(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の発光素子からなる発光素子マトリクスが複数配設され、異なった発光素子マトリクスが異なった画素に対して割り当てられており、前記発光素子マトリクス毎にそのうちの一部の発光素子を点灯し、その出射光を集光手段にて感光体表面上に集光させることによって1画素分ずつ露光する光書き込み装置であって、
発光素子マトリクスの、少なくとも一部の発光素子を点灯して露光位置を検出する検出手段と、
前記検出手段が点灯した発光素子について、検出した露光位置と正規の画素位置との位置ずれ量を算出する算出手段と、
前記検出手段が点灯した発光素子と、前記算出手段が算出した位置ずれ量とから、前記発光素子マトリクスを構成する複数の発光素子のうち、前記正規の画素位置を露光することができる発光素子を特定する特定手段と、
特定された発光素子を点灯して露光を行う露光手段と、を備える
ことを特徴とする光書き込み装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る光書き込み装置及び画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施の形態に係る光書き込み装置及び画像形成装置は、複数の発光素子を格子状に配列した発光素子マトリクスを用いて各画素の静電潜像を形成する装置であって、テスト画像を形成、撮像して、画素形成位置のずれを検出し、検出した位置ずれに応じて発光素子マトリクス中の発光させる発光素子を選択することによって位置ずれを抑制する。
[1]画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置1は、所謂タンデム方式のカラープリンターであって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)各色のトナー像を形成する画像形成ステーション110Y、110M、110C及び110Kを備えている。画像形成ステーション110Y、110M、110C及び110Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kを有している。
【0024】
感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの周囲には外周面に沿って順に帯電装置102Y、102M、102C及び102K、光書き込み装置100Y、100M、100C及び100K、現像装置103Y、103M、103C及び103K、1次転写チャージャー104Y、104M、104C及び104K及びクリーニング装置105Y、105M、105C及び105Kが配設されている。
【0025】
帯電装置102Y、102M、102C及び102Kは感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面を一様に帯電させる。光書き込み装置100Y、100M、100C及び100Kは、感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面を露光して静電潜像を形成する。
【0026】
現像装置103Y、103M、103C及び103KはYMCK各色のトナーを供給して静電潜像を現像し、YMCK各色のトナー像を形成する。1次転写チャージャー104Y、104M、104C及び104Kは感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kが担持するトナー像を中間転写ベルト106へ静電転写する(1次転写)。
【0027】
クリーニング装置105Y、105M、105C及び105Kは、1次転写後に感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面上に残留する電荷を除電すると共に残留トナーを除去する。なお、以下において、画像形成ステーション110Y、110M、110C及び110Kに共通する構成について説明する際にはYMCKの文字を省略する。
【0028】
中間転写ベルト106は、無端状のベルトであって、2次転写ローラー対107及び従動ローラー108、109に張架されており、矢印B方向に回転走行する。この回転走行に合わせて1次転写することによって、YMCK各色のトナー像が互いに重ね合わされカラートナー像が形成される。中間転写ベルト106はカラートナー像を担持した状態で回転走行することによって、カラートナー像を2次転写ローラー対107の2次転写ニップまで搬送する。
【0029】
