(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第2画像形成における前記重なり領域外の前記インクへの紫外線の照射量が、前記重なり領域内の前記インクへの紫外線の照射量が前記第1画像形成における紫外線の照射量と同じになるように、前記第2照射部を制御する、請求項2に記載の画像形成装置。
前記吐出部は、第1画像データによって決定される第1座標に対応する前記第1面上の位置に前記インクを吐出し、第2画像データによって決定される第2座標に対応する前記第2面上の位置に前記インクを吐出し、
前記制御部は、前記第1座標と前記第2座標とに基づいて、前記重なり領域を判別する、請求項2に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記記録媒体の種類に応じて、前記第2画像形成における前記第2照射部の紫外線の照射量を補正する、請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記記録媒体の種類に応じて、前記第2画像形成における前記第1照射部の紫外線の照射量を補正する、請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態に係る画像形成装置について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0011】
<実施の形態1>
(画像形成装置の全体構成)
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は、たとえばインクジェット印刷装置である。画像形成装置1は、記録媒体(記録シート)である用紙Pの両面印刷を実行する。すなわち、画像形成装置1は、用紙Pの第1面11に画像を形成する第1画像形成と、第1面11の裏側の第2面12に画像を形成する第2画像形成とを行なう。画像形成装置1は、第1画像形成を行なった後に第2画像形成を行なう。
【0012】
図1に示されるように、画像形成装置1は、吐出ヘッド部100と、紫外線照射部110と、画像読取部120と、給紙部130と、搬送装置140,150と、反転部160と、排紙部170とを備える。
【0013】
給紙部130は、用紙Pを格納し、指示に応じて用紙Pを1枚ずつ搬送装置140に供給する。
【0014】
搬送装置140は、一対の搬送ローラー141,142と、搬送ローラー141,142に懸架された搬送ベルト143とを含む。搬送ローラー141,142のうちの一方は、図示しないモータによって駆動される、他方は一方の駆動に応じて従動する。搬送ベルト143は、給紙部130から供給された用紙Pを搬送装置150に向けて搬送する。
【0015】
搬送装置150は、一対の搬送ローラー151,152と、搬送ローラー151,152に懸架された搬送ベルト153とを含む。搬送ローラー151,152のうちの一方は、図示しないモータによって駆動され、他方は一方の駆動に応じて従動する。
【0016】
搬送ベルト153は、第1画像形成が行なわれた用紙Pを矢印D2方向に搬送する。これにより、用紙Pは、搬送ローラー152に沿って折り返し、搬送装置140に戻される。搬送ベルト153は、第2画像形成が行なわれた用紙Pを矢印D1方向に搬送し、排紙部170に排出する。用紙Pの搬送方向は、図示しない経路切替機構によって、矢印D1方向および矢印D2方向のいずれかに切り替えられる。
【0017】
反転部160は、搬送装置150によって矢印D2方向に折り返され、搬送装置140まで戻された用紙Pの表裏を反転させた後、当該用紙Pを搬送装置140に戻す。反転部160は、用紙Pの先端と後端とを反転させる。
【0018】
反転部160は、分離爪161と、一対のローラー162,163とを含む。反転部160に搬送される用紙Pは、第1画像形成によって第1面11に画像が形成された直後の用紙である。そのため、用紙Pの第2面12は搬送ベルト143に接している。分離爪161は、用紙Pの第2面12を搬送ベルト143から剥離して、一対のローラー162,163間に案内する。一対のローラー162,163は、用紙Pを挟持しながら搬送する。一対のローラー162,163は、第1面11が搬送ベルト143に接するように用紙Pの表裏を反転させて、用紙Pを搬送ベルト143に戻す。
【0019】
排紙部170は、画像が形成された用紙Pを蓄える。排紙部170は、図示しない後処理装置に用紙Pを出力してもよい。
【0020】
吐出ヘッド部100は、搬送装置140によって搬送されている用紙P上に、UV硬化インクを吐出する。吐出ヘッド部100は、第1画像形成において、用紙Pの第1面11上にUV硬化インクを吐出し、第2画像形成において、用紙Pの第2面12上にUV硬化インクを吐出する。
【0021】
図1に示す例では、吐出ヘッド部100は、5色のUV硬化インクを吐出し、5つの吐出ヘッド101,102,103,104,105を含む。吐出ヘッド101,102,103,104,105は、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック,ホワイトのUV硬化インクをそれぞれ吐出する。なお、吐出ヘッド部100に含まれる吐出ヘッドの個数は、5個に限定されず、色数に応じて適宜変更される。
【0022】
紫外線照射部110は、吐出ヘッド部100よりも搬送方向の下流側に配置される。紫外線照射部110は、用紙Pに吐出された未硬化のUV硬化インクに紫外線を照射して、当該UV硬化インクを硬化させる。
【0023】
紫外線照射部110は、第1照射部111と第2照射部112とを含む。第1照射部111と第2照射部112とは、両者の間に用紙Pが搬送されるように配置される。具体的には、第1照射部111は、用紙Pに対して、吐出ヘッド部100と同じ側に配置され、用紙P上のUV硬化インクに向けて紫外線を照射する。第2照射部112は、用紙Pに対して、第1照射部111とは反対側に配置され、用紙P上のUV硬化インクに向けて裏側から紫外線を照射する。紫外線照射部110は、搬送装置140と搬送装置150との間に配置される。そのため、第1照射部111と第2照射部112との間には、搬送ベルト143,153が存在しない。これにより、用紙Pに吐出された未硬化のUV硬化インクは、第1照射部111と第2照射部112との両方から紫外線を効率良く受けることができる。
【0024】
画像読取部120は、紫外線照射部110よりも搬送方向の下流側に配置され、用紙Pに形成された画像の状態を読み取る。画像読取部120は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサーによって構成される。画像読取部120によって読み取られた画像の状態に応じて、吐出ヘッド101〜105からのUV硬化インクの吐出量が調整される。
【0025】
画像形成装置1では、給紙部130から供給された用紙Pは、搬送装置140によって吐出ヘッド部100に向けて搬送される。このとき、用紙Pの第2面12が搬送ベルト143に接し、用紙Pの第1面11が上向きとなる。吐出ヘッド部100によって第1面11上にUV硬化インクが吐出された用紙Pが紫外線照射部110まで搬送されると、紫外線照射部110は、第1面11上のUV硬化インクに紫外線を照射して硬化させる。これにより、第1画像形成が終了する。
【0026】
その後、用紙Pは、矢印D2方向に折り返され、反転部160に到達する。反転部160は、第1面11が搬送ベルト143に接し、第2面12が上向きとなるように用紙Pを反転させる。反転された用紙Pは、搬送装置140によって再度吐出ヘッド部100まで搬送される。吐出ヘッド部100によって第2面12上にUV硬化インクが吐出された用紙Pが紫外線照射部110まで搬送されると、紫外線照射部110は、第2面12上のUV硬化インクに紫外線を照射して硬化させる。これにより、第2画像形成が終了する。
【0027】
(画像形成装置の制御ブロック)
図2は、
図1に示す画像形成装置の制御ブロックを示す図である。
図2に示されるように、画像形成装置1は、画像制御部20と、印刷制御部30と、画像メモリ回路40と、ヘッド駆動回路50と、UV駆動回路60とをさらに備える。
【0028】
画像制御部20は、ホストコンピューターと通信可能であり、ホストコンピューターから印刷対象となる画像データと制御パラメータとを受信する。画像制御部20には、画像メモリ回路40、ヘッド駆動回路50およびUV(Ultlaviolet)駆動回路60が接続される。画像制御部20は、受信した画像データで示される画像を用紙P上に形成するために、画像メモリ回路40、ヘッド駆動回路50およびUV駆動回路60とを制御する。
