特許第6950668号(P6950668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6950668
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】グラブボックスロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/30 20140101AFI20210930BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20210930BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   E05B83/30 A
   E05C21/00 A
   B60R7/06 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-225764(P2018-225764)
(22)【出願日】2018年11月30日
(65)【公開番号】特開2020-84732(P2020-84732A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 裕紀
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/163282(WO,A1)
【文献】 特開平10−37557(JP,A)
【文献】 実開平5−42553(JP,U)
【文献】 特開2013−23995(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105370115(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 83/30
E05C 21/00
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラブボックスに取り付けられ、所定方向に延びる軸部を有するベース部材と、
前記グラブボックスの表側に配置され、前記ベース部材に前記軸部を中心にして閉位置と開位置との間で回動可能に支持されるノブ部材と、
長手方向中心部で前記ベース部材に揺動可能に支持され、一端部で前記ノブ部材に当接し、前記グラブボックスをロックさせるロック位置と前記グラブボックスのロックを解除させるロック解除位置との間で揺動するアーム部材と、
前記軸部に回転可能に外挿され、一端部で前記ノブ部材に係止され、他端部で前記アーム部材の他端部に係止され、前記軸部の回りに前記ノブ部材を閉位置へ回動させると共に前記アーム部材を前記ロック位置へ揺動させる付勢力を発生するスプリング部材と、
を備え、
前記スプリング部材は、一端部が前記ノブ部材を閉位置へ回動させる前記軸部回りの回転方向と、他端部が前記アーム部材を前記ロック位置へ揺動させる前記軸部回りの回転方向と、が互いに逆向きであるように構成されている、グラブボックスロック装置。
【請求項2】
前記スプリング部材は、前記ノブ部材の閉位置側から開位置側への回動時、前記ノブ部材との係止により前記スプリング部材の一端部側が前記軸部回りで回転する回転方向と、前記ノブ部材と前記アーム部材との当接に伴う前記アーム部材の揺動により前記スプリング部材の他端部側が前記軸部回りで回転する回転方向と、が互いに逆向きであるように構成されている、請求項1に記載されたグラブボックスロック装置。
【請求項3】
前記スプリング部材による前記付勢力は、前記ノブ部材の閉位置側から開位置側にかけて大きくなる、請求項1又は2に記載されたグラブボックスロック装置。
【請求項4】
前記ノブ部材は、前記アーム部材に向けて延出された、前記アーム部材の一端部に当接するアーム用当接部を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載されたグラブボックスロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載されるグラブボックスロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両に搭載されるグラブボックスロック装置が知られている(例えば、特許文献1)。グラブボックスロック装置は、ベース部材と、ノブ部材と、ドグ部材と、スプリング部材と、を備えている。ベース部材は、グラブボックスに取り付けられている。ノブ部材は、グラブボックスの表側に配置された、操作者が開操作することが可能な部材であって、ベース部材に閉位置と開位置との間で回動可能に支持されている。ノブ部材は、ドグ部材に係止されている。ドグ部材は、ベース部材に、グラブボックス側のストライカに係合する係合位置とその係合が解除される係合解除位置との間で移動可能に取り付けられている。スプリング部材は、中央部でベース部材に支持固定されており、一端部でノブ部材に係止され、他端部でドグ部材に係止されている。
