(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電磁波の位相がシフトされた後に前記2次元アレイから放射される前記電磁波の送信方向は、前記2次元アレイの主面に垂直な方向と同じ方向又は前記2次元アレイの主面に垂直な方向に対して傾いた方向である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の位相制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる位相制御装置を示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる位相制御装置の平面図である。
【
図4】6枚の金属層を有する立方体ユニットの例を示す図である。
【
図5】2枚の金属層及び1枚の誘電体層を有する構成による等価透磁率の制御の例を示す図である。
【
図6】1枚の金属層を有する構成についての等価誘電率の制御の例を示す図である。
【
図7】交互に積層されたn枚の金属層と(n−1)枚の誘電体層とを有する立方体ユニットの例を示す図である。
【
図9】立方体ユニットに含まれる1枚に金属層の例を示す図である。
【
図10】金属フレーム及び金属スクエアの組み合わせの等価回路を示す図である。
【
図11】4枚の金属層が積層された立方体ユニットの基本構造の第1の例を示す図である。
【
図12】6枚の金属層が積層された立方体ユニットの基本構造の第2の例を示す図である。
【
図13】
図11及び12に示す立方体ユニットのシミュレーション結果を示す図である。
【
図14】異なる枚数の金属層を有する立方体ユニットの組み合わせを示す図である。
【
図15】立方体ユニットの基本構造の第3の例を示す図である。
【
図16】立方体ユニットの基本構造の第4の例を示す図である。
【
図17】立方体ユニットの基本構造の第5の例を示す図である。
【
図18】
図15〜17に示した金属層の2次元等価回路を示す図である。
【
図19】立方体ユニットの基本構造の第6の例を示す図である。
【
図20】立方体ユニットの基本構造の第7の例を示す図である。
【
図21】立方体ユニットの基本構造の第8の例を示す図である。
【
図22】
図19〜21に示した金属層の2次元等価回路を示す図である。
【
図23】立方体ユニットの他の配列を示す図である。
【
図24】六角柱を有する位相制御装置の構成を示す図である。
【
図25】四角柱を有する位相制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
実施の形態1
実施の形態1にかかる位相制御装置について説明する。
図1に、実施の形態1にかかる位相制御装置100を示す。
図2に、実施の形態1にかかる位相制御装置100の平面図を示す。位相制御装置100は、ディスク状の形状を有する。位相制御装置100の主面は、
図1及び2におけるX−Y平面である。
図1では、位相制御装置100の中心軸は線CAで表されている。
図2では、中心軸CA上に位置している、位相制御装置100のX−Y平面での中心点をCPと表示している。
【0013】
位相制御装置100は、アンテナ101から放射される電磁波が位相制御装置100を通過する間に、電磁波の位相を制御するものとして構成される。
図1及び2に示す様に、位相制御装置100の一方の面がアンテナ101に対向している。位相制御装置100及びアンテナ101は、アンテナシステムを構成している。この場合、電磁波の送信方向は、Z軸方向である。
【0014】
アンテナ101は指向性アンテナではなく、アンテナ101は電磁波を等方的に放射する。アンテナ101として、ホーンアンテナ、ダイポールアンテナ及びパッチアンテナのような各種のアンテナを用いることができる。よって、位相制御装置100のアンテナ101に対向している面に電磁波が到達したとき、位相制御装置100の面上における電磁波の位相は一様ではない。
図1では、電磁波の位相が同じである平面及び曲面は、線PLで表示されている。
図1に示す様に、位相制御装置100のアンテナ101に対向している面上では、中心点CPから遠ざかるほど、電磁波の位相が遅れる。
【0015】
よって、本実施の形態では、位相制御装置100は、電磁波の位相を制御して、送信方向に垂直な位相平面を有する電磁波を放射する。換言すれば、位相平面は、Z軸方向に垂直なX−Y平面となる。
【0016】
図3に、
図2において符号10で示される位相制御装置100の一部を示す。位相制御装置100は、複数の3次元ユニットを有する。この場合、位相制御装置100は、複数の立方体ユニット1を有する。立方体ユニット1は、X−Y平面においてマトリックス状に配列される。換言すれば、立方体ユニット1は、立方体ユニットの2次元アレイを構成するように配列される。
