(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記採取位置を識別可能なX線画像は、検体試料の前記採取位置または前記採取位置付近に配置された検体採取デバイスにより前記採取位置を識別可能な画像を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断画像システム。
前記採取位置を識別可能なX線画像は、前記被検体内に導入されたマーカーおよび前記被検体内の留置物の少なくとも一方により前記採取位置を識別可能な画像を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断画像システム。
前記被検体から採取された検体試料を特定する情報は、採取された検体試料を収容するための検体容器に付される識別情報を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の診断画像システム。
前記被検体から採取された検体試料を特定する情報は、検体試料の分析を行う検体分析装置および検体試料の分析結果が記録されるサーバの少なくともいずれかから受信される識別情報を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の診断画像システム。
前記関連付け手段は、被検体を特定する情報と、前記被検体から採取された検体試料を特定する情報に関連付けられた複数の前記X線画像の各々とをさらに関連付ける、請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断画像システム。
前記関連付け手段は、前記X線画像中における検体試料の前記採取位置を特定する情報を、検体試料が採取される際の前記X線画像にさらに関連付ける、請求項1〜10のいずれか1項に記載の診断画像システム。
前記関連付け手段は、前記X線画像中における検体試料の前記採取位置を特定する情報を、前記被検体から採取された検体試料を特定する情報にさらに関連付ける、請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断画像システム。
前記関連付け手段は、検体試料の分析結果と、前記被検体から採取された検体試料を特定する情報とをさらに関連付ける、請求項1〜15のいずれか1項に記載の診断画像システム。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
[第1実施形態]
図1〜
図4を参照して、本発明の第1実施形態による診断画像システム100の構成について説明する。
【0038】
診断画像システム100は、被検体Tから検体試料90が採取される際の採取位置Pを識別可能な診断画像40と、検体試料90を特定する情報(以下、試料特定情報42という)とを関連付けするシステムである。試料特定情報42は、被検体Tから採取された検体試料90に付与され、検体試料90を特定することが可能な情報である。すなわち、診断画像システム100は、被検体Tから採取された検体試料90と、その検体試料90の採取位置Pを示す診断画像40とを、試料特定情報42によって関連付けるように構成されている。
【0039】
被検体Tは、疾患の診断が行われる対象であって、診断のための検体試料90が医師等により被検体Tから採取される。被検体Tは、ヒトやその他の動物を含む。
【0040】
検体試料90は、被検体Tから採取される生体試料全般を含み、特に限定されない。検体試料90は、たとえば、血液や組織液などの体液、内臓や骨などの器官の一部または全部である。
【0041】
検体試料90の採取は、採取対象や採取部位に応じて適切な方法により行われる。検体試料90が血液や組織液などの場合、たとえば、採血針を備えた注射器を用いて被検体Tの体外から採血する方法、血液(組織液)採取用のカテーテルを体内に導入して被検体Tの体内から採血する方法などが行われる。検体試料90が臓器の一部などの体組織である場合、外科的手術を行い採取部位の組織を外部から採取する方法、内視鏡やカテーテルを用いて体内に採取デバイスを導入して採取部位の組織を内部から採取する方法、などが行われる。採取された検体試料90は、分析に供せられ、分析結果が生成される。検体試料90の分析結果は、たとえば、検体分析装置や用手法を用いた検体試料90に対する成分分析結果を含む。また、検体試料90の分析結果は、たとえば、顕微鏡などを用いた検体試料90に対する病理診断結果を含む。
【0042】
成分分析結果や病理診断結果に基づいて確定診断がなされる場合、病変部を特定することが重要となる。検体試料90の採取位置Pは、検体試料90の成分分析結果や病理診断結果と結びついて病変部を特定するとともに検体試料90の取り違えを防ぐための重要な情報となる。
【0043】
そこで、本実施形態では、診断画像システム100は、被検体Tの診断画像40を取得する取得手段50と、採取位置Pを識別可能な診断画像40と試料特定情報42とを関連付ける関連付け手段60と、を備える。
【0044】
取得手段50は、たとえば、画像生成装置51(
図2参照)によって生成された被検体Tの診断画像40を取得する。診断画像40の取得方法は、有線または無線の伝送媒体(ネットワーク)によって画像データを受信してもよいし、診断画像40が記録された可搬型の記録媒体から画像データを読み出してもよい。診断画像40のデータを取得する場合、取得手段50は、データ通信やデータ読み出しが可能なコンピュータを含む。
【0045】
取得手段50は、たとえば、被検体Tの診断画像40を生成することにより、診断画像40を取得してもよい。すなわち、取得手段50は、
図2に示すように、被検体Tの診断画像40を生成する画像生成装置51を含んでもよい。
【0046】
診断画像40は、X線画像(
図8参照)、CT画像(
図3(A)参照)、MRI画像(
図3(B)参照)、超音波画像(
図3(C)参照)、核医学画像(
図3(D)参照)および光学画像(
図3(E)参照)の少なくともいずれかを含む。
【0047】
X線画像は、被検体Tを透過する放射線を用いて撮像した被検体Tの画像(透過像)である。CT画像は、被検体Tを走査した放射線画像を演算処理することによって構成される被検体T内の断面画像(断層画像)である。MRI画像は、核磁気共鳴現象を利用して取得された磁気的信号を演算処理することによって構成される被検体T内の断面画像である。超音波画像は、被検体T内に付与した超音波の反射信号を画像化処理することによって構成される画像である。核医学画像は、被検体T内に投与した放射性物質から放出される放射線信号を演算処理することによって構成される放射性物質の分布を示す画像である。核医学画像は、たとえばPET(positron emission tomography)画像やSPECT(Single photon emission computed tomography)画像である。光学画像は、放射線以外の他の光線(主として可視光であるが、赤外光でもよい)を用いた画像であり、被検体Tの外観を写すものである。光学画像には、たとえば採血時の採血位置を撮影した画像や、外科的手術によって体内の一部を露出させた状態で検体試料90の採取位置Pを撮影した画像が含まれうる。
【0048】
また、診断画像40は、2次元画像および3次元画像の少なくともいずれかを含む。上述の、X線画像、CT画像、MRI画像、超音波画像、核医学画像および光学画像は、いずれも2次元画像として生成されうる。また、CT画像、MRI画像や核医学画像は、3次元画像として生成されうる。また、診断画像40は、静止画像および動画像の少なくともいずれかを含む。すなわち、診断画像40は、静止画像に限らず、撮影対象の時間変化を連続的に画像化した動画像の形式であってもよい。
【0049】
図1に戻り、関連付け手段60は、取得手段50により取得された診断画像40のうち、被検体Tから検体試料90が採取される際の採取位置Pを識別可能な診断画像40と、試料特定情報42とを関連付ける機能を有する。
【0050】
採取位置Pを識別可能な診断画像40は、典型的には、試料特定情報42によって特定される検体試料90が採取される前、または採取時に、採取位置Pを含む領域を視認可能に画像化(撮影)したものである。また、検体試料90が被検体Tから採取されると、採取された検体試料90には試料特定情報42が付与されて管理される。
【0051】
採取位置Pを識別可能な診断画像40は、採取位置Pから採取された検体試料90の試料特定情報42とは別個に生成された画像データであるため、診断画像40のデータ自体は試料特定情報42とは無関係である。そこで、関連付け手段60は、検体試料90に付与された試料特定情報42を、採取位置Pを識別可能な診断画像40の画像ファイルに記録するなどの関連付け処理を行う。関連付け処理の結果、特定の採取位置Pを示す診断画像40と、その採取位置Pで採取された検体試料90や検体試料90に対する分析結果とが、試料特定情報42を介してひも付けられた状態で管理することが可能となる。
【0052】
採取位置Pを識別可能な診断画像40は、たとえば、検体試料90の採取位置Pまたは採取位置P付近に配置された検体採取デバイス3により採取位置Pを識別可能な画像である。検体採取デバイス3は、たとえば、被検体T内に導入されて被検体T内の検体試料90を採取する採取器具である。具体的には、採取器具は、穿刺針(
図3(A)、(C)参照)や内視鏡、カプセル内視鏡(図示せず)、カテーテル(
図8参照)などを含む。検体採取デバイス3は、注射器(
図3(E)参照)などの採血器具であってもよい。検体採取デバイス3により採取位置Pを識別する場合、診断画像40は、検体試料90の採取時に、検体試料90を採取するために採取位置P(または採取位置P付近)に配置された検体採取デバイス3を採取位置Pとともに画像化したものである。
