(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アームは、前記第2回転軸および前記第3回転軸の軸方向の一方の側に設けられ前記第1回転軸に固定される第1旋回板(32)、ならびに、前記第2回転軸および前記第3回転軸の軸方向の他方の側に設けられ固定部材(35)により前記第1旋回板に固定される第2旋回板(32)を有し、
前記チャックは、前記第3回転軸の前記第1旋回板側に固定される第1チャック(61)、および、前記第3回転軸の前記第2旋回板側に固定される第2チャック(62)を有する請求項1または2に記載の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による搬送装置を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
一実施形態による搬送装置を
図1〜
図4に基づいて説明する。
図1〜
図3に示すように、搬送装置1は、固定部10と、アーム部30と、チャック部60と、を備え、モータ11による一軸搬送により、チャック部60に把持されるワーク80をピックアンドプレース方式にて搬送するものである。
図4に示すように、搬送装置1は、アーム部30が180°回転することで、ワーク80を第1設備S1から第2設備S2に搬送する。
図1〜
図3は、チャック部60が第1設備S1側に向かう第1位置R1にあるときの搬送装置1を示している。
【0010】
図1〜
図3に示すように、アーム部30は、固定部10に回転可能に設けられている。また、チャック部60は、アーム部30が固定部10に固定される側とは反対側に設けられる。以下適宜、アーム部30において、固定部10側を基端側、チャック部60側を先端側とする。
【0011】
固定部10は、モータ11、ベース13、固定軸21、第1歯車22、および、回転止め23等を有する。
ベース13には、軸受16を保持する軸受保持部材17がボルト等で固定される。軸受16は、モータ軸12の径方向外側に嵌合する第1回転軸31を回転可能に支持する。
【0012】
固定軸21は、モータ軸12と同軸に配置され、モータ軸12と反対側の端部が、回転止め23に回転不能に固定される。回転止め23は、断面視略T字状に形成され、ねじ等にてベース13に固定される。これにより、固定軸21は、ベース13に回転不能に設けられる。
【0013】
第1歯車22は、固定軸21の径方向外側に回転不能に固定される。
固定軸21とモータ軸12との間には、クリアランスが設けられている。すなわち、固定軸21とモータ軸12とは離間して対向しており、モータ11の回転は、固定軸21には伝達されない。したがって、第1歯車22は、モータ11が回転しても、回転しない。
【0014】
固定軸21の径方向外側であって、モータ11側の端部には軸受25が設けられ、回転止め23側の端部には軸受26が設けられる。軸受25は、固定軸21と第1回転軸31との間に設けられる。軸受26は、第2旋回板33にねじ等で固定される軸受保持部材27と固定軸21との間に設けられる。第1回転軸31および第2旋回板33は、軸受25、26により、固定軸21に対して回転可能に設けられる。これにより、アーム部30は、固定軸21の径方向外側にて、回転可能である。
【0015】
アーム部30は、第1回転軸31、旋回板32、33、第2回転軸41、第2歯車42、第1プーリ43、第3回転軸51、第2プーリ53、および、ベルト58等を有する。
第1回転軸31は、略筒状に形成され、モータ軸12の径方向外側に嵌合し、モータ軸12と一体に回転する。第1回転軸31の軸方向におけるモータ11と反対側の端面には、ねじ等により、第1旋回板32が固定される。
【0016】
旋回板32、33は、平板状に形成され、歯車22、42、プーリ43、53およびベルト58を挟んで両側に設けられている。
第1旋回板32は、歯車22、42、プーリ43、53およびベルト58の下側に配置され、基端側が第1回転軸31に固定される。
第2旋回板33は、歯車22、42、プーリ43、53およびベルト58の上側に配置され、支柱34に挿通されるスルーボルト35により第1旋回板32に固定される。これにより、旋回板32、33は、第1回転軸31と一体に回転する。本実施形態では、旋回板32、33は、第1設備S1側の第1位置R1から、第2設備S2側の第5位置R5に至るまでの、180°回転する(
図4参照)。
旋回板32、33の間には、歯車22、42、プーリ43、53およびベルト58等を覆うカバー59が設けられる。
【0017】
第2回転軸41は、第1歯車22および第1回転軸31よりも、チャック部60側に設けられる。第2回転軸41は、第1旋回板32にねじ等で固定される軸受保持部材に保持される軸受45、および、第2旋回板33にねじ等で固定される軸受保持部材に保持される軸受46により、旋回板32、33に対して相対回転可能に支持される。
