(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1に係るベッド装置の一例の概略図である。
図2は、本実施の形態1に係るベッド装置の一例のブロック図である。ベッド装置100は、利用者を支える床板10、床板10を支えるベッドフレーム20を備えている。ベッドフレーム20の2つの短辺には、壁部25が設けられている。ベッド装置100では、いずれか一方の壁部25側に利用者の頭部を向け、床板10の上に仰向に寝ることができる。なお、利用者がベッド装置100上に仰向に寝た状態を、以下では仰臥位ともいう。
【0013】
ベッド装置100は、リクライニング機能を有している。そのため、床板10は、ベッドフレーム20に対する利用者の頭部側の部分の角度を変更することができる。なお、ベッド装置100は、リクライニング機能を手動で可動させても、電動で可動させてもよい。リクライニング機能を電動で可動させる場合、ベッド装置100は、ベッドフレーム20に図示していないモータ、アクチュエータ、およびリンク機構など設けている。
【0014】
さらに、ベッド装置100には、利用者の状態を検知するための加速度センサ30を床板10に設けてある。加速度センサ30は、利用者側とは反対の床板10の面(裏面)に取り付けてある。また、
図1に示す例では、加速度センサ30a(第1加速度センサ)と加速度センサ30b(第2加速度センサ)との2つの加速度センサ30が、床板10に設けてある。
【0015】
加速度センサ30は、少なくとも2軸方向の加速度を検出することができればよく、静電容量型、ピエゾ抵抗型、歪ゲージ式などいずれの種類であってもよい。以下の説明では、加速度センサ30が2軸方向の加速度を検出することができるセンサであるとして説明する。
【0016】
加速度センサ30は、床板10に取り付け易いようにセンサユニットとして構成してある。
図3は、本実施の形態1に係るセンサユニットの一例の概略図である。センサユニットとして構成した加速度センサ30は、加速度を検出するセンサ素子31と、当該センサ素子31を床板10の面に取り付ける固定部32とを有している。固定部32は、板状体で、床板10への取り付ける面と反対側の面にセンサ素子31を設けてある。
【0017】
センサ素子31は、加速度を検出する2軸の各々が、
図3に示すX方向とY方向とを向いている。この加速度を検出する2軸を含む面(X−Y面)で、センサ素子31と固定部32とが接している。そのため、固定部32を床板10へ取り付ける面は、センサ素子31の加速度を検出する2軸と常に平行となる。つまり、加速度センサ30は、固定部32の取り付ける面を床板10に取り付けるだけで、床板10に対して加速度を検出する2軸が常に平行となる。なお、加速度を検出する2軸と床板10の面とが平行とは、完全に平行な場合だけに限定されず、例えば、加速度センサ30の検出において許容できる範囲内であれば平行からずれていてもよい。
【0018】
図2に示すように、加速度センサ30で検出した検出信号は、有線または無線でコントローラ40に送信される。コントローラ40は、受信部41、傾斜角度演算部42、基準部43、判定部44、通知部45を含んでいる。
【0019】
コントローラ40は、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。なお、コントローラ40では、プログラムや制御データ等が実行されることで、受信部41、傾斜角度演算部42、基準部43、判定部44、および通知部45として機能する。
【0020】
加速度センサ30から送信された検出信号は、受信部41で受信される。受信部41で受信した検出信号は、傾斜角度演算部42および基準部43に送信される。傾斜角度演算部42では、加速度センサ30の検出信号から、床板10の傾斜角度を演算する。例えば、傾斜角度演算部42は、床板10をリクライニングさせた場合に、床板10の面に対して垂直な方向の加速度から傾斜角度を演算する。
【0021】
判定部44は、加速度センサ30からの検出信号(検出結果)に基づき利用者の状態を検知している。つまり、判定部44を含むコントローラ40は、加速度センサ30からの検出結果に基づき利用者の状態を検知する検知部として機能している。例えば、判定部44は、ベッド装置100上で仰臥位である利用者が、床板10から頭を持ち上げて起き上がり状態となったことを検知する。
【0022】
