを含む現像剤を用いて静電潜像を現像し、像担持体21の表面にトナー像を形成する現像部25と、形成されたトナー像を転写領域において中間転写ベルト261に1次転写し、さらに中間転写ベルト261から用紙に2次転写する転写部26と、トナー像を用紙に定着させる定着部27などを備える。上記のうち、像担持体21、クリーニング部22、帯電ローラー23、露光部24、現像部25により作像ユニットが構成される。
【0036】
作像ユニットは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)の各色に対応して4つ設けられ、中間転写ベルト261の下部水平面に沿ってY,M,C,Kの順に配列されている。各作像ユニットでは、像担持体21の外周面に沿って、クリーニング部22、帯電ローラー23、露光部24及び現像部25がこの順に配列されている。作像ユニットのうち、像担持体21、クリーニング部22及び帯電ローラー23は、交換対象ユニットUを構成している。この交換対象ユニットUは、使用可能期間が経過した場合などに交換することが可能となっている。
【0037】
像担持体21は、像担持体駆動部211により駆動されることで所定の回転軸を中心に回転する。像担持体21の外周面には、有機光導電体を含有させた樹脂からなる感光層が形成されている。
像担持体駆動部211は、制御部10からの制御信号により指定された回転速度で像担持体21を回転駆動する。
【0038】
クリーニング部22は、弾性体からなる平板状のクリーニングブレードを有し、当該クリーニングブレードを像担持体21の表面に当接させることで、像担持体21の表面に付着し中間転写ベルト261に転写されずに残留したトナーなどの異物を除去する。
【0039】
帯電ローラー23は、像担持体21の表面に当接し、像担持体21の回転に伴って所定の回転軸を中心に従動回転する筒状部材である。
電源部234は、上記従動回転している帯電ローラー23に対し、直流電圧に交流電圧が重畳された交流バイアス電圧を帯電駆動電圧として印加することで、像担持体21の表面を一様に帯電させる。
帯電ローラー23及び電源部234の詳細な構成及び動作については後述する。
【0040】
露光部24は、発光素子としてのLD(Laser Diode)を備え、帯電ローラー23により帯電された像担持体21の表面にレーザー光を照射することで露光して像担持体21上に静電潜像を形成する。なお、
図1では、4つの作像ユニットにそれぞれ対応する4つの露光部24が設けられているが、これに代えて、単一の露光部24からのレーザー光を反透過ミラーなどにより分離させて各撮像ユニットの像担持体21に導く構成としてもよい。
【0041】
現像部25は、像担持体21の表面に対向するように配置された現像スリーブ(現像ローラー)を備える。現像部25は、図示しないトナーボトルから供給されたトナーを含む現像剤を、所定の現像バイアス電位とされた現像スリーブの表面に供給することで、現像剤中のトナーを現像スリーブ表面から像担持体21の表面の静電潜像に付着させて、像担持体21の表面にトナー像を形成させる。
【0042】
転写部26は、2つのベルト搬送ローラー262と、各像担持体21に対向して配置された4つの1次転写ローラー263と、ベルト搬送ローラー262及び1次転写ローラー263の回りに架け渡された中間転写ベルト261と、中間転写ベルト261上に残留したトナーを除去するベルトクリーニング部264と、一方のベルト搬送ローラー262に対して付勢された状態でベルト搬送ローラー262の回転に伴って従動回転する2次転写ローラー265とを備える。
転写部26では、1次転写ローラー263にトナーと逆極性のバイアス電圧を印加した状態で中間転写ベルト261が周回移動することで、回転する像担持体21の表面から中間転写ベルト261にトナーが転写される。また、Y,M,C,Kの各色のトナーが重畳転写された後、所定のバイアス電圧が印加された2次転写ローラー265と中間転写ベルト261との間を用紙が通過することで、中間転写ベルト261から用紙へカラートナー像が転写される。用紙へ転写されずに中間転写ベルト261上に残留したトナーは、ベルトクリーニング部264のクリーニングブレードによって除去される。
【0043】
定着部27は、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧して用紙にトナー像を定着させる。定着部27は、用紙を挟持する加熱ローラー及び加圧ローラーからなる一対のローラーを備える。加熱ローラーは、加熱源としてのヒーターによって所定の目標温度(例えば180℃以上200℃以下の範囲内の温度)に加熱される。加圧ローラーは、図示しない弾性部材によって加熱ローラーへ向かって付勢されている。トナー像が転写された用紙が加熱ローラーと加圧ローラーとのニップ部を通ることにより、トナー像が用紙上に定着される。トナー像が定着された用紙は、搬送部70の搬送ローラー71により搬送されて用紙排出部3に送出される。
【0044】
操作部40は、操作キーや表示部50の画面に重ねられて配置されたタッチパネルなどの入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対する入力操作を操作信号に変換して制御部10に出力する。
【0045】
表示部50は、LCD(Liquid crystal display)などの表示装置を備え、制御部10による制御下で、画像形成装置1の状態や、タッチパネルへの入力操作の対象となる操作ボタンを含む操作画面などを表示する。
