(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記曇り度合調節装置は、前記ウィンドガラスに冷風または温風を送風可能な温度調節装置、前記ウィンドガラスに加湿風を送風可能な加湿装置(30)、或いは、前記ウィンドガラスに温度と湿度を調整した風を送風可能な温湿度調節装置(10)のいずれか1つである、請求項1または2に記載の窓曇り調整システム。
前記曇り度合調節装置は、通電により前記ウィンドガラスを冷却し、前記ウィンドガラスの車室内側の面または車外側の面を曇らせることが可能なガラス冷却装置である、請求項1または2に記載の窓曇り調整システム。
前記窓曇り調整システムは、前記ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、車室内温度を設定温度を基準とした所定範囲に維持するための空調要求とが相反する場合、前記曇り増加要求または前記空調要求のどちらを優先するかを乗員が選択可能な空調選択装置(31)をさらに備える、請求項4に記載の窓曇り調整システム。
前記窓曇り調整システムは、前記ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、車室内温度を設定温度を基準とした所定範囲に維持するための空調要求とが相反する場合、前記曇り増加要求または前記空調要求のどちらを優先するかを予め設定された条件に基づいて判定する空調判定装置(32)をさらに備える、請求項5に記載の窓曇り調整システム。
前記快適性判定装置は、前記ウィンドガラスの視認性に関する乗員の快適性の判定基準を、乗員が入力設定することの可能な機能を有している、請求項2に記載の窓曇り調整システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1〜
図4を参照しつつ説明する。第1実施形態の窓曇り調整システム1が搭載される車両2は、自動で走行する自動運転モードと、乗員の運転操作によって走行する手動運転モードとを選択的に実行可能である。この車両2は、予め定義された複数の自動運転度から選択された所定の自動運転度に対応した運転モードにより自動運転を実行可能に構成されている。なお、自動運転度は、車両2に搭載された図示していない自動運転システムに運転操作を依存する度合を示すものである。
【0015】
自動運転度の切り替えは、その自動運転システムにより行われる。自動運転システムは、種々のセンサの検出信号に基づき、周知の方法で自動運転度を切り替える。例えば、自動運転システムは、車両2の周囲環境および乗員の操作に基づいて自動運転度を切り替える。
【0016】
第1実施形態の車両2は、自動運転度として、日本政府、NHTSA(National Highway Traffic Safety Administrationの略)、または、SAEインターナショナルが定義している自動化レベルを採用している。自動運転度は、自動運転システムに運転操作を依存する度合が大きい程、高いレベルとなるように定義されている。以下の説明において、自動運転度を明示することなく自動運転モードというときは、加速、操舵、制動に加えて、周囲の監視等の全ての運転操作を自動運転システムが行うレベルをいうものとする。
【0017】
車両2には、一般の車両と同様に、乗員が車外の光景を視認するためのウィンドガラス3が設けられている。窓曇り調整システム1は、そのウィンドガラス3の曇り度合を、車外の状況に応じて調整するものである。窓曇り調整システム1が曇り度合を調整するウィンドガラス3は、フロントガラス4、サイドガラス5、および図示していないリアガラスの少なくとも1つである。したがって、以下の説明において、ウィンドガラス3というときは、フロントガラス4、サイドガラス5およびリアガラスの少なくとも1つをいうものとする。
【0018】
窓曇り調整システム1は、曇り度合調節装置としての空調装置10、ウィンドガラス3の視認性を低下させるための乗員の指示を受け付ける指示受付装置20、および、空調装置10を駆動制御する制御装置30などを備えている。
【0019】
空調装置10は、インストルメントパネル6の内側に配置されている。空調装置10は、所定の空調モードに応じて温度および湿度を調整した空調風を生成し、その空調風を車室内に吹き出すことで、車室内の空気調和を行うものである。この空調装置10は、ウィンドガラス3に温度と湿度を調整した風を送風することの可能な温湿度調整装置ということもできる。空調装置10は、ウィンドガラス3に温度と湿度を調整した風を送風することにより、ウィンドガラス3の周囲の温度または湿度を調整し、ウィンドガラス3の曇り度合いを調整可能である。
【0020】
図2および
図3に示すように、空調装置10は、空調ケース11の内側に、内外気切替ドア12、送風機13、エバポレータ14、ヒータコア15、エアミックスドア16およびモード切替ドア17、18などを備えている。空調ケース11の内側には、空気が流れる通風路111が形成されている。また、空調ケース11は、通風路111の空気流れ方向上流側に、車室内の所定箇所から通風路111に車室内循環空気(以下、「内気」という)を導入するための内気導入口112と、車外から通風路111に車室外空気(以下、「外気」という)を導入するための外気導入口113を有している。
【0021】
内外気切替ドア12は、内気導入口112の開口面積と、外気導入口113の開口面積を連続的に調整するものである。内外気切替ドア12は、内気導入口112と外気導入口113のうち、一方の開口部を開くほど他方の開口部を閉じるように動作する。これにより、内外気切替ドア12は、通風路111に導入される内気の風量と外気の風量の割合を調整することが可能である。
【0022】