図を用いて、判定部44が、利用者の状態を検知する原理について説明する。
図4は、本実施の形態1に係るベッド装置100に利用者1が仰臥位である場合の概略図である。
図4(a)は、利用者1が仰臥位であるベッド装置100の斜視図で、
図4(b)は、利用者1が仰臥位であるベッド装置100の利用者1の頭部側からの側面図である。
【0023】
図4(a)に示すように、床板10は、利用者1の頭部側の板部10aと、足側の板部10bとに分かれている。板部10aに、加速度センサ30a,30bが設けてある。利用者1が仰臥位である場合、利用者1の荷重が主に板部10aに加わるため、加速度センサ30a,30bを板部10aに設けることで、床板10の歪み成分を加速度センサ30a,30bで検出することができる。
【0024】
図4(b)では、板部10aの裏面に設けた加速度センサ30a,30bが、利用者1の荷重で歪んだ床板10の歪み成分D1,D2を検出している。具体的に、加速度センサ30a,30bは、利用者1が仰臥位となることで床板10の歪み成分D1,D2を、図中の水平方向から角度α分だけ傾いた加速度の成分として検出する。なお、加速度センサ30a,30bの加速度を検出する2軸が床板10の面と平行であり、各軸で検出されたDC成分をベクトル演算することで床板10の歪み成分を求めることができる。また、
図4(b)では、加速度センサ30a,30bが板部10aの裏面に埋め込まれたように図示されているが、もちろん加速度センサ30a,30bは板部10aの裏面に貼り付けられた状態でもよい。
【0025】
図5は、本実施の形態1に係るベッド装置100に利用者1が起き上がり状態である場合の概略図である。
図5(a)は、利用者1が起き上がり状態であるベッド装置100の斜視図で、
図5(b)は、利用者1が起き上がり状態であるベッド装置100の利用者1の頭部側からの側面図である。
【0026】
図5(a)に示すように、利用者1が起き上がり状態である場合、利用者1の荷重が板部10aに加わらなくなるため、加速度センサ30a,30bで検出する床板10の歪み成分が小さくなる。具体的に、加速度センサ30a,30bは、
図5(b)に示すように、利用者1が起き上がり状態となることで床板10の歪みが解消され、床板10の歪み成分D3,D4が図中の水平方向の加速度の成分(DC成分)として検出される。
【0027】
判定部44では、加速度センサ30a,30bで検出した床板10の歪み成分から、利用者1が仰臥位であるか、起き上がり状態であるかを判定するために、
図2に示す基準部43の情報を利用している。例えば、基準部43には、利用者1が仰臥位であるか、起き上がり状態であるかを判定するための閾値が記憶されている。判定部44は、加速度センサ30a,30bで検出した床板10の歪み成分が、基準部43から得た閾値より大きければ利用者1が仰臥位であると判定する。
【0028】
また例えば、基準部43には、利用者1が仰臥位であるか、起き上がり状態であるかを判定するためのアルゴリズムが記憶されていてもよい。判定部44は、基準部43から得たアルゴリズムを使って、利用者1が仰臥位であるか、起き上がり状態であるかを判定することになる。具体的に、利用者1の状態を判定するアルゴリズムは、加速度センサ30a,30bで検出した床板10の歪み成分を入力すると判定値が算出されるような関数が考えられる。当該関数は、利用者1が仰臥位から起き上がり状態となることによる利用者1の重心位置の重心G1(
図4(a))から重心G2(
図5(a))への変化を、床板10の歪み成分の変化として予め関数化してある。
【0029】
さらに、リクライニング機能により板部10aの傾斜角度が変化する場合について説明する。板部10aの傾斜角度が変化すると、板部10aに加わる利用者1の荷重が変わるため、判定部44は、利用者1が仰臥位であるか、起き上がり状態であるかを判定するための閾値やアルゴリズムも変化する。そのため、基準部43には、板部10aの傾斜角度に応じた閾値やアルゴリズムが記憶してある。
【0030】
本実施の形態1に係るベッド装置100では、加速度センサ30の検出信号から、板部10aの傾斜角度を求めることができるとともに、加速度センサ30a,30bで検出した板部10aの歪み成分から利用者1の状態を検知することができる。つまり、ベッド装置100では、加速度センサ30のみで板部10aの傾斜角度の検出と利用者1の状態(例えば、起き上がり状態)の検知という複数の事象を捉えることができる。
【0031】