【0046】
スキャナー60は、制御部10による制御下で用紙に形成された画像を読み取って画像データを生成し、生成された画像データを記憶部30に記憶させる。
【0047】
搬送部70は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を移動させる搬送ローラー71を複数備え、制御部10による制御下で搬送ローラー71を回転駆動させることで用紙を所定の搬送経路に沿って搬送する。搬送部70は、定着部27により定着処理が行われた用紙の表裏を反転させて2次転写ローラー265へ搬送する図示しない反転機構を備えていてもよい。
【0048】
通信部80は、制御部10による制御下で、ネットワーク上のコンピューターや他の画像形成装置と通信を行って画像データや印刷ジョブデータなどを送受信する。
【0049】
<帯電ローラー、電源部の構成及び動作>
次に、帯電ローラー23及び電源部234の構成及び動作について説明する。
図3は、帯電ローラー23及び電源部234の構成及び動作について説明する図である。
帯電ローラー23は、
図3における図面垂直方向に延びる(像担持体21の回転軸と同軸の)回転軸を中心に回転可能に設けられた直径約12[mm]の筒状部材である。帯電ローラー23は、回転軸に沿って延びる筒状の芯金231と、芯金231の周囲に形成された導電性の弾性層232と、弾性層232の周囲に設けられ帯電ローラー23の表層を形成する表面層233とを有する。
【0050】
芯金231は、金属などの導電性部材により構成される。
弾性層232は、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム等の弾性材料に、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、イオン導電剤等の導電剤を混入したものにより構成することができる。
表面層233は、平均粒子径が数μm〜数十μmの有機微粒子又は無機微粒子を含有する樹脂層であり、帯電ローラー23の表面を保護するとともに、当該表面に所定の表面粗さを付与するために設けられる。
帯電ローラー23は、図示しないばね部材などにより像担持体21の表面に向けて付勢されている。これにより、帯電ローラー23は、像担持体21の回転に伴って従動回転する。本実施形態では、通常画像の記録動作における像担持体21及び帯電ローラー23の回転速度は、表面の移動速度が約145[mm/秒]となるように調整される。このときの帯電ローラー23の回転周期は、約0.26[秒]である。
【0051】
帯電ローラー23の芯金231は、電源部234に電気的に接続されている。
電源部234は、制御部10により指定されたピーク間電圧Vppを有する交流電圧を生成する交流電源部234aと、制御部10により指定された大きさの直流電圧を生成する直流電源部234bとを備えている。電源部234は、直流電源部234bにより生成された直流電圧に、交流電源部234aにより生成された交流電圧を重畳させた帯電駆動電圧を帯電ローラー23の芯金231に供給する。これらの交流電源部234a及び直流電源部234bにより帯電駆動部が構成される。
また、電源部234は、帯電ローラー23に流れる電流量(電流値、電気的特性値)を測定する電流測定部234c(取得部)を備える。電流測定部234cは、測定した電流量に係る情報を制御部10に出力する。
【0052】
電源部234は、像担持体21の回転に伴って従動回転している帯電ローラー23に対して帯電駆動電圧を印加することで、像担持体21及び帯電ローラー23の接触部の両側近傍における像担持体21の表面と帯電ローラー23の表面との間隙に放電を生じさせ、これにより像担持体21の表面に電荷を付与して一様に帯電させる。本実施形態では、直流電源部234bによる直流電圧が−600[V]、交流電源部234aにより重畳される交流電圧のピーク間電圧Vppが1800[V]とされ、−600±(1800/2)[V]の間で振動する電圧が帯電ローラー23に印加される。ピーク間電圧Vppが大きすぎると、放電により生成されるイオンなどが増加して帯電ローラー23に付着して特性劣化に繋がるため、ピーク間電圧Vppは、適切な量の放電が生じる範囲で可能な限り小さい値に調整することが望ましい。ピーク間電圧Vppの調整方法については、後述する。
【0053】
<帯電ローラーの異常検出方法>
次に、帯電ローラー23における異常の検出方法について説明する。
像担持体21の表面における帯電量は、帯電ローラー23への帯電駆動電圧の印加時に帯電ローラー23に流れる電流量に応じた量となる。帯電ローラー23において、汚損や劣化により表面層233の表面状態や抵抗値の変動(帯電ローラー23の異常)が生じると、電流量が変動して、像担持体21の表面における帯電量に適正値からの過不足が生じる。帯電量の過不足が生じた領域では、現像部25によって適正な濃度のトナー像が形成されず、記録画像の画質不良に繋がる。
【0054】
このような帯電ローラー23の異常は、帯電ローラー23の表面層233の架橋状態の変化、像担持体21との接触による表面層233の薄化や表面層233におけるクラックの発生、及びトナーやその外添剤といった異物の付着などに起因して生じ得る。例えば、表面層233にクラックが発生すると、クラック部に集中して電流が流れて異常放電が発生し、周囲との帯電量の差異が生じて記録画像における色むらに繋がる。また、クラックが一定の広がりを有する範囲で繋がると、広範囲で電流量が大きくなり、より広範囲の色むらに繋がる。また、異物の付着によって帯電ローラー23の抵抗値が局所的に変動した場合にも、同様に電流量が周囲と異なる結果、記録画像において色むらなどの画質不良が発生する。
