(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用表示装置は、車両の衝突事故が発生した際に乗員の頭部が衝突しうる範囲(以降、頭部衝撃範囲)に配置されることがある。例えば、タッチパネル機能を備えている車両用表示装置は、乗員の操作性を確保するために、運転席乗員の手が届く範囲(≒頭部衝撃範囲内)に配置されうる。そのため、カバーガラス等のカバー部材は乗員保護の目的から割れにくいように構成されていることが好ましい。
【0006】
なお、上記の頭部衝撃範囲は、車両が使用される地域の法規に基づいて設定されれば良い。例えば日本国内においては、頭部衝撃範囲は、日本の国土交通省が示す「道路運送車両の保安基準」の「第20条 乗車装置」の「別紙28 インストゥルメントパネルの衝撃吸収の技術基準」等に示される範囲をもとに設定されればよい。
【0007】
特許文献1に開示の構成によれば、カバーガラスの主面に略垂直な方向からの衝撃(換言すれば曲げ破壊)に対する強度の向上は期待できる。しかしながら、特許文献1の車両用表示装置は、段落[0064]に記載の通り、カバーガラスの面部に、当該面部に直交する方向から頭部が衝突する場合を想定して構成されている。特許文献1では、カバーガラスのエッジ部へ、斜め上方から頭部が衝突する場合については検討されていない。ここでのカバーガラスのエッジ部とは、カバーガラスの角部を含む端末部を指す。
【0008】
また、通常、乗員の頭部は車両用表示装置よりも上方に存在する。そのため、乗員の頭部と車両用表示装置との衝突位置(換言すれば加撃点)は、カバーガラスの面部ではなく、車両用表示装置の視認側上端部となりうる。車両用表示装置の視認側上端部への衝撃は、直接的又は間接的にカバーガラスの上側エッジ部に作用する。カバーガラスのエッジ部への衝撃は、衝撃の力が小さな面積に集中するため、加撃点がカバーガラスの面部に位置する場合よりも、ガラス破壊に至る恐れが高い。また、エッジ部への衝撃は、衝撃の作用領域が小さいため、曲げ破壊というよりもヘルツ破壊に近いメカニズムで割れることもある。故に、車両用表示装置としては、装置の視認側上端部に斜め上方から頭部が衝突した場合にも、カバーガラスが割れにくいように構成されていることが好ましい。
【0009】
なお、一般的に表示装置においては、カバーガラスの外周にはフレーム(換言すればベゼル)が配されている。ベゼルの幅を相対的に大きく設定すれば、車両用表示装置の上端部への衝撃が、直接的又は間接的にカバーガラスの上側エッジ部に作用する恐れを低減できる。しかしながら、ベゼル幅は小さいほどが見栄えがよい。そのため、近年はベゼル幅を縮小した車両用表示装置が求められている。なお、アクリル製やポリカーボネート製のカバー部材についても、エッジ部への衝撃に対しては割れやすい性質を有する。つまり、カバー部材がアクリル製やポリカーボネート製である場合にも、エッジ衝撃に対してはカバーガラスと同様の課題を有する。
【0010】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、ベゼル幅を抑制しつつ、カバー部材が割れにくい車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その目的を達成するための
第1の車両用表示装置は、車両に搭載されて使用される車両用表示装置であって、情報を表示する表示部(1)と、表示部を側方から包囲する筒状部材であって、視認側の端部が開口部として形成されている包囲部材(5)と、包囲部材の開口部を塞ぐように表示部の表示面よりも視認側に配置されている、透光性を有する板状部材であるカバー部材(6)と、を備え、
包囲部材は、表示部を側方から包囲するように筒状に形成されている周壁部(51)と、周壁部の内側面から内側へ張り出すように形成された、カバー部材の縁部を背面側から支持するためのカバー受け部(52)と、を備え、包囲部材の視認側端部は、カバー部材の視認側表面には被さっておらず、包囲部材において表示部の上側に位置する部分である上方包囲部(120A)の視認側端部である上方視認側端部(53)は、カバー部材の表面よりも視認側に突出するように構成されており、カバー部材に対する上方視認側端部の突出量(D8)は、0.1mm以上、2.0mm以下に設定されて
おり、カバー受け部の背面側部分は、周壁部の内側面と連続的に接続するように、所定の曲率半径を有する湾曲状に形成されている。
また、上記目的を達成するための第2の車両用表示装置は、車両に搭載されて使用される車両用表示装置であって、情報を表示する表示部(1)と、表示部を側方から包囲する筒状部材であって、視認側の端部が開口部として形成されている包囲部材(5)と、包囲部材の開口部を塞ぐように表示部の表示面よりも視認側に配置されている、透光性を有する板状部材であるカバー部材(6)と、を備え、包囲部材の視認側端部は、カバー部材の視認側表面には被さっておらず、包囲部材において表示部の上側に位置する部分である上方包囲部(120A)の視認側端部である上方視認側端部(53)は、カバー部材の表面よりも視認側に突出するように構成されており、カバー部材に対する上方視認側端部の突出量(D8)は、0.1mm以上、2.0mm以下に設定されており、上方包囲部の内側面であって、上方視認側端部の裏側に位置する部分であるベゼル裏側部(54)の下方には、所定の剛性を有する補強部材(9)がベゼル裏側部と当接又は近接するように配置されている。