2次転写ローラー対107を構成する2つのローラーは互いに圧接されることによって2次転写ニップを形成する。これらのローラー間には2次転写電圧が印加されている。中間転写ベルト106によるカラートナー像の搬送にタイミングを合わせて給紙トレイ120から記録シートSが供給されると、2次転写ニップにおいてカラートナー像が記録シートSに静電転写される(2次転写)。
【0030】
記録シートSは、カラートナー像を担持した状態で定着装置130まで搬送され、カラートナー像を熱定着された後、排紙トレイ140上へ排出される。インラインセンサー160は、CCD(Charge Coupled Device)カメラであって、定着装置130から排出口161に至る記録シートSの搬送経路上に配設されており、記録シートSに定着されたトナー像を撮像して、画像データを生成する。
【0031】
画像形成装置1は、更に制御部150を備えている。制御部150は、PC(Personal Computer)等の外部装置から印刷ジョブを受け付けると、画像形成装置1の動作を制御して画像形成を実行させる。画像形成の際には、インラインセンサー160が生成した画像データを参照することによって、濃度むらを抑制する。
[2]光書き込み装置100の構成
次に、光書き込み装置100の構成について説明する。
【0032】
図2(a)に示すように、光書き込み装置100は、発光基板200とマイクロレンズアレイ201とを保持部材202で保持する構成になっており、発光基板200の出射光Lをマイクロレンズアレイ201によって感光体ドラム101の外周面上に集光する。なお、光書き込み装置100と画像形成装置1の他の装置とを接続するためのケーブル等については図示を省略した。
【0033】
発光基板200は、
図2(b)に示すように、ガラス基板210、封止板211及びドライバーIC(Integrated Circuit)212等を備えている。ガラス基板210上にはTFT(Thin Film Transistor)回路214が形成されており、15,000個の発光素子マトリクス(図示省略)が主走査方向に沿って21.2μmピッチ(1200dpi)で対応するマイクロレンズ毎に千鳥配列されている。
【0034】
また、ガラス基板210の発光素子マトリクスが配設された基板面は封止領域となっており、スペーサー枠体213を挟んで封止板211が取着されている。これによって、封止領域が、外気に触れないように乾燥窒素等を封入した状態で、封止される。なお、吸湿のため、封止領域内に吸湿剤を併せて封入しても良い。なお、封止板211は、例えば、封止ガラスであっても良いし、ガラス以外の材料からなっていても良い。
【0035】
ガラス基板210の封止領域外にはドライバーIC212が実装されている。制御部150のASIC(Application Specific Integrated Circuit)220はフレキシブルワイヤー221を経由してドライバーIC212にデジタル輝度信号を入力する。ドライバーIC212はデジタル輝度信号をアナログ輝度信号(以下、単に「輝度信号」という。)に変換して発光素子マトリクス毎の駆動回路に入力する。駆動回路は輝度信号に応じて発光素子マトリクスの駆動電流を生成する。なお、本実施の形態において、輝度信号は電圧信号である。
[3]TFT回路214
次に、TFT回路214の構成について説明する。
【0036】
図3に示すように、TFT回路214においては、15,000個の発光素子マトリクス320が100個ずつ、150個の発光ブロック302に組分けられている。本実施の形態においては、1個の発光素子マトリクス320は100個の発光素子を含み、各発光素子がOLED(Organic Light Emitting Diode)である場合を例にとって説明するが、発光素子は半導体LED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0037】
ドライバーIC212には150個の電流DAC(Digital to Analogue Converter)300が内蔵されている。電流DAC300はデジタル制御可能な可変電流源であって、それぞれ発光ブロック302と1対1に対応している。発光ブロック302は主走査方向に配列されている。マイクロレンズアレイ201を構成するマイクロレンズと発光素子マトリクス320とは1対1に対応しており、1つの発光素子マトリクス320に含まれる発光素子の出射光は何れも1つのマイクロレンズによって感光体ドラム101の外周面上に集光される。
【0038】
電流DAC300から発光ブロック302に向かう各回路上には選択回路301が配設されている。更に、ドライバーIC212から選択回路301へ向かう回路上にはリセット回路303が接続されている。各電流DAC300は、配下の100個の発光素子マトリクス320に対して、所謂ローリング駆動によって順次、輝度信号を出力する。1個の電流DAC300は、1対1に対応する発光ブロック302に含まれる100個の発光素子マトリクス320によって時間共有されている。