【0055】
ここで、帯電ローラー23の異常に起因した記録画像における画質不良の程度、すなわち視認のされ易さは、帯電ローラー23に流れる電流量の変動幅だけではなく、電流量に異常が生じている異常領域の広さにも影響され、異常領域が広いほど、より小さな電流量の異常によって視認可能な画質不良に繋がる。したがって、異常領域における電流量の適正値(所定の基準値)からの変動幅が同一であっても、異常領域の形状がライン状である場合には視認可能な画質不良が発生せず、異常領域の形状が面状である場合には視認可能な画質不良が発生するといった事象が生じ得る。
【0056】
そこで、本実施形態では、帯電ローラー23における異常領域の大きさを考慮した帯電ローラー23の異常検出が行われる。
画像形成装置1において帯電ローラー23の異常を検出する場合には、電源部234から帯電ローラー23に対して所定の検査電圧を印加しながら、少なくとも帯電ローラー23の回転周期に亘って当該帯電ローラー23の電流値が電流測定部234cにより取得される。以下では、帯電ローラー23の異常検出動作において電気的特性値としての電流値を測定する動作を、特性値取得動作と記す。ここで、上記の検査電圧におけるピーク間電圧Vppは、像担持体21の表面及び帯電ローラー23の表面の間に放電を生じさせる大きさに設定される。
【0057】
図4は、帯電ローラー23における電流値の測定結果の例を示す模式図である。
図4では、特性値取得動作により帯電ローラー23の回転周期において測定された電流値の時間変化が模式的に示されている。この電流値は、単一の回転周期での測定値としてもよいし、複数の回転周期における測定値の平均値としてもよい。本実施形態では、特性値取得動作における像担持体21及び帯電ローラー23の表面の移動速度は、通常画像の記録時の1/2である約72[mm/秒]とされ、この場合の帯電ローラー23の回転周期は、約0.52[秒]である。そして、電流測定部234cによる最大検出頻度で電流値を測定することで、この回転周期当たりに90回の電流値測定が行われる。
【0058】
図4の例では、電流値が基準値I0から正方向に変動する電流ピークP1,P2,P4が形成され、また基準値I0から負方向に変動する電流ピークP3が形成されている。これらの各電流ピークP1〜P4(以下では、単に電流ピークPとも記す)が、それぞれ帯電ローラー23の異常領域に対応する。ここで、基準値I0は、回転周期に亘る電流値データから算定することができる。基準値I0の算定方法は、特には限られないが、回転周期に亘る電流値の代表値(平均値や中央値)とする方法、及び各ピークの裾部分の電流値の近似値とする方法などが挙げられる。
【0059】
図4の電流値が測定されると、各電流ピークPの変動幅D及び変動期間の長さW(変動時間)が算出される。ここで、変動幅Dは、基準値I0からの乖離幅である。また、変動期間は、電流値が連続して所定の基準範囲外の値となる期間である。基準範囲には、基準値I0より大きい上限値により規定された範囲(第1の基準範囲)と、基準値I0より小さい下限値により規定された範囲(第2の基準範囲)とがある。また、第1の基準範囲には、上限値が互いに異なる(本実施形態では、+I1,+I2,…)複数の基準範囲があり、第2の基準範囲には、下限値が互いに異なる(本実施形態では、−I1,−I2,…)複数の基準範囲がある。電流ピークPの変動期間の長さWは、電流値が、これらの複数の基準範囲のうち上限値又は下限値の絶対値が最も大きい基準範囲の範囲外となっている期間とされる。例えば、電流ピークP1については、電流値が、+I1,+I2をそれぞれ上限値とする2つの基準範囲の範囲外となっているため、絶対値が最も大きい上限値+I2を超えている期間の長さW1が電流ピークP1の変動期間の長さWと算定される。同様に、電流ピークP2の変動期間の長さW2は、上限値+I1を超えている期間の長さであり、電流ピークP3の変動期間の長さW3は、下限値−I1を下回っている期間の長さであり、電流ピークP4の変動期間の長さW4は、上限値+I1を超えている期間の長さである。
【0060】
各電流ピークPについて変動幅D及び変動期間の長さWが算出されると、変動幅D及び変動期間の長さWの組み合わせに基づいて、電流ピークPに対応する異常領域についての異常の程度に係る異常レベルが取得される。そして、取得された異常レベルに応じて帯電ローラー23の異常への対処に係る所定の対処動作が実行される。複数の電流ピークPについての異常レベルの少なくとも一部が互いに異なる場合には、取得された異常レベルのうち最も高い異常レベルに対応する対処動作が実行される。
【0061】
図5は、異常レベルの算定に用いられるテーブルデータを示す図である。
図5のテーブルデータは、ROM13(又は記憶部30)に記憶されたデータであり、電流ピークPにおける電流値の変動幅D(7水準)と変動期間の長さW(7水準)との組み合わせに対して、異常レベルが対応付けられて記憶されている。具体的には、変動幅D(絶対値)がI6以上でありかつ変動期間の長さWがT1以上である場合、及び変動幅DがI4以上でありかつ変動期間の長さWがT4以上である場合に対して異常レベル1が割り当てられており、変動幅DがI2未満である場合、変動幅DがI4未満でありかつ変動期間の長さWがT1以上T4未満である場合、及び変動幅DがI5未満でありかつ変動期間の長さWがT1未満である場合に対して異常レベル3が割り当てられており、これら以外の場合に対して異常レベル2が割り当てられている。