【0029】
画像メモリ回路40は、画像データを保存し、ラスターデータに展開する。ヘッド駆動回路50は、吐出ヘッド101〜105内の圧電素子に電圧を印加することにより、吐出ヘッド101〜105からUV硬化インクを吐出させる。UV駆動回路60は、紫外線照射部110を駆動し、設定された照射量の紫外線を第1照射部111および第2照射部112から照射させる。
【0030】
画像制御部20は、画像メモリ回路40によって展開されたラスターデータに従って、濃度値が0ではない画素に対応する位置にUV硬化インクが吐出されるように、ヘッド駆動回路50を制御する。さらに、画像制御部20は、用紙Pが紫外線照射部110に到達するタイミングで、紫外線照射部110から紫外線が照射されるように、UV駆動回路60を制御する。
【0031】
印刷制御部30は、主に用紙Pの搬送を制御する。印刷制御部30には、給紙部130、搬送装置140,150、反転部160および排紙部170が接続される。印刷制御部30は、指定されたタイミングで用紙Pを給紙するように、給紙部130を制御する。さらに、印刷制御部30は、用紙Pを指定された速度で搬送するように、搬送装置140,150を制御する。さらに、印刷制御部30は、第1画像形成から第2画像形成に移行する際に、反転部160を制御して用紙Pの表裏を反転させる。
【0032】
画像制御部20と印刷制御部30とは、所望の画像を形成するために、制御タイミングの同期を行なうとともに、情報のやり取りを行なう。
【0033】
(画像制御部のハードウェア構成)
図3は、
図2に示す画像制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、画像制御部20は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)201と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)202と、データを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)203と、フラッシュメモリ204と、通信IF205とを有する。画像制御部20は、通信IF205によって、ホストコンピューター、印刷制御部30、画像メモリ回路40、ヘッド駆動回路50およびUV駆動回路60と通信可能となっている。
【0034】
フラッシュメモリ204は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ204は、CPU201が実行するオペレーティングシステムおよび各種のプログラム、各種のデータを格納している。フラッシュメモリ204は、画像形成装置1が生成したデータ、画像形成装置1の外部装置から取得したデータ等の各種データを揮発的に格納する。
【0035】
(紫外線照射部の構成)
図4は、
図1に示す紫外線照射部110の構成を示す図である。
図4には、第1画像形成のときの様子が示される。すなわち、用紙Pの第1面11に未硬化のUV硬化インク70が付着されている。紫外線照射部110は、第1面11上のUV硬化インク70に向けて紫外線を照射する。
【0036】
図4に示されるように、第1照射部111は、基板113と、複数のUV−LED(Light Emitting Diode)114と、複数のUV−LED114にそれぞれ対応する複数のレンズ115とを有する。複数のUV−LED114は、基板113上に実装される。UV−LED114から照射した紫外線は、対応するレンズ115を通って、用紙P上のUV硬化インク70に到達する。
【0037】
第1照射部111は、第1画像形成において、照射対象となる未硬化のUV硬化インク70が吐出された第1面11側からUV硬化インク70に向けて紫外線を照射する。そのため、第1照射部111から照射される紫外線は、表面からUV硬化インク70を硬化させる。
【0038】
第2照射部112は、基板116と、複数のUV−LED117と、複数のUV−LED117にそれぞれ対応する複数のレンズ118とを有する。複数のUV−LED117は、基板116上に実装される。UV−LED117から照射した紫外線は、対応するレンズ118を通って、用紙P上のUV硬化インク70に到達する。
【0039】
第2照射部112は、第1画像形成において、照射対象となる未硬化のUV硬化インク70が吐出された第1面11の裏面である第2面12側からUV硬化インク70に向けて紫外線を照射する。そのため、第2照射部112から照射される紫外線は、用紙Pを透過してUV硬化インク70に到達し、用紙Pとの接合面からUV硬化インク70を硬化させる。
【0040】
(UV駆動回路の構成)
図5は、
図2に示すUV駆動回路の構成の一例を示す図である。
図5に示されるように、UV駆動回路60は、電源61と、電流制御部62と、駆動部63と、指示変換部64とを有する。
【0041】
第1照射部111の複数のUV−LED114と、第2照射部112の複数のUV−LED117とは、電源61と電流制御部62との間に接続される。UV−LED114,117のアノードが電源61に接続され、UV−LED114,117のカソードが電流制御部62に接続される。
【0042】
複数のUV−LED114および複数のUV−LED117の各々は、電源61と電流制御部62との間に並列に接続される。もしくは、複数のUV−LED114は、
図5に示されるように、複数のグループに分割され、当該複数のグループが電源61と電流制御部62との間に並列に接続されてもよい。各グループでは、当該グループに属する所定個数(2個以上)のUV−LED114が直列に接続される。同様に、複数のUV−LED117は、複数のグループに分割され、当該複数のグループが電源61と電流制御部62との間に並列に接続されてもよい。各グループでは、当該グループに属する所定個数(2個以上)のUV−LED117が直列に接続される。
【0043】
電流制御部62は、駆動部63から指示された電流指示値になるように各UV−LED114,117に流れる電流を制御する。これにより、UV−LED114,117の紫外線の照射量が制御される。電流制御部62は、定電流制御のための回路等で構成される。
【0044】
駆動部63は、電流制御部62に接続されており、タイミング指示に応じて、各UV−LED114,117のオンオフを制御する。駆動部63は、UV−LED114,117をオンさせる場合、当該UV−LED114,117に対応する電流指示値を電流制御部62に指示する。
【0045】
指示変換部64は、画像制御部20からの紫外線の照射量の制御指示を電流指示値に変換し、駆動部63に出力する。
【0046】
(画像制御部による第2照射部の制御方法)
図6は、第2画像形成において紫外線照射部から紫外線が照射される様子を示す図である。
図6に示されるように、第2画像形成が行なわれるとき、用紙Pの第1面11に硬化済のUV硬化インク70が付着されている。
【0047】
第2照射部112は、第2画像形成において、第1面11側から、照射対象となる第2面12上のUV硬化インク71に向けて紫外線を照射する。第2照射部112から照射された紫外線は、第1面11上のUV硬化インク70と用紙Pとを透過してから、第2面12上のUV硬化インク71に到達する。そのため、第2画像形成における第2照射部112から第2面12上のUV硬化インク71への紫外線の照射量は、第1画像形成(
図4参照)における第2照射部112から第1面11上のUV硬化インク70への紫外線の照射量よりも少なくなりやすい。UV硬化インクへの紫外線の照射量が少なくなると、UV硬化インクの硬化が不十分となる。
【0048】
画像制御部20は、UV硬化インクを十分に硬化させるために、第2画像形成における紫外線の照射量が第1画像形成における紫外線の照射量よりも多くなるように、第2照射部112を制御する。すなわち、画像制御部20は、第1画像形成のときの第2照射部112の紫外線の照射量を第1画像形成用の設定値L1に設定するとともに、第2画像形成のときの第2照射部112の紫外線の照射量を第2画像形成用の設定値L2(>L1)に設定する。第2照射部112の紫外線の照射量は、UV−LED117に供給する電力(単位:mW)、または、UV−LED117の輝度(単位:cd/m
2)で表される。
【0049】
図7は、実施の形態1の画像制御部による第2照射部の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