【0039】
図4に示すように、発光ブロック302は100個の発光画素回路からなっており、各発光画素回路は、キャパシター321、駆動TFT322及び発光素子マトリクス320を1つずつ有している。また、選択回路301はシフトレジスター311と100個の選択TFT312とを備えており、リセット回路303は、リセットTFT340を備えている。
【0040】
シフトレジスター311は、100個の選択TFT312それぞれのゲート端子に接続されており、主走査期間ごとに選択TFT312を順次オンする。選択TFT312のソース端子は、書き込み配線330を介して、電流DAC300に接続されており、ドレイン端子はキャパシター321の第1の端子並びに駆動TFT322のゲート端子に接続されている。
【0041】
シフトレジスター311が選択TFT312をオンすると、電流DAC300の出力電流がキャパシター321の第1の端子へ流れて、キャパシター321に電荷が蓄積される。キャパシター321に蓄積された電荷は、リセット回路303によってリセットされるまで保持される。
【0042】
キャパシター321の第1の端子は、駆動TFT322のゲート端子にも接続されており、キャパシター321の第2の端子は駆動TFT322のソース端子並びに電源配線331に接続されている。駆動TFT322のドレイン端子にはスイッチ401の一方の端子が接続されており、スイッチ401の他方の端子は発光素子マトリクス320のアノード側端子が接続され、発光素子マトリクス320のカソード側端子は接地配線332に接続されている。接地配線332は接地端子GNDに接続されており、電源配線331は定電圧源Vpwrに接続されている。
【0043】
定電圧源Vpwrは、発光素子マトリクス320に供給される駆動電流の供給源となっており、駆動TFT322は、キャパシター321の第1、第2の端子間に保持される輝度信号(電圧信号)をゲート−ソース電圧Vgsとして印加されることによって、輝度信号に応じた電流量の駆動電流を発光素子マトリクス320に供給する。
【0044】
例えば、キャパシター321にHに相当する輝度信号が書き込まれると、駆動TFT322がオンして、発光素子マトリクス320が発光する。また、キャパシター321にLに相当する輝度信号が書き込まれると、駆動TFT322はオフして、発光素子マトリクス320は発光しない。キャパシター321に書き込まれた輝度信号は、次の輝度信号が書き込まれるか、またはリセットTFT340がオンされるまで保持される。
【0045】
リセットTFT340をオンすると電流DAC300からキャパシター321に至る配線がリセット電位にリセットされる。リセット電位は、Vdd電位であっても接地電位であってもよく、適切な電位を選択すればよい。また、本実施の形態においては、リセット状態で発光素子マトリクス320が発光しない場合について説明するが、リセット状態で発光素子マトリクス320が発光する構成としても良い。
【0046】
なお、本実施の形態においては、駆動TFT322がpチャンネルである場合を例にとって説明しているが、nチャンネルの駆動TFT322を用いても良いことは言うまでも無い。
【0047】
また、本実施の形態においては、リセット回路303をドライバーIC212とは別途設けて、ドライバーIC212の制御下におく構成としたが、これに代えて、リセット回路303をドライバーIC212に内蔵してもよい。また、リセット時と書込時で電流DACが出力する電流の極性を変えることによってリセット回路303の機能を実現してもよい。また、リセットTFT340に代えて、TFT以外のスイッチング素子を用いても良い。
[4]ドライバーIC212
次に、ドライバーIC212について説明する。
【0048】
図5に示すように、ドライバーIC212は、点灯制御部510及び点灯制御テーブル520を備えており、点灯制御テーブル520は15,000個の発光素子マトリクス320毎に点灯制御データを記録している。点灯制御部510は、発光素子マトリクス320毎に点灯制御テーブル520に記録されている点灯制御データを参照して、発光させるべき発光素子を指示する。
[5]発光素子マトリクス320
次に、発光素子マトリクス320について説明する。
【0049】
図6に示すように、発光素子マトリクス320は10行10列に配列された100個の発光素子600と、選択部601の制御の下、発光素子600ごとに通電の有無を切り替える100個のスイッチ602を備えている。
【0050】