【0012】
上記構成において、包囲部材のうち、表示部の上側に位置する部分の前端部(つまり上方視認側端部)は、カバー部材の表面よりも視認側に微小量突出するように構成されている。故に、乗員の頭部との1次衝突位置は、上方視認側端部となり、車両用表示装置と頭部との衝突による衝撃がカバー部材のエッジ部へ直接印加されることを抑制することができる。また、上方視認側端部はカバー部材の表面よりも視認側に突出しているため、上方視認側端部は、頭部衝突の衝撃によって下側へと変位しようとする。つまり、頭部とカバー部材のエッジ部との間には上方視認側端部が介在し続ける。その結果、カバー部材のエッジ部に衝突の衝撃が作用する恐れを低減できる。故に、車両用表示装置への頭部衝突によってカバー部材が割れる恐れを低減することができる。
【0013】
なお、上記構成においては、包囲部材の視認側端部がベゼルに相当する。以上の作用効果は、上方視認側端部をカバー部材の表面よりも視認側に微小量突出させることによって得られる。そのため、包囲部材の視認側端部(つまりベゼル)の幅を増大させる必要性は小さい。つまり、上記の構成によれば、ベゼル幅を抑制しつつ、カバー部材が割れにくい車両用表示装置を提供することができる。
【0014】
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。
図1、
図2は、本開示に係る車両用表示装置100の概略的な構成の一例を示す図である。車両用表示装置100は、車両のインストゥルメントパネル200に設置されて、種々の情報を表示する装置として構成されている。より具体的には、車両用表示装置100はインストゥルメントパネル200の上面部において車幅方向中央部に位置する領域に、ディスプレイ1の表示面が車両後方に向いた姿勢で配置されている。車両用表示装置100において情報を表示する方向のことを視認側と称する。視認側は、車両用表示装置100にとっての前側に相当する。なお、
図1では車両右側に運転席が設けられているが、車両用表示装置100が供される車両は、左側に運転席が設けられた車両であってもよい。また、車両用表示装置100は、運転席が存在しない、完全自動運転車で使用されても良い。
【0017】
なお、車両用表示装置100には、予め上下方向と左右方向とが設定されている。車両用表示装置100は、上下方向が車両の上下方向に略平行となるように取り付けられている。また、車両用表示装置100は、左右方向が車両の左右方向(換言すれば車幅方向)に略平行となるように取り付けられている。略平行とは、完全に平行な状態に限らず、完全に平行な状態から30°程度傾いている状態を含む。つまり、車両用表示装置100は、車両水平面に対して運転席に着座している乗員がディスプレイ1の表示画面を違和感なく認識できる程度に傾いた姿勢で、インストゥルメントパネル200に取り付けられていても良い。車両水平面とは、車両の高さ方向に垂直な平面を指す。
【0018】
車両用表示装置100は、画像が表示される表示面110と、装置側面部120と、装置背面部とを備える。装置背面部は表示面110と反対側の面を指す。装置側面部120は、車両用表示装置100において視認方向に沿うように形成される面に相当する。車両用表示装置100は、装置側面部120として、車両用表示装置100の上下左右に対応するように、左側面部、右側面部、上面部120A、及び下面部を備える。車両用表示装置100は、表示面110に対して垂直な方向を厚み方向とする扁平な直方体状に形成されている。車両用表示装置100は、左右方向の長さが、上下方向の長さよりも長く形成されている。
【0019】
なお、下面部には、例えば車両用表示装置100をインストゥルメントパネル200に固定するための結合部130が設けられている。例えば車両用表示装置100は、インストゥルメントパネル200に設けられている差込穴(図示略)に結合部130が差し込まれることによって、インストゥルメントパネル200に固定される。なお、車両用表示装置100の固定方法としては、ネジ止めなど、多様な方法を採用することができる。結合部130は任意の要素である。
【0020】
上面部120Aは、後述する包囲部材5のうち、ディスプレイ1の上方に位置する部分に相当する。包囲部材5のうち、ディスプレイ1の上方に位置する部分(つまり上面部120A)が上方包囲部に相当する。また、当該上方包囲部の視認側端部が上方視認側端部に相当する。以降では、車両用表示装置100の構成のうち、主として、上面部120A付近の構成について説明する。例えば、以下における「包囲部材5の視認側端部」とは、包囲部材5のうち、ディスプレイ1の上方に位置する部分(つまり上面部120A)の視認側端部を指す。もちろん、以下の説明は、上面部120A以外の部分にも適用可能である。なお、或る部材の側面部とは、当該部材において視認方向と略直交する方向を向いている面を指す。また、或る部材の視認側端部とは、当該部材において最も前側の端部(つまり前端部)を指す。