図を用いて、ベッド装置100でリクライニング機能を使用した場合において、判定部44が、利用者の状態を検知する原理について説明する。
図6は、本実施の形態1に係るベッド装置100でリクライニング機能を使用した場合の概略図である。
図6(a)では、ベッド装置100でリクライニング機能を使用した場合で利用者1が板部10aに寄り掛かっている状態を、
図6(b)では、ベッド装置100でリクライニング機能を使用した場合で利用者1が起き上がった状態をそれぞれ示している。
【0032】
図6(a)では、利用者1が板部10aに寄り掛かっている状態であるため、加速度センサ30a,30bで板部10aの歪み成分D5を検出することができる。リクライニング機能を使用した場合、板部10aに加わる利用者1の荷重が仰臥位の場合に比べて小さくなるので、板部10aの歪み成分D5は、
図4(b)に示す歪み成分D1,D2に比べて小さい。なお、
図6(a)では、加速度センサ30bのみが図示されているが、板部10aの紙面奥側に加速度センサ30aが設けられている。
【0033】
図6(b)では、利用者1が起き上がり板部10aに寄り掛かっていない状態であるため、加速度センサ30a,30bで検出される板部10aの歪み成分は、歪み成分D6となる。利用者1の荷重が板部10aに加わらなくなった床板10の歪み成分D6は、歪み成分D5より小さくなる。なお、
図6(b)では、加速度センサ30bのみが図示されているが、板部10aの紙面奥側に加速度センサ30aが設けられている。
【0034】
リクライニング機能を使用した場合、傾斜角度演算部42は、加速度センサ30a,30bの検出信号のうち板部10aの傾斜角成分R5,R6から、床板10の傾斜角度を演算する。傾斜角度演算部42は、求めた床板10の傾斜角度を、基準部43に入力する(
図2参照)。基準部43では、床板10の傾斜角度に応じて、起き上がり状態であるかを判定するための情報を判定部44に提供している。
【0035】
例えば、基準部43には、利用者1が起き上がり状態であるか否かを判定するための閾値が、床板10の傾斜角度に応じて記憶されている。そのため、基準部43は、傾斜角度演算部42から得られた床板10の傾斜角度に対応して、閾値を判定部44に提供する。判定部44は、加速度センサ30a,30bで検出した床板10の歪み成分が、床板10の傾斜角度に応じた閾値より大きければ利用者1が板部10aに寄り掛かっている状態であると判定する。
【0036】
また例えば、基準部43には、床板10の傾斜角度を考慮した、利用者1が起き上がり状態であるか否かを判定するためのアルゴリズムが記憶されていてもよい。判定部44は、床板10の傾斜角度を考慮したアルゴリズムに基づき、利用者1が起き上がり状態であるか否かを判定することになる。具体的に、利用者1の状態を判定するアルゴリズムは、床板10の傾斜角度と、加速度センサ30a,30bで検出した床板10の歪み成分とを入力すると判定値が算出されるような関数が考えられる。当該関数は、床板10の傾斜角度ごとに、利用者1が板部10aに寄り掛かっている状態から起き上がり状態となることによる利用者1の重心位置の重心G3(
図6(a))から重心G4(
図6(b))への変化を、床板10の歪み成分の変化として予め関数化してある。
【0037】
ここで、床板10に設ける加速度センサ30の個数や位置について説明する。ベッド装置100にリクライニング機能を設けてある場合、床板10は、利用者1の上半身を支える板部10aと、下半身を支える板部10bとに分離している。利用者1が仰臥位の場合、利用者1の荷重は上半身に多く加わるため、上半身側の床板10の歪み成分を取得することができるように板部10aに加速度センサ30を設けることが望ましい。
【0038】
加速度センサ30は、利用者1の状態を最もよく検知することができる位置に設けることが望ましい。この利用者1の状態を最もよく検知することができる位置とは、利用者1が仰臥位の場合に床板10が最も歪む位置である。つまり、上述したように、利用者1が仰臥位の場合、利用者1の上半身と接する位置に最も荷重が加わり、当該位置を中心に板部10aが弧状に歪むことになる。そのため、当該位置に加速度センサ30を1つ設ければ、利用者1の状態を検知できる。
【0039】
しかし、利用者1の荷重が最も加わる位置は、利用者1が寝返りを打ったり、床板10の上を移動したりすることで変化する。そのため、加速度センサ30は、床板10の面に複数設けることが望ましい。
