(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙に転写するトナー画像を担持する像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー画像を用紙に転写させる転写部材と、クリーニング装置と、を備え、前記クリーニング装置は、転写部材に接触して回転し、前記転写部材上のトナーを清掃除去するブラシと、前記ブラシに電圧を印加する定電流式の電圧印加手段と、を備える画像形成装置のコンピューターを、
前記ブラシと前記転写部材とが接触して形成されるニップ部において、前記ブラシに印加された電圧が所定の閾値を超える条件に合致するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段によって、前記ブラシに印加された電圧が所定の閾値を超える条件に合致すると判断された場合に、前記転写部材上の用紙と接触していた紙内領域が前記ニップ部を通過している時の前記電圧印加手段のバイアス電流を変更して前記ブラシに印加される電圧が前記所定の閾値を超えない方向に制御する制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、既存の構成に除電部材を新たに配置させる必要があるため、高コスト化してしまう。また、除電部材を配置させるためのスペースを確保する必要があるため、装置の大型化や他の部材の配置変更の必要が生じる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、低コストで、かつ既存の構成に影響を与えることなく、転写部材上のトナーのクリーニングを実施可能なクリーニング装置、画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のクリーニング装置は、
転写部材に接触して前記転写部材上のトナーを清掃除去するブラシと、
前記ブラシに電圧を印加する定電流式の電圧印加手段と、
前記ブラシと前記転写部材とが接触して形成されるニップ部において、前記ブラシに印加された電圧が所定の閾値を超える条件に合致するか否かを判断する判断手段と、
前記電圧印加手段のバイアス電流の変更より前記ブラシに印加される電圧を制御する制御手段と、を備え、
前記転写部材は、前記転写部材上の用紙と接触していた紙内領域と、前記転写部材上の前記紙内領域以外の紙間領域と、を有し、
前記制御手段は、
前記判断手段によって、前記ブラシに印加された電圧が所定の閾値を超える条件に合致すると判断された場合に、前記紙内領域が前記ニップ部を通過している時の前記バイアス電流を変更して前記ブラシに印加された電圧が前記所定の閾値を超えない方向に制御することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記ブラシと前記転写部材とが接触して形成されるニップ部において、前記ブラシに印加された電圧を測定する電圧測定手段を備え、
前記判断手段は、
前記電圧測定手段により測定された電圧が所定の閾値を超えるか否かを判断する
ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のクリーニング装置において、
前記電圧測定手段は、
前記紙間領域が前記ニップ部を通過している時の電圧を測定する
ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、
用紙情報に基づいて、前記紙内領域が前記ニップ部を通過している時の前記バイアス電流を変更する
ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、
前記判断手段によって、前記ブラシに印加された電圧が所定の閾値を超える条件に合致すると判断された場合に、前記紙内領域が前記ニップ部を通過している時の前記バイアス電流を、前記紙間領域が前記ニップ部を通過している時の前記バイアス電流より、トナーの正規帯電極性と逆極側に大きくする
ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、
環境情報に基づいて、前記紙内領域が前記ニップ部を通過している時の前記バイアス電流を変更する
ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のクリーニング装置において、
前記環境情報は、湿度情報を含み、
前記制御手段は、
低湿条件下程、前記紙内領域が前記ニップ部を通過する時点において前記バイアス電流を、トナーの正規帯電極性と逆極側に大きくする
ことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、
前記紙間領域が前記ニップ部を通過している時の前記バイアス電流を変更しない
ことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の画像形成装置は、
用紙に転写するトナー画像を担持する像担持体と、