送風機13は、遠心ファン131と、その遠心ファン131を回転駆動するモータ132などから構成されている。モータ132の駆動と共に遠心ファン131が回転すると、内気導入口112または外気導入口113から通風路111に内気または外気が導入され、通風路111に空気が送風される。送風機13により送風されて通風路111を流れる空気は、エバポレータ14およびヒータコア15により温度および湿度が調整され、通風路111に連通する複数の吹出開口部のいずれかを経由して吹き出される。
【0023】
エバポレータ14は、通風路111を流れる空気を冷却するための熱交換器である。エバポレータ14は、図示していない圧縮機、凝縮器および膨張弁などと共に周知の冷凍サイクルを構成している。エバポレータ14が有する図示していないチューブの中を、気液二層状態となった冷媒が流れる。エバポレータ14は、そのチューブの内側を流れる冷媒の蒸発潜熱により、通風路111を流れる空気を冷却する。
【0024】
ヒータコア15は、通風路111を流れる空気を加熱するための熱交換器である。ヒータコア15が有する図示していないチューブの内側を温水等が流れる。ヒータコア15は、そのチューブの内側を流れる温水等と、通風路111を流れる空気との熱交換により、通風路111を流れる空気を加熱する。
【0025】
エバポレータ14とヒータコア15との間には、エアミックスドア16が設けられている。エアミックスドア16は、エバポレータ14を通過した後にヒータコア15を迂回して流れる風量と、エバポレータ14を通過した後にヒータコア15を通過する風量との割合を調整する。
【0026】
空調ケース11は、通風路111の空気流れ方向下流側に、通風路111から車室内に空気を送風するための複数の吹出開口部を有している。複数の吹出開口部は、例えば、デフロスタ吹出開口部114、サイドデフロスタ吹出開口部115、図示していないフェイス吹出開口部、および、図示していないフット吹出開口部などにより構成されている。
【0027】
空調ケース11の吹出開口部と、インストルメントパネル6などに設けられた複数の吹出口との間は、複数のダクトにより接続される。複数のダクトは、例えば、デフロスタダクト40、サイドデフロスタダクト41、図示していないフェイスダクト、および図示していないフットダクトにより構成される。デフロスタダクト40は、デフロスタ吹出開口部114とデフロスタ吹出口42とを接続する。デフロスタ吹出口42は、車両2のフロントガラス4に向けて空調風を吹き出すものである。
【0028】
サイドデフロスタダクト41は、サイドデフロスタ吹出開口部115とサイドデフロスタ吹出口43とを接続する。サイドデフロスタ吹出口43は、車両2のサイドガラス5に向けて空調風を吹き出すものである。
【0029】
なお、フェイスダクトは、フェイス吹出開口部とフェイス吹出口とを接続する。フェイス吹出口は、前座席に着座した乗員の上半身またはその周囲に向けて空調風を吹き出すものである。フットダクトは、フット吹出開口部とフット吹出口とを接続する。フット吹出口は、前座席に着座した乗員の足元に向けて空調風を吹き出すものである。
【0030】
複数の吹出開口部には、それらの吹出開口部を開閉するためのモード切替ドアが設けられている。モード切替ドアは、デフロスタドア17、サイドデフロスタドア18、図示していないフェイスドア、および、図示していないフットドアにより構成されている。デフロスタドア17は、デフロスタ吹出開口部114を開閉する。サイドデフロスタドア18は、サイドデフロスタ吹出開口部115を開閉する。
【0031】
上述した内外気切替ドア12、エアミックスドア16、デフロスタドア17、サイドデフロスタドア18、フェイスドア、およびフットドアはそれぞれ、図示していないサーボモータなどのアクチュエータによって駆動される。
【0032】
図2は、例えば冬季など、外気温が所定温度より低い場合に、空調装置10がウィンドガラス3を曇らせるように作動する状態を示したものである。このとき、車室内温度は、外気温より高いものとする。空調装置10は、制御装置30による駆動制御により、内気循環モードが実行される。そのため、内外気切替ドア12は、内気導入口112を開き、外気導入口113を閉じる。また、制御装置30は、冷凍サイクルの駆動を停止し、エバポレータ14による空気の冷却が行われないようにする。そして、エアミックスドア16は、乗員が寒さを感じない範囲で、なるべくクール寄りとする。デフロスタドア17はデフロスタ吹出開口部114を開口し、サイドデフロスタドア18はサイドデフロスタ吹出開口部115を開口する。これにより、
図2の矢印AF1、FA2に示すように、内気導入口112から空調ケース11に取り込まれた内気は、その一部がヒータコア15を通過し、他の一部はヒータコアを迂回し、デフロスタ吹出口42とサイドデフロスタ吹出口43から吹き出される。これにより、
図1の矢印F3、F4に示すように、フロントガラス4の車室内側の面4aとサイドガラス5の車室内側の面に、外気よりも湿度の高い内気が送風される。冬季など、外気温が所定温度より低い場合、ウィンドガラス3は外気によって低温状態となっているので、デフロスタ吹出口42とサイドデフロスタ吹出口43から吹き出された空調風に含まれる水蒸気は、ウィンドガラス3の車室内側の面4aで結露する。したがって、ウィンドガラス3の曇り度合いが大きくなる。
【0033】
一方、
図3は、例えば夏季など、外気温が所定温度より高い場合に、空調装置10がウィンドガラス3を曇らせるように作動する状態を示したものである。このとき、空調装置10は、内気循環モードまたは外気導入モードのいずれを実行してもよい。制御装置30は冷凍サイクルを駆動し、エバポレータ14による空気の冷却が行われる。そして、エアミックスドア16は、ヒータコア側の流路を閉塞し、マックスクール状態とする。デフロスタドア17はデフロスタ吹出開口部114を開口し、サイドデフロスタドア18はサイドデフロスタ吹出開口部115を開口する。これにより、
