(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の可視光照射部は403nm以上428nm以下の波長の可視光を照射する光照射部であり、かつ、前記第2の可視光照射部は500nm以上580nm以下の波長の可視光を照射する光照射部である請求項1に記載の三次元造形装置。
前記第1の可視光照射部は403nm以上428nm以下の波長の可視光を照射する光照射部であり、かつ、前記紫外光照射部は360nm以上390nm以下の波長の紫外光を照射する光照射部である請求項3に記載の三次元造形装置。
前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドの少なくとも一種を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
前記第1の可視光照射工程で照射する可視光は403nm以上428nm以下の波長の可視光であり、かつ、前記第2の可視光照射工程で照射する可視光は500nm以上580nm以下の波長の可視光である請求項8に記載の三次元造形物の製造方法。
前記第1の可視光照射工程は403nm以上428nm以下の波長の可視光を照射する工程であり、かつ、前記紫外光照射工程は360nm以上390nm以下の波長の紫外光を照射する工程である請求項10に記載の三次元造形物の製造方法。
前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドの少なくとも一種を含む請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0033】
[第1実施形態に係る三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法]
第1実施形態に係る三次元造形装置の一例として、
図1に示す三次元造形装置101について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示す三次元造形装置101は、インクジェット方式の三次元造形装置であり、例えば、造形ユニット10と、造形台20と、を備えている。
また、三次元造形装置101は、装置に脱着されるように、三次元造形材30Aを収容する三次元造形材カートリッジ30と、サポート材32A(支持材)を収容するサポート材カートリッジ32と、を備えている。
【0034】
三次元造形材カートリッジ30には、光重合性化合物とアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤とを含有する三次元造形材30Aが収容されている。また、サポート材カートリッジ32には、光照射により硬化して三次元造形物の少なくとも一部を支持するサポート部(支持部)を形成するためのサポート材32Aが収容されている。三次元造形材30A及び必要に応じて用いられるサポート材32Aの詳細は後述する。
なお、
図1中、MDは三次元造形材30Aによって形成された三次元造形物を示し、SPはサポート材32Aによって形成されたサポート部を示す。
【0035】
造形ユニット10は、例えば、不図示の駆動装置により、造形台20の造形領域上を、主走査方向と、これと交差(例えば直交)する副走査方向に移動する方式(所謂、キャリッジ方式)となっている。
一方、造形台20は、不図示の駆動装置により昇降し、三次元造形材30Aおよびサポート材32Aが吐出されて三次元造形物が形成される造形領域を有する面を有している。
【0036】
造形ユニット10は、例えば、三次元造形材30Aの液滴を吐出する三次元造形材吐出ヘッド12と、サポート材32Aの液滴を吐出するサポート材吐出ヘッド14と、吐出された三次元造形材30A及びサポート材32Aに400nm以上430nm以下の波長の可視光を照射する光照射装置16(第1の可視光照射部)と、をこの順に備えている。その他、造形ユニット10は、図示しないが、例えば、造形台20上に吐出した三次元造形材30A及びサポート材32Aのうち、余分な三次元造形材30A及びサポート材32Aを除去し、平坦化する回転ローラを備えていてもよい。
【0037】
三次元造形材吐出ヘッド12は、例えば、三次元造形材カートリッジ30と不図示の供給管を通じて連結されている。そして、三次元造形材30Aが、三次元造形材カートリッジ30から、不図示の供給管を通じて、三次元造形材吐出ヘッド12へ供給される。つまり、三次元造形材カートリッジ30、三次元造形材カートリッジ30に収容された三次元造形材30A、及び三次元造形材吐出ヘッド12によって三次元造形材30Aの吐出部が構成されている。
【0038】
また、サポート材吐出ヘッド14も同様に、例えば、サポート材カートリッジ32と不図示の供給管を通じて連結されており、サポート材32Aが、サポート材カートリッジ32から、不図示の供給管を通じて、サポート材吐出ヘッド14へ供給される。つまり、サポート材カートリッジ32、サポート材32A、及びサポート材吐出ヘッド14によってサポート材32Aの吐出部が構成されている。
【0039】
三次元造形材吐出ヘッド12およびサポート材吐出ヘッド14は、各々、各材の液滴を圧力により吐出するピエゾ方式(圧電方式)の吐出ヘッドが適用されている。各吐出ヘッドは、これに限られず、ポンプによる圧力により、各材を吐出する方式の吐出ヘッドであってもよい。
【0040】
三次元造形材吐出ヘッド12及びサポート材吐出ヘッド14は、各々、有効な吐出領域(三次元造形材及びサポート材を吐出するノズルの配置領域)が、造形台20の造形領域よりも小さい短尺状の吐出ヘッドとなっている。
なお、三次元造形材吐出ヘッド12及びサポート材吐出ヘッド14は、各々、例えば、有効な吐出領域(三次元造形材及びサポート材を吐出するノズルの配置領域)が、造形台20上の造形領域幅(造形ユニット10の移動方向(主走査方向)と交差(例えば直交)する方向の長さ)以上とした長尺状のヘッドとしてもよい。
【0041】
光照射装置16としては、400nm以上430nm以下の波長の可視光を少なくとも照射する光照射装置が用いられる。光照射装置16の具体例としては、例えば、レーザ、LED(発光ダイオード)等の光源を有する装置が適用される。
【0042】
次に、三次元造形装置101の動作(三次元造形物の製造方法)について説明する。
まず、不図示のコンピュータ等により、例えば、三次元造形材30Aにより造形する三次元造形物の三次元CAD(Computer Aided Design)データから、三次元造形用のデータとして、例えば、三次元造形物を形成するための二次元形状データ(スライスデータ)を生成する。このとき、サポート材32Aによりサポート部を形成するための二次元形状データ(スライスデータ)も生成する。サポート部を形成するための二次元形状データは、下方位置の造形物の幅より、上方位置の造形物の幅が大きく、いわゆるオーバーハングしている部分がある場合、このオーバーハング部分を下方より支持するようにサポート部が形成されるようになっている。
【0043】