図4(b)で示したように床板10(特に板部10a)の裏面に、2つの加速度センサ30a,30bを設けることで、ベッド装置100は、利用者1の起き上がり状態を精度よく検知できるようになる。
【0040】
また、床板10の短辺の中心線(
図4(a)等のC−C線)に沿って加速度センサ30を設けた場合、ベッド装置100は、利用者1が床板10の中心にいないとき、利用者1の起き上がり状態を精度よく検知できない可能性がある。そこで、加速度センサ30は、床板10の短辺の中心線から外れた位置に取り付けられることが望ましい。さらに、床板10の短辺の中心線を跨いで2つの加速度センサ30a,30bを設けることで、ベッド装置100は、利用者1が床板10の中心にいない場合に、利用者1の状態を検知できないことを防ぐことができる。
【0041】
また、複数の加速度センサ30a,30bは、床板10の短辺の中心線に対して対称となる位置に取り付けられることが望ましい。複数の加速度センサ30a,30bが、床板10の短辺の中心線に対して対称となる位置に設けられることで、ベッド装置100は、それぞれの加速度センサ30a,30bから得られた加速度の成分から利用者の状態を判定するための演算が容易となる。
【0042】
次に、
図2に示す通知部45は、判定部44で判定した利用者1の状態の結果を外部に出力する。具体的に、通知部45は、無線通信などでパソコンまたはスマホ200などに判定部44での判定結果を送信して、利用者1の状態を通知したり、ナースコール300に接続し、ナースステーションに利用者1が起き上がった状態であることを通知したりする。また、通知部45は、コントローラ40に設けたLEDやブザー(図示せず)などで利用者1が起き上がった状態であることを知らせてもよい。
【0043】
次に、ベッド装置100での利用者1の状態を検知する処理について、フローチャートを用いて説明する。
図7は、本実施の形態1に係るベッド装置100での利用者1の状態を検知する処理の一例のフローチャートである。まず、判定部44は、加速度センサ30a,30bの検出結果からリクライニング角度(板部10aの傾斜角度)を計算する(ステップS10)。
【0044】
次に、判定部44は、ステップS10で計算したリクライニング角度(板部10aの傾斜角度)に応じた起き上がり基準(例えば、閾値やアルゴリズムなど)を、基準部43から読み出して参照する(ステップS20)。
【0045】
さらに、判定部44は、ステップS20で参照した起き上がり基準に基づき、利用者1が起き上がり状態か否かを判定する(ステップS30)。その後、判定部44は、判定を終了するか否かの信号を受付ける(ステップS40)。判定を終了する信号を受付けた場合(ステップS40でYES)、判定部44は、利用者1が起き上がり状態か否かの判定を終了する。一方、判定を終了する信号を受付けていない場合(ステップS40でNO)、判定部44は、利用者1が起き上がり状態か否かの判定を継続し、処理をステップS10に戻す。
【0046】
以上のように、本実施の形態1に係るベッド装置100は、利用者1の状態を検知することが可能である。ベッド装置100は、利用者1を支える床板10と、床板10を支持するベッドフレーム20と、床板10に取り付けられている加速度センサ30と、加速度センサ30からの検出結果に基づき利用者の状態を検知するコントローラ40(検知部)とを備えている。加速度センサ30は、少なくとも2軸方向の加速度を検出することができ、床板10の面に対して加速度を検出する2軸が平行に取り付けられている。これにより、ベッド装置100は、既存のベッド装置であっても簡単に利用者の状態を検知することができる。
【0047】
また、加速度センサ30a,30bは、床板10の面に複数取り付けられてもよい。これにより、ベッド装置100は、利用者1の起き上がり状態を精度よく検知できる。
【0048】
さらに、加速度センサ30a,30bは、床板10の短辺の中心線から外れた位置に取り付けられてもよい。これにより、ベッド装置100は、利用者1が床板10の中心にいない場合であっても、利用者1の状態を検知しやすいようにすることができる。
【0049】
また、複数の加速度センサ30a,30bは、床板10の短辺の中心線に対して対称となる位置に取り付けられてもよい。これにより、ベッド装置100は、それぞれの加速度センサ30a,30bから得られた加速度の成分から利用者の状態を判定するための演算が容易となる。