【0018】
第2回転軸41の径方向外側には、第2歯車42、および、第1プーリ43が固定される。第2歯車42および第1プーリ43は、第2回転軸41と一体に回転する。本実施形態では、第2歯車42が第2旋回板33側に設けられ、第1プーリ43が第1旋回板32側に設けられる。第2歯車42は、第1歯車22と噛み合っている。本実施形態では、第1歯車22と第2歯車42との歯車比は、1:1である。
【0019】
第3回転軸51は、旋回板32、33の先端側に設けられる。第3回転軸51は、第1旋回板32にねじ等で固定される軸受保持部材に保持される軸受55、および、第2旋回板33にねじ等で固定される軸受保持部材に保持される軸受56にて、旋回板32、33に対して回転可能に支持される。本実施形態では、アーム部30において、基端側から、第1回転軸31、第2回転軸41、第3回転軸51の順に配列されている。
【0020】
第3回転軸51の径方向外側には、第2プーリ53が固定される。第1プーリ43および第2プーリ53には、ベルト58が巻きかけられる。これにより、第3回転軸51および第2プーリ53は、第1プーリ43の回転に伴って回転する。本実施形態では、第1プーリ43と第2プーリ53とのプーリ比は、1:1である。
第3回転軸51には、チャック部60が固定される。
【0021】
チャック部60は、第1チャック61、第2チャック62、および、ジョイント63、64を有する。
第1チャック61は、ジョイント63を介して、第3回転軸51の第1旋回板32側に固定される。第2チャック62は、ジョイント64を介して、第3回転軸51の第2旋回板33側に固定される。これにより、チャック部60は、第3回転軸51の回転に伴い、アーム部30に対して回転可能に、アーム部30の先端側に設けられる。
第1チャック61および第2チャック62は、ワーク80を把持可能である。第1チャック61が第3回転軸51の下側に設けられ、第2チャック62が第3回転軸51の上側に設けられているので、筒状の長尺物であるワーク80を把持可能である。
【0022】
ここで、ワーク80を第1設備S1から第2設備S2へ搬送する際の搬送装置1の動作を
図4に基づいて説明する。
図4では、煩雑になることを避けるため、符番を適宜省略する。また、後述する回転角θa、θcは、第1位置R1から第2位置R2まで回転した場合についてを図示した。
【0023】
図4に示すように、アーム部30が第1位置R1にあるとき、チャック部60は、アーム部30が延びる方向に対して直交し、第1設備S1の方を向くように設けられる。
モータ11が回転すると、アーム部30は、全体として矢印A1の方向に旋回する。アーム部30が旋回すると、固定歯車である第1歯車22に噛み合う第2歯車42は、矢印A1と同方向である矢印A2の方向に回転する。これにより、第2回転軸41、第2歯車42および第1プーリ43は、矢印A2の方向に回転する。
【0024】
第1プーリ43の回転は、矢印A3で示すように、ベルト58により、第2プーリ53に伝達される。これにより、第3回転軸51、第2プーリ53およびチャック部60は、矢印A1、A2と同方向である矢印A4の方向に回転する。すなわち、チャック部60は、アーム部30の回転方向と同一方向に、アーム部30に対して相対回転する。したがって、チャック部60は、アーム部30の回転に伴い、アーム部30の外側を向くように回転するので、ワーク80とアーム部30との接触を回避可能である。
【0025】
本実施形態では、第1歯車22および第2歯車42の歯車比が1:1であり、第1プーリ43と第2プーリ53のプーリ比が1:1であるので、アーム部30の回転角θaと、チャック部60の回転角θcが等しい。
そのため、第1位置R1から第2位置R2までアーム部30が45°回転すると、搬送装置1全体としてみたとき、チャック部60の向きは、90°回転する。
第1位置R1から第3位置R3までアーム部30が90°回転すると、搬送装置1全体としてみたとき、チャック部60の向きは、180°回転する。このとき、アーム部30とチャック部60とが同一直線上に配列される。
第1位置R1から第4位置R4までアーム部30が135°回転すると、搬送装置1全体としてみたとき、チャック部60の向きは、270°回転する。
【0026】
第1位置R1から第5位置R5までアーム部30が180°回転すると、搬送装置1全体としてみたとき、チャック部60の向きは、360°回転する。第1設備S1と第2設備S2とは、横並びに配置されており、ワーク80の受け渡し位置である第1位置R1および第5位置R5では、チャック部60は、設備S1、S2側を向いている。これにより、搬送装置1は、第1設備S1から第2設備S2にワーク80を適切に搬送することができる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態の搬送装置1は、モータ11によりワーク80を搬送するものであって、ベース13と、第1歯車22と、第1回転軸31と、旋回板32、33と、第2回転軸41と、第2歯車42と、第1プーリ43と、第3回転軸51と、第2プーリ53と、ベルト58と、チャック61、62と、を備える。