次に、三次元造形物を形成するための二次元形状データに基づいて、造形ユニット10を移動させながら、三次元造形材吐出ヘッド12から、三次元造形材30Aを吐出し、造形台20上に、三次元造形材30Aの層を形成する(吐出工程)。そして、光照射装置16により、三次元造形材30Aの層へ光を照射し、三次元造形材30Aを硬化し、三次元造形物の一部となる層を形成する(第1の可視光照射工程)。
【0044】
必要に応じて、サポート部を形成するための二次元データに基づいて、造形ユニット10を移動させながら、サポート材吐出ヘッド14から、サポート材32Aを吐出し、造形台20上に、三次元造形材30Aの層と隣接して、サポート材32Aの層を形成する。そして、光照射装置16により、サポート材32Aの層へ光を照射し、サポート材32Aを硬化し、サポート部の一部となる層を形成する。
このようにして、三次元造形物の一部となる層と、必要に応じて、サポート部の一部となる層とからなる第1層LAY1を形成する(
図2参照)。ここで、
図2中、MD1は、第1層LAY1における三次元造形物の一部となる層を示し、SP1は、第1層LAY1におけるサポート部の一部となる層を示す。
【0045】
次に、造形台20を下降する。この造形台20の下降は、次に形成する第2層(三次元造形物の一部となる層と、必要に応じて、サポート部の一部となる層とからなる第2層)の厚み分とする。
【0046】
次に、第1層LAY1と同様に、三次元造形物の一部となる層と、必要に応じて、サポート部の一部となる層とからなる第2層LAY2を形成する(
図3参照)。ここで、
図3中、MD2は、第2層LAY2における三次元造形物の一部となる層を示し、SP2は、第2層LAY2におけるサポート部の一部となる層を示す。
【0047】
そして、この第1層LAY1および第2層LAY2を形成する動作を繰り返し実施し、第n層LAYnまで形成する。これにより、少なくとも一部がサポート部でサポートされた三次元造形物が形成される(
図4参照)。ここで、
図4中、MDnは、第n層LAYnにおける三次元造形物の一部となる層を示す。MDは三次元造形物を示す。SPはサポート部を示す。
【0048】
その後、三次元造形物からサポート部を除去すると、目的とする三次元造形物が得られる。ここで、サポート部の除去は、例えば、手で取り外す方式(ブレークアウェイ方式)、気体又は液体を噴射して取り外す方式等が採用される。
なお、得られた三次元造形物は、研磨処理等の後処理を施してもよい。
【0049】
第1実施形態の三次元造形装置101は、前述したように、吐出された三次元造形材30Aに400nm以上430nm以下の波長の可視光を照射する光照射装置16(第1の可視光照射部)を有する。そのため、光照射装置(光照射部)として400nm未満の波長の光のみを照射する光照射装置のみを備えた三次元造形装置に比べ、経時的な黄変の発生が抑制された三次元造形物が得られる。
【0050】
従来の三次元造形装置では、三次元造形材を硬化させる光照射装置として、主に400nm未満の波長の光を照射する光照射装置が適用されてきた。しかし、上記従来の三次元造形装置で製造された三次元造形物は、黄変した三次元造形物が得られたり、製造時に黄変していなくても太陽光などの光(例えば紫外光等)があたることで経時的に黄変したりする場合がある。特に、光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する三次元造形材30Aを用いた従来の三次元造形装置では、上記三次元造形物の黄変がさらに起こりやすい。
【0051】
これに対して、第1実施形態の三次元造形装置101を用いて製造された三次元造形物は、太陽光(特に紫外線)が照射されても、従来の三次元造形装置で製造された三次元造形物に比べて上記経時的な黄変が抑制された三次元造形物が得られる。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
【0052】
光重合開始剤は紫外線を吸収して活性化してラジカル分子や水素イオンなどと反応を開始する物質が分解を経てモノマーやオリゴマーなどの樹脂成分と反応するが、黄変は光によってラジカルが生じて有色物の構造に変化して起こると考えられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は硬化時に黄色味が少ない光重合開始剤であるが、硬化させるために照射する光源の波長を例えば365nmの紫外光にした場合、可視光に比べて照射されるエネルギーが高いために副反応が起こりやすく黄色の成分がアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の変性から生じると考えられる。
これに対して、照射する光源の波長を400nm以上にした場合には、365nmの紫外光に比べてエネルギーが低く、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が活性化し、活性化したアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が分解し、消色して、モノマーやオリゴマーなどの樹脂成分と反応することで架橋化反応が進行する重合反応が主として起こるため、副反応である黄変が起こりにくいと考えられる。
【0053】
以上のように、第1実施形態の三次元造形装置101を用いて製造された三次元造形物は、400nm以上430nm以下の波長の可視光の照射によって三次元造形材30Aを硬化しながら形成されたものであることにより、製造後に太陽光(特に紫外線)が照射されても経時的な黄変が起こりにくいものと推測される。
【0054】
また、前記のように、従来の三次元造形装置で製造した三次元造形物が黄変した場合、黄変した三次元造形物に430nm〜500nmの波長の光を照射する後処理を行うことで、変色を解消する方法が開示されている。
しかしながら、例えば三次元造形物が厚みを有し(例えば厚みが4mm以上)、かつ、半透明(例えば厚み4mmにおける可視光の透過率が60%以上80%以下)である場合、後処理において照射する光が三次元造形物の内部にまで到達せず、内部における変色の解消が困難なことがある。
これに対して、第1実施形態の三次元造形装置101では、三次元造形材30Aの層に400nm以上430nm以下の波長の可視光を照射し、黄変を抑制させながら硬化させたものを積層することで三次元造形物を形成する。そのため、前記のように従来の三次元造形装置で製造した後に後処理を行う場合に比べて、内部まで黄変が抑制された三次元造形物が得られる。
【0055】
第1実施形態の三次元造形装置101において、光照射装置16によって三次元造形材30Aに照射する可視光の波長は、400nm以上430nm以下の範囲であれば特に限定されないが、三次元造形材30Aの硬化と得られた三次元造形物における経時的な黄変の抑制とを両立させる観点から、403nm以上428nm以下が好ましく、405nm以上425nm以下がより好ましい。
【0056】
光照射装置16によって三次元造形材30Aに照射する光は、得られた三次元造形物における経時的な黄変を抑制する観点から、紫外光(400nm以下の光)を含まないことが好ましい。第1実施形態の三次元造形装置101では、400nm以上430nm以下の波長の光を吸収することでラジカルを発生するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する三次元造形材30Aを用いている。そのため、光照射装置16によって三次元造形材30Aに照射する光が紫外光を含まなくても、400nm以上430nm以下の波長の光によって三次元造形材30Aが硬化し、三次元造形物が形成される。