図3では、位相制御装置100の部分10は、8×8=64個の立方体ユニットのアレイとして表示されている。
【0017】
なお、3次元ユニットの形状は立方体に限られるものではない。3次元ユニットが隙間なく稠密に配列できるならば、3次元ユニットの形状として、直方体や六角柱などの他の形状を採用することができる。
【0018】
図3に示す様に、X−Y平面上における各立方体ユニットの中心の基準点をRPで示している。なお、簡略化のため、
図3では1つの立方体ユニットの基準点RPのみを表示している。この場合、上述したように、中心点CPから(
図2に示す)基準点RPまでの距離Lが増えるにつれて、アンテナ101から立方体ユニットに到達する電磁波の位相が遅れる。よって、位相制御装置100のアンテナ100に対向していない面から放射される電磁波の位相が一様になるように、位相制御装置100は、中心点CPから基準点RPまでの距離Lが増えるにつれて、立方体ユニットでの位相遅延量が減少するように構成される。
【0019】
したがって、位相制御装置100は、凸レンズのようにアンテナから放射された電磁波を収束させる。
【0020】
立方体ユニットの寸法は、電磁波の波長よりも小さい。よって、立方体ユニット1のアレイは、電磁的連続媒体として機能する。立方体ユニットの構成に応じて等価透磁率及び等価誘電率を制御することで、屈折率及びインピーダンスを独立して制御することができる。
【0021】
立方体ユニット1の基本構造について説明する。立方体ユニット1のそれぞれは、位相制御装置100の面(X−Y平面)に垂直な方向(Z軸方向)に積層された複数の金属層を有する。
図4に、6枚の金属層Mを有する立方体ユニット1の例を示す。
図4では、金属層Mは、正方形である。隣接する2つの金属層Mは、誘電体層で絶縁されている。簡略化のため、適宜、
図4及び以下の図では、誘電体層は表示されていない。すなわち、金属層Mと誘電体層とは、Z軸方向に交互に積層されている。
図4に示す立方体ユニット1は、交互に積層された6枚の金属層Mと5枚の誘電体層を有している。ここで、金属層と誘電体層とは、X−Y平面において、同じ外形及び寸法を有している。
【0022】
金属層の形状は、正方形に限られるものではない。長方形や円形などの他の形状を適用してもよい。また、金属層の枚数及び誘電体層の枚数は
図4の例に限られない。金属層の枚数は任意の複数枚としてもよいし、誘電体層の数は金属層の数に対応した任意の枚数としてもよい。
【0023】
金属層及び誘電体層は、例えば、化学気相堆積法(chemical vapor deposition)を含む真空蒸着、めっき、スピンコーティングなどの各種の作製方法によって形成することができる。
【0024】
続いて、立方体ユニットの等価透磁率の制御について説明する。
図5に、2枚の金属層及び1枚の誘電体層を有する構成による等価透磁率の制御の例を示す。2枚の金属層M1及びM2は、Z軸方向に並んで配置され、誘電体層は金属層M1及びM2の間に挿入されている。金属層M1及びM2と平行な成分を有する電場Bが本構成に印加されると、金属層M1及びM2では電場Bの方向と反対の方向に電流Jが流れる。電流Jは、金属層のアドミタンスを調整することで決定できる。金属層のアドミタンスは、金属層の形状で決定される。よって、金属層の形状を適切に設計することで、電流Jによって誘導される磁場を制御して、等価透磁率を制御することができる。
【0025】
次いで、立方体ユニットの等価誘電率の制御について説明する。
図6に、1枚の金属層を有する構成についての等価誘電率の制御の例を示す。金属層Mに平行な成分を有する電場が印加されると、2つの辺E1と辺E2との間で電位差が生じる。電位差によって生じる電流Jは、金属層のアドミタンスを調整することで決定できる。よって、金属層の形状を適切に設計することで、電流Jによって生じる電場を調整して、等価誘電率を制御することができる。
【0026】
上述したように、金属層の形状を適切に設計することで、等価透磁率及び等価誘電率を制御することが可能である。この場合、インピーダンスZ及び位相定数βは、それぞれ以下の式(1)及び式(2)で表される。
【数1】
【数2】
ここで、μ
equivは等価透磁率を示し、ε
equivは等価誘電率を示し、ωは電磁波の角周波数を示している。
【0027】
これにより、等価透磁率及び等価誘電率を制御することで、立方体ユニットを通過する電磁波について任意の位相シフトを実現することが可能となる。また、例えば大気などの外部環境と同じインピーダンスを有するように立方体ユニットを設計することで、理論的には反射波を防止することができる。
【0028】
図7は、積層されたn枚の金属層M1〜Mnと(n−1)枚の誘電体層とを有する立方体ユニットの例を示す。なお、nは、2以上の整数である。
