特許第6950324号(P6950324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6950324-印刷装置、及び、印刷方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6950324
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】印刷装置、及び、印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20210930BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   B41J29/38 204
   B41J29/46 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-143297(P2017-143297)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-22968(P2019-22968A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2020年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】三浦 信
【審査官】 小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−198223(JP,A)
【文献】 特開2014−225078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給紙口と、
前記給紙口から給紙した用紙に対して印刷を行う印刷機構と、
前記印刷機構を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
特殊紙である、おもて表紙、うら表紙、合紙、章区切り用紙、及び、仕切り紙を用いた
印刷において、設定された当該印刷で使用される前記用紙の用紙種別に基づいて、前記特
殊紙に関する処理を制御し、
前記特殊紙であるおもて表紙及びうら表紙のいずれか一方について給紙口の設定が行わ
れた際に、当該給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズが、前記おもて表紙及びうら
表紙の他方について設定されている給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズと一致し
ない場合に、前記一方に設定された給紙口を、前記他方について設定された給紙口から給
紙される前記用紙の用紙サイズと一致する用紙を給紙する前記給紙口に変更する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記特殊紙であるおもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについ
て給紙口の設定が行われた際に、当該給紙口と、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のう
ちの既に設定が行われている給紙口と、から給紙される前記用紙の用紙サイズが一致する
ように、前記いずれかの給紙口を変更する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項あるいはにおいて、更に、
前記給紙口の変更を許可するか否かをユーザーが設定する手段を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1あるいは2において、
前記制御部は、前記特殊紙であるおもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについ
て給紙口の設定が行われた際に、当該給紙口と、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のう
ちの既に設定が行われている給紙口と、から給紙される前記用紙の用紙サイズが一致して
いない場合、前記用紙の用紙サイズを一致させるように前記いずれかの給紙口を変更する
か否かを指示させる画面を表示する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項において、
前記制御部は、前記特殊紙であるおもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについ
て給紙口の設定が行われた際に、当該給紙口と、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のう
ちの既に設定が行われている給紙口と、から給紙される前記用紙の用紙サイズが一致して
いない場合、その旨のメッセージを表示する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項において、
前記制御部は、前記特殊紙である合紙、章区切り用の用紙、及び、仕切り紙のうちのい
ずれかについて給紙口が設定された場合に、当該給紙口から給紙される前記用紙の用紙サ
イズが印刷ジョブについて設定されている給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズよ
りも小さい場合には、その旨のメッセージを表示する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
複数の給紙口と、前記給紙口から給紙した用紙に対して印刷を行う印刷機構と、を備え
る印刷装置における印刷方法であって、
特殊紙である、おもて表紙、うら表紙、合紙、章区切り用紙、及び、仕切り紙を用いた
