(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置101の回路図である。
【
図2】
図2(A)、
図2(B)は、各放射素子の概略形状を含めて表現したアンテナ装置101の回路図である。
【
図3】
図3は結合素子3の内部の構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は第1の実施形態における第1アンテナ1の利得の周波数特性を示す図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)は、アンテナ装置101が備える結合素子3の相互インダクタンスMの有無による第1アンテナ1の利得の周波数特性を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態のアンテナ装置における第1アンテナ1と、比較例としてのアンテナにおける第1アンテナの放射効率の周波数特性を示す図である。
【
図7】
図7は、第一放射素子11と第二放射素子12との給電位相差の周波数特性を示す図である。
【
図8】
図8は第2の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図9】
図9は第3の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図10】
図10は第3の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図11】
図11は第3の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図12】
図12は第3の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図13】
図13は第4の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図14】
図14は第4の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図15】
図15は第4の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図16】
図16は第4の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図17】
図17は第5の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図18】
図18は第5の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図19】
図19は第5の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図20】
図20は第5の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図21】
図21は第6の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図22】
図22は第6の実施形態に係る別のアンテナ装置の回路図である。
【
図23】
図23は第7の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図24】
図24は、各放射素子の概略形状を含めて表現した、第7の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図27】
図27は第9の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
【
図28】
図28は第10の実施形態に係る電子機器201のブロック図である。
【
図29】
図29は比較例としての広帯域アンテナの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、実施形態を説明の便宜上、複数の実施形態に分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0016】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置101の回路図である。
図2(A)、
図2(B)は各放射素子の概略形状を含めて表現したアンテナ装置101の回路図である。
【0017】
アンテナ装置101は第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。このアンテナ装置101は、第1アンテナ1の給電部に第1給電回路10が接続され、第2アンテナ2の給電部に第2給電回路20が接続されて使用される。
【0018】
第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12と、を備える。結合素子3は、互いに磁界結合する一次コイルL1及び二次コイルL2で構成される。結合素子3は給電端子PF、第1放射素子接続端子PA、第2放射素子接続端子PS及びグランド端子PGを備える。
【0019】
一次コイルL1は第1給電回路10と第一放射素子11との間に直列接続されている。第1給電回路10は、基準電位端であるグランドと一次コイルL1との間に接続される。二次コイルL2は位相調整器13と第二放射素子12との間に直列接続されている。また、位相調整器13は、二次コイルL2とグランドとの間に接続されている。この位相調整器13は、グランドと二次コイルL2との間の位相差を調整することにより、第一放射素子11に対する第二放射素子12の給電位相の差を調整する回路である。