前記像担持体に形成されたトナー画像を用紙に転写させる転写部材と、
請求項1から8のいずれか一項に記載のクリーニング装置と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載のプログラムは、
用紙に転写するトナー画像を担持する像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー画像を用紙に転写させる転写部材と、クリーニング装置と、を備え、前記クリーニング装置は、転写部材に接触して回転し、前記転写部材上のトナーを清掃除去するブラシと、前記ブラシに電圧を印加する定電流式の電圧印加手段と、を備える画像形成装置のコンピューターを、
前記ブラシと前記転写部材とが接触して形成されるニップ部において、前記ブラシに印加された電圧が所定の閾値を超える条件に合致するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段によって、前記ブラシに印加された電圧が所定の閾値を超える条件に合致すると判断された場合に、前記転写部材上の用紙と接触していた紙内領域が前記ニップ部を通過している時の前記電圧印加手段のバイアス電流を変更して前記ブラシに印加される電圧が前記所定の閾値を超えない方向に制御する制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低コストで、かつ既存の構成に影響を与えることなく、転写部材上のトナーのクリーニングを実施可能なクリーニング装置、画像形成装置及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の画像形成装置に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の実施の形態ではモノクロの画像形成装置を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばカラーの画像形成装置に適用することも可能である。
【0021】
(1)画像形成装置の構成
図1は、画像形成装置100の概略構成図であり、
図2は、画像形成装置100の主要な機能的構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、電子写真プロセスにより用紙に画像を形成する。
図1及び
図2に示すように、画像形成装置100は、原稿読取部110、操作表示部120、画像処理部130、画像書込部135、画像形成部140、クリーニング部145、搬送部150、定着部160、湿度検出部170、通信部181、記憶部182及び制御部190を備えている。
【0022】
制御部190は、CPU(Central Processing Unit)191、ROM(Read Only Memory)192、RAM(Random Access Memory)193等を備えている。
CPU191は、ROM192から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM193に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置100の各ブロックの動作を制御する。このとき、記憶部182に格納されている各種データが参照される。記憶部182は、例えば不揮発性の半導体メモリー(いわゆるフラッシュメモリー)やハードディスクドライブで構成される。
【0023】
制御部190は、通信部181を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部190は、例えば、外部装置から送信された画像データを受信し、当該受信した画像データに基づいて用紙に画像を形成させる。通信部181は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0024】
原稿読取部110は、コンタクトガラス上に搬送された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させ、原稿を読み取る。なお、コンタクトガラス上への原稿の搬送は、自動原稿給紙装置(ADF)により行われるが、手作業で原稿をコンタクトガラス上に載置する場合もある。
【0025】
操作表示部120は、タッチパネル式の画面を有する。ユーザーが行う各種の指示および設定のための入力操作は、タッチパネル式の画面を介して行うことができる。これらの指示および設定の情報は、ジョブ情報として制御部190により扱われる。ジョブ情報としては、例えば、用紙サイズ、プリント枚数等がある。
【0026】
画像処理部130は、アナログディジタル(A/D)変換処理を行う回路およびディジタル画像処理を行う回路を含む。画像処理部130は、原稿読取部110のCCDセンサーにより取得されたアナログ画像信号から、A/D変換処理によりディジタル画像データを生成して画像書込部135に出力する。