【0021】
車両用表示装置100は、
図3に示すように、ディスプレイ1、回路基板2、インナーケース3、背面ケース4、包囲部材5、及び、カバー部材6が組み合わさって実現されている。背面ケース4と包囲部材5が組み合わさった構成が、ディスプレイ1にとってのハウジングに相当する。背面ケース4上には、インナーケース3、回路基板2、及びディスプレイ1が、この順に配置されている。なお、
図3では各部材の境界を明示するために、本来接触しているべき部材同士についても一部、互いに離間させて示している。
【0022】
ディスプレイ1は、回路基板2に搭載されているディスプレイコントローラからの制御信号に基づいて駆動し、画像を表示するデバイスである。ディスプレイ1が表示部に相当する。ディスプレイ1は、一例として矩形状の表示面を備える。ディスプレイ1は、フルカラー表示が可能に構成されている。ディスプレイ1としては、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等、多様なディスプレイを採用することができる。ここでは一例として、ディスプレイ1は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を用いた液晶パネル11と、バックライト12とを用いて実現されている。液晶パネル11は、例えば、2次元方向に配列された複数の液晶画素から形成されるアクティブマトリクス型の液晶パネルである。
【0023】
バックライト12は、液晶パネル11に向けた光を発する光源パネルである。バックライト12は、1つ又は複数のLEDを用いて実現されている。バックライト12は液晶パネル11の背面側に配置されている。液晶パネル11は、バックライト12の縁部に取り付けられた光源フレーム13を介してバックライト12に固定されている。光源フレーム13と液晶パネル11とは弾性接着剤や弾性両面テープ等で接着されていれば良い。弾性両面テープとは、不織布やスポンジ等の両面に粘着剤が塗布された、弾性(換言すればクッション性、伸縮性)を有する両面テープを指す。弾性両面テープとは例えばアクリルフォームを用いた両面テープなどである。
【0024】
光源フレーム13は、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、鋼板等の金属材料により形成されていてもよいし、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)などの樹脂材料を用いて実現されていても良い。ここでは一例としてバックライト12は直下型方式で構成されているものとするが、他の態様としてバックライト12はエッジライト方式で構成されていても良い。
【0025】
回路基板2は、車両用表示装置100の電気回路が形成された基板である。回路基板2は、例えばガラスエポキシなどの合成樹脂により平板状に形成されている。回路基板2には、ディスプレイコントローラや、電源回路等が実装されている。回路基板2は、ディスプレイ1の背面側にディスプレイ1と対向する姿勢で配置されている。具体的には、回路基板2は、インナーケース3と、ディスプレイ1(具体的にはバックライト12)とに挟まれる態様でインナーケース3に固定されている。なお、他の態様として、回路基板2は、インナーケース3の背面側に配置されていても良い。例えば回路基板2は、インナーケース3と背面ケース4との間に配されていてもよい。
【0026】
インナーケース3は、ディスプレイ1及び回路基板2を背面側から覆い、これらを一体的に支持する部材である。インナーケース3は、例えばポリカーボネートなどの合成樹脂等を用いて遮光性を有するように構成されている。なお、インナーケース3は、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、鋼板等の金属材料により形成されていてもよい。インナーケース3は、複数の部品を組み合わせて構成されていても良い。インナーケース3は、縁部が他段階で外側に広がるように形成された、有底の矩形皿状に形成されている。具体的には、ディスプレイ1を背面側から支持するためのディスプレイ受け部31と、ディスプレイ受け部31から背面側に落ち込むように形成されている凹部32と、ディスプレイ1の側面部を覆う内部フレーム33と、を備える。
【0027】
ディスプレイ受け部31は、ディスプレイ1の背面部の縁部と当接するように略平坦に構成されている。ここでの当接には、実際に接触している状態に限らず、離隔距離が0.1mm以下となっている状態(つまり極近接している状態)も含まれる。ディスプレイ受け部31は、ディスプレイ1の背面部と略同一サイズに設定されている。具体的には、ディスプレイ受け部31は、その縁部に立設されている内部フレーム33がディスプレイ1を収容可能なように、ディスプレイ1よりも微小量(例えば数ミリ程度)大きく形成されている。ディスプレイ受け部31は、縁部から一定距離離れた部分に、凹部32(別の観点によれば凸部)の視認側端部としての開口部を備える。つまり、ディスプレイ受け部31は開口部を備える矩形状の板状部材として構成されている。