印刷において、設定された当該印刷で使用される前記用紙の用紙種別に基づいて、前記特
殊紙に関する処理を制御し、
前記特殊紙であるおもて表紙及びうら表紙のいずれか一方について給紙口の設定が行わ
れた際に、当該給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズが、前記おもて表紙及びうら
表紙の他方について設定されている給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズと一致し
ない場合に、前記一方に設定された給紙口を、前記他方について設定された給紙口から給
紙される前記用紙の用紙サイズと一致する用紙を給紙する前記給紙口に変更する
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合紙などの特殊紙を用いた印刷を行う印刷装置等に関し、特に、用紙の誤設定を防止し、ユーザー利便性を向上することのできる印刷装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ジョブ間などに合紙を挿入する、おもて表紙・うら表紙を付けるなどの機能を備える印刷装置が普及している。
【0003】
下記特許文献1には、同一ユーザーの異なるジョブ間に合紙を挿入できないと不便であることに鑑み、特定の条件が満たされた場合に、同一ユーザーの異なるジョブ間に合紙を挿入することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−133328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の印刷装置及びそのホスト装置において、印刷要求時に、ユーザーが合紙などの特殊紙についての印刷条件の設定を行う際に、印刷ジョブとの整合が取れない誤った設定を行ってしまう場合もある。かかる場合には、ユーザーの意にそぐわない印刷結果となり、印刷も無駄になってしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、合紙などの特殊紙を用いた印刷を行う印刷装置であって、用紙の誤設定を防止し、ユーザー利便性を向上することのできる印刷装置、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、複数の給紙口と、前記給紙口から給紙した用紙に対して印刷を行う印刷機構と、前記印刷機構を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、特殊紙を用いた印刷において、設定された当該印刷で使用される前記用紙の用紙種別に基づいて、前記特殊紙に関する処理を制御する、ことを特徴とする印刷装置である。
【0008】
当該側面により、特殊紙を用いた印刷の際の誤設定による弊害を防止できる。
【0009】
更に、上記発明において、その好ましい一つの態様は、前記制御部は、前記特殊紙であるおもて表紙及びうら表紙のいずれか一方について給紙口の設定が行われた際に、当該給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズが、前記おもて表紙及びうら表紙の他方について設定されている給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズと一致しない場合に、前記一方に設定された給紙口を、前記他方について設定された給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズと一致する用紙を給紙する前記給紙口に変更する、ことを特徴とする。
【0010】
当該態様により、おもて表紙とうら表紙を用いた印刷において、用紙サイズの整合が取れた適切な印刷を行うことができる。
【0011】
更に、上記発明において、その好ましい一つの態様は、前記制御部は、前記特殊紙であ
るおもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについて給紙口の設定が行われた際に、当該給紙口と、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のうちの既に設定が行われている給紙口と、から給紙される前記用紙の用紙サイズが一致するように、前記いずれかの給紙口を変更する、ことを特徴とする。
【0012】
当該態様により、特殊紙を用いた印刷において、それらの用紙サイズの整合が取れた適切な印刷を行うことができる。
【0013】
更に、上記発明において、その好ましい一つの態様は、更に、前記給紙口の変更を許可するか否かをユーザーが設定する手段を有する、ことを特徴とする。
【0014】
当該態様により、ユーザーニーズを反映させた印刷を実行することができる。
【0015】
更に、上記発明において、その好ましい一つの態様は、前記制御部は、前記特殊紙であるおもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについて給紙口の設定が行われた際に、当該給紙口と、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のうちの既に設定が行われている給紙口と、から給紙される前記用紙の用紙サイズが一致していない場合、前記用紙の用紙サイズを一致させるように前記いずれかの給紙口を変更するか否かを指示させる画面を表示する、ことを特徴とする。
【0016】
当該態様により、ユーザーニーズを反映させた適切な印刷を行うことができる。
【0017】