【0027】
画像形成部140は、感光体ドラム1を有し、この感光体ドラム1の回転方向(矢印A方向)に沿って、帯電装置2、画像書込部135、現像装置3、用紙Pを転写領域に導く転写搬送路4、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写ベルト5(転写部材)、感光体ドラム1に残留しているトナーを除去する清掃部6が設けられている。
【0028】
画像書込部135は、画像処理部130により生成されたディジタル画像データに基づいてレーザー光を発光し、当該発光したレーザー光を、画像形成部140の感光体ドラム1に照射することにより、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する(露光工程)。
【0029】
画像形成部140は、上記の露光工程に加え、露光工程前に行われる帯電工程、露光工程後に行われる現像工程、現像工程後の転写工程および転写工程後の感光体クリーニング工程、ベルトクリーニング工程をそれぞれ実行する。帯電工程では、画像形成部140は、帯電装置2からのコロナ放電により、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。現像工程では、画像形成部140は、現像装置3内の現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム1上の静電潜像に付着させることにより、感光体ドラム1上にトナー像を形成する。
【0030】
転写工程では、画像形成部140は図示しない電圧印加装置によって転写電圧が印加されることにより、感光体ドラム1上のトナー像を、搬送部150により搬送された用紙に転写ベルト5を介して転写する。
転写ベルト5は、従動ローラー5a、駆動ローラー5bおよび他のローラーの間に張架され、感光体ドラム1の下方で、転写ベルト5の表面が感光体ドラム1の外周面の一部と接触するように配置されている。即ち、転写ベルト5と感光体ドラム1との間において、転写領域としてのニップ部NPが形成される。用紙Pは、ニップ部NPにおいて転写ベルト5により感光体ドラム1に押圧されながら搬送される。
以降、転写ベルト5上の回転方向の領域で、用紙Pと転写ベルト5が接触している領域を紙内領域5p、用紙Pと転写ベルト5とが接触していない領域を紙間領域5nと定義する。
【0031】
感光体クリーニング工程では、画像形成部140は、清掃部6においてブラシ等の清掃部材を感光体ドラム1に接触させることにより、転写工程後の感光体ドラム1に残留しているトナーを除去する。
【0032】
ベルトクリーニング工程では、画像形成部140は、クリーニング部145及び制御部190により構成されるクリーニング装置を用いて、転写ベルト5の清掃を行う。
クリーニング部145は、
図3に示すように、主ブラシ51、金属ローラー51a、高圧電源51b、電圧測定部51c、副ブラシ52、金属ローラー52a、高圧電源52bを備えて構成され、転写ベルト5上に付着したトナーを除去する。
【0033】
定着部160は、定着ローラーおよび加圧ローラーを備える。加圧ローラーは、定着ローラーと圧接した状態で配置されている。定着ローラーと加圧ローラーとの圧接部には定着ニップ部が形成されている。定着部160は、定着ニップ部に導入された用紙上のトナー像に熱および圧力を加えること(加熱定着)により、トナー像を用紙に定着させる(定着工程)。この結果、用紙上には定着トナー像が形成される。定着部160により加熱定着された用紙は、画像形成装置100の外部に排出される。
【0034】
湿度検出部170は、画像形成装置100の内部に配置され、画像形成装置100の機内湿度を検出する。制御部190は、湿度検出部170による検出結果を取得する。
【0035】
用紙Pは、給紙カセット7に収納されており、給紙搬送路70を通って転写搬送路4に供給される。定着部160の下流には、ゲート71が設けられ、外部に用紙Pを排出する場合と両面プリントのための両面搬送路72に用紙Pを給送する場合とで切り替えを行っている。両面搬送路72に入った用紙Pは、一旦、反転搬送路73に進み、ここで反転されて再給紙搬送路74から転写搬送路4に合流する。
【0036】
(2)クリーニング装置
以下、クリーニング装置について詳細に説明する。
主ブラシ51は、例えば、ナイロンやポリエステル等により構成され、用紙Pへの転写位置(ニップ部NP)に対して転写ベルト5の回転方向下流側に配置される。
主ブラシ51は、転写ベルト5に対して、ブラシのパイルが食い込むことで主ブラシニップ部NP1を形成しており、主ブラシニップ部NP1における主ブラシ51の表面は、転写ベルト5の回転方向に対して逆向きに進む方向(カウンター方向)に回転するように駆動されている。定電流式の高圧電源51b(電圧印加手段)により主ブラシ51に正極性のクリーニングバイアス電流A1が印加される。これにより、転写ベルト5上における、紙間領域5nに形成された負極性のトナー像(濃度制御パッチや捨て帯など)が引きつけられ、転写ベルト5がクリーニングされる。