発光素子マトリクス320は、アノード端子Aから列毎の10本のアノード配線603が分枝しており、各アノード配線603にはそれぞれ10個のスイッチ602の一方の端子が接続されている。また、各アノード配線603のアノード端子Aとは反対側の端部は隣り合う列のアノード配線603の端部に接続されている。
【0051】
列ごとの10個のスイッチ602の他方の端子はそれぞれ発光素子600のアノード端子に接続されている。発光素子600のカソード端子はカソード配線604に接続されている。各スイッチ602は、制御配線605を経由して制御信号を受け付けて、選択部601にオンオフ制御されることによって、発光素子600が点灯制御される。点灯時には、発光素子600は、アノード端子Aに供給される駆動電流量に応じた発光量で発光する。
【0052】
また、発光素子マトリクス320全体としては、ドライバーIC212が画像データ(ビデオ信号)に応じてスイッチ401をオンオフ制御することによって点灯制御される。
【0053】
図7に示すように、発光素子マトリクス320は、TFT回路214上で千鳥状に配列されている。1つの発光素子マトリクス320を構成する100個の発光素子600は、当該発光素子マトリクス320に対応するマイクロレンズと同じ大きさの円形領域701内に収まるように、10行10列の格子状に配列されている。
【0054】
カソード配線604は、アノード配線603と同様に、列ごとに設けられており、カソード端子Cから分枝している。各カソード配線604のカソード端子Cとは反対側の端部は隣り合う列のカソード配線604の端部に接続されている。
【0055】
なお、カソード配線604を共通のカソード端子Cに接続するのに代えて、カソード配線604毎に個別にカソード端子Cを設けてもよい。また、アノード配線603にスイッチ602を接続し、発光素子600をカソード配線604に接続するのに代えて、アノード配線603に発光素子600を接続し、スイッチ602をカソード配線604に接続してもよい。
【0056】
図8(a)に示すように、発光素子マトリクス320の配線パターンは、平面視において、アノード電極801に被覆された発光素子600の行方向と列方向とが何れも主走査方向に対して傾斜したパターンになっている。行方向が副走査方向に直交し、列方向が主走査方向に直交している場合には、発光素子600の行間や列間が白スジとして視認される恐れがあるが(
図9(a))、行方向が副走査方向に斜交し、列方向が主走査方向に斜交していれば白スジを低減することができる(
図9(b))。
図8(a)の例では、傾斜角度が45度になっているが、45度以外であってもよい。
【0057】
図8(b)に示すように、
図8(a)のD−D線における断面を見ると、ガラス基板210上にTFT回路214が形成されている。TFT回路214のうち、カソード電極810は遮光性のアルミニウム配線である。カソード配線810上には絶縁膜811と発光素子600とが形成されており、発光素子600上にはアノード電極801が形成されている。
【0058】
アノード電極801は透光性のITO(Indium Tin Oxide)膜からなっており、発光素子600の出射光はアノード電極801を透過して、マイクロレンズアレイ201へ向かう。アノード電極801はアノード配線603を経由して駆動電流を受け付ける。
[6]マイクロレンズアレイ201
次に、マイクロレンズアレイ201の構成について説明する。
【0059】
本実施の形態において、マイクロレンズアレイ201は保持部材202よりも線膨張係数の大きな材料からなっており、環境温度が上昇または下降すると、マイクロレンズアレイ201と保持部材202との間で線膨張差が発生する。マイクロレンズアレイ201と保持部材202とは主走査方向において長尺になっているので、線膨張差も主走査方向において特に大きくなる。
【0060】
また、マイクロレンズアレイ201よりも保持部材202の方が肉厚になっており剛性が高く変形し難い。このため、保持部材202よりもマイクロレンズアレイ201の方が、線膨張差の発生によって変形し易くなっている。
【0061】
図2(a)に示すように、マイクロレンズアレイ201の光源基板200側は保持部材202に固定されているので熱膨張が抑制されるのに対して、感光体ドラム101側は保持部材に固定されていないので熱膨張が抑制されない。このため、マイクロレンズアレイ201は、熱膨張によって感光体ドラム101側へ湾出するように歪むことになる。
【0062】
図10(a)に示すように、マイクロレンズアレイ201は所謂テレセントリック光学系になっており、発光基板200に近い方から順にG1レンズ1010、絞り1020及びG2レンズ1030が配設されている。G1レンズ1010及びG2レンズ1030は樹脂材料またはガラス材料からなる透明な部材である。