まず、画像制御部20は、第2画像形成モードかどうか判断する(ステップS1)。第2画像形成モードでない場合(ステップS1でNO)、第2照射部112の照射量が第1画像形成用の設定値L1に維持され、処理はステップS1に戻る。
【0051】
第2画像形成モードである場合(ステップS1でYES)、画像制御部20は、用紙Pにおける画像形成領域の先端が開始位置に到達したか判断する(ステップS2)。画像形成領域とは、第2面12において画像形成の対象となる領域である。開始位置は、紫外線照射部110からの紫外線が照射される位置または当該位置よりもわずかに上流側の位置である。画像制御部20は、給紙部130から用紙Pが給紙されたタイミングからの経過時間と搬送装置140の搬送速度とに基づいて、用紙Pにおける画像形成領域の先端が開始位置に到達したか否かを判断すればよい。
【0052】
用紙Pにおける画像形成領域の先端が開始位置に到達していない場合(ステップS2でNO)、処理はステップS1に戻る。
【0053】
用紙Pにおける画像形成領域の先端が開始位置に到達した場合(ステップS2でYES)、画像制御部20は、第2照射部112が紫外線を照射中であるか否かを判断する(ステップS3)。第2照射部112が紫外線を照射中でない場合(ステップS3でNO)、画像制御部20は、第2照射部112をオン状態に制御する(ステップS4)。このとき、画像制御部20は、第2照射部112が照射中であることを示すフラグを「1」に設定する。ステップS4の後、処理はステップS5に移る。第2照射部112が紫外線を照射中である場合(ステップS3でYES)、つまりフラグが「1」である場合も、処理はステップS5に移る。
【0054】
ステップS5において、画像制御部20は、第2照射部112からの紫外線の照射量を第2画像形成用の設定値L2(>L1)に設定し、紫外線の照射量を変更する制御指示をUV駆動回路60に出力する。これにより、第2画像形成における第2照射部112からの紫外線の照射量は、第1画像形成における第2照射部112からの紫外線の照射量よりも多くなる。
【0055】
次に、画像制御部20は、用紙Pにおける画像形成領域の後端が終了位置に到達したか判断する(ステップS6)。終了位置は、紫外線照射部110に対向する位置または紫外線照射部110に対向する位置よりもわずかに下流側の位置である。用紙Pにおける画像形成領域の終端が終了位置に到達していない場合(ステップS6でNO)、処理はステップS1に戻る。用紙Pにおける画像形成領域の終端が終了位置に到達した場合(ステップS6でYES)、画像制御部20は、第2照射部112をオフ状態に制御する(ステップS7)。
【0056】
以上のように、実施の形態1の画像形成装置1は、紫外線照射部110と、画像制御部20とを備える。紫外線照射部110は、第1面11および第2面12のうち、照射対象となるUV硬化インクが吐出された一方面側から当該インクに向けて紫外線を照射する第1照射部111と、他方面側から当該インクに向けて紫外線を照射する第2照射部112とを含む。画像制御部20は、第2画像形成における紫外線の照射量が第1画像形成における紫外線の照射量よりも多くなるように、第2照射部112を制御する。
【0057】
これにより、両面印刷において、第1面11上に硬化済のUV硬化インク70が付着していたとしても、第2面12に吐出されたUV硬化インク71に到達する紫外線量の低下を抑制することができる。
【0058】
<実施の形態2>
実施の形態2に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置1の変形例である。実施の形態1において、画像制御部20は、第2画像形成における紫外線の照射量が第1画像形成における紫外線の照射量よりも一律に多くなるように、第2照射部112を制御した。しかしながら、第2面12上の未硬化のUV硬化インクの全てが第1面11上の硬化済のUV硬化インクと必ずしも重なるわけではない。実施の形態2に係る画像形成装置では、画像制御部20は、ラスターデータに基づいて、第1面11上のUV硬化インクと第2面上のUV硬化インクとが重なり合う重なり領域を判別する。画像制御部20は、第2画像形成において、重なり領域内のUV硬化インクへの紫外線の照射量が第1画像形成における紫外線の照射量よりも多くなるように、第2照射部112を制御する。以下、実施の形態2に係る画像制御部20の処理内容の詳細について説明する。
【0059】
(重なり領域の判別方法)
画像制御部20は、画像メモリ回路40によって展開された第1ラスターデータに基づいて、第1面11上に画像を形成する。具体的には、画像制御部20は、第1ラスターデータにおける先頭行の画素に対応する第1面11上の位置が吐出ヘッド部100に到達するタイミングで、当該画素の濃度値に応じた吐出量のUV硬化インクを吐出ヘッド部100から吐出させる。その後、画像制御部20は、用紙Pが1画素分だけ搬送されると、次の行の画素の濃度値に応じた吐出量のUV硬化インクを吐出ヘッド部100から吐出させる。
【0060】
同様にして、画像制御部20は、画像メモリ回路40によって展開された第2ラスターデータに基づいて、第2面12上に画像を形成する。
【0061】
第1ラスターデータおよび第2ラスターデータは、M×N個の画素ごとに、当該画素の座標(X,Y)(X=0,1,・・・,M−1、Y=0,1,・・・,N−1)と、当該画素の濃度値とを対応付けたデータである。第1ラスターデータおよび第2ラスターデータにおける先頭行の画素は、座標(0,0)〜座標(M−1,0)で示される画素である。第1ラスターデータおよび第2ラスターデータにおける最終行の画素は、座標(0,N−1)〜座標(M−1,N−1)で示される画素である。
【0062】
図8は、第1面に形成される画像と第2面に形成される画像との重なり領域の一例を示す図である。
図8(a)には、第1ラスターデータにおいて濃度値が0である画素Px0(図中、白色で示される)と、第1ラスターデータにおいて濃度値が0ではない画素Px1(図中、斜線ハッチングで示される)とが示される。
図8(b)には、第2ラスターデータにおいて濃度値が0である画素Px2(図中、白色で示される)と、第2ラスターデータにおいて濃度値が0ではない画素Px3(図中、斜線ハッチングで示される)とが示される。
図8(c)には、画素Px2と画素Px4(図中、斜線ハッチングで示される)と画素Px5(図中、網状ハッチングで示される)とが示される。画素Px4は、
図8(b)に示す画素Px3のうち、
図8(a)に示す画素Px0と重なり合う画素である。画素Px5は、
図8(b)に示す画素Px3のうち、
図8(a)に示す画素Px1と重なり合う画素である。
【0063】
上述したように、反転部160は、第1画像形成から第2画像形成に移行する際に、用紙Pの先端と後端とを反転させて、表裏を反転させる。そのため、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素に対応する第2面12上の位置の真裏は、第1ラスターデータにおける座標(m,N−1−n)の画素に対応する第1面11上の位置となる。したがって、第2ラスターデータとY座標が反転された第1ラスターデータとを比較することにより、画素Px3は、画素Px0と重なり合う画素Px4と、画素Px1と重なり合う画素Px5とのいずれかに容易に分類できる。画像制御部20は、画素Px5の集合からなる領域を、第1面11上のUV硬化インクと第2面12上のUV硬化インクとが重なり合う重なり領域として判別する。画像制御部20は、画素Px4の集合からなる領域を、第1面11上のUV硬化インクと重ならない非重なり領域として判別する。画像制御部20は、画素Px2の集合からなる領域を、UV硬化インクを吐出させない対象外領域として判別する。
【0064】
画像制御部20は、第1ラスターデータを以下に(a)(b)に従って変換することにより、画素ごとに、当該画素の座標と当該画素の値(画素値)とを対応付けた第1変換データを生成する。
(a):Y座標を反転させる。
(b):濃度値が0である画素に対応する画素値を「0」とし、濃度値が0ではない画素に対応する画素値を「1」とする。
【0065】
さらに、画像制御部20は、第2ラスターデータを上記の(b)に従って変換することにより、画素ごとに、当該画素の座標と画素値とを対応付けた第2変換データを生成する。
【0066】
図9は、第1変換データの一例を示す。
図10は、第2変換データの一例を示す。
図9および