【0053】
また、採取位置Pを識別可能な診断画像40は、たとえば
図4に示すように、被検体T内に導入されたマーカーM1および被検体T内の留置物M2の少なくとも一方により採取位置Pを識別可能な画像である。マーカーM1(
図4(A)参照)は、たとえば放射線の透過性が低い物質により形成された物体であり、球状、コイル状など、形状は問わない。留置物M2は、コイル(
図4(B)参照)、ステント(
図4(C)参照)、人工弁(図示せず)などの体内に留置された医療器具を含む。マーカーM1や留置物M2により採取位置Pを識別する場合、診断画像40は、検体試料90の採取前または採取時に、マーカーM1や留置物M2を採取位置Pとともに画像化したものである。
【0054】
診断画像40と関連付けられる試料特定情報42は、診断画像40と検体試料90とを一対一で対応付けることが可能な情報であれば、どのような情報であってもよい。試料特定情報42は、たとえば、医師や医療スタッフなどのユーザーにより入力される識別情報であってもよい。ユーザーの入力を受け付ける場合、
図2に示すように、関連付け手段60は、入力装置61を含みうる。検体試料90の採取時に、入力装置61は、採取された検体試料90の識別番号の入力を受け付け、検体試料90に付与する。この場合、関連付け手段60は、入力装置61が受け付けた識別番号(試料特定情報42)を診断画像40にも付与することにより、関連付けを行う。
【0055】
試料特定情報42は、装置により自動的に生成される識別情報であってもよい。試料特定情報42は、たとえば、検体試料90の分析を行う検体分析装置2および検体試料90の分析結果が記録されるサーバ8の少なくともいずれかから受信される識別情報を含む。試料特定情報42を受信する構成では、関連付け手段60は、取得手段50と共通の受信側装置であってよい。
【0056】
図2の構成を例にとると、たとえば、取得手段50および関連付け手段60は、共通の画像生成装置51であってもよい。関連付け手段60としての画像生成装置51は、診断画像40を生成すると、検体試料90に付与された試料特定情報42を、検体分析装置2またはサーバ8から受信する。受信した試料特定情報42が、診断画像40に付与される。診断画像システム100は、このように構成されていてもよい。
【0057】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
第1実施形態では、上記のように、被検体Tから検体試料90が採取される際の採取位置Pを識別可能な診断画像40と、試料特定情報42とを関連付ける関連付け手段60を設ける。これにより、被検体Tから検体試料90が採取される際に取得した診断画像40から、検体試料90の採取位置Pを特定できるようになる。そして、検体試料90が採取される際の診断画像40と、試料特定情報42とが関連付けられることにより、たとえば医師が診断画像40から検体試料90の採取位置Pを特定した場合、その特定した採取位置Pに関連付けられた検体試料90を容易に特定することができる。検体試料90の分析結果が得られれば、試料特定情報42と関連付けられた診断画像40によって、検体試料90の採取位置Pと分析結果とを対応させることができる。その結果、検体試料90の採取時にスケッチを作成することなく、採取された検体試料90と採取位置P(を示す診断画像40)との対応関係を管理することができる。以上により、第1実施形態の診断画像システム100によれば、被検体Tから採取した検体試料90によって診断を行う際の、検体試料90の分析結果と採取位置Pとの管理負担を軽減することができるようになる。
【0059】
また、第1実施形態では、上記のように、診断画像40を、X線画像、CT画像、MRI画像、超音波画像、核医学画像および光学画像の少なくともいずれかを含む画像とする。これにより、試料特定情報42と疾患の診断に適した多様な診断画像40とを関連付けて、検体試料90と採取位置Pとを対応付けることができる。その結果、各種の診断画像40と検体試料90との関連付けが可能な汎用性の高い診断画像システム100を提供することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、診断画像40を、2次元画像および3次元画像の少なくともいずれかを含む画像とする。これにより、医師が診断画像40から検体試料90の採取位置Pを特定する際に、採取部位や位置に応じて、より採取位置Pを特定しやすい適切な2次元や3次元の診断画像40を検体試料90と関連付けることができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、好ましくは、診断画像40を、静止画像および動画像の少なくともいずれかを含む画像とする。これにより、たとえば検体採取を行う際の状況を撮影した動画像形式の診断画像40を用いることにより、医師が診断画像40から容易に検体試料90の採取位置Pを特定することができるようになるなど、適切な診断画像40を利用できるようになる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、採取位置Pを識別可能な診断画像40を、検体試料90の採取位置Pまたは採取位置P付近に配置された検体採取デバイス3により採取位置Pを識別可能な画像とする。これにより、診断画像40からは視認し難い体組織や、局所部位の血液などを採取する場合に、検体採取デバイス3の位置から採取位置Pを容易に識別することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、検体採取デバイス3として、被検体T内に導入されて被検体T内の検体試料90を採取する採取器具を採用する。これにより、被検体T内の検体試料90の採取位置Pまで導入された採取器具を写した診断画像40が得られるので、検体試料90の採取位置Pを容易に識別できるようになる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、採取位置Pを識別可能な診断画像40を、被検体T内に導入されたマーカーM1および被検体T内の留置物M2の少なくとも一方により採取位置Pを識別可能な画像とする。これにより、体内器官とは異なり、X線画像やその他の画像上で高い視認性を得やすいマーカーM1や留置物M2を写した診断画像40により、検体試料90の採取位置Pを容易に識別することができる。
【0065】
[第2実施形態]
図5〜
図10を参照して、本発明の第2実施形態による診断画像システム100の構成について説明する。第2実施形態では、診断画像システムの具体例として、被検体T内の検体試料90を採取することによって局所診断を行うために、検体試料90の採取のためのX線画像撮影と、採取された検体試料90の分析とを行うように構成した診断画像システム100について説明する。
【0066】
(診断画像システム)
第2実施形態の診断画像システム100を用いた局所診断の例としては、原発性アルドステロン症の診断のための副腎静脈サンプリングや、インスリノーマの診断のための選択的動脈内カルシウム注入試験、内視鏡を用いて内臓の組織片を採取して行う内視鏡下生検などがある。以下では、局所診断の具体例を示す場合には、原発性アルドステロン症の診断のための副腎静脈サンプリングを行うケースについて説明する。
【0067】
図5に示すように、診断画像システム100は、被検体TのX線画像41を撮影するX線撮影装置1と、被検体Tから採取される検体試料90の分析を行う検体分析装置2と、を備える。第2実施形態では、診断画像システム100を構成するX線撮影装置1および検体分析装置2は、たとえば医療機関の検査室R1内に設置され、医師などの1人または複数人の操作者によって運用される。
【0068】
診断画像システム100は、被検体T内の検体試料90を採取するために、X線撮影装置1によって被検体Tの外部からX線画像を撮影する。検体試料90を採取する際、検体採取デバイス3が被検体Tの内部に導入され、撮影されたX線画像を手がかりに、検体採取を担当する医師が検体採取デバイス3を検体試料90の採取位置Pまで進入させ、検体試料90を採取する。
【0069】
副腎静脈サンプリングでは、検体採取デバイス3にカテーテルが用いられる。
【0070】
採取された検体試料90は、検体採取デバイス3に取り込まれ、検体分析装置2に直接移送されるか、または、検体試料90を収容するための検体容器4に別途収容された後、検体容器4が検体分析装置2に移送される。検体分析装置2は、検体採取デバイス3と接続されている場合、検体分析装置2が採取された検体試料90を検体採取デバイス3から直接取り込むように構成される。検体容器4を利用する場合、医師などの操作者が検体容器4を検体分析装置2にセットすることにより、検体分析装置2が検体試料90を受け付ける。検体容器4は、たとえば採血管である。検体分析装置2は、取得した検体試料90の分析を行う。
【0071】
X線撮影装置1は、検体採取デバイス3によって検体試料90の採取が行われる間、X線画像を動画形式で生成し、表示部18に表示する。また、X線撮影装置1は、動画形式のX線画像のうちの任意のフレームの画像を、任意のタイミングで静止画像として記録(保存)することが可能である。第2実施形態では、被検体T中における検体試料90の採取位置Pを識別可能なX線画像41(
図8参照)が静止画像形式で記録される。採取位置Pを識別可能なX線画像41は、動画像形式で記録されてもよい。
【0072】
検体試料90の採取位置Pを識別可能なX線画像41は、具体的には、検体採取デバイス3が被検体T内の採取位置Pに配置された状態を撮影した画像である。副腎静脈サンプリングの場合、各種副腎静脈のうち、採血対象の副腎静脈の採血位置にカテーテルの先端部3a(