なお、光照射装置16によって三次元造形材30Aに照射する光に紫外光を含ませないようにする方法としては、例えば、光照射装置16としてLED(発光ダイオード)を用いる方法のほか、紫外光を透過しないフィルターを用いる方法等が挙げられる。
【0057】
なお、第1実施形態の三次元造形装置101では、三次元造形材30Aの吐出部及びサポート材32Aの吐出部の両方を備えているが、吐出部として三次元造形材30Aの吐出部のみを備えた形態でもよい。
【0058】
[第2実施形態に係る三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法]
次に、第2実施形態に係る三次元造形装置の一例として、
図5に示す三次元造形装置102について説明する。
図5に示す三次元造形装置102は、光照射装置16(第1の可視光照射部)によって400nm以上430nm以下の波長の可視光が照射された三次元造形材30A及びサポート材32Aに、500nm以上の波長の可視光を照射する光照射装置18(第2の可視光照射部)を有する形態である。
つまり、
図5に示す三次元造形装置102は、三次元造形材吐出ヘッド12と、サポート材吐出ヘッド14と、光照射装置16と、光照射装置18と、をこの順に有する造形ユニット11を備えていること以外は、第1実施形態の三次元造形装置101と同様である。
なお、
図1に示す三次元造形装置101と同様の部材等については、
図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0059】
光照射装置18としては、500nm以上の波長の可視光を少なくとも照射する光照射装置が用いられる。光照射装置18の具体例としては、例えば、レーザ、LED(発光ダイオード)等の光源を有する装置が適用される。
【0060】
三次元造形装置102では、造形ユニット10を移動させながら、三次元造形材吐出ヘッド12から三次元造形材30Aを吐出して造形台20上に三次元造形材30Aの層を形成する(吐出工程)。そして、三次元造形材30Aの層の形成とともに、必要に応じて、造形ユニット10を移動させながら、サポート材吐出ヘッド14からサポート材32Aを吐出して造形台20上に三次元造形材30Aの層と隣接してサポート材32Aの層を形成する。
次に、光照射装置16により、三次元造形材30A及び必要に応じて形成されたサポート材32Aの層へ光を照射して硬化することで、三次元造形物及び必要に応じて形成されるサポート部の一部となる層を形成する(第1の可視光照射工程)。その後、光照射装置18により、三次元造形物及び必要に応じて形成されるサポート部の一部となる層へ光を照射する(第2の可視光照射工程)。
【0061】
そして、造形台20を下降させつつ、三次元造形材30Aの吐出及び必要に応じてサポート材32Aの吐出、光照射装置16からの光照射による硬化、並びに光照射装置18による光照射を繰り返して行う。以上のようにして、三次元造形物及び必要に応じて形成されるサポート部が得られる。なお、第1実施形態と同様に、サポート部を有する場合は、必要に応じてサポート部を除去する。
【0062】
第2実施形態の三次元造形装置102は、前記のように、吐出された三次元造形材30Aに400nm以上430nm以下の波長の可視光を照射する光照射装置16(第1の可視光照射部)に加え、光照射装置16によって可視光が照射された三次元造形材30Aに500nm以上の波長の可視光を照射する光照射装置18(第2の可視光照射部)を有する。そのため、光照射装置18を有さない三次元造形装置に比べ、さらに経時的な黄変が抑制された三次元造形物が得られる。
【0063】
第2実施形態の三次元造形装置102において、光照射装置16によって三次元造形材30Aに照射する可視光の波長は、400nm以上430nm以下の範囲であれば特に限定されないが、三次元造形材30Aの硬化と得られた三次元造形物における経時的な黄変の抑制とを両立させる観点から、403nm以上428nm以下が好ましく、405nm以上425nm以下がより好ましく、405nm以上420nm以下がさらに好ましい。
光照射装置18によって三次元造形材30Aに照射する可視光の波長は、500nm以上であれば特に限定されないが、三次元造形物における経時的な黄変を抑制する観点から、500nm以上580nm以下が好ましく、505nm以上525nm以下がより好ましい。
光照射装置16によって三次元造形材30Aに照射する光、及び光照射装置18によって三次元造形材30Aに照射する光のいずれも、得られた三次元造形物における経時的な黄変を抑制する観点から、紫外光(400nm以下の光)を含まないことが好ましい。
【0064】
[第3実施形態に係る三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法]
次に、第3実施形態に係る三次元造形装置の一例として、
図6に示す三次元造形装置103について説明する。
図6に示す三次元造形装置103は、吐出された三次元造形材30A及びサポート材32Aに400nm未満の波長の紫外光を照射する光照射装置19(紫外光照射部)を有する形態である。そして、三次元造形装置103では、光照射装置19によって400nm未満の波長の紫外光が照射された三次元造形材30A及びサポート材32Aに、光照射装置16(第1の可視光照射部)によって400nm以上430nm以下の波長の可視光を照射する。
つまり、
図6に示す三次元造形装置103は、三次元造形材吐出ヘッド12と、サポート材吐出ヘッド14と、光照射装置19と、光照射装置16と、をこの順に有する造形ユニット13を備えていること以外は、第1実施形態の三次元造形装置101と同様である。
なお、
図1に示す三次元造形装置101と同様の部材等については、
図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0065】
光照射装置19としては、400nm未満の波長の紫外光を少なくとも照射する光照射装置が用いられる。光照射装置18の具体例としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザ、キセノンランプ、UV−LED(紫外線発光ダイオード)等の光源を有する装置が適用される。
【0066】
三次元造形装置103では、造形ユニット10を移動させながら、三次元造形材吐出ヘッド12から三次元造形材30Aを吐出して造形台20上に三次元造形材30Aの層を形成する(吐出工程)。そして、三次元造形材30Aの層の形成とともに、必要に応じて、造形ユニット10を移動させながら、サポート材吐出ヘッド14からサポート材32Aを吐出して造形台20上に三次元造形材30Aの層と隣接してサポート材32Aの層を形成する。