更に、上記発明において、その好ましい一つの態様は、前記制御部は、前記特殊紙であるおもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについて給紙口の設定が行われた際に、当該給紙口と、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のうちの既に設定が行われている給紙口と、から給紙される前記用紙の用紙サイズが一致していない場合、その旨のメッセージを表示する、ことを特徴とする。
【0018】
当該態様により、設定内容の不整合についてユーザーが把握することができる。
【0019】
更に、上記発明において、その好ましい一つの態様は、前記制御部は、前記特殊紙である合紙、章区切り用の用紙、及び、仕切り紙のうちのいずれかについて給紙口が設定された場合に、当該給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズが印刷ジョブについて設定されている給紙口から給紙される前記用紙の用紙サイズよりも小さい場合には、その旨のメッセージを表示する、ことを特徴とする。
【0020】
当該態様により、誤設定と考えられる旨がユーザーに報知され、事前に設定を修正することが促される。
【0021】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、複数の給紙口と、前記給紙口から給紙した用紙に対して印刷を行う印刷機構と、を備える印刷装置における印刷方法において、特殊紙を用いた印刷において、設定された当該印刷で使用される前記用紙の用紙種別に基づいて、前記特殊紙に関する処理を制御する、ことである。
【0022】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用した印刷装置の実施の形態例に係る概略構成図である。
図2】おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについて給紙口24が設定された際の処理手順を例示したフローチャートである。
図3】おもて表紙、うら表紙、及び、合紙の設定を行うための表紙・合紙設定画面(特殊紙設定画面)の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0025】
図1は、本発明を適用した印刷装置の実施の形態例に係る概略構成図である。図1に示すプリンター2が本発明を適用した印刷装置であり、本プリンター2は、おもて紙・うら紙を付ける、合紙を挿入するといった特殊紙を用いた印刷を行う機能を備える。本プリンター2では、ユーザーが特殊紙を用いた印刷を行う際の特殊紙の印刷設定、特に、特殊紙に使用する用紙(給紙口24、用紙カセット3)の設定処理において、印刷ジョブに設定されている用紙の用紙種別や他の特殊紙に設定されている用紙の用紙種別に基づいて、適切な設定処理が実行される。具体的には、プリンター2は、使用される用紙サイズ等についての整合が取れるように設定処理を実行する。この処理により、特殊紙について誤設定がなされたままに印刷を実行してしまうことを防止でき、ユーザー利便性を向上できると共に、無駄な用紙の使用を抑えることができる。
【0026】
なお、本明細書では、用紙種別とは、プリンター2が印刷を行う印刷媒体(用紙)の種類であり、少なくとも、用紙のサイズ(用紙サイズ)、用紙の給紙方向、及び、用紙の紙種の項目を含んでいる。また、印刷ジョブとは、ここでは、おもて表紙、うら表紙、合紙などを付けることによって区切られる印刷対象の本文を指すこととする。また、特殊紙とは、当該本文以外のおもて表紙、うら表紙、合紙などの総称であり、これら以外に、章区切り用紙、仕切り紙なども含む。
【0027】
図1に示すように、プリンター2は、ホストコンピューター1などのホスト装置からの印刷要求、又は、プリンター2に対する操作に従い、用紙に対して印刷を実行する、例えば、インクジェットプリンターである。プリンター2は、上述の通り、特殊紙を付ける機能を備える。
【0028】
ホストコンピューター1は、プリンター2と通信可能に接続され、ユーザー操作等に基づきプリンター2に対して印刷要求を行う。ホストコンピューター1は、パーソナルコンピューターなどで構成され、図示していないCPU、RAM、ROM、HDD、表示装置、操作装置、通信インターフェース等を備える。
【0029】
ホストコンピューター1は、機能構成として、図1に示すように、ドライバー部11を備える。ドライバー部11は、印刷対象の図形や文字を生成するアプリケーション(図示せず)などからの指示に基づいて、プリンター2用の印刷データを生成し、当該印刷データをプリンター2へ送信する。
【0030】
ドライバー部11は、印刷を行う際の印刷条件等について各種の設定情報を印刷データに含めるが、その設定のための設定画面をユーザーインターフェースとして提供する。当該設定画面は、ホストコンピューター1の表示部に表示され、それに基づいてユーザーが設定情報を入力(選択)することができる。
【0031】
この設定情報には、印刷ジョブ及び特殊紙に使用する用紙に関する情報が含まれる。具体的には、「給紙口」、「用紙サイズ」、「給紙方向」、及び、「紙質」の情報が含まれる。「給紙口」は、プリンター2が備える複数の給紙口24のうちのどの給紙口24から
給紙するかを指定する項目であり、「用紙サイズ」は、印刷に使用する用紙のサイズ(A4、A3など)を指定する項目であり、「給紙方向」は、用紙を給紙及び排紙する際の用紙の向き(タテ又はヨコ、ここでは、排紙方向と同じ)を指定する項目であり、「紙質」は、用紙の材質による種別(普通紙、再生紙など)を指定する項目である。
【0032】
なお、「給紙口」については、“給紙口自動”と設定することができ、このように設定されている場合には、プリンター2側で、他の設定内容に基づいて適切な給紙口24を選択する。
【0033】
なお、ドライバー部11は、プリンター2用のドライバープログラム、当該プログラムに従って動作するCPU、RAM等によって構成される。