図8参照)が配置され、カテーテルを留置した状態で採血が行われる。X線画像41は、採血を行う際の採血位置にカテーテルの先端部3aが配置された状態を撮影した画像である。記録されたX線画像41を見れば、実際の採血位置が識別できる。
【0073】
関連付け手段60は、X線撮影装置1および検体分析装置2とは別個に設けてもよいが、X線撮影装置1または検体分析装置2によって構成されてもよい。つまり、X線撮影装置1または検体分析装置2が、関連付け手段60としての機能するように構成されていてもよい。第2実施形態の例では、関連付け手段60は、X線撮影装置1の制御部16および検体分析装置2のデータ処理部33によって構成されている。制御部16およびデータ処理部33は、請求の範囲の「関連付け手段」の一例である。
【0074】
第2実施形態の例では、X線撮影装置1と検体分析装置2とは、LAN(Local Area Network )などのネットワーク6を介して互いに通信可能に構成されている。X線撮影装置1と検体分析装置2とは、ネットワーク6を介して、分析結果43のデータおよび試料特定情報42のデータの送受信や、データのやりとりのための制御信号の送受信などが可能なように構成されている。関連付け手段60は、ネットワーク6を介して、分析結果43と試料特定情報42とを取得し、記録されたX線画像41との関連付けを行う。関連付け手段60は、たとえば、X線撮影装置1および検体分析装置2の各々とネットワーク6を介して接続されたホストコンピュータ(サーバ)7であってもよい。
【0075】
(X線撮影装置)
図6に示すように、X線撮影装置1は、被検体Tの外側から放射線を照射することによって、被検体T内を画像化するためのX線画像を撮影する装置である。
【0076】
X線撮影装置1は、被検体Tに放射線(X線)を照射する照射部11と、被検体Tを透過した放射線を検出する検出部12とを備えている。照射部11と検出部12とは、それぞれ、被検体Tが載置される天板13を挟んで対向するように配置されている。照射部11および検出部12は、移動機構14に移動可能に支持されている。天板13は、天板駆動部15により水平方向に移動可能である。被検体Tの関心領域を撮影できるように、移動機構14および天板駆動部15を介して照射部11、検出部12および天板13が移動される。関心領域は、被検体Tのうちで、検体試料の採取位置Pを含む領域である。X線撮影装置1は、移動機構14および天板駆動部15を制御する制御部16を備えている。
【0077】
照射部11は、放射線源11aを含んでいる。放射線源11aは、たとえば、所定の高電圧が印加されることによりX線を発生させるX線管である。照射部11は、制御部16に接続されている。制御部16は、予め設定された撮影条件に従って照射部11を制御し、放射線源11aからX線を発生させる。
【0078】
検出部12は、照射部11から照射され、被検体Tを透過したX線を検出し、検出したX線強度に応じた検出信号を出力する。検出部12は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)により構成されている。また、X線撮影装置1は、検出部12からX線検出信号を取得して、検出部12の検出信号に基づきX線画像41を生成する画像処理部17を備えている。検出部12は、所定の解像度の検出信号を画像処理部17に出力する。
【0079】
画像処理部17は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含んで構成されるコンピュータであり、画像処理プログラムをプロセッサに実行させることにより画像処理部として機能する。画像処理部17は、X線画像41を生成するほか、X線画像41の視認性を向上するための補正処理や、複数のX線画像41を合成する合成処理などを行うことができる。
【0080】
制御部16は、CPU、ROMおよびRAMなどを含んで構成されたコンピュータである。制御部16は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、X線撮影装置1の各部を制御する制御部として機能する。制御部16は、照射部11および画像処理部17の制御や、移動機構14および天板駆動部15の駆動制御を行う。第2実施形態では、制御部16は、採取位置Pを識別可能な診断画像40(X線画像41)と、試料特定情報42とを関連付ける関連付け手段として機能することができる。
【0081】
X線撮影装置1は、表示部18、操作部19および記憶部20を備える。また、X線撮影装置1は、ネットワーク6と接続するための通信部21を備える。表示部18は、たとえば液晶ディスプレイなどのモニタである。操作部19は、たとえばキーボードおよびマウス、タッチパネルまたは他のコントローラーなどを含んで構成される。記憶部20は、たとえばハードディスクドライブなどの記憶装置により構成される。制御部16は、画像処理部17により生成された画像を表示部18に表示させる制御を行うように構成されている。また、制御部16は、操作部19を介した入力操作を受け付けるように構成されている。記憶部20は、X線画像41のデータ、試料特定情報42のデータ、検体試料の分析結果43のデータ、後述する画像連結データ44などを記憶するように構成されている。通信部21は、ネットワーク6を介して検体分析装置2と通信可能に接続されている。通信部21は、ネットワーク6を介さずに検体分析装置2と一対一で接続されていてもよい。
【0082】
(検体分析装置)
検体分析装置2は、被検体Tから採取された検体試料90を取得して、診断に必要な成分の測定や細胞の検出などを行う装置である。検体分析装置2は、たとえば血中成分を分析するための血液分析装置や、血球分類装置、化学分析装置などであるが、検体分析装置2による測定または検出の対象物は、診断の目的となる疾患の種類によって異なるため、疾患の種類に応じて選択される。原発性アルドステロン症の診断では、副腎静脈血中のコルチゾール濃度やアルドステロン濃度が測定される。
【0083】
図7では、検体分析装置2の一例として、液体クロマトグラフ質量分析計からなる検体分析装置2を示す。検体分析装置2は、検体試料90に含まれる目的成分の分離を行う液体クロマトグラフ部(以下、LC部31という)と、分離された目的成分をイオン化し、目的イオンを質量数に応じて分離検出する質量分析部(以下、MS部32という)とを備える。
【0084】
LC部31は、搬送液を収容する搬送液リザーバと、搬送液を検体試料とともに送り出す送液ポンプと、検体試料を導入する試料導入部と、搬送液中の検体試料を成分毎に分離する分離カラムとを主として含む。
【0085】
MS部32は、LC部31の後段に設けられ、LC部31で分離された試料成分をイオン化するイオン化部と、生成されたイオンを質量分離して特定イオンを通過するための質量分離器と、質量分離器を通過したイオンを検出するイオン検出器とを主として含む。MS部32により、LC部31から順次溶出する試料成分について、質量毎の検出信号が出力される。
【0086】
検体分析装置2は、MS部32の検出信号に基づいて成分分析を行うデータ処理部33を備える。データ処理部33は、質量毎の検出信号からマススペクトルを作成し、既知の検量線と対比することにより、検体試料中の所定成分(コルチゾールやアルドステロンなど)の定量分析を行う。
【0087】
検体分析装置2は、表示部34、操作部35、記憶部36および通信部37を備える。表示部34、操作部35、記憶部36および通信部37の構成自体は、それぞれ、X線撮影装置1の表示部18、操作部19、記憶部20および通信部21と同様である。
【0088】
(診断画像と試料特定情報との関連付け)
第2実施形態では、制御部16は、通信部21を介して、検体分析装置2から試料特定情報42のデータ、検体試料90の分析結果43のデータなどを取得する。言い換えると、検体分析装置2のデータ処理部33は、通信部37を介して、X線撮影装置1に分析結果43のデータや試料特定情報42のデータを送信する。制御部16は、受信した試料特定情報42と採取位置Pを識別可能なX線画像41とを関連付ける。
【0089】
第2実施形態では、関連付け手段60は、検体試料90の分析結果43と、試料特定情報42とをさらに関連付けるように構成されている。すなわち、制御部16は、取得した試料特定情報42を介して、採取位置Pを識別可能なX線画像41と、採取された検体試料90の分析結果43との関連付けをさらに行うように構成されている。検体試料の分析結果43は、上記の通り、検体試料に対する成分分析結果や、検体試料に対する病理診断結果を含む。
【0090】
第2実施形態では、試料特定情報42が、採取された検体試料毎に付与される採取番号42a(
図9参照)である例について説明する。採取番号42aは請求の範囲の「識別情報」の一例である。
【0091】
図9に示すように、採取番号42aは、検体採取を行う度に付与されるユニークな番号である。副腎静脈サンプリングの場合、異なる位置にある複数の副腎静脈から個別に、かつ順番に採血が行われる。その場合、採取番号42aは、たとえば検体採取を行った順番に「001、002、003」などの番号として生成され、検体試料毎に付与される。
【0092】
第2実施形態では、検体分析装置2のデータ処理部33は、検体試料90の分析に際して、分析を行う検体試料90毎に採取番号42aを取得する。そして、データ処理部33は、個々の検体試料90の分析結果43を生成すると、分析を行った検体試料90の採取番号42aと分析結果43とをセットにしてX線撮影装置1に送信する。
【0093】