【0037】
また、主ブラシ51には、金属ローラー51aが主ブラシ51に食い込むように当接されており、主ブラシ51に付着したトナーが除去されるようになっている。金属ローラー51aは、例えば、アルミ等により構成される。
さらに、主ブラシ51には電圧測定部51c(電圧測定手段)が接続されており、電圧測定部51cは、主ブラシ51に印加される電圧を測定する。
【0038】
ここで、紙内領域5pにおいては、ニップ部NPで転写ベルト5に正極性の所定値の転写電圧が印加されるため、転写ベルト5にプラスの電荷が注入される。これにより、感光体ドラム1に接触中の用紙Pに、感光体ドラム1上の負極性のトナー像が転写される。また、この時の転写電圧によって、用紙Pを転写ベルト5に静電的に吸着搬送させることができる。
【0039】
これに対し、紙間領域5nにおいては、ニップ部NPで転写ベルト5に負極性の所定値の転写電圧が印加される。これにより、紙間領域5nにおいては転写ベルト5にはマイナスの電荷が注入されるため、転写ベルト5と紙間領域5n上に存在する負極性のトナーとの間に斥力を生じさせ、上記したように主ブラシ51によってトナーを回収させやすくする。
【0040】
副ブラシ52は、主ブラシ51と同様にナイロンやポリエステル等により構成され、主ブラシ51に対して転写ベルト5の回転方向下流側に設置され、転写ベルト5の回転方向に対してカウンター方向となるように回転し、転写ベルト5にブラシのパイルが食い込むことで副ブラシニップ部NP2を形成している。副ブラシ52には、高圧電源52bにより負極性のクリーニングバイアス電流A2が印加され、主ブラシ51で取りきれず残存した、紙間領域5n上のプラスに帯電したトナーをクリーニングする。
【0041】
また、副ブラシ52にも、金属ローラー52aが副ブラシ52に食い込むように当接されており、副ブラシ52に付着したトナーが除去されるようになっている。金属ローラー52aは、金属ローラー51aと同様に、アルミ等により構成される。
なお、副ブラシ52を設けることにより、画像形成中のクリーニング性能を高めることが可能であるが、副ブラシ52を設けない構成とすることもできる。
【0042】
(3)電位変化
次に、
図4を用いて、画像形成時における転写ベルト5及び主ブラシ51の電位の変化を説明する。
上記したように、紙内領域5pにおいては、正極性の所定値の転写電圧が印加されることで、用紙Pは転写ベルト5上を吸着搬送されるが、用紙Pが転写ベルト5から分離する際に、剥離放電が発生する。剥離放電が発生すると、
図4(A)に示すように、正極側に電位の高い転写ベルト5にマイナスの電荷が、用紙Pにプラスの電荷が移動する。転写ベルト5の抵抗が高いと、電荷が逃げにくいため、転写ベルト5にマイナスの電荷が蓄積していく。
【0043】
ここで、上記したように、主ブラシ51には正極性のクリーニングバイアス電流A1が印加されるため、主ブラシ51の電位V1は正極側となるが、
図4(B)に示すように、剥離放電によって転写ベルト5の電位V2が下がるにつれて、主ブラシ51の電位V1は転写ベルト5との電位差を一定に保とうとするため、低下していく。
【0044】
ところが、主ブラシ51の電位V1は、主ブラシ51に電圧を印加する高圧電源51bの出力下限値に達すると(
図5におけるX位置)、それ以上は低下しない。したがって、これ以降は主ブラシ51と転写ベルト5との間の電位差が大きくなるため、主ブラシ51と転写ベルト5との間に流れる電流の量が増大し、紙間領域5n上のトナーをプラスに帯電させてしまう。トナーがプラスに帯電すると、主ブラシ51によって回収することが困難となり、クリーニング効率が低下する結果、転写ベルト5上のトナーが用紙に転移しトナー汚れ等が発生してしまう。
【0045】
したがって、本実施形態においては、主ブラシ51の電位V1を正極側に高くし、転写ベルト5のとの電位差が大きくなりすぎるのを防止する。即ち、主ブラシ51に印加するクリーニングバイアス電流A1を制御して、主ブラシ51の電位V1を正極側に高くし、高圧電源51bの出力下限値に達しないようにすることで、転写ベルト5との電位差を一定に保つことができる。
【0046】
なお、紙間領域5nに印加するクリーニングバイアス電流の値は、紙間領域5nにおけるトナーのクリーニングを適正に行うため、画像形成中は一定に保つ必要がある。したがって、紙内領域5pに印加するクリーニングバイアス電流のみを変動させることにより、主ブラシ51の電位V1を制御する。
【0047】
図5及び
図6を用いて、主ブラシ51に印加するクリーニングバイアス電流の制御方法と、転写ベルト5及び主ブラシ51の電位の変化について説明する。
図5(A)に示すように、従来の画像形成装置においては、主ブラシ51及び副ブラシ52にはそれぞれ常に一定のクリーニングバイアス電流A1及びA2が印加される。
【0048】
これに対し、本実施形態においては、