図3の矢印AF5に示すように、内気導入口112または外気導入口113から空調ケース11に取り込まれた空気は、エバポレータ14により冷却され、ヒータコア15を迂回して、デフロスタ吹出口42とサイドデフロスタ吹出口43から吹き出される。これにより、
図1の矢印F3、F4に示すように、フロントガラス4の車室内側の面4aとサイドガラス5の車室内側の面に、温度の低い空調風が送風される。夏季など、外気温が所定温度より高く、外気の湿度も高い場合、ウィンドガラス3が空調風によって冷やされると、外気に含まれる水蒸気はウィンドガラス3の車外側の面4bで結露する。したがって、ウィンドガラス3の曇り度合いが大きくなる。
【0034】
図1に示すように、窓曇り調整システム1が備える指示受付装置20は、例えば押しボタンのような乗員が接触して操作するものであってもよく、または、乗員が声で指示するものであってもよい。乗員は、ウィンドガラス3の視認性を変えようとする際、指示受付装置20に対して指示を行うことが可能である。指示受付装置20は、乗員から窓曇り調整システム1に対し、車外の光景を見えないようにする指示を能動的に行うものであることから「外が見えないスイッチ」とも呼ばれる。指示受付装置20は、乗員の指示を受け付けると、その指示を信号に変えて制御装置30に伝送する。
【0035】
制御装置30は、プロセッサ、メモリ等を有するコンピュータ、およびその周辺回路で構成されている。制御装置30のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成されている。制御装置30は、指示受付装置20から伝送された信号などに基づき、空調装置10を駆動制御する。
【0036】
制御装置30が実行する制御処理について、
図4のフローチャートを参照して説明する。この制御処理は、車両2のイグニッションスイッチがオンされた後、繰り返し実行される。まず、ステップS10で制御装置30は、車両2の状態が、車室内から車外が見えないことが安全性に問題がある状態か否かを判定する。車室内から車外が見えなくても安全性に問題ない状態として、自動運転モードが実行されている状態、または、停車中の状態が例示される。
【0037】
ステップS10で制御装置30は、車両2の状態が、車室内から車外が見えないことが安全性に問題がある状態と判定した場合、再びステップS10の処理を繰り返し実行する。一方、制御装置30は、車両2の状態が、車室内から車外が見えなくても安全性に問題ない状態と判定した場合、処理をステップS20に移行する。
【0038】
ステップS20で制御装置30は、車室内から車外が見えない状態にするように乗員の指示を指示受付装置20が受け付けたか否かを判定する。言い換えれば、制御装置30は、ウィンドガラス3の視認性を低下させるように乗員から指示受付装置20に指示が行われたか否かを判定する。ウィンドガラス3の視認性を低下させるように乗員から指示受付装置20に指示が行われていない場合、制御装置30は、再びステップS10の処理から繰り返し実行する。一方、ウィンドガラス3の視認性を低下させるように乗員から指示受付装置20に指示が行われた場合、制御装置30は、処理をステップS30に移行する。
【0039】
ステップS30で制御装置30は、空調装置10を駆動制御し、外が見えないモードを実行する。外が見えないモードとは、空調装置10がウィンドガラス3を曇らせるように作動する状態をいう。これにより、ウィンドガラス3の曇り度合いが大きくなり、車室内から車外が見えない状態となる。
【0040】
以上説明した第1実施形態の窓曇り調整システム1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態では、ウィンドガラス3の視認性を低下させるように乗員から指示受付装置20に指示が行われ、且つ、ウィンドガラス3の視認性が低いことが安全性に問題ない場合、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくするように空調装置10が駆動する。これにより、ウィンドガラス3の曇り度合が大きくなると、乗員は車外を見ることなく、また、車外から見られることもなく、車室内で快適に過ごすことが可能となる。したがって、この窓曇り調整システム1は、乗員の要求に応じてウィンドガラス3の曇り度合を変えることで、乗員の快適性を高めることができる。
【0041】
(2)また、第1実施形態では、空調装置10は、ウィンドガラス3に温度と湿度を調整した風を送風可能な温湿度調節装置である。これによれば、空調装置10は、夏季に、ウィンドガラス3の車室内側の面4aに冷風を送風することで、ウィンドガラス3の車外側の面4bを曇らせることが可能である。また、空調装置10は、冬季に、ウィンドガラス3の車室内側の面4aに湿度の高い内気を送風することで、ウィンドガラス3の車室内側の面4aを曇らせることが可能である。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図5および
図6を参照しつつ説明する。第2実施形態は、第1実施形態で説明した指示受付装置20に代えて、快適性判定装置21を備えるものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0043】
快適性判定装置21は、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性を判定するものである。すなわち、快適性判定装置21は、ウィンドガラス3の視認性が低いほうが乗員の快適性が高い状態であるか否かを判定するものである。快適性判定装置21は、プロセッサ、メモリ等を有するコンピュータ、およびその周辺回路で構成されるものである。なお、快適性判定装置21と、空調装置10を駆動制御する制御装置30とは、一体に構成してもよく、または、別部材として構成してもよい。
【0044】