これにより、制御部16は、X線画像41の撮影中に被検体T中の複数箇所から個別に採取された複数の検体試料90について、各々の検体試料90の分析結果43とともに試料特定情報42(採取番号42a)を検体試料90毎に取得するように構成されている。制御部16は、取得した試料特定情報42(採取番号42a)を介して、各々の検体試料90が採取される際に取得したX線画像41と、各々の検体試料90の分析結果43とを、一対一対応で関連付ける。
【0094】
X線画像41と分析結果43との関連付けは、たとえばX線画像41のデータと分析結果43のデータとの各々に、共通の試料特定情報42を付与してもよいし、X線画像41のデータと分析結果43のデータとを連結して単一のデータとして記録してもよい。共通の試料特定情報42を付与する場合、X線画像41と分析結果43とは、ユニークな試料特定情報42によってひも付けられた個別のデータとして管理される。
【0095】
第2実施形態では、制御部16は、検体試料90の採取位置Pを識別可能なX線画像41と分析結果43とを連結して単一のデータファイルとして記録することにより、X線画像41と分析結果43とを関連付けるように構成されている。具体的には、
図10に示すように、制御部16は、DICOM規格に準拠した形式の画像連結データ44(DICOMファイル)にX線画像41と分析結果43とを記録する。
【0096】
画像連結データ44(DICOMファイル)は、原則として、タグ情報、型情報、データ長およびデータ本体を含むデータ要素44aの集合により、構成される。タグ情報は、データ本体として格納される情報の種類を示す。型情報は、データ本体のデータ形式(文字列か数値か)を示す。データ長は、データ本体の情報量を示す。X線画像41のデータや分析結果43のデータは、データ本体として格納される。
【0097】
制御部16は、X線画像41を格納するデータ要素44aと、分析結果43を格納するデータ要素44aとを含めた画像連結データ44を生成する。これにより、X線画像41と分析結果43とが連結された単一のデータファイル(画像連結データ44)が記録される。医師などが画像連結データ44を閲覧する際には、X線画像41が示す検体試料90の採取位置Pと、その検体試料90の分析結果43とが、まとめて閲覧可能である。
【0098】
(関連付け処理)
次に、
図11を参照して、診断画像システム100(X線撮影装置1および検体分析装置2)によるX線画像41と分析結果43との関連付け処理の流れを説明する。
【0099】
検査を開始すると、まず、ステップS1において、X線撮影装置1がX線画像の撮影を開始し、表示部18に動画像形式で被検体Tの透視画像を表示する。
【0100】
表示部18に表示された画像を手がかりに、医師が検体採取デバイス3を被検体T内に挿入し、検体試料90の採取位置Pまで送り込む。つまり、副腎静脈のいずれかに検体採取デバイス3(カテーテル)の先端部3aを配置する。検体採取デバイス3は、検体試料90の採取が完了するまで、採取位置Pに留置される。
【0101】
ステップS2において、検体分析装置2が、検体試料90の採取番号42aを取得し、所得した採取番号42aをデータ処理部33から制御部16に送信する。採取番号42aは、たとえば操作部35を介した入力操作を受け付けることにより取得することができるほか、検体試料90の採取を始めてから(検体分析装置2をスタンバイさせてから)、分析対象の検体試料90を受け付ける順番毎に、データ処理部33が自動的に採取番号42aを生成してもよい。
【0102】
ステップS3において、X線撮影装置1の制御部16は、検体分析装置2から送信された採取番号42aを受け付ける。ステップS4において、X線撮影装置1の制御部16は、検体試料90が採取される際のX線画像41を取得する。すなわち、制御部16は、動画像形式のX線画像のうちから、所定のタイミングでX線画像41を静止画像として記憶部20に記録する。X線画像41は、
図8に示したように、検体試料90の採取位置Pで検体採取デバイス3を写しており、検体試料の採取位置Pを識別可能な画像として取得される。また、制御部16は、X線画像41に採取番号42aを付与する。すなわち、制御部16は、検体試料90が採取される際のX線画像41を採取番号42aと対応付けて記録することにより、X線画像41と採取番号42aとの関連付けを行う。
【0103】
ここで、検体採取デバイス3の操作者は、検体採取デバイス3を操作して検体試料90を採取する。すなわち、操作者は、採取位置Pに留置したカテーテルにより、1番目の副腎静脈血の採血を行う。
【0104】
ステップS5において、検体分析装置2は、採取された検体試料90を受け付ける。すなわち、検体採取デバイス3により取得された検体試料90が、直接、または検体容器4を介して、検体分析装置2に供給される。受け付けた検体試料90は、採取番号42aにより特定される。
【0105】
ステップS6において、検体分析装置2は、受け付けた検体試料90の分析を行う。すなわち、データ処理部33が、検出信号に基づいて検体試料中の所定成分(原発性アルドステロン症の診断の場合、コルチゾールやアルドステロンなど)の定量分析を行う。そして、ステップS7において、データ処理部33が、分析結果43を作成する。データ処理部33は、検体試料中のコルチゾール濃度やアルドステロン濃度などの所定項目のデータを分析結果43として作成する。データ処理部33は、検体試料90の分析結果43を採取番号42aと対応付けて記録することにより、検体試料90の分析結果43と、採取番号42aとを関連付ける。
【0106】
分析結果43が得られると、ステップS8において、データ処理部33は、検体試料90の分析結果43と採取番号42aとを、X線撮影装置1に送信する。
【0107】
データ送信を受け付けたX線撮影装置1は、ステップS9において、取得した採取番号42aに基づいて分析結果43とX線画像41とを関連付ける。すなわち、制御部16が、採取番号42aが一致する分析結果43とX線画像41とを連結して、単一の画像連結データ44を生成する。
【0108】
なお、
図11では省略しているが、原発性アルドステロン症の診断のための副腎静脈サンプリングの場合、1番目の検体試料90が採取された後、検体採取デバイス3の操作者は、再び透視画像(動画像)を手がかりに、次の採血位置(別の副腎静脈)に検体採取デバイス3を配置して、採血を行う。そのため、採血位置に検体採取デバイス3が配置される度に、ステップS2〜S9の処理が繰り返し実施される。
【0109】
この結果、複数の採取位置Pから検体試料90が順次採取される場合でも、制御部16は、採取番号42aと、各々の採取位置Pを示すX線画像41および対応する分析結果43とを相互に関連付けて、画像連結データ44として生成する。画像連結データ44は、採取された検体試料90の数だけ生成される。
【0110】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0111】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、採取位置Pを識別可能な診断画像40(X線画像41)と、試料特定情報42とを関連付けることにより、被検体Tから採取した検体試料90によって診断を行う際の、検体試料90の分析結果と採取位置Pとの管理負担を軽減することができるようになる。
【0112】
また、第2実施形態では、上記のように、検体から採取された試料特定情報42が、採取時に検体試料90毎に付与された採取番号42aを含む。これにより、検体試料90を採取した際に検体試料90毎にユニークな採取番号42aを付与することによって、容易かつ確実に、検体試料90の採取位置Pを識別可能なX線画像41との関連付けを行うことができる。
【0113】
また、第2実施形態では、上記のように、被検体から採取された試料特定情報42が、検体試料90の分析を行う検体分析装置2から受信される採取番号42aを含む。これにより、検体分析装置2から容易に採取番号42aを取得して、自動的な関連付けを行うことができるので、診断画像システム100の利便性を向上させることができる。
【0114】
また、第2実施形態では、上記のように、関連付け手段60を、検体試料90の分析結果43と、被検体から採取された試料特定情報42とを関連付けるように構成する。これにより、採取位置Pを識別可能なX線画像41と、採取位置Pから採取した検体試料90の分析結果43とを一対一対応で管理することが可能となるので、検体試料90の分析結果43と採取位置Pとの管理負担をより一層軽減することができるようになる。
【0115】
また、第2実施形態では、上記のように、検体試料90の分析結果43が、検体試料90に対する病理診断結果を含む。これにより、病理診断結果によって病変の有無や病変の種類が特定された場合に、その病変部位(検体試料90の採取位置P)をX線画像41から直接的に把握することができるようになる。その結果、病変部位の把握を容易化し、診断画像システム100の利便性を向上させることができる。
【0116】
また、第2実施形態では、上記のように、検体試料90の分析結果43が、検体試料90に対する成分分析結果を含む。これにより、たとえば検査対象部位の周辺の複数箇所から血液検体などが採取された場合にも、各々の検体試料90の成分分析結果と採取位置Pとを対応付けて管理することが可能となる。これにより、分析結果43と採取位置Pとの管理負担を効果的に低減することができる。
【0117】
[第3実施形態]
次に、
図12〜