【0003】
上記のグラブボックスロック装置において、スプリング部材の中央部よりも一端部側でノブ部材が閉位置へ付勢され、スプリング部材の中央部よりも他端部側でドグ部材が係合位置へ付勢されている。すなわち、一つのスプリング部材を用いてノブ部材及びドグ部材が個別に独立して閉位置や係合位置へ付勢されている。ノブ部材は、スプリング部材の一端側から付勢力が付与された状態で所定の閉位置に規制されて位置固定されている。ドグ部材は、スプリング部材の他端側から付勢力が付与された状態で所定の係合位置に規制されて位置固定されている。
【0004】
上記のグラブボックスロック装置において、ノブ部材が閉位置から開操作された際、スプリング部材からそのノブ部材に付与される閉位置方向への付勢力が大きくなるので、ノブ部材の開操作時における荷重出しを実現することができる。また、スプリング部材からドグ部材に付与される係合位置方向への付勢力が大きくなるので、そのドグ部材の係合解除位置への移動後、ノブ部材の開操作解除後にそのドグ部材を係合解除位置から係合位置まで自動的に復元する動作を実現させることができる。更に、グラブボックスが開扉された状態から閉扉される際、ストライカとの当接によりドグ部材が係合位置から係合解除位置へ移動しても、直ちにスプリング部材の付勢力によりドグ部材が係合解除位置から係合位置へ戻されるので、ノブ部材が開位置側へ回動するのを防止することができ、これにより、グラブボックスの開扉から閉扉への移行時におけるノブ部材のガタツキを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−207668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のグラブボックスロック装置では、ノブ部材とドグ部材とを個別に閉位置や係合位置へ付勢するためにスプリング部材の中央部をベース部材に支持固定することが必要であるので、組み付け工数が増加してしまう。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、所望のロック機能を一つのスプリング部材で実現しつつ、組み付け工数を削減することが可能なグラブボックスロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、グラブボックスに取り付けられ、所定方向に延びる軸部を有するベース部材と、前記グラブボックスの表側に配置され、前記ベース部材に前記軸部を中心にして閉位置と開位置との間で回動可能に支持されるノブ部材と、長手方向中心部で前記ベース部材に揺動可能に支持され、一端部で前記ノブ部材に当接し、前記グラブボックスをロックさせるロック位置と前記グラブボックスのロックを解除させるロック解除位置との間で揺動するアーム部材と、前記軸部に回転可能に外挿され、一端部で前記ノブ部材に係止され、他端部で前記アーム部材の他端部に係止され、前記軸部の回りに前記ノブ部材を閉位置へ回動させると共に前記アーム部材を前記ロック位置へ揺動させる付勢力を発生するスプリング部材と、を備え、前記スプリング部材は、一端部が前記ノブ部材を閉位置へ回動させる前記軸部回りの回転方向と、他端部が前記アーム部材を前記ロック位置へ揺動させる前記軸部回りの回転方向と、が互いに逆向きであるように構成されている、グラブボックスロック装置である。
【0009】
この構成によれば、グラブボックスを開閉させるロック機能を一つのスプリング部材を用いて実現することができる。また、このスプリング部材は、ベース部材の軸部に回転可能に外挿されており、スプリング部材の一端部がノブ部材を閉位置へ回動させる軸部回りの回転方向と、スプリング部材の他端部がアーム部材をロック位置へ回動させる軸部回りの回転方向と、は互いに逆向きである。この構造によれば、スプリング部材の中央部をベース部材に固定具を用いて固定することは不要であるので、グラブボックスロック装置の組み付け工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るグラブボックスロック装置が適用されるグラブボックスの斜視図である。
図2】実施形態のグラブボックスロック装置の分解斜視図である。