【0028】
第1歯車22は、ベース13に回転不能に固定される。第1回転軸31は、モータ11のモータ軸12と一体に回転する。旋回板32、33は、基端側が第1回転軸31に固定され、モータ11の回転に伴って旋回する。第2回転軸41は、旋回板32、33に回転可能に支持される。第2歯車42は、第2回転軸41に固定され、第1歯車22に噛み合う。第1プーリ43は、第2回転軸41に固定される。第3回転軸51は、旋回板32、33の先端側に回転可能に支持される。第2プーリ53は、第3回転軸51に固定される。ベルト58は、第1プーリ43および第2プーリ53に巻きかけられる。チャック61、62は、ワーク80を保持可能であって、第3回転軸51に固定されて第2プーリ53の回転に伴い、旋回板32、33に対して相対回転可能である。
【0029】
搬送装置1は、1軸搬送であるので、2軸搬送の装置と比較し、構成を簡素化可能であると共に、搬送速度を速くすることができる。
本実施形態では、モータ11の回転により、旋回板32、33が旋回する。また、第1歯車22、第2歯車42、第1プーリ43、第2プーリ53およびベルト58により、モータ11の回転が第3回転軸51に伝達され、第3回転軸51は、旋回板32、33の旋回方向と同方向に、旋回板32、33に対して相対回転する。これにより、第3回転軸51に固定されるチャック61、62は、旋回板32、33の旋回に伴い、旋回板32、33の外側を旋回するので、旋回板32、33とワーク80との接触を防ぐことができる。
【0030】
第1歯車22と第2歯車42の歯車比は、1:1である。また、第1プーリ43と第2プーリ53とのプーリ比は、1:1である。これにより、旋回板32、33が180°回転したとき、チャック61、62が同方向を向くので、横並びに配列される第1設備S1から第2設備S2にワーク80を適切に搬送することができる。
【0031】
アーム部30は、第1旋回板32および第2旋回板33を有する。第1旋回板32は、第2回転軸41および第3回転軸51の一方の側に設けられ、第1回転軸31に固定される。第2旋回板33は、第2回転軸41および第3回転軸51の他方の側に設けられ、スルーボルト35により第1旋回板32に固定される。第1旋回板32および第2旋回板33は、モータ11の回転により、一体に回転する。
【0032】
チャック部60は、第3回転軸51の第1旋回板32側に固定される第1チャック61、および、第3回転軸51の第2旋回板33側に固定される。
これにより、2つのチャック61、62により、長尺物であるワーク80を保持することができる。また、チャック部60は、旋回板31、32の外側を旋回するので、ワーク80が長尺物であっても、アーム部30と接触することなく、ワーク80を適切に搬送することができる。
【0033】
本実施形態では、旋回板32、33が「アーム」、第1旋回板32が「第1アーム」、第2旋回板33が「第2アーム」に対応する。また、第1プーリ43が「第1回転輪」、第2プーリ53が「第2回転輪」、ベルト58が「伝動部材」、スルーボルト35が「固定部材」に対応する。
【0034】
(他の実施形態)
上記実施形態では、旋回板は2枚であって、第2回転軸および第3回転軸の両側に配置される。他の実施形態では、旋回板は1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。上記実施形態では、アームは板状に形成される旋回板である。他の実施形態では、アームは、板状に限らず、どのような形状であってもよい。また、上記実施形態では、第2旋回板は、スルーボルトにより第1旋回板に固定される。他の実施形態では、第2旋回板の固定に用いられる固定部材は、スルーボルトに限らず、どのようなものを用いてもよい。
上記実施形態では、ワークは筒状の長尺物である。他の実施形態では、ワークは、筒状の長尺物に限らず、どのような形状のものであってもよい。また、チャックは、ワークの形状に応じて、適宜設計可能である。
【0035】
上記実施形態では、第1歯車と第2歯車との歯車比が1:1であり、第1プーリと第2プーリとのプーリ比が1:1である。他の実施形態では、歯車比およびプーリ比は、1:1に限らず、どのような比率であってもよく、搬送元の設備および搬送先の設備の設置箇所に応じ、適宜設定されることが望ましい。
【0036】
上記実施形態では、第1回転輪および第2回転輪がプーリであり、伝動部材がベルトである。他の実施形態では、第1回転輪および第2回転輪がスプロケットであり、伝動部材がチェーンであってもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。