図8に、
図7に示す構成の等価回路を示す。
図8では、Y
jはj番目の金属層のアドミタンスを示し、β
kはk番目の誘電体層D
kの位相定数を示し、hは誘電体層の厚さを示している。なお、jはn以下の整数であり、kはn−1以下の整数である。金属層及び誘電体層のABCD行列は、
図8の等価回路を用いて計算することが可能である。n枚の金属層を含む立方体ユニットのABCD行列は、計算によってSパラメータに変換することができる。よって、本構成における透過率と透過係数の位相とを導出することができる。これらの式によれば、金属パターンによって決定される各金属層について所望のアドミタンスを計算することができる。
【0029】
次に、金属層の他の形状について説明する。
図9に、立方体ユニットに含まれる1枚の金属層の例を示す。
図9に示すように、金属層は金属フレームMF及び金属スクエアMSを含んでいる。金属フレームMFは、金属層の形状の外周に沿った金属のクローズドループとして構成されている。金属スクエアMSは、金属フレームMFに囲まれる領域に配置され、金属フレームMFとは絶縁されている。なお、立方体ユニット2に設けられた複数の金属層の金属フレームMFの幅及び金属スクエアMSの寸法は、異なっていてもよいし、同じであってもよい。本構成では、金属フレームMF及び金属スクエアMSの組み合わせを、インダクタL及びキャパシタCの組み合わせと見なすことができる。
【0030】
ここで、隣接する2つの立方体ユニットに含まれる金属パターンが同じ面に形成される場合には、これらの金属パターンは境界を跨いで連続的に形成されてもよい。
【0031】
図10に、金属フレーム及び金属スクエアの組み合わせの等価回路を示す。X軸方向の電場Bが生じ、Y軸方向に沿って電場Eが生じる場合、環状形状の金属部分はインダクタと等価となり、互いに離隔された金属部分の間の間隙はキャパシタと等価となる。故に、金属フレームMF及び金属スクエアMSの設計により、インダクタンス及びキャパシタンスを調整することができる。
【0032】
立方体ユニットの基本構造の例について説明する。
図11に、4枚の金属層が積層された立方体ユニット2の基本構造の第1の例を示す。この例では、金属層は、
図9に示す金属層と同じ外形を有している。
【0033】
次に、立方体ユニットの基本構造の他の例について説明する。
図12に、6枚の金属層が積層された立方体ユニット3の基本構造の第2の例を示す。この例では、金属層は、
図9に示す金属層と同じ外形を有している。
【0034】
図11及び12に示す立方体ユニット2及び3による位相シフトについて説明する。
図13に、
図11及び12に示す立方体ユニットのシミュレーション結果を示す。このシミュレーションでは、金属スクエアMSの寸法に応じて位相シフトのレンジを調整可能である。
図13に示す様に、
図11に示す金属層を適切に設計することで、高効率の位相シフトを実現できることが理解できる(
図13の4PMUsを参照)。
【0035】
図8より、金属層の数が少ない立方体ユニットでは各金属層について必要なアドミタンス値の自由度も少なくなるため、カバーが困難な位相シフトレンジが存在することが容易に理解できる。等価アドミタンスは、等価回路での強い共振によって実現される。その結果、金属層での大電流による大きなロスが生じ、又は、特定の位相シフトレンジにおいて帯域が狭くなる。
【0036】
したがって、
図13に示す様に、4枚の金属層を有する立方体ユニット2は、0〜360°の位相シフトレンジの全域をカバーすることができない。これに対し、6枚の金属層を有する立方体ユニット3は、立方体ユニット2と比べて低効率ながらも位相シフトレンジの全域をカバーすることができる。
【0037】
なお、立方体ユニットは、2枚又は3枚の金属層を有する分離された複数のキューブユニットと見なすこともできる。この場合、分離されたキューブユニット間に挿入された誘電体層は、適宜、追加誘電体層と見なされる。これにより、3枚の金属層を有する分離されたキューブユニットと追加誘電体層とを積層することで立方体ユニット3を形成することができる。
図12に示す構成では、3枚の金属層を有するキューブユニットの一方には0〜180°の位相シフトレンジの半分だけをカバーすることが求められ、3枚の金属層を有する分離されたキューブユニットの他方には180〜360°の位相シフトレンジの半分だけをカバーすることが求められている。本構成によれば、4枚の金属層を有する立方体ユニット2の狭い位相シフトレンジ及び狭い帯域を解決することができる。よって、位相シフトレンジの全域をカバーするために、立方体ユニット3は
図12のように設計される。
【0038】