図14を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、試料特定情報42として採取番号42aを用いた上記第2実施形態と異なり、試料特定情報42として時刻情報42bを用いる例について説明する。第3実施形態において、第2実施形態と共通の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0118】
(X線画像と分析結果との関連付け)
図12に示すように、第3実施形態では、X線撮影装置1および検体分析装置2は、ネットワーク6を介してタイムサーバー108と接続されている。すなわち、X線撮影装置1の制御部116および検体分析装置2のデータ処理部133が、共通のタイムサーバー108によって時間的に同期して動作することが可能である。制御部116およびデータ処理部133は、請求の範囲の「関連付け手段」の一例である。
【0119】
第3実施形態では、
図13に示すように、制御部116は、検体試料の分析結果43とともに時刻情報42bを取得し、取得した時刻情報42bと、X線画像41の撮影時刻とに基づいて、対応するX線画像41と分析結果43とを関連付けるように構成されている。時刻情報42bは請求の範囲の「識別情報」の一例である。
【0120】
具体的には、制御部116は、
図13に示すように、検体試料90が採取される際のX線画像41(静止画像)を取得する場合、X線画像41を取得した撮影時間情報141(撮影時刻)をX線画像41のデータに含めて記録するように構成されている。このため、X線撮影装置1によって取得された個々のX線画像41は、画像データに含まれる撮影時間情報141に基づいて一意に特定することが可能である。
【0121】
また、検体分析装置2のデータ処理部133(
図12参照)は、検体試料90を受け付けて検体分析を開始する場合、分析を開始した時刻を時刻情報42bとして取得し、検体試料の分析結果43に含めて記録するように構成されている。このため、検体分析装置2によって作成された個々の分析結果43は、時刻情報42bに基づいてどの検体試料の分析結果であるかを特定することが可能である。
【0122】
そのため、
図12に示す診断画像システム100において、検体試料90が複数の副腎静脈から順番に採取された場合、検体試料90が採取された順番と、X線画像41が取得された順番と、検体分析が開始された順番とは、互いに一致する。なお、被検体T内で複数の採取位置から検体試料90を採取する場合、カテーテルなどの検体採取デバイス3の移動作業を伴うため、時間的に連続的に採取することは困難である。そのため、各々の検体試料90が採取される間には、上記の検体採取順番、画像取得順番および分析開始順番の対応関係を正確に識別するのに十分な時間間隔が存在する。
【0123】
そこで、制御部116は、分析結果43とともに取得した時刻情報42bと、一連のX線画像41の撮影時刻の時系列とを照合することにより、検体試料90の採取位置Pを示すX線画像41とその採取位置Pで採取された検体試料90の分析結果43とを特定し、互いに関連付けるように構成されている。
【0124】
たとえば、
図13に示すように、制御部116は、取得した時刻情報42bが、検体試料90が採取される際のX線画像41aの撮影時刻以後、次に検体試料90が採取される際のX線画像41bの撮影時刻よりも前である場合に、X線画像41aと、時刻情報42bと、分析結果43とを相互に関連付けるように構成されている。
図13では、分析結果43aの時刻情報42bが、X線画像41aの撮影時刻とX線画像41bの撮影時刻との間にあるため、分析結果43a(時刻情報42b)とX線画像41aとが関連付けられる。同様にして、X線画像41bと分析結果43bとが関連付けられ、X線画像41cと分析結果43cとが関連付けられる。
【0125】
(関連付け処理)
図14に示すように、第3実施形態では、まず、ステップS21において、X線撮影装置1(制御部116)および検体分析装置2(データ処理部133)が、タイムサーバー108により時間的に同期する。つまり、時刻合わせが行われる。
【0126】
ステップS22において、X線撮影装置1が撮影を開始し、表示部18に動画像形式で被検体Tの透視画像を表示する。検体採取デバイス3が採取位置Pに配置されると、ステップS23において、検体分析装置2が、検体試料が採取される際のX線画像41を取得する。この際、X線画像41は、撮影時間情報141(撮影時刻)を含んで記録される。
【0127】
検体採取デバイス3によって検体試料90が採取されると、ステップS24において、検体分析装置2は、採取された検体試料90を受け付ける。ステップS25において、検体分析装置2は、受け付けた検体試料90の分析を行う。この際、データ処理部133は、検体分析の開始時刻を示す時刻情報42bを取得する。ステップS26において、データ処理部133が、分析結果43を作成する。データ処理部133は、検体試料90の分析結果43に時刻情報42bを含めて記録することにより、検体試料90の分析結果43と検体試料90を特定する時刻情報42bとを関連付ける。
【0128】
分析結果43が得られると、ステップS27において、データ処理部133は、検体試料90の分析結果43と時刻情報42bとを、X線撮影装置1に送信する。なお、分析が完了するまでには時間がかかるので、分析結果43の送信と、次のX線画像41の取得(2番目の検体試料についてのステップS23の処理)が前後する場合がある。その場合でも、
図13に示したように撮影時刻と分析開始時刻(時刻情報42b)との前後関係に基づいて、対応するX線画像41が特定できる。
【0129】
データ送信を受け付けたX線撮影装置1は、ステップS28において、取得した時刻情報42bとX線画像41の撮影時刻(撮影時間情報141)とに基づいて、時刻情報42bが付与された分析結果43とX線画像41とを関連付ける。制御部16は、時刻情報42bと撮影時刻との時系列関係に基づいて特定した分析結果43とX線画像41とを連結して、単一の画像連結データ44を生成する。
【0130】
なお、2番目以降の採血位置に検体採取デバイス3が配置される度に、ステップS23〜S28の処理が繰り返し実施される。制御部16は、各々の採取位置Pを示すX線画像41と、対応する分析結果43(時刻情報42b)とを関連付けて、画像連結データ44として生成する。
【0131】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、採取位置Pを識別可能な診断画像40(X線画像41)と、試料特定情報42とを関連付けることにより、被検体Tから採取した検体試料90によって診断を行う際の、検体試料90の分析結果と採取位置Pとの管理負担を軽減することができるようになる。
【0132】
また、第3実施形態では、上記のように、試料特定情報42として、検体試料90の分析を実施した時刻情報42bを用いる。これにより、検体分析装置2によって取得された時刻情報42bによって、X線画像41と分析結果43との自動的な関連付けの処理を容易に行うことが可能となる。
【0133】
[第4実施形態]
次に、
図15および
図16を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、検体分析装置2が採取番号42aを取得してX線撮影装置1に送信する上記第2実施形態と異なり、X線撮影装置1が採取番号42aを取得する例について説明する。第4実施形態において、第2実施形態と共通の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0134】
(X線画像と分析結果との関連付け)
第4実施形態では、試料特定情報42には上記第2実施形態と同様の採取番号42aが用いられる。制御部216(
図15参照)は、検体試料90が採取される際に検体試料90の採取位置Pを識別可能なX線画像41に採取番号42aを付与し、検体試料90の分析結果43とともに採取番号42aを取得し、取得した採取番号42aに基づいて分析結果43とX線画像41とを関連付ける(
図9参照)。制御部216は、請求の範囲の「関連付け手段」の一例である。
【0135】
ここで、第4実施形態では、
図15に示すように、制御部216は、検体試料90が採取される際に操作部19を介して受け付けた操作入力に基づいて、X線画像41に採取番号42aを付与するように構成されている。
【0136】
制御部216は、たとえば、
図15に示す表示部18の表示画面に検体採取ボタン222(アイコン)を設ける。操作部19に、物理的な入力デバイスとしての検体採取ボタン(図示せず)を設けてもよい。
【0137】
第4実施形態では、検体採取デバイス3が採取位置Pに配置されて、検体試料90の採取が開始される際に、操作者が検体採取ボタン222を入力する操作を行う。制御部216は、操作入力に基づいて、採取番号42aを生成し、検体分析装置2に送信する。これにより、制御部216は、検体分析装置2から分析結果43とともに送信される採取番号42aに基づいて、X線画像41と分析結果43とを関連付ける。
【0138】
(関連付け処理)
図16に示すように、第4実施形態では、ステップS31において、X線撮影装置1がX線画像の撮影を開始し、表示部18に動画像形式で被検体Tの透視画像を表示する。検体採取デバイス3が採取位置Pに配置されると、ステップS32において、制御部216が、操作部19を介した操作入力を受け付ける。すなわち、制御部216は、操作者による検体採取ボタン222の入力操作を受け付ける。
【0139】
検体採取ボタン222の入力操作を受け付けると、制御部216は、ステップS33において、今回の検体試料90の採取番号42aを取得(生成)し、検体分析装置2に送信する。ステップS34において、検体分析装置2は、採取番号42aを受け付ける。
【0140】