図10には、各画素の座標と画素値とが示される。画像制御部20は、同一の座標の画素について、第1変換データにおける画素値と第2変換データにおける画素値とを比較する。画像制御部20は、第1変換データにおける画素値と第2変換データにおける画素値との両方が「1」である画素の座標を画素Px5(
図8参照)の座標として特定する。画像制御部20は、第1変換データにおける画素値が「0」であり、第2変換データにおける画素値が「1」である画素の座標を画素Px4(
図8参照)の座標として特定する。画像制御部20は、第2変換データにおける画素値が「0」である画素の座標を画素Px2(
図8参照)の座標として特定する。
【0067】
図9および
図10に示す例では、第1変換データにおける座標(0,n)の画素値は「0」であり、第2変換データにおける座標(0,n)の画素値は「1」である。そのため、画像制御部20は、座標(0,n)の画素を、第2画像形成においてUV硬化インクが吐出されるが、第1面11上のUV硬化インクとの重なり合わない画素Px4として判別する。第1変換データにおける座標(0,t)の画素値は「1」であり、第2変換データにおける座標(0,t)の画素値は「0」である。そのため、画像制御部20は、座標(0,n)の画素を、第2画像形成ではUV硬化インクが吐出されない画素Px2として判別する。第1変換データにおける座標(m,0)の画素値は「1」であり、第2変換データにおける座標(m,0)の画素値は「1」である。そのため、画像制御部20は、座標(m,0)の画素を、第2画像形成においてUV硬化インクが吐出され、第1面11上のUV硬化インクとの重なり合う画素Px5として判別する。第1変換データにおける座標(s,0)の画素値は「0」であり、第2変換データにおける座標(s,0)の画素値は「0」である。そのため、画像制御部20は、座標(s,0)の画素を、第2画像形成ではUV硬化インクが吐出されない画素Px2として判別する。
【0068】
図11は、実施の形態2における第2ラスターデータの各画素の属性の判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。各画素の属性を判別するために、事前に、第1ラスターデータから第1変換データが生成され、第2ラスターデータから第2変換データが生成される。第1変換データおよび第2変換データは、画像メモリ回路40によって生成される。
【0069】
まず、画像制御部20は、座標(X,Y)を(0,0)に設定する(ステップS11)。画像制御部20は、第1変換データにおける座標(X,Y)の画素値G1を読み出す(ステップS12)。画像制御部20は、第2変換データにおける座標(X,Y)の画素値G2を読み出す(ステップS13)。
【0070】
画像制御部20は、画素値G2=1であるか否かを判断する(ステップS14)。画素値G2=1でない場合(ステップS14でNO)、画像制御部20は、座標(X,Y)の画素を、UV硬化インクが吐出されない画素Px2として判別する。画像制御部20は、座標(X,Y)と「対象外領域」を示す情報とを対応付けて保存する(ステップS15)。
【0071】
画素値G2=1である場合(ステップS14でYES)、画像制御部20は、画素値G1=1であるか否かを判断する(ステップS16)。画素値G1=1でない場合(ステップS16でNO)、画像制御部20は、座標(X,Y)の画素を、UV硬化インクが吐出されるが、第1面11上のUV硬化インクと重ならない画素Px4として判別する。画像制御部20は、座標(X,Y)と「非重なり領域」を示す情報とを対応付けて保存する(ステップS17)。
【0072】
画素値G1=1である場合(ステップS16でYES)、画像制御部20は、座標(X,Y)の画素を、UV硬化インクが吐出され、第1面11上のUV硬化インクと重なり合う画素Px5として判別する。画像制御部20は、座標(X,Y)と「重なり領域」を示す情報とを対応付けて保存する(ステップS18)。
【0073】
次に、画像制御部20は、X座標=M−1であるか否かを判断する(ステップS19)。X座標=M−1でない場合(ステップS19でNO)、画像制御部20は、X座標を1だけ増やす(ステップS20)。X座標=M−1である場合(ステップS19でNO)、画像制御部20は、X座標を0とし、Y座標を1だけ増やす(ステップS21)。
【0074】
次に、画像制御部20は、全画素の判別が終了したか否かを判断する(ステップS22)。具体的には、Y座標=Nである場合に全画素の判別が終了したと判断する。全画素の判別が終了していない場合(ステップS22でNO)、処理はステップS12に戻る。ステップS22でYESの場合、各画素の属性の判別処理が終了する。
【0075】
(第2照射部の紫外線の照射量の設定)
画像制御部20は、第2照射部112における複数の制御単位の各々について、紫外線の照射量を制御する。1つの制御単位は、第2ラスターデータにおけるいずれか1つ画素に対応する用紙P上の位置に紫外線を照射する。
【0076】
画像制御部20は、第1画像形成において、濃度値が0ではない画素に対する第2照射部112の紫外線の照射量を、予め定められた設定値L1に設定する。画像制御部20は、第1画像形成において、濃度値が0の画素に対する第2照射部112の紫外線の照射量を、予め定められた設定値L0(<L1)に設定する。設定値L0は、光量を安定化するために、必要最低限照射することができる値である。ただし、応答性や安定性の面で可能であれば、設定値L0は0であってもよい。
【0077】
画像制御部20は、第2画像形成において、「重なり領域」と判別された画素に対する第2照射部112の紫外線の照射量を、予め定められた設定値L2(>L1)に設定する。画像制御部20は、第2画像形成において、「非重なり領域」と判別された画素に対する第2照射部112の紫外線の照射量を設定値L1に設定する。画像制御部20は、第2画像形成において、「対象外領域」と判別された画素に対する第2照射部112の紫外線の照射量を設定値L0に設定する。
【0078】
図12は、第2画像形成における各画素における、座標と属性の判別結果と照射量の設置値とを対応付けた一覧を示す図である。
図12に示されるように、画像制御部20は、判別結果に応じて、紫外線の照射量を設定値L0,L1,L2のいずれかに設定し、設定した照射量と座標とを対応付けて保存する。
【0079】
(画像制御部による第2照射部の制御方法)
図13は、実施の形態2の画像制御部による第2照射部の制御処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、
図7に示すフローチャートと比較して、ステップS5の代わりにステップS21〜S24を含む点で相違する。
【0080】
画像制御部20は、用紙Pが1画素分だけ搬送される時間を1周期として、1周期ごとに
図13のフローチャートに示される一連の処理を繰り返し実行する。すなわち、現時刻tから1周期だけ前の時刻t−1において
図13のフローチャートに示される一連の処理が実行された後、現時刻tにおいて
図13のフローチャートに示される一連の処理が再度実行される。
【0081】
画像制御部20は、実施の形態1と同様にステップS1〜S4を行なう。次に、画像制御部20は、紫外線照射部110の紫外線の照射位置に対応する画素の座標を特定する(ステップS21)。画像制御部20は、第2面12の画像形成領域が開始位置に到達したタイミング(ステップS2でYESとなったタイミング)からの経過時間と用紙Pの搬送速度とに基づいて、現時刻tにおける照射位置に対応する画素の座標を特定する。
【0082】
次に、画像制御部20は、特定した座標の画素に対して設定した設定値(L0,L1またはL2)を読み出し、現時刻tにおける照射量Ltを読み出した設定値に設定する(ステップS22)。
【0083】
画像制御部20は、設定した照射量Ltが時刻t−1に設定した照射量Lt−1と異なるか否かを判断する(ステップS23)。Lt≠Lt−1である場合(ステップS23でYES)、画像制御部20は、第2照射部112の紫外線の照射量をLt−1からLtに変更する(ステップS24)。その後、処理はステップS6に移る。Lt≠Lt−1ではない場合も(ステップS23でNO)、処理はステップS6に移る。
【0084】
図14は、用紙PのUV硬化インクの付着状態と第2照射部の紫外線の照射量との変化を示す図である。
図14に示されるように、用紙Pの第1面11および第2面12にUV硬化インク70,71がそれぞれ付着されている重なり領域73では、第2照射部112の紫外線の照射量は、最も大きい設定値L2に設定される。これにより、第2面12に付着されたUV硬化インクに到達する紫外線量の低下を抑制できる。