【0062】
ここで、異常レベルは、値が小さいほど大きな異常であることを示す。具体的には、異常レベル1は、帯電ローラー23を含む交換対象ユニットUの即時の交換が必要な異常レベルであり、異常レベル2は、帯電ローラー23の継続使用が可能であるが交換時期が近い場合の異常レベルであり、異常レベル3は、帯電ローラー23に異常がないか、異常がごく僅かである場合の異常レベルである。また、変動幅Dの各水準の境界値、及び変動期間の長さWの各水準の境界値は、実際に異常が生じた帯電ローラー23における変動幅及び変動期間の値に基づいて設定される。なお、
図5では異常レベルを3段階に設定したが、より細かく異常レベルを設定してもよい。また、変動幅D及び変動期間の長さWの水準の数は7つに限られない。
【0063】
本実施形態では、帯電ローラー23の回転周期における複数の電流ピークPに各々対応する異常レベルのうち、最も大きな異常レベルが異常レベル1である場合には、交換対象ユニットUの即時の交換を促す警告表示が表示部50において行われる。
また、最も大きな異常レベルが異常レベル2である場合には、交換対象ユニットUの交換時期が近いことを示す注意表示が表示部50において行われる。
また、最も大きな異常レベルが異常レベル3である場合には、交換対象ユニットUの交換に係る表示は行われない。
【0064】
また、最も大きな異常レベルが、即時の交換が必要ない異常レベル2又は異常レベル3である場合には、交換対象ユニットUの使用可能期間(寿命)が算出されて表示部50に表示される。使用可能期間の算出は、例えば次の方法により行うことができる。すなわち、まず過去に行われた特性値取得動作(第1の特性値取得動作)における異常レベル(第1の異常レベル)と、現在の特性値取得動作(第2の特性値取得動作)における異常レベル(第2の異常レベル)とを取得し、これらの第1の異常レベル及び前記第2の異常レベルと、第1の特性値取得動作の実行後から第2の特性値取得動作の実行前までの期間における帯電ローラー23の回転数、回転時間、表面の移動距離、及び当該帯電ローラー23を用いた画像形成の回数(用紙の枚数)の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて使用可能期間を算出する。具体的には、使用可能期間は、第1の異常レベルと第2の異常レベルとの差異が大きいほど短くなるように、かつ履歴情報における帯電ローラー23の回転数、回転時間、表面の移動距離又は画像形成の回数が少ないほど短くなるように算出される。
なお、予め各異常レベルに対応付けて使用可能期間を算定し、取得された異常レベルに対応する使用可能期間を用いてもよい。また、上記に代えて、直近の1回の特性値取得動作に基づいて異常レベルを算定し、当該異常レベルと、搬送ローラー23の使用開始時からの累積回転数、累積回転時間、表面の累積移動距離、及び画像形成の累積回数の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて使用可能期間を算出してもよい。
【0065】
上記における表示部50による警告表示、注意表示及び使用可能期間の表示、及び使用可能期間の算定の各動作は、いずれも対処動作に相当し、これらの対処動作を行う制御部10、表示部50により対処手段が構成される。
【0066】
<帯電ローラーの異常検出動作の開始制御(1)>
次に、帯電ローラー23の異常検出動作を開始する制御について説明する。
本実施形態の画像形成装置1では、通常画像の形成動作において、所定のタイミングで、電流測定部234cにより帯電ローラー23の回転周期に亘って電流値が測定され、回転周期における電流値の分布に係る値(ここでは、標準偏差)が検出される(以下では、この検出を予備検出と記す)。予備検出は、電流ピークの変動期間の長さの検出を伴わない動作であり、上述の帯電ローラー23の異常検出そのものを目的としない検出動作である。したがって、予備検出のための特性値取得動作は、帯電ローラー23の異常検出以外の目的で行われる特性値取得動作に対応する。
上記の所定のタイミングとしては、印刷ジョブに係る画像形成動作の終了時、画像形成装置1の電源投入時、連続して所定枚数の用紙に画像形成が行われた場合、及び画像形成装置1内の温度又は湿度が所定値以上変動した場合などが挙げられる。
【0067】
この予備検出では、帯電ローラー23の回転速度は、通常画像の形成時の設定とされるため、上述の帯電ローラー23の異常検出動作における速度の2倍であり、回転周期当たりの電流値測定回数は、異常検出動作時の1/2(45回)となる。したがって、異常検出動作での特性値検出動作における電流値の取得回数が、予備検出における電流値の取得回数よりも多くなるように各動作の設定がなされている。
予備検出では、電流値の標準偏差が算出される。そして、電流値の標準偏差が所定の標準偏差基準範囲の範囲外となった場合(電流値の分布が所定の分布条件を満たす場合)に、像担持体21及び帯電ローラー23の回転速度が1/2に低減され、上述の特性値取得動作を含む異常検出動作が開始される。
【0068】