ステップS35において、制御部216は、検体試料が採取される際のX線画像41を取得する。この際、制御部216は、ステップS33で取得した採取番号42aをX線画像41に付与する。
【0141】
ステップS36〜S40の処理は、上記第2実施形態の関連付け処理におけるステップS5〜S9と同様であるので、説明を省略する。
【0142】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0143】
[第5実施形態]
次に、
図17〜
図19を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、試料特定情報42として採取番号42aを用いた上記第2実施形態および時刻情報42bを用いた上記第3実施形態と異なり、試料特定情報42として採取された検体試料90を収容するための検体容器4に付される識別情報42cを用いる例について説明する。第5実施形態において、第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0144】
(X線画像と分析結果との関連付け)
第5実施形態では、X線撮影装置1と検体分析装置2とが、LANなどのネットワーク6により試料特定情報42を送受信可能な構成でなくてもよい。たとえば、
図17に示すように、X線撮影装置1と検体分析装置2とが、検査室R1と分析室R2とに別々に設置されており、試料特定情報42を送受信することが許容されない構成でもよい。また、X線撮影装置1と検体分析装置2がネットワーク6に接続されていても、たとえばホストコンピュータ7(
図1参照)とのデータの送受信が許可されているだけでX線撮影装置1と検体分析装置2との間でのデータのやりとりが許容されないようなケースでもよい。
【0145】
第5実施形態では、試料特定情報42は、採取された検体試料90を収容するための検体容器4に付される識別情報42cである。識別情報42cは、たとえば検体容器4にバーコードや2次元コードの形式で付される検体IDである。識別情報42cは、たとえばバーコードが印字されたラベル4aの形態で用意され、検体試料90が採取される際に、操作者によって検体容器4に貼付される。これにより、識別情報42cは、検体試料90を特定するために用いられる。
【0146】
第5実施形態では、X線撮影装置1は、採取された検体試料90を収容するための検体容器4に付される識別情報42cを読み取るための読取部323を備える。また、検体分析装置2は、読取部338を備える。読取部323および338は、たとえば識別情報42cに応じたバーコードリーダー(2次元コードリーダー)であり、それぞれ検体容器4に付される識別情報42cを読み取ることが可能である。
【0147】
第5実施形態では、制御部316は、検体試料90が採取される際に、読取部323により読み出された識別情報42cをX線画像41に付与するように構成されている。そして、制御部316は、識別情報42cが付与された分析結果43を取得する。これにより、制御部316は、
図18に示すように、X線画像41および分析結果43の各々に付与された識別情報42cに基づいて、X線画像41と分析結果43とを関連付けるように構成されている。制御部316は、請求の範囲の「関連付け手段」の一例である。
【0148】
また、
図17に示したように、検体分析装置2(データ処理部333)は、検体分析を行う際に、読取部338により読み出された識別情報42cを分析結果43に付与するように構成されている。これにより、分析結果43とX線画像41とが、共通の識別情報42cを介して相互に対応付けられる。データ処理部333は、請求の範囲の「関連付け手段」の一例である。
【0149】
(関連付け処理)
図19に示すように、第5実施形態では、ステップS51において、X線撮影装置1がX線画像の撮影を開始し、表示部18に動画像形式で被検体Tの透視画像を表示する。検体採取デバイス3が採取位置Pに配置されると、ステップS52において、読取部323により識別情報42cが読み取られることにより、制御部316が識別情報42cを取得する。すなわち、操作者が、読取部323を使用して識別情報42cが印字された任意のラベル4a(
図17参照)を選択して、識別情報42cを読み取る。識別情報42cが読み取られたラベル4aは、操作者により、今回の検体試料90を収容するための検体容器4に貼付される。
【0150】
制御部316は、ステップS53において、検体試料90が採取される際のX線画像41(静止画像)を取得する。この際、制御部316は、ステップS52で取得した識別情報42cをX線画像41に付与して記録する。
【0151】
検体試料は、検体容器4内に収容される。検体試料90を収容した検体容器4は、操作者によって、検体分析装置2が設置された分析室R2まで搬送される。
【0152】
ステップS52およびS53は、今回の副腎静脈サンプリングにおいて必要とされる全ての検体試料90の採取が完了するまで、繰り返される。
【0153】
一方、検体分析装置2は、ステップS54において、検体試料90を受け付ける。すなわち、検体試料90を収容した検体容器4が検体分析装置2にセットされる。ステップS55において、読取部338により識別情報42cが読み取られることにより、データ処理部333が識別情報42cを取得する。すなわち、操作者が、読取部338を使用して検体容器4に貼付された識別情報42cを読み取る。
【0154】
ステップS56において、検体分析装置2は、受け付けた検体試料90の分析を行う。ステップS57において、データ処理部333は、分析結果43を作成する。ステップS58において、データ処理部333は、検体試料90の分析結果43に識別情報42cを付与して出力する。
【0155】
そして、ステップS59において、X線撮影装置1の制御部316が、識別情報42cが付与された分析結果43を取得する。識別情報42cを含む分析結果43のデータの受け渡し方法は、任意である。たとえば、X線撮影装置1および検体分析装置2の各々について、ホストコンピュータ7(
図1参照)に対するデータの送受信が許容される場合には、検体分析装置2がホストコンピュータ7に出力した分析結果43のデータを、X線撮影装置1がホストコンピュータ7から取得すればよい。たとえば検体分析装置2が光ディスクやフラッシュメモリなどの可搬型記録媒体に分析結果43のデータを出力し、X線撮影装置1が可搬型記録媒体からデータを読み出してもよい。
【0156】
ステップS60において、X線撮影装置1の制御部316は、取得した識別情報42cに基づいて分析結果43とX線画像41とを関連付ける。すなわち、制御部316が、識別情報42cが一致する分析結果43とX線画像41とを連結する。
【0157】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、上記第1実施形態と同様に、採取位置Pを識別可能な診断画像40(X線画像41)と、試料特定情報42とを関連付けることにより、被検体Tから採取した検体試料90によって診断を行う際の、検体試料90の分析結果43と採取位置Pとの管理負担を軽減することができるようになる。
【0158】
また、第5実施形態では、上記のように、試料特定情報42を、採取された検体試料90を収容するための検体容器4に付される識別情報42cとする。これにより、検体試料90が採取される時に、検体容器4に付される識別情報42cを入力する(読み取る)だけで、容易に、診断画像40と識別情報42cとを関連付けることができる。
【0159】
[第6実施形態]
次に、
図20および
図21を参照して、第6実施形態について説明する。この第6実施形態では、上記第1〜第5実施形態で行う試料特定情報42と診断画像40(X線画像41)との関連付けに加えて、さらに被検体Tを特定する情報の関連付けを行う例について説明する。第6実施形態において、第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0160】
図20に示すように、第6実施形態では、関連付け手段60は、被検体Tを特定する情報(以下、被検体情報48という)と、試料特定情報42に関連付けられた複数の診断画像40の各々とをさらに関連付けるように構成されている。
【0161】
被検体情報48は、個々の被検体Tを特定する識別情報である。被検体情報48は、たとえば個々の被検体T毎に割り当てられる患者IDを用いることができるが、被検体Tを特定できる情報であれば特に限定されない。被検体情報48は、たとえば施設のホストコンピュータ7に記録され、過去の診療記録や電子カルテデータなどを患者毎に管理するための識別情報として用いられる。
【0162】
関連付け手段60は、試料特定情報42と診断画像40との関連付けに際して、被検体情報48をさらに関連付ける。この結果、定期的な検査など、異なる複数の時点でそれぞれ検体試料90の採取および採取位置Pを識別可能な診断画像40の生成が行われた場合、毎回の検査の度に、互いに関連付けられた試料特定情報42と診断画像40と被検体情報48とのデータ群49が生成される。これらのデータ群49は、被検体情報48を含んだ画像連結データ44(
図10参照)の形で単一のファイルとして生成されてもよいる。
【0163】
これにより、
図21に示すように、毎回の検査の度に生成されたデータ群49は、共通の被検体情報48を介して相互に関連付けられ、まとめて管理することが可能となる。
図21では、共通の被検体情報48によって関連付けられた複数(3つのみ図示)のデータ群49が、時系列(年月日)順で配列されたデータ管理の概要を示している。各々のデータ群49には、各々の検査時に採取された検体試料90の試料特定情報42および採取位置Pを識別可能な診断画像40、検体試料90の分析結果43などが含まれる。これにより、医師が被検体Tの経過観察を行う際に、各々の検査の実施日時、各々の検査における検体試料90の採取位置Pおよび採取された検体試料90の分析結果43が、被検体T毎にまとめられた状態で参照することが可能となる。