【0085】
用紙Pの第2面12にのみUV硬化インク71が付着されている非重なり領域74では、第2照射部112の紫外線の照射量は、第1画像形成のときの照射量と同じ設定値L1(<L2)に設定される。非重なり領域74では、第1面11にUV硬化インク70が存在しないため、第2照射部112から照射された紫外線は、第1面11上のUV硬化インク70に邪魔されることなく、第2面12上のUV硬化インク71に到達する。したがって、第2照射部112の紫外線の照射量を設定値L1に設定しても、第2面12に付着されたUV硬化インクを十分に硬化することができる。
【0086】
用紙Pの第2面12にUV硬化インク71が付着されている対象外領域75では、第2照射部112の紫外線の照射量は、第2照射部112の安定化のために必要な最小限の設定値L0(<L1)に設定される。
【0087】
図15は、第2照射部の紫外線の照射量と第2照射部が有するUV−LEDの駆動電流との関係を示す図である。
図15に示されるように、第2照射部112の紫外線の照射量は、第2照射部112が有するUV−LED117の駆動電流に略比例する。そのため、UC駆動回路60(
図2、
図5参照)は、指示された照射量に対応する駆動電流だけUV−LED117に流す。これにより、第2照射部112は、設定された照射量だけ紫外線を照射できる。
【0088】
以上のように、画像制御部20は、第1面11上のUV硬化インク70と第2面12上のUV硬化インク71とが重なり合う重なり領域73を判別する。画像制御部20は、第2画像形成において、重なり領域73内のUV硬化インク71への紫外線の照射量(設定値L2)が第1画像形成におけるUV硬化インクへの紫外線の照射量(設定値L1)よりも多くなるように、第2照射部112を制御する。さらに、画像制御部20は、第2画像形成において、非重なり領域74内のUV硬化インク71への紫外線の照射量(設定値L1)が重なり領域73内のUV硬化インクへの紫外線の照射量(設定値L2)よりも少なくなるように、第2照射部112を制御する。
【0089】
これにより、第2画像形成において、重なり領域内の第2面12上のUV硬化インク71に到達する紫外線量の低下を抑制できる。さらに、非重なり領域74内の第2面12上のUV硬化インク71への紫外線の照射量は、重なり領域73内の第2面12上のUV硬化インク71への紫外線の照射量よりも小さいため、第2照射部112の消費電力を低減できる。たとえば、第2画像形成における非重なり領域内の内の第2面12上のUV硬化インク71への紫外線の照射量は、第1画像形成におけるUV硬化インクへの紫外線の照射量(設定値L1)と同じに設定される。
【0090】
<実施の形態3>
実施の形態3に係る画像形成装置は、実施の形態2に係る画像形成装置の変形例である。実施の形態2では、第1ラスターデータおよび第2ラスターデータに基づいて、画像制御部20は、第2ラスターデータの各画素が重なり領域、非重なり領域、対象外領域のいずれに属するか判別する。しかしながら、搬送途中に何等かの原因で用紙Pの位置がずれた場合、用紙Pの所望の位置からずれた位置にUV硬化インクが付着される。実施の形態3に係る画像形成装置では、用紙Pの位置ずれも考慮して、画像制御部20は、第2ラスターデータの各画素が重なり領域、非重なり領域、対象外領域のいずれに属するか判別する。
【0091】
図16は、実施の形態3に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図16に示されるように、実施の形態3に係る画像形成装置1Aは、
図1に示す画像形成装置1と比較して、センサー180,181を備える点で相違する。
【0092】
センサー180,181は、吐出ヘッド部100の直前に配置される。センサー180は、用紙Pにおける搬送方向の位置ずれ量を検出する。センサー181は、用紙Pにおける搬送方向に垂直な方向(以下、「幅方向」という)の位置ずれ量を検出する。センサー180,181は、光センサー、CCDまたはCMOSセンサーによって構成され、用紙Pの端面のエッジの位置を特定し、位置ズレ量を検出する。
【0093】
図17は、位置ずれ量を検出するセンサー180,181と用紙Pとの位置関係を示す平面図である。
図17に示されるように、センサー180は、用紙Pにおける搬送方向の先端と重なる位置に配置される。センサー181は、用紙Pにおける幅方向の一方端と重なる位置に配置される。
【0094】
センサー180は、画像制御部20から先端タイミング信号を受ける。先端タイミング信号は、給紙部130から用紙Pが搬送装置140に給紙されたタイミングから、給紙部130からセンサー180までの距離を搬送速度で割った時間だけ経過したタイミングで出力される信号である。用紙Pに搬送方向の位置ずれが生じていない場合、先端タイミング信号を受けるタイミングで、用紙Pの先端がセンサー180に到達する。先端タイミング信号を受けるときに位置ずれの生じていない用紙Pの先端の位置が搬送方向の基準位置として予め設定されている。
【0095】
センサー180は、先端タイミング信号を受けたタイミングと、用紙Pの先端を検出したタイミングとの時間差に基づいて、搬送方向の基準位置に対する搬送方向の位置ずれ量ΔYを検出する。具体的には、センサー180は、当該時間差に搬送速度を乗ずることにより、搬送方向の位置ずれ量ΔYを検出する。なお、センサー180は、用紙Pの後端の位置と搬送方向の基準位置との位置ずれ量ΔYを検出してもよい。
【0096】
センサー180は、第1画像形成および第2画像形成のいずれにおいても用紙Pの搬送方向の位置ずれ量ΔYを検出する。以下では、第1画像形成における用紙Pの搬送方向の位置ずれ量をΔY1とし、第2画像形成における用紙Pの搬送方向の位置ずれ量をΔY2とする。
【0097】
センサー181は、用紙Pのサイズごとに予め決められた幅方向の基準位置と、用紙Pの幅方向の一方端との差を、幅方向の位置ずれ量ΔXとして検出する。幅方向の基準位置は、位置ずれの生じていない用紙Pの幅方向の一方端の位置である。
【0098】
センサー181は、第1画像形成および第2画像形成のいずれにおいても用紙Pの幅方向の位置ずれ量ΔXを検出する。以下では、第1画像形成における用紙Pの幅方向の位置ずれ量をΔX1とし、第2画像形成における用紙Pの幅方向の位置ずれ量をΔX2とする。
【0099】
図18は、第1画像形成において用紙の位置ずれが生じ、第2画像形成において用紙の位置ずれが生じていないときの、第1面に形成される画像と第2面に形成される画像との重なり領域の一例を示す図である。
【0100】
図18(a)には、第1ラスターデータにおいて濃度値が0である画素Px0(図中、白色で示される)と、第1ラスターデータにおいて濃度値が0ではない画素Px1(図中、斜線ハッチングで示される)とが示される。
図18(a)には、用紙Pの位置が示される。
図18(a)に示されるように、用紙Pは、幅方向にΔX1だけ、搬送方向にΔY1だけずれている。ΔX1は、用紙Pが−X方向にずれている場合に負の値を示し、用紙Pが+X方向にずれている場合に正の値を示す。
図18(a)には、用紙Pが+X方向にずれている例が示される。ΔY1は、用紙Pが−Y方向(ここでは、基準位置から搬送方向の上流側の方向)にずれている場合に負の値を示し、用紙Pが+Y方向(ここでは、基準位置から搬送方向の下流側の方向)にずれている場合に正の値を示す。
図18(a)には、+Y方向にずれている例が示される。
【0101】
図18(b)には、第2ラスターデータにおいて濃度値が0である画素Px2(図中、白色で示される)と、第2ラスターデータにおいて濃度値が0ではない画素Px3(図中、斜線ハッチングで示される)とが示される。
【0102】
図18(c)には、画素Px2と画素Px4(図中、斜線ハッチングで示される)と画素Px5(図中、網状ハッチングで示される)とが示される。画素Px4は、
図18(b)に示す画素Px3のうち、
図18(a)に示す画素Px0と重なり合う画素である。画素Px5は、
図18(b)に示す画素Px3のうち、
図18(a)に示す画素Px1と重なり合う画素である。
【0103】
上述したように、反転部160は、第1画像形成から第2画像形成に移行する際に、用紙Pの先端と後端とを反転させる。そのため、用紙Pの位置ずれが生じていない場合、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素Px10に対応する第2面12上の位置の真裏は、第1ラスターデータにおける座標(m,N−1−n)の画素Px11に対応する第1面11上の位置となる。しかしながら、