【0063】
G1レンズ1010は平板状部材1012の両主面に平凸レンズを固着したものであり、G2レンズ1030は平板状部材1032の発光基板200側の主面に平凸レンズを固着したものである。平凸レンズは球面状であってもよいし、非球面状であってもよい。
【0064】
図10(b)に示すように、G1レンズ1010においては、15,000個のマイクロレンズ1011が3行×5,000列の千鳥状に配列されている。各マイクロレンズ1011は、2枚の平凸レンズを組み合わせることによって両凸レンズとして機能し、光軸方向から見て重なる位置にある発光素子マトリクス320からの出射光を屈折させる。
【0065】
G2レンズ1030においても、G1レンズ1010と同様に、15,000個のマイクロレンズ1031が3行×5,000列の千鳥状に配列されており、各マイクロレンズ1031は光軸方向から見て重なる位置にある発光素子マトリクス320からの出射光を屈折させる。ただし、G2レンズ1030を構成するマイクロレンズ1031は平凸レンズである。
【0066】
G1レンズ1010は主走査方向におけるマイクロレンズ1011が設けられている箇所が肉厚になっており、マイクロレンズ1011が設けられていない箇所は相対的に肉薄になっている。このため、マイクロレンズ1011が設けられている箇所よりも設けられていない箇所の方が、剛性が低く変形し易い。
【0067】
G2レンズ1030についてもG1レンズ1010と同様に、主走査方向におけるマイクロレンズ1031が設けられている箇所が肉厚になっており、マイクロレンズ1031が設けられていない箇所は相対的に肉薄になっている。このため、マイクロレンズ1031が設けられている箇所よりも設けられていない箇所の方が、剛性が低く変形し易い。
【0068】
図10(c)に示すように、絞り1020は、樹脂や金属などの遮光性を有する材料からなる平板状部材であって、各150個のマイクロレンズ1011、1031に1対1に対応する15,000個の貫通孔1021が設けられている。発光素子320の出射光は、G1レンズ1010のマイクロレンズ1011を通過した後、絞り1020によって貫通孔1021に入射した部分のみがG2レンズ1030のマイクロレンズ1031へ進み、他の部分は遮光される。
【0069】
マイクロレンズアレイ201並びに発光基板200は、塵埃等が発光素子320の出射光を遮らないようにするために、不図示のカバーによって覆われている。
[7]制御部150の構成
次に、制御部150の構成について説明する。
【0070】
図11に示すように、制御部150は、CPU(Central Processing Unit)1101、ROM(Read Only Memory)1102、RAM(Random Access Memory)1103等を備えており、画像形成装置1に電源が投入されると、CPU1101はROM1102からブートプログラムを読み出して起動し、RAM1103を作業用記憶領域として、HDD(Hard Disk Drive)1104から読み出したOS(Operating System)や制御プログラムを実行する。
【0071】
NIC(Network Interface Card)1105は、LAN(Local Area Network)等の通信網を経由してPC(Personal Computer)等の外部装置と通信するために用いられる。制御部150は、外部装置から印刷ジョブを受け付けると画像形成装置1の各部を制御して印刷ジョブに応じた画像形成処理を実行する。
【0072】
この場合において、制御部150は、感光体ドラム駆動モーター1111を制御して、感光体ドラム101を回転駆動しながら、感光体ドラム101の外周面を帯電装置102によって一様に帯電させ、光書き込み装置100によって露光し、現像装置103によって現像する。なお、制御部150はASIC220を内蔵しており、ASIC220を介して光書き込み装置100の動作を制御する。
【0073】
制御部150は、電流DAC300が出力する輝度信号値を指定することによって、発光素子320ごとの発光量を制御することができる。輝度信号値もまたASIC220を介して光書き込み装置100に指示される。このため、制御部150は発光素子320ごとに電流DAC300が出力すべき輝度信号値をHDD1104に記憶している。
【0074】
更に、制御部150は、感光体ドラム101の回転駆動に合わせて、2次転写ローラー対駆動モーター1112を制御し、2次転写ローラー対107を回転駆動する。これによって、中間転写ベルト106が回転走行する。制御部150は1次転写チャージャー104に1次転写電圧を印加して、感光体ドラム101の外周面上から中間転写ベルト106の外周面上へトナー像を静電転写する。