快適性判定装置21は、例えば、次の(A)〜(E)のいずれかの判定方法により、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性を判定することが可能である。
【0045】
(A)快適性判定装置21は、ウィンドガラス3から車室内に侵入する日射量を計測する日射センサ22から入力される信号に基づき、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性を判定することが可能である。この場合、快適性判定装置21は、日射センサ22で測定される日射量が所定値より大きい場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。
【0046】
(B)快適性判定装置21は、乗員の眠気を感知する眠気感知センサ23から入力される信号に基づき、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性を判定することが可能である。この場合、快適性判定装置21は、眠気感知センサ23により乗員が眠気を感じていることが検知された場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。なお、眠気感知センサ23として、例えば、乗員の体温または脈拍などを測定する生体センサが挙げられる。または、眠気感知センサ23として、例えば、乗員の表情を撮影し、画像認識技術により眠気を感知する装置が挙げられる。
【0047】
(C)快適性判定装置21は、ナビゲーションシステム24により測定される車両2の現在位置に関する情報に基づき、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性を判定することが可能である。ナビゲーションシステム24の地図データには、例えば殺風景なオフィスビル街など、車外の光景が大多数の人が快適に感じることのできない場所を予め入力設定しておく。そして、快適性判定装置21は、ナビゲーションシステム24により測定される車両2の現在位置が、その地図データに予め入力設定された場所の場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。
【0048】
(D)快適性判定装置21は、車外撮影用カメラ25により撮影された車外の光景に基づき、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性を判定することが可能である。快適性判定装置21には、例えば悪天候、渋滞中、人通りが多い歩道など、大多数の人が快適に感じることのできない光景を、予め入力設定しておく。そして、快適性判定装置21は、車外撮影用カメラ25により撮影された車外の光景が、その予め入力設定された光景に該当する場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。
【0049】
(E)快適性判定装置21は、上述した(C)または(D)の判定方法に関し、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性の判定基準を、乗員が入力設定することの可能な機能を有するものであってもよい。これにより、快適性判定装置21に対し、快適性の判定基準として、大多数の人が不快に感じるような一般的なデータとは別に、乗員の個人的な好みを入力設定することが可能となる。
【0050】
上述した(A)〜(E)の判定方法により、快適性判定装置21が判定した結果は、制御装置30に伝送される。制御装置30は、快適性判定装置21から入力された信号などに基づき、空調装置10を駆動制御する。
【0051】
第2実施形態の制御装置30が実行する制御処理について、
図6のフローチャートを参照して説明する。第2実施形態の制御処理も、車両2のイグニッションスイッチがオンされた後、繰り返し実行される。ステップS10の処理は、第1実施形態で説明した処理と同じである。
【0052】
ステップS20で制御装置30は、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると快適性判定装置21により判定されたか否かを判定する。制御装置30は、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると快適性判定装置21により判定されていない場合、再びステップS10の処理から繰り返し実行する。一方、制御装置30は、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると快適性判定装置21により判定された場合、処理をステップS30に移行する。
【0053】
ステップS30の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様である。外が見えないモードが実行されると、ウィンドガラス3の曇り度合いが大きくなり、車室内から車外が見えない状態となる。
【0054】
以上説明した第2実施形態の窓曇り調整システム1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第2実施形態では、快適性判定装置21によりウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定され、且つ、ウィンドガラス3の視認性が低いことが安全性に問題ない場合、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくするよう空調装置10が駆動する。これにより、ウィンドガラス3の曇り度合が大きくなると、乗員は車外を見ることなく、また、車外から見られることもなく、車室内で快適に過ごすことが可能となる。したがって、この窓曇り調整システム1は、車外の状況に応じて自動でウィンドガラス3の曇り度合を変えることで、乗員の快適性を高めることができる。また、この窓曇り調整システ1ムは、ウィンドガラス3の視認性と乗員の快適性との関係を快適性判定装置21が自動で判定するため、窓曇り調整システム1に対して乗員が操作を行う手間を省くことができる。