【0028】
凹部32は、ディスプレイ受け部31が備える開口部と略同一の寸法に形成されている底板部321と、当該底板部321の縁部とディスプレイ受け部31の開口部とを接続する凹壁部322とを備える。底板部321は、所定の間隔をおいてディスプレイ1の背面部と対向するように形成されている。凹壁部322は、ディスプレイ受け部31の開口部から背面側に向かって延設されている。上述の回路基板2は当該底板部321に固定されている。なお、底板部321をインナーケース3において最も背面側の底部である第1底部とみなせば、ディスプレイ受け部31は第1底部の外側且つ視認側に形成されている第2の底部に相当する。凹壁部322は、第1底部と第2底部とを接続する構成に相当する。
【0029】
内部フレーム33は、ディスプレイ受け部31の縁部から視認側に向けて延設された構成である。内部フレーム33は、ディスプレイ1の側面部に沿うように形成されている。内部フレーム33が内枠部に相当する。内部フレーム33の視認側の端部(以降、内部フレーム端部331)は、ディスプレイ1の側面部から1.0mm以上離間するとともに、後述する包囲部材5の内側面(特に、ベゼル裏側部54)と近接するように構成されている。ここでの近接とは離隔が例えば2.0mm以内となっている状態を指す。内部フレーム端部331が内枠部の視認側端部に相当する。
【0030】
当該内部フレーム33は、より具体的には
図4に示すように、ディスプレイ1の側面部と当接するように構成されている側面支持部332と、ディスプレイ1の側面部との離隔が側面支持部332よりも大きめに設定されている離間部333とを備える。側面支持部332は、ディスプレイ1の側面部を保護するとともに、ディスプレイ1の左右上下方向の動きを規制するための構成に相当する。離間部333の寸法は、包囲部材5の内周面との離隔D1が1mm程度となるように調整されている。前述の内部フレーム端部331は、離間部333の視認側端部に相当する。内部フレーム端部331を含む離間部333は、内側から包囲部材5の変形を抑制する役割を担う。具体的には、包囲部材5のカバー受け部52等が下側に変形することを抑制する。なお、このような内部フレーム33の構成は、背面側から視認側に向かうに連れて多段階に広がっている構成に相当する。
【0031】
上記のインナーケース3は、例えばスナップフィット機構によって背面ケース4に固定されている。なお、これらの部材が組み合わさった状態を維持するための方法(以降、固定方法)はこれに限らない。インナーケース3と背面ケース4とは、ネジ止めや、溶着によって結合されていてもよい。
【0032】
背面ケース4は、インナーケース3を背面側から支持するための構成である。背面ケース4は、例えばポリカーボネートなどの合成樹脂を用いて遮光性を有するように構成されている。背面ケース4は、インナーケース3を収容するための必要十分な大きさに形成されている。背面ケース4は、有底の矩形皿状に形成されている。すなわち、背面ケース4は底部に対して縁部が徐々に視認側に向かって湾曲した形状を有する。
【0033】
背面ケース4の外周部分には、包囲部材5の背面側に設けられている嵌合爪と嵌合するための嵌合溝が設けられている。嵌合爪及び嵌合溝については図示を省略している。嵌合溝は嵌合爪と対応する位置に設けられていればよく、その数や形成箇所は適宜設計されれば良い。嵌合溝は全周にわたって形成されていてもよい。防水性向上の観点から、背面ケース4と包囲部材5の接続部分にはOリングなどが配されていても良い。つまり、背面ケース4と包囲部材5の接続部分には多様な防水、耐塵構造を適用することができる。背面ケース4と包囲部材5とは、ネジ止めや、溶着、弾性接着剤によって固定されていてもよい。
【0034】
包囲部材5は、ディスプレイ1を含むインナーケース3を側方から全周に亘って包囲する筒状部材である。ここでの側方とは、ディスプレイ1の厚み方向に直交する方向を指す。包囲部材5の視認側の端部、及び、背面側の端部は開口部として形成されている。ここでの筒状には、断面が円/楕円形状となる円筒形状に限らず、断面が矩形状の角筒形状なども含まれる。包囲部材5は、例えばPC樹脂などの樹脂材料を用いて、遮光性を有するように構成されている。
【0035】
包囲部材5は、周壁部51、カバー受け部52、及びベゼル部53を一体的に備える。周壁部51や、カバー受け部52、ベゼル部53といった構成は、何れも包囲部材5の一部を指すものである。周壁部51、カバー受け部52、及びベゼル部53といった構成は、物理的には(換言すれば実体としては)一体的に連続的につながっている。
【0036】