予備検出の結果に応じて異常検出動作が開始された場合には、標準偏差基準範囲が広がるように、より詳しくは、当該予備検出において算出された標準偏差が標準偏差基準範囲内となるように標準偏差基準範囲の設定が変更される。すなわち、上記分布条件が緩和されるように当該分布条件が変更される。
【0069】
以下では、画像形成装置1により実行される帯電ローラー23の異常検出処理の制御部10による制御手順について説明する。ここでは、印刷ジョブに係る画像形成動作の終了時に予備検出が行われる例を用いて説明する。
【0070】
図6は、帯電ローラー23の異常検出処理の制御手順を示すフローチャートである。
通信部80を介して外部から印刷ジョブが入力されると、制御部10は、印刷ジョブに係る通常画像の記録動作を開始させる(ステップS101)。ここでは、制御部10は、像担持体駆動部211に制御信号を出力して、像担持体21及び帯電ローラー23の表面の移動速度が約145[mm/秒]となる速度で像担持体21を回転させる。
【0071】
制御部10は、印刷ジョブに係る全ての画像の記録が終了したか否かを判別する(ステップS102)。制御部10は、いずれかの画像の記録が終了していないと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、再びステップS102の処理を実行する。全ての画像の記録が終了したと判別された場合には(ステップS102で“YES”)、制御部10は、上述の予備検出動作を電源部234により行わせる(ステップS103)。
【0072】
制御部10は、測定された電流値の標準偏差が標準偏差基準範囲の範囲外であるか否かを判別する(ステップS104)。標準偏差が標準偏差基準範囲の範囲内であると判別された場合には(ステップS104で“NO”)、制御部10は、異常検出処理を終了させる。
【0073】
標準偏差が標準偏差基準範囲の範囲外であると判別された場合には(ステップS104で“YES”)、制御部10は、標準偏差基準範囲を上述のように変更し(ステップS105)、像担持体駆動部211に制御信号を出力して像担持体21及び帯電ローラー23の回転速度を1/2に低減させた上で(ステップS106)、電源部234により異常検出動作に係る特性値取得動作を行わせる(ステップS107:取得ステップ)。
【0074】
制御部10は、取得された電流値のデータに基づいて各電流ピークPの変動幅D及び変動期間の長さWを算出し(ステップS108)、上述した方法で異常レベルを算定して、算定された異常レベルに応じた各種対処動作を実行させる(ステップS109)。ステップS108及びステップS109の処理が、検出ステップに相当する。
ステップS109の処理が終了すると、制御部10は、異常検出処理を終了させる。
【0075】
<帯電ローラーの異常検出動作の開始制御(2)>
次に、帯電ローラー23の異常検出動作を開始する制御の他の例について説明する。
上述したように、本実施形態の画像形成装置1では、電源部234の交流電源部234aにより生成される交流電圧のピーク間電圧Vppは、適切な量の放電が生じる範囲で可能な限り小さい値であることが望ましい。また、ピーク間電圧Vppに対する放電量は、環境条件(温度や湿度)や帯電ローラー23の消耗状態などに依存するため、所定のタイミングでピーク間電圧Vppの調整動作が行われる。この調整動作は、以下に説明するように、異なる複数の帯電駆動電圧で帯電ローラー23における電流値を測定する動作が含まれる。このときに測定された電流値の標準偏差を検出する動作を、上述の予備検出とすることができる。この場合においても、当該予備検出において、電流値の標準偏差が標準偏差基準範囲外となった場合に、異常検出動作が開始される。
【0076】
以下、ピーク間電圧Vppの調整動作について説明する。
ピーク間電圧Vppの調整動作は、印刷ジョブに係る画像形成動作の終了時、画像形成装置1の電源投入時、連続して所定枚数の用紙に画像形成が行われた場合、及び画像形成装置1内の温度又は湿度が所定値以上変動した場合などに行われる。
【0077】
ピーク間電圧Vppの調整動作では、まず、ピーク間電圧Vppが互いに異なる複数の帯電駆動電圧を帯電ローラー23に印加して電流値を測定する。
図7は、ピーク間電圧Vppの調整動作に用いられる電圧の例を示す図である。
図7に示されるように、調整動作に用いられる複数のピーク間電圧Vppは、例えば、放電開始電圧未満の範囲で選択された4つのピーク間電圧Vpp1〜Vpp4と、放電開始電圧以上の範囲で選択された4つのピーク間電圧Vpp5〜Vpp8とからなる計8つとすることができる。例えば、ピーク間電圧Vpp1〜Vpp4は、それぞれ1300[V]、1400[V]、1500[V]、1600[V]とすることができ、ピーク間電圧Vpp5〜Vpp8は、それぞれ1900[V]、2000[V]、2100[V]、2200[V]
【0078】
これらの8つのピーク間電圧Vpp1〜Vpp8の組み合わせは、予めROM13(又は記憶部30)に記憶されたテーブルデータを参照することで取得される。テーブルデータは、環境条件(温度及び湿度)ごとに最適なピーク間電圧Vpp1〜Vpp8の組み合わせが記憶されたものとしてもよい。この場合には、画像形成装置1に図示しない温度検出部及び湿度検出部を設け、温度及び湿度の検出結果に基づいてテーブルデータを参照することで、現在の環境に適したピーク間電圧Vpp1〜Vpp8の組み合わせが取得される。
【0079】
調整動作に用いられるピーク間電圧Vpp1〜Vpp8が取得されると、