【0020】
第2アンテナ2は第三放射素子23を備える。この第三放射素子23とグランドとの間に第2給電回路20が接続される。
【0021】
図2(A)、
図2(B)に示す例では、第一放射素子11、第二放射素子12、及び第三放射素子23は何れも、1/4波長のモノポールアンテナまたは、それを途中で曲げた逆L型アンテナである。第1アンテナ1は例えば3GPPの指定周波数帯のうち、帯域n79で用いられるアンテナであり、第2アンテナ2は例えばIEEE802.11規格の5GHz帯で用いられるWi−Fi用アンテナである。
【0022】
図3は結合素子3の内部の構造を示す斜視図である。本実施形態では、一次コイルL1と二次コイルL2は単一の素子内に構成されている。この結合素子3は、所定の導体パターンが形成された、複数の絶縁性基材の積層体である。
図1において、導体パターンL11,L12及びその間を層間接続するビア導体V1によって、1ターン以上の一次コイルL1が構成されている。また、導体パターンL21,L22及びその間を層間接続するビア導体V2によって、1ターン以上の二次コイルL2が構成されている。一次コイルL1と二次コイルL2とは、それぞれのコイル開口が同軸関係にあって、磁界結合する。
【0023】
第1アンテナ1において、第一放射素子11、一次コイルL1の自己インダクタンス及び結合素子3の相互インダクタンス、により定まる共振周波数を第1共振周波数f1で表し、第二放射素子12、二次コイルL2の自己インダクタンス、結合素子3の相互インダクタンス及び位相調整器13、により定まる共振周波数を第2共振周波数f2で表す。また、第2アンテナ2により定まる共振周波数を第3共振周波数f3で表す。この3つの共振周波数は、f1<f2<f3の関係にあり、かつ、第1アンテナ1の通信帯域の高域端に第2共振周波数f2が位置する。つまり、第1アンテナ1は、第1共振周波数f1から第2共振周波数f2に亘る広帯域で利得を有するアンテナ特性を示す。第2アンテナ2は第3共振周波数f3を含む周波数帯で利得を有するアンテナ特性を示す。
【0024】
また、このアンテナ装置101は、第2アンテナ2の通信帯域における、第一放射素子11と第二放射素子12との信号の位相差は180°±45°の範囲内にある。
【0025】
ここで先ず、比較例としての広帯域アンテナ及びWi−Fi用の第2アンテナ2の構成を
図29に示す。この広帯域アンテナは、結合素子3と、第一放射素子11と、第二放射素子12とを備える。結合素子3は、互いに磁界結合する一次コイルL1及び二次コイルL2で構成される。
【0026】
図30は、
図29に示した第一放射素子11及び第二放射素子12を備える広帯域アンテナと、第三放射素子23を備えるWi−Fi用第2アンテナ2とのアンテナ間アイソレーションの周波数特性を示す図である。広帯域アンテナは、帯域n79で用いられるアンテナであり、4.4GHz〜5.0GHzの広帯域に亘って利得が高いが、IEEE802.11規格の5GHz帯(5.15GHz〜5.725GHz)Wi−Fiアンテナの周波数帯域にまで亘るため、アイソレーションが悪い。このように、帯域n79で用いられる広帯域アンテナに、IEEE802.11規格の5GHz帯用のアンテナが隣接していると、帯域n79用アンテナと上記Wi−Fiアンテナとのアイソレーションが確保されない。
【0027】
図4は本実施形態における第1アンテナ1と第2アンテナ2とのアンテナ間アイソレーションの周波数特性を示す図である。
図4において、特性曲線Aは本実施形態による第1アンテナ1と第2アンテナ2とのアンテナ間アイソレーションの周波数特性であり、縦軸はSパラメータのS21、横軸は周波数である。
図4において、特性曲線Bは
図30に示した比較例としての広帯域アンテナ装置と第2アンテナ2とのアンテナ間アイソレーションの周波数特性である。
【0028】
本実施形態における第1アンテナ1は、帯域n79で用いられるアンテナであり、4.4GHz〜5.0GHzの広帯域に亘って−11dB以上のアイソレーションが得られている。一方、5GHz帯Wi−Fiの低域端で−21dB以下にまで利得が抑制されている。これにより、第1アンテナ1と第2アンテナ2とのアイソレーションが確保される。
【0029】
上記特性が得られる理由は次のとおりである。既に述べたとおり、第2アンテナ2の通信帯域(5.15GHz〜5.725GHz)における、第一放射素子11と第二放射素子12との信号の位相差は180°に近い、180°±45°の範囲内にある。
図2(B)は、特に第2アンテナ2の通信帯域における、第一放射素子11と第二放射素子12の開放端間に生じる電位差を表している。第一放射素子11と第二放射素子12との給電位相差が180°に近い、180°±45°の範囲内にあるとき、このように、第一放射素子11と第二放射素子12との電界結合が非常に強く、第一放射素子11と第二放射素子12との間でエネルギーの受け渡しが行われてしまう。そのため、空中へのエネルギー放出が抑制される。この結果が
図4の特性曲線Aに表れている。
【0030】
第1アンテナ1の通信帯域である帯域n79では、第一放射素子11と第二放射素子12との位相差はせいぜい±135°未満の範囲内で、好ましくは±120°未満、より好ましくは90°未満、0°に近い範囲が好ましい。そのため、帯域n79では第一放射素子11と第二放射素子12との間で特性曲線Bに比べ上記エネルギーの受け渡しが行われず、第1アンテナ1は広帯域アンテナとして作用する。