図18(a)に示されるように、第1ラスターデータの画像は、位置ずれの生じている用紙Pの第1面11に形成される。たとえば、ΔX=+1、ΔY=+1とすると、第1ラスターデータにおける座標(m,N−1−n)の画素に本来対応すべき第1面11上の位置には、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX1,N−1−n+ΔY1)=(m+1,N−n)の画素Px12が形成されることになる。そのため、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素に対応する第2面12上の位置の真裏の第1面11上の位置には、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX1,N−1−n+ΔY1)=(m+1,N−n)の画素Px12が形成される。
【0104】
画像制御部20は、第1画像形成における用紙Pの位置ずれ量ΔX1,ΔY1だけ、第1変換データの各画素の座標を補正する。第1変換データは、第1ラスターデータのY座標を反転することにより得られる。つまり、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX1,N−1−n+ΔY1)は、第1変換データの座標(m+ΔX1,(N−1)−(N−1−n+ΔY1))=(m+ΔX1,n−ΔY1)に対応する。そのため、画像制御部20は、第1変換データの座標(X、Y)を座標(X−ΔX1,Y+ΔY1)に補正する。
【0105】
図19は、第2画像形成において用紙の位置ずれが生じ、第1画像形成において用紙の位置ずれが生じていないときの、第1面に形成される画像と第2面に形成される画像との重なり領域の一例を示す図である。
【0106】
図19(a)には、第1ラスターデータにおいて濃度値が0である画素Px0(図中、白色で示される)と、第1ラスターデータにおいて濃度値が0ではない画素Px1(図中、斜線ハッチングで示される)とが示される。
【0107】
図19(b)には、第2ラスターデータにおいて濃度値が0である画素Px2(図中、白色で示される)と、第2ラスターデータにおいて濃度値が0ではない画素Px3(図中、斜線ハッチングで示される)とが示される。
図19(b)には、用紙Pの位置が示される。
図19(b)に示されるように、用紙Pは、幅方向にΔX2だけ、搬送方向にΔY2だけずれている。ΔX2は、用紙Pが−X方向にずれている場合に負の値を示し、用紙Pが+X方向にずれている場合に正の値を示す。
図19(a)には、用紙Pが−X方向にずれている例が示される。ΔY1は、用紙Pが−Y方向(ここでは、基準位置から搬送方向の上流側の方向)にずれている場合に負の値を示し、用紙Pが+Y方向(ここでは、基準位置から搬送方向の下流側の方向)にずれている場合に正の値を示す。
図19(b)には、+Y方向にずれている例が示される。
【0108】
図19(c)には、画素Px2と画素Px4(図中、斜線ハッチングで示される)と画素Px5(図中、網状ハッチングで示される)とが示される。画素Px4は、
図19(b)に示す画素Px3のうち、
図19(a)に示す画素Px0と重なり合う画素である。画素Px5は、
図19(b)に示す画素Px3のうち、
図19(a)に示す画素Px1と重なり合う画素である。
【0109】
上述したように、反転部160は、第1画像形成から第2画像形成に移行する際に、用紙Pの先端と後端とを反転させる。そのため、用紙Pの位置ずれが生じていない場合、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素Px10に対応する第2面12上の位置の真裏は、第1ラスターデータにおける座標(m,N−1−n)の画素Px11に対応する第1面11上の位置となる。しかしながら、
図19(b)に示されるように、第2ラスターデータの画像は、位置ずれの生じている用紙Pの第2面12に形成される。たとえば、ΔX2=−1、ΔY2=+1とすると、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素Px12に対応する第2面12上の位置の真裏には、第1ラスターデータにおける座標(m−ΔX2,N−1−n+ΔY2)=(m+1,N−n)の画素Px12が形成されることになる。
【0110】
画像制御部20は、第2画像形成における用紙Pの位置ずれ量ΔX2,ΔY2だけ、第1変換データの各画素の座標を補正する。第1変換データは、第1ラスターデータからY座標が反転される。つまり、第1ラスターデータにおける座標(m−ΔX2,N−1−n+ΔY2)は、第1変換データの座標(m−ΔX2,(N−1)−(N−1−n+ΔY2))=(m−ΔX2,n−ΔY2)に対応する。そのため、画像制御部20は、第1変換データの座標(X、Y)を座標(X+ΔX2,Y+ΔY2)に補正する。
【0111】
図20は、用紙Pの位置ずれ量を考慮した補正前後の第1変換データの各座標の一例を示す図である。
【0112】
第1画像形成において位置ずれ量ΔX1,ΔY1の位置ずれが発生し、第2画像形成において位置ずれ量ΔX2,ΔY2の位置ずれが発生したとする。この場合、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素に対応する第2面12上の位置の真裏には、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX1−ΔX2,N−1−n+ΔY1+ΔY2)の画素が形成される。第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX1−ΔX2,N−1−n+ΔY1+ΔY2)は、第1変換データの座標(m+ΔX1−ΔX2,(N−1)−(N−1−n+ΔY1+ΔY2))=(m+ΔX1−ΔX2,n−ΔY1−ΔY2)に対応する。
【0113】
そこで、画像制御部20は、第1画像形成における位置ずれ量ΔX1と、第2画像形成における位置ずれ量ΔX2とを用いて、第1変換データのX座標を−ΔX1+ΔX2だけ補正する。画像制御部20は、第1画像形成における位置ずれ量ΔY1と、第2画像形成における位置ずれ量ΔY2とを用いて、第1変換データのY座標を+ΔY1+ΔY2だけ補正する。
【0114】
(画像制御部による第2照射部の制御方法)
図21は、実施の形態3における第2ラスターデータの各画素の属性の判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図21に示すフローチャートは、
図11に示すフローチャートと比較して、ステップS11の前にステップS31,S32を含む点でのみ相違する。そのため、以下では、ステップS31およびステップS32について説明する。
【0115】
ステップS31において、画像制御部20は、センサー180から、第1画像形成における搬送方向の位置ずれ量ΔY1と、第2画像形成における搬送方向の位置ずれ量ΔY2とを取得する。さらに、画像制御部20は、センサー181から、第1画像形成における幅方向の位置ずれ量ΔX1と、第2画像形成における幅方向の位置ずれ量ΔX2とを取得する。
【0116】
ステップS32において、画像制御部20は、位置ずれ量ΔX1,ΔX2,ΔY1,ΔY2に基づいて、第1変換データの座標を補正する。具体的には、第1変換データの座標(X,Y)は、(X−ΔX1+ΔX2,Y+ΔY1+ΔY2)に補正される。
【0117】
その後、
図11と同様にステップS12〜S22が行なわれる。ステップS12では、座標変換後の第1変換データから座標(X,Y)に対応する画素値G1が読み出される。画素値G1は、座標変換前の第1変換データにおける座標(X+ΔX1−ΔX2,Y−ΔY1−ΔY2)に対応する画素値である。上述したように、座標変換前の第1変換データにおける座標(m+ΔX1−ΔX2,n−ΔY1−ΔY2)は、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX1−ΔX2,N−1−n+ΔY1+ΔY2)に対応する。さらに、上述したように、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素に対応する第2面12上の位置の真裏には、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX1−ΔX2,N−1−n+ΔY1+ΔY2)の画素が形成される。そのため、画像制御部20は、画素値G1と画素値G2とを比較することにより、第2ラスターデータにおける座標(X,Y)の画素が、重なり領域、非重なり領域および対象外領域のいずれに属するかを判別できる。