図7に示されるように、電源部234は、交流電源部234aにより生成される交流電圧のピーク間電圧をVpp1からVpp8まで所定の切替期間ごとに段階的に変化させ、この交流電圧に直流電源部234bにより生成された直流電圧を重畳させて、帯電ローラー23に印加する。ピーク間電圧Vppの切替間隔は、帯電ローラー23の回転周期よりも長くなるように設定される。また、この帯電駆動電圧の印加に伴って、ピーク間電圧Vpp1〜Vpp8の各供給期間において、帯電ローラー23の回転周期に亘って電流測定部234cにより電流値が測定される。
【0080】
図8は、複数のピーク間電圧Vpp1〜Vpp8に対応する電流値の測定結果の例を示す図である。
図8における時間cは、帯電ローラー23の回転周期である。このように、ピーク間電圧がVpp1からVpp8まで増大するに従って、電流値が増大する。
【0081】
電流値が測定されると、ピーク間電圧Vpp1〜Vpp8の各々に対応する電流値の平均値Iac1〜Iac8が算出される。
図9は、ピーク間電圧Vpp1〜Vpp8と電流値の平均値Iac1〜Iac8との関係を示す図である。
図9のように、ピーク間電圧の大きさに対して電流値の平均値をプロットし、このうち電流値の平均値Iac1〜Iac4に基づいて、放電開始電圧以下のピーク間電圧Vpp1〜Vpp4と電流値との関係を表す直線L1を最小二乗法を用いて求める。また、電流値の平均値Iac5〜Iac8に基づいて、放電開始電圧以上のピーク間電圧Vpp5〜Vpp8と電流値との関係を表す直線L2を最小二乗法を用いて求める。そして、直線L1及び直線L2の交点を、当該調整動作の環境条件における放電開始電圧Vthとして取得する。また、この放電開始電圧Vthに対して所定の値を加算して、画像形成におけるピーク間電圧Vppを設定する。
【0082】
このようなピーク間電圧Vppの調整動作において、測定された
図8の電流値について標準偏差が算出され、ピーク間電圧Vpp1〜Vpp8のいずれかに係る電流値の標準偏差、又は各ピーク間電圧Vpp1〜Vpp8に係る標準偏差の平均値が標準偏差基準範囲外となっている場合には、ピーク間電圧Vppの調整動作の終了後に、帯電ローラー23の異常検出動作が開始される。
【0083】
(変形例)
続いて、上記実施形態の変形例について説明する。本変形例は、電流値が基準値I0より大きい電流ピークPと、基準値I0より小さい電流ピークPとで、異常レベルの算定基準や対処動作が各々別個に設定されている点で上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
【0084】
図10は、本変形例において異常レベルの算定に用いられるテーブルデータを示す図である。
図10(a)には、電流ピークPにおける変動幅Dが基準値I0より大きい場合(基準値I0に対して+側である場合)のテーブルデータが示されている。このテーブルデータでは、変動幅Dの絶対値と変動期間の長さWとの組み合わせに対して、異常レベル1〜4のいずれかが割り当てられている。また、異常レベル1〜4の各々には、対処動作1〜4が対応付けられている。
一方、
図10(b)には、電流ピークPにおける変動幅Dが基準値I0より小さい場合(基準値I0に対して−側である場合)のテーブルデータが示されている。このテーブルデータでは、変動幅Dの絶対値と変動期間の長さWとの組み合わせに対して、異常レベル1,5〜7のいずれかが割り当てられている。また、異常レベル1,5〜7の各々には、対処動作1,5〜7が対応付けられている。
【0085】
このように+側と−側とで別個に異常レベルや対処動作を設定することで、より帯電ローラー23の異常に対するより柔軟かつ適切な対処を行うことができる。例えば、
図10(b)における異常レベル6に対応する対処動作6として、像担持体21に供給される帯電駆動電圧の大きさが増大されるように設定を変更する動作とすることで、電流値の不足を補うことができる。
なお、
図10(a)及び
図10(b)の各テーブルデータにおいて、異常レベルの段階の数、変動幅Dの各水準の境界値、変動期間の長さWの各水準の境界値、及び変動幅D及び変動期間の長さWの水準の数などを互いに異ならせてもよい。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1は、像担持体21の表面における静電潜像を現像して得られたトナー像を用紙に転写して当該用紙上に画像を形成する画像形成装置1であって、所定の回転軸を中心に回転する像担持体21と、像担持体21の表面に当接し、像担持体21の回転に伴って所定の回転軸を中心に回転する帯電ローラー23と、像担持体21の回転に伴って回転している帯電ローラー23に対して電圧を印加することで像担持体21の表面を帯電させる電源部234と、帯電ローラー23に流れる電流量に対応する帯電ローラー23の電気的特性値としての電流値を取得する電流測定部234cと、制御部10とを備え、制御部10は、電源部234により帯電ローラー23に対して所定の検査電圧を印加させながら、帯電ローラー23の回転周期に亘って当該帯電ローラー23の電流値を取得する特性値取得動作を電流測定部234cにより行わせ(取得制御手段)、特性値取得動作により取得された電流値の変動幅D、及び電流値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さWに基づいて、帯電ローラー23の異常を検出する(検出手段)。