【0034】
プリンター2は、図1に示されるように、制御部21、印刷機構22、操作パネル23、給紙口24、及び、搬送路25等を備える。制御部21は、プリンター2の各部を制御するコントローラーであり、ハードウェア構成としては、CPU、RAM、ROM、NVRAM、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。
【0035】
制御部21は、ホストコンピューター1から印刷データを受信した際など印刷要求を受けると、印刷機構22を制御して、その印刷ジョブに設定されている内容に応じた印刷条件で、印刷対象の画像を用紙に印刷する。使用する用紙に関しては、制御部21は、上述した「給紙口」、「用紙サイズ」、「給紙方向」、及び「紙質」の設定内容に基づいて、適切な給紙口24を選択(決定)し、そこから給紙して印刷を行う。
【0036】
また、上述のように、プリンター2では、操作パネル23においてユーザーが特殊紙の設定を行う場合に、既に設定された他の用紙の用紙種別に基づいて設定処理の制御を行う。
【0037】
なお、これら制御部21が行う処理は、当該処理を指示するプログラム、当該プログラムに従って動作するCPU、プログラムを格納するROM、RAM、NVRAM等が協働して動作することにより実行される。
【0038】
印刷機構22は、制御部21の指示に従って用紙など(印刷媒体)に印刷を行う。印刷機構22は、図1に示されるように、印刷部221及び搬送部222等を備える。また、プリンター2は、複数の給紙口24及び搬送路25を備える。
【0039】
給紙口24は、本実施の形態例では、3つ備えられ(24A、24B、24C)、それぞれに、各種の用紙を収容する用紙カセット3(3A、3B、3C)が挿入される。印刷時には、いずれかの給紙口24から給紙され、給紙された用紙は搬送路25に沿って搬送される。
【0040】
搬送部222は、搬送ローラーと、その駆動源及び伝動装置等を備え、給紙口24から給紙された用紙を印刷位置まで搬送し、その後、印刷後の用紙を搬送して排紙する。
【0041】
印刷部222は、印刷位置に搬送された用紙に対して印刷を実行する。印刷部222は、本実施の形態例では、インクを吐出するノズルを複数備えた印刷ヘッド、印刷ヘッドを搭載して副走査方向に移動するキャリッジ等を備える。
【0042】
操作パネル23は、プリンター2のユーザーインターフェースであり、表示モニター、操作ボタン等を備える。操作パネル23は、制御部21の制御により、表示モニターを介して設定画面をユーザーに表示し、操作ボタンに対する操作によりユーザーに設定された
情報を入力する。
【0043】
以上説明したような構成を備える本実施の形態例に係るホストコンピューター1及びプリンター2では、特殊紙を付ける印刷の指示がなされると、まず、ドライバー部11が、上述した設定情報を含む印刷データを生成してプリンター2へ送信し、プリンター2が、その印刷データを解釈し、設定情報に適した印刷条件で印刷処理を実行する。
【0044】
本プリンター2では、特殊紙を用いた印刷を行う際の設定処理に特徴があり、以下、その具体的な処理内容について説明する。図2は、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについて給紙口24が設定された際の処理手順を例示したフローチャートである。
【0045】
なお、ここでは、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについての給紙口24の設定が、プリンター2の操作パネル23を介してユーザーにより行われた際の処理として説明する。
【0046】
おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のいずれかについて、給紙口24の設定操作が行われると、制御部21は、その設定がおもて表紙又はうら表紙についてなされた否かを判断する(図2のステップS1)。
【0047】
図3は、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙の設定を行うための表紙・合紙設定画面(特殊紙設定画面)の一例を示した図である。図3に示す「表紙・合紙の設定」画面Aが表紙・合紙設定画面であり、当該画面が操作パネル23の表示モニターに表示され、当該画面に対してユーザーが設定の操作を行う。図3に示す例では、B、C、Dで指し示すチェックボックスが、それぞれ、おもて表紙、うら表紙、合紙を付ける際に選択される部分であり、その下に各紙について設定されている給紙口24に関する情報が表示される。かかる情報には、その給紙口24に挿入される用紙カセット3、給紙される用紙の用紙サイズ及び給紙方向などの情報が含まれる。また、この給紙口24の設定操作は、各紙について用意されたプルダウンメニュー(図3のFで指し示すメニュー等)から選択することによって行われる。
【0048】
ステップS1では、図3に示す例の場合、「表紙・合紙の設定」画面Aのおもて表紙又はうら表紙について上記給紙口24の設定操作が行われたか否かが判断される。
【0049】
当該判断の結果、おもて表紙又はうら表紙について給紙口24の設定がなされた場合には(図2のステップS1のYes)、制御部21は、おもて表紙又はうら表紙のうち、今回設定がなされた表紙とは別の他方の表紙について、既に給紙口24の設定がなされているか否かを判断する(図2のステップS2)。
【0050】