【0118】
以上のように、センサー180,181は、用紙Pの位置ずれ量を検出する。画像制御部20は、位置ずれ量に応じて第1変換データの座標を補正し、補正後の座標を用いて重なり領域を判別する。これにより、用紙Pに位置ずれが生じた場合であっても、第2画像形成において、第2面12上のUV硬化インクに到達する紫外線量の低下を抑制できる。
【0119】
センサー180は、用紙Pにおける搬送方向の上流側端および下流側端の少なくとも一方の基準位置からの位置ずれ量ΔYを検出する。画像制御部20は、第1画像形成において検出された位置ずれ量ΔY1と第2画像形成において検出された位置ずれ量ΔY2とに応じて、第1変換データの座標を補正する。これにより、第1画像形成および第2画像形成の両方の搬送方向の位置ずれを考慮して、重なり領域を精度良く判別できる。
【0120】
センサー181は、用紙Pにおける搬送方向に垂直な幅方向の一方端の基準位置からの位置ずれ量ΔXを検出する。画像制御部20は、第1画像形成において検出された位置ずれ量ΔX1と第2画像形成において検出された位置ずれ量ΔX2とに応じて、第1変換データの座標を補正する。これにより、第1画像形成および第2画像形成の両方の幅方向の位置ずれを考慮して、重なり領域を精度良く判別できる。
【0121】
<実施の形態4>
実施の形態4に係る画像形成装置は、実施の形態3に係る画像形成装置の変形例である。実施の形態3に係る画像形成装置1Aでは、用紙Pの端部の位置に基づいて、用紙Pの位置ずれ量が検出される。これに対し、実施の形態4に係る画像形成装置では、第1面11に形成された基準マークの位置に基づいて、用紙Pの位置ずれ量が検出される。
【0122】
実施の形態4に係る画像形成装置では、第1画像形成において第1面11上に基準マークが形成されるように、第1ラスターデータには、当該基準マーク用の座標と濃度値とを対応付けたデータが含まれる。
【0123】
図22は、実施の形態4に係る画像形成装置において用いられる第1ラスターデータに対応する画像を示す図である。
図22には、第1ラスターデータにおいて濃度値が0である画素Px0と、第1ラスターデータにおいて濃度値が0ではない画素Px1とが示される。さらに、画素Px1の一部は、基準マーク80を構成する。基準マークを構成する画素の座標値は、予め定められた固定値である。
【0124】
図23は、実施の形態4に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図23に示されるように、画像形成装置1Bは、
図1に示す画像形成装置1と比較して、センサー182を備える点で相違する。
【0125】
センサー182は、吐出ヘッド部100の直前であり、かつ、用紙Pに対して吐出ヘッド部100とは反対側に配置される。センサー182は、第2画像形成において、用紙Pの第1面11に形成された基準マーク80の位置ずれ量を検出する。センサー182は、光センサー、CCDまたはCMOSセンサーによって構成される。
【0126】
位置ずれが生じていない用紙Pがセンサー182に到達したタイミングでセンサー182によって検出される基準マーク80の位置は、基準位置として予め定められている。
【0127】
センサー182は、検出タイミング信号を受けたタイミングで、基準マーク80の位置を特定し、特定した位置と基準位置との、搬送方向の位置ずれ量ΔY3および幅方向の位置ずれ量ΔX3とを検出する。検出タイミング信号は、給紙部130から用紙Pが搬送装置140に給紙されたタイミングから、給紙部130からセンサー182までの距離を搬送速度で割った時間だけ経過したタイミングで出力される信号である。
【0128】
位置ずれ量ΔX3は、第1画像形成における幅方向の位置ずれ量(実施の形態3の位置ずれ量ΔX1に対応)と、第2画像形成における幅方向の位置ずれ量(実施の形態3の位置ずれ量ΔX2に対応)との差分(ΔX1−ΔX2)に対応する。位置ずれ量ΔY3は、第1画像形成における搬送方向の位置ずれ量(実施の形態3の位置ずれ量ΔY1に対応)と、第2画像形成における搬送方向の位置ずれ量(実施の形態3の位置ずれ量ΔY2に対応)との合計(ΔY1+ΔY2)に対応する。
【0129】
そのため、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素に対応する第2面12上の位置の真裏には、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX3,N−1−n+ΔY3)の画素が形成される。第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX3,N−1−n+ΔY3)は、第1変換データの座標(m+ΔX3,(N−1)−(N−1−n+ΔY3))=(m+ΔX3,n−ΔY3)に対応する。
【0130】
実施の形態4における画素の属性の判別処理の流れは、
図21に示すフローチャートと同一である。ただし、ステップS31において、位置ずれ量ΔX3,ΔY3が検出される。ステップS32において、画像制御部20は、第1変換データのX座標を−ΔX3だけ補正し、第1変換データのY座標を+ΔY3だけ補正する。
【0131】
ステップS12では、座標変換後の第1変換データから座標(X,Y)に対応する画素値G1が読み出される。画素値G1は、座標変換前の第1変換データにおける座標(X+ΔX3,Y−ΔY3)に対応する画素値である。上述したように、座標変換前の第1変換データにおける座標(m+ΔX3,n−ΔY3)は、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX3,N−1−n+ΔY3)に対応する。さらに、上述したように、第2ラスターデータにおける座標(m,n)の画素に対応する第2面12上の位置の真裏には、第1ラスターデータにおける座標(m+ΔX3,N−1−n+ΔY3)の画素が形成される。そのため、画像制御部20は、画素値G1と画素値G2とを比較することにより、第2ラスターデータにおける座標(X,Y)の画素が、重なり領域、非重なり領域および対象外領域のいずれに属するかを判別できる。
【0132】
<実施の形態5>
上記の説明では、第2照射部112における1つの制御単位は、第2ラスターデータにおけるいずれか1つ画素に対応する用紙P上の位置に紫外線を照射する。これに対し、実施の形態5では、第2照射部112における1つの制御単位は、第2ラスターデータの複数の画素の集合に対応する用紙P上の領域に紫外線を照射する。
【0133】
図24は、第2照射部の制御単位と、第2ラスターデータの画素との対応関係を示す図である。
図24に示す例では、第2照射部112は、複数の制御単位UV(0,0)〜UV(K,L)に分割されている。1つの制御単位は、第2ラスターデータの3×4=12個の画素の集合に対応する用紙P上の領域に紫外線を照射する。
【0134】
図25は、制御単位と、当該制御単位の紫外線の照射領域に対応する複数の画素の属性と、当該制御単位に対して設定された照射量との関係を示す図である。
【0135】
画像制御部20は、制御単位UVの紫外線の照射領域に対応する複数の画素の属性に応じて、当該制御単位UVの照射量を設定する。具体的には、
図24および
図25に示されるように、画像制御部20は、制御単位UVの紫外線の照射領域に重なり領域を構成する画素Px5が少なくとも1つ含まれる場合、当該制御単位UV(たとえばUV(k,l))の照射量を設定値L2に設定する。画像制御部20は、制御単位UVの紫外線の照射領域に、画素Px5が含まれず、非重なり領域を構成する画素Px4が少なくとも1つ含まれる場合、当該制御単位UV(たとえばUV(K,0))の照射量を設定値L1に設定する。画像制御部20は、制御単位UVの紫外線の照射領域に対象外領域を構成する画素Px2のみが含まれる場合、当該制御単位UV(たとえばUV(0,0))の照射量を設定値L0に設定する。
【0136】
以上のように、第2照射部112は、複数の制御単位UVに区分けされる。画像制御部20は、複数の制御単位UVの各々について、当該制御単位による紫外線の照射領域内に重なり領域が存在するか否かに基づいて、当該制御単位の紫外線の照射量を制御する。これにより、第2照射部112の制御に要する負荷を低減できる。
【0137】
<実施の形態6>