【0050】
さらに、加速度センサ30a,30bは、利用者1を支える床板10の面と反対となる面(裏面)に取り付けられている。これにより、既存のベッド装置に加速度センサ30a,30bを取付けて利用者1の状態を検知することが可能となる。もちろん、加速度センサ30a,30bは、床板10に内蔵されていてもよく、利用者1を支える床板10の面に取り付けてもよい。さらに、加速度センサ30a,30bは、床板10に載置されるマットレスなどに取り付けてもよい。
【0051】
また、ベッド装置100では、床板10が、一部が起伏可能な板部10a(可動部)を有してもよい。つまり、ベッド装置100が、リクライニング機能を有していてもよい。ベッド装置100が、リクライニング機能を有している場合、加速度センサ30a,30bは、板部10a(可動部)に取り付けられている。これにより、リクライニング機能を有しているベッド装置100に対しても、利用者1の状態を検知することが可能となる。
【0052】
さらに、コントローラ40(検知部)が、加速度センサ30a,30bからの検出結果に基づき利用者1の状態の検知および板部10a(可動部)の傾斜角度(位置)の検出を行ってもよい。これにより、ベッド装置100は、加速度センサ30のみで板部10aの傾斜角度の検出と利用者1の状態(例えば、起き上がり状態)の検知という複数の事象を捉えることができる。また、ベッド装置100は、板部10aの傾斜角度を考慮して利用者1の状態(例えば、起き上がり状態)を検知できる。
【0053】
なお、床板10に取り付ける加速度センサ30をセンサユニットとして構成してもよい。センサユニットは、ベッド装置100に取付け可能で、ベッド装置100の利用者1の状態を検知する加速度センサ30である。センサユニットは、少なくとも2軸方向の加速度を検出することができるセンサ素子31と、センサ素子31において加速度を検出する2軸と平行となる位置で、ベッド装置100の床板10の面に取り付ける固定部32とを備えている。これにより、既存のベッド装置100の床板10に加速度センサ30を取付け易くなる。
【0054】
[実施の形態2]
本実施の形態1では、床板10に加速度センサ30を取り付けた構成について説明した。本実施の形態2では、床板に加えベッドフレームにも加速度センサを取り付けた構成について説明する。
図8は、本実施の形態2に係るベッド装置100aの一例の概略図である。なお、
図8に示すベッド装置100aにおいて、
図1および
図2に示すベッド装置100と同じ構成については、同じ符号を付して詳しい説明を繰返さない。
【0055】
ベッド装置100aは、利用者を支える床板10、床板10を支えるベッドフレーム20を備えている。ベッドフレーム20の2つの短辺には、壁部25が設けられている。ベッド装置100aは、リクライニング機能を有している。そのため、床板10は、ベッドフレーム20に対する利用者の頭部側の部分の角度を変更することができる。
【0056】
さらに、ベッド装置100aには、利用者の状態を検知するための加速度センサ30が床板10およびベッドフレーム20に設けてある。加速度センサ30のうち加速度センサ30a,30bは、利用者側とは反対の床板10の面(裏面)に取り付けてある。また、加速度センサ30のうち加速度センサ30cは、ベッドフレーム20に取り付けてある。
【0057】
加速度センサ30a,30b,30cは、少なくとも2軸方向の加速度を検出することができればよく、静電容量型、ピエゾ抵抗型、歪ゲージ式などいずれの種類であってもよい。以下の説明では、加速度センサ30a,30b,30cが2軸方向の加速度を検出することができるセンサであるとして説明する。
【0058】
加速度センサ30a,30bは、実施の形態1で説明したように利用者1の状態、特に利用者1が起き上がり状態であるか否かを判定するための床板10の歪み成分を検出していた。しかし、利用者1が起き上がりベッド装置100aの端に座る端座位の状態になると、利用者1の上半身側に設けた加速度センサ30a,30bでは、床板10の歪み成分を検出できない。そこで、利用者1が端座位であるか否かを検知できるように、ベッドフレーム20に加速度センサ30cを取付けている。
【0059】
加速度センサ30cは、ベッド装置100a上での利用者1の位置によるベッドフレーム20の傾きを検出している。加速度センサ30cで検出した検出信号は、加速度センサ30a,30bと同様、コントローラ40の受信部41で受信され、判定部44で利用者1が端座位であるか否かの判定に利用される。