【0164】
(第6実施形態の効果)
第6実施形態では、上記第1実施形態と同様に、採取位置Pを識別可能な診断画像40(X線画像41)と、試料特定情報42とを関連付けることにより、被検体Tから採取した検体試料90によって診断を行う際の、検体試料90の分析結果と採取位置Pとの管理負担を軽減することができるようになる。
【0165】
また、第6実施形態では、上記のように、関連付け手段60を、被検体情報48と、試料特定情報42に関連付けられた複数の診断画像40の各々とをさらに関連付けるように構成する。これにより、採取された検体試料90と採取位置Pを識別する診断画像40との関連付けが、同一の被検体Tに対して複数回にわたって実施された場合に、被検体情報48によってそれぞれの診断画像40(および検体試料90)をまとめて管理することができる。これにより、同一の被検体Tに対して時間的に隔たって行われた複数回の検査結果を時系列で容易に把握することが可能となるので、患者(被検体T)経過観察を容易化することができる。
【0166】
[第7実施形態]
次に、
図5および
図22を参照して、第7実施形態について説明する。この第7実施形態では、X線画像41と試料特定情報42との関連付けを行う上記第1〜第6実施形態と異なり、X線画像41および試料特定情報42に加えて、さらに、採取位置情報45の関連付けを行う例について説明する。第7実施形態において、第2実施形態(
図5〜
図7参照)と共通の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0167】
(X線画像と採取位置情報との関連付け)
第7実施形態において、X線画像41と試料特定情報42および分析結果43との関連付けは、上記第1〜第6実施形態のいずれの構成によって実施してもよい。ここでは、採取番号42aを用いた上記第2実施形態の構成を例に説明する。第7実施形態では、関連付け手段60は、診断画像40中における検体試料90の採取位置Pを特定する情報(以下、採取位置情報45という)(
図22参照)を、検体試料90が採取される際の診断画像40にさらに関連付ける。
【0168】
なお、関連付け手段60は、採取位置情報45を、試料特定情報42に関連付けてもよい。採取位置情報45は、診断画像40および試料特定情報42の一方に関連付けられればよいが、第7実施形態では、試料特定情報42として採取番号42aを用いて、採取位置情報45を診断画像40および試料特定情報42の両方に関連付ける例を示す。
【0169】
図22に示す例では、制御部16は、検体試料90が採取される際のX線画像41中における検体試料90の採取位置情報45をさらに取得するように構成されている。そして、制御部16は、検体試料90が採取される際のX線画像41に、採取位置情報45を関連付けるように構成されている。
【0170】
X線画像41中における検体試料90の採取位置情報45は、たとえば、画像処理によって取得することが可能である。この場合、制御部16(
図5参照)は、画像処理部17(
図6参照)を制御して、X線画像41において検体採取デバイス3の先端部3aが留置されている位置を画像認識により検出させる。画像認識は、テンプレートマッチングや先端部検出用のフィルタ処理、機械学習を用いたパターン認識などの公知の手法が採用できる。画像認識の結果、制御部16は、X線画像41における検体採取デバイス3の先端部3aの位置座標(XY座標)を、採取位置情報45として取得する。
【0171】
採取位置情報45の取得方法の別の例として、制御部16は、たとえばX線画像41上で、操作部19に含まれるマウスなどのポインティングデバイスを用いた操作入力により、採取位置Pの指定を受け付ける。この場合、制御部16は、X線画像41上で指定された位置座標(XY座標)を、採取位置情報45として取得する。
【0172】
採取位置情報45は、診断画像40中の採取位置Pの位置座標(XY座標)には限られない。たとえば、採取位置情報45は、診断画像40中に写る特徴点K(
図8参照)に対する採取位置Pの相対位置である。特徴点Kは、たとえば診断画像40中の血管や骨などの解剖学的構造、体内のマーカーM1(
図4(A)参照)やステントのような留置物M2(
図4(C)参照)を含む。解剖学的構造については、たとえば
図8のように、血管が途中から複数に分岐している診断画像40の場合、血管の分岐箇所が特徴点Kとなり得る。解剖学的構造の特徴点Kは、被検体Tの動きや、被検体T内の臓器の動きが生じた場合に、採取位置Pと概ね一体で動き、採取位置Pとの相対位置の変動が少ない部位が好ましい。
【0173】
また、採取位置情報45は、たとえば検体試料90の採取位置Pが属する部位の解剖学的名称を含む。解剖学的名称は、たとえば「副腎静脈」、「副腎皮質」など、医師等が想起しやすい部位名称とするのが好ましい。複数の採取位置情報45を併用してもよい。
【0174】
制御部16は、たとえば採取位置情報45をX線画像41および分析結果43とともに画像連結データ44に含めることにより、関連付けを行う。この場合、画像連結データ44には、採取位置情報45を格納するデータ要素44aがさらに追加される。
【0175】
(画像合成)
また、第7実施形態では、制御部16は、被検体T中の複数箇所で検体試料が採取される際に撮影された複数のX線画像41を、採取位置情報45に基づいて合成するように画像処理部17を制御する。この結果、X線撮影装置1は、複数の採取位置Pが識別可能な合成画像46を出力することが可能である。
【0176】
具体的には、
図22に示すように、最初に複数の採取位置Pが一覧できるような広い撮像範囲でベース画像46aが取得される。副腎静脈サンプリングでは、ベース画像46aは、たとえば副腎の全体を視野内に収めるような画像である。
【0177】
一方、採取位置P(いずれかの副腎静脈)において採血を行う場合には、視野位置の移動や倍率の変更を伴って、特定の採取位置Pのみを視野内に収めた拡大画像46bが取得される。この場合、拡大画像46bは、ベース画像46aの一部を拡大した画像に相当する。採取位置情報45は、たとえば拡大画像46bにおける採取位置Pの位置座標(Xa,Ya)として取得される。
【0178】
ベース画像46aおよび拡大画像46bが取得されると、制御部16は、たとえばベース画像46aの画像中心C1の位置座標と、拡大画像46bの画像中心C2の位置座標とを算出するとともに、移動機構14および天板駆動部15の移動量を取得して、画像中心C1に対する画像中心C2の相対位置座標を求める。これにより、制御部16は、ベース画像46aの画像中心C1に対する拡大画像46bの画像中心C2の相対位置座標と、拡大画像46bにおける採取位置情報45(採取位置の位置座標)とに基づいて、ベース画像46aにおける採取位置Pの位置座標を算出する。
【0179】
制御部16は、算出した位置座標に基づいて、ベース画像46aに拡大画像46bを合成して、ベース画像46a中に採取位置情報45の位置座標(Xa,Ya)を識別可能に表示するように、画像処理部17(
図6参照)を制御する。制御部16は、別の採取位置P(Xb,Yb)を示すX線画像41(拡大画像46b)が取得されると、同様にしてベース画像46aに拡大画像46bを合成する。その結果、各々の検体試料90の採取位置Pが識別可能に表示された1枚の合成画像46が作成される。
【0180】
(第7実施形態の効果)
第7実施形態では、上記第1実施形態と同様に、採取位置Pを識別可能な診断画像40(X線画像41)と、試料特定情報42とを関連付けることにより、被検体Tから採取した検体試料90によって診断を行う際の、検体試料90の分析結果43と採取位置Pとの管理負担を軽減することができるようになる。
【0181】
また、第7実施形態では、上記のように、検体試料90が採取される際の診断画像40に採取位置情報45をさらに関連付けるように、関連付け手段60を構成する。これにより、診断画像40に関連付けられた採取位置情報45によって採取位置Pを把握することができる。そのため、検体試料90の分析結果43と採取位置Pとの管理負担を効果的に軽減することができるようになる。
【0182】
また、第7実施形態では、上記のように、試料特定情報42に採取位置情報45をさらに関連付けるように、関連付け手段60を構成する。これにより、試料特定情報42に関連付けられた採取位置情報45によって採取位置Pを把握することができる。そのため、検体試料90の分析結果43と採取位置Pとの管理負担を効果的に軽減することができるようになる。
【0183】
また、第7実施形態では、上記のように、採取位置情報45として、診断画像40中の採取位置Pの位置座標(Xa,Yaなど)を含める。これにより、位置座標により、診断画像40中の採取位置Pを明確かつ確実に把握することができる。
【0184】
また、第7実施形態では、上記のように、採取位置情報45として、診断画像40中に写る特徴点Kに対する採取位置Pの相対位置を含める。これにより、被検体T内の特徴点Kに対する採取位置Pの相対位置により、診断画像40中の採取位置Pを容易に把握することができる。また、被検体T内の特徴点Kを採取位置Pの基準とするため、たとえば医師が複数の診断画像40を見比べる場合に、被検体T自身の移動などによって採取位置Pが診断画像40間でずれた場合などでも、特徴点Kが採取位置Pとともに移動している限り特徴点Kに対する採取位置P(相対位置)がずれることがなく、採取位置Pを正確に把握することができる。