【0075】
制御部150は、定着ローラー駆動モーター1113を制御して、定着装置130の定着ローラー131を回転駆動しながら、定着ヒーター132を昇温させることによって、記録シートSにカラートナー像を熱定着する。
【0076】
制御部150は、インラインセンサー160にて記録シートSの先頭を検出すると、記録シートに熱定着されたトナー像を読み取る。これによって、デジタル画像データが生成され、HDD1104に記録される。
[8]発光素子マトリクス320の点灯制御
次に、発光素子マトリクス320を構成する各発光素子600の点灯制御について説明する。
【0077】
制御部150は、発光素子マトリクス320の点灯制御に先立って、記録シートSに所定のテスト画像を形成し、当該テスト画像をインラインセンサー160で撮像することによってテスト画像データを生成する。このテスト画像データを用いて、制御部150は発光素子マトリクス320の点灯制御を行うための点灯制御データを生成する。
【0078】
本実施の形態においては、発光素子マトリクス320に含まれる100個の発光素子600のうち、4行4列の発光領域に含まれる16個の発光素子600を点灯させる。この発光領域の中心位置を点灯制御データとしてHDD1104に記録する。
(8−1)点灯制御データの生成処理
点灯制御データを生成する際には、制御部150は、
図12に示すように、まず、テスト画像データをHDD1104から読み出す(S1201)。テスト画像データは、YMCKの色毎に主走査方向に延びる点線を描かせるもので、例えば
図13に示すように、1ドットおきに1画素を描く2本の点線を、点線どうしで始点を主走査方向へ1画素ずらし、副走査方向に間隔を1ラインおいて描くことによって、すべての画素について画像形成位置を検出するものである。
【0079】
このようにすれば、隣り合う画素どうしが重なり合うことがないので、画素ごとに形成位置を精度よく検出することができる。なお、テスト画像を形成する際には、
図14(b)に示すように、発光素子マトリクス320の中心1412を中心とする4行4列の発光領域1415に含まれる16個の発光素子600を発光させる。
【0080】
このようなテスト画像データを用いて制御部150はテスト画像を形成して(S1202)、インラインセンサー160を用いてテスト画像を撮像し(S1203)、得られた画像データから個々の画素の位置を特定し、位置ずれがない場合の画素形成位置と比較して、位置ずれベクトルを算出する(S1204)。
【0081】
具体的には、
図14(a)に示すように、検出した画素領域1401の重心位置1402を算出して、位置ずれがない場合に検出されるべき重心位置1403から算出した重心位置1402に向かう位置ずれベクトル1404を求める。
【0082】
次に、
図14(b)に示すように、位置ずれベクトル1404の符号を反転した補正ベクトル1411を求め、10行10列の発光素子マトリクスの中心1412を起点とする補正ベクトル1411の先端を新たな中心1413とする4行4列の領域1414を新たな発光領域とする。このようにすれば、画素形成位置の位置ずれ補正することができる。
【0083】
この新たな中心1413を新たな点灯制御データとしてHDD1104に記録する(S1205)。点灯制御データは発光素子マトリクス320毎に15,000個記録される。
(8−2)点灯制御処理
画像形成処理を実行する際には、制御部150は、HDD1104から発光素子マトリクス320毎に点灯制御データを読み出して、ドライバーIC212に発光領域を指示する。ドライバーIC212は、選択部601に指示して、点灯制御データにて指定された位置を中心とする4行4列の発光領域に含まれる16個の発光素子600についてスイッチ602をオンさせ、他の発光素子600についてはスイッチ602をオフさせる。
【0084】
このようにすれば、マイクロレンズアレイ201の歪みに起因する画素形成位置のずれを抑制することができる。なお、光書き込み装置100からインラインセンサー160に至るトナー像の搬送経路上において、マイクロレンズアレイ201の歪み以外の原因によって生じる画素形成位置のずれも同様に抑制することができる。
[9]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(9−1)上記実施の形態においては、発光素子マトリクス320において発光素子600毎にスイッチ602を設ける構成を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次にようにしてもよい。