図3】実施形態のグラブボックスロック装置を鉛直方向を含む面で切断した際の断面図である。
図4】実施形態のグラブボックスロック装置を水平方向を含む面で切断した際の断面図(但し、ノブ閉位置を実線で、ノブ開位置を破線で、それぞれ示す。)である。
図5】実施形態のグラブボックスロック装置が備えるベース部材を水平方向を含む面で切断した際の断面図である。
図6】実施形態のグラブボックスロック装置におけるノブ閉位置での概略上面図である。
図7】実施形態のグラブボックスロック装置におけるノブ閉位置での背面図である。
図8】実施形態のグラブボックスロック装置におけるノブ開位置での概略上面図である。
図9】実施形態のグラブボックスロック装置におけるノブ開位置での背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明に係るグラブボックスロック装置の具体的な実施形態について説明する。
【0012】
一実施形態のグラブボックスロック装置1は、車両のグラブボックス2に取り付けられ、そのグラブボックス2を開閉するためのロック装置である。グラブボックス2は、車室内の助手席前のインストルメントパネルなどの内装部材に設置される収納部であって、インストルメントパネルなどに対して開閉される。グラブボックスロック装置1は、図1図2図3、及び図4に示す如く、ベース部材10と、ノブ部材20と、アーム部材30と、スプリング部材40と、を備えている。グラブボックスロック装置1は、ベース部材10と、ノブ部材20と、アーム部材30と、スプリング部材40と、により構成されている。
【0013】
ベース部材10は、グラブボックス2に取り付けられ固定される部材である。ベース部材10は、グラブボックス2の表面裏側に配置されている。ベース部材10は、板壁部11と、水平部12と、軸部13と、を有している。板壁部11は、グラブボックス2の表面裏側に対して平行に広がるように形成されている。水平部12は、図5に示す如く、板壁部11から水平に広がるように突出して形成されている。水平部12は、板壁部11の上下二箇所に設けられている。軸部13は、円筒状に形成されている。軸部13は、上下二箇所に設けられており、上下二箇所の水平部12から上下方向に延びている。以下、上方側の水平部12及び軸部13を上方水平部12u及び上方軸部13uと、下方側の水平部12及び軸部13を下方水平部12d及び下方軸部13dと、それぞれ称す。
【0014】
上方軸部13uは、上方水平部12uの上面から上方に延びている。下方軸部13dは、下方水平部12dの下面から下方に延びている。上方水平部12uには、貫通孔14uが設けられている。貫通孔14uは、上方水平部12uを上下方向に貫通しており、上方軸部13uの中空部に連通している。下方水平部12dには、貫通孔14dが設けられている。貫通孔14dは、下方水平部12dを上下方向に貫通しており、下方軸部13dの中空部に連通している。ベース部材10には、上方水平部12uと下方水平部12dとの間に空間が形成されている。
【0015】
水平部12におけるグラブボックス2の表側の端部は、後に詳述するノブ部材20が軸部13を中心にして回動できるように形成されている。また、この水平部12の端部は、ノブ部材20が開位置側から閉位置に達した際にそのノブ部材20に当接することで、ノブ部材20の閉位置を超える回動を規制するように形成されている。
【0016】
ノブ部材20は、操作者が開操作することが可能な板状の部材である。ノブ部材20は、グラブボックス2の表面に配置されている。ノブ部材20は、操作者がグラブボックス2との間に手指を挿入してノブ部材20の一端側(図1図2における右側)を手前に引っ張ることによりグラブボックス2を開動作させる操作部である。ノブ部材20は、収容部21を有している。収容部21は、ベース部材10の上方水平部12uと下方水平部12dとの間の空間に収容される部位である。
【0017】
収容部21には、挿通部22,23が設けられている。挿通部22,23はそれぞれ、円筒状又は円柱状に形成されている。挿通部22は、収容部21の上部に設けられており、上方へ突出している。挿通部23は、収容部21の下部に設けられており、下方へ突出している。挿通部22は、上方水平部12uの貫通孔14uに挿通されている。挿通部23は、下方水平部12dの貫通孔14dに挿通されている。ノブ部材20は、ベース部材10に挿通部22,23すなわち上方軸部13u及び下方軸部13d(すなわち、回動中心O)を中心にして回動可能に支持されている。ノブ部材20は、グラブボックス2の表面に対して平行な閉位置と、グラブボックス2を開くための開位置との間で回動可能である。