【0031】
図5(A)、
図5(B)はアンテナ装置101が備える結合素子3の相互インダクタンスMの有無による、第1アンテナ1と第2アンテナ2とのアンテナ間アイソレーションの周波数特性を示す図である。
図5(A)において、特性曲線Aは本実施形態における第1アンテナ1の特性であり、特性曲線Cは比較例としての第1アンテナ1の特性である。この比較例としての第1アンテナ1においては、その結合素子3の一次コイルL1と二次コイルL2との相互インダクタンスMは0である。
【0032】
図5(A)に表れているように、結合素子3の一次コイルL1と二次コイルL2との相互インダクタンスMが0であると、第一放射素子11と第二放射素子12とは電界結合のみで結合する。この状態では、相互インダクタンスMが寄与しないので、第2共振周波数f2は相対的に高くなってしまう。
【0033】
一方、
図5(B)は、上記相互インダクタンスMが0になることで、上昇する第2共振周波数f2を、他の要素(第二放射素子12又は二次コイルL2)で調整して、アイソレーションを低減させる周波数を一致させた状態を表している。
図5(B)において、特性曲線Aは本実施形態における第1アンテナ1の特性であり、特性曲線Dは上記調整後の比較例の第1アンテナの特性である。
【0034】
さらに、
図6は、第1の実施形態のアンテナ装置における第1アンテナ1と、比較例としてのアンテナにおける第1アンテナの放射効率の周波数特性を示す図である。
図6の縦軸は放射効率、横軸は周波数である。ここで、特性曲線Aは本実施形態における第1アンテナ1の特性であり、特性曲線Dは上記調整後の比較例の第1アンテナの特性である。このように、第一放射素子11と第二放射素子12とを結合素子3を介して結合させないと、帯域n79で放射利得が大幅に劣化する。
【0035】
このように、第一放射素子11と第二放射素子12とを結合素子3を介して結合させないと、帯域n79で高い放射効率が得られない。
【0036】
図7は、第一放射素子11と第二放射素子12との給電位相差の周波数特性を示す図である。
図7において、特性曲線Aは本実施形態における第1アンテナ1の特性であり、特性曲線Dは上記調整後の比較例の第1アンテナの特性である。本実施形態に係る第1アンテナ1では、周波数4.4GHz〜5.0GHzに亘って、第一放射素子11と第二放射素子12との給電位相差が135°未満であるのに対し、比較例としての第1アンテナでは、第一放射素子11と第二放射素子12との給電位相差が135°〜180°の範囲内であって、第一放射素子11と第二放射素子12との間に生じる電位差が大きく、空中への放射エネルギーが抑制されることが分かる。本実施形態に係る第1アンテナ1では、帯域n79において、位相調整器13と結合素子3の相互インダクタンスとによって、第一放射素子11と第二放射素子12との信号の位相差は±135°未満であるので、第1アンテナ1の放射効率は高い。
【0037】
また、本実施形態のアンテナ装置101において、第1アンテナ1で通信する帯域及び第2アンテナ2で通信する帯域の比帯域幅は共に10%以上であり、第1アンテナ1と第2アンテナ2との間の比帯域幅は5%以下である。例えば、帯域n79では、帯域幅は5.0−4.4=0.6GHzであり、その中心周波数は4.7GHzであるので、比帯域幅=0.6/4.7=12%である。また、IEEE 802.11ac規格の5GHz帯のWi−Fiでは、帯域幅は5.725−5.15=0.575GHzであり、その中心周波数は5.437GHzであるので、比帯域幅=0.575/5.437=10%である。
【0038】
また、帯域n79の高域端と802.11acの低域端との差は5.15−5.0=0.15GHzであり、両帯域の中心周波数は5.075GHzであるので、両帯域間の比帯域幅は、0.15/5.075=2.9%である。
【0039】
このように、第1アンテナ1で通信する帯域及び第2アンテナ2で通信する帯域の比帯域幅は共に10%以上であり、第1アンテナ1の通信帯域と第2アンテナ2の通信帯域との間の比帯域幅は5%以下であるような、2つの通信帯域が広帯域で、かつ、2つの通信帯域の間が狭帯域である場合でも、アンテナ間アイソレーションが確保できる。
【0040】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、第一放射素子11に対する第1給電回路の接続構造が第1の実施形態で示した例とは異なるアンテナ装置について示す。
【0041】
図8は第2の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。このアンテナ装置102は第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。このアンテナ装置102は、第1アンテナ1の給電部に第1給電回路10が接続され、第2アンテナ2の給電部に第2給電回路20が接続されて使用される。
【0042】
第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12と、を備える。結合素子3は、互いに磁界結合する一次コイルL1及び二次コイルL2で構成される。
【0043】
一次コイルL1は、第一放射素子11とグランドとの間に接続されている。第1給電回路10の一端は、第一放射素子11に対する一次コイルL1の接続部に接続され、他端はグランドに接続される。二次コイルL2は位相調整器13と第二放射素子12との間に直列接続されている。また、位相調整器13は、二次コイルL2とグランドとの間に接続されている。