【0085】
図15に示すように、本変形例に係る発光素子マトリクス320は、アノード端子Aから行ごとの10本の行配線1513が分枝しており、各行配線1513には互いに同じ行に配置されている10個の発光素子600のアノード端子が接続されている。各行配線1513にはスイッチ1512が設けられており、10個の発光素子600とアノード端子Aとの間の接続を入り切りする。行選択部1510は、ドライバーIC212からの制御信号に応じて、制御配線1511を介してスイッチ1512のオンオフ状態を切り替える。
【0086】
また、カソード端子Cからは列ごとの10本の列配線1523が分枝しており、各列配線1523には互いに同じ列に配置されている10個の発光素子600のカソード端子が接続されている。各列配線1523にはスイッチ1522が設けられており、10個の発光素子600とアノード端子Aとの間の接続を入り切りする。列選択部1520は、ドライバーIC212からの制御信号に応じて、制御配線1521を介してスイッチ1522のオンオフ状態を切り替える。
【0087】
このようにしても、矩形状の発光領域を指定することができるので、マイクロレンズアレイ201の歪みに応じて、発光素子マトリクス320の発光状態を制御することによって画素形成位置の位置ずれを抑制することができる。
【0088】
図16(a)に示すように、発光素子マトリクス320の配線パターンは、平面視において、アノード電極801に被覆された発光素子600の行方向と列方向とが何れも主走査方向に対して傾斜したパターンになっている。発光素子マトリクス320を構成する100個の発光素子600の面積は互いに等しくなっており、従って、感光体ドラム101の外周面上における露光面積も互いに等しく、記録シートS上に形成されるトナー像の面積も互いに等しくなっている。
【0089】
このようにすれば、発光領域を変更しても、発光素子マトリクス320あたりの駆動電流量を変更することなく、所期の光量を得ることができる。また、発光素子600の形状もまた互いに等しくなっているので、感光体ドラム101の外周面上における露光領域の形状も互いに等しく、記録シートS上に形成されるトナー像の形状も互いに等しくなっており、発光領域を変更しても、1画素あたりのビーム径が等しくなる。
【0090】
図16(b)に示すように、
図16(a)のE−E線における断面を見ると、ガラス基板210上にTFT回路214が形成されている。TFT回路214のうち、行配線1513はアルミニウム配線である。行配線1513上には絶縁膜811と発光素子600とが形成されており、発光素子600上には列配線1523が形成されている。列配線1523はITO膜からなっており、発光素子600の出射光は列配線1523を透過して、マイクロレンズアレイ201へ向かう。
【0091】
このようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(9−2)上記実施の形態においては、発光素子マトリクス320を構成する発光素子600のうち発光領域1415に含まれている発光素子600を点灯して画素形成位置のずれを検出する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、発光領域1415に含まれている発光素子600に加えて発光領域1415に含まれていない発光素子600を点灯して画素形成位置のずれを検出してもよい。
【0092】
また、発光領域1415に含まれていない発光素子600のみを点灯して画素形成位置のずれを検出してもよいし、発光領域1415に含まれている発光素子600のうちの一部の発光素子600のみを点灯して画素形成位置のずれを検出してもよい。点灯する発光素子600の何れかに関わらず、画素形成位置のずれを検出し、検出した位置ずれに応じて点灯する発光素子600を変更すれば、画素形成位置のずれを抑制することができる。
(9−3)上記実施の形態においては、発光素子マトリクス320において発光素子600のアノード端子にスイッチ602が接続されている場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えてカソード端子にスイッチ602を接続してもよい。このようにしても本発明の効果は同じである。
(9−4)上記実施の形態においては、発光領域の中心の位置ずれを検出して位置ずれを補正する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うでもなく、発光領域の重心や発光領域の外周の特定位置など、中心以外の位置を基準にして位置ずれを検出し、補正してもよい。