【0018】
ノブ部材20は、図3図4図6、及び図8に示す如く、アーム用当接部24と、スプリング用係止部25と、を有している。アーム用当接部24は、ノブ部材20の板状本体からグラブボックス2の表面裏側に向けて延出しており、後に詳述するアーム部材30に当接している。アーム用当接部24は、ノブ部材20の回動をアーム部材30に伝達する役割を有している。スプリング用係止部25は、後に詳述するスプリング部材40の一端部40aが係止される部位である。スプリング用係止部25は、スプリング部材40の一端部40aが嵌るように溝状に形成されている。
【0019】
アーム部材30は、ベース部材10に対して揺動する部材であって、ベース部材10に揺動可能に支持されている。アーム部材30は、ベース部材10の裏側に配置されている。アーム部材30は、円筒状の軸部31を有している。軸部31は、アーム長手方向中心部に設けられている。軸部31は、ベース部材10の裏面に設けられた軸部15に外挿されている。軸部15は、ベース部材10の板壁部11の裏面から水平方向奥側へ円筒状に突出している。軸部15は、上下二箇所に設けられており、板壁部11から水平方向奥側に延びている。軸部31は、二箇所の軸部15のうち下側の軸部15に外挿されている。アーム部材30は、アーム長手方向中心部でベース部材10に揺動可能に支持されている(揺動中心O)。
【0020】
アーム部材30は、揺動中心Oから上方に延びる上部30uと、揺動中心Oから下方に延びる下部30dと、を有している。アーム部材30の上部30u及び下部30dにはそれぞれ、図7及び図9に示す如く、グラブボックス2を開閉する閂3が連結されている。左側の閂3は、アーム部材30の上部30uに回動可能に支持されている。左側の閂3の先端部は、グラブボックス2に対して左側に位置する内装部材に係脱する。右側の閂3は、アーム部材30の下部30dに回動可能に支持されている。右側の閂3の先端部は、グラブボックス2に対して右側に位置する内装部材に係脱する。アーム部材30は、閂3がグラブボックス2から内装部材に対して進退するように、グラブボックス2を閉じたロック状態に保持するロック位置と、そのグラブボックス2のロック状態を解除させるロック解除位置との間で、揺動中心Oを中心にして揺動することが可能である。
【0021】
尚、アーム部材30は、ロック解除位置側からロック位置に達した際にベース部材10に当接することで、ロック位置を超える揺動を規制する部位を有している。或いは、このアーム部材30の規制部位に代えて、アーム部材30は、ロック解除位置側からロック位置に達した際に閂3が内装部材側に当接してその更なる進出が妨げられることで、ロック位置を超える揺動が規制されるものである。
【0022】
アーム部材30は、スプリング用係止部32と、ノブ用当接部33と、を有している。スプリング用係止部32は、後に詳述するスプリング部材40の他端部40bが係止される部位であって、アーム部材30の下部30dに設けられている。スプリング用係止部32は、スプリング部材40の他端部40bが嵌るように溝状に形成されている。ノブ用当接部33は、ノブ部材20のアーム用当接部24に当接する部位であって、アーム部材30の上部30uに設けられている。ノブ用当接部33は、アーム部材30におけるベース部材10に向いた面からそのベース部材10に向けて突出するように形成されている。
【0023】
スプリング部材40は、ベース部材10の下方軸部13dの回りにノブ部材20を閉位置へ回動させると共にアーム部材30をロック位置へ揺動させる付勢力を発生する捻りコイルバネである。スプリング部材40は、ベース部材10の軸部13(具体的には、下方軸部13d)に回転可能に外挿されている。スプリング部材40は、ベース部材10に固定されておらず、下方軸部13dの回りの回転が許容されるように支持されている。スプリング部材40は、一端部40aでノブ部材20のスプリング用係止部25に係止され、他端部40bでアーム部材30のスプリング用係止部32に係止されるように構成されている。
【0024】