【0055】
(2)第2実施形態では、上述した(A)の判定方法において、快適性判定装置21は、日射センサ22で測定される日射量が所定値より大きい場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。その場合、窓曇り調整システム1は、ウィンドガラス3の曇り度を大きくすることで、車室内に侵入する日射量を減らし、乗員の快適性を高めることができる。
【0056】
(3)第2実施形態では、上述した(B)の判定方法において、快適性判定装置21は、眠気感知センサ23により乗員が眠気を感じていることが検知された場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。その場合、窓曇り調整システム1は、ウィンドガラス3の視認性を低下させることで、乗員に十分な休息を取らせることができる。
【0057】
(4)第2実施形態では、上述した(C)の判定方法において、快適性判定装置21は、車両2の現在位置が、予め地図データに入力設定された場所の場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。この場合、車外の光景が快適とは言えない場所を予め地図データに入力設定しておき、その場所を車両2が走行する場合、ウィンドガラス3の視認性を低下させることで、乗員が車外の光景によって不快感を得ることを防ぐことができる。
【0058】
(5)第2実施形態では、上述した(D)の判定方法において、快適性判定装置21は、車外撮影用カメラ25により撮影された車外の光景が予め入力設定された光景に該当する場合、ウィンドガラス3の視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。この場合、大多数の人が不快に感じる光景を入力設定しておき、車外撮影用カメラにより撮影された車外の光景がその光景に該当する場合、ウィンドガラス3の視認性を低下させることで、乗員が車外の光景によって不快感を得ることを防ぐことができる。
【0059】
(6)第2実施形態では、上述した(E)の判定方法において、快適性判定装置21は、ウィンドガラス3の視認性に関する乗員の快適性の判定基準を、乗員が入力設定することの可能な機能を有する。これにより、快適性判定装置21に対し、快適性の判定基準として、大多数の人が不快に感じるような一般的なデータとは別に、乗員の個人的な好みを入力設定することが可能である。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態について、
図7を参照しつつ説明する。第3実施形態は、第1、第2実施形態の変形例であるため、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0061】
第1実施形態で説明したように、空調装置10は、夏季に、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくする際、デフロスタ吹出口42およびサイドデフロスタ吹出口43からウィンドガラス3に向けて冷風を送風する。しかしながら、ウィンドガラス3を十分に曇せるだけの冷風が空調装置10から送風されると、車室内の温度が設定温度よりも低くなりすぎて空調要求を満たさなくなり、乗員が寒さを感じるおそれがある。
【0062】
また、空調装置10は、冬季に、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくする際、デフロスタ吹出口42およびサイドデフロスタ吹出口43からウィンドガラス3に向けて内気を送風する。その場合、送風温度が高いとウィンドガラス3が曇りにくくなるため、送風温度をなるべく低くすることが望ましい。しかしながら、ウィンドガラス3を十分に曇らせるために空調装置10の送風温度を低くすると、車室内の温度が設定温度よりも低くなりすぎて空調要求を満たさなくなり、乗員が寒さを感じるおそれがある。
【0063】
そこで、第3実施形態の窓曇り調整システム1は、空調選択装置31を備えている。空調選択装置31は、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、車室内温度を設定温度を基準とした所定範囲に維持するための空調要求とが相反する場合、その曇り増加要求または空調要求のどちらを優先するかを乗員が選択可能なものである。空調選択装置31は、例えば押しボタンのような乗員が接触して操作するものであってもよく、または、声で操作するものであってもよい。乗員は、曇り増加要求と空調要求のどちらを優先するかを選択し、空調選択装置31に対して指示することが可能である。乗員が空調選択装置31に指示した情報は、制御装置30に伝送される。制御装置30は、空調選択装置31から伝送される情報に従って空調装置10の駆動を制御する。
【0064】
以上説明した第3実施形態では、曇り増加要求と空調要求とが相反する場合、乗員の指示に従って空調装置10の駆動が制御されるので、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくする際に、乗員の快適性が低下することを防ぐことができる。
【0065】
(第4実施形態)
第4実施形態について、
図8を参照しつつ説明する。第4実施形態は、第3実施形態の変形例であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