次に、光照射装置19及び光照射装置16により、三次元造形材30A及び必要に応じて形成されたサポート材32Aの層へ光を照射して硬化することで、三次元造形物及び必要に応じて形成されるサポート部の一部となる層を形成する(紫外光照射工程及び第1の可視光照射工程)。
【0067】
そして、造形台20を下降させつつ、三次元造形材30Aの吐出及び必要に応じてサポート材32Aの吐出、並びに光照射装置19からの光照射及び光照射装置16からの光照射による硬化を繰り返して行う。以上のようにして、三次元造形物及び必要に応じて形成されるサポート部が得られる。なお、第1実施形態と同様に、サポート部を有する場合は、必要に応じてサポート部を除去する。
【0068】
第3実施形態の三次元造形装置103は、前記のように、400nm未満の波長の紫外光を照射する光照射装置19(紫外光照射部)に加え、400nm以上430nm以下の波長の可視光を照射する光照射装置16(第1の可視光照射部)を有する。そのため、第1実施形態の三次元造形装置101と同様に、光照射装置16を有さず光照射装置19のみを有する三次元造形装置に比べ、経時的な黄変が抑制された三次元造形物が得られる。
【0069】
第3実施形態の三次元造形装置103において、光照射装置16によって三次元造形材30Aに照射する可視光の波長は、400nm以上430nm以下の範囲であれば特に限定されないが、三次元造形材30Aの硬化と得られた三次元造形物における経時的な黄変の抑制とを両立させる観点から、403nm以上428nm以下が好ましく、405nm以上425nm以下がより好ましく、405nm以上420nm以下がさらに好ましい。
また、光照射装置19によって三次元造形材30Aに照射する紫外光の波長は、400nm未満であれば特に限定されないが、三次元造形材30Aの硬化の観点から、360nm以上395nm以下が好ましく、365nm以上395nm以下がより好ましい。
【0070】
なお、第3実施形態の三次元造形装置103における造形ユニット13は、三次元造形材吐出ヘッド12と、サポート材吐出ヘッド14と、光照射装置19と、光照射装置16と、をこの順に有するが、これに限られず、三次元造形材吐出ヘッド12と、サポート材吐出ヘッド14と、光照射装置16と、光照射装置19と、をこの順に有してもよい。
また、サポート材吐出ヘッド14を有さない形態でもよく、さらに第2実施形態の三次元造形装置102における光照射装置18を有する形態でもよい。すなわち、三次元造形材吐出ヘッド12と、サポート材吐出ヘッド14と、光照射装置19と、光照射装置16と、光照射装置18と、をこの順に有する造形ユニットを備え、光照射装置18により三次元造形物の一部となる層へ光を照射する(第2の可視光照射工程を有する)形態でもよい。
【0071】
[三次元造形材及びサポート材]
次に、第1実施形態の三次元造形装置101、第2実施形態の三次元造形装置102、及び第3実施形態の三次元造形装置103における三次元造形材カートリッジ30に収容された三次元造形材30Aについて説明する。また、必要に応じて用いられ、サポート材カートリッジ32に収容されたサポート材32Aについても説明する。以下、符号を省略する場合がある。
【0072】
<三次元造形材>
三次元造形材は、少なくとも光重合性化合物とアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。以下、三次元造形材に含まれる各成分について説明する。
【0073】
(光重合性化合物)
光重合性化合物は、光が照射されることによって重合する化合物であり、モノマー、オリゴマー、及びプレポリマーのいずれであってもよく、例えば光重合性基を有する化合物が挙げられる。
光重合性化合物は、光重合性基を有する化合物を1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0074】
光重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基が挙げられる。
本実施形態では、光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いているため、光重合性化合物としてラジカル重合性基を有する化合物を用いる。
光重合性化合物は、1分子中に、光重合性基を1つのみ有してもよく、2以上有してもよい。また、光重合性基を有する化合物は、ラジカル重合性基のほかにカチオン重合性基を有してもよい。
【0075】
ラジカル重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合が挙げられる。また、エチレン性不飽和二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、N−ビニル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基等が挙げられる。
【0076】
ラジカル重合性基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が好適に挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの双方を意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの双方を意味する。また、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の双方を意味する。
ラジカル重合性基及びカチオン重合性基を有する化合物としては、例えば、ラジカル重合性基として(メタ)アクリロイル基を有し、カチオン重合性基としてビニルエーテル基を有する化合物が挙げられる。
【0077】
光重合性化合物は、これらの中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0078】
−ウレタン(メタ)アクリレート−
ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン構造と2個以上の(メタ)アクリロイル基を一分子内に有する化合物である。ウレタン(メタ)アクリレートは、モノマーであってもよし、オリゴマーであってもよいが、オリゴマーであることがよい。
ウレタン(メタ)アクリレートの官能数((メタ)アクリロイル基の数)は、2以上20以下(好ましくは2以上15以下)がよい。
【0079】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートと、を用いた反応生成物が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物を反応させたプレポリマーであって末端にイソシアネート基を有するプレポリマーと、水酸基含有(メタ)アクリレートと、の反応生成物が挙げられる。また、ウレタン(メタ)アクリレートとして、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物も挙げられる。
【0080】
・ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、鎖状飽和炭化水素イソシアネート、環状飽和炭化水素イソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。これら中でも、ポリイソシアネート化合物は、近紫外領域に光吸収帯を持たない鎖状飽和炭化水素イソシアネート、近紫外領域に光吸収帯を持たない環状飽和炭化水素イソシアネートが好ましい。
鎖状飽和炭化水素イソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
環状飽和炭化水素イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0081】
・ポリオール化合物
ポリオール化合物としては、例えば、ジオール、多価アルコール等が挙げられる。
ジオールとしては、例えば、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等)等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、ヒドロキシル基を3個以上含有するアルキレン多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール等)が挙げられる。
【0082】
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等も挙げられる。
【0083】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールの多量体、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの付加物、アルキレンオキサイドの開環重合体等が挙げられる。
ここで、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール等が挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0084】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと二塩基酸との反応生成物、環状エステル化合物の開環重合体等が挙げられる。
ここで、多価アルコールとしては、例えば、ポリエーテルポリオールの説明で例示した多価アルコールが挙げられる。
二塩基酸としては、例えば、カルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)、カルボン酸の無水物等が挙げられる。
環状エステル化合物としては、例えば、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0085】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、グリコールとアルキレンカーボネートとの反応生成物、グリコールとジアリールカーボネートとの反応生成物、グリコールとジアルキルカーボネートとの反応生成物等が挙げられる。
ここで、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等が挙げられる。
ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチルジフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、4,4’−ジエチルジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピルジフェニルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられる。
【0086】
・水素基含有(メタ)アクリレート
水素基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。水素基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル基含有化合物(例えばアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等)と(メタ)アクリル酸との付加物も挙げられる。
【0087】
−ウレタン(メタ)アクリレート重量平均分子量−
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量としては、500以上5000以下が好ましく、1000以上3000以下がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
【0088】
ウレタン(メタ)アクリレートは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ウレタン(メタ)アクリレートを2種以上併用する場合、ポリエステル骨格を有するポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエーテル骨格を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも1種を用いることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート全体に対するポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートの含有量としては、例えば1質量%以上99質量%以下が挙げられ、2質量%以上98質量%以下が好ましい。配合量は、所望の三次元造形材の粘度に合わせて調整される。
【0089】
また、光重合性化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートと後述する他の光重合性化合物とを併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートと他の光重合性化合物とを併用する場合、光重合性化合物全体に対するウレタン(メタ)アクリレートの含有量としては、例えば1質量%以上99質量%以下が挙げられ、2質量%以上98質量%以下が好ましい。配合量は、所望の三次元造形材の粘度に合わせて調整される。
【0090】
−他の光重合性化合物−
他の光重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート以外の他の(メタ)アクリレートが挙げられる。
他の(メタ)アクリレートとしては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート、多官能の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0091】
単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、複素環を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのブロックポリマーのモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0093】
複素環を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドおよび
N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0094】
多官能の(メタ)アクリレートのうち、2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキサイド)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0095】
多官能の(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート変性アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0096】
他の光重合性化合物は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートと他の光重合性化合物とを併用する場合、他の光重合性化合物としては、(メタ)アクリロイル基及びビニルエーテル基を有する化合物(例えば、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート)が好ましい。
【0097】
−光重合性化合物の含有量−
光重合性化合物の含有量(複数種の光重合性化合物を併用する場合は、前記複数種の光重合性化合物全体の含有量)としては、三次元造形材全体に対して、例えば70質量%以上96質量%以下が挙げられ、80質量%以上96質量%以下が好ましい。
【0098】
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、光照射によって、光重合性化合物の光重合反応を開始させる活性種(例えば、ラジカル、カチオン等)を発生する化合物であり、本実施形態では活性種としてラジカルを発生するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、アシル基の炭素原子とホスフィンオキサイド基のリン原子とが直接結合した化合物であり、光を吸収することで上記炭素原子とリン原子との結合が解離してラジカルが発生する。
【0099】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の具体例としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(BASF社製、IRGACURE TPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、IRGACURE 819)などが挙げられる。
以下、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドを「TPO」ともいい、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドを「BAPO」ともいう。
TPO及びBAPOの少なくとも一種を含む三次元造形材を収容した従来の三次元造形装置を用いて製造された三次元造形物は、特に経時的な黄変が起こりやすい。しかし、前述の通り、上記三次元造形材を収容し吐出する吐出部と前記第1の可視光照射部とを備えた三次元造形装置であれば、経時的な黄変が抑制された三次元造形物が得られる。
【0100】
三次元造形材全体に対するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量としては、例えば1質量%以上5質量%以下が挙げられ、2質量%以上4質量%以下が好ましく、3質量%以上4質量%以下がより好ましい。
特に、TPO及びBAPOの合計含有量が三次元造形材全体に対し3質量%以上である三次元造形材を収容した従来の三次元造形装置を用いて製造された三次元造形物は、経時的な黄変が起こりやすい。しかし、前述の通り、上記三次元造形材を収容し吐出する吐出部と前記第1の可視光照射部とを備えた三次元造形装置であれば、経時的な黄変が抑制された三次元造形物が得られる。
【0101】
なお、光重合開始剤として、その他の光重合開始剤(つまり、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤以外の光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤)を併用してもよい。
その他の光重合開始剤のうち、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤以外の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−アルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。
また、その他の光重合開始剤のうち、光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(ジアリールヨードニウム塩等)、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム塩等)、鉄アレーン錯体、有機ポリハロゲン化合物等が挙げられる。
その他の光重合開始剤の含有量としては、例えば、三次元造形材全体に対し2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0102】
(その他の成分)
−着色剤−
三次元造形材は、必要に応じて、その他の成分として着色剤を含んでもよいし、
なお、後述するように、三次元造形材としては、例えば、無色透明の三次元造形材、又は白色の三次元造形材が挙げられる。
三次元造形材が無色透明である場合、三次元造形材は、着色剤を含まないか、又は着色剤の含有量が三次元造形材全体に対し0.1質量%以下(より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下)であることが好ましい。
【0103】
また、三次元造形材が白色である場合、三次元造形材が白色の着色剤を含むことが好ましい。
白色の着色剤としては、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、カオリン、タルク等の白色顔料が挙げられる。
三次元造形材が白色である場合における三次元造形材全体に対する白色の着色剤の含有量としては、例えば、0.01質量%以上50質量%以下が挙げられ、0.05質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
また、白色である三次元造形材は、白色以外の着色剤を含まないか、又は白色以外の着色剤の含有量が三次元造形材全体に対し0.1質量%以下(より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下)であることが好ましい。
白色以外の着色剤としては、例えば、黄色の着色剤、マゼンタ色の着色剤、シアン色の着色剤、黒色の着色剤等が挙げられる。白色以外の着色剤の具体的としては、例えば、アゾレーキ顔料等のアゾ顔料、アゾ染料、フタロシアニン顔料等の多環式顔料、ニトロ顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料などが挙げられる。