ノブ部材20は、閉位置でアーム用当接部24にアーム部材30のノブ用当接部33が当接してそのアーム用当接部24からそのノブ用当接部33に付与する押圧力がほとんどゼロであるように或いはアーム用当接部24にノブ用当接部33が当接しないように設定されている。ノブ部材20の閉位置では、アーム部材30は、スプリング部材40の付勢力により揺動中心Oを中心にして第一回動方向(図2における反時計回り方向及び図7における時計回り方向)に揺動され、ロック位置で揺動規制される。そして、ノブ部材20が閉位置から開位置へ開操作されると、その操作力により、アーム用当接部24からノブ用当接部33に付与する押圧力が大きくなり、アーム部材30が揺動中心Oを中心にして上記の第一回動方向とは逆方向の第二回動方向(図2における時計回り方向及び図9における反時計回り方向)に揺動する。
【0025】
スプリング部材40は、ノブ部材20の閉位置で閂ロックによりスプリング部材40の自然状態よりも周方向に巻かれた状態に維持されている。スプリング部材40は、ノブ部材20を閉位置に向けて回動させると共にアーム部材30をロック位置に向けて揺動させる付勢力Fを発生する。スプリング部材40の付勢力Fは、ノブ部材20の閉位置で最も小さい力F0であり、ノブ部材20の閉位置から開位置にかけて徐々に大きくなる。
【0026】
スプリング部材40は、一端部40aがノブ部材20を閉位置へ回動させる軸部13回り(中心O)の回転方向(図6における反時計回り方向)と、他端部40bがアーム部材30をロック位置へ回動させる軸部13回り(中心O)の回転方向(図6における時計回り方向)と、が互いに逆向きであるように構成されている。また、スプリング部材40は、ノブ部材20の閉位置側から開位置側への回動時(開操作時)、ノブ部材20との係止により一端部40a側が軸部13回りで回転する回転方向(図6における時計回り方向)と、ノブ部材20とアーム部材30との当接に伴うアーム部材30の揺動により他端部40b側が軸部13回りで回転する回転方向(図6における反時計回り方向)と、が互いに逆向きであるように構成されている。
【0027】
次に、グラブボックスロック装置1の動作について説明する。
グラブボックスロック装置1において、スプリング部材40は、ベース部材10の下方軸部13dの回りにノブ部材20を閉位置へ回動させると共にアーム部材30をロック位置へ揺動させる付勢力を発生する。このため、グラブボックス2が閉じられている状態でノブ部材20が開操作されていないときは、そのスプリング部材40の付勢力により、そのノブ部材20が閉位置に維持されると共に、アーム部材30がロック位置に維持される。この場合には、閂3がグラブボックス2から内装部材側へ進出して内装部材側と係合することで、グラブボックス2が閉扉されている。
【0028】
そして、グラブボックス2の閉状態でノブ部材20が閉位置から開操作されると、そのノブ部材20のアーム用当接部24がアーム部材30のノブ用当接部33に当接してそのアーム部材30を上記の第二回動方向へ押圧するので、そのアーム部材30がスプリング部材40の付勢力に抗して上記の第二回動方向へ揺動する。そして、アーム部材30がロック解除位置まで揺動すると、閂3がグラブボックス2側に後退して内装部材側との係合が解除されることで、グラブボックス2が開扉される。
【0029】
また、上記の如くノブ部材20の開操作に伴ってアーム部材30が揺動すると、ノブ部材20の開操作によってスプリング部材40からノブ部材20に付与される閉位置方向への付勢力が大きくなる。このため、ノブ部材20の開操作時における荷重出しを実現することができる。また、ノブ部材20の開操作に伴ってアーム部材30が揺動すると、アーム部材30の揺動によってスプリング部材40からアーム部材30に付与されるロック位置方向への付勢力が大きくなる。このため、アーム部材30のロック解除位置への揺動後、ノブ部材20の開操作が解除された後にアーム部材30がロック解除位置からロック位置まで自動的に復元する動作を実現させることができる。これにより、グラブボックス2が開扉された後、その開扉状態で閂3をグラブボックス2から内装部材側へ進出させて内装部材側と係合可能とすることができる。
【0030】
また、グラブボックス2が開扉状態から操作者の押圧操作により閉扉される際には、閂3が、内装部材側へ進出した状態でその内装部材側との係合直前にスプリング部材40の付勢力に抗してその内装部材側の係合部位に押圧されることでグラブボックス2側へ僅かに後退する。閂3が後退すると、アーム部材30がロック位置からロック解除位置側へ揺動する。この際における閂3の後退量すなわちアーム部材30のロック解除位置側への揺動角度は、スプリング部材40においてノブ部材20を閉位置へ回動させると共にアーム部材30をロック位置へ揺動させる付勢力が常に発生するように設定されている。
【0031】