第4実施形態窓曇り調整システム1は、第3実施形態で説明した空調選択装置31に代えて、空調判定装置32を備えている。空調判定装置32は、プロセッサ、メモリ等を有するコンピュータ、およびその周辺回路で構成されるものである。空調判定装置32は、空調装置10を駆動制御する制御装置30と一体に構成してもよく、または、別部材として構成してもよい。
【0067】
空調判定装置32は、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、車室内温度を設定温度を基準とした所定範囲に維持するための空調要求とが相反する場合、曇り増加要求または空調要求のどちらを優先するかを自動で判断するものである。空調判定装置32は、例えば、乗員の体温または脈拍などを測定する生体センサから入力される情報の基づき、乗員の健康状態等をセンシングして判断するものであってもよい。または、空調判定装置32は、例えば、曇り増加要求と空調要求のどちらを優先するかに関する判断基準を、乗員が予め入力設定しておくことが可能な機能を有するものであってもよい。その場合、空調判定装置32は、乗員の好みに合わせた判断を行うことが可能となる。空調判定装置32が判定した情報は、制御装置30に伝送される。制御装置30は、空調判定装置32から伝送される情報に従って空調装置10の駆動を制御する。
【0068】
以上説明した第4実施形態では、曇り増加要求と空調要求とが相反する場合、空調判定装置32の判定に従って空調装置10の駆動が制御されるので、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくする際に、乗員の快適性が低下することを防ぐことができる。
【0069】
(第5実施形態)
第5実施形態について
図9を参照しつつ説明する。第5実施形態は、第1〜第4実施形態で説明した空調装置10に代えて、加湿装置50を備えるものであり、その他については第1〜第4実施形態と同様であるため、第1〜第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
第5実施形態の窓曇り調整システム1は、曇り度合調節装置としての加湿装置50を備えている。加湿装置50は、加湿風を生成し、その加湿風をウィンドガラス3に送風することにより、ウィンドガラス3の曇り度合いを調整可能なものある。具体的には、加湿装置50は、デフロスタ吹出口42とサイドデフロスタ吹出口43に加えて、フロントガラス4の車外側の面4bに加湿風を送風するためのガラス外面吹出口44を有している。なお、デフロスタ吹出口42は、フロントガラス4の車室内側の面4aに加湿風を送風するためのものであり、サイドデフロスタ吹出口43は、サイドガラス5の車室内側の面に加湿風を送風するためものである。
【0071】
また、加湿装置50は、乗員の顔面またはその周囲に向けて加湿風を送風するための図示していない吹出口を有するものであってもよい。その場合、加湿装置50は、乗員の顔面またはその周囲に向けて加湿風を送風することで、乗員の顔周りを保湿することが可能である。
【0072】
図9の矢印AF6、AF7に示すように、加湿装置50は、例えば冬季など、外気温が所定温度より低い場合に、デフロスタ吹出口42およびサイドデフロスタ吹出口43から加湿風を送風し、フロントガラス4の車室内側の面4aとサイドガラス5の車室内側の面を曇らすことが可能である。
【0073】
一方、
図9の矢印AF8に示すように、加湿装置50は、例えば夏季など、外気温が所定温度より高い場合に、ガラス外面吹出口44から加湿風を送風し、フロントガラス4の車外側の面4bを曇らすことが可能である。第5実施形態の窓曇り調整システム1が備える加湿装置50は、加湿機能に特化した装置であるので、空調装置10よりもウィンドガラス3を曇らせる能力を高めることが可能である。
【0074】
ところで、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくするためにウィンドガラス3に向けて加湿風を送風すると、乗員の顔面等に対して加湿風を送風する風量が低下し、乗員に対して加湿風を送風する乗員加湿要求を満たさなくなることがある。そこで、この窓曇り調整システム1は、加湿選択装置33を備えている。加湿選択装置33は、ウィンドガラス3の曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、乗員に対して加湿風を送風する乗員加湿要求とが相反する場合、その曇り増加要求または乗員加湿要求のどちらを優先するかを乗員が選択可能なものである。加湿選択装置33は、例えば押しボタンのような乗員が接触して操作するものであってもよく、または、乗員が声で指示するものであってもよい。乗員は、曇り増加要求と乗員加湿要求のどちらを優先するかを選択し、加湿選択装置33に対して指示することが可能である。乗員が加湿選択装置33に指示した情報は、制御装置30に伝送される。制御装置30は、加湿選択装置33から伝送される情報に従って加湿装置50の駆動を制御する。
【0075】
なお、第5実施形態の窓曇り調整システム1は、上述した加湿選択装置33に代えて、加湿判定装置34を備えていてもよい。加湿判定装置34は、プロセッサ、メモリ等を有するコンピュータ、およびその周辺回路で構成されるものである。加湿判定装置34は、加湿装置50を駆動制御する制御装置30と一体に構成してもよく、または、別部材として構成してもよい。
【0076】
加湿判定装置34は、曇り増加要求と乗員加湿要求とが相反する場合、その曇り増加要求または乗員加湿要求のどちらを優先するかを予め設定された条件に基づいて自動で判断するものである。加湿判定装置34が判定した情報は、制御装置30に伝送される。制御装置30は、加湿判定装置34から伝送される情報に従って加湿装置50の駆動を制御する。