6枚の金属層を有する立方体ユニット3は3枚の金属層を有する2つのキューブユニットと等価であるので、4枚の金属層を有する立方体ユニット2の場合と比べて、高いロスは避けられない。よって、本実施の形態では、高効率及び広帯域を両立するため、異なる枚数の金属層を有する立方体ユニットを組み合わせて位相シフト装置100を構成している。
【0039】
図14に、位相制御装置100における、異なる枚数の金属層を有する立方体ユニットの組み合わせを示す。
図14に示す様に、高効率で位相シフトレンジの全域の半分だけをカバーできる、4枚の金属層を有する立方体ユニット2と、低効率で位相シフトレンジの全域をカバーできる、6枚の金属層を有する立方体ユニット3と、を組み合わせている。これにより、本構成では、立方体ユニット2は、メインの位相シフトレンジ(
図13の右側のレンジ)に対応して位相シフト要求を満たすことができ、立方体ユニット3は、メインの位相シフトレンジ及び他の位相シフトレンジ(
図13の左側のレンジ)を含む位相シフトレンジの全領域に対応することができる。
【0040】
以上、本構成によれば、異なる位相シフトレンジをカバーする3次元ユニットを組み合わせて、具体的には異なる数の金属層を有する立方体ユニットを組み合わせて、換言すれば異なる基本構成を有する立方体ユニットを組み合わせて、高効率な任意の位相シフトを実現可能な位相制御装置を実現することができる。
【0041】
なお、
図1を参照して説明した位相制御は、例示に過ぎない。位相制御装置は、中心点CPから基準点RPまでの距離Lが増えるにつれて、立方体ユニットの位相遅延量が増えるように構成されてもよい。この場合、3次元ユニットである立方体ユニットを適切に設計することで、電磁波の用途に応じて、位相制御装置は、凹レンズのように電磁波を拡散するように構成されてもよい。
【0042】
また、アンテナから放射されて位相制御装置に到達する電磁波の送信方向は、位相制御装置の表面(X−Y平面)に垂直な方向(Z軸方向)に限られない。アンテナから放射されて位相制御装置に到達する電磁波の送信方向は、位相制御装置の表面(X−Y平面)に垂直な方向(Z軸方向)に対して傾いていてもよい。さらに、位相制御装置から放射される電磁波の送信方向は、位相制御装置の表面(X−Y平面)に垂直な方向(Z軸方向)に限られない。3次元ユニットである立方体ユニットを適切に設計することにより、位相制御装置から放射される電磁波の送信方向を、位相制御装置の表面(X−Y平面)に垂直な方向(Z軸方向)に対して傾いていてもよい。
【0043】
実施の形態2
実施の形態2では、3次元ユニットの基本構造の例について説明する。本実施の形態の例では、9個の立方体ユニットの金属層が図に表示され、立方体ユニットの間の境界は破線で表示されている。
【0044】
図15に、立方体ユニットの基本構造の第3の例を示す。この例では、X軸方向に延在する一方の金属線とY軸方向に延在する他方の金属線とが基準点RPで互いに交差している十字型金属4Aが立方体ユニット4に設けられている。また、4つの金属片が十字型金属線の端部のそれぞれに、金属線と直交する方向に延在するように設けられている。
【0045】
図16に、立方体ユニットの基本構造の第4の例を示す。この例では、方形環状金属5Aが立方体ユニット5の金属層に設けられている。
【0046】
図17に、立方体ユニットの基本構造の第5の例を示す。この例では、島型金属6Aが立方体ユニット6の金属層に設けられている。
【0047】
第3〜第5の例では、例えば、X軸が電場Eの方向である。第3〜第5の例の金属層は、電場の方向がX−Y平面内においていかなる方向であったとしても、同様に動作するように構成することができることは、言うまでもない。
【0048】
図18に、
図15〜17に示した金属層の2次元等価回路を示す。
図18に示す様に、2次元等価回路は、インダクタL1及びキャパシタC1のペア4つで表現できる。1つのペアにおいては、インダクタL1の一端がキャパシタC1の一端と接続される。4つのペアのインダクタL1の他端は互いに接続されている。
【0049】
また、3次元ユニットの基本構成の他の例について説明する。以下で説明する金属層は、並列共振回路を構成する。
【0050】
図19に、立方体ユニットの基本構造の第6の例を示す。この例では、立方体ユニット7において、
図15に示す十字型金属4Aが、方形環状金属である金属フレームMFで囲まれている。
【0051】
図20に、立方体ユニットの基本構造の第7の例を示す。この例では、立方体ユニット8において、
図16に示す方形環状金属5Aが、方形環状金属である金属フレームMFで囲まれている。
【0052】
図21に、立方体ユニットの基本構造の第8の例を示す。この例では、立方体ユニット9において、
図17に示す島型金属6Aが、方形環状金属である金属フレームMFで囲まれている。