当該判断の結果、他方の表紙について既に給紙口24の設定がなされている場合には(図2のステップS2のYes)、制御部21は、おもて表紙とうら表紙とで、それらに設定されている給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズが一致するか否かを判断する(図2のステップS3)。換言すれば、今回設定された給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズと、上記他方の表紙に設定されていた給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズが同じであるか否かを判断する。すなわち、ここでは、おもて表紙とうら表紙の両方を付ける印刷を行う際に、両表紙のサイズが一致する(整合する)ことがチェックされる。
【0051】
当該判断の結果、一致しない場合には(図2のステップS3のNo)、処理はステップS4に移行する。一方、一致している場合には(図2のステップS3のYes)、処理はステップS7に移行する。
【0052】
なお、ステップS1又はステップS2において、それそれ、上述し条件が不成立の場合には、処理はステップS7に移行する。
【0053】
図3に示す例においては、チェックボックスB及びCの両方にチェックが入って選択され、それら両方の給紙口24が設定(選択)された際に、ステップS3の整合性のチェックがなされる。
【0054】
ステップS4では、制御部21は、おもて表紙とうら表紙の用紙サイズが異なっていることを示すメッセージを操作パネル23の表示モニターに表示して、ユーザーに報知する。
【0055】
その後、制御部21は、給紙口24の自動変更が許可されているか否かを判断する(図2のステップS5)。なお、プリンター2には、設定された給紙口24をプリンター2が自動で変更することを許可するか否かを、ユーザーが設定する許可・不許可設定手段が備えられる。具体的には、操作パネル23にそのための設定ボタンが用意される、あるいは、表示モニターにそのためのメニューが表示される。なお、ホストコンピューター1が同様の許可・不許可設定手段を備えても良く、その場合には、ドライバー部11がそのためのメニューをホストコンピューター1の表示部に表示する。ユーザーは、事前にこれらの許可・不許可設定手段を用いて、給紙口24の自動変更を許可するか否かをプリンター2に設定しておく。
【0056】
制御部21は、その設定内容に基づいて、給紙口24の自動変更が許可されているか否かを判断し、許可されている場合には(図2のステップ5のYes)、処理がステップS6に移行し、許可されていない場合には(図2のステップ5のNo)、処理がステップS7に移行する。
【0057】
なお、許可・不許可設定手段の代替として、ステップS4で行ったメッセージの表示のタイミングで、用紙種別の不整合を直すために、具体的には、用紙サイズを一致させるために、設定された給紙口24を変更しても良いか否かを確認する(選択させる)メッセージを操作パネル23の表示モニターに表示しても良い。かかる場合には、制御部21は、当該表示に対するユーザー操作に基づいて、ステップS5の判断を行う。すなわち、制御部21は、変更しても良いとのユーザー操作があれば、自動変更が許可されたと判断し、変更してはいけないとのユーザー操作があれば、自動変更が不許可であると判断する。なお、当該代替案の場合には、どちらの表紙に設定されている給紙口24に係る用紙サイズに合わせるかをユーザーが選択できるようにしても良く、制御部21は、ステップS6において、その指示に従った変更を実施する。
【0058】
ステップS6では、制御部21は、今回設定された給紙口24を、上記他方の表紙に設定されていた給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズと一致する用紙サイズの用紙を給紙する給紙口24に変更する。その後、処理はステップS7に移行する。
【0059】
以上の処理で、おもて表紙とうら表紙の整合性を取る処理が終了し、ステップS7からは、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙の整合性を取る処理が開始される。
【0060】
制御部21は、今回設定された給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズが、他の用紙に設定されていた給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズと一致するか否かを判断する(図2のステップS7)。なお、他の用紙は、具体的には、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のうち、今回設定された用紙以外の、いずれか1つ又は両方の用紙を意味する。
【0061】
また、用紙サイズの一致の判断は、他の用紙がなければ一致したと判断され、他の用紙が1つであればそれとの比較で行われ、他の用紙が2つあれば今回の用紙を含めた全ての用紙について一致するか否かで行われる。
【0062】
図3に示す例で、合紙についてDで指し示すチェックボックスが選択された後、その給紙口24について設定が行われ、Eで指し示された給紙口24が選択されたとものとする。その時点で、おもて表紙及びうら表紙について、給紙口24が、図3に示されるように、設定済みであったとすると、制御部21は、今回設定された合紙の用紙サイズ(A3)は、他の用紙に設定される用紙サイズ(A4)と一致しないと判断する。
【0063】
ステップS7において、用紙サイズが一致しないと判断されると(図2のステップS7のNo)、制御部21は、ステップS4の処理と同様に、用紙サイズが異なっていることを示すメッセージを操作パネル23の表示モニターに表示して、ユーザーに報知する(図2のステップS8)。
【0064】
その後、制御部は、ステップS5の処理と同様に、給紙口24の自動変更が許可されているか否かを判断する(図2のステップS9)。なお、上述した許可・不許可設定手段の代替案である、メッセージ表示を行ってユーザーに選択させる処理についても、上述の場合と同様に実行されても良い。