(9−5)上記実施の形態においては、インラインセンサー160を用いて画素形成位置を検出する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、中間転写ベルト106に担持されているトナー像や、感光体ドラム101の外周面上に担持されているトナー像を撮像することによって画素形成位置を検出してもよい。
(9−6)上記変形例では、発光素子マトリクス320を構成する100個の発光素子600の面積は互いに等しくなっている場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0093】
発光素子600の出射光のマイクロレンズによる集光状態は、当該マイクロレンズの光軸方向から平面視したときの当該光軸から発光素子600までの距離に応じて変化する。このため、発光素子マトリクス320を構成する発光素子600のうち、平面視において光軸に近い発光領域に属する発光素子600を点灯したときの露光状態と、光軸から遠い発光領域に属する発光素子600を点灯したときの露光状態とが、露光位置を除いて等しくなるようにするために、光軸から発光素子600までの距離に応じて発光素子600の形状や面積を変化させてもよい。
【0094】
また、光軸から発光素子600までの距離に関わらず発光素子600の形状や面積を等しくする場合には、光軸から発光領域までの距離に応じて発光領域を構成する発光素子600の数や発光領域の形状を異ならせてもよい。このようにしても、露光位置を除いて露光状態を一定にすることができる。
(9−7)上記実施の形態においては、発光素子マトリクス320を構成する100個の発光素子600が10行10列の格子状に配列されており、発光領域が4行4列の格子配列である場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、発光素子マトリクス320を構成する発光素子600の個数は100個以外の個数であってもよいし、行数と列数が異なっていてもよい。
【0095】
例えば、マイクロレンズアレイ201は、主走査方向に長尺であるため、熱膨張によって主走査方向における中央部が湾出するように変形する一方、副走査方向における変形量は小さいので、マイクロレンズアレイ201の熱膨張に起因する露光位置の変化は専ら主走査方向に限られると考えられる。この特性を光量して、発光素子マトリクス320が副走査方向よりも主走査方向に大きくなるように、発光素子600を配列すれば、発光素子600の個数を不必要に多くすることなく、効果的に露光位置の変動を抑制することができる。
【0096】
発光領域を構成する発光素子600の個数もまた16個には限定されず、4行4列の格子配列にも限定されない。
(9−8)上記実施の形態においては、発光素子マトリクス320毎に位置ずれベクトル1404を求め、発光領域1414を決定する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、一部の発光素子マトリクス320についてのみ位置ずれベクトル1404を求め、当該一部の発光素子マトリクス320については、上記実施の形態と同様に発光領域1414を決定し、他の発光素子マトリクス320については、前記一部の発光素子マトリクス320について求めた位置ずれベクトル1404に応じて発光領域1414を決定してもよい。
(9−9)上記実施の形態においては、マイクロレンズアレイ201を用いて発光素子600の出射光を感光体ドラム101の外周面上に集光させる場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、セルフォック(登録商標)レンズアレイを含むロッドレンズアレイ等のマイクロレンズアレイ201以外の集光手段を用いて、発光素子600の出射光を集光させてもよい。
【0097】
また、集光手段を構成するレンズと発光素子マトリクス320とは1対1に対応付けられていなくてもよく、1つの発光素子マトリクス320の出射光が複数のレンズに入射したり、複数の発光素子マトリクス320の出射光が共通のレンズに入射したりすることによって、発光素子マトリクス320の出射光を集光させてもよい。
(9−10)上記実施の形態においては、画像形成装置1がタンデム方式のカラープリンターである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、画像形成装置1はタンデム方式以外の方式のカラープリンターであってもよいし、モノクロプリンターであってもよい。また、スキャナーを備えた複写機やファクシミリ通信機能を備えたファクシミリ装置といった単機能機、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。