周壁部51は、背面ケース4と嵌合されることによって、ディスプレイ1や回路基板2、インナーケース3を外周側から包囲する部分である。周壁部51は包囲部材5の本体部分に相当する。周壁部51の背面側端部には、背面ケース4の外周部分に設けられている嵌合溝と係合するための嵌合爪が設けられている。周壁部51の視認側端部には、径方向内側に張り出すようにカバー受け部52が形成されている。周壁部51は、別の観点によればカバー受け部52から視認側に向かって延設されている筒状の構成に相当する。
【0037】
カバー受け部52は、カバー部材6の縁部を背面側から支持するための構成である。カバー受け部52は、周壁部51の内側を概ね一周するように連設されている。カバー受け部52の視認側部分は、ディスプレイ1の表示面と平行となるように、平坦に構成されている。カバー受け部52の周壁部51に対する飛び出し量D2は、例えば10mmに設定されている。なお、カバー受け部52の周壁部51に対する飛び出し量D2は、8mmや12mmなど、その他の値に設定されていてもよい。カバー受け部52においてカバー部材6が載置される部分(以降、載置面521)の幅D3は、例えば7mmに設定されている。載置面521の幅D3は5mmなどであってもよい。
【0038】
カバー受け部52において載置面521の背面側に位置する部分は、周壁部51の内側面と連続的に接続するように、所定の曲率半径を有する湾曲状に形成されている。つまり、カバー受け部52は、周壁部51の内面部から内側に向かって半アーチ状に張り出している。曲率半径は例えば5mmや、10mm、20mmなど、ベゼル部53に作用する視認側斜め上方からの衝撃によって、ベゼル部53が下方(換言すればカバー部材6が存在する方向)に変位するように構成されていればよい。
【0039】
なお、包囲部材5の内側面において、周壁部51とカバー受け部52との境界部分(つまり半アーチ状となっている部分)は、ベゼル部53の裏側に位置する部分に相当する。故に、当該部分をベゼル裏側部54と称する。ベゼル裏側部54は、カバー受け部52の背面側部分に相当する。なお、本実施形態ではより好ましい態様として、カバー受け部52は、周壁部51の内面部から内側に向かって半アーチ状に張り出しているものとするが、これに限らない。カバー受け部52は、周壁部51の内面部から内側に向かって直立する態様で形成されていても良い。
【0040】
ベゼル部53は、包囲部材5においてカバー受け部52よりも視認側に位置する部分である。ベゼル部53は、カバー部材6の縁部(換言すればエッジ部)を囲むように、カバー受け部52の縁部に立設されている。ベゼル部53は、カバー部材6の視認側表面に被さらないように、載置面521に対して略垂直に立設されている。つまり、包囲部材5はカバー部材6の視認側表面に被さらないように構成されている。ベゼル部53の厚みD4は例えば2.5mmに設定されている。なお、ベゼル部53の外縁部は面取りされている。例えばベゼル部53の最奥部から先端部に向かって徐々に幅が小さくなるように形成されている。ベゼル部53の厚みD4は、カバー部材6の周囲に見える包囲部材5の幅に相当する。また、ベゼル部53の厚みD4は、上方視認側端部の上下方向における幅に相当する。ベゼル部53の厚みD4は10mm以下に設定されていればよい。また、ベゼル部53の厚みD4は、デザイン性の観点からは、大きくとも5.0mm以下に設定されていることが好ましい。ベゼル部53の厚みD4は、デザイン性の観点から3.0mm以下に設定されていることがより一層好ましい。
【0041】
また、ベゼル部53の載置面521に対する高さ(視認方向の長さ)D5は、カバー部材6の厚みD6と、弾性接着部材7の厚みD7を加えた値に、0.5mmの尤度を与えた値に設定されている。本実施形態では、ベゼル部53の載置面521に対する高さD5は、2.4mmに設定されている。つまり、ベゼル部53の先端部は、カバー部材6の視認側表面から0.5mm突出するように構成されている。なお、カバー部材6に対するベゼル部53の突出量D8は非常に微小であるため、ベゼル部53は見返し板(換言すればフード)としては機能しない。また、カバー部材6に対するベゼル部53の突出量は、非常に微小であるため、ユーザからするとカバー部材6に対してベゼル部53が突出しているといった印象は与えにくい。つまり、ベゼル部53とカバー部材6とが略シームレスに接続する外観形状を提供することができる。なお、ベゼル部53は、カバー部材6に対するベゼル部53の突出量D8は0.1mm以上、2.0mm以下となるように構成されていれば良い。ベゼル部53は、カバー部材6の表面よりも突出するように構成されていればよく、その突出量D8は0.3mm以上であることがより好ましい。また、デザイン性の観点においては、ベゼル部53は、カバー部材6に対するベゼル部53の突出量が1.0mm以下となるように構成されていることが好ましい。
【0042】