【0065】
自動変更が許可されている場合には(図2のステップ9のYes)、制御部21は、給紙口24が設定されている、おもて表紙、うら表紙、及び、合紙のうちの2つ又は3つの用紙について、給紙される用紙の用紙サイズが一致するように、給紙口24の変更を行う(図2のステップS10)。上記2つの用紙の場合には、制御部21は、今回設定された給紙口24を、そこから給紙される用紙の用紙サイズが、既に設定されていた他の用紙の給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズと一致するように変更する。上記3つの用紙の場合には、制御部21は、それらのうちの2つの用紙について用紙サイズが一致していれば、他の1つの用紙について給紙口24を変更し、3つの用紙についてそれぞれ用紙サイズが異なる場合には、予め定められたルールに基づいて、2つの用紙について給紙口24を変更する。
【0066】
なお、自動変更の許可/不許可をユーザーに選択させるメッセージを表示する場合には、どの用紙に設定されている給紙口24に係る用紙サイズに合わせるかをユーザーが選択できるようにしても良く、制御部21は、その指示に従った変更を実施する。
【0067】
ステップS7において用紙サイズが一致していると判断された場合(図2のステップS7のYes)、ステップS9において自動変更が不許可である場合(図2のステップS9のNo)、ステップS10の後、当該給紙口24の設定時の処理を終了する。
【0068】
かかる処理が、表紙・合紙設定画面において給紙口24の設定が行われる度に実行され、特殊紙間の用紙種別の整合性が保たれる。
【0069】
なお、上述の説明において、ステップS6の場合、及び、ステップS10の2つの特殊紙の整合を取る場合に、新しく設定された給紙口24を、予め設定された給紙口24に対応するように変更したが、新しく設定された給紙口24に対応するように、予め設定された給紙口24を変更するようにしても良い。
【0070】
また、図2に基づく処理は、ホストコンピューター1のドライバー部11によって実現されても良い。
【0071】
なお、上述した表紙・合紙設定画面の中に、あるいは、当該画面とは別に、「合紙」、「章区切り用の用紙」、「仕切り紙」の設定画面を設けるようにしても良い。この場合、制御部21は、当該画面を用いて、「合紙」、「章区切り用の用紙」、「仕切り紙」のうちのいずれかについて給紙口24が設定された場合に、その給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズが、印刷ジョブについて設定されている給紙口24から給紙される用紙の用紙サイズよりも小さければ、その旨のメッセージを操作パネル23の表示モニターに表示する。当該機能は、ホストコンピューター1のドライバー部11で実現されても良い。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態例及び変形例に係るプリンター2及びドライバー部11では、特殊紙の給紙口24について設定する際に、その特殊紙に設定される用紙の用紙種別、その他の特殊紙に設定されている用紙の用紙種別、印刷ジョブに設定されている用紙の用紙種別に基づいて、給紙口24の設定の制御が行われる。これにより、設定操作による誤設定を解消し、印刷ジョブと特殊紙との用紙種別の不整合、特殊紙間での用紙種別の不整合を防止できる。
【0073】
具体的には、おもて表紙とうら表紙とで設定される用紙サイズが一致するように自動変更される。これにより、おもて表紙とうら表紙の誤設定を防止でき、両者の整合の取れた適切な印刷を行うことができる。
【0074】
また、おもて表紙、うら表紙、合紙の間でも用紙サイズが一致するように、自動変更されるので、特殊紙の誤設定を防止でき、誤った印刷による用紙の無駄を抑えることができる。
【0075】
また、これらの自動変更を許可するか否かをユーザーが選択する手段が設けられ、ユーザーニーズを適切に反映させることができる。
【0076】
また、設定の変更が必要な場合に、ユーザーに変更するか否かを確認するメッセージを表示することにより、ユーザーニーズを適切に反映させることができる。
【0077】
また、特殊紙の設定において不整合が生じている場合に、その旨のメッセージが表示されるので、ユーザーによる誤操作が事前に解消される。
【0078】
また、「合紙」、「章区切り用の用紙」、「仕切り紙」のうちのいずれかについて、印刷ジョブで使用される用紙の用紙サイズよりも小さい用紙サイズの用紙が設定され場合には、その旨のメッセージが表示される。これらの特殊紙が本文よりも小さいサイズであると、本文に埋もれてしまいその機能を発揮できないため、そのような場合には、このようにしてユーザー報知がなされ、ユーザー利便性を向上させることができる。
【0079】
本実施の形態例では、CPU(プロセッサー)が各処理を実行する例を説明した。
【0080】
ここで、本明細書において、CPUは、1又は複数のCPUにより構成されていてもよいし、1又は複数の集積回路(例えば、ASIC)により構成されていてもよい。また、CPUは、1又は複数のCPUと、1又は複数の集積回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。
【0081】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【符号の説明】
【0082】
1…ホストコンピューター、2…プリンター、3(3A、3B、3C)…用紙カセット
、11…ドライバー部、21…制御部、22…印刷機構、23…操作パネル、24(24A、24B、224C)…給紙口、25…搬送路、221…印刷部、222…搬送部。
図1
図2
図3