図5(B)に示すように紙間領域5nに印加するクリーニングバイアス電流A11を一定にしつつ、紙内領域5pに印加するクリーニングバイアス電流A12を正極側に大きくする。
これにより、
図6に示すように、主ブラシ51の電位V1を正極側に高くすることができ、転写ベルト5上のマイナス電荷を主ブラシ51に移動させ、転写ベルト5の電位V2が負極側に大きくなりすぎるのを抑制することができる。したがって、転写ベルト5と主ブラシ51との間の電位差を一定に保つことができ、クリーニング不良の発生を抑制することができる。
【0049】
また、
図5(B)に示すように、紙間領域5nに印加する副ブラシ52のクリーニングバイアス電流A21を一定にしつつ、紙内領域5pに印加する副ブラシ52のクリーニングバイアス電流A22を負極側に小さくすることで、転写ベルト5の電位V2をより効率的に制御することができる。
【0050】
(4)画像形成装置の動作
次に、
図7のフローチャートを用いて、第1実施形態における画像形成装置100の動作を説明する。なお、
図7における画像形成装置100の動作は、制御部190と、記憶部182に記憶されているプログラムの協働により実行される。
【0051】
ジョブが開始されると、制御部190は画像形成を開始させ、主ブラシニップ部NP1に用紙を通過させる(ステップS701)。
次いで、制御部190は、ジョブが終了したかどうかを判断し(ステップS702)、ジョブが終了したと判断すると(ステップS702:Yes)、制御を終了するが、ジョブが終了していないと判断すると(ステップS702:No)、ステップS703へと移行する。
【0052】
ステップS703では、制御部190は、紙間領域5nが主ブラシニップ部NP1を通過したかどうかを判断し、紙間領域5nが主ブラシニップ部NP1を通過していないと判断すると(ステップS703:No)、ステップS703の処理を繰り返すが、通過したと判断すると(ステップS703:Yes)、紙間領域5nの通過中の主ブラシ51の電位V1を測定する(ステップS704)。
【0053】
次いで、制御部190(判断手段)は、ステップS704において測定された電位V1が所定の閾値V0を下回るかどうか(所定の閾値を超えるかどうか)を判断する(ステップS705)。ここで、所定の閾値V0は、予め設定され記憶部182に格納された値であり、正極側の電圧かつ高圧電源51bの出力下限値を上回る値である。
制御部190は、電位V1が閾値V0を下回らない(所定の閾値を超えない)、即ちV1≧V0であると判断した場合(ステップS705:No)、ステップS701へと戻る。制御部190は、電位V1が閾値V0を下回る(所定の閾値を超える)、即ちV1<V0であると判断した場合(ステップS705:Yes)、ステップS706へと移行する。
【0054】
ステップS706では、制御部190(制御手段)は、紙内領域5pで主ブラシ51に印加するクリーニングバイアス電流A12及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流A22を、正極側に大きい値(クリーニングバイアス電流A22は、負極側に小さい値)に変更する。この場合のクリーニングバイアス電流A12及びA22の値は、予め設定され記憶部182に記憶された任意の値である。
【0055】
次いで、制御部190は、主ブラシニップ部NP1に用紙を通過させ(ステップS707)、ジョブが終了したかどうかを判断する(ステップS708)。制御部190は、ジョブが終了したと判断すると(ステップS708:Yes)、ステップS715へと移行するが、ジョブが終了していないと判断すると(ステップS708:No)、ステップS709へと移行する。
【0056】
ステップS709〜ステップS711における処理は、ステップS703〜ステップS705における処理と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
ステップS711において、制御部190(制御手段)は、V1<V0であると判断した場合(ステップS711:Yes)、紙内領域5pで主ブラシ51に印加するクリーニングバイアス電流A12及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流A22を、正極側に大きい値(クリーニングバイアス電流A22は、負極側に小さい値)に変更し(ステップS712)、ステップS714へと移行する。
ステップS711において、制御部190(制御手段)は、V1≧V0であると判断した場合(ステップS711:No)、紙内領域5pで主ブラシ51に印加するクリーニングバイアス電流A12及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流A22を、負極側に大きい値(クリーニングバイアス電流A12は、0に近い値)に変更し(ステップS713)、ステップS714へと移行する。
【0058】