実施の形態6に係る画像形成装置は、実施の形態2の画像形成装置の変形例である。実施の形態6に係る画像形成装置では、用紙Pの種類に応じて、第2画像形成における第1照射部111と第2照射部112と少なくとも一方の紫外線の照射量を補正する。ただし、実施の形態6は、実施の形態3〜5のいずれかと組み合わされてもよい。
【0138】
図26は、用紙Pの種類の選択指示を促す操作パネルの画面例を示す図である。画像形成装置は、
図26に示されるような画面を操作パネルに表示することにより、用紙Pの種類の選択指示を受け付ける。
【0139】
図27は、用紙Pの種類と、用紙P上に吐出されたUV硬化インクの硬化のしやすさを示す硬化度との関係を示す図である。硬化度の値が大きいほど、硬化がしやすい。
図27に示す例では、α1>α2>α3>α4>α5>α6>α7>α8である。硬化度は、用紙Pの紫外線の透過率などによって決定される。
【0140】
画像制御部20は、用紙Pの種類と、硬化度と、第2照射部112における紫外線の照射量の補正値と、第1照射部111における紫外線の照射量の補正値とを対応付けた補正テーブルを予め記憶している。
【0141】
図28は、補正テーブルの一例を示す図である。
図24に示す例では、硬化度が1番目に大きい「media1」の用紙Pと硬化度が2番目に大きい「media2」の用紙Pとに対して、補正値0が設定されている。
【0142】
硬化度が3番目に大きい「media3」の用紙Pと硬化度が4番目に大きい「media4」の用紙Pとに対して、第2照射部112における紫外線の照射量の補正値+Δs00,+Δs10,+Δs20が設定されている。補正値+Δs00は、対象外領域に対する照射量の設定値L0の補正値である。補正値+Δs10は、非重なり領域に対する照射量の設定値L1の補正値である。補正値+Δs20は、重なり領域に対する照射量の設定値L2の補正値である。「media3」および「media4」の用紙Pは、「media1」および「media2」の用紙Pよりも紫外線を透過させにくい。そのため、「media1」および「media2」の用紙Pよりも第2照射部112における紫外線の照射量を増加させることにより、用紙P上に吐出されたUV硬化インクを十分に硬化させることができる。
【0143】
硬化度が5番目に大きい「media5」の用紙Pと硬化度が6番目に大きい「meda6」の用紙Pとに対して、第2照射部112における紫外線の照射量の補正値+Δs01,+Δs11,+Δs21が設定されている。補正値+Δs01は、対象外領域に対する照射量の設定値L0の補正値であり、補正値+Δs00よりも大きい。補正値+Δs11は、非重なり領域に対する照射量の設定値L1の補正値であり、補正値+Δs10よりも大きい。補正値+Δs21は、重なり領域に対する照射量の設定値L2の補正値であり、補正値+Δs20よりも大きい。「media5」および「media6」の用紙Pは、「media3」および「media4」の用紙Pよりも紫外線を透過させにくい。そのため、「media3」および「media4」の用紙Pよりも第2照射部112における紫外線の照射量を増加させることにより、用紙P上に吐出されたUV硬化インクを十分に硬化させることができる。
【0144】
硬化度が7番目に大きい「media7」の用紙Pに対して、第2照射部112における紫外線の照射量の補正値+Δs00,+Δs10,+Δs20が設定され、第1照射部111における紫外線の照射量の補正値+Δs31が設定されている。「media7」の用紙Pは、「media5」および「media6」の用紙Pよりも紫外線をさらに透過させにくい。そのため、第2照射部112における紫外線の照射量をさらに増加させても、用紙P上のUV硬化インクを十分に硬化させることができない。そのため、第1照射部111における紫外線の照射量を増加させる。これにより、第1照射部111の寄与度が大きくなり、用紙P上に吐出されたUV硬化インクを十分に硬化させることができる。
【0145】
硬化度が8番目に大きい「media8」の用紙Pに対して、第2照射部112における紫外線の照射量の補正値+Δs00,+Δs10,+Δs20が設定され、第1照射部111における紫外線の照射量の補正値+Δs31が設定されている。補正値+Δs31は、補正値+Δs30よりも大きい。「media8」の用紙Pは、「media7」の用紙Pよりも紫外線をさらに透過させにくい。そのため、「media7」の用紙Pよりも第1照射部111における紫外線の照射量を増加させることにより、用紙P上に吐出されたUV硬化インクを十分に硬化させることができる。
【0146】
(画像制御部による紫外線照射部の制御方法)
図29は、実施の形態6の画像制御部による紫外線照射部の制御処理の流れの前半を示すフローチャートである。
図30は、実施の形態6の画像制御部による紫外線照射部の制御処理の流れの後半を示すフローチャートである。
【0147】
まず、画像制御部20は、第2画像形成モードかどうか判断する(ステップS1)。第2画像形成モードでない場合(ステップS1でNO)、第1照射部111の紫外線の照射量が設定値L3に維持され、第2照射部112の照射量が設定値L1に維持され、処理はステップS1に戻る。
【0148】
第2画像形成モードである場合(ステップS1でYES)、画像制御部20は、操作パネルへの選択指示に応じて、用紙Pの種類を選択する(ステップS41)。画像制御部20は、選択した用紙Pの種類に対応する補正値を補正テーブル(
図28参照)から読み出す(ステップS42)。
【0149】
画像制御部20は、読み出した補正値により、照射量の設定値を更新する(ステップS43)。具体的には、画像制御部20は、第1照射部111の紫外線の照射量の設定値L3を、補正値+Δs3(
図28に示すΔs30またはΔs31)だけ補正する。画像制御部20は、第2照射部112における対象外領域への紫外線の照射量の設定値L0を、補正値+Δs0(
図28に示すΔs00またはΔs01)だけ補正する。画像制御部20は、第2照射部112における非重なり領域への紫外線の照射量の設定値L1を、補正値+Δs1(
図28に示すΔs10またはΔs11)だけ補正する。画像制御部20は、第2照射部112における重なり領域への紫外線の照射量の設定値L2を、補正値+Δs2(
図28に示すΔs20またはΔs21)だけ補正する。
【0150】
次に、画像制御部20は、紫外線の照射量が設定値L3になるように第1照射部111の制御を開始する(ステップS44)。その後、ステップS2〜S4、ステップS21〜S24およびステップS6,S7が実行される。これらの処理は、実施の形態1(
図7参照)および実施の形態2(
図13参照)で説明した通りである。
【0151】
以上のように、画像制御部20は、用紙Pの種類に応じて、第2画像形成における第2照射部112の紫外線の照射量を補正する。さらに、画像制御部20は、用紙Pの種類に応じて、第2画像形成における第1照射部111の紫外線の照射量を補正する。これにより、紫外線を透過しにくい用紙Pであっても、UV硬化インクへ到達する紫外線量の低下をさらに抑制できる。
【0152】
<実施の形態7>
実施の形態7に係る画像形成装置は、実施の形態6に係る画像形成装置の変形例である。実施の形態7に係る画像形成装置では、用紙Pの透過率および表面状態を検出することにより、用紙Pの種類が推定される。
【0153】
図31は、実施の形態7に係る画像形成装置の構成を示す図である。画像形成装置1Cは、実施の形態1に係る画像形成装置1(
図1参照)と比較して、センサー183,184を備える点で相違する。
【0154】
センサー183は、たとえば反射型光センサーであり、用紙Pの表面反射率を検出する。
【0155】
センサー184は、用紙Pの透過率を検出する。センサー184は、発光部185と、受光部186とを有する。発光部185と受光部186との間に用紙Pが搬送される。発光部185から照射された紫外線のうち、受光部186に到達する紫外線量を計測することにより、用紙Pの透過率が検出される。
【0156】
画像制御部20は、表面反射率と、透過率と、用紙Pの種類とを対応付けた対応テーブルを予め記憶している。
【0157】
図32は、対応テーブルの一例を示す図である。画像制御部20は、
図32に示されるような対応テーブルを参照することにより、センサー183によって検出された表面反射率と、センサー184によって検出された透過率とに対応する用紙Pの種類を推定する。
【0158】
画像制御部20は、推定した用紙Pの種類に基づいて、実施の形態6と同様に、第1照射部111および第2照射部112の紫外線の照射量を補正すればよい。
【0159】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。