【0077】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第1〜第5実施形態で説明した空調装置10または加湿装置50に代えて、ガラス冷却装置を備えるものであり、その他については第1〜第5実施形態と同様であるため、第1〜第5実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0078】
第6実施形態の窓曇り調整システム1は、曇り度合調節装置としてのガラス冷却装置を備えている。ガラス冷却装置は、通電によりウィンドガラス3を冷却し、ウィンドガラス3の車室内側の面4aまたは車外側の面4bを曇らせることが可能な装置である。ガラス冷却装置は、例えばペルチェ素子などにより構成され、ウィンドガラス3の内部、またはウィンドガラス3の近傍に設けられる。したがって、第6実施形態の窓曇り調整システム1は、ガラス冷却装置を備えることにより、ウィンドガラス3を曇らせる能力を高めることが可能である。
【0079】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0080】
(1)上記各実施形態では、窓曇り調整システム1は、自動運転車に搭載されるものとして説明したが、これに限らない。他の実施形態では、窓曇り調整システム1は、手動運転車に搭載されるものであってもよい。その場合、車室内から車外が見えなくても安全性に問題ない状態として、例えば、駐車中の状態が挙げられる。
【0081】
(2)上記各実施形態では、曇り度合調節装置として空調装置10または加湿装置50を例示したが、これに限らない。他の実施形態では、曇り度合調節装置は、ウィンドガラス3に冷風または温風を送風可能な温度調節装置であってもよい。
【0082】
(3)上記各実施形態では、空調ケース11にフロスタ吹出開口部114とサイドデフロスタ吹出開口部115を別々に設けたが、他の実施形態では、デフロスタ吹出開口部114とサイドデフロスタ吹出開口部115は、1つの吹出開口部として構成してもよい。その場合、デフロスタドア17とサイドデフロスタドア18も1つのモード切替ドアとして構成してもよい。また、デフロスタダクト40とサイドデフロスタダクト41は、一体に構成してもよい。
【0083】
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、乗員が車外の光景を視認するためのウィンドガラスを有する車両に搭載される窓曇り調整システムは、曇り度合調節装置、指示受付装置および制御装置を備える。曇り度合調節装置は、ウィンドガラスの温度またはウィンドガラスの周囲の温度または湿度を調節してウィンドガラスの曇り度合いを調節可能である。指示受付装置は、ウィンドガラスの視認性を低下させるための乗員の指示を受け付ける。制御装置は、ウィンドガラスの視認性を低下させるように乗員から指示受付装置に指示が行われ、且つ、ウィンドガラスの視認性が低いことが安全性に問題ない場合、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくするよう曇り度合調節装置を駆動制御する。
【0084】
第2の観点によれば、乗員が車外の光景を視認するためのウィンドガラスを有する車両に搭載される窓曇り調整システムは、曇り度合調節装置、快適性判定装置および制御装置を備える。曇り度合調節装置は、ウィンドガラスの温度またはウィンドガラスの周囲の温度または湿度を調節してウィンドガラスの曇り度合いを調節可能である。快適性判定装置は、ウィンドガラスの視認性に関する乗員の快適性を判定する。制御装置は、快適性判定装置によりウィンドガラスの視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定され、且つ、ウィンドガラスの視認性が低いことが安全性に問題ない場合、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくするよう曇り度合調節装置を駆動制御する。
【0085】
第3の観点によれば、曇り度合調節装置は、ウィンドガラスに加湿風を送風可能な加湿装置、ウィンドガラスに加湿風を送風可能な加湿装置、或いは、ウィンドガラスに温度と湿度を調整した風を送風可能な温湿度調節装置のいずれか1つである。これによれば、曇り度合調節装置として、種々の機能を有する空調装置を採用することが可能である。
【0086】
第4の観点によれば、曇り度合調節装置は、温度調節装置または温湿度調節装置である。この温度調節装置または温湿度調節装置は、外気温が所定温度より高い場合、ウィンドガラスの車室内側の面に冷風を送風し、ウィンドガラスの車外側の面を曇らせることが可能である。また、温度調節装置または温湿度調節装置は、外気温が所定温度より低い場合、ウィンドガラスの車室内側の面に車室内循環空気を送風し、ウィンドガラスの車室内側の面を曇らせることが可能である。
【0087】
第5の観点によれば、曇り度合調節装置は、加湿装置である。この加湿装置は、外気温が所定温度より高い場合、ウィンドガラスの車外側の面に加湿風を送風し、ウィンドガラスの車外側の面を曇らせることが可能である。また、加湿装置は、外気温が所定温度より低い場合、ウィンドガラスの車室内側の面に加湿風を送風し、ウィンドガラスの車室内側の面を曇らせることが可能である。
【0088】
第6の観点によれば、曇り度合調節装置は、ガラス冷却装置である。このガラス冷却装置は、通電によりウィンドガラスを冷却し、ウィンドガラスの車室内側の面または車外側の面を曇らせることが可能である。
【0089】