アーム部材30は、スプリング部材40の付勢力によりロック位置へ付勢されている。このため、上記の如く内装部材側の係合部位から閂3に付与された後退方向側の押圧力が無くなると、スプリング部材40の付勢力によるアーム部材30のロック位置への揺動により閂3が再び内装部材側へ進出する。この場合には、閂3が内装部材側と係合することで、グラブボックス2が閉扉される。また、この場合には、グラブボックス2が開扉状態から閉扉される過程で、スプリング部材40からノブ部材20に付与される閉位置方向への付勢力が継続して維持されるので、ノブ部材20が開位置側へ回動するのを防止することができ、これにより、グラブボックス2の開扉から閉扉への移行時におけるノブ部材20のガタツキを防止することができる。
【0032】
また、グラブボックスロック装置1においては、グラブボックス2の開扉から閉扉への移行時にノブ部材20をガタつかせることなくグラブボックス2を開閉させるロック機能を、一つのスプリング部材40を用いて実現することができる。このスプリング部材40は、ベース部材10の軸部13(具体的には、下方軸部13d)に回転可能に外挿されており、ベース部材10に固定されておらず回転可能に支持されている。
【0033】
スプリング部材40の付勢力は、一端部40aがノブ部材20を閉位置へ回動させる軸部13回りの回転方向と、他端部40bがアーム部材30をロック位置へ回動させる軸部13回りの回転方向と、が互いに逆向きであるように作用する。この構造によれば、スプリング部材40をベース部材10に対して自己的に固定することができ、スプリング部材40の中央部をベース部材10に固定具を用いて固定することは不要である。このため、グラブボックスロック装置1の組み立て時においてスプリング部材40を取り扱い易くすることができ、スプリング部材40を組み付けし易くすることができ、これにより、グラブボックスロック装置1の組み付け工数を削減することができ、製造コストを削減することが可能である。
【0034】
従って、グラブボックスロック装置1によれば、グラブボックス2の開扉から閉扉への移行時にノブ部材20をガタつかせることなくグラブボックス2を開閉させるロック機能を、一つのスプリング部材40を用いて実現しつつ、その組付け工数を削減することができる。
【0035】
ところで、上記の実施形態においては、ベース部材10の軸部13が上下方向に延び、ノブ部材20がその軸部13を中心にして水平方向を含む面内で揺動する。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、ベース部材10の軸部13が水平方向に延び、ノブ部材20がその軸部13を中心にして鉛直方向を含む面内で揺動するものに適用することとしてもよい。
【0036】
また、上記の実施形態においては、ベース部材10の水平部12、軸部13、及び軸部15が上下二箇所に設けられていると共に、スプリング部材40が下方軸部13dに回転可能に外挿され、アーム部材30が下側の軸部15に揺動可能に外挿されている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、スプリング部材40が上方軸部13uに回転可能に外挿され、アーム部材30が上側の軸部15に揺動可能に外挿されるものに適用することとしてもよい。
【0037】
また、上記の実施形態においては、グラブボックス2が、図1及び図2に示す如くノブ部材20の右側がベース部材10に対して手前に引かれる右側開操作により開動作することとしている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、グラブボックス2が、ノブ部材20の左側がベース部材10に対して手前に引かれる左側開操作により開動作するものに適用することとしてもよい。尚、上記の実施形態においては、ベース部材10が、それぞれ上下二箇所に設けられた、水平部12、軸部13、及び軸部15を有している。このため、グラブボックス2の開動作をノブ部材20の右側開操作で実現する構成と、グラブボックス2の開動作をノブ部材20の左側開操作で実現する構成と、でベース部材10を含む部品の共通化を図ることができる。
【0038】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1:グラブボックスロック装置、2:グラブボックス、3:閂、10:ベース部材、13:軸部、20:ノブ部材、24:アーム用当接部、25:スプリング用係止部、30:アーム部材、32:スプリング用係止部、33:ノブ用当接部、40:スプリング部材。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9