【0053】
第6〜第8の例では、金属層の金属フレームMFは接続され、かつ1つの層に集約されている。例えば、X軸が電場Eの方向である。
図19〜21に示した金属層は、電場Eの方向がX−Y平面内においていかなる方向であったとしても、同様に動作するように構成することができることは、言うまでもない。
【0054】
図22に、
図19〜21に示した金属層の2次元等価回路を示す。
図19〜21に示した金属層は、並列共振回路として機能する。
【0055】
この等価回路は、
図18に示した等価回路にインダクタL2を追加した構成を有する。インダクタL2は、金属フレームMFによって形成されている。この回路では、2つのインダクタL2が2つのキャパシタC1の他端の間に挿入されている。これにより、この等価回路は、
図18に示した等価回路に、8つのインダクタL2を追加した構成を有している。
【0056】
以上の通り、第3〜第8の金属層は、インダクタ及びキャパシタを有する等価回路によって表すことが可能である。よって、実施の形態1と同様に、3次元ユニットの等価透磁率及び等価誘電率を調整することが可能である。
【0057】
その結果、本構成によれば、異なる位相シフトレンジをカバーする3次元ユニットを組み合わせることで、高効率な任意の位相シフトを可能とする位相制御装置を実現できる。
【0058】
実施の形態3
実施の形態3では、3次元ユニットの他の配列について説明する。
【0059】
図23に、立方体ユニットの他の配列を示す。
図23では、位相制御装置200は、Y軸方向に隙間無く稠密に配列されている複数の列21を有する。列21は、X軸方向に隙間無く稠密に配列されている複数の立方体ユニット20を有する。隣接する2つの列21は、立方体ユニット20の幅の半分だけX軸方向にシフトされている。3次元ユニットである立方体ユニット20は隙間無く稠密に配列されているので、位相制御装置200は、実施の形態1にかかる位相制御装置100と同様に、電磁波の位相を制御することができる。
【0060】
複数の立方体ユニットは、列を構成するためにY軸方向に隙間無く稠密に配列されてもよく、列はX軸方向に稠密に配列されてもよい。
【0061】
他の構成について説明する。
図24に、六角柱30を有する位相制御装置300の構成を示す。本構成では、六角柱30が3次元ユニットの基本構造である。六角柱30は、複数の金属層と、金属層間に挿入される誘電体層を有する。
図24に示す様に、六角柱30は、いわゆるハニカム構造を構成するように、隙間無く稠密に配列されている。六角柱30は隙間無く稠密に配列されているので、位相制御装置300は、実施の形態1にかかる位相制御装置100と同様に、電磁波の位相を制御することができる。
【0062】
更なる構成について説明する。
図25に、四角柱40を有する位相制御装置400の構成を示す。本構成では、四角柱40が3次元ユニットの基本構造である。四角柱40は、複数の金属層と、金属層間に挿入される誘電体層を有する。
図25に示す様に、四角柱40は、隙間無く稠密に配列されている。四角柱40は隙間無く稠密に配列されているので、位相制御装置400は、実施の形態1にかかる位相制御装置100と同様に、電磁波の位相を制御することができる。
【0063】
以上、本実施の形態にかかる3次元ユニットは、隙間無く稠密に配列されている。よって、実施の形態1と同様に、3次元ユニットの等価透磁率及び等価誘電率を調整することが可能である。
【0064】
その結果、本構成によれば、異なる位相シフトレンジをカバーする3次元ユニットを組み合わせることで、高効率な任意の位相シフトを可能とする位相制御装置を実現できる。
【0065】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、位相制御装置において配列された3次元ユニットの形状は、1つに限られない。3次元ユニットを隙間無く稠密に配列して位相制御を実現できるならば、上述した六角柱や四角柱、立方体及び直方体などの様々な形状を組み合わせて3次元ユニットにアレイを構成してもよい。
【0066】
金属層は、任意の金属によって形成してもよく、誘電体層は任意の誘電体によって形成してもよい。
【0067】
上述の実施の形態では、2つの基本構造が組み合わされている。しかし、これは例示に過ぎない。したがって、3以上の構造を組み合わせて3次元ユニットを構成してもよい。
【0068】
上述の実施の形態では、位相制御装置はディスク形状の装置として構成されている、しかし、位相制御装置の形状はこれに限られない。例えば、位相制御装置は、ディスク形状の装置ではなく、板状形状の装置として構成されてもよい。
【0069】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。