【0185】
また、第7実施形態では、上記のように、採取位置情報45として、検体試料90の採取位置Pが属する部位の解剖学的名称を含める。これにより、解剖学的名称によって、医師等が診断画像40を参照する際に直観的かつ速やかに採取位置Pを理解することができる。そのため、採取位置Pの把握を容易化し、診断画像40システムの利便性を向上させることができる。
【0186】
[第8実施形態]
次に、
図23〜
図26を参照して、第8実施形態について説明する。上記第7実施形態では、X線画像41と試料特定情報42との関連付けを行うとともに、合成画像46を生成する例を示したが、第8実施形態では、関連付けを行うことなく合成画像46を生成する診断画像システムの例について説明する。
【0187】
第8実施形態の診断画像システム200は、検体試料90の採取位置Pを識別可能な診断画像40を、異なる複数の採取位置Pのそれぞれについて取得する取得手段50と、複数の診断画像40を合成して合成画像71を生成する画像合成手段70と、を備える。
【0188】
取得手段50は、被検体Tの複数箇所からそれぞれ別々に検体試料90が採取される場合に、各々の採取位置Pを識別可能な診断画像40を個別に取得する。
【0189】
取得手段50は、上記第1実施形態と同様に、画像生成装置51によって生成された被検体Tの診断画像40をネットワークなどの伝送媒体や記録媒体を介して取得してもよいし、被検体Tの診断画像40を生成することにより、診断画像40を取得してもよい。診断画像40は、上記第1実施形態と同様であり、X線画像、CT画像、MRI画像、超音波画像、核医学画像および光学画像のいずれでもよいし、これらの画像の組み合わせでもよい。診断画像40は、静止画像および動画像のいずれでもよい。
【0190】
画像合成手段70は、取得手段50により得られた複数の診断画像40を画像処理により合成する。画像合成手段70は、複数の診断画像40を合成処理するための画像処理装置などにより構成することができる。取得手段50および画像合成手段70は、診断画像40を生成し画像処理を行うことが可能な画像生成装置51により構成されてもよい。合成画像71は、2次元画像および3次元画像のいずれでもよい。合成画像71は、たとえばベースとなる3次元画像上に採取位置Pを拡大した2次元画像を合成する形式でもよい。
【0191】
画像合成手段70は、たとえば
図24〜
図26に示すように、それぞれの診断画像40中における、採取位置Pを含む領域の画像を集めて単一の合成画像71を生成する。
【0192】
図24では、検査対象(検体採取対象)となる臓器(
図24の例では副腎)の全体を複数領域に分割して撮影した複数の画像72を取得し、画像合成手段70が各画像72を連結するように合成することによって、臓器の全体が写る単一の合成画像71を生成する例を示している。合成される画像72は、採取位置Pを含む領域の画像部分が含まれていれば、診断画像40の全体でなくてもよい。また、合成画像71において各々の採取位置Pを含む画像が合成されていれば、採取位置Pが写らない画像を合成画像71が一部に含んでいてもよい。
図24では、合成によって、複数(3箇所)の採取位置P1〜P3を単一の合成画像71に識別可能に表示している例を示す。
【0193】
図25では、採取位置Pを含む領域の画像72を並べて単一の合成画像71を生成した例を示す。具体的には、
図25では、採取位置P1およびP2を含んだ検査対象の臓器の全体を写す画像72a、1点目の採取位置P1を拡大して写す画像72b、および、2点目の採取位置P2を拡大して写す画像72cを、並べて配置して単一の合成画像71とした例を示している。
【0194】
また、
図22に示した構成を採用してもよい。
図22の構成例において、画像合成手段70は、いずれかの診断画像40に、他の診断画像40における採取位置Pを含む領域の画像を位置合わせして重畳させることにより、合成画像71(合成画像46)を生成する。合成画像71の生成方法は、上記第7実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0195】
また、
図26の構成例では、画像合成手段70は、複数の採取位置Pのそれぞれの表示色を異ならせて、視覚的に区別可能に表示する合成画像71を生成する。
図26では、採取位置P1〜P3を単一の合成画像71に識別可能に表示している例を示している。
図26の採取位置P1〜P3は、それぞれ別々の血管の先端近傍の位置である。そこで、画像合成手段70は、画像処理により、採取位置P1〜P3に対応する血管の画像部分73をそれぞれ異なる表示色で表示させる。なお、
図26では、表示色の相違をハッチングの濃淡の相違によって示している。表示色は、他の画像部分73と視覚的に識別しやすい色とするのが好ましい。たとえばグレースケールのX線画像41の場合、赤色や青色などのグレースケール(無彩色)とは異なる色が選択される。
【0196】
図26の構成例において、表示色は、単に採取位置P1〜P3を区別するためだけに付与してもよいが、表示色によって分析結果の情報を表示するようにしてもよい。たとえば、画像合成手段70は、採取位置P1〜P3の各々で採取された検体試料90の分析結果43に基づいて、分析対象の成分の検出量(または濃度)の大小を異なる表示色によって表示した合成画像71を生成してもよい。
【0197】
図26では、分析対象の成分の検出量(濃度)が高いほど赤色などの第1表示色(濃いハッチング)に近付き、分析対象の成分の検出量(濃度)が低いほど青色などの第2表示色(薄いハッチング)に近付くように、採取位置P1〜P3の各々をグラデーションまたは色分け表示する例を示している。これにより、合成画像71を参照するだけで、採取位置Pだけでなく分析結果の概要を視覚的に把握することが可能となる。
【0198】
図22および
図24〜
図26に示した各構成例は、いずれかが単独で採用されてもよいし、いずれか複数を組み合わせてもよい。たとえば、
図25において、臓器の全体を写す画像72aを、
図24に示したように複数の画像72の合成画像によって生成してもよい。
【0199】
なお、第8実施形態において説明した構成を、上記第1〜第7実施形態と組み合わせて、診断画像40としての合成画像71と、試料特定情報42、被検体情報48や分析結果43などとを関連付けしてもよい。
【0201】
第8実施形態の診断画像システム200では、上記のように、複数の診断画像40を合成して合成画像71を生成する画像合成手段70を設ける。これにより、各採取位置Pを識別可能な複数の診断画像40を合成した合成画像71により、複数の採取位置Pをまとめて把握することができる。その結果、診断時に医師が合成画像71を参照することにより、複数の採取位置Pを容易に把握することができるようになる。また、診断結果を説明する際にも、診断画像40を1つ1つ患者に提示したり、各診断画像40を一覧できるように編集する作業を行う必要がなくなる。その結果、診断画像40を用いた医師の診断業務および患者への説明業務をより効率化することができる。また、合成画像71によって複数の採取位置Pをまとめて把握できるので、被検体Tから採取した検体試料90によって診断を行う際の、検体試料90の分析結果43と採取位置Pとの管理負担を軽減することができる。
【0202】
また、第8実施形態では、上記のように、画像合成手段70を、それぞれの診断画像40中における、採取位置Pを含む領域の画像を集めて単一の合成画像71(
図24、
図25参照)を生成するように構成する。これにより、単一の合成画像71において、各採取位置Pをまとめて把握することが可能となるので、診断時や患者への説明の際における診断画像40による各採取位置Pの把握をさらに容易化することができる。
【0203】
また、第8実施形態では、上記のように、画像合成手段70を、いずれかの診断画像40に、他の診断画像40における採取位置Pを含む領域の画像を位置合わせして重畳させることにより、合成画像71(
図22参照)を生成するように構成する。これにより、合成画像71によって、たとえば検査対象部位の全体像と、全体像における個別の採取位置Pの配置および状態とを一見して把握できるようになる。
【0204】
また、第8実施形態では、上記のように、画像合成手段70を、複数の採取位置Pのそれぞれの表示色を異ならせて、視覚的に区別可能に表示する合成画像71を生成するように構成する。これにより、複数の採取位置Pを、位置だけでなく色彩によって区別できるようになるので、合成画像71において、個々の採取位置Pを一見して容易に識別することができるようになる。その結果、診断画像40を用いた医師の診断業務をより一層効率化することができる。
【0205】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0206】
たとえば、上記第2〜第7実施形態では、X線画像と分析結果とを連結した単一のデータファイルとして、DICOMファイル形式の画像連結データ44が生成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、DICOMファイル形式以外の他のファイル形式で単一のデータファイルが生成されてもよい。
【0207】
また、上記第7実施形態では、複数の採取位置Pが識別可能な合成画像46を画像連結データ44に含める例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像連結データ44とは別に、合成画像46を汎用の画像形式(BMP形式やJPEG形式など)として出力してもよい。その場合、採取位置Pは、合成画像46上で識別可能に表示されるように、合成画像46に直接アノテーションとして記録すればよい。