続いて、ステップS714においては、制御部190は、ジョブが終了したかどうかを判断する。制御部190は、ジョブが終了していないと判断すると(ステップS714:No)、ステップS709へと戻り、上記した処理を繰り返す。制御部190は、ジョブが終了したと判断すると(ステップS714:Yes)、クリーニングバイアス電流A12及びA22を、ジョブ開始時の標準出力値にリセットし(ステップS715)、制御を終了する。
【0059】
図8に、上記の制御を行った場合の、転写ベルト5及び主ブラシ51の電位変化の一例を示す。
図8に示すように、主ブラシ51の電位V1が閾値V0を下回った時点(
図8におけるY位置)で制御を開始し、その後は電位V1が閾値V0を上回る、又は下回るごとに、紙内領域5pに印加するクリーニングバイアス電流を変更することで、電位V1が閾値V0近傍の値となるように制御する。これに伴って、転写ベルト5の電位V2も略一定の値に保たれる。
【0060】
以上説明したように、第1実施形態に係る画像形成装置100においては、主ブラシ51の電位V1を測定し、電位V1が予め設定された所定の閾値V0を下回る場合に、主ブラシ51のバイアスを正極側に高くすることで、閾値V0を超えるように制御する。したがって、紙間領域5nが所定の閾値V0を下回らない値となるように制御することができ、これにより転写ベルト5との電位差を一定に保つことができ、クリーニング不良を防ぐことが可能となる。
【0061】
また、第1実施形態に係る画像形成装置100においては、転写ベルト5上の紙間領域5nが、転写ベルト5と主ブラシ51との間に形成される主ブラシニップ部NP1を通過する時の電位V1を測定する。即ち、印加するクリーニングバイアス電流の値を変更しない領域における電位を測定するため、電位制御の精度を高くすることができる。
【0062】
また、第1実施形態に係る画像形成装置100においては、主ブラシ51及び副ブラシ52にそれぞれ印加するクリーニングバイアス電流A12及びA22を、トナーの正規帯電極性と逆極性の正極側に高くすることで、主ブラシ51の電位V1が閾値V0を超えるように制御する。したがって、除電部材等の新たな構成を追加することなく、既存の構成を用いて上記の制御を行うことができるため、高コスト化の省スペース且つ低コストで実現可能である。
【0063】
また、第1実施形態に係る画像形成装置100においては、除去すべきトナーが付着している紙間領域5nに印加するクリーニングバイアス電流A11及びA21は一定にし、紙内領域5pに印加するクリーニングバイアス電流A12及びA22のみを変動させる。これにより、紙間領域5nにおけるトナーのクリーニングに影響を与えることなく、本発明の効果を得ることができる。
【0064】
また、第1実施形態に係る画像形成装置100においては、紙間領域5nごとに主ブラシ51の電位V1を測定する。さらに、電位V1が閾値V0を超える場合には、主ブラシ51の電位V1が下がるように、主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流を負極側に大きくする。したがって、主ブラシ51の電位V1が常に閾値V0の近傍の値となるように制御することができ、これにより転写ベルト5の電位V2を一定に保つことができるため、安定して転写ベルト5のクリーニングを実施することができる。
【0065】
[第2実施形態]
続いて、本発明の画像形成装置に係る第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態に係る画像形成装置は、用紙情報及び環境条件に応じて主ブラシの電位を制御する点で、第1実施形態と異なる。
なお説明の簡略化のため、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を用いて、その詳細な説明を省略する。
【0066】
用紙の剥離放電量は、用紙の電気的特性に大きく影響される。例えば、コート紙やラベル紙、厚紙など、紙の抵抗の高いものほど剥離放電量は大きくなる。剥離放電量が大きいと、転写ベルト5の電位V2はマイナスに大きく帯電するため、主ブラシ51の電位V1もこれに伴って低下することとなる。
したがって、第2実施形態に係る画像形成装置100は、用紙の種類に応じて主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流を制御する。
【0067】
また、用紙の剥離放電量は、環境条件にも大きく影響される。特に、低湿条件下に剥離放電量が大きくなるため、第2実施形態に係る画像形成装置100は、湿度に応じて主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流を制御する。
【0068】
図9に、主ブラシ51のバイアス制御テーブルを示す。
図9に示すテーブル1は、剥離放電量の小さい用紙を通紙する場合の、主ブラシ51及び副ブラシ52に印加されるクリーニングバイアス電流の値を示したテーブルである。剥離放電量が小さい場合、湿度による影響が小さいため、各クリーニングバイアス電流を湿度によらず一定としている。即ち、テーブル1の値は、標準出力値である。