カバー部材6は、ディスプレイ1の表示面を保護するための構成である。カバー部材6は、透明な板状部材である。カバー部材6は、ガラスを用いて構成されている。ここでのガラスには強化ガラスも含まれる。なお、カバー部材6は、透光性の観点からガラス製であることが好ましいが、他の態様としてカバー部材6は、アクリル製やポリカーボネート製など、樹脂製であってもよい。カバー部材6の厚みD6は、1.5mm程度に設定されている。なお、カバー部材6の厚みD6は適宜変更可能である。カバー部材6の厚みD6は、0.25mmや、0.5mm、1.0mm、2.0mmなどであっても良い。
【0043】
カバー部材6は、包囲部材5のベゼル部53の内側寸法と略同一に形成されている。具体的には、カバー部材6は、包囲部材5に取り付けられた状態において、ベゼル部53との間に0.5mm程度の間隙が生じる大きさに(つまり微小量小さめに)形成されている。このようにベゼル部53とカバー部材6との離隔D9を0.5mm程度に設定した構成によれば、両者の線膨張係数の差に起因して、ベゼル部53とカバー部材6が接触し、カバー部材6に応力がかかる恐れを低減することができる。また、車両用表示装置100の上端部への衝撃に伴ってベゼル部53とカバー部材6が接触し、カバー部材6に応力がかかる恐れも低減できる。なお、ベゼル部53とカバー部材6との離隔D9は、0.1mm以上、2.0mm以下に設定されていれば良い。ベゼル部53とカバー部材6との離隔D9の製造上の目標値(設計値)は、0.2mmや、0.8mm、1.0mm、1.5mmなどであってもよい。
【0044】
カバー部材6は、包囲部材5の視認側の開口部を塞ぐように、包囲部材5の載置面521に、所定の弾性接着部材7を用いて接着されている。弾性接着部材7は、弾性接着剤又は弾性両面テープを用いて実現されている。弾性接着部材7の厚みD7は0.4mmに設定されている。カバー部材6が弾性接着部材7によって包囲部材5に固定されていることにより、車両用表示装置100の上端部への衝撃に伴う載置面521の変位が、カバー部材6へ曲げ応力として作用することを和らげることができる。また、カバー部材6と包囲部材5の線膨張係数の差によって発生する応力(いわゆる熱応力)を弾性接着部材7で吸収できる。そのため、包囲部材5の熱変形に起因してカバー部材6が割れることを抑制することができる。なお、ここでの線膨張係数とは、温度の上昇に対応して物体の長さが変化する割合を指す。
【0045】
また、カバー部材6は、ディスプレイ1の表示面と、透光性を有する所定の樹脂材料(以降、オプティカルボンディング材)を用いて接着されている。つまり、カバー部材6は、ディスプレイ1とオプティカルボンディングされている。便宜上、カバー部材6は、ディスプレイ1との隙間を埋める樹脂層を光学接着層8と称する。オプティカルボンディング材としては、無色透明であって弾性を有する樹脂であればよく、多様な樹脂材料を採用可能である。オプティカルボンディング材としては、アクリル系、シリコン系、ウレタン系の樹脂(いわゆるOCR:Optical Clear Resin)が好適である。なお、光学接着層8はシート状のOCA(Optical Clear Adhesive)を用いて実現されていても良い。ディスプレイ1とカバー部材6との間に光学接着層8を設けた構成によれば、光の反射を抑制し、視認性を向上させることができる。カバー部材6及び光学接着層8は、その透光性により、ディスプレイ1の表示を乗員から視認可能に透過する。なお、光学接着層8は任意の要素であって、省略可能である。
【0046】
<本実施形態の効果について>
車両用表示装置100は、乗員の頭部よりも下方であって、車両の前端衝突が発生した際にその衝撃により乗員の頭部が衝突しうる範囲(以降、頭部衝撃範囲)に配置されうる。車両用表示装置100が頭部衝撃範囲に取り付けられている場合、車両衝突の衝撃によって乗員の頭部は、
図5に示すように、車両用表示装置100の上端部へ斜め上方から衝突しうる。
図5は、車両用表示装置100をインストゥルメントパネル200に載置した状態において、乗員の頭部を模した、直径165mmの球状頭部模型Mdが衝突する位置を試験する際の構成、及び、その衝突位置を示したものである。
【0047】
なお、ここでの頭部衝突範囲とは、例えば、球状頭部模型Mdを所定の回転中心Cから所定の回転半径Rで回転させた際に、その球状頭部模型Mdが静的に接する範囲を指す。回転半径Rは、例えば705mmなど、人体の股関節点から頭部中心までの距離に相当する値に設定されていれば良い。回転半径Rは、654.5mm〜755.5mmの範囲で調整されていても良い。
【0048】
回転中心Cは、例えば、シーティングリファレンスポイントとすることができる。シーティングリファレンスポイントとは、人体模型をISO6549−1980に規定する着座方法により運転席等の座席に着座させた場合における股関節点の位置、又はこれに相当する座席上に設定した設計標準位置を指す。また、回転中心Cは、前後に調節できる座席にあっては、シーティングリファレンスポイントに加えて、シーティングリファレンスポイントから所定量(例えば127mm)前方で、かつ、所定量(例えば19mm)鉛直上方に移動した点を採用することができる。
【0049】