【0060】
具体的に、図を用いて、判定部44が、利用者1が端座位であるか否かの判定する構成について説明する。
図9は、本実施の形態2に係るベッド装置100aに利用者1が端座位である場合の概略図である。
図9(a)は、利用者1が端座位であるベッド装置100aの斜視図で、
図9(b)は、利用者1が起き上がり状態であるベッド装置100aの利用者1の頭部側からの側面図である。
図9(c)は、利用者1が端座位であるベッド装置100aの利用者1の頭部側からの側面図である。
【0061】
図9(a)に示すように、板部10aに、加速度センサ30a,30bが、ベッドフレーム20に、加速度センサ30cがそれぞれ設けてある。利用者1が端座位である場合、利用者1の荷重は、主に床板10の中央部(板部10aと板部10bとの境界)で、床板10の短辺の一端に加わる。つまり、利用者1の重心位置は、
図9(a)に示す重心G5の位置となる。
【0062】
そのため、利用者1が端座位である場合、利用者1の荷重によって板部10aに歪が生じず、加速度センサ30a,30bで床板10の歪み成分を検出することができない。一方、利用者1の荷重によってベッドフレーム20が傾くため、加速度センサ30cをベッドフレーム20に設けることで、ベッドフレーム20の傾き成分を加速度センサ30cで検出することができる。なお、ベッドフレーム20は一体として形成されているため、何れの位置に加速度センサ30cを取付けても、ベッドフレーム20の傾き成分を検出することができる。
【0063】
図9(b)では、比較のため利用者1が起き上がり状態の場合に、加速度センサ30a,30bで検出した床板10の歪み成分D7,D8と、加速度センサ30cで検出したベッドフレーム20の傾き成分S7とを示している。利用者1が起き上がり状態となることで床板10の歪みが解消され、床板10の歪み成分D7,D8が図中の水平方向の加速度の成分(DC成分)として検出される。また、利用者1が起き上がり状態の場合、利用者1がベッドフレーム20の短辺のほぼ中央にいるため、ベッドフレーム20は、ほぼ水平の状態である。そのため、ベッドフレーム20の傾き成分S7は、図中の水平方向の加速度の成分(DC成分)として検出される。
【0064】
一方、
図9(c)では、利用者1が端座位の場合に、加速度センサ30a,30bで検出した床板10の歪み成分D9,D10と、加速度センサ30cで検出したベッドフレーム20の傾き成分S9とを示している。利用者1が端座位となることで床板10に歪みが生じず、床板10の歪み成分D9,D10が図中の水平方向の加速度の成分(DC成分)として検出される。また、利用者1が端座位の場合、利用者1がベッドフレーム20の短辺の一端にいるため、ベッドフレーム20は利用者1の側に傾く。そのため、ベッドフレーム20の傾き成分S9は、図中の水平方向から角度β分だけ傾いた加速度の成分として検出される。
【0065】
判定部44では、加速度センサ30cで検出したベッドフレーム20の傾き成分S9から、利用者1が端座位であるか、起き上がり状態であるかを判定するために、
図2に示す基準部43の情報を利用している。例えば、基準部43には、利用者1が端座位であるか、起き上がり状態であるかを判定するための閾値が記憶されている。判定部44は、加速度センサ30cで検出したベッドフレーム20の傾き成分S9が、基準部43から得た閾値より大きければ利用者1が端座位であると判定する。なお、基準部43に、利用者1が端座位であるか、起き上がり状態であるかを判定するためのアルゴリズムを記憶しておき、判定部44が、当該アルゴリズムに基づき利用者1が端座位であると判定してもよい。
【0066】
以上のように、本実施の形態2に係るベッド装置100aは、複数の加速度センサ30のうち1つ(例えば、加速度センサ30c)が、ベッドフレーム20に取り付けられている。これにより、ベッド装置100aは、利用者1が端座位であることを精度よく検知することが可能となる。
【0067】
[変形例]
上述の実施の形態では、床板10とベッドフレーム20とが別々の構成となっているベッド装置について説明したが、これに限定されない。床板とベッドフレームとが一体に形成されたベッド装置に対しても、上述の実施の形態で説明した構成を適用することができる。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。