【0044】
このように、一次コイルL1と第一放射素子11との接続箇所(接続範囲)に給電されるように、第1給電回路10を接続してもよい。
【0045】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、第一放射素子11の幾つかの構成例を示す。
【0046】
図2(A)では、第一放射素子11をモノポールアンテナ又は逆L型アンテナで構成した例を示したが、第一放射素子11はそれに限らない。
図9、
図10、
図11、
図12は第3の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。いずれのアンテナ装置も、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12と、を備える。第2アンテナ2は第三放射素子23を備える。第一放射素子11以外の構成は第1の実施形態で示したとおりである。
【0047】
図9に示す例では、第一放射素子11は分岐アンテナである。この構成により、第一放射素子11の共振周波数を二つ又はそれ以上設けることができる。
図10に示す例では、第一放射素子11はループ型アンテナである。つまり、第一放射素子11、一次コイルL1及び第1給電回路10で一つのループを構成する。
【0048】
図11に示す例では、第一放射素子11は逆F型アンテナである。一般に逆F型アンテナは、横方向に延びる本体部と、その一方端につながる給電線と、本体部の途中につながる短絡線とで構成されるが、この例では、短絡線から給電される。つまり、給電線は接地されていて、短絡線に一次コイルL1を介して第1給電回路10が接続されている。
【0049】
図12に示す例でも、第一放射素子11は逆F型アンテナである。この例では、給電線に第1給電回路10が接続されていて、短絡線とグランドとの間に一次コイルL1が接続されている。
図12に示すアンテナ装置は、
図8に示したアンテナ装置102の例示ということもできる。
【0050】
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、第二放射素子12の幾つかの構成例を示す。
【0051】
図2(A)では、第二放射素子12をモノポールアンテナ又は逆L型アンテナで構成した例を示したが、第二放射素子12はそれに限らない。
図13、
図14、
図15、
図16は第4の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。いずれのアンテナ装置も、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12と、を備える。第2アンテナ2は第三放射素子23を備える。第二放射素子12以外の構成は第1の実施形態で示したとおりである。
【0052】
図13に示す例では、第二放射素子12は分岐アンテナである。この構成により、第二放射素子12の共振周波数を二つ又はそれ以上設けることができる。
図14に示す例では、第二放射素子12はループ型アンテナである。つまり、第二放射素子12、二次コイルL2及び位相調整器13で一つのループを構成する。
【0053】
図15に示す例では、第二放射素子12は逆F型アンテナである。この例では、短絡線から給電される。つまり、給電線はグランドに接続されていて、短絡線とグランドとの間に二次コイルL2及び位相調整器13が接続されている。
図16に示す例でも、第二放射素子12は逆F型アンテナである。この例では、給電線とグランドとの間に二次コイルL2が接続されていて、短絡線とグランドとの間に位相調整器13が接続されている。
【0054】
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、第三放射素子23の幾つかの構成例を示す。
【0055】
図2(A)では、第三放射素子23をモノポールアンテナ又は逆L型アンテナで構成した例を示したが、第三放射素子23はそれに限らない。
図17、
図18、
図19、
図20は第5の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。いずれのアンテナ装置も、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12と、を備える。第2アンテナ2は第三放射素子23を備える。第三放射素子23以外の構成は第1の実施形態で示したとおりである。
【0056】
図17に示す例では、第三放射素子23は分岐アンテナである。この構成により、第三放射素子23の共振周波数を二つ又はそれ以上設けることができる。
図18に示す例では、第三放射素子23はループ型アンテナである。つまり、第三放射素子23及び第2給電回路20で一つのループを構成する。
【0057】
図19に示す例では、第三放射素子23は逆F型アンテナである。この例では、短絡線から給電される。つまり、給電線は接地されていて、短絡線とグランドとの間に第2給電回路20が接続されている。
図20に示す例でも、第三放射素子23は逆F型アンテナである。この例では、給電線とグランドとの間に第2給電回路20が接続されている。
【0058】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、無給電放射素子を更に備えるアンテナ装置について例示する。
【0059】