なお、以上の試験構成において衝突位置に頭部からの衝撃が作用する方向は、衝突位置における接線に垂直な方向(つまり衝突位置における法線方向)となる。また、頭部模型の衝突試験は、時速20km/hで走行している車両が前端衝突した場合を想定して実施されれば良い。例えば頭部模型の衝突速度は20±1km/hに設定されれば良い。
【0050】
ここで、仮に車両用表示装置が
図6に示すように、ベゼル部53がカバー部材6の表面よりも奥側に位置するように構成されている場合、頭部衝突の衝撃でベゼル部53が上方/背面側に変位し、頭部がカバー部材6のエッジ部61に直接的に衝突しうる。そのため、カバー部材6が相対的に割れやすい。エッジ部61は、端末部とも称される。エッジ部61には角部も含まれる。
図6中の実線矢印は衝撃の作用方向(つまり衝突方向)を示しており、破線矢印は、ベゼル部53の変位方向を示している。カバー部材6のベゼル部53がカバー部材6の表面よりも奥側に位置するように構成した車両用表示装置を比較構成として、上述した頭部衝突試験を実施したところ、上記の作用により、カバー部材6が相対的に割れやすいことが確認された。
【0051】
これに対し、本実施形態の構成では、包囲部材5の前端部(つまりベゼル部53)がカバー部材6の表面よりも視認側に微小量突出するように構成されている。故に、乗員の頭部との1次衝突位置は、上面部120Aのベゼル部53となる。換言すれば、車両用表示装置100と頭部との衝突による衝撃がカバー部材6のエッジ部へ直接印加されることを抑制することができる。また、ベゼル部53はカバー部材6の表面よりも視認側に突出しているため、ベゼル部53は、衝撃によって上方/背面側には変位せずに、
図7に示すように下側へと変位しようとする。頭部とカバー部材6のエッジ部61との間にはベゼル部53が介在し続け、カバー部材6のエッジ部61に衝突の衝撃が作用する恐れを低減できる。
図7の破線矢印は、ベゼル部53の変位方向を示している。
【0052】
加えて、ベゼル部53の下側への変位は、内部フレーム端部331によって規制される。つまり、頭部衝突によってベゼル部53が下側に変位したとしても、周壁部51の内側面と内部フレーム端部331とが当接するため、ベゼル部53が大幅に下側に変位することを抑制できる。その結果、ベゼル部53の変位によってカバー部材6に撓み、カバー部材6が割れてしまうおそれも低減できる。つまり、以上の構成によれば、ベゼル部53に、視認側斜め上方向からの衝撃が印加された場合であっても、当該衝撃によってカバー部材6が割れる恐れを低減できる。
【0053】
さらに、本実施形態では、ベゼル部53の厚みD4を2.5mmに設定するとともに、ベゼル部53の外縁部を面取りしている。このような構成によれば、デザイン性とパネル剛性の両立を図ることが出来る。なお、本実施形態の構成について上述した頭部衝突試験を実施したところ、ベゼル部53の厚みD4を2.0mm、突出量D8を0.5mmに設定した構成によれば、カバー部材6が割れる確率を所定の許容範囲に抑制できることが確認できている。つまり、本実施形態の構成によれば、カバー部材6を割れにくくすることができる。
【0054】
その他、本実施形態では、弾性接着部材7の厚みを0.4mmに設定している。このような構成によれば、カバー部材6と包囲部材5との熱膨張率(例えば線膨張係数)の違いに由来する熱応力は弾性接着部材7によって吸収される。故に、カバー部材6と包囲部材5とが熱応力によってカバー部材6が割れる恐れも低減できる。その他、本実施形態では、包囲部材5や背面ケース4など、車両用表示装置100の外観を提供する構成(つまりハウジング)は、PCなどの樹脂を用いて実現されている。このような構成によれば、金属材料を用いてハウジングが実現されている構成に比べて、複雑なデザインを実現しやすいといった利点を有する。
【0055】
<補足>
以上で述べた樹脂材料としては、PC樹脂のほかに、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、PC樹脂にアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)樹脂を混ぜた合成樹脂を採用することもできる。その他、ポリプロピレン(PP:polypropylene)など、多様な樹脂を採用することができる。なお、種々の樹脂材料のうち、耐衝撃性、耐熱性、加工性の観点からは、PC樹脂や、PC樹脂にABS樹脂を混ぜた合成樹脂を採用することが好ましい。
【0056】
また、以上で述べた弾性接着剤としては、硬化状態において所定の弾性を有するものが好ましい。弾性接着剤としては、シリコンゴムを主成分とするもの(いわゆるシリコン系粘着剤)や、ポリウレタンを主成分とするもの、ゴムを主成分とするもの、アクリルモノマーを主成分とするものなど、多様な材料を採用可能である。弾性接着剤は高粘着性エラストマーを主成分とするものであることが好ましい。シリコン系粘着剤には、変成シリコン樹脂を主成分とするものも含まれる。また、弾性接着剤は、車両のインストゥルメントパネル表面が取りうる温度範囲(例えば−40°〜110°)において固化せずに粘着性及び弾性を保つ感圧型の接着剤(換言すれば粘着剤)であることが好ましい。