上記の電流値の変動期間の長さWは、帯電ローラー23において表面状態や抵抗値に異常が生じている異常領域の、帯電ローラー23の周回方向についての長さを表す。よって、電流値の変動幅D及び変動期間の長さWに基づいて異常を検出する上記構成によれば、帯電ローラー23における異常領域の周回方向の大きさを考慮してより正確に帯電ローラー23の異常を検出することができる。例えば、変動幅Dが小さく変動幅Dによっては異常が検出されない場合であっても、変動期間の長さWが長い場合には当該変動期間に係る電流ピークPに基づいて正確に帯電ローラー23の異常を検出することができる。
【0087】
また、制御部10は、像担持体21の表面と帯電ローラー23の表面との間に放電を生じさせる大きさの検査電圧を電源部234により帯電ローラー23に対して印加させる(取得制御手段)。このような大きさの検査電圧を用いて電流を測定することで、電流ピークPの変動幅Dの絶対値を大きくすることができるため、より正確に帯電ローラー23の異常を検出することができる。
【0088】
また、変動幅Dを、所定の基準値I0との差分とすることで、周回方向についての各位置での異常の程度を同一の基準で特定して異常を検出することができる。
【0089】
また、制御部10は、互いに異なる複数の基準範囲に対してそれぞれ取得された変動期間の長さWに基づいて帯電ローラー23の異常を検出し(検出手段)、基準範囲は、上限値及び下限値のいずれか一方が定められた範囲である。これにより、電流値が基準範囲外となる異常領域が複数ある場合において、各異常領域における異常の大きさを適切に特定して正確に異常を検出することができる。
【0090】
また、複数の基準範囲は、上限値が基準値より大きい第1の基準範囲と、下限値が基準値より小さい第2の基準範囲と、を含む。これにより、電流値が増大する異常と低減する異常とをそれぞれ適切に検出することができる。例えば、表面層233にクラックが生じたことにより電流値が増大する不具合と、表面層233の抵抗値が増大したことにより電流値が減少する不具合とを、各々別個に正確に特定することができる。
【0091】
また、制御部10は、変動幅D及び変動期間の長さWの組み合わせに基づいて帯電ローラー23の異常の程度に係る異常レベルを算定し(検出手段)、画像形成装置1は、算定された異常レベルに応じて帯電ローラー23の異常への対処に係る所定の対処動作を行う対処手段としての制御部10及び表示部50を備える。これにより、異常の程度に応じた適切な対処を容易な処理で行うことができる。
【0092】
対処手段は、異常レベルと、帯電ローラー23の累積回転数、累積回転時間、表面の累積移動距離、及び当該帯電ローラーを用いて行われた画像形成の累積回数の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて対処動作を行う(対処手段)。これにより、帯電ローラー23に生じている異常の時間変化率を考慮した適切な対処動作を行うことができる。
【0093】
また、制御部10は、電流測定部234cによる第1の特性値取得動作により取得された電流値に基づいて第1の異常レベルを算定し、第1の特性値取得動作より後に行われた第2の特性値取得動作により取得された電流値に基づいて第2の異常レベルを算定し、対処手段は、第1の異常レベル及び第2の異常レベルと、第1の特性値取得動作の終了後から第2の特性値取得動作の開始前までの期間における帯電ローラー23の回転数、回転時間、表面の移動距離、及び当該帯電ローラー23を用いて行われた画像形成の回数の少なくとも一つに係る履歴情報と、に基づいて対処動作を行う。これにより、帯電ローラー23に生じている異常の時間変化率を考慮した適切な対処動作を行うことができる。
【0094】
また、対処動作は、異常レベルに基づいて、帯電ローラー23を含む所定の交換対象ユニットUの使用可能期間を取得する動作を含む。これにより、帯電ローラー23の使用可能期間、すなわち寿命を正確に算出して、ユーザーに交換対象ユニットの交換を促す表示や動作を行うことができる。
【0095】
また、対処動作は、異常レベルに応じて、像担持体21の表面を帯電させるために帯電ローラー23に印加される電圧の大きさに係る設定を変更する動作を含む。これにより、帯電ローラー23における電流値を適切な範囲に調整することができ、検出された帯電ローラー23の異常を抑制した上で帯電ローラー23を継続使用することができる。
【0096】
また、制御部10は、複数の変動期間ごとに、当該変動期間における変動幅D、及び当該変動期間の長さWの組み合わせに基づいて異常レベルを算出し(検出手段)、対処手段は、複数の変動期間に対応する複数の異常レベルに基づいて対処動作を行う。これにより、電流値の変動期間に対応する異常領域ごとに、当該異常領域における異常の大きさを正確に特定して帯電ローラー23の異常を検出することができる。
【0097】
また、制御部10は、帯電ローラー23の異常の検出のための特性値取得動作と、当該異常の検出以外の所定の目的で行われる特性値取得動作と、を電流測定部234cにより行わせ(取得制御手段)、上記異常の検出のための特性値取得動作での回転周期における電流値の取得回数は、上記所定の目的で行われる特性値取得動作での回転周期における電流値の取得回数よりも多い。これにより、異常検出動作において周回方向について高い分解能で異常領域を検出することができる。よって、異常領域の周回方向についての長さを正確に検出することができ、また周回方向の長さが僅かである異常領域を適切に検出することができる。
【0098】