図21は第6の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。このアンテナ装置は、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12と、無給電放射素子14とを備える。第2アンテナ2は第三放射素子23を備える。無給電放射素子14以外の構成は
図15に示したとおりである。無給電放射素子14は第一放射素子11と電界結合して、第1アンテナ1の一部として作用する。本実施形態では、第1アンテナ1が、1/2波長で共振するグランド接地型の無給電放射素子14を備える例を示したが、これに限らず、無給電放射素子14が、1波長で共振するグランド非接地型の放射素子であってもよい。また、グランド接地型の無給電素子においては、無給電放射素子14とグランドとの間にリアクタンス素子を設けることによって無給電放射素子14の共振周波数を調整してもよい。この無給電放射素子14の共振周波数は第一放射素子11による共振周波数(前記f1)及び第二放射素子12による共振周波数(前記f2)とは異なり、第1アンテナ1の広帯域化に寄与する。
【0060】
図22は第6の実施形態に係る別のアンテナ装置の回路図である。このアンテナ装置も、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12と、を備える。第2アンテナ2は第三放射素子23と無給電放射素子24とを備える。無給電放射素子24以外の構成は第1の実施形態で示したとおりである。無給電放射素子24は第三放射素子23と電界結合して、第2アンテナ2の一部として作用する。この無給電放射素子24の共振周波数は第三放射素子23による共振周波数(前記f3)とは異なり、第2アンテナ2の広帯域化に寄与する。
【0061】
《第7の実施形態》
第7の実施形態では、位相調整器13の接続位置がこれまでに示した例とは異なるアンテナ装置について例示する。
【0062】
図23は第7の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
図24は、各放射素子の概略形状を含めて表現した、第7の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。このアンテナ装置は、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備える。第1アンテナ1は、結合素子3と、位相調整器13と、第一放射素子11と、第二放射素子12とを備える。第2アンテナ2は第三放射素子23を備える。位相調整器13は第二放射素子12と二次コイルL2との間に接続されていて、位相調整器13とグランドとの間に二次コイルL2が接続されている。その他の構成は第1の実施形態で示したとおりである。
【0063】
位相調整器13はリアクタンス素子で構成されるが、電流強度の高い位置に設ける方が位相調整作用が高い。一般に、先端開放の放射素子では、グランド端が電流強度最大となるので、これまでに示した例のように、二次コイルL2とグランドとの間に位相調整器13を設けることが好ましい。
【0064】
しかし、本実施形態のように、二次コイルL2より第二放射素子12側に位相調整器13を設けてもよい。特に、
図24に示した例のように、第二放射素子12がループアンテナである場合、第二放射素子12と二次コイルL2との間でも電流強度が高いので、その位相調整器13は効果的に作用する。
【0065】
《第8の実施形態》
第8の実施形態では、整合回路を備えるアンテナ装置について例示する、
図25(A)、
図25(B)は、第8の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。
図25(A)に示すアンテナ装置は、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備え、第1アンテナ1は、整合回路91,92,94,95,96を備え、第2アンテナ2は、整合回路99を備える。
図25(B)に示すアンテナ装置は、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を備え、第1アンテナ1は、整合回路91〜98を備え、第2アンテナ2は、整合回路99を備える。
【0066】
図26(A)、
図26(B)、
図26(C)は、上記整合回路91〜99の構成例である。つまり、シリーズに接続される場合は、
図26(A)に示すように、キャパシタC、インダクタL又はショート、のいずれかであり、グランドへシャントに接続される場合は、
図26(B)に示すように、キャパシタC又はインダクタLを介してグランドへシャント接続されるか、グランドへのシャント接続は無い。また、これらを組み合わせてもよい。例えば
図26(C)に示すように、シリーズにインダクタL、シャントにキャパシタCを接続する。
【0067】
図25(A)において、整合回路91は一次コイルL1と第一放射素子11との間に接続されていて、整合回路92は二次コイルL2と第二放射素子12との間に接続されている。整合回路94は一次コイルL1と第1給電回路10との間に接続されていて、整合回路95は二次コイルL2と位相調整器13との間に接続されている。整合回路96は一次コイルL1と二次コイルL2との間に接続されている。
【0068】
図25(A)において、整合回路91は一次コイルL1と第一放射素子11との間の整合をはかる。整合回路92は二次コイルL2と第二放射素子12との間の整合をはかる。整合回路94は一次コイルL1と第1給電回路10との間の整合をはかる。整合回路95は二次コイルL2と位相調整器13との間の整合をはかる。整合回路96は一次コイルL1と二次コイルL2との整合をはかる。第2アンテナの整合回路99は、第三放射素子23と第2給電回路20との整合をはかる。