図9に示すテーブル2は、剥離放電量の大きい用紙を通紙する場合に対応したテーブルである。紙内領域5pにおいては、クリーニングバイアス電流A12正極側に大きくし、クリーニングバイアス電流A22を負極側に小さくすることで、上記したように主ブラシ51の電位V1を正極側に高くすることができる。
【0069】
次に、
図10〜
図12のフローチャートを用いて、第2実施形態における画像形成装置100の動作を説明する。なお、
図10〜
図12における画像形成装置100の動作は、制御部190と、記憶部182に記憶されているプログラムの協働により実行される。
【0070】
ジョブが開始されると、制御部190は用紙情報を取得する(ステップS1001)。用紙情報とは、用紙の種類や厚み、坪量など通紙する用紙の電気的特性を特定するのに必要な情報を指す。制御部190は、ジョブの入力に応じて給紙カセット7に積載された用紙を選択し、記憶部182に記憶されている当該用紙に関する情報を取得する。
【0071】
ステップS1002では、制御部190は、ステップS1001において取得された用紙情報をもとに、当該用紙が剥離放電量の大きい用紙であるかどうかを判断する。制御部190は、剥離放電量の大きい用紙であると判断すると(ステップS1002:Yes)、
図11のステップS1101へと移行し、剥離放電量の大きい用紙ではないと判断すると(ステップS1002:No)、
図12のステップS1201へと移行する。
【0072】
続いて、
図11のフローチャートを用いて、用紙の剥離放電量が大きい場合の画像形成装置100の動作を説明する。
ステップS1101では、制御部190は、画像形成装置100の機内の環境情報としての湿度情報を取得する。湿度情報は、湿度検出部170によって検出される。
続いて、制御部190は、ステップS1101において取得された湿度情報をもとに、テーブル2を参照して紙内領域5p及び紙間領域5nにおける主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流の電流値を決定する(ステップS1102)。
【0073】
次いで、制御部190は、主ブラシニップ部NP1に用紙を通紙し(ステップS1103)、ジョブが終了したかどうかを判断する(ステップS1104)。制御部190は、ジョブが終了したと判断すると(ステップS1104:Yes)、ステップS1117へと移行するが、ジョブが終了していないと判断すると(ステップS1104:No)、ステップS1105へと移行する。
【0074】
ステップS1105及びステップS1106における処理は、
図7のステップS703及びステップS704における処理と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
ステップS1107では、制御部190(判断手段)は、ステップS1106において測定された電位V1が所定の閾値V0を上回るかどうかを判断する。
制御部190は、電位V1が閾値V0を上回らない、即ちV1≦V0であると判断した場合(ステップS1107:No)、ステップS1109へと移行する。制御部190は、電位V1が閾値V0を上回る、即ちV1>V0であると判断した場合(ステップS1107:Yes)、ステップS1108へと移行する。
【0076】
ステップS1108では、制御部190(制御手段)は、テーブル1を参照して紙内領域5p及び紙間領域5nにおける主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流の電流値を変更し、ステップS1109へと移行する。
【0077】
ステップS1109〜ステップS1112における処理は、ステップS1103〜ステップS1106における処理と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
ステップS1113では、制御部190(判断手段)は、ステップS1112おいて測定された電位V1が所定の閾値V0を下回るかどうかを判断する。
制御部190は、電位V1が閾値V0を下回らない、即ちV1≧V0であると判断した場合(ステップS1113:No)、ステップS1115へと移行する。制御部190は、電位V1が閾値V0を下回る、即ちV1<V0であると判断した場合(ステップS1113:Yes)、ステップS1114へと移行する。
【0079】
ステップS1114では、制御部190(制御手段)は、テーブル2を参照して紙内領域5p及び紙間領域5nにおける主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流の電流値を変更し、ステップS1115へと移行する。
【0080】
ステップS1115では、制御部190は、主ブラシニップ部NP1に用紙を通紙し、次いでジョブが終了したかどうかを判断する(ステップS1116)。制御部190は、ジョブが終了したと判断すると(ステップS1116:Yes)、ステップS1117へと移行するが、ジョブが終了していないと判断すると(ステップS1116:No)、ステップS1105へと戻り、上記した制御を繰り返す。