ところで、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくするために曇り度合調節装置からウィンドガラスに向けて冷風を送風すると、車室内が設定温度よりも寒くなりすぎて、空調要求を満たさなくなることがある。そこで、第7の観点によれば、窓曇り調整システムは、空調選択装置をさらに備えている。空調選択装置は、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、車室内温度を設定温度を基準とした所定範囲に維持するための空調要求とが相反する場合、曇り増加要求または空調要求のどちらを優先するかを乗員が選択可能なものである。したがって、この窓曇り調整システムは、曇り増加要求と空調要求とが相反する場合、乗員の指示に従って空調装置の駆動が制御されるので、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする際に、乗員の快適性が低下することを防ぐことができる。
【0090】
第8の観点によれば、窓曇り調整システムは、空調判定装置をさらに備えている。空調判定装置は、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、車室内温度を設定温度を基準とした所定範囲に維持するための空調要求とが相反する場合、曇り増加要求または空調要求のどちらを優先するかを予め設定された条件に基づいて判定するものである。これによれば、窓曇り調整システムは、空調判定装置を備えることで、曇り増加要求と空調要求のどちらを優先するかを、予め設定された条件に基づいて自動で判定することが可能となる。なお、予め設定された条件として、例えば、乗員の好みを予め入力しておいてもよく、または、乗員の脈拍または体温などの健康状態をセンシングして判定してもよい。
【0091】
第9の観点によれば、加湿装置は、ウィンドガラスに加湿風を送風する機能に加え、乗員に対して加湿風を送風する機能を有するものである。ところで、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくするためにウィンドガラスに向けて加湿風を送風すると、乗員に対して加湿風を送風する風量が低下し、乗員加湿要求を満たさなくなることがある。そこで、第9の観点によれば、窓曇り調整システムは、加湿選択装置をさらに備えている。加湿選択装置は、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、乗員に対して加湿風を送風する乗員加湿要求とが相反する場合、曇り増加要求または乗員加湿要求のどちらを優先するかを乗員が選択可能なものである。したがって、この窓曇り調整システムは、曇り増加要求と乗員加湿要求とが相反する場合、乗員の指示に従って加湿装置の駆動が制御されるので、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする際に、乗員の快適性が低下することを防ぐことができる。
【0092】
第10の観点によれば、加湿装置は、ウィンドガラスに加湿風を送風する機能に加え、乗員に対して加湿風を送風する機能を有するものである。窓曇り調整システムは、加湿判定装置をさらに備えている。加湿判定装置は、ウィンドガラスの曇り度合いを大きくする曇り増加要求と、乗員に対して加湿風を送風する乗員加湿要求とが相反する場合、曇り増加要求と乗員加湿要求のどちらを優先するかを予め設定された条件に基づいて判定するものである。これによれば、窓曇り調整システムは、加湿判定装置を備えることで、曇り増加要求と乗員加湿要求のどちらを優先するかを、予め設定された条件に基づいて自動で判定することが可能である。
【0093】
第11の観点によれば、窓曇り調整システムは、ウィンドガラスから車室内に侵入する日射量を測定する日射センサをさらに備えている。快適性判定装置は、日射センサで測定される日射量が所定値より大きい場合、ウィンドガラスの視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。これによれば、ウィンドガラスから車室内に侵入する日射量が大きい場合、ウィンドガラスの曇り度を大きくすることで、車室内に侵入する日射量を減らし、乗員の快適性を高めることができる。
【0094】
第12の観点によれば、窓曇り調整システムは、乗員の眠気を感知する眠気感知センサをさらに備えている。快適性判定装置は、眠気感知センサにより乗員が眠気を感じていることが検知された場合、ウィンドガラスの視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。これによれば、乗員が眠気を感じている場合、ウィンドガラスの視認性を低下させることで、乗員に十分な休息を取らせることができる。
【0095】
第13の観点によれば、窓曇り調整システムは、ナビゲーションシステムをさらに備えている。快適性判定装置は、ナビゲーションシステムにより測定される車両の現在位置が予め設定された場所の場合、ウィンドガラスの視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。これによれば、大多数の人が不快に感じる場所などを予め地図データに入力設定しておき、その場所を車両が走行する場合、ウィンドガラスの視認性を低下させることで、乗員が車外の光景によって不快感を得ることを防ぐことができる。
【0096】
第14の観点によれば、窓曇り調整システムは、車外の光景を撮影する車外撮影用カメラをさらに備えている。快適性判定装置は、車外撮影用カメラにより撮影された車外の光景が予め設定された光景に該当する場合、ウィンドガラスの視認性が低い方が乗員の快適性が高い状態であると判定する。これによれば、大多数の人が不快に感じる光景を入力設定しておき、車外撮影用カメラにより撮影された車外の光景がそれらの光景に該当する場合、ウィンドガラスの視認性を低下させることで、乗員が車外の光景によって不快感を得ることを防ぐことができる。
【0097】
第15の観点によれば、快適性判定装置は、ウィンドガラスの視認性に関する乗員の快適性の判定基準を、乗員が入力設定することの可能な機能を有している。これによれば、快適性判定装置による快適性の判定基準として、大多数の人が不快に感じるような一般的なデータとは別に、乗員の個人的な好みを入力設定することが可能となる。