【0104】
−重合禁止剤−
三次元造形材は、必要に応じて、重合禁止剤を含んでもよい。
重合禁止剤としては、例えば、フェノール系重合禁止剤(例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等)、ヒンダードアミン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン等の周知の重合禁止剤が挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対し、例えば0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がより好ましい。
なお、重合禁止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0105】
−界面活性剤−
三次元造形材は、必要に応じて、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の周知の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、三次元造形材全体に対して、0.05質量%以上15質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
なお、界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0106】
−酸素捕捉剤−
三次元造形材は、必要に応じて、酸素捕捉剤を含んでもよい。
酸素捕捉剤としては、例えば、アミン系酸素捕捉剤、有機リン系酸素捕捉剤等が挙げられる。
アミン系酸素捕捉剤とは、アミノ基を有する酸素捕捉剤であり、例えば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル等が挙げられる。
有機リン系酸素捕捉剤とは、リン原子を有する酸素捕捉剤であり、例えば、トリフェニルホスフィン(TPP)、トリエチルホスファイト(TEP)等が挙げられる。
三次元造形材が酸素捕捉剤を含む場合、酸素捕捉剤の含有量は、光重合開始剤100質量部に対して3質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上25質量部以下がより好ましい。
なお、酸素捕捉剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0107】
−光増感剤−
三次元造形材は、光増感剤を含んでもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン、チオキサントン、などが挙げられる。
光増感剤を用いる場合、三次元造形材全体に対する光増感剤の含有量としては、例えば0.1質量%以上10質量%以下が挙げられ、三次元造形物の硬度制御の観点から0.2質量%以上5質量%以下が好ましく、0.3質量%以上3質量%以下がより好ましい。
【0108】
−その他−
三次元造形材が含んでもよい上記以外のその他の成分としては、例えば、溶剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、分散剤、重合促進剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)等の周知の添加剤が挙げられる。
【0109】
(三次元造形材の特性)
三次元造形材は、無色透明又は白色であることが好ましく、無色透明又は白色で半透明であることがより好ましい。
無色透明又は白色の三次元造形材を収容した従来の三次元造形装置を用いて製造された三次元造形物は、特に経時的な黄変が視認されやすい。しかし、前述の通り、無色透明又は白色の三次元造形材を用いても、三次元造形材を収容し吐出する吐出部と前記第1の可視光照射部とを備えた三次元造形装置であれば、経時的な黄変自体が抑制された三次元造形物が得られる。
特に、白色で半透明の三次元造形材を収容した従来の三次元造形装置を用いて製造された三次元造形物は、経時的な黄変が視認しやすいことに加え、黄変が生じた後に後処理として430nm〜500nmの波長の光を照射しても三次元造形物の内部にまで光が到達しにくい。しかし、三次元造形材を収容し吐出する吐出部と前記第1の可視光照射部とを備えた三次元造形装置であれば、黄変を抑制させながら硬化させたものを積層することで三次元造形物を形成するため、経時的な黄変自体が抑制された三次元造形物が得られる。
【0110】
ここで、「無色透明」とは、光路長を4mmとした場合の波長380nm以上780nm以下の光の透過率が80%以上であることを意味する。また、「半透明」とは、光路長を4mmとした場合の波長380nm以上780nm以下の光の透過率が60%以上80%未満であることを意味する。
なお、上記透過率は、分光光度計を用い、測定試料の光路長及び透過率を測定し、Beer−Lambert(ベール−ランバート)の法則に基づき光路長を補正することにより算出される。
また、「白色」とは、CIE1976L*a*b*表色系において、明度L*が65以上、色相a*が−4以上1以下、かつ、色相b*が−10以上7以下であることを意味する。上記明度L*、色相a*、及び色相b*は、エックスライト社製X−Rite939(アパーチャー径4mm)を用いて測定された値である。
【0111】
三次元造形材が無色透明である場合、光路長を4mmとした場合の波長380nm以上780nm以下の光の透過率は、83%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。また、三次元造形材が白色で半透明である場合、光路長を4mmとした場合の波長380nm以上780nm以下の光の透過率は、63%以上78%以下が好ましい。
また、三次元造形材が白色である場合、上記明度L*は70以上が好ましく、上記色相a*は−3以上0.8以下が好ましく、上記色相b*は−8以上5以下が好ましい。
【0112】
三次元造形材の粘度は、例えば3mPa・s以上100mPa・s以下の範囲が挙げられ、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましい。
ここで、粘度は、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は55℃、せん断速度は1400s
−1の条件で測定した値である。
【0113】
三次元造形材の表面張力は、例えば18mN/m以上70mN/m以下の範囲が挙げられ、20mN/m以上40mN/m以下が好ましい。
ここで、表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値である。
【0114】
<サポート材>
サポート材は、必要に応じて用いられ、特に制限はなく、公知のサポート材が用いられる。サポート材としては、例えば、400nm以上430nm以下の波長の可視光の照射により硬化し、かつ、硬化後における除去がしやすい材料が挙げられ、具体的には、例えば、上記三次元造形材に含まれる成分と、可塑剤と、を含む材料が挙げられる。