【0069】
図25(B)において、整合回路91は一次コイルL1と第一放射素子11との間の整合をはかる。整合回路92は二次コイルL2と第二放射素子12との間の整合をはかる。整合回路95は二次コイルL2と位相調整器13との間の整合をはかる。整合回路96は一次コイルL1と二次コイルL2との整合をはかる。整合回路97は整合回路91,93,94と共に、第1給電回路10と一次コイルL1との間の整合をはかる。整合回路98は、整合回路92,95と共に、二次コイルL2と第二放射素子12との間の整合をはかる。第2アンテナの整合回路99は、第三放射素子23と第2給電回路20との整合をはかる。
【0070】
《第9の実施形態》
第9の実施形態では、第8の実施形態で示した整合回路とは構成が異なる整合回路を備えるアンテナ装置について例示する。
【0071】
図27は第9の実施形態に係るアンテナ装置の回路図である。このアンテナ装置は第1アンテナ1、第2アンテナ2を備え、一次コイルL1と第一放射素子11との接続部とグランドとの間に整合回路90が接続されている。この整合回路90以外の構成は、第1の実施形態などで示したとおりである。
【0072】
整合回路90は、複数のリアクタンス素子X1,X2,X3とそれらを選択するスイッチSWで構成されている。このように、複数のリアクタンス素子とそれらリアクタンス素子を選択するスイッチとで整合回路90を構成すれば、スイッチSWの選択によって、一次コイルL1と第一放射素子11との接続部と、グランドへシャント接続するリアクタンスを切り替えることができ、所定の周波数帯域に応じて、より最適なインピーダンス整合をとることができる。
【0073】
図27に示した例では、一次コイルL1と第一放射素子11との接続部に接続した整合回路90を例示したが、
図25(A)、
図25(B)に示したような、他の箇所に接続する整合回路についても同様に適用できる。
【0074】
《第10の実施形態》
第10の実施形態では、以上に示したアンテナ装置を備える電子機器について例示する。
【0075】
図28は第10の実施形態に係る電子機器201のブロック図である。この電子機器201は例えば携帯電話端末であり、アンテナ装置101、RFモジュール71,72、送信回路61,62,受信回路81,82及びベースバンド回路50を備えている。アンテナ装置101は結合素子3と第一放射素子11、第二放射素子12及び第三放射素子23を備えている。RFモジュール71は、携帯電話用通信信号の送信信号と受信信号の切替を行う回路である。送信回路61は携帯電話用送信回路であり、受信回路81は携帯電話用受信回路である。また、RFモジュール72は、無線LAN用信号の送信信号と受信信号の切替を行う回路である。送信回路62は無線LAN用送信回路であり、受信回路82は無線LAN用受信回路である。
【0076】
最後に、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。当業者によって適宜変形及び変更が可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変形及び変更が含まれる。
【0077】
例えば、一次コイルL1と二次コイルL2は単一の素子内に形成されたコイルであることに限らず、それぞれコイルとして作用する個別の要素であってもよい。
【0078】
また、以上に示した実施形態では、無給電放射素子が、1/2波長で共振するグランド接地型の放射素子である例を示したが、これに限らず、無給電放射素子は1波長で共振するグランド非接地型の放射素子であってもよい。また、各々の放射素子には、インピーダンスや共振周波数等を調整するため、少なくとも1つのリアクタンス素子で構成される調整回路が付加されてもよい。
【0079】
また、[課題を解決するための手段]で記載した、「第二放射素子に接続される位相調整器」の「接続」とは、位相調整器13が第二放射素子12に直接的に接続される「接続」に限らず、例えば、第二放射素子12と位相調整器13との間に二次コイルL2が接続されているような、間接的な「接続」を含む表現である。同様に、「一次コイルに接続される第一放射素子」の「接続」とは、第一放射素子11に一次コイルL1が直接的に接続される「接続」に限らず、第一放射素子11と一次コイルL1との間に整合回路等の他の素子や回路が接続されるような、間接的な「接続」を含む表現である。「二次コイルに接続される第二放射素子」についても同様である。つまり、この「接続」は、第二放射素子12に二次コイルL2が直接的に接続される「接続」に限らず、第二放射素子12と二次コイルL2との間に位相調整器13や整合回路等の他の素子や回路が接続されるような、間接的な「接続」を含む。
アンテナ装置(101)は第1アンテナ(1)及び第2アンテナ(2)を備える。第1アンテナ(1)は、結合素子(3)と、位相調整器(13)と、第一放射素子(11)と、第二放射素子(12)と、を備える。そして、位相調整器(13)は、第2アンテナ(2)の通信帯域における、第一放射素子(11)と第二放射素子(12)との信号の位相差が180°±45°となるように設けられている。この構成により、広帯域アンテナと、この広帯域アンテナで使用される周波数帯に隣接する周波数帯用のアンテナとのアイソレーションを確保したアンテナ装置(101)、及びそのアンテナ装置(101)を備える電子機器を得る。