【0081】
ステップS1117では、制御部190は、クリーニングバイアス電流A12及びA22をジョブ開始時の標準出力値(テーブル1の値)にリセットし、制御を終了する。
【0082】
続いて、
図12のフローチャートを用いて、用紙の剥離放電量が小さい場合の画像形成装置100の動作を説明する。
【0083】
ステップS1201では、制御部190は、テーブル1を参照して紙内領域5p及び紙間領域5nにおける主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流の電流値を決定する。次いで、制御部190は、主ブラシニップ部NP1に用紙を通紙し(ステップS1202)、ジョブが終了したかどうかを判断する(ステップS1203)。制御部190は、ジョブが終了していないと判断すると(ステップS1203:No)、ステップS1202へと戻るが、ジョブが終了したと判断すると(ステップS1203:Yes)、制御を終了する。
【0084】
以上説明したように、第2実施形態に係る画像形成装置100は、用紙情報に基づいて紙内領域5p及び紙間領域5nにおける主ブラシ51及び副ブラシ52に印加するクリーニングバイアス電流の電流値を異ならせる。即ち、剥離放電量の大きい用紙を通紙する場合にはテーブル2を参照してクリーニングバイアス電流の電流値を決定し、紙内領域5pのクリーニングバイアス電流の電流値がテーブル1における電流値よりも正極側に大きくなるように制御する。
剥離放電量の小さい用紙にテーブル2の制御を実施すると、主ブラシニップ部NP1を通過する紙内領域5pが正極側の電位を持つようになり、副ブラシニップ部NP2における転写ベルト5と副ブラシ52との電位差が大きくなるため、正常なバイアスがかからなくなるおそれがあるが、上記のように制御することで、正常にクリーニングを行うことができる。
【0085】
また、第2実施形態に係る画像形成装置100は、剥離放電量の大きい用紙を通紙する場合には、湿度情報に基づいて紙内領域に印加するクリーニングバイアス電流の電流値を異ならせる。即ち、低湿条件下程トナーの正規帯電極性と逆極側に大きくする。これにより、剥離放電量が大きくなる低湿条件下で、本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0086】
また、第2実施形態に係る画像形成装置100おいては、剥離放電量の大きい用紙を通紙する場合に、紙間領域5nごとに主ブラシ51の電位V1を測定する。さらに、電位V1が閾値V0を超える場合には、主ブラシ51の電位V1が下がるように、テーブル1の電流値に変更する。さらに、電位V1が閾値V0を超える場合には、再びテーブル2の電流値に変更する。これを繰り返すことにより、主ブラシ51の電位V1が常に閾値V0の近傍の値となるように制御することができ、これにより転写ベルト5のバイアスを一定に保つことができるため、安定して転写ベルト5のクリーニングを実施することができる。
【0087】
なお、上記実施形態においては、剥離放電量の大きい用紙を通紙する場合に、紙間領域5nごとに主ブラシ51の電位V1を測定するものとしたが、これに限定されるものではない。剥離放電量の大きい用紙を通紙する場合には、テーブル2の電流値のみを利用するものとし、電位V1を測定しないものとしてよい。この場合、電圧測定部51cが不要となるので、上記実施形態よりも簡易な構成で本発明を実施することができる。
【0088】
[他の実施形態]
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、上記の実施形態は本発明の好適な例であり、これに限定されない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0089】
例えば、上記実施形態においては、紙間領域5nにおいて印加するクリーニングバイアス電流を一定にするものとしたが、厳密には紙間領域5n上のトナーが存在する領域の電圧が一定である必要があるため、紙間領域5n上のトナーが存在しない領域については、印加するクリーニングバイアス電流を適宜変更することも可能である。
【0090】
また、上記実施形態においては、電圧測定部51cは主ブラシニップ部NP1を紙間領域5nが通過する時点の電圧を測定するものとしたが、これに限定されるものではない。紙内領域5pが通過する時点の電圧を測定し、紙間領域5nの電位が所定の閾値を超えるか否かを予測し、上記したような制御を行うことも可能である。このように紙間領域5nが主ブラシニップ部NP1に到達する前に、紙内領域5pの通過時点の電位測定結果に基づいて制御を行うことで、より早い段階で転写ベルト5の電位を調整することができる。
【0091】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。