【0115】
可塑剤としては、水、非放射線硬化型ポリマー等が挙げられる。非放射線硬化型ポリマーは、放射線(例えば、紫外線、電子線)により、硬化(重合)反応が生じないポリマーである。
非放射線硬化型ポリマーとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ひまし油ポリオール、及びポリエステルポリオールが挙げられる。非放射線硬化型ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
非放射線硬化型ポリマーの重量平均分子量としては、200以上1000以下が好ましく、250以上850以下がより好ましい。
非放射線硬化型ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
可塑剤の含有量は、例えば、サポート材全体に対して、25質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましく、35質量%以上50質量%以下がより好ましい。
【0116】
サポート材の表面張力は、20mN/m以上40mN/m以下の範囲が好ましく挙げられる。
また、サポート材の粘度は、30mPa・s以上50mPa・s以下の範囲が好ましく挙げられる。
【実施例】
【0117】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0118】
<三次元造形材の調製>
(三次元造形材1の調製)
下記表1に記載の各成分を混合し、三次元造形材を調製した。
なお、表1中の数値は、該当する成分の含有量(質量部)を意味する。
【0119】
【表1】
【0120】
表1中に記載の略語は下記のとおりである。
・U−15HA:光重合性化合物(ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量:2300)、新中村化学工業(株)製
・U−200PA:光重合性化合物(ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル系ウレタンアクリレート、重量平均分子量:2700)、新中村化学工業(株)製
・UA−4200:光重合性化合物(ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエーテルウレタンアクリレート、重量平均分子量:1000)、新中村化学工業(株)製
・VEEA−AI:光重合性化合物(化合物名:2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート)(株)日本触媒製
・BAPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(製品名:Irgacure 819、化合物名:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、BASF社製
【0121】
・MEHQ:重合禁止剤(化合物名:4−メトキシフェノール)、和光純薬工業製
・KAYACURE EPA:酸素捕捉剤(化合物名:p−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルエステル)、日本化薬社製
・TEGO Rad2011:シリコーン系界面活性剤、エボニック社製
・SF White 分散体:着色剤(酸化チタンのイソボルニルアクリレート分散体、顔料濃度:40質量%)、山陽色素社製
【0122】
<三次元造形装置の作製>
(三次元造形装置1の作製:実施例1)
三次元造形装置1として、
図1に示す三次元造形装置101を製造した。
具体的には、三次元造形材吐出ヘッド12として富士フィルムダイマティックス社製 Polarisヘッド(型番:PQ512/85)を用い、光照射装置16としてウシオ電機社製発光ダイオード(型番:E110 II HD、波長:405nm、発光強度:7W/cm
2)を用いた。
また、三次元造形材カートリッジ30に、三次元造形材30Aとして上記三次元造形材1を収容し、サポート材32Aは用いなかった。
なお、三次元造形装置101は、吐出ヘッド(三次元造形材吐出ヘッド12)と光源(光照射装置16)が共に往復運動する方式であり、一度の走査(スキャン)毎に厚み20μmの造形材層の積層と光照射による硬化処理を行い、形成を行う装置とした。また、三次元造形材30Aは、遮光条件下、保存タンクから送液ポンプによりサンゴバン社製Tygon 2375耐薬チューブを経由し、日本ポール製 プロファイル・スター A050フィルター(ろ過精度5μm)を通過させ、異物を除去した後に三次元造形材吐出ヘッドへ送液する仕組みとした。
【0123】
(三次元造形装置2の作製:実施例2)
三次元造形装置2として、
図5に示す三次元造形装置102を製造した。光照射装置18としてシーシーエス社製発光ダイオード(型番:LDL2−266X30GR、波長:525nm、発光強度:67mW/cm
2)を用いた以外は、三次元造形装置1と同様のものとした。
【0124】
(三次元造形装置3の作製:実施例3)
三次元造形装置3として、
図6に示す三次元造形装置103を製造した。光照射装置19としてカンタムエレクトロニクス社製発光ダイオード(型番:UV−4H−365H−100/5C、波長:365nm、発光強度:2100mW/cm
2)を用いた以外は、三次元造形装置1と同様のものとした。
【0125】
(三次元造形装置C1の作製:比較例1)
三次元造形装置C1として、光照射装置16の代わりにカンタムエレクトロニクス社製発光ダイオード(型番:UV−4H−365H−100/5C、波長:365nm、発光強度:7W/cm
2)を用いた以外は、三次元造形装置1と同様の三次元造形装置を製造した。
【0126】
<三次元造形物の作製>
得られた三次元造形装置1〜3及びC1を用い、ぞれぞれ、三次元造形物1〜3及びC1を作製した。なお、得られた三次元造形物1〜3及びC1はいずれも、50mm×50mm×厚み20μmの層を200層積層し、合計厚みが4mmとなった三次元造形物である。
【0127】
<三次元造形物の評価>
各三次元造形装置を用いて作製された三次元造形物(三次元造形物1〜3及びC1)に対し、サンテストCPS+(ATLAS(株)社製;光源:1500Wキセノン空冷ランプ、放射照度100klx、ブラックスタンダード温度42℃、ランプフィルタ:B(屋外直射光))により擬似太陽光を8時間照射し、経時的な黄変の有無及び度合いを目視で観察し、評価した。
その結果、三次元造形物C1においては黄変が確認されたのに対し、三次元造形物1〜3のいずれも黄変が確認されなかった。
【0128】
なお、黄変が確認された三次元造形物C1に対して、シーシーエス社製発光ダイオード(型番:PJ−1505−2CA、波長:470nm、発光強度:67mW/cm
2)を4時間照射したところ、三次元造形物C1の外周面における黄変は消失したが、内部における黄変は消失しきれずに残った。
【0129】
以上の結果から、実施例の三次元造形装置(三次元造形装置1〜3)では、比較例の三次元造形装置(三次元造形装置C1)に比べ、経時的な黄変が抑制された三次元造形物が得られることがわかる。