【0057】
なお、弾性接着剤としては、湿気硬化型や、紫外線硬化型など、多様な弾性接着剤を用いることができる。車両用表示装置100に使用される弾性接着剤としては、ホットメルト型の接着剤であることが好ましい。ホットメルト型の弾性接着剤であれば、液体定量吐出装置(いわゆるディスペンサー)を用いて塗布量(高さ、幅)を制御可能となり、製造性(作業性)の観点から好適である。以上を鑑み、上記車両用表示装置100は、弾性接着剤として、1液性タイプの変性シリコン樹脂を主成分とする粘着剤を用いて構成されている。なお、ホットメルト型の弾性接着剤とは、所定の温度(例えば110°)以上で融解するとともに、当該温度以下で硬化する接着剤であって、熱可塑性を有する弾性接着剤に相当する。もちろん、弾性接着剤としては、2液混合タイプの接着剤も採用可能である。
【0058】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば下記の種々の変形例は、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。なお、前述の実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
【0059】
[変形例1]
内部フレーム端部331は
図8に示すように、円形の断面形状を有するように構成されていても良い。当該構成によれば、包囲部材5の頭部衝突に対する剛性をより一層向上させることができる。なお、内部フレーム端部331は、ベゼル裏側部54と当接するように構成されていてもよい。また、内部フレーム33は、
図9に示すように、その端部がベゼル裏側部54に沿うように形成されていても良い。上記の構成は、内部フレーム33が包囲部材5の剛性を高めるように作用する。内部フレーム端部331は、包囲部材5の剛性を高める補強部として機能するように構成されていることが好ましい。
【0060】
[変形例2]
ベゼル裏側部54付近には、
図10に示すように、包囲部材5上端部への頭部衝突に対する剛性を向上させるための補強部材9が配置されていても良い。補強部材9は、例えば円柱状/筒状の部材であって、ディスプレイ1の上方に位置するベゼル裏側部54の下側に、左右に平行に配置されている。当該補強部材9は、例えば包囲部材5において左側面部や右側面部に相当する部分の内側面に固定されていればよい。
【0061】
また、補強部材9は、
図11に示すように内部フレーム端部331に取り付けられていても良い。補強部材9は、包囲部材5の剛性を高めるように構成されていれば良く、その断面形状は
図11の(A)に示すようにL字型であっても良いし、(B)に示すように円形の端部を有するように形成されていてもよい。また、(C)に示すように、補強部材9はベゼル裏側部54に沿うように形成されていても良い。補強部材9は樹脂製であってもよいし、ステンレス鋼や銅材を用いて実現されていても良い。また、補強部材9の形状は円柱状や筒状に限定されない。補強部材9は、曲面形状への追従が容易なように、板バネとして構成されていても良い。なお、補強部材9は、上述した実施形態や変形例1として開示の構成に導入しても良い。
【0062】
[変形例3]
車両用表示装置100はタッチパネルを備えていてもよい。例えばカバー部材6と光学接着層8との間にはタッチパネルが配されていてもよい。また、カバー部材6の表面には、AR(Anti-Reflection)加工が施されていたり、反射防止フィルムが貼り付けられていても良い。カバー部材6には、AR加工の代わりに、AG(Anti-Glare)加工が施されていても良い。また、カバー部材6には、映像光の出光方向を制御する視野角制御フィルムが付与されていても良い。視野角制御フィルムは、ルーバーフィルム(LAF:Louver Array Film)とも称される。カバー部材6に視野角制御フィルムを付与した構成によれば、ディスプレイ1の表示画面がフロントガラスへの映り込むことを抑制できる。
【0063】
[変形例4]
車両用表示装置100は、
図12の(A)や(B)に示すように、湾曲した表示面を備える装置(いわゆる曲面ディスプレイ)として構成されていても良い。なお、表示面の湾曲方向は、
図12に例示する方向に限らず、適宜変更可能である。また、車両用表示装置100の表示面は矩形に限らず、楕円形などのであってもよい。車両用表示装置100は、インストゥルメントパネル200以外の部分に取り付けて使用されても良い。さらに、後部座席の乗員が視認可能な位置に搭載されて使用されるものであってもよい。例えば車両用表示装置100は、後部座席の乗員が視認可能なように、前部座席の背もたれ部の背面部に取り付けて使用されるものであってもよい。車両用表示装置100は、座席から一定距離以内に取り付けて使用されればよい。なお、他の態様として、車両用表示装置100は、座席から一定距離以上離れた位置(例えば頭部衝突範囲外)に取り付けて使用されても良い。