また、画像形成装置1は、像担持体21を回転駆動する像担持体駆動部211を備え、制御部10は、上記異常の検出のための特性値取得動作での像担持体21の表面の移動速度が、所定の目的で行われる特性値取得動作での像担持体21の表面の移動速度よりも小さくなるように像担持体駆動部211の動作を制御する(取得制御手段)。これにより、異常検出動作における電流値の取得回数を容易に増大させることができる。
【0099】
また、制御部10は、帯電ローラー23の異常の検出のための特性値取得動作と、当該異常の検出以外の所定の目的で行われる特性値取得動作と、を電流測定部234cにより行わせ(取得制御手段)、上記所定の目的で行われる特性値取得動作により取得された電流値の分布が所定の分布条件を満たす場合に異常検出を行う(検出手段)。これにより、帯電ローラー23に異常が生じている可能性が高い場合にのみ異常検出を行うことができる。この結果、異常検出動作の実行頻度を抑えて、通常画像の形成効率を向上させることができる。
【0100】
また、制御部10は、上記異常の検出が行われた場合に、分布条件が緩和されるように当該分布条件を変更する(検出手段)。これにより、同一の異常が生じている帯電ローラー23に対して高頻度で繰り返し異常検出動作が実行される不具合の発生を抑制することができる。
【0101】
また、本実施形態の制御プログラムは、画像形成装置1に設けられた制御部10(コンピューター)を、電源部234により帯電ローラー23に対して所定の検査電圧を印加させながら、帯電ローラー23の回転周期に亘って当該帯電ローラー23の電流値を取得する特性値取得動作を電流測定部234cにより行わせる取得制御手段、特性値取得動作により取得された電流値の変動幅D、及び電流値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さWに基づいて、帯電ローラー23の異常を検出する検出手段、として機能させる。このようなプログラムによれば、帯電ローラー23における異常領域の周回方向の大きさを考慮してより正確に帯電ローラー23の異常を検出することができる。
【0102】
また、本実施形態の帯電ローラー23の異常検出方法は、電源部234により帯電ローラー23に対して所定の検査電圧を印加させながら、帯電ローラー23の回転周期に亘って当該帯電ローラー23の電流値を取得する特性値取得動作を電流測定部234cにより行わせる取得ステップ、特性値取得動作により取得された電流値の変動幅D、及び電流値が連続して所定の基準範囲外の値となる変動期間の長さWに基づいて、帯電ローラー23の異常を検出する検出ステップ、を含む。このような方法によれば、帯電ローラー23における異常領域の周回方向の大きさを考慮してより正確に帯電ローラー23の異常を検出することができる。
【0103】
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例では、交換対象ユニットUを交換対象とする例を用いて説明したが、これに限定されず、例えば帯電ローラー23のみが交換可能とされていてもよい。
【0104】
また、上記実施形態及び変形例では、帯電ローラー23における電流値の変動幅Dや変動期間の長さWに基づいて異常検出を行ったが、これに代えて、帯電ローラー23に係る他の電気的特性値、例えば抵抗値に係る変動幅や変動期間の長さに基づいて異常検出を行ってもよい。
【0105】
また、上記実施形態及び変形例では、予備検出と異常検出とで像担持体21及び帯電ローラー23の回転速度を異ならせることで、異常検出動作における回転周期あたりの電流値の測定回数が相対的に多くなるようにしたが、これに限定する趣旨ではない。例えば、予備検出と異常検出とで像担持体21及び帯電ローラー23の回転速度を同一とし、異常検出動作における電流値の検出頻度を予備検出における電流値の検出頻度より大きくしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態及び変形例では、予備検出における電流値の測定結果に基づいて異常検出動作を開始する場合の、当該予備検出における電流値分布についての分布条件として、電流値の標準偏差が標準偏差基準範囲外となっていること、とする例を用いて説明したが、分布条件はこれに限られない。例えば、予備検出における電流ピークの変動幅が所定範囲外となっていることを、異常検出動作を開始させる分布条件としてもよい。
【0107】
また、上記実施形態及び変形例では、電流ピークPごとに変動幅D及び変動期間の長さWを算出して異常レベルを算定し、複数の電流ピークPに係る複数の異常レベルのうち異常が最も大きい異常レベルに基づいて対処動作を選択する例を用いて説明したが、これに限定する趣旨ではない。例えば、回転周期全体における電流値の変動幅(
図4におけるDmax−min)と、特定の基準範囲に対する変動期間の長さの最大値(例えば、
図4における+I1及び−I1に対応する基準範囲の範囲外となっている期間の最大値)とに基づいて異常レベルや対処動作を定めてもよい。
【0108】
また、上記実施形態及び変形例では、画像形成装置1の制御部10により異常検出に係る各種処理(電流値の変動幅Dや変動期間の長さWの算出、異常レベルの算定、対処動作の選択)を行う例を挙げて説明したが、これらの処理のうち少なくとも一部を外部の情報処理装置において実行してもよい。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。